e-Japan重点計画 目次

2.世界最高水準の高度情報通信ネットワークの形成

<目標>
  1.  競争及び市場原理の下、5年以内に超高速アクセス(目安として30〜100Mbps*1が可能な世界最高水準のインターネット網の整備を促進することにより、必要とするすべての国民がこれを低廉な料金で利用できるようにする。(少なくとも3000万世帯が高速インターネットアクセス網 に、また1000万世帯が超高速インターネットアクセス網に常時接続可能な環境を整備することを目指す。)
  2.  短期的には、1年以内に有線・無線の多様なアクセス網*2により、すべての国民が極めて安価にインターネットに常時接続することを可能とする。これに必要なあらゆる手段を速やかに講ずる。
  3.  インターネット端末やインターネット家電が普及し、それらがインターネットに常時接続されることを想定し、十分なアドレス空間を備え、プライバシーとセキュリティの保護がしやすいIPv6*3 を備えたインターネット網への移行を推進する。
  4.  無線アクセス網からのデータがインターネット網(IPv6)に効率よく接続された最先端の高速無線インターネット環境を実現し、シームレスな移動体通信サービスを実現する。高度道路交通システム(ITS)や地理情報システム(GIS)などと連携した高度な移動体通信サービスを普及・促進する。
  5.  国内インターネット網の超高速化に併せて、国際的なインターネットアクセスの超高速化を目指す。
  6.  家庭におけるIT革命を支える基盤となる放送のデジタル化を推進し、通信と放送の融合や双方向サービスを本格展開する。

(1)現状と課題

 IT革命を推進し、我が国を世界最先端のIT社会とするため、世界最高水準の高度情報通信ネットワークの形成を目指すこととするが、この世界最高水準とは通信の速度・容量のみで判断されるものではなく、低廉・高速・大容量のインターネットを中心とする多様なネットワーク全体を多様性・安全性・信頼性など総合的に評価した上で、世界の最先端の水準と認められるものでなければならない。

 我が国の情報通信ネットワークの現状は、携帯電話については、普及率が世界的にも高水準にあり、固定電話についても、全国どこでも、安全に、安心して利用できる信頼性の高いネットワークが形成されている。放送については、地上放送に加えてBS放送、CS放送、ケーブルテレビと多様な選択が可能な環境が整備されている。このように、我が国はこれまで極めて信頼性の高い世界的にも高水準の情報通信ネットワークを全体として構築してきたが、IT社会における中心的な情報通信ネットワークであるインターネットについては、アジア・太平洋地域においても決して先進国であるとは言えない状況となっている。

 現在の我が国のインターネットアクセスは、電話網を利用したダイアルアップ接続によるものが主流であるが、その地域通信市場が事実上の独占状態であり、十分な競争が行われてこなかったことがインターネット普及の遅れの原因と考えられる。すなわち、1985年の民営化以降も地域通信事業分野においては、事実上の独占状態が続いており、低額な定額の料金による常時接続、高速アクセスといったインターネットの普及に必要な通信環境が十分に整ってこなかった。インターネットは、論理的には電話網とは別個のネットワークにより提供されるサービスである。しかしながら、インターネットの物理的なネットワークを全く新たに構築することは現実的ではなく、インターネットサービスプロバイダー*4 に接続するためにメタル線を用いたDSLやケーブルテレビ網等の既存伝送設備を活用し、電話交換機を介さない高速インターネット網の構築を推進することが現実的である。さらに、今後、光ファイバ、FWA*5 などの多様な技術による独自ネットワークの構築や超高速化を推進すべきものと考えられる。

 電話サービスに依存しない低コスト・高速のインターネットの普及促進に当たっては、様々な事業者間で公正な競争が行われる環境を整備し、料金の低廉化とサービスの多様化・高度化を推進することが必要である。また、将来的には、電話網とは物理的に全く異なるアクセス網が構築されたり、インターネット関連サービスの提供市場が大きく変化する可能性があるため、市場の変化に柔軟に対応した競争政策の展開が必要である。

 さらに、インターネットは、技術の多様性を許すという特徴があり、通信インフラに関して次々と新しい技術が登場し、様々な条件下で絶えず最適な技術が選択され、ネットワークが急速に展開してきた。米国と同様、我が国においても情報通信分野における積極的な研究開発投資を行い、革新的な技術開発を進めていくことが必要である。

 安価に大量のデジタル情報を伝送することができ、インターネット通信との親和性が高いデジタル放送については、米国や英国では全世帯の約7割程度がデジタル地上放送を視聴可能な環境が整備されており、我が国においても早急に放送のデジタル化を図るとともに、放送と通信の融合を進める必要がある。

<世界最高水準の高度情報通信ネットワークの形成に関する主要指標>
   FTTH*6 DSL CATVインターネット*7 ISDN(定額)
加入数 300件※1
(2001年2月)
3.4万件
(2001年2月)
62.5万件
(2000年12月)
59.2万件
(2001年2月)
加入可能数※2 (試験サービス) 570万回線※3 (参考)
1,900万世帯※4
3,500万世帯
料金(月額) 18,450円
(2001年3月)
7,750円
(2001年3月)
5,200円
(2001年3月)
8,380円
(2001年3月)
※1 光ファイバを用いた一般利用者向けインターネット接続サービスの加入数(試験サービス)
※2 技術的要因等によりサービスの提供が不可能な場合がある。
※3 DSLサービスが提供されている東・西NTTの収容局における住宅向け回線数(光化されているものを除く。)の合計。
※4 CATVインターネットを行っている事業者のケーブルテレビ視聴可能エリアの世帯数

・加入者系光ファイバ整備率(き線点*8 整備率)
約18.5万箇所のうち約36% 整備済(2000年3月)
・IPv6の割り振り件数
12プロバイダー (2001年2月)

国際回線伝送容量(国際海底ケーブル網の伝送容量)
宛 地 回線容量 備    考
北米向け 171.82Gbps 米国・カナダ
アジア向け 143.92Gbps 韓国・香港・台湾・シンガポール・中国等
大洋州向け 55.28Gbps グアム・ハワイ・豪州(アジア経由で疎通するものを含む)
中近東向け 50Gbps UAE等(アジアを経由して疎通)
アフリカ向け 50Gbps エジプト等(アジア〜中近東を経由して疎通)
欧州向け 50.56Gbps ロシア・イタリア・英国等(アジア〜中近東〜アフリカ経由で疎通するものを含む)
(2001年2月現在)

(2)施策の意義

 世界最高水準の情報通信ネットワークの形成促進にあたっては、民間によるネットワーク整備を原則とし、政府は自由かつ公正な競争の促進、基礎的・基盤的な研究開発等民間の活力が十分に発揮される環境の整備に取り組んでいく。インターネットの定額接続サービスの低廉化・普及など、急速にネットワーク形成が進みつつあるところであるが、その一層の推進を図るため、公正競争条件の整備、加入者系光ファイバ網の整備推進、研究開発の推進等により、超高速及び高速のネットワーク整備を推進する。国は、世界最高水準の情報通信ネットワークの形成を促進するための具体的な取組として「(3)具体的施策」に記述される各施策を実施していくが、同時に地方公共団体においても適切な措置が講じられるよう、国は、地方公共団体に対する助言、協力要請等を行うものとする。

 また、これらの高速ネットワークの形成は、ネットワークの高速化とアプリケーション(ネットワークの利用)の高度化が相互に刺激して好循環を発生し、これらの動きすべてが加速されていくという観点が重要である。したがって、人材育成の強化や電子商取引等の促進、行政の情報化等の施策と総合的かつ一体的に推進されることが重要である。

(3)具体的施策

  1. インターネット網の整備
    ア)公正競争条件の整備
     国民が容易にかつ低廉に利用できる世界最高水準の高度情報通信ネットワークの形成を促進するとともに、その水準を維持・向上していくためには、電気通信事業者が、公正な競争を通じて事業の効率化、合理化を進め、低廉で高速な通信サービスを、利用者のニーズに対応して的確に提供できるようにすることが不可欠である。また、インターネット関連のサービスへのアクセスが物理的に既存の回線に大きく依存している現状においては、地域通信網設備をインターネット関連サービス提供のための共通基盤として有効に活用されるための仕組みを構築することが必要である。このため、利用者利益の最大化と公正な競争の促進を基本理念とし、事前規制を透明なルールに基づく事後チェック型行政に改め、電気通信分野における公正競争条件の整備を行う。

    i)非対称規制の導入(総務省)
     市場支配力を有する電気通信事業者の反競争的行為を防止、除去するための規制を導入するとともに、利用者利益を確保しつつ、市場支配力を有さない電気通信事業者に対しては、契約約款、接続協定の認可制等を一定の条件の下で届出制に移行するなど大幅な規制緩和措置を行う。
     このため、2001年中に電気通信事業法の改正案を国会に提出するなど、所要の制度整備を行う。

    ii)NTTに対するインセンティブ活用型競争促進方策の導入(総務省)
     NTTグループが地域網の開放の徹底など自主的に一定の競争促進措置を実施することを期待する。また、IT革命推進のため、東・西NTTの業務範囲規制を本来業務の遂行及び公正競争条件に支障を与えないことを条件として緩和し得る制度を創設する。
     このため、2001年中に日本電信電話株式会社等に関する法律の改正案を国会に提出するなど所要の制度整備を行う。
     なお、公正な競争を促進するための施策によっても十分な競争の進展が見られない場合には、通信主権の確保や国際競争の動向も視野に入れ、速やかに電気通信に係る制度、NTTの在り方等の抜本的な見直しを行う。

    iii)電気通信事業紛争処理委員会の創設(総務省)
     総務省に、接続等に係る紛争のあっせんなどの機能を有し、通常の許認可部門から組織的に独立した「電気通信事業紛争処理委員会」を国家行政組織法第8条に基づく機関として設置する。
     このため、2001年中に電気通信事業法等の改正案を国会に提出するなど所要の制度整備を行う。

    iv)公正取引委員会の機能強化(公正取引委員会)
     IT分野における独占禁止法違反事件に迅速・的確に対処すべく、公正取引委員会の審査体制等を充実する。また、電気通信事業分野における制度改革の進捗状況を踏まえつつ、電気通信サービスを行うに当たって不可欠な設備等に係る合理的理由のない取引拒絶などによる新規参入の阻止行為など、独占禁止法上問題となる具体的事例を示した独占禁止法上の指針を2001年中に取りまとめ、公表する。

    イ)超高速ネットワークインフラ等の形成推進
     超高速インターネット等の普及に必要不可欠な光ファイバの整備や利用を推進し、民間事業者による柔軟なネットワークインフラ構築を促進するため、光ファイバやその敷設のための電柱・管路等の資源について公正かつ公平な利用を促進する。また、接続ルールの強化を図る。これらにより地域通信市場の実質競争を促進するほか、事業者の超高速ネットワークインフラ等の形成に対する税制・財政上の支援等の措置を講ずる。

    i)既存光ファイバの活用(総務省)
     専ら他の電気通信事業者を対象とした電気通信役務(卸電気通信役務)について、一般利用者を対象とした電気通信役務と異なり、事業者間の個別契約に基づく柔軟な提供を可能とするための制度を創設する。
     このため、電気通信事業法の改正案を国会に提出するなど、所要の制度整備を2001年中に行う。

    ii)接続ルールの整備(総務省)
     東・西NTTがインターネット常時接続サービスに用いている地域IP網*9 を指定電気通信設備と位置付けてアンバンドル*10 に関するルール整備を行う。このため、2001年中に関係法令を改正するなど所要の制度整備を行う。

    iii)線路敷設の円滑化(警察庁、総務省、国土交通省)
     電柱・管路等の開放及び道路、河川等の公的空間への線路敷設については、「線路敷設の円滑化について」(2000年11月6日第5回IT戦略会議・戦略本部合同会議)に基づき、以下の施策を講じる。

    事  項措 置 内 容
    1.電柱・管路等の開放(総務省) ・公益事業者の保有する電柱・管路等を電気通信事業者に提供する際の無差別・透明・公正なルールを策定、公表。(2000年度中)
    ・公有地上も含めた電柱・管路等の提供について生じた紛争について、公物管理者等との間で必要な調整を行い、公正・中立な専門組織における審議を経て、協議認可・裁定を行う制度を、電気通信事業法を改正し、2001年中に整備する。
    2.収容空間の整備、開放による敷設支援(国土交通省) ・2001年度までに道路、河川、港湾等の公共施設管理用光ファイバの整備や電線共同溝の整備等による電線類地中化等にあわせて約2万9千kmの収容空間を整備するとともに、これらの開放を順次進める。また、これらの収容空間の整備状況等についてデータベース化し、2001年中にインターネットにより公表する。
    ・2001年度に新設橋梁への光ファイバ敷設の在り方を検討し、結果を公表。
    3.工事規制の見直し(国土交通省) ・電気通信事業者が行う光ファイバ敷設工事のうち、年度当初に想定しえず、かつ、緊急性を有すると認められるものについては、概ね四半期ごとに必要な調整を行い、冬季・年度末においても道路交通に著しい影響を与えない範囲で抑制を緩和する。当該措置は2005年度まで試行する。
    4.線路敷設ルールの整備(国土交通省) ・民間事業者による下水道管渠の使用を下水道の機能を損なわない範囲で効率的に推進するための標準的な敷設ルールをまとめ、公表。(2000年度中)
    ・共同溝への事後入溝手続を明確化。(実施済み)
    5.手続の迅速化等 ・道路占用許可については、直轄国道は2001年度までに全国で電子申請を可能とする。その他の国道及び都道府県道については、概ね2003年度までに可能となるよう地方公共団体に要請する。(国土交通省)
    ・2001年中に複数の道路管理者に係る道路占用許可申請手続のワンストップ化推進のあり方をまとめる。(国土交通省)
    ・道路使用許可については、概ね2003年度までに電子申請が可能となるよう地方公共団体に要請する。(警察庁)
    ・河川占用許可については、大臣管理区間は2003年度までに電子申請を可能とする。都道府県知事管理区間は2003年度までに実施方策の提示等により、オンライン化の推進を要請する。(国土交通省)
    ・道路や河川の占用許可手続マニュアルを作成、公表する。(2000年度中)(国土交通省)
    6.情報提供の充実(国土交通省) ・道路占用許可申請に利用される道路管理システム及び関連データベースの利用を円滑化。(2000年度中)
    ・道路台帳の整備を促進するとともに、その電子化について2001年度までに問題点を整理する。
    ・道路舗装工事完了後の掘削禁止措置について禁止期間情報をインターネットにより公表する。(2000年度中)

    iv)加入者系光ファイバ網等の整備支援(総務省)
     電気通信基盤充実臨時措置法に基づき、2005年度の加入者系光ファイバ網の全国整備に向け、民間事業者等に対し、超低利融資、税制優遇措置、無利子・低利融資、債務保証の支援策を講ずる。また、DSL等の広帯域加入者網*11 の整備を支援対象に追加する等の措置を講ずる。
     このため、2001年中に電気通信基盤充実臨時措置法の改正案を国会に提出するなど、所要の制度整備を行う。

    v)電力線搬送通信 *12設備に使用する周波数帯域の拡大(総務省)
     電力線搬送通信設備に使用する周波数帯域の拡大(2MHz〜30MHzを追加)について、放送その他の無線業務への影響について調査を行い、その帯域の利用の可能性について検討し、2002年度までに結論を得る。

    vi)電波資源の迅速かつ透明な割当(総務省)
     2001年中に高速無線インターネットアクセスに使用可能な周波数帯を拡張するとともに、第4世代移動通信*13システム 等の周波数を確保するため、2002年度までに周波数の割当を見直して、周波数の再配分を実施する。また、今後の我が国の周波数の利用状況やオークション方式など外国で行われている割当の実施状況を問題点も含め調査し、これを踏まえて我が国における最適な周波数割当方式について、公平性、透明性、迅速性、周波数利用の効率性等の観点から検討を行い、2005年度までに結論を得る。

    ウ)高速インターネットの地理的格差の是正(総務省、農林水産省)
     過疎地等の条件不利地域は、都市地域よりも情報通信基盤の整備が遅れており、次世代ユニバーサルサービスと言われている高速インターネットの普及を推進する上での課題となっている。民間によるネットワーク整備とその支援を原則としつつ、地方公共団体等の公共ネットワーク、公衆用インターネット端末等の整備を支援し、地域住民のインターネットアクセス環境を向上する。
     加入者系アクセス網について民間事業者の光ファイバ網、DSL等の整備に対して、電気通信基盤充実臨時措置法に基づき都市地域等よりも手厚い金融措置を講ずる。このため、2001年中に電気通信基盤充実臨時措置法の改正案を国会に提出するなど所要の制度整備を行う。

    エ)研究開発の推進
     現在のインターネットの1万倍の処理速度と3万倍の接続規模を有し、利用者を目的の情報に安全かつ的確に導くスーパーインターネットの実現に向けて、情報通信分野について、世界最高水準の技術力を保持し、また、これを維持するため、伝送速度の高速化、インターネット基盤技術の高度化、移動通信技術の高度化という観点から戦略的に研究開発を推進していく。研究開発に当たっては、技術の実用的な有効性を検証するためのテストベッド等の整備を推進する。

    a)伝送速度の高速化
    i)エンド・ツー・エンドの超高速通信を実現するため、光伝送を高度化するフォトニックネットワーク技術*14開発を推進する。
    •  光多重化技術について、2005年までに光ファイバ1芯あたり1000波の多重化が可能となるようWDM技術*15の高度化に取り組む。(総務省)
    •  光ノード技術 について、2005年までに10Tbps*17の光ルーター*18 を実用化する。(総務省)
    •  光ネットワーク技術について、2005年までに電気信号変換することなく光ネットワークを制御・管理する技術を実用化する。(総務省)
    •  2005年までにペタビット*19 級ネットワーク通信の基礎技術を確立し、2010年頃を目途に実用化を図る。(総務省)
    •  1兆〜1000兆分の1秒単位での光のON/OFFを実現する技術について、2005年を目途に実現を図り、2010年頃を目途に実用化を図る。(経済産業省)

    ii)無線による広範囲の超高速アクセスを可能とする技術を実用化する。無線超高速の固定用国際ネットワークを構築するため、2005年までに超高速インターネット衛星を打ち上げて実証実験を行い、2010年を目途に実用化する。(総務省、文部科学省)

    b)インターネット基盤技術の高度化(総務省)
     2003年度までにセキュリティ確保、端末即時認識等のIPv6の機能を拡充・活用する技術や、インターネットの対象を情報家電*20 などパソコン以外の多様な機器に拡大するための技術を開発する等の取組みにより、2005年までにすべての国民が、場所を問わず、自分の望む情報の入手・処理・発信を安全・迅速・簡単に行えるIPv6が実装されたインターネット環境を実現する。

    c)移動通信技術の高度化
    i)ITS関連情報を有機的に統合するとともに、最先端の高速無線ネットワーク環境と連携し、ITSにおける高速インターネットを実現する。このため、2005年度までに高速移動する自動車において様々な大容量の情報を無線ネットワークを通じて円滑に提供、享受できるための技術を実用化する。(総務省、経済産業省)
    ii)最先端の高速無線インターネット環境やシームレスな通信サービスが可能な第4世代移動通信システムを実現することにより、世界最先端のモバイルIT環境の実現を図る。世界でトップレベルにある我が国の情報通信分野の技術と産業集積を活かして、世界をリードする技術開発を推進するとともに、国際標準化においても我が国が大きく貢献しつつ、2005年までに必要な要素技術を確立し、2010年までに実現を図る。(総務省)
    )ネットワーク利用の利便性・容易性の向上を図るために、多種多様な無線通信サービスを利用者が意識することなく柔軟に選択して利用するための技術を2005年までに実用化する。(総務省)

    オ)国際インターネット網の整備
     我が国において、国際インターネット網のハブ*21 を構築するため、アジア・太平洋地域等との間のインターネット等のトラヒックを増加させ、アジア・太平洋地域における国際インターネット網の形成に貢献するための取り組みを推進するとともに、国際的なデジタル・ディバイドの解消を推進する。
    i)アジアにおける高度なIT利用の促進のための研究(総務省)
     多言語環境等のアジアの特性に配慮し、大容量の映像コンテンツをネットワーク上で安全、容易に取引可能とする技術開発の国際ネットワーク接続実験を実施し、2004年度までに実用化する。

    ii)国際標準に向けた研究活動の推進(総務省)
     情報通信分野において、IETF*22 、ICANN*23 などの民間標準化団体、国際電気通信連合(ITU)*24 等における我が国及びアジア・太平洋地域による標準提案を推進し、2003年度までに10件程度の標準提案を行う。

    iii)沖縄の国際情報通信ハブ化(総務省、経済産業省)
     アジア・太平洋地域の情報通信拠点形成に向けたグローバルなIX*25 の形成、国内外のコンテンツ・アプリケーションの集積、情報通信関連産業の集積等の施策を多面的かつ重層的に展開し、2005年度までに高度な地域情報通信ネットワークを整備するなど沖縄国際情報特区構想を推進し、2010年度までに沖縄における情報通信ハブ等を実現する。

  2. 放送のデジタル化(総務省)

     高度情報通信ネットワーク社会においては、多様な情報がネットワークを区別することなく自由に流通することが重要である。デジタル放送はインターネットと極めて親和性が高く、IPv6を備えたインターネットと組み合わせることにより、デジタルコンテンツを放送以外の多様なメディアに流通させることが一層容易になるとともに、豊富なアドレス空間その他のIPv6の高度な機能を活用するなど、放送と通信を融合させた利便性の高いサービスが実現し、すべての国民が容易かつ安全に、多様な情報を入手し、利用することができることとなる。このように家庭におけるIT革命を支える基盤となる放送のデジタル化を推進し、関東、近畿、中京の三大広域圏では2003年までに、その他の地域では2006年までに地上デジタル放送を開始するため、地上放送のデジタル化に伴うアナログ周波数変更対策を講ずるとともに、デジタル放送施設の整備に対して税制・金融上の支援を行う。また、ケーブルテレビについては、2010年までにすべてデジタル化されるよう、税制・金融上の支援を行う。

  3. 通信と放送の融合に対応した制度の整備(総務省)

     CSデジタル放送、ケーブルテレビ等について、電気通信事業者回線の利用を可能とするとともに、通信・放送融合サービスの開発を促進するための研究開発について通信・放送機構が支援を行う。このため、2001年中に電気通信役務利用放送法案及び通信・放送融合技術の開発の促進に関する法律案を国会に提出するなど、所要の制度整備を行う。

  4. 地理的情報格差の是正等(総務省)

     国民生活に不可欠な加入電話等のユニバーサルサービスを維持するとともに、移動通信サービスの利用可能地域を拡大し、地理的な情報通信格差の是正等を図る。

    i)ユニバーサルサービスの提供に係る制度の整備
     地域通信市場におけるユニバーサルサービス(加入電話、公衆電話及び緊急通報)の提供を確保するため、その提供を行う事業者を指定する制度を設け、当該事業者によるサービス提供に係る経費を電気通信事業者が負担する制度を設ける。このため、2001年中に電気通信事業法の改正案を国会に提出するなど、所要の制度整備を行う。

    ii)移動通信用鉄塔施設の整備
     過疎地等において市町村が移動通信用鉄塔施設を整備する場合に国がその設置を支援すること等を通じ、2003年度までに市町村役場及びその支所等が移動通信サービスエリアとしてカバーされている市町村割合を95%以上とする。


*1 Mbps:
Mega bits per secondの略。bpsはデータ通信における情報の通信速度の単位であり、1秒間に通信することのできビット(bit)数を表す。Mbpsは10の6乗のbps。
*2 アクセス(網):
通信事業者の基幹回線ネットワークとユーザを結ぶ回線網。
*3 IPv6:
IP(インターネットプロトコル)の次期規格の名称で、アドレス長が現行の32ビットから128ビットへ拡張されるなどの特徴がある。
*4 インターネットサービスプロバイダー:
インターネットへの接続サービス等を提供する電気通信事業者。
*5 FWA:
fixed wireless accessの略。固定無線アクセスシステムのこと。我が国では、電気通信業務用に、加入者系アクセスシステムとして制度化されている。
*6 FTTH:
fiber to the homeの略。電話局等の加入者収容局から各加入者宅までの回線を光ファイバケーブルにし、超高速のデジタルデータ伝送を可能とする方式。
*7 CATVインターネット:
ケーブルテレビ網を用いたインターネットサービス。
*8 き線点:
電話局から敷設した大束のケーブルを加入者宅の近辺で加入者宅への配線に分岐するポイント。饋線点(おく饋る=贈る、提供するの意)。
*9 地域IP網:
東・西NTTがインターネット接続用に都道府県単位で構築しているIPによる通信網。
*10 アンバンドル:
他事業者からの回線接続に際し、機能に応じて電気通信設備を細分化し、必要な機能に限定して電気通信設備へ接続させること。
*11 広帯域加入者網:
広い周波数帯域を用いて、大容量のデータ伝送を可能とするDSL等の加入者系ネットワーク。高速インターネットアクセスに用いられる。
*12 電力線搬送通信:
電力線を利用して行う通信。現行制度で使用できる周波数帯は10kHz〜450kHzである。現在、近距離用・家庭内用に数Mbps程度の高速データ通信の技術開発が行われているが、10Mbps以上の高速データ通信を実現するために周波数帯域の拡大が要望されている。
*13 第4世代移動通信システム:
2001年5月からサービスが予定されているIMT-2000(第3世代携帯電話)の次の世代の移動通信システム。下りの伝送速度が数十Mbpsまで高速化される。
*14 フォトニックネットワーク技術:
基幹網やアクセス網だけでなく、ネットワークの端から端まですべてのデータ伝送等を光化して超高速化する技術。
*15 WDM技術:
wavelength division multiplexing(波長分割多重)技術。1本の光ファイバで波長が異なる複数の光信号を伝送することにより、光ファイバ上の情報伝送量を飛躍的に増大させることが可能となる。
*16 光ノード技術:
ネットワークの接続点(ノード)における様々な伝送処理において、光信号を電気信号に変換することなく光のままで行う技術。
*17 Tbps: Tera bits per secondの略。10の12乗のbps。
*18 光ルーター:
ネットワークの接続点(ノード)において伝送経路を選択する際に、光信号を電気信号に変換することなく経路を決める装置。
*19 ペタビット: Peta bits per second。10の15乗のbps。
*20 情報家電:
簡単なインターフェイスを利用して、インターネットに直接接続することが可能となる家庭用電気製品のこと。
*21 ハブ:
活動等の中心・中枢。
*22 IETF:
The Internet Engineering Task Forceの略。インターネットに関する様々な技術の標準化を行う民間フォーラム。発行する文書はRFCs(Request for Comments)として知られる。
*23 ICANN:
The Internet Corporation for Assigned Names and Numbers の略。IPアドレスやドメイン名の割り当てや、DNS(Domain Name System)の管理など、インターネットに関する基本的な部分を管理するために1998年に設立された国際的な非営利民間組織。所在地は、米国California州Los Angeles。「〜.com、〜.net」ドメインなどを管理する米国のVGRSや、「〜.jp」ドメインを管理する日本のJPNICなどはこのICANNのルールに基づき活動している。
*24 国際電気通信連合(ITU):
International Telecommunication Union。電気通信に関する国連の専門機関であり、@国際的な周波数の分配、A電気通信の標準化、B開発途上国に対する技術援助等を主要な目的としている。本部はジュネーヴにあり、我が国は1879年に加盟している。
*25 IX:
Internet eXchangeの略。インターネットサービスプロバイダー間の相互接続点。