e-Japan重点計画 目次

5.行政の情報化及び公共分野における情報通信技術の活用の推進

<目標>

  1. 行政の情報化については、行政情報の電子的提供、申請・届出等手続の電子化、文書の電子化、ペーパーレス化及び情報ネットワークを通じた情報共有・活用に向けた業務改革を重点的に推進し、2003年度までに、電子情報を紙情報と同等に扱う行政を実現する。
  2. ITの活用による公共分野におけるサービスの多様化及び質の向上を図ること等により、広く国民がITの恩恵を享受できる社会を実現する。

(1)現状と課題

  1. 行政の情報化は、行政のあらゆる分野へのITの活用とこれに併せた既存の制度・慣行の見直しにより、国民の利便性の向上を図るとともに、行政運営の簡素化、効率化及び透明性の向上に資することを目的としているものである。
     また、社会・経済活動が、デジタル化とネットワーク化を深める中で、政府部門が従来の紙ベースでの運営を続ける場合、様々な局面で、民間部門での取組にも支障をもたらし、ひいては高度情報通信ネットワーク社会の形成に支障を生じることにもつながりかねない。
     従来から政府においても、必要な職員への1人1台パソコンの整備、霞が関WANへの全省庁接続、インターネット・ホームページの開設等行政の情報化を総合的・計画的に推進してきたところである。
     しかしながら、パソコンの配備、LAN・WANの整備等情報通信基盤整備は着実に推進されている一方、@行政内部事務のペーパーレス化(電子化)については、本格的な取組は緒についた段階であるほか、A特に、行政と国民、企業等との間の情報化の中で重要な取組の一つである申請・届出等手続のオンライン化は、現在のところ、輸出入に関する手続や特許に関する手続等極くわずかなものに止まっているなど、これから、2003年度までの間に実施し、かつ実現しなければならない喫緊の課題となっている。
     したがって、今後は、電子情報を原則とした行政事務・事業の情報化に本格的に取り組むことが必要である。特に、国民、企業等との間の手続のオンライン化に当たって、事務自体をそのままオンライン化するのではなく、業務改革、省庁横断的な類似業務・事業の整理、制度・法令の見直し等を実施するとともに、ワンストップサービス化を進め、行政の効率化、国民・事業者の負担軽減を実現する必要がある。その際、IT化に向けた中長期にわたる計画的投資を行うことも必要である。
     一方、地方公共団体の電子化については、情報通信基盤の整備も含め、国において、制度整備等環境整備を中心に本格的な支援を行う必要がある。

  2. 行政の情報化と並んで、公共分野の情報化は広く国民生活の利便性の向上とともに、経済社会全体の情報化の起爆剤になることが期待されている。
     特に、インターネット等の活用により、公共サービスへの国民のアクセシビリティが向上するとともに、的確に国民ニーズが吸収されることを通じ、新たな公共サービスが創出されることが期待されている。
     このため、「高度情報通信社会推進に向けた基本方針(1995年2月、1998年11月改訂)」を受けて、各省庁において各分野の目標、中期的施策、その進め方を内容とする実施方針を策定し、これに基づき着実な進展が図られてきたところである。例えば、文化、福祉等様々な分野における情報のデータベース化やネットワーク化が進められ、情報通信技術を利用した遠隔医療の実施、衛星による気象観測等実績をあげているものがある。
     国民全体がさらに豊かな生活を享受するためには、こうした国民との接点が広い公共分野において、情報通信技術を活用し、質の高いサービスの提供を行うべく、引き続き研究開発を推進するとともに、先進的な情報通信基盤やアプリケーションの積極的導入を図り、サービスの充実に努める必要がある。

    <行政の情報化及び公共分野における情報通信技術の活用の推進に関する主要指標>

  3. 国の申請・届出等手続のオンライン化手続数
  4. 10,541件中1.2%(2000年9月)
  5. 国の行政機関のホームページ開設数
  6. 874(2000年3月)
  7. 地方公共団体のホームページ開設数
  8. 3,299団体中66.4%(2000年4月)
  9. 国の行政機関のパソコン配備状況
  10. 1台/1.4人(2000年4月)
  11. 地方公共団体のパソコン配備状況
  12. 1台/2.0人(2000年4月)

(2)施策の意義

 行政の情報化については、国、地方公共団体の行政手続が時間的・地理的な制約なく行えることを可能とし、快適・便利な国民生活や産業活動の活性化を実現することとなる。即ち、自宅や職場からインターネットを経由し、原則として、行政手続が24時間受付可能となり、国民や企業の利便性が飛躍的に向上する。
 特に、国の行政機関においては、行政の情報化により、事務・事業及び組織の改革を推進するとともに、セキュリティの確保等に留意しつつ、「紙」による情報の管理からネットワークを駆使した電子化された情報の管理へ移行し、高度に情報化された行政、すなわち以下のような「電子政府」を実現する。

主な項目2003年度における姿
行政情報の電子的提供
  • 行政機関の組織・任務、所管法令や施策・事業の計画や実績、官報などで公表が義務付けられている報告や統計調査結果、審議会答申等の報道発表資料などの行政情報を、原則として、紙ベースとは別にインターネット・ホームページでも24時間、容易に、電子的に手に入れることが可能となる。
  • 申請・届出等手続の電子化
  • 実質的にすべての申請・届出等手続が、原則として24時間、自宅や事務所から行うことが可能となる。(例)国税申告手続、電気通信事業関係手続、貿易管理関係手続、道路運送・海上運送・航空業関係手続
  • 歳入・歳出の電子化
  • 申請・届出等に必要な手数料納付、納税等をインターネットにより行うことが可能となる。
  • 調達手続の電子化
  • 入札・開札がインターネットにより可能となる。(公共事業は、原則として2004年度までに)
  • ペーパーレス化
    (電子化)
  • 各府省LANや霞が関WANを活用し、行政機関内部や各行政機関間において紙ベースで行われている法令等の協議、各種会議開催通知、業務関係資料の配布(回覧)などを実質的にすべてペーパーレス化(電子化)する。
  • (注)なお、地方公共団体については、国は必要な支援を行うこととする。

     保健、医療、福祉、文化、交通、防災等あらゆる公共サービスの分野での情報化の推進は、多様かつ質の高い公共サービスの提供を通じて、国民生活の全般的な質の向上が期待される。
     また、これらの活用により、国民が主体的にネットワークを形成し、行政への参加、地域活動、社会活動へ参加することで、真に豊かさを感じる生活が推進されることが期待できる。
     さらに多くの国民が、例えば家にいながらにして図書館や美術館の情報を活用できたり、移動する車の中で映像情報も含め種々な情報を入手できたりする等、様々な分野でITの便益を身近に体験することを通じ、我が国全体の情報化に向けて大きな波及効果が期待できる。特にこれらの公共分野は、広く国民に密接に関連する分野であることから、公共分野の情報化の進展は国民の情報リテラシーを向上させ、情報格差を是正する効果も併せて有しているものと考えられる。
     なお、これらの実現を図るため、国、地方公共団体が緊密な連携を図っていくとともに、国は地方公共団体の取組に対して必要な支援を行う。

    (3)具体的施策

    1. 行政の情報化

      ア)国民、企業と行政との間の情報化
       国民、企業が、様々な行政情報へのアクセス、申請・届出等手続をインターネット等により簡易に行うことを可能とすることを通じ、電子情報を紙情報と同等に扱う行政を実現する。このため、行政情報の電子的提供、申請・届出等手続のオンライン化等を迅速かつ重点的に実施し、国民等の利便性の向上を図るとともに、行政運営の簡素化、効率化及び透明性の向上に資する。

      a)行政情報の電子的提供(総務省及び全府省)
       各府省は、「行政情報の電子的提供に関する基本的考え方(指針)」(2001年3月、行政情報化推進各省庁連絡会議)に沿って、2001年度から2003年度までを重点取組期間とする「実施方針」を2001年度早期に策定する。
       (「行政情報の電子的提供に関する基本的考え方(指針)」の概要)

      b)申請・届出等手続の電子化
       国民等と行政との間の実質的にすべての申請・届出等手続を、2003年度までのできる限り早期にインターネット等で行えるようにする。
       その際、各府省は、申請・届出等手続をオンライン化(電子化)する場合において、当該事務に係る行政経費の低減を図りつつ、適正に手数料単価を設定するものとする。

      i)各府省は、各個別手続のオンライン化実施時期の前倒し、簡素化等手続そのものの抜本的見直し及び事務処理の電子化という観点から、既存のアクション・プランを見直し、新たなアクション・プランを2001年度早期に策定する。(総務省及び全府省)

      ii)2003年度までにオンライン化実施という目標達成を着実なものとするため、次に掲げる事項を推進する。

      iii)各府省は、可能な限り、2002年度までに個別手続のオンラインシステムを整備する。(全府省)

      iv)ワンストップサービスについては、以下の施策を実施する。

      c)政府調達の電子化
       各府省がホームページで提供する調達情報への簡易なアクセスの実現を図るとともに、インターネット技術を活用した電子入札・開札を実施するなど政府調達手続を電子化することにより、企業の負担軽減及び行政事務の簡素・合理化を図る。

      i)非公共事業(総務省及び全府省)
       各府省がホームページで提供する調達情報を一括する政府調達情報の統合データベースの運用を2001年度に開始するとともに、インターネット技術を活用した電子入札・開札の2003年度までの導入に向けて取り組む。

      ii)公共事業(国土交通省及び関係府省)
       2001年10月から一部の直轄事業でインターネットを活用した電子入札・開札を開始、原則として、2004年度までにすべての直轄事業で電子入札・開札を導入する。
       なお、国土交通省においては、公共事業支援統合情報システム(CALS/EC)*6 を2004年度までに構築する。

      d)歳入・歳出の電子化(財務省及び全府省)
       歳入・歳出事務の電子化を図ることにより、国民等の負担軽減と利便性の向上を図る。
       歳入金・国税の納付及び歳出金・国税還付金の振込について、日本銀行及び金融機関のシステム整備を前提として、2003年度までに、インターネット等を利用した納付及びオンライン等による振込を可能とするためのシステム整備、運用を開始する。

      e)地方公共団体の取組支援
       すべての国民がITの恩恵を享受できるようにするためには、住民に身近な地方公共団体の取組が重要となることから、国は、地方公共団体において早急な取組が期待される事項や、それらに対する支援措置を明示する等により、地方公共団体の取組を支援する。

      i)市町村が独力で情報化施策を推進することができるよう、2001年度に情報の収集・提供、助言、研修・啓発の推進等のサポート機能の充実を図る。また、地方公共団体が歳入・歳出手続、入札手続の電子化を国の実施スケジュールに合わせて円滑に推進できるよう、検討を進める。(総務省)

      ii)関係府省においては、自治事務等のオンライン化に関し、地方公共団体からの要望、国民等からの要望を踏まえ、個別手続に係る標準仕様等の提示や法令改正の時期等について、アクション・プランを2001年度早期に策定する。(総務省及び関係府省)

      iii)地方公共団体における組織認証基盤や個人認証基盤の整備を支援するとともに、申請・届出等の受付、結果通知等について、複数の手続に汎用的に利用できる汎用システムの基本仕様を2001年度中に策定する。(総務省及び関係府省)

      イ)行政の事務・事業の情報化
       日々作成・入手される文書について、業務の処理手順、関係規程等の見直しを行いつつ、文書のライフサイクルを通じ、電子情報を原則とする行政運営を実現することにより、行政運営の簡素化、効率化を図る。
       このため、情報ネットワークを通じた情報共有・活用に向けた業務運営の見直しを重点的に推進し、各府省共通事務を中心とした行政事務のペーパーレス化(電子化)に取り組むとともに、その基盤となる情報通信機器等の整備、ネットワーク化、共有可能情報のデータベース化を始め、それを活用する職員のリテラシー向上等を図る。

      a)ペーパーレス化(電子化)
       業務運営の見直しを行いつつ、意思決定の迅速化、事務の簡素化・効率化を推進するとともに、国の行政機関と地方公共団体等行政部門を通ずる総合的・広域的なネットワークを整備することにより、各行政主体間における情報の収集・伝達・共有・処理を電子化する。

      i)「行政事務のペーパーレス化(電子化)の行動計画」(1999年12月、高度情報通信社会推進本部)に沿って、各府省共通でペーパーレス化(電子化)を実施すべき「連絡・通知」や「情報共有」を主眼とする事務など57事務について、2002年度までにペーパーレス化(電子化)を実現する。(総務省及び全府省)

      ii)各府省において、ペーパーレス化(電子化)に対応し、電子情報を適切に管理・共有するために、2001年度中に電子情報の保存・管理、アクセス制御等に関し、文書管理規則等の整備を行う。(全府省)

      iii)制度官庁等は、各府省からの報告等のペーパーレス化(電子化)について、2002年度までに講ずべき措置について結論を得て、2003年度までに実施する。(関係府省)

      iv)本府省LANと地方支分部局等LANとを接続するネットワークを2003年度までに整備する。(全府省)

      v)すべての地方公共団体を相互に接続する総合行政ネットワークシステムについて、2001年度までに都道府県・政令指定都市、2003年度までにすべての市町村における接続を要請する。また、当該ネットワークと霞が関WANとの接続を2002年度から実施する。(総務省及び全府省)

      b)職員の情報リテラシーの向上と意識改革
       IT社会においては、行政内部や行政と国民等との間で従来紙ベース、対面ベースで行われてきた事務がオンライン化され、情報ネットワークを通じて実施されることになる。このため、職員の情報リテラシーの向上と意識改革を図ることが必要である。

      i)総務省は、各府省共通の事項について、2001年度中に、「情報システム統一研修」の見直し・充実を行い、情報化を担う中核要員の育成を図るとともに、職員の情報リテラシーの向上等に関する普及啓発活動を強化する。(総務省)

      ii)各府省は、職員の研修実施計画を行政の情報化の進展を踏まえ、2001年度中に見直すとともに、職員に対する普及啓発、徹底化を図る。(全府省)

      ウ)その他

      a)法令の見直し

      i)内閣官房は、関係府省の協力を得て、2001年度早期に申請・届出等の手続きのオンライン化に伴う法令の見直し等に係る基本方針を取りまとめる。(内閣官房及び関係府省)

      ii)各府省は、上記方針及び新たなアクション・プランを踏まえ、2001年度中に法令の見直し等を行う。(総務省及び全府省)

      b)アウトソーシングの推進
       今後増大する情報システム関係業務や進展する技術の活用に効率的・効果的に対処するため、外注化を積極的に進める。

      i)各府省は、「国の行政機関における情報システム関係業務の外注の推進について」(2000年3月、行政情報システム各省庁連絡会議)を踏まえ、2001年度早期に情報システム関係業務のうち、職員が重点的に実施すべき業務を明確化し、2003年度までの間において計画的・重点的にアウトソーシングを実施する。(全府省)

      ii)総務省は、各府省における外注化の状況について、フォローアップを実施するとともに、その結果を公表する。(総務省)

      c)ICカード(内閣官房及び関係府省)
       国民等の利便性の向上、行政コストの削減を図るため、行政機関が発行するICカードに関して、運転免許証等国際的な検討の対象となっているものを除き、複数の情報を相乗りさせることについて検討する。このため、関係府省が連携して、制度面、技術面、コスト面、利便性や安全性等の面からその可能性を検討した上で、2001年度のできる限り早い時期に基本的スペックを策定する。

      d)システム開発に係る評価指標の策定・普及(経済産業省及び関係府省)
       IT社会に対応した成熟度のあるシステム開発・調達を官民に広く普及するため、2001年度中にソフトウェア開発・調達プロセス評価指標モデル*7 を策定するとともに、競争の一層の促進を図る観点から、同モデルの活用などソフトウェアの特質を踏まえた調達の速やかな導入・普及に向けた検討を行う。

      e)主要プロジェクトの所要経費や効果の明示と進捗状況の評価公表(全府省)
       行政の透明性・信頼性の向上、行政の情報化に係る的確な進行管理と、関係施策の効果的・効率的実施を図る観点から、各府省は、「政策評価に関する標準的ガイドライン」(2001年1月、政策評価各府省連絡会議)を参考に、2001年夏より概算要求・予算編成時に、複数年度にわたる電子政府の主要プロジェクトの所要経費や効果を明示するとともに、施策の進捗状況を評価し、その結果を毎年度公表する。

    2. 公共分野

      ア)科学技術・学術研究分野の情報化
       世界最高レベルの研究環境を整備・維持し、研究水準の一層の向上を図るとともに、産学官の研究者への迅速かつ的確な情報提供を進めるため、科学技術・学術情報基盤の整備を推進する。

      a)スーパーSINETの構築(文部科学省)
       学術研究機関を最速10Gbpsの回線で接続するスーパーSINETを2001年度中に5国立大学・6大学共同利用機関において整備し、2005年度までに全国25〜30か所の大学等において整備を行う。

      b)仮想研究環境ITBL(IT-Based Laboratory)の整備(文部科学省及び関係府省)
       研究開発のIT化を進めることにより、先端的な科学技術の各分野において技術革新を実現するため、2005年度までに、国内すべての研究機関のスーパーコンピュータを大容量ネットワーク上に共有化し、高度なシミュレーション等を行う仮想研究環境ITBLを構築する。

      c)研究開発に必要な各種データベースの整備・高度化(文部科学省)
       2001年度中に、ネットワークに接続されている大規模で複雑な研究情報を、研究者が容易かつ迅速に検索することを可能とする分散型デジタルコンテンツ統合システムの整備を行う。

      イ)芸術・文化分野の情報化
       国民の文化志向の高度化と多様化に対応し、様々な文化財、美術品、地域文化、舞台芸術等に関する情報が地理的な制約を受けずにどこにおいても入手・利用できる環境を整備する。
       このため、文化情報総合システムの整備(文部科学省)を行う。
       2005年度までに、国立博物館等が収蔵する文化財、美術品に関する情報、国立劇場等の公演や国公立の文化施設等に関する情報のデータベースを構築し、各機関等のホームページを通じて情報提供を行うとともに、公立・私立の博物館等ともネットワーク化を進め、収蔵品情報の共通索引システムの整備を行う。

      ウ)保健、医療、福祉分野の情報化
       医療分野の情報化を進め、サービスの質の向上、効率化を進めるとともに、ITを活用し、遠隔医療等新たなサービスニーズへの対応を進める。また、高齢者・障害者が使いやすい情報通信機器・システムの開発・普及を通じ、すべての人にやさしいバリアフリー環境の整備を行う。
       このため、医療分野のIT化を推進する。

      i)多様で質の高い医療サービスの提供や効率化を行うため、電子カルテをはじめ様々な医療情報の電子化の推進、遠隔医療の推進、レセプトの審査・支払の電算化等について、普及方策、普及目標等を定めた医療分野のIT化に関する戦略的なグランドデザインを2001年度早期に作成する。(厚生労働省)

      ii)電子カルテについては、データ交換の際のフォーマット、電子的情報交換手段、情報セキュリティ技術等を開発し、2003年度までにその標準化を行う。電子カルテのべ−スとなるオーダリングシステム(薬剤、検査、医療事務等の間での医療情報の電子化)については、2005年度までに病院での導入率を2割程度まで引き上げることを目指す。(厚生労働省、経済産業省)

      エ)雇用分野の情報化
       タイムリーな雇用情報の提供を行うこと等により、働きやすい環境を作る。
       このため、官民連携した雇用情報システムの構築(厚生労働省)を行う。
       民間職業紹介事業者、民間求人情報提供事業者、経済団体、公共職業安定所等が保有する求人・求職情報に係るインデックス情報をインターネットを利用して一覧、検索し、民間事業者等のホームページにアクセスすること等により必要な情報が入手できるシステムの整備を2001年度中に行う。

      オ)高度道路交通システム(ITS)の推進
       最先端の情報通信技術等を活用し、人と道路と車両を一体のシステムとして構築し、渋滞、交通事故、環境悪化等道路交通問題の解決を図る高度道路交通システム(ITS)を推進する。また、ITSを推進するための基盤技術研究開発を促進する。

      a)道路交通情報提供の充実(警察庁、総務省、国土交通省)

      i)渋滞や交通規制等の道路交通情報を車に搭載されたカーナビゲーションシステム等を通じて、画面により表示できる道路交通情報通信システム(VICS)について、2002年度中に概ね全国でサービスを実施する。

      ii)民間事業者が道路交通情報データを編集・加工し、高付加価値の情報の提供が行えるよう2001年中に道路交通法の改正法案を国会に提出する等所要の制度整備等を行う。また、光ビーコン(交通情報提供・収集等を行う新交通管理システム(UTMS)用の赤外線双方向通信装置)を2005年度までに都市部の主要な一般道路等を概ねカバーできるよう整備する。

      b)走行支援システムの推進(総務省、国土交通省)
       ドライバーへの情報提供、危険警告や操作支援を行う走行支援システムの技術について、研究開発を推進し、2003年を目途に第二東名・名神高速道路等での実現を目指す。

      c)ノンストップ自動料金支払いシステム(ETC)の推進(国土交通省)
       一般利用者に対するサービスを2002年度中に全国の主要な料金所に拡大、概ね5年後を目途に都市高速道路においてETCに限定した利用を目指す。

      d)ITS技術の国際標準化の推進(警察庁、総務省、経済産業省、国土交通省)
       本格的な発展が予想される今後5年間において、ITS関連産業の国際競争力強化の観点も踏まえつつ、車両の走行を支援するシステムや狭域通信(DSRC)システム*8 等を国際標準化機構(ISO)及び国際電気通信連合(ITU)に提案する等により各種ITS技術の国際標準化を目指す。

      カ)環境分野の情報化
       地球環境問題に対応するため、環境情報を分かりやすく国民等に提供し、自主的な環境保全活動を促進するとともに、環境モニタリング技術の活用等を推進する。

      a)環境情報総合データベースの構築(環境省)
       2003年度までに、国、地方公共団体、民間が保有する情報を収集し、温室効果ガスの排出量等を一元管理するシステムをはじめ、環境に関する総合的なデータベースを構築し、インターネット等を通じて、国民、企業等に対し、分かりやすく情報提供を行う。

      b)人工衛星等を活用した環境モニタリングシステムの導入(環境省)
       環境汚染を未然に防止するため、人工衛星等を活用した環境モニタリング技術や不法投棄の発見するシステムの整備を2003年度までに行う。

      c)世界最速コンピュータによる地球環境変動予測の実現(文部科学省)
       世界最高の計算処理速度を有し、温暖化進展や異常気象といった地球規模の環境変動の予測を可能とする地球シミュレータを2001年度に運用を開始し、2005年度までに精度の高い地球環境変動予測を実現する。

      キ)地理情報システム(GIS)の推進(国土交通省、総務省、農林水産省、経済産業省及び関係府省)
       官民連携のもと、国際ルールとの整合性を図りつつ、地理情報等の整備を推進し、インターネット等を通じて流通利用する仕組みを概ね2003年度までに構築するとともに、地理情報の標準化を推進することにより防災、まちづくり、交通、環境、教育等の行政分野、民間業務の合理化、効率化・新しいビジネスモデルの創造、国民生活の高度化、多様化を図る。

      a)地理情報の電子化・提供
       電子化された地理情報の利用に係る法制面の検討を進め、2001年度中に、全国の25000分の1地形図の電子データを整備し、2002年度までにインターネットを通じた提供を行うほか、民間が整備保有しているデータの活用を図りつつ、道路、街区、河川、海等に関する各種地理情報の電子化・提供を進める。また、2003年度までに、地理情報クリアリングハウス*9 の登録内容等を拡充するとともに、検索機能向上のため、データ構造等の仕様をJIS規格化する。

      b)技術的課題の解決
       G-XML(地理情報をインターネットで流通させるためのプロトコル)の2001年度前半のJIS規格化、2003年度中の国際標準化機構(ISO)への提案、2001年度中の三次元GISに関する基盤技術の開発、2003年度中のウェブマッピングシステム(インターネット上でGISの機能が扱えるシステム)の開発等、技術的課題の解決を図る。

      ク)防災分野の情報化
       防災において情報の迅速な収集・伝達等を図り、国民が安心して暮らすことのできる社会を実現するため、国・地方公共団体・住民を結びつける高度な情報通信システムを構築する。

      a)総合防災情報システムの整備(内閣府)
       各種の防災情報を標準化し、全国的データベース化を行うとともに、各防災機関や国民が防災情報を共有化できるシステムの整備を2003年度までに行う。

      b)火山防災システムの構築(内閣府)
       デジタル火山ハザードマップ*10 の活用により、火山活動の状況に即応した危険区域の設定や避難経路の表示等ができる火山防災システムの整備を2003年度までに行う。

      c)人工衛星等を活用した被害状況等の把握システムの整備(内閣府)
       2003年度までに、人工衛星等の画像を活用し迅速かつ的確に防災情報の把握を行うシステムを整備し、防災活動への活用を図る。

      d)国土管理の高度化(国土交通省)
       防災上特に重要な箇所等において、監視装置、情報提供装置、情報ネットワーク等からなる災害情報ネットワークを2003年度までに整備し、国土保全施設等の遠隔制御、遠隔監視等を実現するとともに、迅速かつ的確な情報の共有、提供により確実な防災活動や避難等危機回避行動を可能とする等、災害の発生の防止、被害の抑制、安全の確保等を図る。


    *1 通関情報処理システム(NACCS):
    国際運送貨物に係る税関手続等をオンラインで処理するためのシステム。航空貨物通関情報処理システムと海上貨物通関情報処理システムの2システムから構成(NACCS:Nippon Automated Cargo Clearance System)。
    *2 港湾EDIシステム:
    港湾管理者・港長に係る申請・届出等の行政手続をオンラインで処理するためのシステム。
    *3 外国為替及び外国貿易法に基づく輸出入許可・承認手続システム(JETRAS):
    輸出入許可証の申請や税関に対する申告支援などの貿易管理業務全般をオープンなネットワークを使用し、オンラインで処理するためのシステム(JETRAS:Japan Electronic open network TRAde control System)。
    *4 乗員上陸許可支援システム(仮称):
    乗員上陸許可に係る申請等の行政手続をオンラインで処理するためのシステム。
    *5 自動車保有関係手続:
    自動車の保有に伴い必要となる各種の行政手続(検査・登録、車庫証明、納税等)
    *6 公共事業支援統合情報システム(CALS/EC):
    公共事業のライフサイクル全般(調査・計画、設計、入札、施工及び維持管理)において発生する各種情報を電子化し、ネットワークを利用して効率的に情報を交換・共有できるシステム(CALS/EC : Continuous Acquisition and Life-cycle Support / Electronic Commerce)。
    *7 ソフトウェア開発・調達プロセス評価指標モデル:
    ソフトウェアに係る設計、開発、保守等並びにこれらの調達の成功に必要な手法を評価指標としてまとめたモデル。
    *8 狭域通信(DSRC)システム:
    限定された場所で用いる無線通信システム。
    *9 地理情報クリアリングハウス:
    地理情報の所在場所データベースと検索機能を有するシステム。
    *10 デジタル火山ハザードマップ:
    火砕流・溶岩流の流下シミュレーションや過去の噴火災害の実績等の防災情報を電子化したもの。