個人情報保護検討部会

第10回個人情報保護検討部会議事要旨



1. 日時:平成12年6月9日(金) 14:00〜16:00

2. 場所:都道府県会館401会議室

3. 出席者:堀部政男座長、礒山隆夫委員、浦川道太郎委員、大橋有弘委員、大山永昭委員、開原成允委員、加藤真代委員、鈴木文雄委員、原早苗委員、三宅弘委員、安冨潔委員

※岡村正委員、西垣良三委員は所用のため欠席
(法制化専門委員会)園部委員長、小早川委員長代理、高芝委員、新美委員、藤原委員
(事務局)藤井昭夫内閣審議官、小川登美夫内閣審議官、松田学内閣審議官

4. 議題:個人情報保護法制化専門委員会
「個人情報保護基本法制に関する大綱案(中間整理)」について

5 審議経過:

(1)はじめに法制化専門委員会の園部委員長より挨拶があり、小早川委員長代理より「個人情報保護基本法制に関する大綱案(中間整理)」について説明がなされた。続いて藤原委員より欧州主要国における個人情報保護の現状調査について説明がなされ、その後以下のとおり意見交換が行われた(○:検討部会委員 →:専門委員会委員等)。

○ 米−EUの協議はその後どうなっているのか。
→ 実効性確保の観点から相互に確認しあったものの、玉虫色といえる段階ではないかと承知している。
→ 合意に達したとの報道があったが、EUの実務担当者の話では、細部はまだ決着していないとのことである。

○ 「適正」、「適切」といった漠然とした表現が多いが、何か意味があって用いているのか。
→ OECD8原則など国際的に使用されている表現を参考にしたものである。また、各規律の性質を考慮して表現を変えている。

○ 「苦情等の処理」については、国、事業者、地方公共団体がそれぞれ行うこととなっているが、これは検討部会中間報告における「複層的な救済システム」を意識したものか。
→ そのとおりである。「苦情等の処理」は、一元的ではなく、各主体がそれぞれできることをやるべきではないかと考えている。

○ 「8その他」については、どの程度議論されているのか。
→ 適用対象範囲については、関係省庁及び関係団体等からのヒアリングも行いながら、検討を進めていきたいと考えている。第三者的な苦情・紛争処理機関については、行政改革等の流れもあり、まだ結論が得られていない。また、刑罰についても、基本法制に関する大綱案を議論する中では、構成要件をどうするかといった具体的な刑罰の議論はしにくいという事情もあり、引き続き検討することとなっている。

○ 事業者の形態等により個人情報の取扱いは相当多様であることから、企業の実務を十分に踏まえて検討するべきではないか。罰則付きの規制とするのであればなおさらである。また、コスト高になれば消費者に転嫁されることとなる。自己規律を中心とする方向で検討してもらいたい。

○ 事前規制よりもむしろ事後的な紛争処理に重点を置いて、迅速に問題の解決が図られるようにすべきではないか。

○ 「5(7)個人情報の処理等に関する事項の公表」については、委託者の名称等も公表事項に含まれているが、むしろ公表することによって委託先が狙われ、安全が確保されなくなるおそれもあるのではないか。

○ 「5(3)内容の正確性の確保」については、本人が正確な情報を提供しない場合もあり、事業者が常に正確性を確保することは極めて困難であることから、何らかの配慮が必要ではないか。

○ 医療分野における個人情報については、官民に差はないはずである。米では、診療情報については別途の措置が講じられており、我が国においても別法によるべきではないか。なお、医療関係の個別法を作るのであれば、整合性を図る意味で基本法制においてその旨を明確に規定する必要があるのではないか。
→ 医療情報等の個別法については、「4(1)既存法令の見直し等」において「特定の個人情報又は特定の利用方法であるため、・・・」の部分で表現している。
→ 診療情報については、行政機関の個人情報保護法を制定する際にも相当議論のあったところである。教育情報なども含め、官民で同じ性格を有する個人情報をどうするのか、今後検討する必要があるのではないか。

○ 「個人の権利利益を侵害するおそれの無いことが明らかな場合」に当たるか否かについては、事業者と消費者とで見解の相違があり得るのではないか。

○ 基本原則が「絵に描いた餅」にならないよう、実効性を担保していく必要がある。

○ 専門委員会における関係団体等のヒアリングについて、ヒアリング対象を広げるなどヒアリングを希望する団体等の意見をできるだけ幅広く聞いてもらいたい。

○ 「5(5)安全保護措置の実施」における「個人情報安全管理者」とは何か。現場サイドに置くことを想定しているのか。それともコンピュータ処理部門等に置くことを想定しているのか。
→ まだ具体的な議論はしていないが、実務を踏まえて検討していきたい。

○ 「2定義」の(注)において、「マニュアル処理のうち検索可能な状態で保有されているものを含む。」とあるが、欧州主要国において「検索可能」という限定は有効に機能していると考えているか。
→ マニュアル処理については、EU指令が12年間の猶予規定を置いていることからもわかるとおり、各国とも苦心している。ただ、マニュアル処理のうちどのようなものが問題であるかは、社会通念上、検索可能性とは別に、関心のある関係者には明らかになると考えられているようである。

○ EU指令では報道と学術は適用除外とすることが認められていると承知しているが、欧州各国ではこれらを一律適用除外としているのか、それとも個別の規律ごとに除外しているのか。
→ 特に、メディアについては、個別の規律ごとに除外している。特に管理、救済に重点を置いて、規律を適用しようと努力しているようである。

○ 苦情等の処理について、欧州調査において、実効性のある措置を図るためのサジェスチョンは何かあったか。
→ 苦情等の処理については、独のように実務を知っている者を重視し、組織内部に管理者を置く方式と仏のように権威ある委員会が指導・監督する方式の二つの方式がある。英は、管理者を現場の近くに置くことにより早く問題を吸い上げられるという点で独に注目しているようである。

○ 「個人情報安全管理者」の配置等を義務づけるとすれば、自主的な取組を促進するという検討部会中間報告における枠組みを修正することになるのではないかと思われるが、法制的な観点からの検討を進めていく過程で、検討部会中間報告における枠組みを修正せざるを得ないと考えている部分はあるか。
→ 基本的には中間報告の枠組みを維持している。「事業者が遵守すべき事項」についても、義務規定とすること等を含め、その法的強制の程度について、規律ごとに引き続き検討することとしている。

○ 本法制の対象とならない、検索不能なマニュアル処理の個人情報とは、どのようなものがあり得るのか。
→ 例えば、経理伝票や引越しなどの注文伝票は日付別に保管されていることから、個人名では検索できない個人情報の例といえるのではないか。

○ 「6地方公共団体の措置」について、自治体間の差が大きいこと等を考慮すれば、努力義務ではなく、基本法制の考え方を各自治体の条例において規定すべきであるという方向性を明確にすべきではないか。
→ 地方分権の流れもあり、規定ぶりも含めて、今後検討していきたい。ただ、自治省の調査でも、個人情報保護に関する条例の制定団体は全体の半分にも満たない状態であり、何とかしなければならないのではないか。

○ 「5(8)開示、訂正等」については、請求権とするのか。
→ 民事上の権利を創設することについては専門委員会でも非常に議論のあるところであり、請求権として基本法制に書けるのかどうか、さらに慎重な検討が必要だと考えている。

○ 罰則については、保護法益が何なのかなどと考えると、直罰は難しいと思うが、間接罰など広い意味での制裁を検討してみても良いのではないか。

○ 個人情報の利用という観点から見れば、本人にとって利益になることもある。個人情報を保護した上で、どのように流通させることができるのか、どのレベルの措置を講じれば流通させて良いのか議論する必要があるのではないか。

○ 「3(5)透明性の確保」において、「可能性」という文言を用いた理由は何か。
→ 基本原則の段階では抽象的な表現に止めざるを得ないため、「可能性」という文言を用いたものである。

○ 「5(1)利用目的による制限」において、「利用目的の通知」とあるが、相手方の了解を得るということもあるのではないか。
→ 「利用目的の通知」は透明性確保の一環と考えている。相手方の同意又は了解の有無については、次のレベルの話であり、各論で考えるべきものと考えている。

○ 「5(8)開示、訂正等」において、「一定の場合」とあるが、これは(注)が整理されれば、それに応じた表現に置き換えられるということか。
→ 要件が確定すれば、置き換えられるものと考えている。

○ 子どもからの不当な取得については、議論の対象にならなかったのか。
→ 「適正な方法による取得」の「適正な」という表現の具体化の問題ではないか。後は解釈に委ねることにするのか、さらに表現を具体化するのかという問題は残っている。

○ 行政機関の個人情報保護法の改正の方向性を明確にするべきではないか。

○ アウトサイダー規制の実効性を担保するため、罰則や勧告・公表等何らかの制裁措置を講ずる必要があるのではないか。

○ 検討部会中間報告に対して提出されたパブリック・コメントは、法制化専門委員会で参考にされているのか。
→ 各専門委員に配布されている。

(2)最後に、園部委員長から検討部会委員に対する謝辞が述べられ、閉会となった。

* 本議事要旨の内容については、事後に変更の可能性があります。また、詳細については、別途公開される予定の議事録で確認して下さい。


配布資料