IT戦略本部(第2回)議事次第

II 基本戦略



1 岐阜県IT戦略の必要性
 産業革命への対応がその後の国家経済の繁栄を左右したように、「IT革命にいかに対応していくか」が国レベルにおける21世紀の世界の比較優位構造を決定づけると言われている。
 そのような視点から国は、高度情報通信ネットワーク社会形成基本法(通称:IT基本法)を本年1月6日に施行し、1月22日には高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(通称:IT戦略本部)が『e−Japan戦略』を決定し、「5年以内に世界最先端のIT国家になる」ことを目標に、高度情報通信ネットワーク社会の形成に関する施策を迅速かつ重点的に推進することになった。
 国家戦略が明確となった今、岐阜県においてもIT革命の進展に的確に対応していかなければ、県民がIT革命によってもたらされる恩恵を受けられなくなってしまうおそれがある。
 実際のところ、岐阜県ではIT革命に対する慎重な姿勢や危機感の薄さが見受けられる。
 例えば、IT革命により産業経済社会は旧来からの『分配の平等』ではなく『機会の平等』というルールが支配する社会へと変わるのであるから、県産業界はこの変革の波を市場獲得のチャンスとしてとらえ、戦略的に情報化に投資し、人材を育成するなど積極的に打って出るべきである。しかし、ビジネスチャンスとしての電子商取引(BtoBやBtoC)の実施は考えていないと回答した企業が、インターネットに接続している企業の3割ないし5割を超えるという調査結果があり、県内企業のIT革命に対する慎重な姿勢の一面が見受けられる。

【IT活用実態調査】
インターネットに接続している企業の状況(回答数811社)
○BtoBの実施状況自社独自で実施7.3%
特定の関連企業等と共同実施15.2%
ネット上の受発注ネットワークに登録9.9%
実施の予定がある19.4%
実施は考えていない35.3%
○BtoCの実施状況自社独自で実施5.9%
ネット上のショッピングモールに出店5.7%
実施は考えていない57.1%
※(財)岐阜県産業経済振興センター「IT活用実態調査報告書」12年10月1日

 また個人のレベルで見ても、IT革命の影響は個人の生活に幅広くしかも深く及ぶにも関わらず、県民には「そういうことは自分には関係ないんだ」「そういう時代であっても私には関係ないんだ」という『意識格差』がある。

岐阜県情報化推進本部は、このような状況に危機感を持ち、すでに進行中であるIT革命へどのように対応し、『日本一住みよいふるさと岐阜県』を実現するための道具としてITをいかに利用していくかを明らかにする独自の『岐阜県IT戦略』を策定する。
この岐阜県IT戦略は、『e−Japan戦略』を指標としながらも単に県レベルに投影するのではなく、ソフトピアジャパンやテクノプラザなど、県が国及び他県に先行して造り上げてきたインフラ及びソフトを十分に活用したものであることが必要である。
そして、IT革命に内在する課題への対応を怠ることなく、県民生活の現場に立ち、県民の声を反映させたものとし、この戦略を県民全体で共有することにより、IT革命に県全体で対応していくことが必要である。

2 目指すべき社会
 岐阜県は、岐阜県IT戦略を通じて、『すべての県民がITにより豊かな生活を実感できる社会』の実現を目指す。
 具体的には、例えば次のような社会像を描くことができる。

○家庭ホームページで学校の様子が分かるとともに「学校だより」などを電子メールで見ることができる。
インターネットで、県関係の各種電子申請や県税の電子申告等が行える。
○児童・学生県内すべての小・中・高校等にインターネット環境が整備され、児童・生徒らが自ら必要とする情報を収集・活用できる。
国際ネットワーク大学コンソーシアム(現在の参加校:岐阜大学、朝日大学等13校)により、県下5圏域をつなぐテレビ会議システムを使った共同授業を受講できる。
○企業・生産者情報化への投資により、経営の効率化、合理化(生産管理、在庫管理)、販路拡大が進む。
ITを農産物の生産や販売に活用して、企業的経営を行う農家が増える。
○高齢者・障害者高齢者宅が保健センターや病院とネットワークで結ばれ、離れた場所から安否の確認や健康状態のチェックなどをしてもらえる。
障害者の方がマルチメディアを活用して在宅のまま就労できる。

上記のような社会を実現するために、県は重点政策分野を決め、産業・経済界及び市町村と連携しながら集中的に取り組むこととする。

3 重点政策分野
 『e−Japan戦略』では、@超高速ネットワークインフラ整備及び競争政策、A電子商取引と新たな環境整備、B電子政府の実現、C人材育成の強化、の4つを重点政策分野としている。
 しかし、岐阜県には国に先行して施策を展開してきた分野や、逆に首都圏等に遅れている分野もある。したがって、国の重点政策分野を踏まえながらも、岐阜県独自の重点政策分野があってしかるべきである。
 ITを『日本一住みよいふるさと岐阜県』を実現するための道具として利用するには、まずすべての県民が無理なくパソコン等の情報機器を使えるようにするとともに、より高度な技術を持ち県内の情報化を推進する専門家を養成する必要があると考えられる。
 次に、県民の情報力を最大限に活用するために情報社会インフラを整備する必要がある。その際には特に、過疎地域や山間地域を多く抱える本県の実状を踏まえた整備方法を考えなくてはならない。

そして、人材基盤と情報インフラ基盤の上に、「生活者の視点に立ち住民のために何をすべきか」を基本とする政策を立てなければならない。

 以上のような観点から、岐阜県は重点政策分野として次の3分野を選定する。

(1)人材養成
◎県民情報力の強化
◎IT専門家の養成
(2)情報社会インフラの整備
◎ネットワークインフラ
◎IT基地インフラ
(3)5つのネット
◎安全ネット…災害、犯罪
◎安心ネット…健康・医療、福祉
◎便利ネット…各種生活サービス、交通
◎快適ネット…自然環境、生活環境、文化環境
◎活力ネット…教育・学習、産業

 また、昨年12月13日開催の岐阜県IT戦略合同会議においては、3つの会議と6つの専門家会議及び4つの分科会が会合し、各界各層から広く意見・提案を集約した。

(1)人材養成◎県民情報力の強化専門家会議総合部会リテラシー向上分科会
◎IT専門家の養成専門家会議総合部会専門家養成分科会
(2)情報社会インフラの整備◎ネットワークインフラ専門家会議総合部会インフラ整備分科会
◎IT基地インフラ専門家会議総合部会IT基地づくり分科会
(3)5つのネット◎安全ネット専門家会議安全生活部会
◎安心ネット専門家会議安心部会
◎便利ネット専門家会議便利生活部会
◎快適ネット専門家会議快適部会
◎活力ネット専門家会議活力教育部会
(4)産業・経済界との連携産業経済会議
(5)市町村との連携市町村会議

提出された意見・提案を3つの重点政策分野並びに産業・経済界及び市町村との連携に反映させ、県民の声に根ざした岐阜県IT戦略とする。
また、地域住民のニーズや地域の独自性がより反映した岐阜県IT戦略とするため、各圏域ごとに地域IT戦略を推進していくこととする。