資料8
知連広発第 16号
平成12年11月2日IT戦略会議
議長 出 井 伸 之 様
全 国 知 事 会
会 長 土 屋 義 彦
「IT国家戦略に対する意見」の提出について
日頃より、本会の活動に対しご理解を賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、本会はこの度、IT国家戦略に対する都道府県の意見を集約し、別添のとおりとりまとめましたので提出いたします。
この意見が、IT国家戦略に反映されますことを強く希望いたします。
別添
現在、政府は、「日本型IT社会」を実現するため、IT国家戦略の策定を急いでおり、年内には取りまとめが行われる見込みである。
また、法制面の対応として、いわゆる「IT基本法」の今国会への提出を始め、関連法案の整備を進めるなど、IT戦略への取組みは、政府の最重要課題として位置付けられている。
地方公共団体は、従来から地域の実情に応じたIT革命への自主的な取組みを進めてきたが、現下の急速なIT革命の進展に対しては、国と地方の相互協力による情報化施策の推進が必要であるため、下記事項について十分勘案され、IT国家戦略の取りまとめに当たっては、これらの意見を的確に反映していただくよう強く要請するものである。
記
1.基本的な考え方2.個別意見
(1)情報通信インフラ整備の促進
住民生活における情報通信技術(IT)の便益の享受、ITを積極的に利活用した地域産業の振興、さらに、電子政府、電子自治体の実現のためには、その前提となる情報通信基盤の整備が不可欠である。特に光ファイバーの整備は、従来より民間主導による対応が図られているが、民間主導では整備の進みにくい離島、中山間地、過疎地等の地域においては、高速・大容量の幹線系であると加入者系(いわゆる「ラストワンマイル」)であるとを問わず、国が社会資本整備の一環として位置付け、国、地方公共団体、民間の役割分担を明確にして整備することが必要である。
(2)通信料金の低廉化等民間通信事業者への要請
インターネットの普及のためには、回線の常時接続化、通信料金の低廉・定額化が不可欠であり、さらに、都市部と地方との料金、サービス両面での格差も是正されなければならない。また、今後、全国一律に低料金・定額のユニバーサルサービスの提供が実現されるためにも、民間通信事業者に対し、国として必要な支援措置を講ずる必要がある。
(3)情報教育・情報リテラシー対策の推進
次代を担う子供たちには、学校における情報教育の充実が不可欠である。そのため、国においては、情報通信の操作・活用能力の向上に加えて、情報化時代に対応した安全教育、情報モラル教育など、総合的な情報教育学習体系(指導者養成を含む。)の確立を図るとともに、情報教育の環境整備として、機器や校内LANの整備充実、回線使用料・接続料の優遇制度の創設など必要な施策を実施されたい。
また、地域社会の誰もがIT革命の恩恵を最大限に受けられるための各種の情報リテラシー向上対策の実施、誰でも使いやすい技術・機器の開発などの重要な諸課題に対して、国において効率的な推進計画を策定し、分かり易く、かつ、積極的な取組みを行うとともに、あらゆる人材を活用してIT専門家を育成・確保するための措置を講ずる必要がある。
(4)障害者への対応について
各種メディア等に対する情報バリアフリー環境を整備し、障害者等の生活や社会活動を支援するため、視聴覚障害者に向けた文字・音声変換ソフトの開発・導入、字幕・手話の表示促進、また、肢体不自由者・知的障害者、高齢者等にとって見やすく操作しやすいインターフェイスの充実等ITを活用した国レベルでの情報弱者への配慮と対応が必要である。
(5)行政サービス向上のためのコンテンツの開発と共有
各種コンテンツの開発について、国は全国レベルで共通に必要となる教育、学習ソフト等のコンテンツを効率的に開発、提供する仕組みを整備するとともに、各地域ごとのコンテンツの整備、充実を支援、促進すべきである。
また、行政サービスの向上を図り、重複投資を避ける観点から、地方公共団体等のIT戦略の推進に資する地図情報、各種統計情報等の全国レベルの情報を収集、集約し、早期に公開されたい。
(6)電子政府・電子自治体の基盤整備
いわゆる電子政府、電子自治体の実現のための「申請・届出等手続きのオンライン化」や「総合行政ネットワーク」構想が国主導で進められているが、電子行政基盤の早期構築のために、地方公共団体における負担軽減の観点からも、住民基本台帳ネットワークとの整合性にも配慮しつつ、今後整備される認証基盤の相互調整を図るとともに、認証基盤の整備に係る国の方針や研究成果・実験結果を公表する等地方への情報提供を徹底されたい。
また、地方公共団体が進める情報通信基盤の整備に関しては、国、地方公共団体、民間それぞれが所有する通信網について、利用規制の緩和、相互接続の推進を図り、大災害時の緻密な情報交換のためにも、迅速かつ効率的なネットワークを構築する必要がある。
さらに、今後、各種行政サービス利用においてICカードが普及していくと考えられるため、各省庁間の垣根を排除した統一的かつ整合性のある多目的ICカードの普及を図る一方、カードの基本仕様やセキュリティー対策についても統一的に確立されたい。
(7)電子調達の適正化
公共事業の透明性を確保するとともに、コストダウンを実現するため、建設CALS/EC(公共調達支援統合情報システム)の早期導入に向けて、国、地方公共団体が連携して取り組む必要がある。
また、電子政府・電子自治体の実現のため、国及び地方公共団体において情報システムの調達が本格化するが、ソフトウェア開発プロセスの成熟度に係る評価指標を策定し、これを調達に際し積極的に適用していくことにより、IT関連企業の質の向上と調達構造の改善を進める必要がある。
(8)ITを活用した地域振興対策への支援
地場産業や地域の中小企業のITを活用した企業の高度化、活性化、新産業の創出等の取組みに対する各種誘導策を国において策定すべきである。
また、ギガビットネットワークを利用した研究開発など地方における先導的、独創的研究開発を支援するとともに、産官学の協力による地場産業や地域企業への技術移転を推進する必要がある。
(9)法整備・セキュリティー対策
健全なIT社会の実現に向け、国は、国、地方を通じたIT施策の円滑な実施や電子商取引の推進、あるいは、インターネットを利用した差別行為や人権侵害に繋がる行為の発生防止等のための必要な法整備を進めるとともに、個人情報保護の観点を踏まえた情報通信の信頼性、安全性を確保するためのセキュリティー対策を早急に確立する必要がある。
(10)情報格差対策への財政支援措置の充実
住民生活のレベルにおいて情報格差が生じないようにするために地方公共団体が実施する各種情報化施策に対し、国は財政措置を拡充する必要がある。
平成12年11月1日
全 国 知 事 会