1.日 時:平成13年3月2日(金) 18:00〜18:40
2.場 所:内閣総理大臣官邸大食堂
3.出席者:[別紙]
4.会議の模様
(1) 事務局から以下のとおり説明。
定刻になったが、国会の関係で総理が6時15分から20分頃に到着する予定なので、予定を変更させていただき、事務局の御説明を先にさせていただく。
(2) 事務局から「e−Japan重点計画」(案)について説明。
「e−Japan重点計画」(案)の概要について、簡単に御説明させていただく。IT基本法に基づき7本の柱で全体を構成している。まず1番目の柱は基本方針、それから今まで「e−Japan戦略」でも位置付けられていた、世界最高水準の高度情報通信ネットワークの形成、教育及び学習の振興並びに人材の育成、電子商取引等の促進、それから行政の情報化及び公共分野における情報通信技術の活用の推進という4本の柱、さらに6番目の柱として高度情報通信ネットワークの安全性及び信頼性の確保、7番目の柱として横断的な課題、以上7本の柱を構成している。
まず、基本的な方針としては、昨年の11月に出井会長のリーダーシップの下で取りまとめいただいた「IT基本戦略」、それに基づきこの1月22日の第1回本部にて決定いただいた、我が国として進めるべき戦略の柱である「e−Japan戦略」があり、その「e−Japan戦略」に基づき、「e−Japan重点計画」(案)を今回御議論いただく。
基本的な考え方として、まず官民の役割分担については、あくまでも民間が主導的な役割を果たすという考え方である。その上で政府は、第1に、民間活力発揮のための環境整備、規制の見直し等を含め、環境整備に力を尽くす、第2に、民間主導で実現できない部分への対応を行う。すなわち、電子政府、デジタル・ディバイド、さらにはR&D、特に基礎研究といった部分については、政府が対応することで民間が主導的役割を果たしやすいように環境整備をしていくという考え方である。その上で先ほど申し上げた政策課題、5本の大きな柱、それに更に横糸で研究開発の推進、デジタル・ディバイドの是正、雇用問題等への対応、国際的な協調・貢献の推進で全体を構成させていただいている。
次に、各論について御説明する。
世界最高水準の高度情報通信ネットワークの形成については、重点計画では4本の柱で構成した。
第1の柱は、公正競争条件の整備である。非対称規制の導入、インセンティブ活用型の競争促進方策の導入、また電気通信紛争処理委員会を創設するといったことを含め、公正競争条件の整備をすることが第1の柱である。
第2の柱は、超高速ネットワークインフラの形成であり、電柱の利用円滑化のための制度整備等の諸施策を講ずる。
また、第3の柱である研究開発の推進におけるIPv6のインターネット環境の実現や、第4の柱である放送のデジタル化の推進に向けた諸施策等が入っている。
以上の施策を講じることにより、2005年の姿として、光を用いた超高速インターネットを利用して極めて高画質の映像が見られること等が可能となり、高速インターネットを利用して音楽のダウンロード等が可能となる。
教育及び学習の振興並びに人材の育成については、重点計画では、まず、学校教育の情報化として、2001年度に全公立学校をインターネットで接続し、また、2005年度には、全クラスでパソコンが使えるようにする。また、すべての公立学校の教員がパソコン操作に習熟をする。さらには1,000人のIT関係の非常勤講師の任用といったことも含めて学校教育の情報化を進めたいと考えている。
また、2点目は、IT学習機会の提供ということで、550万人を対象にするITの基礎講習、50万人の中小企業者等への講習等を含め、初心者コースとして約600万人の対策、更には140万人のIT職業訓練といったことを考えている。また、全国7,000箇所の図書館、公民館にIT機器の整備を図る。
また、3点目は、外国人技術者の上陸の許可基準の見直しを進めるほか、デジタルコンテンツの市場規模を2倍に拡大する。
このような施策を通じて、学校で生徒がインターネットを自由に使いこなせるようにしていく。また、日本で世界的な人気を博するコンテンツを作り、全国世界中に発信していくということを考えている。
電子商取引等の促進については、重点計画では、規制の見直しに関し、なるべく行政の施策を明確化していくということで、法令の適用の事前確認の手続、いわゆるノーアクションレターといった制度、アメリカの証券取引委員会の施策でもある制度を導入するといったことも近々閣議決定まで持っていきたいと考えており、2001年度にはこういう制度が動き始めるようにする準備を進めている。
また、新たなルールの整備、消費者保護の観点から紛争外の処理スキームの構築といったことも進めていく。
行政の情報化については、2003年度の姿として、原則として24時間、自宅やオフィスからインターネットを利用して実質的にすべての行政手続の申請等ができるようにする。そのために、地方公共団体との協力も含めて諸施策を展開をしていきたいと考えている。
高度情報通信ネットワークの安全性及び信頼性の確保については、サイバーテロや不正アクセス等々いろいろある。そういう中で、我が国として政府部内、また民間部門とも協力をしながら情報セキュリティ対策を講じていく。
また、重要インフラのサイバーテロ対策といったことも進めていきたいと思っている。
横断的な課題においては、研究開発の推進、デジタル・ディバイトの是正、新たな課題への対応、国際的な協調・貢献の推進について施策を講じていく。
以上を含め、全体で219の施策を講ずる準備をしており、219のうち102は2001年度内に進め、全体を一気に進めたいと考えている。
最後に重点計画の見直しだが、毎年重点計画の見直しをする。また、年に2回最近の進捗状況、推進状況の調査をし、政府として内閣として責任を持って全体を進めていく。
(3) 麻生IT担当大臣から以下のとおり挨拶。
(4) 町村文部科学大臣から、著作権関係施策について説明、意見交換。
【町村文部科学大臣】前回の会議において、出井本部員から著作権制度について発言をいただいた。著作権を文部科学省で担当しているので、この機会に最近の施策と今後の課題について申し上げたい。
インターネットの普及等に対応して著作権の適切な保護を進めていくために、第1に基本法制の整備、第2に実効性の確保と円滑な利用の促進、第3に司法救済制度の充実が必要であり、これらについて必要な施策を積極的に進めているところである。
基本法制の整備の必要性についてであるが、特にインターネット等に対応した権利の確立については、日本では昭和61年に世界に先駆けていわゆるオンディマンド型の送信行為を著作権の対象とする法改正を行っている。また、平成8年には世界知的所有権機関(WIPO)が策定をしたインターネット条約、これはまだ発効していないが、ここに規定されているアップロード権についても法改正を終えている。
その結果として、インターネットを用いたアップロードと送信、双方について著作権法に権利を明記しているのは先進国中で日本だけという法整備の状況になっており、こうした権利が著作権法に明記されてない国では、個人のパソコンをサーバーとして用いるナップスターとかグヌーテラなどのシステムを用いて音楽などを無断で送信する行為についてその誤法性が争われているようだが、こうした行為は日本の国内では明確に違法となっている。
海外から日本への送信については、日本の著作権法は適用されないため、諸外国がインターネット条約に従った法整備を行う必要がある。またWIPOによる努力にも積極的に協力しているところである。
第2の実効性の確保と円滑な利用の促進については、コピープロテクションや電子透かしなど、ITの活用の促進、法改正による規制緩和を含む契約システムの改善、プロバイダーの責任の明確化、学校等における教育の充実などを進めているところである。特にプロバイダーの責任の明確化について、現在、著作権侵害だけでなく名誉毀損やプライバシーの侵害などの諸問題も含めて総務省を中心に法案作成作業を進めているところである。
司法救済制度の充実については、著作物がインターネット上で利用される状況を踏まえ、権利者が損害額を厳密に立証せずに済むような制度改正を平成12年に行っている。
このように、インターネット等に対応した権利の確立について、我が国は世界で最も高い水準にあると考えている。しかし、日々変化発展していく技術に迅速に対応して権利や例外を常に改めていくこと、契約システムの改善や教育の一層の充実を進めることなど、さまざまな課題も存在している。著作権制度を所管する文部科学省としては、今後とも法改正を含む必要な施策を積極的に進めていきたいと考えているので、この会議においてもさらなる御指摘、御指導をいただきたいと思っている。
【出井会長】特に日本はこの件に関して権利関係がしっかりしているということは理解した。
ただし、これはインターネットになると、アメリカが全くこの件に関しては法的に整備されていない。特にアメリカにサーバーが置いてある場合は全く日本がどうあっても筒抜けになってしまうという現状があるので、WIPOその他の場で、日本及びイギリス、ヨーロッパというのは日本に近いようであるので、この件に関してアメリカがどうなるのかということに関し、これらの国が是非努力してほしいということをお願いしたい。
(5) 意見交換。
【麻生IT担当大臣】それでは意見交換に移らせていただきたい。本日御欠席の岸本部員の方から御意見を資料としていただいているので配布する。
【事務局】岸本部員の資料、御発言は、時間の都合で配布をさせていただく。御意見については、議事録には記載したいと思うので、よろしくお願いしたい。
(以下、岸会長の発言は、岸会長用意の発言用原稿による。)
【岸会長】総理におかれては、昨年のIT戦略会議以降、わが国のIT革命の推進に向けて、前例のないほどスピィーディに施策を講じていただき、厚く御礼申し上げる。
本日のIT戦略本部第2回会合には、残念ながら所用により欠席せざるを得ないので、書面にて、このほど経団連が取りまとめた「『e−Japan戦略』実現にむけた提言」のポイントをご紹介申し上げ、「重点計画」の取りまとめに当たり、ご配慮賜るようお願い申し上げる。
この提言で強調しているのは、「重点計画」を「やりやすいこと」ではなく、ITを活用する国民や企業からみて「やるべきこと」を迅速に実現する計画にしていただきたいということである。特に世界各国がITの活用に凌ぎを削る中、日本が米国などにキャッチアップし最先端のIT国家となるには、「重点計画」の初年度にどれだけの成果をあげることができるかが鍵であり、2001年度内に、全ての国民にIT革命の推進を実感させ得る成果をあげることが必要と存じる。
この観点から、まず、通信事業者間の競争促進、国際競争力の強化などに向けた事前規制の抜本的見直しを早期に実現していただきたいと存じる。1月のIT戦略本部会合で私からご紹介した通り、この点は産業界のニーズが最も高いものである。例えば現状では、通信事業者は1種・2種に区分され、回線調達方法や新サービスの提供などが事前規制の対象となっている。この結果、通信事業者の機動的なサービス展開が阻害され、利用者ニーズが十分に充足されない状況にある。主要国に類を見ない規制が残ったままでは、日本のIT革命は加速しない。1種・2種の事業区分のあり方については、昨年12月の電通審答申で、早急に見直しに向けた検討に着手するとされているが、この点を含め、ドッグイヤーの中で、事前規制の抜本的見直しについて、2001年内に結論を得ることとしていただきたいと存じる。
また、電子政府の実現について、組織の壁を越えてITを活かす業務プロセスを確立することが不可欠であり、国民からみて行政の業務改革の象徴となるのが、輸出入・港湾関連手続などのワンストップ・サービスの実現であると存じる。インターネットを経由した1回のデータ送信で、関連省庁全てに対する手続を完了させ、縦割り行政の常識をITで覆すことによって、真に国民・企業のための電子政府を早期に実現することが重要である。併せて、電子商取引についても、情報財取引や、不正目的のドメインネームの登録への対応を含む知的財産権に関するルール等を整備し、発展の基盤を強固なものとしていただきたく存じる。
「重点計画」に盛り込まれる具体的施策については、幅広い国民の理解と支持を求めていく必要があろうと存じる。この観点から、「重点計画案」へのパブリックコメントを募集するとともに、寄せられた意見に対する政府側の対応を、インターネットを通じて国民に説明していくことが重要と存じる。
総理ならびに政治のリーダーシップによって、国民・企業から理解され支持される「重点計画」を策定いただくようお願い申し上げる。
また、「重点計画」策定後も、日本を世界最先端のIT国家とすべく必要となる事項については、民間の意見を踏まえた上で、総理直属のIT戦略本部が主体となって検討いただくよう、お願い申し上げる。
【村井教授】非常に大変な御努力で各省庁のe−Japanに関するものがこういうふうにまとまったことは大変高く評価していいと思うが、今話があった知的所有権の問題なども含めて、アメリカの問題が議論となった。つまり、これはインターネットの世界を議論しているわけで、これは非常に国際的な空間で、その中での国際的な戦略あるいは今の話のWIPOだとか、それから既存のインターネットコミュニティだとか、そういうところの調整で、WIPOの中での議論も、非常に長い間時間をかけてインターネットコミュニティを介してグローバルなコンセンサスをつくるという努力をしている世界だと考える。そうすると例えば、インターネットに関する言葉を決めたりする法案というのは、日本の法制というのは当然ドメスティックだからそういう中で、全体の戦略として「やはり日本がグローバルな世界に対して調和している」とここでは表現しているが、本当に戦略として非常に大きな力を持っていくということを踏まえて、そのグローバルなコミュニティとの調整を図りながら、親和性のある法整備などを進めていくのが大変重要ではないか。
それからもう一つ、法整備については、後で出井さんなどにもフォローしていただきたいのだが、IT戦略会議のときには超高速のインターネットをつくるのだというストーリーが明確になっていたと思う。つまり、本当にインターネットをきちんと整備していくのだということで、インフラの整備なども重点になったが、「e−Japan重点計画(案)関連の通常国会提出予定法律案」を見るといきなり非対称規制が出てきている。これは電話の話からの脱皮である。だから、インパクトとして超高速をつくるのだということを先頭に掲げたストーリーとは変わってくるように見えるのではないかという心配がある。つまり、これはこの電気通信事業なども含めた次の世代をきちんとつくっていくという使命を持った戦略だと思うので、そういった方針で考えていく必要があると思う。
【鈴木社長】政府が様々な規制を変えて、自ら電子政府化への方向を示しているのは評価できる。一方で、村井さんが話されたように、いきなり非対称規制等がでていたり、電話事業の話なのか、IPによる「e−Japan」の話なのか、混乱している。「わが国は地域通信市場が独占状態であることによってインターネットの普及が遅れた」という強引かつ問題の所在をすりかえた現状認識にたって、無理やり電話事業者の規制論になっている。アメリカと比較し、インターネットの普及が遅れた事については、わが国の行政府そのものがインターネットに対する認識の遅れに起因していたといえる。アメリカもご承知のとおり、地域電話網は大手がほぼ独占という状況だが、だからといってアメリカのインターネットが遅れているという議論はない。異なる技術でありながら、電話網を利用して発展してきたIPというものを、今後、どのように広帯域化、或いは電話料金とは異なる課金体系にして、新たなIP網を築いていくのかというのが、この会議での使命のひとつではなかったのか。アメリカが、過去、30年にわたってグローバルストラテジーとして展開し、その技術がアメリカに偏在している状況で、日本がどのような形でITを利用し、国際競争力をつけるのか、どのような形でIT利用の高度化を図れるインフラをつくれるのかといったことに議論を収斂するには、現状認識の基本前提を正すべきである。「地域通信市場が独占状態であったから遅れた」という認識の仕方は、安易な前提で、将来の国としての戦略をつくっていく際に、再び大きな過ちを引き起こす可能性があるのではないか。電話網という世界は、世界的にもナショナルフラッグの通信キャリアが「国益」と言う概念のもとに、独占状況にあって、未だその構図は変わっていない。IPという通信における技術革新は、当然、電話網とは違うインフラが必要とされると同時に、その提供の仕方によって、その可能性を広げるものである。
ITの普及が進む中で、日本発の様々なサービスが出て、インターネットのスキームを変えたり、爆発的な普及をもたらすような新サービスがどんどん出てくると面白い。iモードというのも、そのあり方についていろいろな批判はあるかもしれないが、一つのインダストリーを作るほどの爆発をさせたという意味では、大いに評価できる。
同じように、新サービスを競う事によって、PCフリーのネットワーク社会をつくれるかもしれない。
【出井会長】私もほぼ同じ意見で、IT戦略会議のときには現在の日本のインターネット網は電話の上に架設されているという過程というか現実を認めた上で、1年以内では電話の上に架設されたインターネットを遅くてもいいから安くしようというのが1つの目標だった。これはインターネットと電話の混在という状況を、現状で1年では解決は難しいので、多分電話の上でインターネットを安く使っていこうということが1つあって、これはだいぶNTTでも安い値段が出てきたり、光のサービスとかいろいろなものが出てきた。電話網というのは、日本が81という国で、東京が3番で、電話局という構成になっているわけだが、インターネットというのは全然違う網であるということで、5年以内に電話網とは異なったインターネット網をどういうふうに整備するかというのが基本的な考えであったと理解している。しかし、これが電話の階層構造を変えるということにすり替わってしまうのはいけない。私どもは電話の話をするのにこの会議に出てきているのではなくて、インターネットで産業をどうやって活性化するかというところがポイントだと思っている。そこのところをきちんと分けて議論しないといけない。電話の会社をどういじってもインターネットは根本的にはよくならないということを付け加えるというか、もう一遍この認識を明らかにすべきであると思う。
【梶原知事】総理から自治体も頑張れということで、岐阜県も「岐阜県IT戦略」という計画を作った。ボリュームだけは国の計画より上だと思う。国の計画が「鳥の目」の視点から作られたものだとすれば、我々の計画は地べたを這う「虫の目」の視点から作ったもので、障害者・高齢者の御意見に基づいて作ったというところに特色があると思う。計画の作成を通じて感じた次の4点をお願いしたい。
1つは、学生、高齢者、障害者という記述は重点計画にあるが、「家庭の主婦」を是非入れていただきたい。育児、介護で苦労をしている家庭の主婦をITで支援するということはとても大事なことだと思う。是非記述をお願いしたい。
次に、重点計画はインターネットの普及が主眼だったと思うが、端末に関してITイコールパソコンということではなくて、ITイコールモバイル機器、情報家電という形になってくると思う。キーボード離れということだ。専門家はさておき、大衆レベルでは、キーボードでの利用など余り想定されていないと思うので、インターネットの普及が主眼であるというのであれば、インターネットにつながる端末の形態について今申したような観点で進めていただきたいと思う。
3番目はNTTの問題だが、電話の問題などいろいろお話が出たが、電話に関しては、NTTがユニバーサルサービスということで、郵便局と同様、農山村といった不便なところにも、いろいろとサービスしていただいた。私たちはこれを非常に高く評価している。インターネットの時代になった時に、ただ競争原理の論理だけで進めてしまうと、ユニバーサルサービスの原則ゆえに利用者の立場にいることができた「弱者」が切り捨てられていくのではないかという点を大変心配している。岐阜県のようなところは農山村が多いので、こういった点で既にネットワークを持っているNTTに期待するところもある。この点も是非御承知いただきたい。それから、市町村もIT化をやっているが、人材不足だ。それで、NTTの退職者にどんどん応援して下さいという申入れを支店ベースでお願いしている。重点計画そのものに関係するかどうかは分からないが、現実にそういう要請が我々の地域にあるので、念頭に置いていただきたい。
最後の4点目だが、2005年に愛知県で万博がある。ちょうどこのIT戦略も5年以内に最先端のIT国家になるということであるから、是非政府館をつくっていただいて、その成果を世界にデモンストレーションしていただく。これは非常に具体的にイメージの湧く話で、皆が「よし」と、それに向かっていきやすい。従って、5年先のことだから、ということではなく、今からこういう政府館を作るぞと重点計画に書いてもらうと皆、力が出る。これが一つのIT戦略のシンボル的なモニュメントになると思うので、是非記述をお願いしたい。
【松永エディター】この場が電話の議論ではないというのは重々承知しているが、重点計画の中の「世界最高水準の高度情報通信ネットワークの形成」の非対称規制の導入というところで、市場シェアのことが書かれているが、移動体通信の世界は大変な自由競争の中で今、新しいサービスがどんどん生まれてきている。ここに市場シェアで規制をかけてしまうと、せっかく生まれたモバイルインターネットという本当に世界に誇るべきところすら進展のスピードが緩くなることになると思う。これは時計の針を逆に回すことになるので、ユーザーの立場から言っても、私はユーザーがこのサービスを、と選んできた結果に規制をするというのは時代に逆行するのではないかと思う。
全体のところで言えば、いつまでに何をというのが明快に記されていることは大変いいと思うが、やはり私は初期の段階でいかに効果を上げるかというのがポイントだと思うので、是非2001年中に実利をユーザーが実感できる形で進めていただきたい。
あと、電子カルテは、2003年度内に標準化、2005年度に2割導入ということだが、余りにも遅いのではないかと思う。命がかかったことであるので、是非早急に進めていただければと思う。
【宮内会長】非常に短期間にこれだけおまとめいただいたことは非常に評価させていただきたい。昨年のIT戦略会議では、日本が遅れ過ぎた、今、頑張らなければまた大変なことになるという危機感が非常に充満していた。その危機感が、総論のところを見ると少し薄くなっている。今、大きな一歩を踏み出すべきだという覚悟のほどを全体として持ちたいという感じがする。
それから、「e−Japan戦略」の根幹はやはり事業者間の競争促進である。競争の中から新しいものが生まれる。そして、電話の世界の話になるが、ドミナント規制という競争促進とは異質のものが入って、それがうまくいかなければ次の手で、というやり方とのことだが、そうでなく、やはり競争促進がまず第1にあって、やむを得ず非対称規制を取り入れたということが実際のところであって、そうあるべきじゃないかと思う。非対称規制で完全だ、ということであれば、それは違うと思う。
それから事業区分について、1種、2種と決めるということよりも、もっと競争促進的な環境を作り、自由な回線調達を実現することが、一番新しいものができることになると思う。
さらにもう一点、日本版FCCについて、前回も申し上げ、いつも同じことを申し上げるが、やはり競争促進のための組織としてふさわしい形を考えると、競争促進と情報化の推進が同じ組織で手掛けられるという形は世界で見てもうまくいっていない。OECDでもそういう指摘がある。IT戦略会議でも多くの委員から問題提起があり、総理からも検討するという御発言があった。そういう意味で、早急に議論を開始して重点計画に明記していただくということも必要だ。IT戦略会議でいろいろ議論をされて、このペーパーには書かれていないこともたくさん含まれていると思う。そういう面について、このIT戦略本部でやはり引き続き検討していただくということを是非お願いしたいと思う。
【奥山社長】2点簡単に申し上げる。まず1点は、先ほどからお話が出ている「インターネット網の整備」がIT戦略会議の基本的な目標であっただろうということは、誠にそのとおりで、全く異論はないが、若干注意喚起したいのは、インターネット網という抽象的なものがあるわけではなく、インフラというネットワーク、バックボーンがあって、その上にプラットフォームがあり、コンテンツ、ソフトも加わってアプリケーションがある、という構造になっており、これら全体が完備されないとインターネット網はワークしないということだ。そういう意味で、今日の計画に出されている通り、まず超高速ネットワークインフラの形成促進から始めるのは、私は極めて必要なことだと思っている。しかし、これは入り口であり、先ほどから御指摘があるように、行く行くはそういうもの全体を包含したようなものがインターネット網として完備されるだろうと思っている。そうなると、私はキャリアの立場だが、キャリアだけでインターネット網を整備しようという気持ちはないし、今日お集まりのような方々のいろいろな異業種との垂直的な統合・垂直的な協力によって初めてインターネット網は完備すると思っている。そういう意味で、私は今日のこの重点計画は、入り口としての議論はこれでいいのではないかという気がしている。
それからもう一点は、やはり競争促進がそもそもの議論の最初だから、そういう意味ではNTTに対するインセンティブ型の競争促進、あるいは先ほど松永さんから御指摘があったけれども、iモードであれ何であれ、やはりドミナントな事業者である以上、やはり競争制限的に働くものについては規制が必要であると考えている。
【秋草社長】前回、家庭や個人の視点での議論、アプリケーションの議論が必要だと申し上げたが、例えば「e−Japan重点計画」(案)の中で文化財や美術品のデジタル化が必要だということが書いてある。これは非常に重要な問題であり、ある意味国の財産であるものの肖像権をどうするかという問題と、そういった財産を一番多く持っているNHKの教養、教材を国民の財産としてどう使うかという問題とを考えるべき。いろいろな権利関係があるのは知っているが、やはりこういったものがブロードバンドのアプリケーション、国民の財産として家庭で使われる、あるいは教育で使われるということが必要で、そのために解決しなくてはいけない問題と思う。
もう一点は、学校の問題だ。「教育の情報化」に書いてあることは、「学校」という枠の中にこだわり過ぎているのではないか。子どもたちというのは、今やインパクなどで御覧のように、もう自由にインターネットを使っている。子どもたちが、学校という範囲を飛び越えて家庭、図書館、公民館など、こういうところでシームレスにインターネットを使う、そこからさらに生涯教育まで実現するという、ネットワークを生かす発想が必要。あまり学校の中だけでどうだこうだという議論ではダメだという感じがする。
【宮津社長】私もIT戦略会議のときからずっと参加しており、この段階になってくるともう実行の段階に入っていると思う。その実行に当たり、重点計画というのは、政府としてどういうようなことをやるのかという話だと思っているので、そういう意味で今日出されたような話について申し上げる。全体的な話ということでポイントのところだけ私の方から言って、こういう点は考えていただきたいというようなことについてお話をする。
そういう意味でいくと、実際にはIT戦略そのものを実行しようとしているが、「料金の低廉化と光サービスの積極的な展開」「東西会社の効率化」「グループ運営のメリットの発揮」という3項目があり、これが私どもにとっては経営課題にもなるが、これが大きな問題だろうと思う。料金の低廉化については第1回のときに現実にかなりやっているという話をした。参考資料として本日お付けしているが、説明は省略する。
あとは、「サービス加入者・利用者数の推移」を見ると、電話がだんだん下がり始めていて、インターネットやディジタル関係の回線は、伸び始めている。すなわち、大きな意味で二極化してきている。よく言われる東西会社の問題と、それから光の問題ということにもなるが、そういうような構造になってきているので、NTTとして、また電気通信全体として従来の歴史も抱えており、変革期にきているということがおわかりいただけると思う。
それが背景で、「『インセンティブ活用型競争促進方策』や『非対称規制(支配的事業者規制)』により、NTTグループに対する規制が強化されると、こうした取組みが困難となること」「NTTグループを解体するような見直しを行うことは、IT革命の推進の支障となるばかりか、我が国の国際競争力を低下させること」「むしろ、IT革命を推進するためには、徹底した規制緩和を行い、我が国の規制レベルを国際的水準に合わせることが必要であること」という3点について申し上げたいが、現実の問題として内容的に規制が強化されるということを心配している。
あとは、グループの解体の問題は、直接表現されていないが、時間が無いということなので、一言で言うと、規制が強化されるおそれがあるので、内容的には、修正についてご検討いただきたいとはっきり申し上げる。
【麻生IT担当大臣】総務副大臣の方から、一部NTTの規制について誤解があるような感じもしないでもないとのことであるので、手短に御発言をお願いする。
【小坂総務副大臣】いくつかの点があるが、簡単に申し上げると、国際市場を視野に入れながら規制の緩和は着実に進めていく。そして、その目標はあくまでも出井本部員のおっしゃったように新しいインターネットのインフラを整備すること、また同時に適正な競争環境を整備することである。
その意味で簡単に申し上げるが、1種、2種の区分の在り方については、国民のインフラとなるような1種事業、すなわち、完全に基盤となっているような事業を許可なく変更できるようにすると、これを利用している事業者の安定が図られないため、1種を残さざるを得ないという観点がある。
それから、1種を持っているものが2種の事業には届出、認可の必要なく参入できるようになっている。また、2種の事業をやっている方が1種の事業をやろうとするときには、2種の届出は必要ない。1種だけでよいので、それも新しい形で、むしろ規制が緩和されたと考えていただいた方がいい。
また、FCCの問題については、私どもが機動的な行政という観点で考えている電気通信紛争処理委員会は、許認可の部門とは組織的に独立したものとする。そして、FCCは州にまたがるものとか、あるいは国際通信を規制している。これは釈迦に説法であるが、各州には公益事業委員会があり、これがそれぞれの州の中の許可を規定している。そのため、ネーションワイドの事業に参入しようとすると50州全部に申請を出さなければならないという状況になっており、必ずしもFCCが日本よりも優れているわけではない。私どもとしては、むしろこの新しい処理委員会の形の方がフィードバックしやすい体制ということで、いろいろな紛争に機動的に対処でき、新しいルールづくりに反映されると考えている。
それから非対称規制についてである。これはサービス部門の契約約款等について、利用者とキャリアとの間のサービス等の変更についてはすべて自由である。届出制になって認可制ではない。皆さんにちょっと誤解があるような気がするが、これはむしろ規制緩和である。
それから、キャリア間の接続の部分だけは、シェアを一つの基準とした約款認可というものが導入されるが、これは当然今でも行われている固定設備の部分と同じような形であるので、移動体通信等が新たな規制の枠に入ってくるわけではない。
ほかにも新線等のいろいろな御説明をしたいが、時間がないのでまたの機会にする。
【橋本行革・沖縄北方担当大臣】先ほど文部科学大臣から著作権について制度的に非常に整備されているというお話があった。それはそのとおりである。ただ、この世界は著作権と特許権が混在する。アメリカの特許制度は御承知のとおり先発明主義、しかもサブマリン特許である。日欧は先願主義である。この問題を議論しないで著作権だけが法制度が整っているから万全と言えるのか。これは私は非常に疑問に思う。むしろ次回以降、専門家の御意見を伺いたい。
【平沼経済産業大臣】それでは私から一言だけ、愛知万博のことであるが、これは担当大臣としてしっかりやらせていただく。
【麻生IT担当大臣】それでは、誠に恐縮であるが、本日いろいろ御意見をいただいたが、いろいろ誤解の点もあろうと思うし、その点については資料を提出をする。御意見を踏まえながら「e−Japan重点計画」の最終案を作成させていただき、これをパブリックコメントに付したいと考えている。最終案の文章については今月いっぱいまでに何としてもまとめたいと思っているので、更に御意見等々があれば、私どもに一任をいただいてそれで調整をさせていただく。
それでは、これで終わらせていただきたいと思う。予算案の審議のためとはいえ、ばたばたさせた上に、始まりも変則で終わりの方もがたがたして大変恐縮だが、よろしくお願い申し上げる。
(6) 森内閣総理大臣から以下のとおり挨拶。
(7) 次回会合については、3月末を目途に開催する予定であることを麻生IT担当大臣から説明。
(別紙)
| 森 喜朗 | 内閣総理大臣 | |
| 麻生 太郎 | 情報通信技術(IT)担当大臣・経済財政政策担当大臣 | |
| (欠) | 福田 康夫 | 内閣官房長官・男女共同参画担当大臣 |
| (欠) | 片山 虎之助 | 総務大臣 (※小坂憲次総務副大臣代理出席) |
| 平沼 赳夫 | 経済産業大臣 | |
| 高村 正彦 | 法務大臣 | |
| (欠) | 河野 洋平 | 外務大臣 (※櫻田義孝外務大臣政務官代理出席) |
| (欠) | 宮澤喜一 | 財務大臣 (※若林正俊財務副大臣代理出席) |
| 町村 信孝 | 文部科学大臣 | |
| 坂口 力 | 厚生労働大臣 | |
| 谷津 義男 | 農林水産大臣 | |
| (欠) | 扇 千景 | 国土交通大臣 (※高橋一郎国土交通副大臣代理出席) |
| 川口 順子 | 環境大臣 | |
| 伊吹 文明 | 国家公安委員会委員長・防災担当大臣 | |
| (欠) | 斉藤 斗志ニ | 防衛庁長官 (※石破茂防衛庁副長官代理出席) |
| 橋本 龍太郎 | 行政改革・沖縄及び北方対策担当大臣 | |
| 柳澤 伯夫 | 金融担当大臣 | |
| 笹川 尭 | 科学技術政策担当大臣 |
| 秋草 直之 | 富士通株式会社社長 | |
| 出井 伸之 | ソニー株式会社会長兼CEO | |
| 奥山 雄材 | 株式会社ディーディーアイ社長 | |
| 梶原 拓 | 岐阜県知事 | |
| (欠) | 岸 暁 | 株式会社東京三菱銀行会長 |
| 鈴木 幸一 | 株式会社インターネットイニシアティブ社長 | |
| (欠) | 竹中 平蔵 | 慶應義塾大学総合政策学部教授 |
| 松永 真理 | エディター | |
| 宮津 純一郎 | 日本電信電話株式会社社長 | |
| 村井 純 | 慶應義塾大学環境情報学部教授 |
| 上記の他、以下が出席。 | |
| 安倍 晋三 | 内閣官房副長官(政務、衆) |
| 上野 公成 | 内閣官房副長官(政務、参) |
| 古川 貞二 | 郎内閣官房副長官(事務) |
| 根來 泰周 | 公正取引委員会委員長 |
| 宮内 義彦 | 規制改革委員会委員長 |