IT戦略本部(第8回)議事次第

資料5

平成14年度科学技術関係予算の編成に向けて(意見)

平成13年11月28日
総合科学技術会議



 平成14年度の科学技術関係予算の概算要求について、総合科学技術会議は、構造改革特別要求予定施策のメリハリの検討を行うとともに、公共投資重点化措置を点検し、その結果を取りまとめた。その後、これら以外の主な施策についても、ヒアリング等を通じて精査を行った。その結果、平成14年度予算編成に当たって配慮すべき点を、以下に述べる。


I.概算要求全体について

1.総合科学技術会議は、本年7月「平成14年度の科学技術に関する予算、人材等の資源配分の方針」を示し、平成14年度概算要求の重点的事項を定めた。その内容は、質の高い基礎研究と、ライフサイエンス、情報通信、環境、ナノテクノロジー・材料の重点4分野等について、メリハリを付けて重点化を図ること、及び、世界最高水準の優れた研究成果を生み出し活用できる研究環境を構築するためのシステム改革を行うことであった。

2.関係府省の科学技術関係予算の概算要求の総額は3兆5,819億円、対前年度比3.3%増となっている。国の一般歳出が1.7%減であることを踏まえると、科学技術の重要性が反映された結果と認識できる。なお、この中には、国立大学等の施設整備のように、一層の充実が求められる施策もあり、第2期科学技術基本計画(5年間)に示された重要政策の着実な具現化に向けて、一層の努力が必要である。
 平成14年度においては、基本計画の2年度目として、その所要額を確保し、各施策を適切に実施することが望ましい。

3.今後、科学技術政策担当大臣及び有識者議員を中心に、府省の枠を越えて総合的に研究開発が推進され、成果の社会還元が迅速になされるようにフォローアップしていくこととする。

II.重点的事項について

1.科学技術の戦略的重点化

(1)基礎研究の推進
 競争的な研究環境の下での研究を重視する方針に沿って、基礎研究を推進する競争的資金、特に科学研究費補助金の充実が図られている。競争的資金については、科学技術基本計画において5年間で倍増を目指すとされており、今後とも継続的長期的な資源投入が必要である。
 基礎研究の主要な担い手である大学の教育研究環境の整備を目指す「世界最高水準の大学づくりプログラム」については、真に国際的に優れた大学の形成に資するよう、選定方法、評価体制等について、今後とも注視していく。

(2)ライフサイエンス等重点4分野における重点事項

  1. ライフサイエンス
     活力ある長寿社会実現のため健康寿命の延伸を目指して、ゲノム解析等に基づく個人の特性に応じた医療(テイラーメイド医療)やタンパク質の構造・機能解析によるゲノム創薬等の開発につながる施策が重点化されている。
     有用物質生産や食料・環境への対応では、動植物ゲノム解析が重点化されたが、ゲノム解析等の新技術を活用した、産業競争力強化のための取組みの強化が必要である。
     バイオインフォマティクス等の融合領域、先端解析技術の開発、臨床研究の促進、生物遺伝資源の収集・管理等の基礎研究成果を社会に還元する体制整備等に充実が図られているが、これらの領域への取組みの強化が必要である。

  2. 情報通信
     高速・高信頼情報通信システムの構築に向け、我が国の強いモバイル、光、デバイス技術を核に研究開発の重点化を図っているが、世界に先行するための最低限のものであり、研究の一層の加速や、利便性・安全性等技術の強化が必要である。なお、手薄なソフトウェア開発等の人材育成への取組みが不充分であり、強化が必要である。
     次世代のブレークスルー等を実現するための基礎的研究について、実用を目指す研究開発に繋げるため、大学、独立行政法人等を活用した研究(競争的資金の活用等)を強化する必要がある。
     研究開発基盤技術では、ライフサイエンス等他分野の研究を支える計算科学が拡充されているが、依然として弱い。

  3. 環境
     地球温暖化研究、ゴミゼロ型資源循環型技術、自然共生型流域圏・都市再生技術について、関係省は、国の環境政策と連動し、相互に連携して推進するための重点化を行っている。
     観測、現象解明、対策技術の開発から実社会への適用に至る道筋に基づいて、各省の個別研究を、省の枠を越えて政府全体として統合化する重点化の方針が予算要求で実現されている。今後、実行に当たっても、各省連携体制を継続することが重要である。

  4. ナノテクノロジー・材料
     欧米との激しい競争にある情報通信システム用デバイス・材料では、半導体プロセス技術、情報記録及びネットワーク用デバイス・材料、新原理デバイス等に重点化されている。今後とも産学官の英知を結集した取組みの強化が必要である。
     当分野の発展を支える計測・加工等技術では、ナノ精度の加工技術に加え、新たな先端医療を目指したタンパク質のナノレベル計測等に重点化されている。しかし、産業応用の観点からサブミクロン領域の研究開発、また開発スピード向上のためのシミュレーション技術活用は取組み強化が必要である。
     革新的な機能を持つ物質・材料技術では、組織・構造をナノレベルで制御する開発に加え、生物機能活用の新たな取組みがみられる。今後とも環境、エネルギー、医療等の新領域の強化を始め広範な領域横断的取組みを重視して推進すべきである。

(3)その他の分野において重視すべき領域・事項

  1. エネルギー
     エネルギートータルシステムの変革、分散型システムと輸送・変換の高度化、原子力安全のための研究開発を拡充していることは重点化の方針に沿っており、また、燃料電池・水素利用に関する施策が大幅に充実されることは評価できる。今後の重点化においては、引き続き、エネルギー政策目標と各研究開発目標とをより一層明確にしていく必要がある。

  2. 製造技術
    生産性を飛躍的に向上させるIT高度利用技術、新たなブレークスルー技術による製造プロセス革新、微細化・複合高機能化技術等の活用による高付加価値化を重視したが、これらに対する新規施策がほとんど出ていない。国際的な競争力強化を図るためには、この分野への抜本的な取組みの強化が必要である。

  3. 社会基盤
     安全な社会を構築し、質の高い生活を支える美しい環境を整える体系的な研究開発については、異常自然現象の予測、信頼性向上や災害被害軽減化等、安全の構築への重点化がされているが、被害軽減に向けた取組みの強化が必要である。
     宇宙・上空を利用した高度な観測・通信システム等の超高度防災支援システム、新しい人と物の流れに対応した交通システム、水管理での国際協力に資する研究開発は、次世代の社会基盤の実現のために加速されるべき研究開発項目であるが、関係府省の取組みの強化が必要である。

  4. フロンティア
     輸送系の低コスト化・高信頼性化、国際宇宙ステーション計画等の国際プロジェクト等の重点事項に関しては、十分に重点化されているが、宇宙分野は基幹産業になれるかの分岐点にあり、H−UAの成功を活かし、さらなる競争力強化につながる戦略的取組みの強化が必要である。

2.科学技術システムの改革等

(1)競争的研究環境の形成に資する競争的資金の改革と拡充
 競争的資金については、5年間で倍増を目指すこととしており、平成14年度概算要求においては前年度に比べて充実が図られているが、今後とも一層の拡充を図る必要がある。
 また、競争的資金の効果を最大限に発揮するため、制度改革を徹底する方針である。関係各省とも、専門家による一貫した評価・執行体制の整備等に向けて改革を進めている。

(2)大学等の施設整備
 国立大学等施設整備については、文部科学省の国立大学等施設緊急整備5か年計画等に基づき、重点的・計画的整備を推進することとなっている。平成14年度概算要求においては、前年度に比べて増加しているものの、同計画を着実に実施していくためには、今後一層の拡充が求められているところであり、様々な機会を通じて整備面積の確保等に努力を払うべきである。

(3)産学官連携の推進
 産学官連携を推進するためには、連携を進めるための制度改革や運用の改善等と併せて、1)産学官連携による共同研究等の推進、2)大学発ベンチャー創出を目指した技術移転・事業化の促進、3)産学官連携のための基盤形成・環境整備等を講じることにより、総合的に推進する必要がある。関係府省の平成14年度概算要求は、これらの施策をカバーしており、重点化されている。
 これらの施策により、大学等で生み出される創造的な研究成果を技術革新や新産業の創出につなげることによって、経済活性化のみならず、大学等の研究開発の活性化が期待される。

(4)地域科学技術の振興
 地域における知的クラスター及び産業クラスターの形成や産学官連携による、新産業・新事業の連続的な創出による地域経済の活性化、地域経済の再生を目的とした施策が、重点化されて関係府省から概算要求されている。
 これらの施策により、技術革新・新産業の創出を通じた地域における経済の活性化が期待される。


III.施策の見直し

 関係府省は、概算要求及び構造改革特別要求の際に示した本会議の方針に沿って、施策の効果的・効率的な推進のため、以下のような整理、合理化のほか所要経費の見直しに努めている。

○競争的資金について、制度改革の方針に沿って、複数の制度を統合、整理。
○情報通信分野、ナノテクノロジー・材料分野の施策について、必要性や計画性の観点から、官民役割分担に応じた見直し等を行い、施策の一部を平成13年度限りで終了。
○重点4分野等の研究開発施策について、計画性や有効性の観点から、研究内容及び計画期間を変更、又は所期の成果が達成された場合には計画期間終了前でも平成13年度限りで終了。
○重点4分野の研究開発、技術移転支援、研究情報ネットワーク整備等の施策について、効率性の観点から、施策毎に関連するものを総合して、一事業又はプログラムに統合。
○宇宙3機関に共通する研究テーマについて、3機関の統合を見据え、効率性の観点から、可能な限り1機関に集約。
○構造改革特別要求の精査を踏まえて、優先順位が低く評価された施策の概算要求を見送り。

 今後とも、各施策は、その目的に応じた評価に基づいて見直していくことが必要である。関係府省においては、今後とも「国の研究開発評価に関する大綱的指針」に沿って、公正で透明な評価を適時的確に行うとともに、総合科学技術会議は、その結果を資源配分に反映させていくよう、フォローアップを行っていくこととする。


参 考

1.平成14年度科学技術関係予算概算要求の総額
3兆5,819億円
(前年度予算額3兆4,670億円,対前年度3.3%増)

2.主要な概算要求額
 平成14年度概算
要求額(億円)
平成13年度
予算額(億円)
○科学技術の戦略的重点化
ライフサイエンス分野1,690 1,544
情報通信分野1,1961,161
環境分野516 359
ナノテクノロジー・材料分野13385
○科学技術システムの改革等
競争的資金3,515 3,265
うち科学研究費補助金1,7241,580
国立大学等の施設整備1,5001,013
産学官連携2,7732,314
地域科学技術769 602
【注】
1.「科学技術の戦略的重点化」の分野別概算要求額等は、当該分野の研究等を主目的とする施策に計上された経費の合計である。(独立行政法人及び競争的資金に関する経費等を除く)
2.「国立大学等の施設整備費」は国立学校特別会計における文教施設整備費である。

別添