高度情報通信社会推進本部

個人情報の保護について(骨子・座長私案)

平成11年10月20日

T はじめに

(1)検討部会設置の経緯と検討経過

(2)個人情報保護を巡る内外の状況

(3)個人情報を保護するに当たっての考慮すべき視点


@保護の必要性と利用面等の有用性のバランス
A技術革新の進展や商取引の高度化、社会システムの高度化・複雑化等による個人情報の利用分野の拡大
Bグローバルスタンダードとの整合性

(4)個人情報保護制度の速やかな整備の必要性

U 個人情報保護制度の基本的考え方

1 個人情報保護の目的
(1)個人情報の保護は、個人の尊厳が重んじられるという人権の一部に由来しており、とりわけ、急速にネットワーク化が進む現代社会の中においては、個人情報は、個人の人格の一部として適切な保護が図られることが重要である。

(2)一方、適切な保護のルールの下、個人情報の利用、提供、流通等を図っていくことは、現代のネットワーク社会の中において利便性の高い豊かな国民生活を実現していくために必要となる社会的基盤である。また、その適切な利用等を通じて、様々な社会システムの公正さを確保し、一層の公平性、透明性の向上を図っていくことも必要である。

2 保護すべき個人情報の範囲
(個人情報の定義) 案の1自動処理される個人情報
案の2ファイリング等により検索可能な個人情報
案の3すべての個人情報
(いずれの場合も、私的目的のために私的に収集、管理されるものを除く。)

3 個人情報保護のために確立すべき原則
(個人情報保有者の責務)
(1)個人情報の収集 ア 収集目的の明確化
イ 適法かつ公正な手段による収集
ウ 収集目的の本人による確認
エ 本人以外からの収集の制限(本人の利益保護)
(2)個人情報の利用等 ア 明確化された目的以外の利用・提供の制限
イ 目的外利用・提供の場合の本人同意及び本人の利益保護
(3)個人情報の管理等 ア データ内容の適正化、最新化
イ 漏洩防止等の適正管理(処理の外部委託の場合等の保護措置を含む。)
(4)本人情報の開示等 ア 個人情報の保有状況の公開
(個人情報保護の要請が強い分野等にあっては、個別法において届出制、登録制等を検討する必要がある。)
イ 本人からの開示、訂正の求め
ウ 本人からの自己情報の利用・提供拒否の求め
(イ、ウ共通) ・原則として応じなければならない。
・期間、費用、方法
・拒否できる場合
・拒否の際のその旨及び理由の提示
(5)管理責任及び苦情処理 ア 管理責任及び責任者の明確化
イ 苦情処理・相談窓口の設置及びその適正な処理

※1 (1)から(5)の個人情報保有者に適用される原則について、次のような一定の分野に関しては、その適用関係に関し、憲法上の考え方についてさらに検討する必要がある。
(例)
・報道・出版(第21条:言論、出版その他一切の表現の自由)
・学術・研究(第23条:学問の自由)など

 また、次のような分野に関しては、(1)から(5)の原則の全部又は一部について、その適用関係に関する法制的な検討が必要である。
・国の安全、外交、犯罪捜査、その他(参考:国の行政機関の個人情報保護法)

※2 (4)の原則(本人からの開示、訂正、利用・提供の拒否の求め)について、特に立法化をする場合にあっては、これらの求めを法律上の「請求権」として構成するか、又は事業者(個人情報保有者)の行為規範とするかについて、法制的な検討が必要である。

※3 未成年者等が当事者となる場合について、一定の配慮を要することに関し、さらに検討する必要がある。

(国民の責務)
(6)国民の果たすべき役割と責務

(国の責務)
(7)国の果たすべき役割と責務 ア 必要な施策を講ずる責務 ・法律上の措置
・自主規制等の行政指導(実効性担保措置を含む。)

イ 所管業界について、各行政庁における苦情処理・相談窓口の設置

(地方公共団体の責務)
(8)地方公共団体の果たすべき役割と責務
国の施策・制度の趣旨にのっとった施策、地域の特性に応じた施策 ・条例上の措置
・自主規制等の行政指導(実効性担保措置を含む。)
・苦情処理・相談窓口の設置

V 個人情報保護システムのあり方

1 基本的考え方
・法律の整備を図るとともに、民間における業界や事業者等の自主的取り組みを促進し、全体としてこれらを組み合わせて最適なシステムとして構築することを基本とする。
案の1・全体を包括する「指針」(閣議決定等)の策定
・各分野ごとの個別法の整備(規制又はガイドライン)
・各分野ごとの業界、事業者等の自主規制等の促進
メリット
・法形式ではないので、包括的な一般指針の策定について迅速な対応が可能
・官民を通じた幅広い各分野について、分野ごとの柔軟な対応が可能
デメリット
・法形式ではないので、実効性担保の不安が指摘されやすい。

案の2・全体を包括する基本法(原則等のみ)の制定
・各分野ごとの個別法(規制又はガイドライン)
・各分野ごとの業界、事業者等の自主規制等

メリット
・原則等が法形式として明確になる。
・各分野ごとの取組みの促進が期待される。
デメリット
・法の制定に際してはさらなる法制的な検討が不可欠であり、今後一定の検討期間が必要となる。
・法の適用を除外する必要がある分野等について、さらに突っ込んだ議論と詳細な検討が不可欠となる。
※1 監督機関について

・EUにおける「データ保護庁」のような監督機関の創設は、行政改革や規制緩和のの流れに反し、困難である。

※2 登録・届出制度について
・民間の全分野を通じて漏れなく登録・届出の義務を課すことは、民間事業者に対して、本来自由であるべき事業活動を大幅に制約するとともに、大きな負担を課すこととなり、個人情報保護の重要性を考慮したとしてもなお問題が多く、また、行政コストも大幅に増大するので、我が国の現状に鑑みると現実的ではない。

※3 罰則、規制措置等について
・そもそも罰則の創設には謙抑的であるべきであり、他の手段によって実効性担保が全く期待できない場合に限り、その創設を検討することが適切と考えられること。
・分野を問わず一律に罰則等の規制措置を設けることについては、構成要件の明確化の観点から、前提として全分野を通じた登録制度や届出制度の創設が必要となる可能性が高いこと。
・登録・届出制度を前提とせず、広く薄く適用する罰則を創設した場合は、その抑止効果には限界があり、特に、違法承知のアウトサイダーに対しては十分な効果が期待できず、全体としての実効性は必ずしも高くないこと。
・一般多数の事業者にとっては自由な事業活動の阻害要因となるなど、他の保護されるべき権利・利益が損なわれるおそれがあること。
 以上のように、罰則、規制措置等の創設については問題が多く、慎重に考えざるをえない。

2 個別法のあり方

(1)個別法の整備が望まれる分野 ア 機密性が高く、かつ、漏洩の場合の被害の大きい分野については、法規制等の公的関与が十分検討されるべきであり、そのための個別法の整備について、早急に取り組んでいく必要がある。
(例)
・信用情報分野
・医療情報分野
・電気通信分野など

イ 各分野の個別法等について、U3(1)から(5)の「原則」との整合性を図るため、必要に応じて、改正等を行う必要がある。
(例)
・国の行政機関の個人情報保護法など

(2)望ましい個別法のあり方(内容、水準、実効性担保措置等) ア 内容 ・「原則」を踏まえる必要がある。
・保護の必要性と利用面等の有用性のバランスに配慮する必要がある。
・技術革新の進展や商取引の高度化等による個人情報の利用分野の拡大を考慮する必要がある。
・グローバルスタンダードとの整合性を図る必要がある。
・当該分野における個人情報の内容や収集・利用・流通の方法など、その実態に応じた公的関与のあり方を検討する必要がある。

イ 水準

・当該分野におけるこれまでの実績等を踏まえ、可能な限り高いレベルでの個人情報の保護を図る必要がある。

ウ 実効性担保措置

・必要に応じて、刑罰、行政罰、行政処分等の規制措置を検討する必要がある。

3 自主規制
(1)自主的な取組みの促進 ・法的規制については、その性質上、最低限の規範、規制を定めざるを得ないことに対し、自主規制にあっては、当該分野の保護の水準を反映した規制が可能であることに加え、先進的な取り組みを標準化することも期待できるものであることから、各分野において、保護の水準向上を目指した積極的な取り組みを促進していくことが必要である。
(2)望ましい自主規制のあり方(内容、水準、実効性担保措置等) ア ガイドライン ・行政機関が示すガイドラインの充実等を図る必要がある。
・また、ガイドラインを受けて、各業界及び各事業者が自らの課題として、積極的に個人情報保護対策に取り組むよう、その促進のための施策を講じる必要がある。

イ認証制度

・JIS等の民間認証制度の一層の活用を図る必要がある。
・プライバシーマーク等の国及び地方団体が実施している認証制度は、個人情報保護の水準の向上に大きく寄与するものであり、その充実と一層の活用を図る必要がある。

ウ 民間における紛争処理機関(NPO、ADR)の活用

・事後救済制度としては、原則中の各事業者における苦情・相談窓口の設置義務に加え、各業界等における自主的な紛争処理の仕組みの整備が望まれるところであり、これらを推奨するなどその促進のための取組みが必要である。

W 今後の進め方等

1 複層的な救済システムのあり方の検討
・個人情報の保護に係る苦情等に関しては、事業者の苦情処理・相談窓口による対応、民間における紛争処理機関の活用等を経て、それでも解決できない場合は、各省庁又は地方団体の苦情処理・相談窓口に申出られ、指導、勧告、公表等の措置が講じられることとなるが、最終的に国においてこれらを受付け、公正・客観的な立場から処理する統一的かつ第3者的な窓口の設置の検討を含め、実効性担保のための複層的な救済システムのあり方について、今後、検討を進めていく必要がある。

2 悪質な不適正処理等を行った者に対する制裁措置の検討
・「原則」に反したことのみをもって刑事罰等の制裁措置を加えることについては、慎重に考えざるを得ないところであり、今回、具体的に提言することは困難であるが、権利侵害の程度が著しく、かつ、原則違反の行為の形態等を横断的に捉えることが可能な場合等については、別途、刑事罰等の制裁措置を検討し得る可能性もあることから、将来において、検討していく必要がある。

3 法制的、専門的な検討のための「専門部会」の設置及び「担当室」の設置

4 パブリックコメントの収集