IT戦略本部(第8回)議事次第

資料6

IT戦略の推進について

平成13年12月6日
梶原本部員提出資料



 去る11月23日、9県知事による「地域からIT戦略を考える会」の第1回会議が開催(於:岡山県、座長 石井・岡山県知事)され、ゲストとして竹中IT担当大臣にご出席頂いたところです。
 この会では、各県の取り組みの“決意"とともに、国に対する“提言"10項目などをまとめた「我が国のIT戦略推進に関するアピール」を、別紙1のとおり決定いたしました。
 今後、国においてIT施策を検討する際に、ご参考下さい。

 なお、本アピールは、全国知事会<情報化推進対策特別委員会(委員長 梶原・岐阜県知事)>にも提出され、全都道府県に周知されたところです。
 その際、追加意見とした頂いたものは、別紙2のとおりです。


別紙1

我が国のIT戦略推進に関するアピール




平成13年11月23日

地域からIT戦略を考える会
   
岩手県知事 増 田 寛 也
宮城県知事 浅 野 史 郎
栃木県知事 福 田 昭 夫
岐阜県知事 梶 原 拓
三重県知事 北 川 正 恭
岡山県知事 石 井 正 弘
高知県知事 橋 本 大二郎
福岡県知事 麻 生 渡
沖縄県知事 稲 嶺 惠 一



1 総論


 IT革命は、21世紀の社会経済構造を変革する文明史的革命であり、地域社会においても社会、経済、文化等あらゆる面において、極めて大きなインパクトを持つものである。
 国においては、本年一月に策定した「e−Japan戦略」の中で「5年以内に世界最先端のIT国家となることを目指す」との明確な目標を定め、その実現を図るべく「e−Japan重点計画」を定め、実施に努めていることは大いに評価できる。
 しかしながら、一方で、平成14年度予算の概算要求を見る限りにおいては、「構造改革特別要求」において一定の考慮はなされているものの、IT革命の重大性に鑑みれば、既存の予算の枠組みを大きく変更したものとは言い難く、この計画の実現性には大いに疑問を持たざるを得ない。
 我々は、今日まで、IT革命のもたらす恩恵は、生活インフラの整備をはじめ様々な面で都市部と格差が生じている地方においてこそ、より大きく享受されるべきものであるとの考え方に基づき、独自の光ファイバ網の整備をはじめ、地方として可能な限りのIT施策の推進を図ってきたところである。
 我々は、今後とも、各県の継続的な連携強化のもと、デジタルデバイドの解消に向けた情報通信基盤の整備はもとより、行政改革推進に連動した事務処理の一層の高度化、さらには基本目標としての教育・福祉分野はもとより、環境・文化等の分野での行政サービスの量的、質的改革、地域経済の活性化、雇用の創出、情報公開制度への活用など、真の「eガバメント」の確立に向けた先駆的取り組みを一層推進してゆく決意である。
 国においては、こうした地方における我々の決意を十分踏まえ、「地域のIT革命なくして我が国のIT革命なし」との認識のもと、こうした先進的取り組みを成功のモデルとして位置づけ、制度面はもとより、さらなる支援体制を確立されるよう要望する。

2 「地域からIT戦略を考える会」としての取り組みの決意

(1)超高速インターネット網の整備は、民間事業主体の整備に委ねていては、2005年度までに概ね市までの整備が限界である。IT革命の恩恵は、都市部においてよりもむしろ過疎地等においてこそ享受されるべきものであり、我々はこうした条件不利地域におけるラストワンマイルの積極的な整備を行う。
また、障害者などユーザの声を十分に反映したシステム構築と情報リテラシーの向上を図る。

(2)世界的にIT人材の不足は深刻な状況であり、我が国においてもより顕著である。地方においても、電子自治体の推進、IT産業を中心とする地域経済の活性化において、高度なIT技術を有する人材の育成は急務である。今後、各県と共同して高度な技術、知識を有するIT人材の育成を図る。

(3)来るべきIT社会において、我が国が国際競争に勝ち抜くためには、次世代を担う子供たちへのIT教育が不可欠である。このため、全ての学校教室に高速インターネットを常時接続し、早急に生徒一人に一台(当面三人に一台)のパソコン配備が実現するよう努力する。
 また、多様な教育コンテンツ等の開発を共同して行う。

(4)IT産業は21世紀のリーディング産業であり、地域経済活性化の牽引役であるとの認識のもと、特定地域に集中的支援策を講ずる「IT特別経済区」を設けるとともに、地域IXやiDCを構築することにより、IT産業の東京一極集中を打破し、地方におけるIT産業の集積を図る。

(5)地域住民と直接の接点を有するのは地方自治体であり、国よりも地方においてこそ、行政の電子化は進めてゆかなければならない。こうした認識のもと、我々は先駆的に電子自治体戦略を進めてきたところであるが、今後とも自らの自治体の行政改革、業務改革を前提とし、さらに行政の透明性を高めるためにも、各県連携を強化し、「eガバメント」確立に向けた取り組みを推進する。

(6)また、電子自治体の構築は、極めて大きなIT需要を創出することとなり、経済活性化に大きく貢献するものである。こうした観点からも、さらに一層電子自治体戦略を進めてゆくとともに、戦略的アウトソーシングの実施や地域の中小・ベンチャー企業への発注などの方策により、民間の需要を喚起してゆく。

3 国に対する提言

(1)情報通信インフラの整備を公共事業として位置づけるとともに、現在の省庁及び事業毎にシーリングを設ける画一的な予算配分手法を改め、公共事業の枠組みの大幅な変更を行い、強力に情報通信インフラの整備が進むよう措置されたい。

(2)地方公共団体が国庫補助等により整備した公共ネットワークをケーブルテレビを含めたラストワンマイル整備に活用できるよう必要な法制度の見直しを行うとともに、国や公的機関が保有する光ファイバを地方公共団体等が活用できるよう積極的に開放されたい。

(3)国においては、情報リテラシーの向上に向けた積極的な取り組みを求める。

(4)我が国において、高度なIT技術を有する者が大幅に不足している状況に鑑み、海外からIT技術者が入国する際の制限の緩和や、滞在者の居住しやすい環境整備などの措置を講じられたい。

(5)各県が共同で行うIT人材育成事業や学校インターネットの環境整備に対する財政的支援措置を拡充されたい。

(6)各県が設ける「IT特別経済区」に対して、法人税や消費税等の国税の減免措置や規制緩和の特例措置、インキュべーション施設の整備助成などの支援策を講じられたい。

(7)東京中心のインターネット網の構造がブロードバンド推進の阻害要因となっている状況に鑑み、IXの分散及びIXと東京を結ぶ超高速インターネットバックボーンの整備、開放などブロードバンド推進の支援策を講じられたい。

(8)地域住民の視点に立った行政手続きのワンストップサービス化を進めるため、省庁間の垣根を徹底的に排除し、各種手続きの統一化が図られるよう各省庁横断的な法制度の見直しを行われたい。

(9)電子認証等全国共通であることが望ましい基盤については、国が主体的に整備すべきであるが、これを国主導で画一的に行うのではなく、地方自治体の意見を十分反映しながら整備されたい。

(10)その他、地方において、電子自治体をはじめとするIT施策を先進的に取り組む地方自治体については、その取り組みをモデル事業として位置づけ、国においても推奨・支援する体制を確立されたい。


別紙2

国に対する意見・提言(追加分)




  • 全国知事会において、「地域からIT戦略を考える会」のアピール文以外の点で特に国に意見・提言等したい事項を全都道府県に調査したところ、下記の意見が寄せられました。
  • 1 情報通信インフラ整備に当たっての政策課題整理及び効果的対策の実施

    ○ 情報通信インフラに関する諸施策の推進に当たっては、@ラストワンマイルの確保、A都道府県レベルの域内バックボーンの構築、B全国レベルのインターネットバックボーンの超高速・大容量化、という政策課題を整理した上で、各々の課題に対応した効果的な対策を講じて頂きたい。

    2 情報通信インフラ整備に当たっての民間通信事業者との役割分担

    ○ 情報通信分野の官民の役割分担は、民間が主導的な役割を担うことが原則であるが、世界最高水準のインターネット網の整備を促進し、必要とするすべての国民がこれを低廉な料金で利用できる社会を実現するためには、規制の柔軟な見直し等による市場原理の円滑化など、より積極的な競争促進策や環境整備を進められたい。

    ○ 情報通信インフラの整備に当たっては、単に建設段階の費用負担の問題だけでなく、建設後における高品質かつ安価な世界最高水準の通信サービスを全国くまなく実現することを目標として、民間通信事業者と行政との適切な役割分担を構築して頂きたい。

    3 全国レベルのインターネットバックボーンの強化

    ○ 我が国の情報通信インフラの特徴として、諸先進国に比べ、全国レベルのインターネットバックボーンが脆弱であり、その利用コストが高いことが、種々のIT施策を推進する上で重大な隘路となっている現状に鑑み、国の責任において的確な対策を講じ、早急にインターネットバックボーンの充実強化を図って頂きたい。

    4 情報通信インフラの格差是正

    ○ 採算性の面から、民間事業者により整備が進まない地域の高速インターネット環境の整備を、都市部と地方部で格差が生じないよう進めるため、加入者系光ファイバ網をはじめとする情報通信基盤の整備を推進する制度の創設をお願いしたい。

    ○ ラストワンマイルの整備を財政基盤の脆弱な条件不利地域の町村に求めるには、町村や通信事業者を含めた幅広い論議が必要と考える。

    ○ 情報通信インフラの面で格差是正を生じさせないためには、特に過疎地域等の条件不利地域において地方公共団体が積極的に関与する必要があるので、こうした格差是正に要する地方の財政需要に対して的確な財源措置を講じて頂きたい。

    ○ 移動体通信用鉄塔施設など地方公共団体が実施する情報通信格差是正事業に対する財政的支援措置の拡充及び創設をお願いしたい。具体的には、地方公共団体が事業者に対し移動体通信用鉄塔施設の維持管理経費等を支援する場合も国の移動体通信用鉄塔施設整備事業の対象とするよう制度の拡充をお願いしたい。

    ○ 10月1日、NTTドコモが世界に先駆けて第三世代携帯電話サービス(FOMA)を開始されたが、我が国が先陣を切るこの分野において、諸外国との比較優位に立ち続けるとともに、国民利用者の爆発的普及を目指すには、官民一体となった取組みによるサービス提供可能地域の拡大が急務である。

    フランスの取組例:12月4日の日本経済新聞記事から
  • 仏政府は、第三世代携帯電話の事業免許料を1/8に引き下げるとともに、当初予定していた第三世代携帯電話事業による特別税の税率(収入の最大2%)を変更し、1%に引き下げた。
  • この見返りとして、第三世代携帯電話の事業者(2社)は、携帯電話の電波が届かない 約1,500の自治体での中継局建設を、政府と共同で2003年末までに終えることを約束している。
  • 5 自治体における情報通信基盤の整備促進

    ○ 電子自治体を促進するため、地方公共団体の行うLANやパソコンの整備・拡充等、情報化基盤の整備・拡充に対する財政措置の充実を図って頂きたい。

    ○ 「全国ブロードバンド構想」で、2005年までに市町村による地域公共ネットワークの全国整備を図ることとしているが、そのために必要な財源確保の具体的な見通しが明らかにされていない。市町村が具体的な整備計画の検討を進めることができるよう、できるだけ早期に財源見通しを明らかにして頂くとともに、積極的なご支援をお願いしたい。

    6 電子自治体実現に向けた取組の支援強化

    ○ 住民に密接な情報通信サービスを提供する市町村の電子自治体実現に向けた取組みを財政的・技術的に支援する制度や、職員の養成を行う制度を創設して頂きたい。

    ○ 市町村の電子自治体実現に向けたシステム導入コストの低減などを図るため、市町村などが共同で開発し、共同で利用するシステムの整備を促進するための制度を創設して頂きたい。

    ○ 電子自治体構築に向けたモデル事業の取組・成果を、追随する自治体向けに広く紹介するとともに、システムについても極力オープンにして頂きたい。

    ○ 今後は、如何に申請・届出等の電子手続きを住民に利用していただけるかが重要である。紙による手続きと電子手続きに料金格差を設けるなどのインセンティブ付与を政府全体として検討し、電子政府を加速度的に進めるべきと考えられる。

    7 セキュリティ対策の充実・強化

    ○ 健全なIT社会の実現に向け、インターネットを利用した犯罪の発生防止などに必要な法整備を進めるとともに、個人情報保護の観点を踏まえた情報通信の信頼性、安全性を確保するためのセキュリティ対策などを早急に確立して頂きたい。

    ○ 「電子自治体」構築の円滑な推進には、住民から信頼を得られる万全なセキュリティを確保したシステム構築が不可欠であり、これらの先導的な取組みに対して支援する体制を確立して頂きたい。