IT戦略本部(第9回)議事次第
資料7

通信・放送の融合について



放送制度の現状等

平成13年1月31日

1.放送メディアの現状

(1)放送とは、通信のうち、公衆によって直接受信されることを目的とする送信をいう。※

(2)放送法においては、表現の自由を確保する観点から、放送番組編集の自由を規定。
 番組内容については、放送事業者の自律を基本として、適正を図る仕組み。

(3)地上放送・衛星放送・ケーブルテレビのいずれも、諸外国の動きにあわせデジタル化を推進中。

※ (参考) 国際電気通信連合憲章 「放送業務:一般公衆によって直接に受信されるための発射を行う無線通信業務」

デジタル化のスケジュール

2.放送についてのハード・ソフト分離

(1) 衛星放送とケーブルテレビについて、ハード・ソフトを分離した制度を導入済。
 他方、地上放送については、ハード・ソフト一体の仕組み。注1

(2) なお、通信事業、放送事業の相互乗り入れ、兼営は自由。注2

(3) また、コンテンツについて、通信事業、放送事業の間で相互利用することも自由。注3


(注1) 受託・委託制度(平成元年)、及び電気通信役務利用放送法(本年1月28日施行)
(注2) NTT、NHKは特殊法人の業務範囲の問題
(注3) 著作権等の権利処理は必要

衛星放送・ケーブルテレビのハード・ソフト分離の基本的な仕組み

3.地上放送のデジタル化

(1) 地上放送は、全国どこでも、安価かつ安定的に情報を入手するための最も基本的なメディア。

(2) この実現過程で、全国くまなく設置してきた無線局が1.5万局にのぼり、放送用周波数は逼迫。

(3) 欧米諸国では、既に複数の国で地上放送のデジタル化を開始。注1
諸外国に遅れず、視聴者の利便向上と電波の効率的利用を促進するため、我が国も推進中。注2

(4) デジタル放送の受信機が普及するまでの相当期間、周波数の逼迫した状況の下、サイマル放送注3が必要。
サイマル放送の終了後は、現在テレビジョン放送用の周波数を他の用途に使うことが可能。


(注1) 英国(98年9月開始)、米国(98年11月開始)、スウェーデン(99年4月開始)
(注2) 平成11年以降、高度テレビジョン放送施設整備促進臨時措置法の制定、放送法、電波法の一部改正等
(注3) デジタル放送に加え、従来のアナログ放送も同時に視聴できるようにすること。

デジタル化による周波数の効率的利用

(参考)放送のデジタル化のメリット

放送のデジタル化のメリット


通信・放送の融合に関する基本認識

  IT関連規制改革専門調査会報告の概要 指摘事項への考え方A 指摘事項への考え方B
基本的考え方 ○通信、放送の制度を、事業毎の縦割りの規制体系から機能毎の横割りの競争促進体系に、世界に先駆けて抜本的に転換し、競争の促進と通信・放送の融合の促進を図る。このための規制改革を大至急実施すべき。(p.3) <横割り体系への転換を戦略的に実施すべき>
○世界最先端のIT国家になるとの目標に向け、制度の改革に積極的に取り組む姿勢が必要。現行の規制・制度を前提に議論をスタートさせるべきではない。
○ IT関連法制度においても世界最高を目指すべき。
○ネットワークを区別することのないコンテンツ選択の可能性を開き、e-Japan戦略の描く将来像を実現すべき。
<法制度は社会的実態を踏まえたものであるべき>
○法制度については、ネットワークの将来像や諸外国の法制度を踏まえつつ、国民利用者の利便性の向上の観点から適時適切に対応していくことが必要。
○放送については、次のような社会的実態への適合が必要
 ・誰でも、情報を安価かつ安定的に入手するための基本的な手段
 ・報道機関・文化の担い手として国民生活に定着し、社会的・文化的に重要な役割を果たす。
○技術が急速に変化する中、世界に先駆けて直ちに抜本的な制度変更を行うことは非現実的。
○現行の通信・放送制度は、デジタル技術とIPネットワークが中心となりつつある現実にあっていない。(p.4) <現行制度は現実にあわず、諸外国でも制度改革に対応中>
○ 現行の制度はインターネット等を通じた通信・放送融合サービスの実態から乖離する懸念。
○ 次のような世界の流れに遅れることのないように融合を推進すべき。
 ・EU諸国では、ハード・ソフトを分離した制度とすべく準備中
 ・米国ではスクランブル付き情報配信は「通信」と位置付けるなどによる放送の範囲を狭める動きで通信放送の融合に対応。
○専門調査会報告書では、「放送制度は認めない」とは言っていない。
<諸外国でも放送制度あり>
○技術進歩や社会的実態に即して制度の見直しを実施中。
○諸外国を見ても、放送制度を設けていない例はない。
○技術開発等への支援により融合を推進中。
ネットワークの将来像 ○あらゆるネットワークがIPネットワークに統合される方向。(p.5)
○デジタル化とIP化の進展に伴い、通信と放送の融合は必然の方向。(p.6)
○通信や放送は、事業毎の垂直統合構造から、レイヤー毎の水平分離(アンバンドル)が可能な構造に移行。(p.6)
<IPネットワークの進展に伴うネットワークの選択肢の拡大>
○ 通信用、放送用のネットワークを区別することのない自由なコンテンツの流通。
○ コンテンツ事業者サイドから見たキャリア選択の拡大に伴い、コンテンツの質・量が充実。利用者の選択の自由度も拡大。
○様々な新規事業が生まれる環境の形成。
(注:「あらゆるネットワークがIPネットワークに統合される方向」と記述。地上放送等をIP化するかどうかは不明。)
<放送が通信に吸収されるか否か予見困難>
○ネットワークの性格は、技術や経済性によって定まるもの。現在、諸外国において、地上放送及び衛星放送をIP化する計画はない。
○地上放送については、その社会的役割を踏まえ専用の帯域を免許。こうした社会的位置付けが変化して、通信一般に吸収されていくか否かについて、現段階で予見することは困難。
改革の方向性 ○縦割りの通信・放送の規制体系が様々な変革を阻害する懸念。(p.7) <縦割り規制体系が変革を阻害>
○下記のようなビジネスの多様化を阻害する状況が見受けられる。(経団連他)
 1.放送用の電波で特定向け(通信)コンテンツを配信できない。
 2.CATVの放送用帯域で特定向け(通信)コンテンツを配信できない。
 3.通信用の光ファイバで有線放送ができない。
 4.例えばマルチキャストサービス(特定多数向けコンテンツ配信)のようなインターネットの機能を活かしたサービスの登場が阻害される懸念が存在。
<地上放送以外はハード・ソフト分離は導入済み>
○経団連等の指摘は、ビジネスの多様化に応じ、どのような制度や運用改善を行うべきかという問題。公正競争の確保、国民の利便性向上等の観点から個別具体的に対応すべきもの。制度の抜本的改正に結びつけるには議論が飛躍。
○既に、地上放送以外はハード・ソフトの横割りに対応した法制度を導入。
○縦割りの通信・放送の規制体系を、デジタル技術、IP化の方向に沿った横割りの競争促進体系へと抜本的に改革し、
・事業の水平分離(アンバンドリング)とレイヤー内での競争促進
・通信と放送の融合を促進すべき。(p.8)
<横割り体系はインフラ利用の効率化を拡大>
○放送サービス提供者以外による放送用インフラの整備や、放送用インフラの通信利用など、ネットワークインフラの柔軟な利用ができるため、放送デジタル化の推進とブロードバンドインフラ整備の推進の両面で適切な推進を図ることが可能。
<横割り体系は地上波デジタル化を阻害>
○地上放送については、ハード・ソフト分離を行えば、ハード(インフラ)に対する投資意欲が減退し、デジタル化が困難となる。
<放送のハード・ソフトの分離の強制は誤解>
○「地上放送事業のハード・ソフト分離を強制するものだ」というのは誤解。
<地上放送の横割り体系化により何を変えるのか疑問>
○横割り体系により、地上放送にその専用の帯域が与えられないのであれば、その社会的役割が果たせるかが問題。また、専用の帯域を与えるとすれば、現行制度と実質的な相違はない。


通信・放送の融合に関する各種意見

o通信・放送融合サービスの基盤となるシステムの開発、最先端の通信・放送融合サービスの実用化を加速することで、国際競争力を強化しながら、世界にも貢献していく政策が重要。
→最先端の通信・放送融合サービスの基盤となる、技術開発を行う者を支援する制度を整備。(通信・放送融合技術の開発の促進に関する法律〔平成13年11月8日施行〕)

 
専門調査会
・IT関連規制改革専門調査会報告H13.12.6
公正取引委員会
・政府規制等と競争政策に関する研究会 「通信と放送の融合分野における競争政策上の課題(中間報告)」H13.12.25
経団連
・今後のメディア制度の課題(中間報告)H13.9.13
・IT革命推進に向けた情報通信法制の再構築に関する第二次提言H13.12.18
総務省
・通信・放送融合時代の情報通信政策の在り方に関する懇談会(中間取りまとめ)H12.12.14
・情報通信新時代のビジネスモデルと競争環境整備の在り方に関する研究会(中間報告書草案)H13.12.13
経済産業省
・産業構造審議会情報経済部会第三次提言案「ネットワークの創造的再構築」(パブリックコメント)
現状・将来像 oあらゆるネットワークがIPネットワークに統合される方向。(p.5)

oデジタル化とIP化の進展に伴い、通信と放送の融合は必然の方向。(p.6)

o通信や放送は、事業毎の垂直統合構造から、レイヤー毎の水平分離(アンバンドル)が可能な構造に移行。(p.6)

oインターネットの普及、放送のデジタル化等を背景に、通信と放送の中間領域的なサービスが登場。

o今後、通信と放送の融合が一層ダイナミックかつ急速に進展し、サービスの受け手にとって通信と放送の区分は意味を持たなくなる。

o・通信と放送による伝送路の共用
 ・通信系サービスと放送系サービスの複合的、あるいは一体的な提供
 ・メディア間でのコンテンツの多角的利用
 ・伝送路やサービス内容に応じた多様な端末でのサービスの利用
 ・通信・放送の概念が当てはまらない情報伝送システムの実現
が可能となり、通信あるいは放送という従来の業態を超えた事業体が、優れたサービスを提供し、放送・通信を包含したコンテンツやサービスの市場、雇用機会が拡大する可能性がある。
o(通信と放送の)中間領域的サービスは、サービス内容が多様化。
o通信と放送を組み合わせることで双方向性を具備したサービスも開発、提供され始めている。
o通信と放送の融合は、今後その度合いを深める過程で、インターネット放送の台頭、プラットフォームビジネスの隆盛、情報家電インターネットの普及がさらに顕著になると予想される。
o電気通信事業の提供形態や規模は多様化、複雑化。
o提供されるサービスの種類も高度化、多様化。
o通信放送の融合とは、インターネットの上にあらゆる情報サービスが統合されるというところに本質がある。
o今後、キャリアとコンテンツが1対1に対応した垂直統合型の構造は大きく変質する。インターネットプロートコルに準拠すれば、インフラ網を自ら保有しなくても、電話サービスや放送サービスを世界規模のインターネットネットワークに乗せて提供することが可能になるからである。
現行制度の評価 o通信、放送の制度を、事業毎の縦割りの規制体系から機能毎の横割りの競争促進体系に、世界に先駆けて抜本的に転換し、競争の促進と通信・放送の融合の促進を図る。このための規制改革を大至急実施すべき。(p.3)

o現行の通信・放送制度は、デジタル技術とIPネットワークが中心となりつつある現実にあっていない。(p.4)

o通信と放送の中間領域的な新たなサービスについては、その多くが放送に区分。放送分野における放送事業者に対する規制のほとんどが課される。

o今後、現行制度の通信と放送の区分が実態と乖離していくことは必定であり、中間領域的な分野における競争等が阻害されることになりかねない。

o従来の細分化したメディアごとの制度を維持し、運用していくなら、ビジネス・モデルの変化、多様化の動きが阻害され、新たな事業の発展が不可能になるおそれがある。 o通信と放送の融合現象は、近年、その態様を多様化しながら拡大を続けている。通信と放送に関する各国の制度は、放送と通信と別の概念で規律する点で共通しており、各国ともソフト/ハード規律の分離や中間領域的サービスへの対応により、進めようとしている。我が国としても、次のような政策をスピードをもって具体化することが必要。
・伝送路の融合が進展している分野において、ソフト/ハード規律の分離を一層円滑に進める制度の整備等を実施。
→地上放送以外のハード・ソフト分離の法制度を導入済。(放送法における受託・委託制度、及び電気通信役務利用放送法〔平成14年1月28日施行〕)
o通信と放送の区分の在り方に関して、融合の進展に応じた検討を進めていくとともに、手続き面の整備の必要性について検討していくことが適当。
→通信・放送の中間領域的な新たなサービスに係る通信と放送の区分に関するガイドラインを策定しており、各方面からの要望を踏まえ、改定している。(平成13年12月26日)
→ノーアクションレター制度に則り、新たなサービスを行う場合、それが通信と放送のいずれの制度の適用を受けるかについて照会が行われた場合には、1月以内に回答。(平成13年8月30日から運用)
o垂直アンバンドルを軸とした電話時代の競争政策から決別し、ネットワークインフラ、インターネット接続サービス、コンテンツサービスの3層にアンバンドルされた中で水平的な競争が行われる競争環境を構築することが急務となる。
改革の方向性 o縦割りの通信・放送の規制体系が様々な変革を阻害する懸念。(p.7)

o縦割りの通信・放送の規制体系を、デジタル技術、IP化の方向に沿った横割りの競争促進体系へと抜本的に改革し、
・事業の水平分離(アンバンドリング)とレイヤー内での競争促進
・通信と放送の融合を促進すべき。(p.8)

o事業者の事業活動を制限するような規制を行うのではなく、競争を阻害するおそれのある行為を独占禁止法により排除していく等の対応が基本。

o現行の通信と放送の区分に関するガイドラインについて、例示されたサービス以外はすべて通信に区分される方式へ変更する等、放送の範囲を限定。

o将来的には、通信と放送に区分するのではなく、伝送路(ハード)とコンテンツの制作・配信(ソフト)とに分け、希少性・不可欠性を有する設備等にのみ接続義務を課す等、必要最小限の規制を行うという制度の再構築を検討。

o情報伝送路については通信・放送を共通の制度的枠組みとするとともに、基本情報を総合的に提供して大多数の国民の生活に密着している電子メディアに限って必要最小限のコンテンツ規律を求める、という考え方を基本にして、通信・放送に関する制度的枠組みを再構築することが望ましい。

o放送局の免許主体(ハード)と番組の編集主体(ソフト)の一致を求めている原則については、利用者の利益、デジタル化の進展状況等を考慮して、国民的な検討が必要。

o現在の通信・放送規制は、情報市場における構造的特徴とは異なるビジネスモデルを前提に構築されたものであり、これを情報市場におけるビジネスモデルにそのまま適用することは、原則差し控えることが望ましい。その上でビジネスモデルの実態に即した規制の明確化と簡素化を図るべきである。


IT関連規制改革専門調査会報告に対する意見について
(社団法人 日本民間放送連盟)

連会第121号
平成14年1月18日
IT戦略本部
  本部長  小 泉 純一郎  殿
社団法人 日本民間放送連盟
会  長 氏 家 齊一郎


IT関連規制改革専門調査会報告に対する意見について

 IT戦略本部・IT関連規制改革専門調査会の「IT分野の規制改革の方向性」と題する報告に閲し、別紙のとおり当連盟の意見を提出いたしますので、何卒ご高配賜りますよう、お願い申しあげます。

平成14年1月18日
社団法人日本民間放送連盟

IT戦略本部「IT関連規制改革専門調査会」報告に対する意見


 昨年12月、IT戦略本部に提出されたIT関連規制改革専門調査会の「IT分野の規制改革の方向性」と題する報告は、現在の情報収集・制作、編成から放送まで一貫した意思のもとに行われている放送の仕組みを、機能毎の「横割り」の体系に転換し、競争の促進と通信・放送の融合促進を図るべきであると提言している。
 しかし、この「横割り」体系への転換は、いわゆる「ハード・ソフトの分離」につながるものであり、文化の担い手であり国民の生活と安全に欠かすことができない地上放送の在り方に重大な影響を及ぼすものであって、我々は到底看過することは出来ない。
 これまで、地上放送事業者はハード・ソフトー体の事業形態のもとで、放送のあまねく普及に努め、基幹メディアとしての役割を果たしてきた。7年前の阪神・淡路大震災、あるいは昨年9月11日のニューヨーク・世界貿易センタービルをはじめとする同時多発テロなど大災害や世界的な大惨事が発生した際には、その公共性に鑑み、経済原則を超えて直ちに日常放送から特別報道番組に切り替えるなど国民のニーズに応えてきた。文化面でも、スポーツ・教育・教養・娯楽など多様な放送番組を責任を持って視聴者・国民に届けるという重要な使命を果たしてきた。
 提言のとおり地上放送がハード・ソフトの分離を強いられるようになれば、自由で一貫した意思によって行われてきた番組編成が阻害され、これまでのような放送の公共的使命を十分に果たすことが出来なくなり、国民生活および我が国の文化向上のために重要かつ欠かすことのできない放送サービスが一挙に壊滅する恐れがある。
 我々放送事業者は、今まさに、IT革命推進の一翼を担うべく地上放送のデジタル化という大改革に取り組んでいる。今回の提言のような大きな制度改革につながる論議を、放送事業者の意見を聞くことなく進めることに関しては、実態を無視したものとして異議を唱えざるを得ない。こうした重大な規制改革の具体策を検討する際には、放送事業者をはじめとする関係者の意見を十分に聞き、慎重な議論を重ねるべきである。


IT戦略本部「IT関連規制改革専門調査会」報告に対する新聞界の意見
(社団法人日本新聞協会 メディア開発委員会)

新 協 1427号
平成14年1月30日
内閣総理大臣・IT戦略本部長  小 泉 純一郎  殿
社団法人 日本民間放送連盟
 メディア開発委員会
  稲 田 幸 男

 社団法人日本新聞協会メディア開発委員会(新聞・通信51社の電子電波メディア担当役員・局長クラスで構成)は、IT戦略本部「IT関連規制改革専門調査会」が昨年12月6日にまとめた「IT分野の規制改革の方向性」報告に対し、別紙のとおり意見をまとめました。
 この間題につきましては、新聞界としても強い懸念を抱いております。IT戦略本部においては、本意見書の内容を十分におくみ取りのうえ、議論を進められるよう求めます。

以 上

平成14年1月30日
社団法人日本新聞協会
メディア開発委員会

IT戦略本部「IT関連規制改革専門調査会」報告に対する新聞界の意見

 IT戦略本部「IT関連規制改革専門調査会」が昨年12月6日、同本部に報告した「ITT分野の規制改革の方向性」には、通信・放送制度を「横割り」の体系へ転換することなど、わが国のマスメディアの根幹にかかわる重大なテーマが含まれている。
 専門調査会が示した方向で政府が検討を進めることに対しては、放送界から反対の意見が表明されているが、新聞界としても強い懸念を抱かざるを得ない。
 同報告は、制度転換の目標を「競争の促進と通信・放送の融合の促進」に置いているが、将来の制度の内容が具体的に示されておらず、いわゆる「水平分離」「ハード・ソフト分離」の導入が競争をゆがめ、その結果、国民に不利益をもたらすことになりかねないという重大な懸念がある。一方、「水平分離」が放送施設を保有するハード事業者と番組制作・編成等を行うソフト事業者の分離につながれば、災害・緊急時の報道等に支障をきたし、これまで地上放送が果たしてきた公共的な使命、すなわち、国民の生命、財産、生活にかかわる不可欠な情報を迅速、かつ広範に伝えるという役割が期待できなくなるおそれがある。これは言論・報道の多様性を損なうものであり、同じ報道機関である新聞界として、看過できない。
 同報告にはこのほかにも、「横割り」体系での「コンテンツ」にかかわる内容規制の導入の有無など不明な点が多い。したがって、今回提起されているテーマの結論を得るには、拙速を避け、より慎重できめ細かな議論を行う必要がある。また、このように極めて重大なテーマについては、直接の当事者である放送事業者はもちろん、多方面の関係者から意見を求め、幅広い議論を行うべきであると考える。

以 上