IT戦略本部(第5回)議事次第

資料6

IT戦略における国際貢献

2001年6月26日
村井 純


1.先端IT人材を、(日本人にこだわらず)育成する。

(1) 日本最高のIT教育体制を日本・アジアに提供する
 わが国は少子化のため、高等教育のキャパシティが余っているが、逆にアジアでは高等教育機関が不足している。日本への留学はコストがかかりすぎる問題がある。インターネットを利用し、日本の教育プログラムに準拠した遠隔教育の実施を実現することにより、日本側は余ったキャパシティの有効利用、アジア側は低コストな高等教育というメリットを享受できる。
 これを実現するためには、遠隔教育プログラムの枠組みを確立する必要がある。また、必要となる費用は現在円借款でまかなっているが、これを発展させる方法を確立する。

(2) ITを「ベース」とした専門分野の人材育成のための教育構造改革
 先端IT技術者・科学者は、他の先進国に比べて圧倒的に少ない。コンピュータサイエンス分野での専門教育・研究開発環境への根本的で、きわめて積極的な体制作りが急務。
 また、世界で求められているのは、必ずしもIT研究者、IT技術者だけではなく、ITを利用するリテラシと各専門分野のハイブリッドな力を持った人材も必要とされている。「IT+経営学」「IT+経済学」「IT+国防」「IT+農業」「IT+医療」「IT+建築」「IT+法学」。これらの人材を、少ないIT指導者で実現するためには、そのための教育構造改革が必要。

2.インターネット上での日本文化への責任を通じた国際貢献

 デジタル環境での日本文化と日本語の扱いを、先端的に確立する。自国文化と自国語のインターネット環境での扱いは英米以外のほとんどすべての国、特にアジア諸国での大きな課題。この分野でのよい見本を確立し、リーダーシップを発揮する。
  1. 日本語理解、日本語学習に関するインターネット上での環境整備
  2. 1.を実現するための技術開発と流通の推進及び評価。
  3. 技術標準での日本語・日本文字の優位性のガイド(不利な扱いのチェック)
  4. 日本語による遠隔教育。

3.先端インターネット技術・産業で国際的に大きな貢献を果たす。

(1) インターネット・コンテンツとデバイス技術の展開の推進
 インターネットの力はコンテンツとデバイスによって構成される。情報環境が世界を覆うにあたり、ルータ、スイッチ、PC、ケータイから、家電やセンサーに至るまで、インターネット・デバイスの普及は死活問題となる。そのためには、研究開発、特に実証実験を支援し、製品開発力を高める必要がある。 

(2)産学官体制での技術実用化推進体制
 技術の実用化を支援するにあたり、政府・研究開発者・ベンダの3社が連携して実証実験を進めていく必要がある。政府は研究開発に必要な規制緩和や国際協調等における制度面および財政面の支援を行う。今まで実証実験は基礎研究の次のフェーズとみなされ、支援を受けられなかった点を改正する。
 研究開発および市場の確保は、アジア各国と協力体制を組んで推進する。 EUでは技術開発に関して政府・研究開発者・ベンダとの連携を既にはかっており、米国と共同で研究開発を実施するにあたっても、米国の政府機関が支援している。

(3)アジア人材を活用した技術開発拠点「特区」
 グローバルな技術標準に基づくインターネットの技術開発には、国際的な協力体制が不可欠であると同時に、技術開発の発信地となってイニシアチブを取ることが重要となる。アジアの技術開発拠点として、日本国内に「特区」を設置し、研究開発の人材流通を図り、各国と共同で進める体制を作る。この「特区」内では、基礎研究から実用化までの開発を可能にするため、実証実験への資金援助、規制緩和などを試験的に行うものとする。
 既にアジアの数カ国に対して技術開発のために支援が行われてはいるが、日本が実用技術の発信点となり、実際に協働して開発を展開していくことが必要である。

以上