高度情報通信社会推進本部

第6回個人情報保護検討部会議事録

1 日 時:平成11年10月6日(水)14:00〜18:20
 
2 場 所:総理府地下講堂
 
3 出席者
(委員)
堀部政男座長、礒山隆夫委員、浦川道太郎委員、大橋有弘委員、大山永昭委員、開原成允委員、加藤真代委員、須藤修委員、西垣良三委員、三宅弘委員、安冨潔委員
(事務局)
竹島一彦内閣内政審議室長、小川登美夫内閣審議官
(日本放送協会)
報道局編集主幹・報道局取材センター長事務取扱御手洗 正彦
総合企画室〔経営計画〕統括担当部長大島 敏男
(日本民間放送連盟)
日本テレビ放送網報道局次長石井 修平
東京放送報道局編集主幹植田 豊喜
テレビ朝日報道局コメンテーター室長代理渡辺 興二郎
フジテレビジョン報道局解説委員長船田 宗男
テレビ東京報道局次長藤延 直道
(日本雑誌協会)
日本雑誌協会専務理事乾源  哉
小学館取締役・日本雑誌協会取材委員長五十嵐 光俊
講談社取締役・日本雑誌協会取材副委員長杉本 暁也
文芸春秋第一編集局長・日本雑誌協会編集委員会委員中井   勝
新潮社総務部部長・日本雑誌協会編集委員会委員宮沢 徹甫
小学館編集総務部次長・日本雑誌協会編集倫理委員会委員山  了吉
集英社編集総務部部長代理・日本雑誌協会編集倫理委員会委員永井 英男
光文社編集総務部長・日本雑誌協会編集倫理委員会委員橋本 秀紹
(新聞・通信8社(日本新聞協会))
朝日新聞東京本社編集局次長鈴木 規雄
朝日新聞東京本社総合研究センター主任研究員松浦 康彦
毎日新聞東京本社編集局次長朝比奈 豊
読売新聞西部本社論説委員・編集委員鶴岡 憲一
日本経済新聞社編集局次長兼社会部長秋吉  穫
産経新聞東京本社編集局次長兼社会部長高尾 元久
共同通信社社会部長古賀尚文
 
4 議 題:報道機関ヒアリング

【堀部座長】お待たせいたしました。ただいまから、高度情報通信社会推進本部個人情報保護検討部会第6回会合を開かせていただきます。

 本日は、都合によりまして岡村委員、鈴木委員、原委員が御欠席という連絡が入っております。

 早速、本日の議事に入らせていただきます。お手元の議事次第にございますように、本日は報道機関からのヒアリングを行いたいと思います。日本放送協会、日本民間放送連盟、日本雑誌協会、新聞通信8社からヒアリングを行うという予定になっています。

 それでは、最初に日本放送協会からヒアリングを行いたいと思います。本日は御多用のところおいでいただきましたありがとうございます。

 まず、出席者を紹介させていただきます。
報道局御手洗編集主幹です。
総合企画室[経営計画]大島統括担当部長です。

 本日は、よろしくお願いいたします。では、早速説明をお願いしたいと思います。

【大島部長】それでは、説明させていただきます。資料を既にお配りしていますが、最初にNHKの業務などについて若干触れさせていただきます。

 NHKは放送法によって、豊かでかつよい番組をあまねく全国で受信されるように放送することを使命としています。併せて放送及びその受信の進歩・発達に必要な業務などを行うことになっていまして、そうした報道機関、放送事業者としてのNHKの経営の自律性、中立性を財政面から担保するものとして受信料があります。

 放送法はその目的の1つとして、放送による表現の自由を確保することを挙げています。憲法21条で保障された表現の自由を現実のものにする、そういうものとして放送があります。

 一方、個人情報保護の要請も今日的課題として十分理解できることであります。放送法でも「公共の福祉に適合」ということがうたわれています。後で詳しく申し述べますけれども、今日は表現の自由、それに由来する報道の自由や取材の自由を通して、国民の知る権利にこたえるという我々の使命と、個人情報の保護という2つの価値の調和、均衡はやはり自律的に実現すべきだという立場に立って御説明し、御理解を賜りたいと思います。

 資料に沿って御説明します。まず、NHKの保有する個人情報についてです。放送という事業の運営にはさまざまな情報が必要です。その中でも、直接放送に使用することを目的としない、もしくは放送以前の段階の情報で、しかも比較的システム化された情報について御説明しますと、公共放送のNHKの場合、最も大きなものは受信契約にかかわる個人情報です。放送法に基づいて、NHKの放送を受信できる受信設備を設置した視聴者はNHKと受信契約をしなければならないとされています。このことから、NHKは受信契約者に関する(1)のような個人情報を保有しています。このうち契約種別といいますのは、衛星放送を含むものなのかといったことです。これらは受信料を集める収納業務の遂行に必要不可欠な個人情報です。5,000万件という数字がありますけれども、この中には

 ホテルなどの事業所も含まれています。

 これらの個人情報はコンピューターによる電子情報として管理していますけれども、この情報システムのアクセスは後で述べますガイドラインに沿って専用端末に限定しています。個人に配備している端末ではアクセスできません。また、アクセスできるものも担当者を中心に登録した者に限定しています。例えば、私にはその権限はありません。

 次に、世論調査に関する個人情報です。御承知のように、NHKは毎年さまざまな世論調査を実施しています。放送法の44条では、「協会は公衆の要望を知るため定期的に科学的な調査を行い、かつその結果を公表しなければならない」と規定されています。国民の生活実態と、政治・経済・社会に対する意識のありようを客観的に把握し、ニュースや番組の編成・制作の基礎データとして活用しています。世論調査に伴って資料のような個人情報が蓄積されるわけですけれども、例えば調査票には名前を載せずに調査対象者一覧との照合は番号のみで行うなどの慎重な手順を踏んでいます。また、調査結果データは完全に数値化されたもので、個人を特定できる情報は含まれていません。

 2ページ目ですが、NHKにはまた日々さまざまな意見や要望が寄せられています。現状は資料に記載したとおりですけれども、全体から見ますと名前などを明らかにする人はむしろ少なく、匿名が多いのが実態です。近年は、番組のホームページに意見などが寄せられるケースが多くなっています。

 4番目として、取材・制作過程にかかわる個人情報です。資料のように著作権に関するもの、出演料の支払いに伴うもの、それから人物データベースです。このうち人物データベースは放送に出演した方を中心にさまざまな分野で活躍されている人、その道の専門家、著名人の情報を収集したものです。方法としては、NHK内での使用を条件にアンケート形式で御本人に記入していただき、その情報をデータベース化しています。アクセスしようとしますと、最初の画面に「人物情報は取り扱いを誤まるとプライバシー侵害のおそれがあります。NHKの放送以外に使用することは禁止します」という表示が出て注意を喚起しています。

 3ページ目です。次に、これらの情報をどのような方針・指針の下に扱っているのか御説明します。受信料は、NHKの財政のほとんどすべてを賄う財源です。財政面でNHKの自律的な経営を担保する基盤です。受信契約に伴う個人情報の保護について、NHKでは昭和62年に自主的なガイドラインを策定しました。その後、平成元年に施行された「行政機関の保有する電子計算機処理に係る個人情報の保護に関する法律」の趣旨を踏まえて改定しました。

 それが今、席上にお配りしていますお手元の「営業活動と個人情報保護」です。この54ページを開けてください。ここには取扱いの指針があります。収集、利用・提供、適正管理、そして55ページですが、開示訂正と、この4点にわたって個人情報保護の方針を明らかにしています。この冊子はこの方針の考え方や背景、そしてこの方針に沿った実務処理について詳細に解説したものです。現在、更に電磁的記録媒体の普及やネットワーク化など、その後の情報化の進展に対応して一段の見直しを進めているところです。例えば、情報のファイル伝送を禁止するとか、CD−ROMの保存と廃棄の基準を新たに設けるといったことです。これによって、今日の情報環境に十分適応した個人情報保護の一層の強化を図ることにしています。このガイドラインによって、公共放送としての責任と自覚に基づいて細心の注意を持って営業活動を続けているわけです。

 ちなみに、受信契約に伴う個人情報が漏洩した事故やプライバシーの侵害が問題になったことはありません。

 インターネットのメールによる意見や要望の扱いですけれども、視聴者から自発的に寄せられる意見や要望は、ものによっては番組制作担当者や委託先の外部の番組制作会社に転送されて番組の素材になったり、番組づくりに反映されることがあります。したがって、その過程で漏洩などの事故がないよう、運用とハードの両面で流出防止を目的としたガイドラインを目下作成中です。

 次に、ニュースや番組の制作過程にかかる情報ですけれども、この資料でお示ししたようなシステム化された情報は言わば補助的な情報で、これがあればニュースや番組が成り立つという性質のものではありません。ニュースや番組の核心となる情報は、システム化になじまないものであることが普通です。肝心な情報であればあるだけ、個人や小人数で抱え込むというか、管理しているのが実情です。

 こうした実態を踏まえて、NHKでは取材や制作の実践的な手引きとして、お手元に配布した「NHK放送ガイドライン」などを作成しています。ガイドラインの前提となるのが、ニュースや番組のあるべき姿の指針としての、やはりお手元に配布した「国内番組基準」、更には「放送倫理の確立に向けて」というものです。このガイドラインでは、隠し撮りあるいは隠し録音は原則として行ってはならないとか、プライバシーに配慮してやむを得ずぼかし、モザイクなどの映像加工を行う場合の留意点、それから問合せや苦情、抗議などへの対応など、基本的な心構えを解説しています。この放送ガイドラインは、NHKの全職員に配付しています。また、職員研修の一環として取材制作現場の新人、中堅、ベテランの職員に対して、毎年計画的にさまざまな実践的な研修を行っています。これらを通して、名誉毀損やプライバシーなどの問題について慎重な扱いを徹底させるとともに、取材源の秘匿や公共放送としての公平、公正な立場の堅持、品位の保持などに努めているところです。

 4ページ目です。法制化への要望ということで申し述べたいと思います。まず報道機関、放送事業者としての基本的な考え方から述べます。報道の自由は憲法21条の表現の自由に由来し、取材の自由と一体不可分です。報道機関は憲法で保障されたこの報道の自由、取材の自由を通して国民の知る権利にこたえることを最大の使命としています。

 一方で、プライバシーの権利も判例の積み重ねや学説で認められてきており、そこから更に個人情報の保護が今日的な課題となっているのも十分に理解できることであります。しかしながら、この2つの権利とか価値はどちらか一方が他方に絶対的に優越する関係にはありません。その優劣はあくまでも個々具体的なケースに即して判断されるべきであると考えます。

 取材・制作の現場では、知る権利にこたえる使命と、人格権・プライバシーの保護という2つの価値の狭間で事実の正確な把握と報道に努めているということをまず御理解願いたいと思います。そして、現実に放送に対する苦情が寄せられた場合、第一義的には放送事業者が真摯に受け止めて解決すべき問題だと考えます。

 しかし、それでも放送による権利侵害の問題などで申立て人との話し合いがつかない場合、相容れない場合には、NHKと民放で共同で設立した「放送と人権等権利に関する委員会(BRC)」で審議していただき、その勧告、見解については重く受け止めて自主的に対応することにしています。

 そういったことを御理解いただいた上で、さて個人情報保護ということでこれをマスメディアも含めて包括的に法制化し、適用するとしたらどうでしょう。例えば、OECD理事会勧告の8原則にのっとって考えた場合、取材や制作にさまざまな規制が加わってくるおそれが生じます。まず、収集の制限を徹底しますと事前取材や周辺取材、あるいは本人以外からの裏付け取材が困難になって、事実の正確な報道という最も基本的な要請にこたえられなくなる懸念が生じます。また、利用制限の原則は第三者が収集した情報を報道に使用することが困難になることも考えられます。

 もしかしたらもっと重大なのは、公開の原則と個人参加の原則です。公開の原則に従って、マスメディアがその保有する個人情報の存在や利用目的を明らかにすることは、言わば取材内容の一部を常に明らかにすることにもなりかねません。それは情報提供者との信頼関係を損なう結果にもなります。取材源の秘匿にもつながる問題と考えます。公開の原則は、マスメディアの生命線であるこうした信頼関係を脅かすおそれがあると考えます。

 更に、個人参加の原則によって自己のデータに関する開示請求権や異議申立権が認められますと、放送前のニュースや番組に対する試写とか内容の修正、削除等を求められる可能性が生じてきて、取材・制作過程への不当な干渉、介入につながりかねません。そのことを強く危惧するところです。つまりは表現の自由、報道の自由、そして取材の自由や編集権にかかわる問題だと思います。

 したがって、マスメディアも対象に以上のような原則を権利として法制化することは、マスメディアの表現の自由への、しかも表現内容そのものへの法的規制を承認することにつながりかねません。その意味で、マスメディアに対する個人情報保護の要請を法的義務として導き出すのは慎重の上にも慎重でなければならないと考えるわけです。繰り返して申しますけれども、マスメディアに対する個人情報の保護の要請を法的義務として導き出すのは慎重の上でも慎重であってほしいと思います。

 仮にヨーロッパのように個人情報の包括的保護法を制定した上でジャーナリズム目的を適用除外とする方法を取った場合には、今度はジャーナリズム目的に該当するか否かの判断をだれが行うのかという大きな議論を呼ぶ問題が出てきます。ジャーナリズム目的か否かを公権力の判断にゆだねるような事態になりますと表現の自由、そしてそのことからきます多様な情報の自由な流通という、公共の利益にとって致命的な影響が出かねません。表現の自由に由来する報道の自由、取材の自由と個人情報保護との調和、均衡はやはり国民とマスメディア自身によって自律的に実現されるのが望ましいと思います。そして、両者の価値が衝突した場合の比較衡量は、あくまでも個々の具体的な事案に即して判断し、繰り返すようですけれども、第一義的には放送事業者が真摯に受け止めて対応すべきです。仮に話し合いがつかない場合には、BRCなどでの審議などにゆだねるべきだと考える次第です。

 NHKとしましては、平成8年にNHKと民放で策定しました放送倫理基本綱領にありますように、放送に対する視聴者、国民の信頼を得るため、何者にも侵されない自主的、自律的な立場を堅持して、取材・制作の過程を適正に保つことに努めてきましたし、今後も努めたいと考えています。

 資料にありませんけれども一言、世論調査に関連して申し添えたいと思います。これは利用制限とのかかわりですけれども、住民基本台帳、有権者名簿の公開・閲覧は従来どおり続けてほしいと思います。世論調査の信頼性は調査サンプルに依存しています。国民の代表として偏りのないサンプルが得られる名簿は住民基本台帳と有権者名簿に限られています。仮にこれらの台帳や名簿が利用できない場合、世論調査の信頼性、客観性は失われて、国民の意識や考え方を正確に把握する方法としての世論調査は成り立ちません。根拠のない世論調査結果が流布された場合の影響の大きさは言うまでもありません。科学的な世論調査を行うことを冒頭の世論調査のところでも説明しましたが、NHKは求められております。こうした科学的な世論調査を行うためにも住民基本台帳や有権者名簿の公開・閲覧は従来どおり続けていただきたいと考えます。以上です。

【加藤委員】いわゆるNHK本体の周辺に大変たくさんの出版社とか、それからビデオをつくっている会社とか、いわゆるNHK系列のビジネスがございますね。そういうところからビデオとか本とかクラブへの勧誘とかというのが来るのですが、あれは受信者台帳を適宜利用させているのではないかという疑問があるのですが、その辺のことはどうなっているんでしょうか。

【大島部長】それはここで御説明しています、受信規約に伴う個人情報、これを流用していることはないということです。

【堀部座長】具体的な事例はありますか。

【加藤委員】あります。そうすると、それはではNHKの系列のビジネスが独自に別のルートで、例えばAさんなりBさんを摘出して売込みをしているということでございますか。

【大島部長】一般的には御説明したとおりなんですが、ちょっと個々具体的なケースでないとそれがどういう経路で入手したものなのかどうかということについては、ここで正確なお答えはできかねると思います。

【加藤委員】しつこくて申しわけないんですが、そうすると具体的にそういう事例の苦情がきたときにNHKさんに折衝すれば調べると、そういうことでございますか。

【大島部長】その個々具体的なケースを教えていただければ、あるいはまた視聴者ふれあいセンターという窓口もありますし、その前にその関連団体に接触されるのもあるかもしれませんが、NHK本体としては視聴者ふれあいセンターという電話の窓口がありますし、そういったところでまず聞いていただければ対応できると考えます。

【大橋委員】2点ほど確認させていただきます。1点はこの資料の5ページ辺りが中心になると思いますけれども、包括的保護法の問題ですが、基本法といいますか、非常にオーバーロールな基本的な理念を求めた基本法も必要ないというふうに理解してよろしいでしょうか。必要ないというふうに考えると。個別法の規制の厳しいものではなくて今、我々は個人情報の保護の空白部分が、できるだけないようにしようという趣旨で議論しているのですが、必要はないというふうに考えると一つの大きな個人情報保護の空白部分にならないか。基本法ですら要らないか。これが1点です。

 それから、2点目は住基法の台帳の話ですけれども、住基法の改正の審議過程で報道関係から個人情報の民間利用とか、漏洩の問題に関して厳しい指摘があったというふうに理解しております。そうしますと、今の例えば世論調査のときに住基法のデータを活用するということは、私は住基法の理念からすれば可とする、不当な目的ではないというふうに理解しますけれども、あの法律の中では民間においては利用せしめないというふうに明確に記述されていますね。その場合に、NHKさんはそのときの民間に入るのかどうか。それが住基法からデータをもらい、それをNHKさんが使ってもいいというふうに理解するのかしないのか。その2点をお願いしたいと思います。

【大島部長】最初の1点ですけれども、この検討部会でどのような形で具体的な提案がなされるのか、それを見た上で判断したいと最終的には思いますけれども、一般的に言って法的強制力といいますか、法的制裁を伴わない宣言的な、あるいは倫理条項的な、そういったものであるとすればそれは直ちに反対だということにはならない。十分に検討したいと思います。

 2点目ですけれども、住民基本台帳法では何人も市町村長に対して住民基本台帳の閲覧を請求することができる。理由を明らかにするかどうかは自治省令で定める場合に基づくと、こうあります。ですから、お尋ねのようにNHKだからということではないというふうに理解していますけれども。

【堀部座長】多分今の点で質問とお答えとが少し違うところがあると思うのですけれども。

【大橋委員】少し質問と答えがずれていると思うのですけれども、住基法の趣旨からすれば何人でも閲覧できるわけだし、写しの交付を求めることができます。不当な目的でない限りということで、今の段階ではNHKさんが受信料あるいは世論調査ですか、そういうときに住基法の閲覧を求めるのは可、是であるというふうに解釈されて今まで実行されてきたと思います。これからもあると思います。

 ただ、住基法の改正法の中には、民間においては基本4情報と住民票コードを含めて利用させない、使わせない。それから、民間もそれを求めてはいけないというふうに記述されています。ですから、そういう意味では従来どおり窓口に行って紙の閲覧をしてくるというのは構わないのかもしれない。けれども、住基法のネットワークによってデータを入手することはだめと、そういうふうになるのか。それとも、NHKさんはそのときに民間には使わせないという民間に入らないのか。その点なのです。

【大島部長】新しい住民基本台帳法に基づく番号システムで、全体がコンピュータによって管理される。そのシステムを利用して、一発で住基法台帳全体を見ることができるようになるのかどうかという問題と、あるいは今のとおり一々足を運んで写してくると。いずれにしても、やはり科学的な正確な世論調査をするためには是非NHKが民間だから、そうでないからとか、そういう理由ではなくて、そういうことではなくて是非御理解賜りたいというふうに思います。

【堀部座長】恐らくこれは昭和60年、1985年の住民基本台帳法の改正のときに世論調査がやりにくくなるという議論と関連していて、私は自治省の委員でしたので随分各方面から要請を受けました。NHKが世論調査をする場合というのはそのときの話だと思います。今度の改正の住民票コードなどの民間での利用の話ではないということだと思います。そこはそういう形で利用しようということまでは触れていなかったというふうに理解しました。

【三宅委員】マスメディアに対する個人情報保護の法的義務化は慎重の上でも慎重であるべきであるという、そこの点についてちょっとお伺いしたいのですが、取材を受けたり番組に出演依頼を受けたときに名刺をいただくと、NHK本体の記者さんの場合と、それから関連企業の、例えばエンタープライズとかいろいろございますね。そういうところの番組制作担当者としてのディレクターの方とか、いろいろいらっしゃるわけですね。今日のこのレジュメの中のマスメディアというものの定義ですが、先ほども加藤委員からお話が出ましたけれども、NHKの関連子会社というのでしょうか、その辺りも含めて適用除外にすべきであるという御趣旨なのかどうか。

 それから、NHKの場合はかなりはっきりしていると思うんですが、報道機関で活字メディアの場合、大きな新聞社から小さなほとんど1人か2人でつくっていらっしゃる雑誌の会社までございますが、マスメディアと今日お書きいただいているメディアの定義ですね。言わば報道機関の定義ということにもなるのでしょうが、仮に適用除外にしようとするとその辺の線引きをどうするのかという問題が出てくると思うんですが、その辺についてはいかがお考えでしょうか。

 それから、それに関連して諸外国、特にヨーロッパ等の法制化、個人情報保護についての法制化でのメディアと報道機関の適用除外等について何か比較研究みたいなものをなさっているのでしょうか。もしなさっていれば、その辺についての研究成果等も御報告いただけるとありがたいのですが。

【大島部長】お答えします。最初の1点ですけれども、例えばNHKエンタープライズのようなところですが、NHKの委託によってこの番組をNHKと共同でつくっているといったケースだと思いますけれども、それはやはりNHKと分けて我々としては考えていない。したがって、例えば放送倫理に関する体制ということで「放送倫理の確立に向けて」という資料を配付していますが、そこの一番最後に倫理委員会というところがありますけれども、ここにもNHKエンタープライズ21とかNHKエデュケーショナル、NHK情報ネットワークというところが参加して我々の番組基準、それからガイドラインに沿ってその番組をつくるように、そういうマニュアル面でも徹底を図っております。

 それから2点目のメディアの線引きですが、これは我々の方から何かここまでというふうに言うたぐいのものではないのではないか。その点でちょっと差し控えさせていただければと思います。ヨーロッパの実情については一通り勉強はしたつもりですが、ここで何か改めて発表あるいは御説明するほどの材料は今、持ち合わせておりません。

【三宅委員】一番最初に受信契約者関係とか、そのもっと前ですかね、1枚目のところで世論調査の個人情報の前に受信契約者に関する個人情報というのがございますが、個別の取材にかかわるような個人情報データと、例えば受信契約者に関する個人情報というのはほかの一般民間企業等でも通常持ち得る、特に銀行さんなどで言えば持ち得るような関係のデータ、同旨のデータとも言えるんじゃないかと思うんですが、仮に適用除外というのを考えた場合、その受信契約者に関する個人情報のデータというものと、NHKの中にある取材関係のものを分けて、取材関係のものは適用除外にするけれども、受信契約者に関する個人情報等は基本的な個人情報保護法の適用対象にするというようなことは社内的に見て、社内でいろいろ個人情報やさまざまなものに接しておられていて明確に区分ができるのかどうか、その辺はいかがでしょうか。

【大島部長】御発言の御趣旨はわかります。

 ただ、我々としては冒頭でも御説明しましたように、受信料というのはNHKの財政のほとんどすべてを賄う財源で、しかも報道機関としてのNHKの自律的、中立的な経営を担保する財政的基盤であるわけですからその受信料と、あるいは報道、放送の部分と截然と区分けをして考えてはいただきたくないといいますか、截然と分けては考えられないのではないかというふうに我々としては思うわけです。

【大山委員】プライバシー保護を図るというために自主的な規制をしているということは良く理解いたしました。具体的なものとして、ガイドライン等をつくっているということも適切な措置であるというふうに考えます。

 そこでなのですが、実質的なガイドライン等の自主規制の効果を上げるために、例えば職員の研修とか、あるいは外部からの監査とか、いろいろなことがあると思うのですが、具体的にどのようなことを行っているか、あれば教えていただきたいというのがはじめの質問です。それからもう一点は、そういったことで今までの経験を踏まえていただいてよろしいかと思いますが、一般的に自主規制の効果というものの効力を担保するということが最近言われていますが、この点についてお考えがあれば教えていただきたいと思います。

【御手洗編集主幹】ガイドラインに沿って報道が行われているかどうかということでありますが、言葉として誠に申しわけございませんが、我々はそれに沿って仕事を進めているわけでありますが、一般的に職場ではいわゆる自主規制という言葉は使っていなくて、しかしガイドラインは守っていこうということであります。そのためにいろいろな場で研修といいますか、NHKの場合、研修センターを持っておりますが、そこでいろいろなテーマを決めて全国から職員を集めて、そのテーマに沿って20、30人、多いときで100人、いろいろなランクでいろいろなテーマでやっております。これは年間を通じてやっております。そういうことを通じて番組基準並びにガイドラインの徹底ということを図っております。

 と同時に、これはマスコミとして当たり前のことでありますが、日々の業務の中でデスクなり責任者が責任を持ってそういう観点で指導育成をしていくということでやっております。

 それで、監査というお話がございました。報道業務、放送業務について外部的な監査はないと思いますが、内部で業務監査という組織がございまして、並びに考査室という組織がありまして、例えば考査室に行きますと24時間ラジオ番組、テレビ番組をモニターしてしかるべき考査の人間が気が付いたところをチェックして現場に返していくといったことをやっております。また、業務監査についてもそういった基準にのっとって適正に行われているかどうか、これは折々に監査をしているという状態でございます。

【堀部座長】そうしますと、番組審議会というのはどういう位置付けになりますか。外部だと思いますが。

【御手洗編集主幹】そういう意味では、監査という視点からはちょっと外れますが、いろいろな番組については当然地域の番組審議会並びに中央番組審議会ということで有識者から意見を聞いて、番組や放送内容に反映するように努力しているところであります。

【浦川委員】先ほど出た質問ともかかわりますが、取材の自由や報道の自由が尊重されるべきであり、そのために個人情報保護法の在り方を大変深刻に考えているという御趣旨はよくわかりますし、それは正しいことだと思います。

 ただ、問題は、マスコミ報道を除外した場合でも、いわゆる包括立法について適切だとは思わないという御意見のようですが、それはいわゆるヨーロッパ型の包括的個人情報の在り方も適切ではないという趣旨なのでしょうか。例えばドイツは包括的な個人情報保護法を持っているわけですが、そのようものも適切ではないというお考えなのか。そう主張される場合には、ドイツで個人情報保護の在り方と報道の自由との間で何か具体的な対立の事例があるのかどうか、それについてお教えいただきたいと思うんです。もしそうでないとすると、包括的な法律に反対だというのは結論を急ぎ過ぎているんじゃないかと私は思うんですが、いかがでしょうか。

【大島部長】お答えします。その包括的な保護法については慎重の上にも慎重に考えていただきたいと申したのは、この検討部会でどういった内容の包括的な保護法が仮に出るのか、そこはまだ分かりません。包括的と言っても、先ほど言いましたように宣言的なもの、あるいは倫理条項的なものも考えられるでしょうし、薄く網をかぶせるとか、そういったものもあると思います。そして、ここで言っていますのは、マスコミを除いた上の包括的ということを想定して、それについても言及したというわけではありません。

 それからドイツの例について言いますと、一通りの調査はしましたけれども、今ここで先ほどどなたかにお答えしたように、ここで御説明できるほどの事例は今、私は持っていません。

【大橋委員】先ほどの回答の中で確認させていただきたいことが1つあります。受信料の徴収事務と番組制作は表裏一体でなかなか截然と区分できないという話があったと思いますけれども、この営業活動の資料の手引き、取扱い指針でしょうか、ここには営業における場合の個人情報保護については開示訂正権が規定されていますね。ですから、ここでは恐らく営業におけるですから、受信料関係の情報については個人が開示請求できる。

 ただ、先ほどのメイン資料の5ページでは、そういう意味では制作に重点を置いた話だったと思いますけれども、開示請求もおのずと制限があるという話があったと思います。そういう意味では、そこのところが截然と分かれていないとこの2つが矛盾してしまうと思うのですけれども、どうでしょうか。

【大島部長】御指摘の受信契約にかかわる個人情報の開示請求については、あくまでも自主的、自律的に対応しているわけですね。そこのところを御理解いただきたいと思うんですが。

【加藤委員】その関連なんですけれども、NHKさんが取材する場合の報道の自由を守るための場合と、それから営業活動というのはどうもそれを一緒にしていいというふうには私はちょっと考えにくいので、そのほかの企業、マスメディア以外の企業の皆さんがデータベースとして構築しているのとなぜ違うのかということをもう少し丁寧に御説明いただきたいんですけれども。

【大島部長】受信料の収入はNHK公共放送、報道機関としてのNHKの唯一ほとんどのすべての財源です。その報道機関としての基盤を形成するものですから、我々としてはそこは截然と区分けして考えていただきたくないということで、それはいろいろな御意見があるということはわかります。

【加藤委員】NHKさん以外の、例えば物販会社にしても、良心的に事業展開していれば、これはやはり非常に大事な名簿であるから、それはNHKさんと同じ思いだと思うんですが、そこがどうしてどう違うのか。根拠というか、NHKがこういう法律でこうだからこういうふうに普通の営業の物販業者とは違うんだよということを御説明いただきたいんですけれども。

【大島部長】ですから、報道機関、放送事業者として自律的、中立的な経営、運営を担保する唯一最大の財政基盤なわけで、おっしゃることも理解できますけれども、そういう点であくまでも受信契約にかかわる個人情報についても自律的に保護を徹底し、開示請求についても対応していきたいと、そう願えればというふうに思っております。

【堀部座長】加藤委員の意見は意見としてということで承りたいと思います。

【西垣委員】国民の知る権利とプライバシー保護が、一方が他方に絶対的に優越をしない。これは私も大変よく理解できるわけですが、そういった観点からすると、例えば実際のその報道の結果として本当にプライバシーが侵害されたことがないのかどうかというような点の審査というんですか、それを客観的に審査するようなシステムというのを持っておられるのであれば、お示しいただければと思いますし、もしお持ちでないとすれば、そういったものをお持ちになるということについてのお考えはどうなのかということをお聞きしたいと思います。

【大島部長】現在、民放さんと一緒にBRC、放送と人権等権利に関する委員会を発足させて、苦情とか、その権利侵害の申立てについて客観的に審議していただいて、そこで出た結論については我々としても非常に尊重したい。それで、NHKについては過去2例ほど、それについて意見をちょうだいしたことはあります。

【西垣委員】確かに申出があってそういう機関で御検討されるというのも大切なことだと思うんですが、知る権利とプライバシーというのが極めて微妙な部分を持っていますので、そういう申出を受けるまでもなく、しかもそれは当事者ということでなくて客観的な、メンバーで定期的にそういうことがなかったのかどうかというようなことの御検討をされるという趣旨なんですけれども、その質問に対しても今の御返事ということになりますか。

【大島部長】これはお答えと合うかどうかですが、考査モニターということで外部の方に番組をチェックしていただいています。それで定期的に意見をいただいて、それは現場の制作、取材の現場に反映させるというふうな体制はとっております。

【須藤委員】今、西垣委員のおっしゃったこと、それから大山委員のおっしゃったことに関係するのですが、今日用意していただきましたレジュメの5ページに「報道の自由、取材の自由と個人情報の保護との調和・均衡は、国民とマスメディア自身によって自律的に実現されることが望ましい」とございますところ、私もこれは望ましいものだろうと思います。ところで、そうした調和・均衡が実現するためには、マスメディアと国民とがオープンに議論するための第三者的・中立的な公開討議の場が存在し、適切に機能していることが必要になるかと思います。そこで、そうした機関、場があるのかどうか。もし現在あるとするならば、もっと拡充するような予定があるのか。ない場合に、それを今後用意する予定があるのか、ということをお聞かせ願いたく存じます。これはその次の文面にございます、「両者の価値が衝突した場合の比較衡量は、あくまで個々の事案に即して判断すべき」というところにもかかわるだろうと思います。この部分についても、私はもっともだろうと思いますが、前提としてマスメディア界に共通のガイドラインがあり、客観的な評価ができる何らかの指標、体制が整えられなければならないかと思われますので、この点についても御意見をお伺いしたいと思います。

【大島部長】おっしゃることは、メディア全体として検討課題だというふうには思います。放送について言いますと、BRCとか放送番組向上委員会というのがありまして、放送番組向上協議会のまた委員会なんですけれども、外部の方に来ていただいてNHKと民放と一緒につくったものです。そこでは年に何回かシンポジウムなども開いて、番組の質の向上ということについて一般の方も含めて議論していると承知しております。

【堀部座長】ありがとうございました。まだいろいろ御質問、御意見があろうかと思いますが、予定の時間を大分超過していますので、日本放送協会からのヒアリングはこれで終わらせていただきます。御多用のところをおいでいただきましてありがとうございました。また何か問い合わせることがあるかもしれませんので、その節はよろしくお願いいたします。 (日本放送協会関係者退席、日本民間放送連盟関係者着席)

【堀部座長】本日は、御多用のところおいでいただきましてありがとうございます。

 まず、出席者を紹介させていただきます。
日本テレビ放送網報道局石井次長であります。
東京放送報道局植田編集主幹です。
テレビ朝日報道局渡辺コメンテーター室長代理です。
フジテレビジョン報道局船田解説委員長です。
テレビ東京報道局藤延次長です。

 それでは、御説明をよろしくお願いいたします。

【石井次長】それでは、よろしくお願いいたします。まず、こういう機会を設けていただいたことを座長以下の皆様に御礼申し上げます。

 なぜこのように複数のメンバーが参加させていただきますかといいますと、共通してお答えできる部分もございますし、中には個々の局によって微妙に違う答えをせざるを得ないということもあり得るのではないかということで、在京の支社を中心に参列させていただきました。

 まず、テレビ朝日の渡辺さんから民放連としての基本的な考え方を説明させていただきます。よろしくお願いいたします。

【渡辺室長代理】既にお手元にお配りしてございます「個人情報保護と「報道の自由」について」という4ページほどの簡単なレジュメがあるわけですけれども、これを元に若干の御説明をさせていただきたいと思います。

 それで、最初のページの「はじめに」と書いてあるところにも強調しているつもりなんですけれども、我々民間放送連盟の基本的な姿勢としましては、これは当然のことながら言論の自由、表現の自由というものと、それから個々人の人権の擁護、確保ということは、民主主義社会を維持発展させるためには当然のことながら両方とも欠いてはいけない必須の条件だというふうに考えていますので、これは決して対立といいますか、ましてや敵対といいますか、そういうものではないんだということを改めて我々は確認すると同時に自分たち自身、自戒といいますか、戒めなければならないと思っております。

 例えば、ある一つの具体的な事象が起きたときに、これ決して恣意的にとは申しませんけれども、マスコミの側と市民の側との対立をあおるといいましょうか、両方利害が相反しているんだというようなことを必要以上に強調するという風潮がもしあるとするならば、それは民主主義の社会にとっては非常に危機的なものじゃないか。そうならないためにも我々サイドがやはり意識して考えなければいけないんだろうというふうに基本的に思うわけでございます。

 そういったことをベースに今日若干お話ししたいのは、市民の皆さんたちと手を取り合って、手に手を取り合ってやっていかなくちゃいけないという要素と、そのためにも我々としては自律制度とか自主制度とか、そういう自分たち自身の足で立っていくのが必要なんだということがやはり一番大事な問題じゃないかなというふうに我々は考えております。それが大前提ということでございます。1ページ目の「はじめに」と書きましたのは、大まかではありますけれどもそういうことを申し上げておるつもりです。

 そして次に1というところに移りますけれども、個人情報の保護と報道の自由に関する基本的な理念、考えです。やはりこれはなぜ我々の、あえて言いますとこういう種類の仕事に、報道の自由とか、そういうものが広く認知されているのかということを多くの人たちに正しい情報というものをきちんとした形でいち早く伝えるということが市民社会にとって決定的に必要なんだということだと思うわけです。我々の仕事の場合には大ざっぱに言いますと、情報に接近してそれを収集する。これは基本的には取材とか取材活動ということで呼んでいますけれども、それとそれを何らかの形で編集して放送、報道していくという2つの作業が大まかにはあると思います。あとは、個人情報保護ということに関して言いますれば、その2つのことに情報の管理、保全という問題が両方にかかってくると思います。

 そういう中で我々自身がどういうふうにこの問題に対処するかということを考えますれば、この丸の上から3番目に書いてありますけれども、個人情報保護という名の下に報道機関に対して、例えば情報に接近してそれを収集することについて今、置かれている状況よりもかなり厳しい状況が強制力を持って設定されるとするならば、我々としてはそれにはノーと言わざるを得ないだろうというふうに思うわけですあります。あとで細かい話が恐らく出るとは思われますけれども、例えばOECDの8原則の中によく例に出されます収集の制限、そしてその中にあります当事者の同意というものだけを取り上げてみても、それがもし実際に機能した場合には、我々の取材活動には相当大幅な制限といいますか、あえて言いますと今とは決定的な違いが出てこざるを得ないというふうに思うわけであります。

 そういう中で、座右の銘という言い方は変なんですけれども、我々の中でよく言われることがあります。これはイギリスの『ガーディアン』という新聞がありまして、昔は『マンチェスターガーディアン』と言ったそうですけれども、その新聞の編集綱領というのでしょうか、その中に非常にシンプルな単純な言葉があるようです。「事実は厳正であり、論評は自由である」。論評が自由であるということが報道の自由の一つの根幹であるとするならば、それを保持するために事実は厳正であるということに我々がどれだけ迫れるかということだと思うわけであります。厳正な事実というものに接近するためには、すごくわかりやすく言えば、できる限りたくさんの情報を集めなくてはならないということになると思います。そういったことに多少なりとも影響のあるようなルールだとか立法措置ができるとすれば、我々はそれについてはノーと言わざるを得ないと思うわけであります。それが1ページ目のほとんどですけれども、書いてあります我々の訴えの中身であります。それを前提にしまして次に2ページ目に移っていくわけですけれども、それでは実際に現段階において各民間放送局において個人情報の保護というのは具体的にどういう取り組みになっているのか。それから、これからどのような形でそれに更に対応していこうとしているのかということについて2ページ目にるる説明をしてございます。

 1つは、取材の過程で集めたさまざまな情報、個人情報というものを、問題はどのぐらいきちんと管理するかという、その管理の問題というのが大事なんだというふうに我々は考えております。これは(2)のところで書いてありますけれども、コンピュータの問題も含めまして、それからVTRの素材の管理というものも含めまして、数年前に比べますとかなり飛躍的に集中管理というものが各局内において行われているということは言えると思います。それから自律自主ということに絡んでくるんですけれども、内部でどのような形で研修なりコンセンサスというものを確認しているのかということであります。

 例えばNHKさんでもお話が出ましたけれども、我々民法連の場合には民間放送連盟の放送基準というものがあります。これはお手元に恐らくいっているとは思うんですけれども、このパンフレット、小冊子であります。これは全部で18章からなる我々の確認事項というふうに理解していただきたいんですけれども、それの冒頭の第1章のところで人権という取り上げております。そして、具体的に5項目にわたって書いてあるわけですけれども、民法連としましては連盟でこれをつくり、それをベースにして各民間放送局がそれぞれの会社の独自の判断で別のハンドブックだとか、ガイドラインだとか、そういったものをそれぞれがつくっているわけであります。例えば私どもテレビ朝日の場合には、お手元にはありませんけれども放送ハンドブックという160ページにわたるかなり厚手のマニュアルがありまして、これが大体1年から2年に1回改訂されて全社員に配って、これの周知徹底を図っているということであります。これはもちろん人権だけではありません。細かい表現上の問題であるとか、政治的な公平、中立の問題であるとか、更には取材における危機管理の問題であるとか、今回の原子力の問題などもそうなんですけれども、そういうかなり微に入り細にわたってハンドブックというものはつくられています。これは各局大体同じような状況だというふうに御理解ください。

 それから、次のページに移るわけですけれども、我々は視聴者との対応、これはさまざまなクレームが正直に言ってあります。そういったものにどう対応するかということも、局によって呼び方は違いますけれども、例えば視聴者センターだとか、そういった形でシステムとしてできておりまして、それが番組との直接的な連絡、それから更には社内的なシステムということで、数年前に比べるとかなり飛躍的にこういったシステムというのが完備してきております。

 それから、これも先ほどNHKさんとの話でも出ましたけれども、それでも当事者、これは一般の市民の方ですが、当事者との間で話し合いがうまくいかないという場合にはBRO、更にはその組織でありますBRCというものがありまして、そこでこれは第三者機関なんですけれども処理していく。私がちょっとチェックしたところでは、この組織ができて2年間たつわけですけれども、こういう話があるんだが聞いてくれないかという意味での申立てがあったのが4,000件ちょっとというふうに聞いております。その中で実際にその委員の方々がこれをきちんと審査するかどうかというのはまた別の問題になるわけですけれども、私の知っている範囲では4件が審査の対象になったというふうに聞いております。これはもちろんクレームということですから当然ないにこしたことはないわけですけれども、あえて誤解を恐れずに言いますと、こういうものが一般化してくるというのが一つのいい傾向ということはちょっと言葉に問題がありますけれども、決して悪い傾向ではないというふうに我々は考えております。一般の視聴者の方、市民の方が声を出すルートができて、それが2年間たってそれなりに機能してきつつあるということの一つの証左だと思うわけであります。

 ちょっと時間の関係で飛ばさせていただきますけれども、最後にこの法制化に対する意見についてということでございます。今まで述べたようなことを総括的に申し上げまして、現在我々報道機関が享受している取材、表現報道の自由というものに何らかの形で制約が加えられるようなルールなり、措置なり、法的規制というのは残念ながら我々は反対せざるを得ないという一般論は改めて一般論として申し上げざるを得ないと思うわけであります。

 ただ、問題なのは、こういった問題が世間一般に出てきて議論としてテーマとして設定されたというのは、残念ながらそんなに日にちは長くありません。もちろん堀部先生を始め学者の先生方が10年、20年前からこの問題を提起していたということは私どもは存じております。ただ、残念ながら我々マスコミの問題も含めて、こういった問題をきちんとといいますか、1つの大きなテーマとして設定して、テレビの番組なり、新聞の紙面なりで展開してきたということは残念ながら非常に数が少なかったと思います。そういう意味からいきますと、まだ人口に膾炙している問題ではないというふうに残念ながら見ざるを得ません。だとするならば、これからかなりの時間をかけて我々も強力しなくては当然いけないわけですけれども、この議論を進化させなくてはいけないんだろうと思います。

 ですから、民法連といたしましては今までも随分意見が先生方から出たと思いますけれども、ヨーロッパ型なのか、ないしはアメリカ型なのか、いや別の日本型というのがあるのかどうなのかということも含めて、今この場でそれが賛成、反対ということを短兵急に出すよりも、いかに多くの市民のレベルでこの議論を深めて、その中で市民と我々マスコミとの関係というものを先ほど申し上げたようにどういうふうに設定するのかということをもう一回マスコミとしても考え直すといいますか、考え出すといいますか、そういうことが一番必要なのではないかなというふうに私どもは考えております。非常にまとまらないお話ですけれども、以上でございます。

【加藤委員】NHKの方にも伺ったので、もしいらしていたらお聞きになったかと思うんですが、報道取材に関係することでのこの個人情報保護について、法律をつくることについては非常に慎重にということ、これは意見として十分承ったつもりなんですが、ちょっと質問したいのは、皆さんの企業ではないですけれども、その周辺の伸びてきたところでこれから先いわゆるマルチメディア時代に入っていくと放送と通信が融合したり、それから思いもかけないような情報の提供会社ができてくると思うんですね。現に、例えばCS放送などもあります。有料のものが出てきまして、ペーパービュープログラムのようなものの個人情報の集積というのは、取材する方々がいろいろなことでそういう情報を大事だとおっしゃるのと同様に、視聴者側の方からもその集積は非常に言わばセンシティブな情報、図書館の貸出しと同じぐらいに大事に扱ってもらいたいものなので、この辺の営業情報になってきますと視聴者にとってはやはり非常に大事な保護対象のものではないかと思うんです。そして、データベースという感じで私は受け取っているんですが、御意見はいかがでしょうか。

【渡辺室長代理】これから例えばBSだとか、今CSは既に御案内のようにもう機能しているわけですけれども、あと1年ちょっとたちますとBSというのは民間放送でも全面的にスタートいたします。そうなりますと、番組の数が飛躍的に増えるというだけではなくて、その質の面においてもさまざまな新しい展開というのが出てくると思うわけであります。民間放送の我々のこの委員というのは報道問題の委員ということで、報道局出身の人間だけが集まっていて、例えばで言えばテレビショッピングの問題もあるでしょうし、さまざまな情報というのがかかわってくる問題があります。それは恐らくこれからトータルでこのBS時代に具体的に検討していかなくてはいけないとは思うんですけれども、我々のレベルですと正直言いまして今まで出た議論というのは、例えば放送局の報道部門、ニュース部門にとって個人情報とは何なのかということではかなり議論を煮詰めたつもりでございます。これは非常に細かいことで、例えば記者の小さなメモ帳、これをどういうふうに保管するのか。それから、取材の過程で出てくるある大きな事件のさまざまな人間の相関図、及びそれの連絡先、人間関係も含めてですね。それからもちろんVTRが入ってくるのは当たり前です。

 そういうことについては相当詳細な議論というのはしたつもりなんですけれども、今、先生がおっしゃったように更にこれから新しい時代に入っていって、そういうインターネットの問題も実は入ってくるわけですね。そこでどういうふうに全体をコントロールするかというのは、正直に言いますとこれからの緊急に早急に設定しなくてはいけない問題だというふうに私どもは考えています。

【安冨委員】2つありまして、1つは先ほどおっしゃいましたBRCの勧告が出た場合に各局どのような形で受け止められ、対処されるかということです。

 それからもう一つはお話の中には出てこなかったのですが、レジュメの3ページの「C視聴者からの苦情等への対応」という中の上から3番目に個別の対応の中で「放送済みVTR視聴も認める」とありますが、各局苦情があれば放送済みのものは見せてしまうということなのか。かつてマスターテープ視聴の問題で、お名前を挙げて恐縮でございますけれどもTBSは大変問題になって、いわゆる情報系番組が改編されるというようなことも起こったわけですから、そういう意味でいいますと放送済みのVTRであるにせよ、たんに苦情申立ての前提としてそこまで見せてしまっていいのかなという気も一方ではするわけです。そういう意味では、見せるか見せないかというだけのお答えで2点目は結構でございますから、各局簡単で結構でございますのでお教えいただければと思います。

【石井次長】BRCの勧告については、まず放送の上で勧告の内容を広く一般に告知するというのが基本でございます。つまり、日本テレビの例えばこういう番組についてこういう当事者からこういう苦情が申し立てられた。それについてBRCは審議の上、どういう審議の経過を経てこういう結論に達したということについては放送でまずきちんと放送すると。

【安冨委員】それは当該番組ですか。

【石井次長】当該番組も含めて、例えばニュースで申し上げますとニュースは幾つかあるわけでございますが、基本的に夕方のニュースで放送した内容が問題になったとすると、当然その同じ時間帯、更に夜の別のニュースの時間帯、普通は翌日の朝の別なニュースというところまでは最低放送するということでございます。

 それから、もう一つはVTRの問題についてでございますけれども、これについては日本テレビとしては当事者ですね。人権の被害を受けたとおっしゃる当事者、またはその直接の関係人、例えば御家族ですとか、あるいは代理人の方ですとかという方からの要請について、検討の上やむを得ないと判断した場合はお見せするということになっています。ただし、放送済みの放送されたVTRという条件が付いております。

【堀部座長】ただいまのは放送法第4条の訂正放送の申出と関連しているのではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。

【石井次長】たまたままだ放送法上の訂正放送の要求という事態になった経験がございませんので、当然これも法の趣旨にのっとって、とにかくあらゆる問題については原則として放送の結果、生じたものについては放送の中で基本的に対応するというのが原則でございます。

【堀部座長】BRCの対応は民法連の封筒の中に入っていまして、この規約だったか何かで公表することになっているのですね。各社扱いは同じだというふうに私は理解していますが、それでよろしいでしょうか。

【安冨委員】私が伺いたかったのは、その公表の手段として具体的に伺いたかったので、当該番組と、それからそれ以外のところでニュースとして扱うということで各局対応は同じであるというふうに伺ってよろしいんですか。

【渡辺室長代理】テレビ朝日ですけれども、基本的には同じだというふうにお考えください。当該番組は当然のことながら、あとは社告というのは変なんですが、告知番組というのがありまして、これは各局とも類似したものは持っております。その中では当然放送することになります。

 それから、先生が先ほどお尋ねになりました2つ目の質問について若干の補足なんですけれども、放送済みのVTRを要求があれば見せるのかという御質問で、これは2、3年前に社内でもさまざまな意見が出た、大激論になったテーマであります。それで、これも各局さんで多少の温度差はあるかもしれませんけれども、大体一致していると私は認識しております。つまり、当事者ないしはそれに類似する人が、ほとんどの場合に個人ということで私は考えていますけれども、それが人権の侵害というものがあった、ないしはあったというふうに思われるというふうに個人が言ってきた場合には、それに対しては積極的に対応するということです。その対応の中には、当該の放送済みのVTRも見せるということがやはり我々の中では今は多数意見になっておりまして、現にそれはやっております。それ以前は、放送局というのはVTRは放送目的以外には一切出さないというのが大前提でありました。しかし、このBRO、BRCだけではないんですけれども、こういう視聴者とか一般市民の人権に対する問題というのがかなり大きなテーマになってきたときに、そのルールだけで突っ張ることというのは恐らくできないのであろうということで、各局の中で議論が進んだんだというふうに私は理解しております。

【安冨委員】今のお答えは、各局ともそうですか。

【藤延テレビ東京報道局次長】テレビ東京はそうでございます。

【安冨委員】ただ、日テレさんがおっしゃったのは、やむを得ない場合というのが付いていたんです。それで今、渡辺さんのおっしゃたのはもっと積極的に見せるということで、これは大分温度差があるんですけれども、そこがちょっとよくわからないんです。

【渡辺室長代理】誤解を受けたらちょっと訂正させていただきますけれども、私どもの場合にも何も喜んでどんどん見せるという意味ではもちろんありません。ルールとして最初に当事者が社に来たときには、これはBRO、BRCの前の段階ですけれども、来たときには真摯に両者で話し合うというのが当然あります。そういうことを何回か繰り返すというのが具体的なプロセスとしては当然あると思います。そういう中で話してもわからない、実際にあんたたちが何を放送したのかもう一回見せてくれという段階で見せるという段取りを踏んでいくということであります。そういう意味でいけば、日本テレビさんと大勢においては差はないというふうに考えています。

【安冨委員】他局もそれでよろしいですか。

【船田フジテレビジョン報道局解説委員長】フジテレビですけれども、基本的には同じなんですが、我々としてはやはり報道目的以外に使用しない、それが放送済みのテープであってもという原則はあるんです。

 ただ、これも本当に来たから、では見せますということではなくて、そのプロセスの中でなぜこれを見たいのか、見なくてはいけないのかというような視聴者、あるいはそれを見たいとする人たち、あるいは十分にそれぞれの当該番組におきまして、もちろん責任者を含めて一応その時点で見せる、見せないの判断をするということはしております。特に人権問題の場合は、本当にどうして見なければならないのか。もちろん見せてくれというところからいろいろなお話があるので、そういうものを十分に聞いた上で原則としては放送済みについてはお見せすることになるということであります。

【植田編集主幹】補足させてください。

 堀部先生がおっしゃいましたように、放送法の4条で閲覧申請が権利の侵害の申立てをされてきた方の場合には義務として閲覧していただくというふうになっておりますので、その部分に関してはその用件に限って言えばこれは義務的に閲覧してもらっています。

 しかし、放送企業と言えども情報公開というのはおかしいですけれども、企業の透明性という時代の要請もございまして、厳格に放送で規定しているもの以外にも、例えば妙な話ですけれども、自分は昨日のニュースで映像込みで使われたけれどもどんなふうに映っていたのか非常に心配である。私は肖像権の問題もあるし、これは自分が見ていない以上はもう一回見させてほしいというような場合にも、非常に具体的に申し上げますとお見せしております。

 それから、放送法は強化されましたけれども、堀部先生は御専門家でお詳しいのですが、ほぼ3年ぐらい前の時期に東京高等裁判所の判例も出ておりまして、そういう事情もございます。その判例の場合は、争っている双方をワイドショーで取り上げた場合に、片方の方から閲覧申請があったんですが、それについてやはり見せるべきだという高裁判例も非常に非常に大きな影響を持ったと思います。以上です。

【藤延次長】テレビ東京からちょっと補足だけしますと、報道の取材テープ、オンエアテープは原則として貸出し、持出し禁止でございます。

 ただ、ニュースの当事者から要求があった場合は、社内で報道局員等が立会いの下で見ると、割と厳密にそれを守っております。

【開原委員】さっきNHKの方が言われたのと同じことが4ページ目の一番上に書いてあるので、先ほどの浦川委員の質問と同じ質問を私の方からお聞きしたいと思います。

 いただいた資料の文章をそのまま読むと、ヨーロッパではOECDの8原則があって、ジャーナリズムが除外されていても、報道の自由が侵されるおそれがあるというふうに読めるんですが、そうなると今のヨーロッパでは報道の自由が侵されているというふうに解釈してよろしいのでしょうか。

【石井次長】これもそれぞれ微妙に違うかもしれませんが、直ちに放送の自由が侵されているということではございません。ただし、過日のヒアリングを私は傍聴させていただきましたけれども、ある委員の方から包括的な個人情報保護の法案が成立したとしても、ある事象に対してうるさいマスコミを追っ払える効果があるかどうかは、私ははなはだ心もとないという御意見がございました。つまり、そういう側面を期待されている方もいらっしゃる。したがいまして、少なくともそういう危惧、そういう不安を持たれる部分につきましては今、直ちにヨーロッパの、先ほどもありましたがドイツにおいて報道の自由は極めて侵害されている。事実があるかどうかということではなくて、私どもはそういう危惧のあるものについては危惧をそのまま率直に申し上げるということでございます。

【浦川委員】テレビで最近物品を販売する番組がございますが、あのような番組に出ている通販業者がどういう個人情報保護を現実に実施しているかについては、具体的に番組を放映するときの一つの審査項目になっているのかどうか。私の個人的な意見で言えば、電波をああいう形で利用させる場合には、その業者がどういう個人情報保護を行っているかは深刻な問題で、その番組が放映できるかどうかの基準になってしかるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

【石井次長】個々にそういう観点についての対応を局がしているかということについては誠に申しわけありませんが、現在手元に用意はしてございません。

 ただ、商品販売あるいはテレビ局の営業活動につきましては極めて重要なノウハウも含めてデータでございまして、それぞれのセクションで厳格な管理をしているとは思います。ただ、おっしゃいますとおり、テレビを通じてのいわゆる商品販売、あるいはもっと言えばテレビ局としてさまざまな事業活動をしているわけです。そういう際に、例えばある展覧会をやって招待券をあげます、応募してくださいといって来たはがきですとか、いろいろな形での個人情報があり得ると思います。つまり、報道とは別の次元での営業にかかわる個人情報ですね。この管理につきましては今、社内で更に洗い出しをして検討はしているところです。

 ただ、これにつきましては極めて大事な情報でもありますし、これまでも厳しい監督をしていることは間違いないと思います。これは個々に違うと思いますので。

【大橋委員】これは先ほどNHKさんにもお伺いした点で共通して確認しておきたいのですけれども、今ここでこういう議論をしているそもそもの直接的な経緯は、要するに民間を含めた包括的な法的措置が必要であるというところから出発している。その部分は何かというと、国の場合は少し電算部分はできたよ、条例はあるよ、あとは民間の自主規制だと、そういういろいろなまだら模様の中で大きな空白部分がないような法的措置を考えてくださいよというのが我々の集まっている目的なわけです。そういう意味で、報道の自由とか取材の自由などという問題をこの問題と絡めて議論するということ自体は余り意味がなくて、それは全く当然の別の議論だというふうに思います。

 そういう意味で基本的な空白部分、まだら模様のないような、どういう形になるかは別ですけれども基本的な理念、あるいはその基本法的なものすら皆さんのところにとっては反対なのか、必要と認めるのか、その辺の意見をお伺いしたいと思います。

【渡辺室長代理】私は、先ほど冒頭申し上げました言論表現の自由ということと個々人の人権の擁護、これは決してトレードオフではないということで両立させなければだめなんだというお話を申し上げたと思うんですけれども、そういう意味からいきまして現在さまざまな個人情報というのが非常にいびつな形で流布しているというのは認めざるを得ないと思うわけで、これに対して何らかのルールづくり、コンセンサスというものが必要だということは当然、我々も理解しているところであります。

 ただ、民法連の現段階で、先ほど申し上げたように包括的なのか、それとも個別的なのか、もしくはマスコミの適用除外なのかというところまでは、実は話は今の段階では詰めておりません。先ほど申し上げましたように、やはり議論としての立ち上がりが堀部先生などの御努力にもかかわらずマスコミサイドでかなり遅かったというのは認めざるを得ないと思うわけであります。だからこそ、これからの議論を意識的に進めなくてはいけないというふうに我々としては考えております。

【三宅委員】今の御見解を踏まえて細かいところをお聞きするんですが、BROの機能というものについて、最初は日本放送協会と日本民間放送連盟会員各社の個別の放送番組ということですね。そうすると、市町村の小さなケーブルテレビ局がございますね。そういうものはこのBROの対象になるのかどうか。

 それから、先ほども出ましたけれどもテレビショッピング、それから各局でお持ちのホームページの情報提供というんですか、それはまずBROの対象になるのかどうか。対象になるかどうかについてそこはまず1点あると思うので、そこについてどなたか御見解をいただきたいと思います。

 それから(2)のところで、話し合いが相入れない状況に至っている問題としますということで、係争中の問題については取り扱いませんということと関連して、ちょっと具体的な例を挙げて恐縮なのですがテレビ朝日さんの所沢ダイオキシン報道の件について、自民党の報道と人権に関する委員会の報告書の中で、あれについてはBROで検討していないかのような表現があったかと思うんです。ただ、内容を聞いてみると、検討はしたけれども見解の公表には至らなかったというのが真実であるように私は個人的に承っているのですが、ここで取り上げる問題が法律違反を明確なものとして取り上げているのか、報道倫理違反というものを取り扱う対象にしているのか。

 その辺りとの関係で、あの件についてはどういう経過でそうなったのかということを踏まえて、BROで取り扱われるべきものはどうも倫理違反的なものが主になるのか。多分、自主規制の苦情処理機関といったときにそこでの機能の射程距離というものがかかわってくると思うんですね。それが多分、包括的な保護法の中の対象から一たん除外するけれども、それはすべてBROでやりましょうというような話になるのであれば、BROの機能をもう少し充実しなければいけないのか、現状のままでいいのかという議論にもかかわってくると思いますので、その辺りを少し御説明いただければと思うんですが。

【石井次長】これも多岐にわたる御質問ですので果たして意を尽くせるかどうかわかりませんが、ケーブルテレビにつきましては現実問題としては今の対象から外れている。CSについても正確に何百チャンネルあるか、ちょっと把握しておりませんけれども、いずれも地上波の各放送局と同様な形でのネットワークには入っていない。更に、先ほど別な委員からもインターネットとの絡みの御質問がございました。ホームページの扱いにつきましては、例えば当社の報道局のある告発番組なんですけれども、ここには今年この3か月ぐらいで既に1,000件以上のいわゆる情報提供がございます。ホームページでインターネットを通じて、しかも全部実名報道でございます。実名報道の情報提供がございます。これについてはそのまま当然オンエアすることはありませんし、厳重に報道局で管理し、そのまま外に出ることはあり得ません。そのホームページを閲覧できる人間は限定されております。この見解にも書きましたとおり、ゆえに報道機関がきちんとした確認作業を取材の自由に基づいて行うことの重要性がますますこれから大事になるということも合わせて申し述べたいと思います。

 あとは、BRCにつきましてはいろいろ複雑な経過を経て、BRCの場で解決するはずのものが最終的には提訴という段階にいくようなケースもございます。一般的に言ってBRCの機能がここままでいいのかどうか。まだ2年ということもございますけれども、やはり実例の経験を踏まえてある段階では見直し、あるいは強化というようなことがもしかしたらテーマに挙がるかもしれません。私は個人的には、やはり機能の強化も含めた検討が必要かなとは思っております。以上でございます。

【堀部座長】ありがとうございました。まだいろいろ御質問、御意見はあろうかと思いますが、これで日本民間放送連盟からのヒアリングを終わりたいと思います。どうもありがとうございました。

(日本民間放送連盟関係退席、日本雑誌協会関係者着席)

【堀部座長】それでは日本雑誌協会からのヒアリングに移りたいと思います。本日は、御多用なところ御出席いただきましてありがとうございます。まず、出席者を紹介させていただきます。

日本雑誌協会乾専務理事でいらっしゃいます。
小学館取締役・日本雑誌協会五十嵐取材委員長です。
講談社取締役・日本雑誌協会杉本取材副委員長です。
文芸春秋第一編集局長・日本雑誌協会中井編集委員会委員です。
新潮社総務部部長・日本雑誌協会宮沢編集委員会委員です。
小学館編集総務部次長・日本雑誌協会山編集倫理委員会委員です。
集英社編集総務部部長代理・日本雑誌協会永井編集倫理委員会委員です。
最後に光文社編集総務部長・日本雑誌協会橋本編集倫理委員会委員です。

 それでは、御説明の方をお願いしたいと思います。

【杉本取締役】意見書というのはお手元にそれぞれお持ちだろうと思いますが、その前に一言申し上げておきたいのは、そもそもこの検討部会のヒアリングというのを30分という短い時間で設定していることはなかなか理解ができないわけです。更に、この委員の中にマスコミの代表が1人も入っていない。そういういろいろな事情の中で、お手元にありますように雑誌協会の加盟社でつくっております編集委員会、取材委員会、更には編集倫理委員会の中でいろいろと討議を重ねてきまして、基本的には30分で収まらないので文書だけでいいのではないかという意見もあったんですが、この個人情報保護法に関しては私ども雑誌に携る立場として報道の自由、あるいは表現の自由、更には取材の自由という観点から考えても、雑誌協会一致して大変な危機感を持っておりますので、一応がん首をそろえて出て御説明をした方がいいのではないかということで出向いてまいりました。

 余りにも御依頼のあった段階から時間も短いですし、30分ではとても御理解いただけるのかどうかわかりませんけれども、そういうことでございますので、御説明いたします。

【堀部座長】時間の制限はしませんのでよろしくお願いします。

【杉本取締役】この3委員会、3つの委員会で討議した10項目の意見というのをとりあえず読み上げさせていただきます。

 今回の資料提出につきましては日本雑誌協会・上記3委員会の議論を踏まえて対処する方針をまず御理解下さい。したがいまして、御依頼のヒアリングの趣旨及び項目にこだわらず、以下10項目にわたる見解の表明をさせていただきます。

 1.この法制化の急ぎ過ぎ(拙速)に反対します。十分検討するにはあまりに時間がなさ過ぎます。唐突に持ち込まれたのは、何やら通過儀礼のようで「各界に参考意見は聞きました」といった程度の印象を持たざるを得ません。といいますのは、今回の立法措置が「包括的個人情報保護」という名目でメディアの表現の自由に対していわゆる“プライバシー保護法”的なかせをはめようとしている点にあります。現行憲法で民主主義社会の柱とされる「言論、出版、報道の自由」に極めて密接に関わる問題を、短時間のヒアリングや審議で済ませられるとは断じて思えません。

 2.「包括的個人情報保護」とする必然性がどこにあるのか大いに疑問です。個人の情報を他人が勝手に売買したり漏洩させたりすることに対しては、「民間の保有する個人情報(データ)保護」に関する何らかの規定を設ける必要は十二分に理解できます。が、公共性、公益性、社会的関心、国民の知る権利、情報公開の原則など個人情報といえども公にされても致し方ない状況は幾つもあり得ます。したがって、「包括的」に個人のプライバシーと称して何でもその個人にかかわることを事実上の不可侵状態に置くべきではありません。表現の自由と個人情報の保護との矛盾・衝突は、個人情報保護法という公法レベルでの解決にはなじみません。あくまで、メディアの自主規制と、不法行為という民事法レベルの解決にゆだねられるべきであります。もっと慎重な審議、法的論議が不可欠です。3.あらゆる個人データの漏洩の実状は、さまざまな種類の勧誘電話(卒業名簿などから)、出生から終焉まで人生の節目、節目で送られてくるダイレクトメール等「いつ」「どこで」「だれから」「なぜ」知られたのか?目に余ります。そういった民間の個人情報の保護を目的としたはずの「高度情報通信社会推進本部個人情報保護検討部会」において、「いつから」「なぜ」メディアへのプライバシー侵害問題にまで検討テーマが拡大(「包括」)されたのか?全くもって理解しがたいのです。これではマスコミ全体を規制するねらいがあからさまではないでしょうか。

 4.特に問題視したいのはいわゆる「公人情報の扱い」です。政治家、官僚、その他公職に就く人々も個人情報の保護対象者たり得るとなると、公的権力のガードの役割を果たす法律ができることとなり、時の権力に都合の悪い情報は封殺されることになりかねません。公職にある人々はもちろん、社会の指導的立場にある人々は、常に社会の批判や監視を必要とします。

 また公人や有名人らのいわゆるパプリック・フィギュアは、その職業を選択することにより、私生活、経歴などプライバシーの権利の一部を自ら放棄したというのが通説です。5.メディアは社会の不正や不公正、大衆の怒りを記事にする場合、検察や警察のように公権力で捜査、取り調べが行えません。メディアの“ペンの力”はまず情報収集力、取材力です。その場合どうしても個人情報と抵触します。疑わしい人物やその周辺取材を通して初めて真相に迫れるのです。その情報収集、取材力が著しくそがれるような事態は何としても避けなければなりません。

 6.そこでまずメディアの取材源、情報源の秘匿はこれまでのように認められることが大前提になります。政治や経済の内幕、企業の癒着や利権記事などの場合、その情報源に内部告発者、関係者がなるケースが多々あります。それらの人が特定され、罰せられるようになると、誰も真相、真実を告発しなくなり、自由な報道に対して重大な障害になるばかりか、公正な報道、社会正義さえもが脅かされかねません。

 7.健全な社会のためにはこの自由な取材活動こそが保障されなくてはなりません。最高裁大法廷判決(昭和44年11月26日)でも「報道の自由とともに、報道のための取材の自由も、憲法21条の精神に照らし、十分尊重に値する」(博多駅テレビフィルム提出命令事件)とされています。この判決では報道機関の報道を、国民の「知る権利」に奉仕するものとも述ベています。メディアの取材活動は、国民の「知る権利」の一環で、よほどのことがない限リこれを制約すべきではないということではないでしょうか。

 8.それに伴つて、メディアの表現の自由を行使する過程、つまり情報の収集、予備取材、編集作業(加工、処理など)、報道伝達、販売などのそれぞれの行程での自由な情報の流れを保障することは極めて大切なことです。

 9.また現行の民法709条<不法行為責任>では、マスメディアによる個人情報の公表に対して多くの判例を出しています。私生活上の問題、家庭内トラブル、戸籍や出自、学歴職歴、病歴、前科報道などが違法行為とみなされた場合、そのメディアに対して損害賠償や謝罪を課しています。マスメディアの個人情報(プライバシー)侵害では裁判所の判断は現行法内で十分機能しているのではないでしょうか。

 10.以上に述べたとおり、新聞、雑誌、放送等のメディアに包括的個人情報保護法の名目で、その取材、調査、報道に関して公的規制を加えることは、憲法21条により保障された言論・出版の自由を侵害することになります。加えて、そのような法的規制はメディア活動を萎縮させることにより、公衆の知る権利を奪う結果となります。また、EU個人情報保護指令9条のような包括的個人情報保護法に、ジャーナリズム目的などの適用除外や例外規定を設けることにも反対します。それは、適用除外、例外の判断を公的機関に与えるという意昧で、やはり公的規制の一環だからであります。したがって、今回の包括的個人情報保護の立法化には反対であり、あくまで個人データ保護規定に限定すべきと考えます。

 これが、雑誌協会の統一見解でございます。

【大山委員】この意見書を読ませていただいた限りでは、多分ほとんどの人が同じことを思っているのではないかと思うのですが、2点わからないところがあるので教えていただきたいと思います。

 まず最初に6の3行目ですが「それらの人が特定され罰せられるようになると」と書いてありますが、これ意味が頭の中にすんなり入ってこないので、御説明いただきたいと思います。

 それからもう一つは、結論のところですが「あくまで個人データ保護規定」と書いてありますが、この保護規定のもう少し具体的なイメージをお教えいただけると非常にありがたいのですが、これらの2点をお願いいたします。

【杉本取締役】つまり、取材をする場合に先方が情報提供者であろうが、内部告発者であろうが、私どもが取材した場合には匿名あるいは匿名でないにかかわらず、周辺取材も含め罰則規定等がありますと、例えばあなたがしゃべったんですねという形になると、その取材者側だけではなくて被取材者が特定された場合には、その罰則規定の設け方によっては誰もしゃべらなくなってしまう。

 つまり、雑誌の場合にある程度というよりは、周辺取材も含めていろいろな形でその人物なり、あるいは現象なりを聞くわけですから、取材者の側だけでなくて被取材者にもそれが及ぶとなると、そういう意味では非常に取材が制約される。あるいは、そういう人たちがコメントしなくなるという意味でございます。

【堀部座長】それが第1点ですね。第2点は個人情報データ保護規定ということです。

【杉本取締役】例えば私のうちにもいろいろなところからわけのわからない形でダイレクトメールが来たり、しかもある程度私の家族状況なり、年齢とか、どう考えてもそういう形で来るわけですね。

 ですから、個人情報を保護するという意味では法制化というのは必要ではないかとは思いますけれども、今回の場合に限ってはマスコミは例外とか何とかという問題ではなくて、初めから法律にはなじまない。ですから、立法化する場合には個人情報の保護という各分野ごとの個々のくくりの仕方といいますか、そういうことでよろしいのではないかという意味です。

【浦川委員】ここにいる委員の皆様が同じ意見を持っているかどうかは別にしまして、私どもが一般に個別法か包括法かというところで議論していることについて少し誤解がある、あるいは、正確な伝わり方をしていないんじゃないかと率直に思います。先ほど大橋委員の方からもお話がありましたが、私も委員全体を代表する立場には当然ありませんが、私どもは個人情報保護の名を借りて報道規制をしようなどと思ていないと思います。これは、私個人としては、はっきり申し上げられます。

 問題は、まさにあなたがおっしゃったとおり、要するにダイレクトメール等がいつどこでだれからなぜ名前や住所を得たのか分からない形で多数われわれのもとに舞い込む、目に余る状態があるわけです。その場合にこういうものを規制するのは、従来は個別法で、つまり例えば通信については、通信関係の法律で取り締まっていた。今後は、金融については金融分野の法律でやろうという形で、個別法で対応する方法で取り組まれてきたわけです。

 しかし、この目に余る現象が生じているのは、実はそういう個別法の規制の対象にならないいろいろな業者が世の中にはあるためで、今はニッチの産業といいますか、サービス業はありとあらゆる形で展開しているわけで、個別法ではこういう目に余るダイレクトメールに現れた問題を含め、いろいろな個人情報の侵害を防げない。したがって、包括的に業界の垣根を超えて全体として網をかける法律ができないかが問題になる。これが包括法の問題です。

 この場で議論の対象になっているのは、当たり前のことですけれども、報道の自由を奪うということではなくて、むしろそういうダイレクトメール問題に現れた個人情報の不正使用というようなことをどうやって我々市民のコントロールの下におけるかということなんです。そのやり方として、個別法で対応できるかというと、私の認識では、今や個別法では対応できないと思う。

 包括法がいいかどうかというのはこの場でまだ議論していませんけれども、包括法の目指す方向というのは、要するに一つ一つの業界分野を個別的な法律で規制することが難しいという認識のもとに、全体を統一した個人情報保護法で対応しようという考え方なのです。ですから、包括というとらえ方について、根本的な誤解があるのではないかと残念ながら申し上げなくてはならないんです。

【堀部座長】それは意見として承ります。

【杉本取締役】確かに今までの資料はありましたけれども、そういう説明が、私どもの方には誤解というよりも完全な情報としてきちんと、具体的にどういうふうな進行の仕方がされているのか。つまり、包括法でいくのか、個別法でいくのか。その具体的なこの検討部会での質疑というのは私どもはっきりと把握しておりません。そういう意味では個人、包括という中で包括的というところに私どもが引っ掛かるということですから、結果的に包括的保護法ということについて主に雑誌協会としては力点を置いたと、こういうことでございます。

【加藤委員】こちらの検討が大変拙速であるために情報が共有できていないということは、私も実はここのメンバーでありながら、外部の自分の団体やその周辺の市民の皆さんとの話題にしていくときの困難さを感じております。それというのも突如、もちろん研究者の先生方のような場合は長いこと個人情報保護について論理的に、あるいは実態の把握なども踏まえて御討議の機会をずっと持っていらっしゃって、各省庁などでもそういう取り組みがあったわけですけれども、残念なことになかなか民間からの運動になり得なかった。

 私は市民運動の団体の者なので、80年代からこの問題については取り組んでいながら、なかなかマスメディアの皆さんに気持ちが十分伝わって、それを議論の展開の場に持っていっていただくということが、雑誌も含めてできてこなかった。そういう状況の中で突然今回、住民基本台帳の改正のところでそれを実施していくのならば個人情報の保護が必要だということになりまして、政府の中で急遽このことを検討するようにという命題をいただいたわけで、お互いにもっと十分これは時間をかけてやりたかったことなので、今あなたがおっしゃった包括的という言葉の意味も私はずっとお話を伺っていて、今、大山委員が、これは大体の人がみんな同じ気持ちでしょうとおっしゃったんですが、マスメディアが取材をする表現の自由といったところまで押さえ込もうという意味では私は個人的にはありません。88年に電算機処理による行政機関の所持する個人情報保護の法律というものは手当てされたけれども、マニュアルの部分が抜けているわけですね。それから、そういう法律ができたけれども、それだからといって、では個人情報の漏洩はなかったかというと残念ながらそういう事件はいっぱいというか、幾つかあったわけです。

 そこへ持ってきまして民間電算機処理、情報技術の発展によって民間事業者の個人情報の利用というのは非常に活発になってきたわけです。それで、平穏な市民の生活の面から見ると非常に不快な思いがして、せっかく情報技術が進展したんだからもっと気持ちのいい生活ができるかと思ったら、それはむしろ逆だったというような雰囲気が出てきたわけですね。あなたがおっしゃったDMの問題、それからダイレクトマーケティングの問題、電話でテレマーケティングが来るとかですね。

 それで、先生に替わってまるで偉そうに自分の知っていることをうんちくを傾けているみたいで恥ずかしいんですが、私はそういうふうな状況について一緒に是非雑誌協会の皆さんにも考えていただきたいと思っています。ですから、包括的というのは私ども消費者団体としてイメージしているものは、行政機関と民間とを問わず、一人一人の国民が自分の情報についてのコントロール権を持つということをイメージしているわけで、取材する情報を含めて押さえ込もうなどという気持ちは全くないことを是非理解していただきたいと思います。

 ところでお伺いしたいのですが、雑誌の場合、特に子ども雑誌に心配をしているのですが、たくさんのアンケートだとか、それから読書サービスのクイズだとか、いろいろなものがございますね。そういったところで集められた情報についての管理の仕方についてのコンプライアンスプログラムのようなものを協会としてお持ちか、あるいはそれを担保する各社の実践状況はどうなのか、その辺りをお伺いしたいのですが。

【杉本取締役】ほとんどの雑誌及び書籍にはアンケート、つまり読者アンケートは付いていますが、これは例えばAという書籍ならばAという書籍を買った場合に、私どもとしてはどういう年齢層、あるいは男女比、それから職業を含めて、これは雑誌の場合もほぼ同じ形式でアンケートを取ります。それはいろいろな分野にわたっておりますので、子ども雑誌の場合には子ども雑誌の中にそういうはがきが入っております。

 それで、私は講談社ですが、講談社全体の中でそれを管理しているというほどきちんとはしていないんです。ですから、いただいたはがきについてはある程度まとまったところでそれを分析して、例えばその後の販促活動とか、宣伝促進上で利用させていただくということはありますけれども、その管理の仕方というのは社によってかなり違ってくると思います。

【山次長】小学館ではかなりの子どもの雑誌、それから子ども書籍もありますけれども、それで寄せられるはがきは各編集部が責任を持って処理した後、業者に委託しまして焼却処分という形でやっております。それで、もしその中からの情報が第三者によって漏洩しますと、今の子どもさんをお持ちの保護者の方々から、なぜほかの業者からこんなことが来るのかというようなことが当然あると思いますので、そういうことだけは避けるために、一括して管理して各編集部ではまとめてかごに入れて焼却処分の業者に委託しております。

 本来ならば、もう少し情報として管理したものをまとまった形で生かしたいと思うんですけれども、まだそこまで全社的な情報にするには体制は整っておらないのが実情です。ただし、漏洩に関してはきちんと管理して、今までほとんど問題は起こっておりません。

【堀部座長】それは、何か保護規定のようなものは各社持っているものなのでしょうか。そういう個人情報保護取扱いについての保護規定ですが、一般の民間などですとそういうものをつくっているのですが、雑誌社の場合はいかがでしょうか。

【山次長】個別的な保護規定は持っておらないと思うんですけれども、ただしその管理については情報漏れに関しては徹底させるために、例えば部長会とか、毎月行われるそういうところでのきちんとした伝達、申し渡し、もしそういうことが起こったらそれに対してすぐ対応策をとるようにしておりますが、他社はわからないので他社にも聞いていただければと思います。

【堀部座長】もし他社で保護規定をお持ちでしたら御説明いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

【永井部長代理】集英社ですけれども、特にそういった保護規定はございません。それで、我々が取っておりますアンケートというのは、その当該の雑誌あるいは書籍がよかった、悪かった、いろいろな感想を聞くのが主目的で、個人データとしては住所、氏名、年齢、男女性別、その程度が限度かなと。それで、売れている雑誌ですとアンケートそのものは大変膨大に来ますけれども、多分そのうちの1割も満たないぐらいの部分で相当の数になる。それをアンケート集計で数字化して、そのデータは1部の副編以上辺りで解読して、以降次回の書物への参考にしますけれども、では残った生のはがきなどはどうするかというと、我々が長年つき合っている責任のある業者に断裁後、焼却処分ということにして、今まで問題の起こったケースは一切ございません。

【三宅委員】この意見書の最後の個人データ保護規定に限定すべきということと、それからメディア活動を萎縮させることのないようにということで、御意見としては承っておきたいんですが、この意見書の2のところに「メディアの自主規制と、不法行為という民事法レベルの解決に委ねられるべきであります」というくだりで、メディアの自主規制といったときに、日本雑誌協会さんの場合にこのパンフレットを見せていただきますと倫理綱領なるものがおありのようですが、こういうものを踏まえてそのメディアの報道について判断する。先ほど放送についてはBRO、BRCという苦情処理機関があるという御紹介をいただきましたけれども、そういうものを何か御検討になったようなこととか、今後そういうことを検討するというような動きはあるのでしょうか。

 それから、雑誌協会に加盟されている団体数ですか、社数ですか、雑誌の発行社は1,300以上を超えると書いてありますけれども、そのうちの大体どれぐらいの社が加盟なさっているのか。その辺をちょっと数字として承っておきたいのですが。

【乾専務理事】現在、加盟社は87社でございます。雑誌社が幾つあるかというデータは非常にとりにくいことでありまして、通産省などの資料を見ましても正確なところはわからないようなんです。

 ですけれども、大体1,300前後というふうに考えておりまして、組織率は大変低いんですが、雑誌協会に加盟しております87社が発行する雑誌の部数のレベルで申し上げますと、日本全体の85%ぐらいを占めている。しかも、それだけに影響力もありますし、また社会的な責任も大きいというふうに自覚しております。

【堀部座長】あとは、BRCのような何か第三者的な紛争解決機関のようなものを考えておられるかどうかという質問ですが、いかがでしょうか。

【杉本取締役】自主規制と書いたのは、例えば新聞あるいは放送と違いまして、出版社あるいは雑誌社の規模というのは本当にばらばらでございますし、出版物それぞれが出すものは、例えば週刊誌であろうが、月刊誌であろうが、あるいは女性誌であろうが、コミック誌であろうが、非常に多岐にわたっておりますから、例えば出版社あるいは雑誌社として何らかの自主規制的事項とか、例えば講談社の場合はこうだというのがあるわけではございませんし、恐らくどこの出版社もないんじゃないかと思います。雑誌協会の倫理綱領は大前提でございますので、したがって各社がそれぞれの自主規制というよりも、自主判断で行っているというのが現状です。

 ですから、特に例えば表現の問題あるいは人権の問題について、何らかの規制項目なり規定項目があるというわけではございません。それでよろしいですか。

【須藤委員】意見書の最後に、個人データ保護規定に限定すべきということで御意見を述べられていらっしゃるのですが、その点に関係するところで、電算処理データの収集・利用についてお聞きしたいと思います。各社ともにホームページを立ち上げられていろいろ広報活動をなさっており、それから今おいでいただいている出版社がなさっているかどうかは定かな記憶がございませんが、ある出版社などはウェブ上で直接販売活動を行っております。そうしたウェブを使ったマーケティング活動と個人情報との関連を、日本企業ではなく他国企業の事例で御紹介しますと、多くの企業サイトでは、クッキーという技術を使いまして、そのホームページにアクセスした人がどのページを何時何分何秒に見たかというデータを全部ストックしています。さらにそうした情報を、ほかの方法、アンケートなどで集めた情報と関連づけて、アクセスした人のプロフィールをかなり綿密に把握しております。そうして、個々のニーズに即した製品・サービス情報を個々人に対してメールを通じて提供する、というかたちのマーケティング活動を行っているわけです。このようなウェブ・マーケティングの現状を考えて、今後、業界でもインターネットでの個人情報の保護と利用について十分検討していただきたいと思います。それでいいという結論もあろうかと思いますし、そこまでやってはいけないという結論もあろうかと思います。それと、もう一つ問題になりえますのは、ウェブを通じて集めた個人情報を、例えば雑誌の広告のクライアントに渡すというビジネス・モデルがありうる、現に存在するということです。個人情報を提供することを条件としてバナー広告料が値上がりすることもあるということです。この辺りのデータ処理について、クッキーなどの技術を使っているかどうか、使っている場合に、そうして収集したデータをどう処理、利用なさっているのかということをお聞きしたいと思います。もし御存じの方がいらっしゃればお願いしたいと思います。

【杉本取締役】講談社の場合もインターネット上で講談社クラブというのを出しておりますが、中にもちろん、これは書籍の流通過程にかかわってくる問題ですけれども、要するに一刻も早く読者が必要とする書籍を直接的に送るというような意味で、そういうLANも設けております。

 ただ、集まったデータをどうしているのか、私はちょっとそこまでは詳しく知りませんけれども、例えば広告情報というのはある種の雑誌、あるいは本を宣伝する場合に読者対象であるとか、あるいはどういう人たちが読んでいるとか、そういう分析は当然のことながらいたしますけれども、それ以外に今おっしゃったようなことが行われているのではないかということについては、私はちょっとそこまで詳しくはわかりませんけれども、確かにそういう愛読者カードなりインターネットというものが非常に数が多いですけれども、出版社の規模がそんなに大きくないものですから、そこまできちんと管理をしているとは思えないんですけれども、ただ利用の仕方としてはごく限られた中での利用というか、再活用というか、そういうものだと思います。ほかの社の場合はわかりませんが。

【五十嵐取締役】小学館の五十嵐です。今、委員が御指摘のように、出版社でもインターネットを使って書籍の販売あるいは写真コンテンツの販売等を現実にやっております。

 やっておりますが、出版社がこのインターネットあるいはデジタルの世界へさまざま出ていったのも、ここほとんど2、3年の間でございます。2、3年の間にやったことといいますのは、出版社独自でやった分ももちろんございます。これはイントラネットと称して社内での情報のノウハウを積み重ねて外へ出していくという例の1つとして私どもは読者に書店で手に入らない本を販売する、あるいは書店さんで配本のなかなかままならないものを書店さんに向けて販売するというようなものを開通しているのが1点と、もう一つは先ほど申しましたように、具体的に申し上げますと篠山紀信さんの写真集から写真を読者にお見せして料金をいただくといういうようなものが代表的であろうと思います。

 ただ、委員が御指摘になりましたアマゾンドットコムのようなクッキーを使ってさまざまなデータを取るというところまで、2、3年のノウハウでございますので、実際にそこまで進んでおりません。技術的にもまだまだ開発途上もいいところでございまして、さまざまなプランはあれ、現実に公衆の皆さんにお見せするようなところまで進んでいないというのが現状かと思います。

 もう1点、広告につきましては、恐らくこれから具体的に私どももさまざまなコンテンツを集めた、先ほど杉本副委員長が話しましたように、講談社でも現在『週刊現代』をベースにしたものを始めていますし、私どももそういうような企画はございます。広告面に関しましては、恐らくこれからだということになると思います。そういうわけで、属性その他をきちんと細かくデータを取って、それを保管してどうこうというよりは、言ってみればアクセス数が幾つか、年代がどの層にわかれているんだという程度が現状だというふうに御理解いただければよろしいかと思います。以上でございます。

【加藤委員】その場合、子どもさんの注文の場合はどんなふうな確認をしていらっしゃいますか。

【五十嵐取締役】現在、私どもお子さん向けには小学1年生から小学5、6年生までの学習雑誌でホームページを立ち上げておりますが、これはほとんど広報番組でございまして、見る一方と御理解いただければというふうに思います。

【加藤委員】実際問題、オンライン上で子どもに書籍の注文とか販売とかやっているところはあるようですか。

【五十嵐取締役】他社のインターネットについて、先ほどの雑協加盟85社全部のホームページを私は存じ上げているわけではございませんで、しかもお子さん専門の図書を発行されている社についても若干理解が行き届いておりませんので、恐縮ですが御返答できかねます。

【杉山取締役】子ども向けの場合は、当人からの注文という場合には必ず親御さんの承諾といいますか、親御さんからの注文をいただくということが原則になっております。ですから、子どもさんが直接、例えばインターネットにしろ、書籍をそういう形で販売する場合には、子どもさんの方に年齢を問わず直接その本が送られるということは多分ないと思います。

【礒山委員】ちょっと教えてもらいたいんですけれども、2ページ目の上の2行のところで、ここに通説という言葉が出てくるんですが、これは具体的に判例があるのか、またどういう場で通説ということになっているのかというのが1つと、もう一つはこういう公職なりに就くときというのは自己申告で自分の住所を書いたりとか、いろいろなことを書かされますが、自分が書いた情報、自分が提供した情報以外のものまで踏み込まれてもいいんだと、こういうような形が通説になっているんですか。そこをちょっと教えていただきたい。

【山次長】この通説という考え方は公人理論という理論なんですけれども、政治家とか公職にある高級官僚とか、大病院の院長とか、そういう公の職業を選択している人にとっては、これはアメリカなどでは全人格的なプライバシーに対して問いかけがございますね。例えばブッシュ元大統領の息子さんが出るときも、高校時代の麻薬がどうしたこうしたというような意味であるように、日本でも公の職業に、いわゆる政治家個人の公的活動、全人的活動ではないんですけれども、割と政治家としての全人格的な部分を問われる部分では、ある程度プライバシーを売っていると言っては語弊がありますけれども公開している。それを問われても仕方ないんだということは、マスコミの中では基本的には報道されております。そのことについて判例も出ております。

 具体的な判例がどれかというとあれなんですけれども、日本ではアメリカほどは厳しくありませんが、公人情報に関してはある程度、例えば公人といった場合にどれが公人かと言われたらいろいろ難しい面もあるんですけれども、例えば芸能人などでも名前が知られていて、ある程度自分のプライバシーを公開しながら営業活動をやっていらっしゃる人などの場合、そのプライバシーを売っている部分に関してはある程度のプライバシーに関しての制限は受けるということはあり得ると思います。

【礒山委員】今の中で公人と有名人と並べて書いてあるんですけれども、公人の場合には例えば資産の公開だとかいろいろ大臣などはありますが、あれもやはり自分で公開したものについて情報がオープンになっていますよね。自分で公開していないものについてまで踏み込まれても、それでも包括的に全部OKという形になるかというとちょっと違うんじゃないかなという感じがするんですが。

【山次長】それはなっておりません。ただ、事件を起こしたり何らかのトラブル、何らかの例えば政治問題、あるいはちょっと悪い言葉で言うと利権が絡んだ話などのときは、ではどうやって資産を築いたんだろうかということは調べられても致し方ないといことはあると思います。

【礒山委員】さっきのアメリカの話だとちょっと誤解を招くかなというのは、向こうだと逮捕の情報などは公的にというか、オープンに取れるわけですね。オープンに取れる情報を確かにそういうところで公表するというのはあるんですけれども、日本の場合にはそういうのをオープンに取れる状況じゃないはずなので、そういうものまで全部プライバシーを剥奪しちゃうというか、アメリカの論議をこっちに持ってくるというのは相当危ないんじゃないかなという感じが私はしているんですけれども。

【山次長】アメリカの論議を持ってくるというよりは、ひとつにはアメリカではそういう公人に対してはプライバシーに関しては全人格的に問われるということがあり得るということを言ったので、日本ではそうではありません。日本では公人、有名人、芸能人の、例えば家庭内のことを記事にした場合には、プライバシーで訴えられますと雑誌社側が敗訴いたします。そういうことはあり得ます。

 それと、私どもが裁判で経験するところになりますと、これは雑誌社は往々にしてあるんですけれども、やはり名誉毀損とプライバシーと肖像権とかという場合、特にプライバシーに対して訴えられるケースは増えております。それで訴えられると、私どもでは民事訴訟で訴えらた場合にプライバシーでの抗弁、これはいろいろな形でいろいろな抗弁をするんですけれども、大体敗訴していきます。社会的にはこれは民事訴訟、民事裁判は非常に有効に機能していると思います。だから、私どもが何か取材をする場合、これは個人情報だなと思うレベルでは必ず匿名にしたり、名前を匿名にするだけではなくて、いろいろな意味での配慮を雑誌各社はやっていると思います。それは公人と私人はちょっと分けておりますけれども、一定程度は今までやっております。それで、もしそれをやっていない場合は往々にして訴えられるケースがあり得ます。

【堀部座長】よろしいでしょうか。それでは最後に1点だけ伺いたいのですが、先ほどのような読書カードで個人情報を集めるとか、あるいはインターネットの場合クッキーで情報が集まるということがありますが、それはこの最後に出ている個人データ保護規定の対象になるというふうにお考えなのでしょうか。それとも、それは別のものというふうに考えられるのでしょうか。

【杉本取締役】皆さんお帰りになって本を買っていただければわかると思いますが、雑誌の場合も書籍の場合も先ほど申し上げましたように年齢、性別、職業、あとは地域ですね。そういう基本的なデータがあって、あとは雑誌なり書籍の感想とか、あるいはどういう形でこの本を買いましたかというのは、例えば書店であるとか、新聞広告を見たからとか、そういうような点が幾つか入っているだけです。言葉としては個人情報ですけれども、これを保護する、そこまでの情報は入っていないと思うんです。

【堀部座長】ただ、先ほど言われたダイレクトメールが来るというような場合も、今、言われたような情報が中心だと思うのですね。そうなりますと、同じ個人情報のカテゴリーに、個人データというふうに言われていますが、入るのではないかというふうに理解いたしますが…。今日はそういうところまで予定されていなかったかと思いますけれども、その辺りはまたお考えいただければというふうに思います。

【橋本総務部長】雑誌のアンケートなりはがきなりに関しては、何度も申し上げているように読者の今後に生かそうということで、それを商売に使おうなどということは毛頭考えておらないわけで、むしろ特例懸賞の場合、11項目以上なければ何か物をあげちゃいけないよとか、そういうものがあるのでしょうが、むしろ情報を集めるためです。あとは、例えば単純なアンケートのときは物でも、要するに公取に引っ掛からないレベルのことでやっているわけであって、はがき倫理規定みたいなものがあるわけではないんですが、それを他の目的に使うなどということは、絶対にあり得ない。

 だから、そういう問題が今度のところで論議されるのか。私どもの意見書で言っていますけれども、先ほどの一番最初の質問のところで、とらえ切れない問題がたくさんある、だから包括的なんだと言っても、それではとらえ切れない問題というのはどういうことがあるのか、今度は逆にこちらがお聞きして、それで議論を重ねていってやるならば、わかりましたということになると思うんですが、はがきからちょっと話がそれましたけれども、はがきに関してはそういうことでございます。

【中井編集局長】先ほどの個人情報の話に絡みますけれども、はがきあるいはアンケートは、読者の同意を得て我々がそのアンケートをする。それで、私どもの販売あるいは今後の参考にするわけであって、その情報を第三者に流すということは全くありません。それはうちの文藝春秋でもデータ処分はきちんとやっております。

 ですから、一番心配されているのはその情報はどこかに漏れるということだと思うんですが、その管理は厳重にやっておりますので、その心配はないと思います。

【堀部座長】デパートなどでいろいろ商品を買うときに名前を出すというのと、本人がそれを同意して出しているわけですが、それと余り変わらないのか、それとも違うのでしょうか。

【中井編集局長】先ほどのダイレクトメールが突然来るとか、大変迷惑していらっしゃるということが一番わかりやすい例だと思うんです。だから、その点についてこの問題が顕在化していると思うんですけれども、求める情報が、デパートの商品販売を目的としたデータと、我々の読者に対してのアンケートの内容は違ってくると思います。

 それと、さっきアメリカの例を出されましたけれども、ちょっと日本になじまないのは、アメリカは広大な土地があって、例えば町に本屋さんが必ずある。それから、電車の通勤の途中でキオスクがある。キオスクの中にも本屋さんがあって手に取って見ることができるという国と、つまり方々に広大なところで何かを売るときには、そのデータをきちんと整理しないと商売はできないということはありますね。だから、先ほどのケースと日本の場合は随分違うんじゃないかというふうに思います。

【浦川委員】自社のアンケートはがきについてはわかりましたが、雑誌にはよくいろいろな広告用のはがきが入っていますね。あれでアンケートを取っていると思うのですが、その場合の個人情報保護に関する掲載基準みたいなものは各社でお持ちなのでしょうか。つまり、そのはがきを雑誌に添附する場合に、はがきによってどの範囲で個人情報をとってよいかに関する一つの基準みたいなものは各社でお持ちなのか。この辺をお伺いしておきたいと思います。

【堀部座長】広告でアンケートを取る場合ということですね。

【杉本取締役】確かに入っています。広告と言っても、主に通信講座とかが入っておりますが、これは要するに広告のクライアントのもので、私どもがタッチするのはいわゆる愛読者カード的なはがきですから、広告の場合にどういう形の処理をやっているのか。なかなか編集現場では、はがきの行く先が違いますから、つまりあて先が広告の場合は講談社何とか編集部ということではありませんで、その企業なりがあて先になっておりますから、それがどういう形の処理をなされているかについては私どもはちょっとわかりかねますが。

 それから、はがきというのは、例えば1冊の本、あるいは1つの雑誌ですから、月号が変わればまた新たなはがきが入るわけですから、それが具体的にどういう形で利用するも何も、実際問題としてはなかなかうまく利用できないというのが現状だと思います。例えばシリーズの新書とか、そういう場合は新たな読者を喚起するために宣伝用のパンフレットを御当人に送るとか、そういうことはやっておりますけれども、一方通行で頻繁に行いますから、一つ一つについて統一した何らかの管理の仕方とか規定の仕方というのは各社とも持っていないと思います。

【堀部座長】ありがとうございました。ただいまの最後の個人データ保護規定にこだわりましたのは、今日御出席の各社ではないのですが、ほかの社で読者カードを慈善団体に回して、その慈善団体から寄附の要請が来たというのが実際に何年か前にメディアで大きく取り上げられましたし、今年も7月だったでしょうか、また問題になっていましたので、お聞きしました。今日おいでいただいたところは厳重に他目的利用はしていないということですので安心いたしましたけれども、そういう事例もあるということを是非認識していただきたいと思います。

 最初に指摘されたような点がありますので、またこちらからも情報提供をいたしますが、インターネットでも審議の状況の概要は毎回出しておりますし、詳しい議事録そのものもインターネットで公開していますので、非常に大きな取材力をお持ちの雑誌社としては取材していただいて、いろいろ御意見を出していただきたいと思います。

 それでは、本日はお忙しいところをおいでいただきましてありがとうございました。これで終わらせていただきます。

(日本雑誌協会関係者退席、新聞通信8社関係者着席)

【堀部座長】それでは、今日のヒアリングの最後ですが、新聞通信8社からのヒアリングを行いたいと思います。本日は、御多用のところをおいでいただきましてありがとうございます。

 まず、出席者を紹介させていただきます。
朝日新聞東京本社鈴木編集局次長です。
朝日新聞東京本社総合研究センター松浦主任研究員です。
毎日新聞東京本社朝比奈編集局次長です。
読売新聞西部本社鶴岡論説委員編集委員です。
日本経済新聞社秋吉編集局次長兼社会部長です。
産経新聞東京本社高尾編集局次長兼社会部長です。
共同通信社古賀社会部長です。

 それでは、説明を適宜な方法でよろしくお願いいたします。

【鈴木次長】部会から新聞協会あてにヒアリングに対する意見を申し述べるようにというふうな要請がありまして、新聞協会としては編集局長から成る編集委員会で諮りましたところ、在京8社で話し合ってまとまったものを述べてもらいたいということでありましたので、在京8社で話し合いを進めてきました。全体には今日、7社の意見の大筋がまとまったところをこれから表明いたしますが、細部についてはなお、いろいろな考え方があるということで、それについては補足の形で申し述べさせていただきたいと思います。

 お手元に7社名を書いた意見を出してあります。在京8社のうち、今日ここにも出席しておりますけれども、産経新聞については方針の文脈はそう変わらないところがあると思うんですけれども、独自に意見を述べたいということなので、補足意見の後で産経新聞にも陳述をさせていただくと、こういうふうにいたします。

 新聞もペーパーメディア、媒体というだけでなくて、新聞社としては複合メディアの方向を打ち出しておりますし、そういう中で今日の意見は報道機関という立場で申し上げたいと思っています。意見書の中では最終項目、4項目目に個人情報ファイルという項目をつくりましたが、これについてのみ新聞業界というふうに用語を使っているのはそういう考え方からです。

 今、聞いておりましたら報道表現の自由を損なうような法づくりを考えていないというふうに部会の委員の皆さんから声が出ていて、非常に心強いのでありますが、私どもの意見の根幹はまさにその部分であって、くどくなりますけれども、もうわかっているということをおっしゃらないで聞いていただきたいと思います。全体には少し長いので、部分的に割愛しながら要点をお話いたします。

 構成は、最初に公的部門の情報保護法についての抜本的な改正の問題です。それから更に民間の個人情報の在り方について概論を述べた上で、そうした保護法と報道機関のかかわり方ということについて結論を出した上で、部会からの要請もありました、では今どういうふうになっているのかということについて簡単にまとめてあります。

 第1点で公的部門についてなんですけれども、現行の個人情報保護法については制定後当初から5年ごとに見直し条件を付けています。現在は行われていないわけで、その抜本的改正が急務と考えています。改正すべき点は多々ありますけれども、例示すれば対象を行政機関に限定している特殊法人や国会、裁判所も対象に含めるべきである。また、本人の開示請求についても適用除外が多過ぎる。これには学校の成績や医療記録などが入っていますけれども、これらは情報公開法と同様に適用対象にすべきであるなどが挙げられます。

 情報公開法との関係で申しますと、行政改革委員会は個人情報の開示は個人情報保護によるべきであるとし、早急に専門的な検討を進めて解決を図るとしています。情報公開法は2001年から施行されますが、このままでは情報の公開を請求した場合に、個人情報であるという理由で不開示になってしまい、それならば個人情報保護法で開示請求できるかというとそれもできないという不合理な事態が多発するおそれがあります。そういうことから、公的部門について現行の情報保護法の以上申しましたような問題解決が急務であると考えています。

 このことは今、論議になっている個人情報保護制度の検討を待つまでもなく、速やかに見直し作業に着手してほしいというふうに思っております。

 さて、民間の個人情報の保護の在り方の点なんですけれども、情報の収集・利用・伝達は国民の自由として保障されてきたものです。OECD8原則のような個人情報保護の一般原則を、分野ごとに異なる民間の事情を度外視して全分野に適用するという柔軟性を欠いた法的な規制をすると、一方で国民の自由を制限することにつながりかねません。事業活動だけでなく非営利的市民活動を含む広範な活動は、必然的に個人情報を扱うため、意図すると否とを問わず規制の対象となる可能性があります。殊に表現の自由はいわゆる知る権利を含むものであり、報道の自由にかかわる権利です。この権利は、国民の基本的人権の中でも取り分け重要な権利であり、かつ民主主義社会を根底から支える基礎であることを忘れてはなりません。

 また、個人情報保護を目的とした規制により、知る権利や報道の自由にかかわる権利が損なわれることがあってはならないと考えます。

 こうした基本的な立場からすると、民間の個人情報保護について何らかの規制をする場合には、民間の事業活動の自由などを制限することにならないように配慮する必要があると思います。これらの自由や権利を制限することにつながるような場合は、個人の基本的な人権を保護するために、やむを得ないと認められる合理的な範囲に限定されるべきだと考えています。

 それから、これは先ほどの雑誌協会の方でも出ていましたけれども、個人情報の保護というのは本来的にファイル管理の制限の問題であると考えています。個人情報の収集などに対する無制限な規制であってはならないと、適正な情報の自由な流通を阻害しないような配慮を求めます。こういう原則を確認した上で、この民間の個人情報保護の在り方を検討していただきたいと考えています。

 それで、こうした個人情報保護のために私たちは基本法は必要だと考えています。最近、社会問題化しているように、コンピュータにより電子的に管理された大量の個人情報が盗まれたり、不正利用されたりする事件が目立っています。特に電子情報の結合によって特定個人に関するさまざまな情報の集約が容易にできることから、個人のプライバシーが丸裸にされてしまう不安が年々高まっています。住民基本台帳の改正でこうした危険性がますます増大することは間違いありません。それだけに、個人情報について何らかの法的規制の検討が必要な時期にきているのは確かだと思います。

 しかし、その個人の人格権に対する実際の侵害がどのような分野で、どのような形で問題になっているか、具体的に究明し、特に必要となる分野に対して適正な対策が検討されるべきだと思います。

 信用情報などのように、以前から個人の権利の侵害が具体的に問題になっている分野について、一定の範囲で法的義務や罰則を規定する理由はあります。特定の個別分野ごとの特別な法規制はその必要性があり、妥当だと考えています。

 しかし、民間一般を対象とする法律となると、OECD8原則やEU指令、あるいは通産省ガイドラインの内容などをそのまま法的な義務として広く一律に規定することは適切ではありません。何となれば、民間一般についてこれらの規定内容のすべてについて事業活動の自由を制限できるだけの法的規制の必要性があるとは必ずしも言い難いからです。基本的人権の中で繰り返しになりますけれども、取り分け重要な地位を占める表現の自由について、なおさらその感を強くするものです。

 必要だと言いました個人情報の基本法というのは、情報の自由な流通を確保し、表現の自由を尊重するとともに、個人の尊厳を守るとの理念の下に個人情報保護の原則を制限し、保護の実現を求めるものとすべきだと考えます。

 同時に、さっき述べたように特定の個別分野について必要な法的規制というものがなされて、こうした理念と保護の実現ができるように、そういう基本法がよいというふうに考えています。

 では個人情報保護法、取り分け基本法と報道機関の関係なんですけれども、報道機関は民主主義社会において社会に生起する諸問題について取材し、事実を伝え、さまざまな考え方を紹介し、判断材料を提供して国民の知る権利にこたえる責務を負っています。取材活動によって事実に迫り、情報を収集し事実を報道する中で、報道機関は多くの個人情報を入手し、報道に使用することになりますが、OECD原則などをそのまま報道機関に当てはめた場合、取材や報道の自由が損なわれる事態が生じかねません。

 また、取材の過程で入手する情報には必然的に個人情報が含まれますが、この個人情報の収集について直接収集や本人同意、センシティブ情報の収集禁止などの原則を適用したのでは取材は困難になります。情報の利用について、本人同意の原則をそのまま当てはめたのでは報道ができないことは言うを待ちません。

 取材で入手した情報について本人開示を認めることも、判例などで認められてきた取材源の秘匿や、取材の秘密を守るという長年にわたって業界の慣行として定着している報道機関にとっての基本原則から困難と言えます。

 しかも、個別法による規制策をとっている米国では、報道機関に対する法規制がないのはもちろんですけれども、EU指令もまた第9条で、表現の自由との調和を図る必要がある場合はジャーナリズム目的、芸術・文化上の表現目的のためのデータ処理について、個人情報処理の一般原則などの規定の適用除外を定めなければならないとしています。実際に、そのEU指令に基づいたイギリスのデータ保護法に見られるように、EU諸国には適用除外規定が定められています。

 結論ですが、したがって報道・出版その他の表現の自由に関連する個人情報の処理について、基本法の精神を尊重した自主ガイドラインによるものとし、知る権利を含む表現の自由を損なうことがないように、分野別の法的規制の対象外とすべきだと考えています。実態ですが、新聞業界の個人情報ファイルと保護の取り組みについては2点を挙げています。補足意見あるいは御質問に更に対応したいと思っていますけれども、新聞各社が扱う個人情報ファイルというのは大別すると報道・出版目的の取材関連のデータ、もう一つは営業用のデータ、その2つがあります。営業用のデータについては、個人情報保護の理念に沿って自主ガイドラインをつくる方向にそれぞれの社が動き始めています。取材関連のデータについてはそもそも目的外の使用はあり得ないし、その結果としての記事が名誉を毀損したりプライバシーを侵害した場合には、現在でもそうですけれども現行法で厳しくチェックされております。

 それからまた、我々が持っている取材関連データというのは極めてセンシティブな情報が含まれておりますので、各社ごとにそうした情報を含めて情報管理についての社内規定なども整備されつつあると、されているというふうに言えないのが残念なんですけれども、されつつあるということだと思います。

 以上で、全体の意見を終わります。次に、補足を少し述べさせていただきます。

【朝比奈次長】先生方には今更という話になるかもしれませんが、おおむね今の意見で私ども一致したわけですけれども、こういう意見に至るまで、この基本法というものの位置付けにもかかわるものですから、少しだけ説明させていただきたいと思います。

 私たちはいわゆる情報化社会を迎えて、またこれが進展していく中で2つ大きな問題があるんじゃないかということを紙面の上でも訴えてきました。1つは、国とか自治体とか行政機関等に、国民にとって非常に重要な情報が集積されていくけれども、国民がそれにアクセスできないというような状況。もう一つは、国民の一人一人が自分に関する情報が知らない間に蓄積されていく、あるいは、デジタル情報としてリンクされていく。そして監視され、管理されていくような心配もある。あるいは売買されていくというような事態、この2つに対して情報化社会の主権者は国民だということ、居住者の人権ということを、今更のことながら世の中に訴えていかなきゃいけないということで、情報化社会の民主主義について私どもは情報デモグラシーという言葉を造語いたしまして、90年代に入ってから紙面企画等で訴えてきたわけです。情報化社会の民主主義というものをつくっていく上でのメダルの表は情報公開制度だとしますと、この個人情報保護という考え方あるいは制度化はメダルの裏になると思うんです。これから来る新しい世紀は情報化の進展という中で迎えるわけで、今つくられようとしているこの法律というのは非常に大きな意味を持つと思うんですね。

 その意味では、この基本法という言葉に込めた願いというのは、新たな更に高度な情報化社会が来る、そこにやはり民主主義の土台というものをきちんとつくっていかなきゃいけない。そういう意味で、情報化時代の民主主義を宣言するというような内容、官民を対象にして憲法が保障します表現、報道の自由を重視した上で、人々の個人情報の保護をうたう。そういうような理念を打ち出すような規定、そうした上で規制の必要があるような対象分野については個別の法制化をしていくというようなことが望ましいんじゃないか。

 そういうことから私どもが今の7社の意見に加わっていったわけですけれども、例えば個人信用情報の漏洩の問題とか、目的外の利用とか、そうした形で現実に被害が出たり、社会に不安が広がっている中で、罰則も含めた法規制というものを、そうした分野などを含めていろいろな知恵を出し合ってつくっていく必要があると思います。繰り返しになりますが、先ほどから委員の先生たちから報道機関の報道とプライバシー保護の問題というのは表現、報道の自由とも絡む課題だということで、今回は直接それを対象にしていないというお言葉を聞いたんですけれども、念のためやはり強調しておきたいのは、個人情報保護の法制化の問題とはこれは別に考えていくべきだと思います。私たちは報道機関として報道とプライバシーの問題については自主的に対策、対応を進めているところですし、これからもしていきたいと思っております。

【鶴岡論説委員】若干重複する点がございますが、補足的に申し上げさせていただきます。

 1点は、最初に鈴木さんの方から申し上げました、公的部門についての現行法の強化が急務であるという点と民間部門の違いという点なんですけれども、一般的に申しましても行政機関が収集する個人情報といいますのは、行政機関が権限に基づきまして個々の国民に対して義務的に提供させるというものが相当部分を占めていると思うわけです。こういうものに対して民間部門が収集する個人情報といいますのは、我々の業界でも大部分がそうだと思いますけれども、個々人の自由意思に基づいて、その協力を得る形で提供していただく。我々の取材にしましても、個々人に当たる場合には原則としてそういう形で取材しておりまして、あくまでも自由な情報提供というのを原則として収集しております。そういう対応の違いから見ますと、その規制の在り方あるいは民間部門について、特に報道機関については規制という言葉が拘束的な規制でないことを望むわけですけれども、その個人情報保護の在り方は違いが出てしかるべきであろう。やはり公的部門につきましてはそういう個々人に対して義務的に収集する以上は、その個人情報保護の在り方というのはそれなりに民間部門よりは厳格であってしかるべきではないか。

 一例を挙げますと、NTTの個人情報の漏洩ということがこのところ話題になったわけですけれども、この漏洩した社員に対しては解雇で臨むという形がとられております。これに対して、現行法の公的部門についての個人情報保護法では、その辺の情報の漏洩をいかに防ぐかという点では、この法律自体にその担保する条文が見られないというふうな点もありますし、先ほど鈴木さんが申し上げたような2、3の特殊法人なども含めるとか、そういった点も含めまして、やはり民間部門以上にこの公的部門についての個人情報保護の在り方というのは早急に煮詰めるべきであろうと思います。

 もう一点は、この報道機関の特殊性という点であります。同じ民間部門と申しましても、報道機関における個人情報の収集というのは原則としまして、特に報道という機能に即して言いますと、これは集めた情報を公表することが目的といいますか、あくまでも報道することが目的であるという点が非常に他の民間部門と異なる面であろうと思います。したがって、その収集の目的からしまして、そのニュース価値といいますのは非公知である情報ほど報道価値が高いということになる性質上から言いましても、我々がみだりに収集した個人情報を漏らすということは通常はあり得ないと言えるわけです。それを出すのは、やはり報道する場合が原則である。この報道機関の個人情報保護の問題というのは、そういった特殊性に即していいますと、やはり報道した場合にその個人情報の扱いがプライバシー侵害に当たるかどうかというところに相当収束されてくるだろうというふうに理解しております。そのプライバシー侵害ということをいかに防ぐかという点につきましては、また御質問に応じていろいろ御説明したいと思うんですけれども、各社がそれぞれ工夫し、時代のプライバシー概念の変化といいますか、理解の仕方の変化に応じまして工夫を重ねてきているところであります。以上です。

【秋吉次長】今、読売の鶴岡さんの言われたことを若干補足して申し上げます。

 我々が取材している個人情報は原則として公開を原則としているというのは全くそのとおりなので、我々が提唱している基本法の精神を尊重した自主ガイドラインによる自主規制ということを包括的な意見の中で陳述いたしましたが、更に申し上げますとこの自主ガイドラインによる自主チェックという中身は、いろいろ第三者機関をつくって我々の集めてきた個人情報の公開を審査するという意味ではなくて、あくまでも我々の責任において自主的なガイドラインをつくり、自主的にチェックする。そうしないと個人情報の管理、一番大事なところが独り歩きして、第三者機関に回る間にそこで漏洩の危険性もある。

 それから、我々が主としている取材目的の個人情報データにつきましては、先ほど鶴岡さんが申し述べたとおり、これは事実の漏洩が問題であるのではなくて、我々が紙面化する個人情報がプライバシーの侵害、または名誉毀損に当たるかどうか、非常に高度な判断に基づくものである。それを第三者機関にゆだねるわけには我々はまいりませんということです。

 したがって、結論としては各社が各社の責任において自主ガイドラインをつくり、基本法の精神にのっとって個人情報がプライバシー侵害に当たるか、名誉毀損に当たるかを真摯にチェックするという趣旨でございます。その点を強調したいと思います。

【堀部座長】ありがとうございました。

【鈴木次長】こちらが一方的にしゃべってばかりで大変申しわけないんですが、あと1つ、2つなんですが、先ほど取りまとめの形で申し上げましたけれども、朝日新聞社として1つだけ補足をいたしますと、さっき全体意見の中で申し上げたんですけれども、基本法にOECDの8原則等を全部そのまま法的な義務を伴うものとして書き込むということについては、私は報道機関として、基本法はそういうものであってはならないという立場で意見を申し上げます。

 仮にもし、基本法に個人情報処理の諸原則の中のあるものを入れようというふうなことにお考えが至るような場合は、先ほど申し上げたように報道の持っているデータの特殊性といいますか、あるいはその収集のやりよう、あるいは利用の目的が限られているということから、その適用については受け入れることができないものがあるという意見が社の中に出ているということを申し添えさせていただきます。

 最後に、産経新聞が独自の意見を意見書も含めてお出ししていると思いますので、これからその部分について意見を述べるようにいたします。

【高尾次長】産経新聞が独自に意見を7社とは別に申し述べさせていただくということは、我々の理解したことを我々の言葉で御説明申し上げようという意図でございまして、他意は特にございません。

 お手元に意見書というのをお配り申し上げております。大体このとおりでございます。1つは、やはり包括的な個人情報保護法というのは必要であろうというふうに考えております。取りも直さずプライバシー権というのは重要な権利でもあります。憲法13条から導かれて私的領域の不可侵性を保障しているということであります。そのうち、個人情報につきまして、国の側においては昭和63年の12月にこの法律が制定された。一方、民間におきましては電気通信事業者などから個人情報の漏洩といったものが非常に絶えないという状況にありまして、我々としては包括的な個人情報保護法の制定というのが現在並びに将来に向けた情報社会ということの全体的な秩序維持に必要であろうというふうに考えております。

 今プライバシー権というのを申し述べさせていただきましたが、この権利にもやはり制限というものがあるだろう。公益を守る、図るという目的などで制限されるということはあるであろうし、またプライバシー権のみが突出してより大きな社会的な利益というものがあるならば、それを損なうという事態はやはり避けるべきであろうというふうに思っております。

 それから2つ目でございますけれども、やはり報道機関も個人情報を幾つか持っております。したがいまして、我々としても今後できます包括的な個人情報保護法の理念というものは尊重するということに立場はならざるを得ないだろうというふうに考えております。具体的に我が社は今そこに大まかに書いておりますような種類の個人情報ファイルを所有しております。

 それから報道の自由ということでございますが、これもまた無制限に許容されて何でもやってもいいということでは決してないというふうに思っております。憲法21条に由来して非常に重要な権利ではございますが、やはり国民の利益、その擁護と増進という目的がございまして、それから逸脱するということになれば権利の乱用というそしりは免れ得ないだろうというふうに思います。したがって、報道機関といえども一般的に法の全くらち外にある、超越した特権的な立場を享受するということはできないであろうというふうに思います。

 3つ目でございます。2ページ目にまいりますが、しかしながら我々報道機関が持っております個人情報につきまして、その他ほかの業種と同一的に画一的な規制というのはやはりなじまないのではないかというふうに思っております。今そこに最高裁の決定の一部を引用いたしておりますが、こういうことにとどまらず、やはり報道機関というのは国民主権の確立とか、さまざまな広範な意味で重要な役割を我々は義務として持っておるし、また役割を要求されているということでございます。

 こういった立場からしますと、例えば先ほどお話にございますようなOECDの8原則といったものを画一的に全く区別をせずに適用された場合、やはり我々にとっては大きな責務を果たす上で障害になるのではないかというふうに思います。報道上、自由ということを具体化するための取材の自由であるとか、編集権の自律とか、そういったものを阻害するようになるだろうと思います。

 そこでどうすればいいかということでございますけれども、これまで申しましたとおり、報道の自由というのも無制限の自由ではない。一方、また同時にプライバシーも無制限の権利ではあり得ないであろうというふうに思っております。プライバシー権もまた一部議論がございましたが、公人であるかどうかとか、公益とのかかわり具合とか、さまざまな点で制限されるような相対的な権利であろうかというふうに思っております。そうしますと、2つの権利が衝突するということになるわけでございますけれども、公と私という感じではなくて私人間におけるこうした権利の調整というのは、一律的な法規制でやるということにはなじまないのではないか。やはり個別の事案に即しましてどちらがより守るべき、擁護すべき利益であるかということについて具体的な比較検討衡量がなされた上で解決が図られるべきであろう。現実的には報道機関の自律性、それから当事者間による解決の努力というのがまず求められるであろう。その後、また法律的には民法709条の不法行為による救済とか、あるいは差止請求、仮処分など認められておりますので、こうした解決方法というのもやはりトータル的にはこうした全体の解決というのを担保しているのではないかというふうに思います。

 なお、付け加えさせていただきますと、包括的な保護法の中で報道というのを除外するというふうな規定をもしもらえるということになると、それでは一体報道というのは何であるか、報道機関というのはどういうものであるかということで非常に論議を呼ぶことになるのではないかというふうな思いがいたします。また、包括法の個別的なものを受けまして、分野別の立法などがなされた場合に、やはり報道に対してそういう立法がなされるということはちょっとなじまないのではないかと私どもは考えております。以上でございます。

【大橋委員】ペーパーが2つ出て、言葉遣いに若干の違いがあるようでしたけれども、基本的な内容については特に大きな違いがないような印象を受けました。基本法は必要であるという意味で、ただ、その内容についてのいろいろな制約、前提条件がある。それは理解できるところです。

 ただ、ここの7社のペーパーの2ページ目にある話と、それから先ほど前提にお話になった公的機関の個人情報との対比において云々という議論があったのですけれども、それについては私は少し理解を異にしますので確認しておきたいと思います。

 公的機関は権力に応じて収集するが、民間はそういうことはない。逆に言うと、公的機関は権限に基づいて所掌事務の範囲内で明示的に個人情報を制限して入手しているのです。利用についても非常に厳しい縛りをかけている。一方、民間機関においてはその制限が見えない。だからということで今回のこの議論が始まっているのです。そこのところの認識がちょっと私と違うような気がしたので確認しておきたいと思います。

 それに少し関連するのですけれども、2ページ目のAは基本法は必要だというふうに冒頭になっています。それはそれでいいのですけれども、その段落の下から4行目でしょうか、住基法の改正でこの危険性がますます増大することは間違いないといっています。文脈からすればだから法的規制が必要な時期というふうに流れていますけれども、実は先ほどの話も関連するのですが、住基法ではきちんと民間における利用も含めて規制した。けれども、抜けている部分があるからということで今の議論が始まったように思うし、報道機関を含めてマスコミあるいは国民、国会においてもそういう規制がないまま、制限のないまま行われることについて措置が必要だという議論になったと思うのです。ですから、住基法の改正とは切り離す、あるいはそこの検討が必要な時期になっているところに直接結び付くのは認識が私と異なるので、その2点を確認したいと思います。

【鶴岡論説委員】まず公的部分と民間部分の違いについて申し上げた点ですけれども、先ほど申しましたように、特に報道機関の場合につきましては、個人情報の収集の目的というのは基本的にそれを公表するといいますか、報道することにある。そこのところで非常に扱い方が違っていると理解しています。したがって、公的部門における個人情報の扱いの規定の場合と、トラブルの発生の形態も違ってくる。公的部門におきましては、個人情報の漏洩ということがほかの民間部門と同様に大きなテーマになると思うんですけれども、報道機関におきましては先ほど申し上げられましたように、公知でない情報を報道することに価値を見出している。そこのところが非常に大きな違いがあると考えています。

 それと、民間では扱い方について明示が見えないとおっしゃる点ですけれども、これは確かに法律がありませんし、それゆえに今こうして議論されているわけですが、法律はありませんけれども、ガイドラインをつくる業界は徐々に増えてきている。

 それから当社、読売新聞の場合なんですけれども、日本でプライバシーの問題が本格的に取り上げられるようになりましたのは三島由紀夫さんの『宴のあと』という、元外務大臣の生活を素材にした小説であったと思いますけれども、このいわゆる「宴のあと」訴訟が提起される1年前の1960年に、読売新聞ではプライバシーの基準というものを設けております。それから、その後もプライバシーの概念自体は非常にあいまいなものだと理解していまして、時代の移り変わりなどによってかなり理解の仕方が変わってきているということで、プライバシーを報道の面でどう扱っていくか。プライバシーをどう守っていくかということで度々の見直しが必要になってくるわけですけれども、読売新聞の場合では82年に『書かれる立場書く立場』という、プライバシーにどう配慮していくかという考え方をまとめたものを公表していまして、これは本にして刊行しております。それから更に同じタイトルなんですけれども、見直した上で改めて97年に再び刊行しております。こういった形で、プライバシーをいかに守っていくかという姿勢あるいは基準を世間に示してきているというところです。以上です。

【朝比奈次長】この文章は、言ってみれば個人のプライバシーが丸裸にされてしまう不安が年々高まっているということですね。住民基本台帳法の改正の際に、民間の利用は禁止されておりますが、住民票についての番号がそれぞれ決まるということは、光と陰の部分がこの改正にあると思うんです。陰の部分で例えばの話、その番号をベースに民間の業者がデータベース化をしていくというようなことというのは可能性としては十分考えられるわけですね。

 そう考えられるところに国民の不安があるわけで、委員の方が御指摘の住民基本台帳法の改正に伴ってその後、個人情報の保護が必要だという議論が出てきた経緯に関しては先ほどのお考えもありましょうが、更にそれを超えてそうした光と陰の部分があるだけに、国民が個人情報保護について強い意識を持つべきではないかという考えの流れでございます。御指摘の考え方からこれが必要になってきたという面を否定するものではございませんが。

【三宅委員】まず報道機関は別扱いという場合の、その報道機関というのをどう定義するのかということで、これは産経新聞社さんの2枚目に何が報道であるかの認定というところがございますし、7社さんの3ページでも「報道機関は」というところから始まりますので、報道機関というのを例えば新聞協会加盟社というのか、フリーのジャーナリストなどをどうとらえるのか。それから、これから出てくる問題としては、ホームページを使って自分はジャーナリストだというので情報提供する人が出てくると思うんですが、そういう方も報道機関としてとらえるのか、その辺の問題として1点ちょっとお考えをお聞きしたいと思うんです。

 最後のところは新聞業界になっているんですが、民法連さんなどではBROもあるんだというようなお話があったものですから、その辺で放送メディアと活字メディアの違いみたいなものがあるかというのが2点目です。

 それから3点目は、基本法にOECD8原則とそのまま法的義務として書き込むものであってはならないと、先ほど鈴木さんの御説明にあったんですが、基本法でどういうものをイメージするかといったときに、OECD8原則的なものを法的義務じゃなくて努力義務として、ガイドラインの基準になるような何らかの努力義務的な規定というような盛り込み方はあるのか。その辺もだめだという御趣旨なのかどうか、それが3点目です。

 それからもう一点、日経新聞さんの秋吉さんからも出たことですが、第三者機関をつくって審査するというよりは各社の責任において自主的ガイドラインということの御説明だったんですが、個人情報の漏洩の危険性があるからという理由だったんですけれども、漏洩の危険のない秘密保護が十全な管理の下で、かつ国の監督等を離れた形での自主的な苦情処理第三者機関というようなものは認められるのかどうか。多分、基本法のイメージを私どもがこの意見からどういう形で受け止めていいかにかかわってくると思いますので、その辺りについて御説明をいただければと思います。

 それから、7社の意見書の2ページに基本法は必要だということで「コンピュータにより電子的に管理された大量の個人情報が盗まれたり、不正利用されたりする事件が目立っている」と、ここで事実的なことが明記されているんですが、ここのところの規制には一般の基本法に刑罰、罰則を規定するというようなくだりはないわけですね。それで、その後の「信用情報など」というところで「法的義務や罰則を規定する理由がある」ということなので、これはその基本法の中では刑罰というものは一切考えられないという趣旨なのか、場合によってはその行為対応によってはあり得るのか、どのようにお考えなのか。その辺りをお願いします。

【鈴木次長】私の答えられる範囲でお答えしますが、基本法について8社の話し合いの中で具体的にどういうふうなものだというところまで詰まっているわけではなくて、であるからこそ先ほど朝日の個別意見というか、補足も出たような状態であるということを前提にして私見も含めてお答えすると、報道機関とは何だということについてはこれから考えていかなきゃならないことであって、同時に産経新聞の側からも出ましたし、これまで民放各社も言われていたように、その報道機関というものを認定する、そういうところで1つの法の網といいますか、どれを報道機関と言うんだといったときに危険性、報道の自由というものに抵触するような部分を持つというふうに思っています。

 それで、私は三宅先生が新聞協会加盟のというふうに例示されましたけれども、最初に申し上げたように、ここで言っている報道機関というのは、新聞協会の意見ではありますが、新聞協会の加盟各社がイコール報道機関という関係には置いてありません。したがって放送メディアも、あるいは電子のメディアも入り込んでくる。その影響力等を含めれば、極めて少数のネットの中でも我々の報道と同じような影響力というものが瞬時に世界を駆けめぐると、こういう事例も接しているわけですから、非常に幅広くなるであろうというふうな感じは持っておりますけれども、報道機関の要件とは何だというふうな、そこまでの議論はしておりません。

 それから、最後のところにだけ新聞業界というふうに使いましたが、放送メディアと活字メディアの違いは個人情報ファイルにおいてはどういうふうになるのかという辺りについて言うと、ちょっと的確には言えないんですけれども、例えば新聞の場合には、これも後から質問が出るかもしれませんが、具体的に新聞を取ってくれるお客さんがいるわけですね。そういうものに対する顧客情報、新聞の場合には宅配制度というものを持っているために、その顧客情報がファイルされている。不特定の人たちに流れ、選択的に自由に1秒単位で見ることのできる放送とはそんな点が違うのではないかと思います。

 それから、ちょっと飛ばして8原則等の努力義務規定の問題なんですけれども、先ほど申し上げたように全部が全部努力義務規定でもノーだというふうに言えるのかどうかについては、まだ先ほど申し上げたような形で各社の意見が詰まっているわけではありませんけれども、基本的に収集原則とか、そのほか先ほどの総括的な意見書の中でも申し上げたように、それが努力義務規定で書かれた場合でも本人同意、それについて努力しろというふうに書かれた場合に、はい努力しますとは言えないというような問題が起こるわけです。その中で原則の書かれようというのはなかなか難しい。努力義務規定であれば基本法であって全部承知しますというふうに言えないものがあるんじゃないか。ましてやその罰則などを含めて安全漏洩の分野に入り込んできたときに、新聞業界のファイルが漏れてトラブルになっているケースは幸いにもありませんけれども、民間でそのファイルが漏れてそれが我々の新聞にも非常に大きく取り上げられて、一体どうなっているんだという指弾をするというふうなケースから言うと、そういう個人データ情報が、個人情報ファイルが流れていくということについて、なお我々としては議論を継続していかなければいかぬのではないかとは思っています。

 繰り返しますけれども、法的義務規定でなくて努力義務規定ならば諸原則を全部書いてもいい、そういう基本法かと言えば、そうではない、ということを意見書の中で申し上げたつもりであります。

 それから、第三者機関については先ほど日経の秋吉局次長の方からもお話があったわけですけれども、私どもとしてはまだ自社の個人ファイルというものについてどういうふうに管理をしたり、あるいはそれの利用ルールというものをつくっていくかについては歩みが始まったばかりでもあって、自社努力が非常に大事であるということをまず考えております。

 それから、ついでの機会なので言わせていただきますけれども、片方でプライバシー権の侵害という流れの中で、報道被害の救済というふうな文脈で同じようにプライバシーの侵害というものから派生した問題が語られてもいます。そういう中で先日も実は日弁連に御説明をする同じようなヒアリングの機会があったんですが、個人情報保護と報道被害救済との文脈は全く違うので区別してほしいと申し上げました。同じことは先ほど来、補足意見も含めて言っているわけです。専門家の先生方ですから混乱することがないと思って安心して私は言うわけですけれども、プレスカウンシルの議論のところでもなかなか社の取り組みを超えて協会というか、新聞界全体で第三者機関をつくり上げていくということは、各方面からの要請はあるけれども、意見の一致をなかなか見られないし、実際に実務的にそういうものをつくり上げていくということについて今、私は難しいという立場に立っております。

 ただ、各社がそういう努力をする、あるいは各社が自社のそうした第三者的な機関、たまたま朝日新聞の場合で言えば苦情処理ではありませんけれども紙面審議会という全くの第三者の意見を拝聴するような場ができていますが、方向としてはそういうものをつくるべく自社努力を続けたい。繰り返して言いますが、区別されるべきであると考えている個人情報の保護の分野でも、第三者機関というものについては私どもはまず自社の取り組みを強めるべきであるというふうに考えているのが私の意見です。

 基本法の中で刑罰が考えられないのかということですが、議論がこれからされなければならないと思っている安全原則等のところで、全体的に違法性をはっきりさせることについてどんなふうに新聞の意見がまとめられるかというのが現在の我々の状況でありますので、統一した形で刑罰まで含めということは現時点では言えないんですけれども、当然そういうところをこれから、本当に基本法をどういうふうにするんだというふうな議論を詰めていく場合には、しなければならないかなと私は個人的には考えています。

【朝比奈次長】実は、三宅先生の御指摘は重要な点が含まれていると思うので、今後この検討部会でお考えになっていく上で十分に配慮していただきたいわけです。先ほど何回も民放連、NHK、雑誌協会のヒアリングの中でも指摘されたように、表現、報道の自由に絡む部分をここではやらないんだぞと、言ってみればマスコミのそういう報道の部分というものに網をかぶせようとするつもりはないんだというところで、私ども非常に意を強くしているわけです。けれども、この基本法的なものができたときに、OECDの原則をそのまま強い努力目標のような形で入れた場合、例えば個人情報の収集について本人の同意その他、幾つか条件が付いていますが、報道機関の報道に携る人間の実感でいいますと、例えば社会的な不正、あるいは権力者の不正を暴くような報道を通じて、本人の同意というようなものが前提で強い努力目標になっているような場合には、先ほど来先生方が非常に重視してくださっております報道の自由に関しては影響があるんじゃないかと思います。今後この方向で検討が進む場合には、この辺のところを是非御配慮願いたいというふうに思います。

【鶴岡論説委員】2点について補足いたします。

 1点は報道機関とは何かという御質問の点ですけれども、これは先ほど産経新聞さんが言われたところにかかってくる可能性のある問題かと思うんですが、例えば報道機関とはこれこれだと、こういう規定の仕方をした場合には、自主規制という形での法規制の適用といいますか、法規制の対象外になるという形になった場合、ではその報道機関なのかどうかという形で問題にされた場合には非常にその機関の性格なり、あるいは構成なりによって自主規制の対象外とされてしまうのかどうかとか、そういった問題が懸念されるところでありまして、私たちの議論の中でもこれは報道機関だからということで見られると、かなり表現の自由の制約につながっていくのではないかという意見が出されました。

 私の理解では、今回は新聞業界の意見を述べろというお話でしたので、報道機関という立場でその言葉を使って申し上げておりますけれども、基本的にはやはり表現の自由の分野である、私たちは表現の自由の分野の機能を担っている一部であるという理解をしております。したがって表現の自由の分野、報道機関以外にも例えば小説家とか、いろいろな表現の自由がかかわっている分野があるというふうに理解しております。

 それで、先ほど三宅先生が指摘された中で非常に扱いがこれから難しくなってくるであろうと思われるのは、まさにEメールで発信するジャーナリズム、Eメールでの個人情報の発信と、この分野であろうと思っております。これについてはたしか郵政省での検討審議機関でも問題になったかと思うんですけれども、発信者の責任を明らかにできない場合は、かなりこれはプライバシーの保護という点では難しくなってくるのではないか。これは既存の報道機関なり、あるいは作家なり、ノンフィクションライターなり、こういった人たちが発信者の名前を明らかにしまして、その責任を常に問われる立場にあると、そこのところと決定的に違ってくる可能性があるということで、この点は今後検討していただく問題であろうというふうに思っております。

 もう一つ、第三者機関の問題ですけれども、先ほど申し上げましたように、報道機関におけるプライバシー侵害のトラブルの発生の形態と申しますのは、これは報道された局面でその報道の内容がプライバシー侵害に当たるかどうかというふうなことでありまして、もう一つ私たちが重視したいのは、そのプライバシーの理解の仕方が非常にあいまいさがあって、時代の変遷とともに非常に理解の仕方がまちまちです。

 例えばダイレクトメール一つとって見ましても、欲しい情報がそのダイレクトメールに入っていれば、これは非常に便利なものがきたというふうな受け止め方をする人もおりますでしょうし、そうでなくて全く欲しくもないダイレクトメールが寄せられた場合には、なぜ私のところに勝手に送ってくるのか、どうして私の住所が漏れたのかということでプライバシー意識を非常に強く考える人もいるだろう。また表現の場面で見ましても、例えば評論家の方が思想信条を明確に示すことで自身の存在を世間にアピールされる。それに対して一般個人の場合、思想信条を知られては困るという人は幾らでもいるわけでして、そういう問題一つを取ってみましてもプライバシーの扱いというのは非常に難しい。やはり個別具体的なケースに応じて判断される問題ではなかろうかという感じがします。

 そういう点からみますと、第三者機関をつくった上で、その第三者機関でもって個別のトラブルを判断する際、その第三者機関を構成する方の主観性は極めて強く反映されることになりはしないかという点が懸念されます。そういう主観性が強く反映されるような性格を持った問題であるということは、第三者機関の安定性といいますか、その点で疑問が生じてくるのではないか。やはり今のところは私たちは個別具体的なケースについて各社ごとに工夫しまして、まず報道の段階においてプライバシー侵害にならないような基準を設けて事前に防ぐ措置をとっている。それから、クレームが生じた場合にはそれに対応する個別の対応をしております。そして、その個別の対応がこじれた場合には、やはり民事訴訟といった形で解決されてきているわけですけれども、裁判官の場合ですと、その主観的な判断といいますよりも、やはりその職務の性質上、公正・中立が立場上、要求されるということで、私たちも安心してその判断に従うことができます。

 そういう意味では、現状でいいかどうかというのは更に議論が必要なところではありますけれども、今の各社別の個別対応で工夫しつつ対応し、こじれた場合には客観的な立場で公正・中立な判断を期待できる裁判官にその判断をゆだねるという形が、現在ではやはりベストなのではないかと思います。

【堀部座長】今の点は、弁護士会の中に第三者機関を設けるべきだという意見もありますので、それとの関係でいろいろ意見があるところだろうと思いますが、加藤委員どうぞ。

【加藤委員】クレーム処理は個別の事例で対応して誠実にやってくださるという話なんですが、それにも不満足な場合、例えば一般市民の場合だったら訴訟に持ち込むといいますが、これがなかなか大変で、今までの事例を見ていますと資力ある方とか、会社とか、そういうところはやれますけれども、一般の市民の場合ですとやはりペンの暴力といったら誠に失礼だけれども、結果としてはペンの暴力の下に屈服せざる得ないというようなことがありますね。そして、今後気を付けますみたいな感じで捨てられてしまう。そして、訂正記事を出してもらうなんて本当に大変なことで、ほとんど不可能なことが多いです。

 例えば、私たちも随分取材をされますけれども、かいつまんでそこのところを書かれてしまって、これはプライバシーとちょっと離れるかもしれませんが、けれどもそのグループにとっての見解という大きな意味でのプライバシーかもしれませんけれども、隠すべきものではないかもしれないし、とにかく違ったことや何かは書かれてしまうけれども、たくさんの言葉の中からちょいちょいとかいつまんで紙面構成に都合のいいような使われ方をしたりして、訂正してほしいと言ってもほとんど不可能みたいなことというのはあるわけですね。

 例えば、放送におきましては、これは完全に明らかな人権侵害ということになった場合ですけれども、BROあるいはコミッショナーの方はCですね。そこに訴えることができるんですが、新聞協会の場合はそこのところが今ないんですよね。そういう意味で、今おっしゃるように確かにその第三者機関の構成員の意向に左右されるというけれども、もしマスメディアにとっても市民にとってもこの存在はかなり独立性が強く、社会的に見て信頼できるというような構成であれば、そういうものができてもいいのではないかというふうにお思いいただいていると解釈していいのでしょうか。

【堀部座長】今までのお答えでも個別に各社対応ということのようでして、どうでしょうか。今の加藤委員の発言にお答えいただけるかどうか。

【秋吉次長】御意見はよく分かっているつもりです。それから、その前の三宅先生の御意見もよく分かっているつもりですが、絶対に第三者機関は我々は必要ないという立場はとっておりません。

 しかしながら、考え方としてこの包括的意見にもあるように、先ほどの問題に戻りますけれども、我々が持っている個人情報というのは大別すると報道目的の個人情報と、それからどちらかというと営業目的の個人情報と2つある。それで、営業目的というのも非常に千差万別でして、例えば日経におきましては非常に各種の個人データを実は取り扱っている事実があります。したがって、社内的にどういうふうに取り扱うか、どういうふうに個人情報を保護するかというガイドライン、または保護規定を社内的には随分つくっております。それは並べるだけで数センチ、10センチぐらいになるような細かい規定を完全ではありませんけれどもつくりつつあります。

 しかしながら、それを第三者機関にこういう具体的な事例があるから持ち出してどうであるかという審議をゆだねることには、先ほど申し上げているように、それは個人情報の我々の管理から一歩出てしまう。それを第三者にゆだねることは逆に危険ではないかという判断をしております。したがって、各社が同じようなガイドラインを持ち、同じ価値観で統一できるならば、その辺はいわゆる営業用データの管理についてそういう自主機関をつくろうという動きが出てくれば、それは議論の検討の対象にはなると私は個人的に思っております。

 ただし、加藤委員が御指摘のように、我々は編集の人間ですが、報道目的の個人情報の収集に関しては、基本的に第三者機関にその判断をゆだねるべきではないというふうに個人的に思っております。それは先ほど鶴岡さん、または鈴木さんが意見を述べられましたけれども、ほぼ同様であって、これは個人的なあれですが、果たしてBRO、BRCの取り組みが、あれを否定するものではありませんけれども、初期の目的を達しているのか。あれによっていわゆる個人情報の保護、または報道による被害救済が十分になされているのかということは、我々が検証してみると果たしてそれで十分なのかという思いは持っております。したがって、あれを機械的に我々は新聞に当てはめて、ああいうものをつくれば個人情報が保護される、または報道被害が救済されるというふうには少なくとも私は思っておりません。

【加藤委員】今の放送の人権保障の機構で万全だと思っているわけではないのでちょっと一言言っておきます。ただ、それだけのことを個別に民事なんだから対々でやろうというからには、どう考えても公器を持っていらっしゃる皆さんと、単に取材されてそれにつき合う市民との間の力の格差というものを感じた上での誠実さが欲しいということを言いたいんです。この際、せっかくだからお願いしておきます。

【鈴木次長】加藤先生の御指摘は非常に私どもはまじめに受け止めています。

 ただし、今、御議論になっているのは、最初に意見を述べたとき、あるいは補足の回答を三宅先生にお答えしたときにも繰り返し申し上げていますけれども、この個人情報保護法というものについて、基本的には個人情報ファイルがどういうふうに漏れてどういうふうに悪用されていくか、あるいは不正な結合がされていくかという点についてであるわけですね。したがって、最終的に報道被害という言葉に代表される、書かれた記事の持っている問題点について苦情あるいは批判、更に事実訂正の要求等について、それをどういうふうに速やかに解決するのか、あるいは誠実に答えるかという問題は、別途問題を立てて十分にお話も伺いたいし、あるいはそういう努力について御説明もしたいと思っております。

 今、非常に私がこういうことをくどくど申し上げているのは、同じような第三者機関ということで、放送で言えばBRC、BROがこういう場でも使われてくる。そういう中で、報道の内実に入った中でもちろんプライバシーあるいは人権の侵害というものが議論になるわけですけれども、そこのところでの第三者機関という問題と、それから今、個人情報の保護という中で語られているいろいろな苦情、あるいは問題点を解決するための第三者機関というものが混在というか、区分けがないままに、結局第三者機関さえつくれば報道コントロールあるいは苦情処理が可能ではなかろうかという形で広がっていくことについて、これは非常に危惧しているのです。

 ですから、問題が同じプライバシーとか人権ということになってくれば、本当にそのインセンティブな情報の中でのやりとりですから、それが紙面に出たときに重なり合うものはないとは思いませんけれども、今、個人情報の保護について、どういう法律をつくるかという議論のときにはきちんと区分けをして考えたいということを重ねて強調しておきたいと思います。

【須藤委員】第三者機関については意見の一致を見ないということは鈴木さんの当初の

 発言でよくわかりました。そして、そのあといろいろな御意見を多数の方から伺いましたところ、鈴木さんも強調なさいましたし、あるいは秋吉さんも強調なさいましたけれども、各社の自助努力が最優先されるべきだということだったかと思います。その場合には、NHKの方がおっしゃったように、やはり公器であるからして国民との対話の関係をつくる必要があるということを鑑みまして、社内倫理規定、社内ガイドラインをどのようにつくっているかということに関する情報開示を徹底する必要があるというお話だったと思います。その点についてどのようにお考えになっていらっしゃるかということをお答えいただければと思います。それからもう一つ、NHKの方のご発表のときに大山委員がお聞きになりましたけれども、その証左の一環として、社内倫理規定あるいは社内ガイドラインに関する、正規社員と契約社員を含めた社内研修がどの程度、どういうレベルで年にどのぐらい行われているのかという点についても、各社ともに手身近にお答えいただきたいと思います。

【朝比奈次長】これに関してというのは、要するに今おっしゃったのはいわゆる新聞社が持っているファイルの扱い、あるいは個人情報の収集の扱いであって、報道に関する部分ではないんですね。

【須藤委員】プライバシーについてです。

【朝比奈次長】報道とプライバシーという問題と個人情報ファイルの問題を混在した議論はしないというお話があったと思います。例えば私どもで言いますと営業セクションが持っているデータがございますね。これについてOECDの8原則の場合、特に安全原則などというのは社員規則で徹底してやっておりますし、それから例えばの話、新聞社の場合、最近懸賞というようなことをやっておりますけれども、ああいうものへの投書というのはもちろん本人の同意を得ているわけですが、あそこで当選したようなものは公正取引委員会に持っていきますし、それから残ったものについては厳重に管理した上で一定期間の後に廃棄するというようなことは行われております。今の研修というのは取材報道の方法とか、そういう部分を含めての御指摘なのか、そうした営業部門が持っているいわゆる個人データの扱いの問題なのか。ちょっと教えていただけますか。

【須藤委員】そうした個人データの処理についてはいろいろ議論や規制がありますし、社内での御努力もあると思います。ただ、報道にかんしても、報道の自律性、取材の自由、表現の自由ということをおっしゃる場合、個人情報の取り扱いにかんする個々人の倫理がきわめて重要になってきますので、その辺りの研修が重要になってくるかと思うわけです。したがって、そうしたものも含めて、個人情報の取り扱いにかんする社内倫理規定あるいは社内ガイドラインの情報公開や社内研修をどの程度なさっているかということをお聞きたいということでございます。

【朝比奈次長】それが個人情報保護法をつくっていく上で、具体的に先ほどから本来的にはファイルの問題ではないかということを言っているわけですけれども、例えば取材のイロハのような部分での研修というようなものですか。個人情報保護法のこれから皆さんが法律をおつくりになっていく上で、真正面からそれが対象だということの認識で作業されていくことになるのでしょうか。

 もちろん、新聞社でございますから新入社員教育を含めてさまざまな研修を徹底的にやっておりますし、取材に当たっても報道に当たってもそうした人権プライバシーには配慮してやっていこうということは研修をやっております。しかし、今のような御質問が出てくるところで、先ほどもいろいろな別の分野の人たちも言っていましたけれども、この個人情報保護法をつくろうとしているこの検討部会というのは、報道の在り方を問題にしようとしているのかなという誤解を招きませんか。どうなんでしょうか。そこをちょっと御説明いただければありがたいと思うんですが。

【須藤委員】報道のあり方を問題にするという考えがあってご質問しているわけではありません。純粋に、個人情報保護との関連で申し上げているのみでございます。報道に法的規制というものがなじまないということは御説明でよくわかるのですね。

【鈴木次長】今の須藤さんのお話の中でもし接点があるとすると、先ほど来、例えば個人情報ファイルについても二分に大別して1つは取材に関連することを申し上げました。実際に、例えば新入生が4月から仕事を始めた途端に取材メモの管理であるとか、あるいはそこで数々のインセンティブ情報が取材の結果として手に入る。それをどういうふうに管理していくのか。あるいはその取材源の秘匿、取材の秘密は守らなければいけないとか、そういう形では記者教育そのものが個人情報保護と重なり合っています。そこの部分が外れてしまうと結局取材の自由を担保できないという我々なりの危機感を持っていますから、そこのところをきちんとやるという点では、高邁な精神というよりはむしろ記者としてのイロハのイをきちんとやると、こういう研修についてはできていると思うんですね。

 しかし、同じように個人情報ファイル、これがほかの営業用を含めてたくさんある、そういうものについて、ではきちんと管理されているか、あるいはその教育はどうなっているのかということになってきますと、先ほど雑誌の方も言っていましたけれども、電子媒体を使ってかはがきかは別にして、読者から来る情報の廃棄の仕方とか、そういうものについては相当神経を使うようになってきましたけれども、そもそもそういう顧客の情報なり、あるいはそういうものをどういう目的で集めてどういうふうに利用するか、それを社内でルール化をきちんとしようということについては、ようやく取り組みつつあるというのが多分、新聞各社の状況だとは思うんです。

 ですから、自主的な自律的な取り組みをするというのであれば、当然そういうものはきちんとやれという要求になって返ってくることは十分に予想もされるし、私たちも理解をしております。我々が法的な義務を受けないような仕組みということと、その理由をるる申し上げましたけれども、その一方でそういう問題をどこまできちんとやるか、そこが試されるというのは当然だと思うし、そういう御意見を厳しく受け止めたいと思っております。

【大橋委員】この点に関して私の意見だけ申し述べておきたいと思います。

 このペーパーにもありますように、個人の基本的人権というときの個人情報については管理が大前提だ、一番重要だというのは、それは確かなのです。

 個人情報の保護において、もう一つ、言わずもがなですけれども、個人情報の自己管理というのは大きなポイントなのです。この2つなのですね。ですから、この自己管理のところでそれを担保する方法として苦情処理、苦情受付機関というのが大きな存在になっているわけです。国の法律の場合もそうですね。そういうことになりますと、各社の違いがある。プライバシーの概念の理解に違いがあるから第三者機関に託せないのではなくて、違いがあるからそこそういう機関に託して、ある意味での客観的な公平な審議を経た方がいいのではないかというのが私の考えです。

 それで、先ほどのBRCの評価の問題もありましたけれども、少なくとも2年間に4,000件の訴えはあったんです。それは私は重みとして受け止めるべきであって、その評価をしないというふうなことはできないのではないか。結果的にその中の大半は無事に収まったのですけれども、でも4,000件の持って行き場をまず裁判に持っていくなどというのは容易なことではありませんから、そこにその機関があるということは自己情報、自己管理の苦情処理ということの大きな担保になるのではないか。そういうこと自体が自主規制という問題の一つの現れになるのではないかというふうに思います。既に答えをいただいておりますので、私の意見として申し述べておきたいと思います。

【三宅委員】今の苦情処理機関の件は、公的部門の個人情報保護法の改正の部分で、改正すべき点は多いがと言われている部分に実はちょっとかかわってくると思うんです。88年に個人情報保護法ができたときに、当初の総務庁の案には苦情処理機関、第三者機関があったんです。

 ところが、各省庁の反対に遭って苦情処理機関がなくなったんです。それについて多分新聞各社は、私は記憶が定かではありませんが批判をされていたんじゃなかったかと思うんです。

 その辺のことを見ますと今、大橋委員の点はその歴史的な経過から見ると、やはり必然として出てくる可能性、それから従前の社説、社論等との兼ね合いを十分検討しておいていただく必要があるんじゃないかと思います。

 それからもう一点は、実は社内ガイドライン、自主ガイドラインがどうなのかということで非常に自分で考えて難しい問題があるだろうなと思うのは記事データベースですね。これは営業用データなのか、取材関連データなのか、取材を受ける際に記事データベースで過去のデータを起こしてきて、それを基に取材されるケースがあります。そういう意味ではこれは取材関連データになるんだろうと思うんです。

 ところが、パソコンでアクセスすると時間の料金を払って記事データベースのデータをいただきます。これは商業用データの側面があると思うんです。それで、恐らくこの記事データベースについては営業用データとしての規制が必要になってくると思うんですが、例えば犯罪情報などで過去の逮捕情報で、それが後に無罪が確定したとき、記事データベースとしては過去のデータをさかのぼると逮捕情報しか出ない。そういうものについてはその自己情報の開示請求とか訂正請求の要求というのが出たときに、過去のデータはそのままにして、かつそこに付加的に後に無罪が確定したとか、そういうのを付加しなきゃいけないんじゃないか。それが訂正請求の問題として出てくるんじゃないかなと思いまして、それはこういう個別法をつくろうとつくるまいと人格権に基づく請求としてあり得る話だと思います。

 そういう意味では、社内規定でそういうことまで盛り込んだガイドラインなりができるのかどうかが適用除外として社会的に認められるかどうかの一つのポイントになってくるんじゃないかと思いますので、今後よく検討していただきたいと思います。

【朝比奈次長】大変に重要な御指摘をいただいたわけでございまして、この問題に関しましてはここに並んでいる朝日新聞、読売新聞、毎日新聞の3社についての記事データベースについて、私どもで実態を調べましたが、検挙、逮捕された時期の情報については、もちろん記事データですからざっとその1つのテーマ、1つの事件名で検索すれば、最後は無罪になれば無罪まで出るんです。けれども、ただ何年の記事というふうに指定すればその後の方は出ないので三宅先生の御指摘のとおりですが、これについてはまず読売新聞が実施いたしまして、朝日新聞、続いて毎日新聞が実施しているところでございますけれども、そういう後に不起訴になった、あるいは無罪判決が出たというような重大な変更があったケース、これを放置しておきますといわゆる誤まった記事データによって本人の名誉を傷つけるということになります。そこで、必ず続報注意という見出しを付けまして、その後ろにこのケースは何年に無罪判決になりましたというその後の記事ないしはその内容を載せるというやり方をしております。3社で少しやり方は違いますが、現在はそういうふうになっております。

 記事データベースにつきましては最新の正確な記事データを提供できるようにというところで、例えば紙面でおわび訂正があったようなものに関しましても必要な範囲で正しく修正して、これは何日のおわび記事に基づいて直しましたというようなこともやっております。御指摘の点については私どもとしては不十分な点があるかもしれませんが、対応しているところでございます。

【松浦主任研究員】朝比奈さんの答えで大体尽きていますけれども、三宅先生は御心配でしょうが、94年から我々は堀部先生などに御意見を仰いで社内でガイドラインをつくり、新聞協会の電子メディア研究会というところをつくってそれで検討し、それぞれ持ち返ってガイドラインをつくっております。データベースは性質上もともと開示しておりますので、のぞいてみれば自分のどういう情報があるかわかりますし、正確性の原則とかデータの質の原則ということで鋭意努力しているわけで、これについてはいずれ何らかの形でウェッブサイトにその基準というのも表示していきたいと思っております。

【堀部座長】どうもありがとうございました。まだいろいろ御意見、御質問はあろうかと思いますが、大分時間が過ぎていますので、新聞通信各社といいますか、日本新聞協会加盟の新聞通信8社からのヒアリングは以上で終わらせていただきます。本日はお忙しい中、おいでいただきましてどうもありがとうございました。

 委員の方は申しわけないのですが、もう少しお待ちいただきたいと思います。

(新聞・通信8社(日本新聞協会)退席)

【堀部座長】これまでヒアリングは4回行ってきました。その前も2回会合を開きました。1回目は会の開き方の問題等について議論していただき、またそれぞれの御意見を出していただきました。2回目に論点整理をしまして、その後3回目から6回目までヒアリングを行ってきました。関係のあるすべてのところからヒアリングをするということはできませんでしたが、ある程度それぞれ意見をお持ちのところからはヒアリングをすることはできたのではないかと思います。更に意見をお持ちのところもあると思いますので、後日、パブリックコメントというような形で御意見を出していただくということにもなろうかと思います。

 これまでの4回にわたるヒアリング、全体では6回の会議、これらを踏まえまして報告の基本的枠組みを考えていかなければなりません。そういうこともありますので、これまでのところで感想等ありましたら簡単にお述べいただければと思いますが、いかがでしょうか。

 大分時間もたっておりますし、お疲れかと思います。前回加藤委員から起草委員会というようなお話もありましたが、起草委員会を設けて、それを開くという時間的余裕もなくなってきています。かなりハイスピードで進めていますのは、御存じのような三党確認もありまして、12月には基本的枠組みを取りまとめるという状況にもなっているからです。この高度情報通信社会推進本部に設けられました個人情報保護検討部会としては、11月にはこれまで検討してきたことを取りまとめなければならないことになっています。

 それぞれこの個人情報保護あるいはプライバシー保護の問題というのにかかわってきた歴史が違いますので、あるいはこういうことも議論していないではないかとか、これもまだ残っているとか、いろいろあろうかと思います。私自身は最初のあいさつのときも言いましたように約40年近くこの問題にかかわってきています。これだけを研究テーマにしているわけではないのですが、多くの機会に議論をしてまいりました。国内にとどまらず国際的にもこの問題について議論をしてきています。

 これまでの6回にわたる検討を中心にしつつ、私がこれまで議論してきたことなども踏まえまして、次回には座長私案ということで基本的枠組みを出させていただいて、それについて御意見をいただくき、その後、更に2回予定しています会議で、第一次報告というふうに最初から言われています報告をまとめたいと思います。その後どうするかというのは相談させていただきますが、恐らく更に何らかの形で検討を続けていくことになると思います。どういう形で検討するかというのは、関係者と相談してみたいと思います。いろいろ御意見はあろうかと思いますが、そのときに是非出していただきたいなと存じます。

 それでは、そのようにさせていただきたいと思います。次回は10月20日水曜日です。これは午前10時から12時までを予定していますが、会議室はここがふさがっているそうですのでどこか広いところということで事務局に探してもらいましたところ、総務庁、経済企画庁、内閣法制局、金融監督庁等が入っている第4合同庁舎の2階で、大蔵省に行く渡り廊下の近くの広い会議室を取っていただきました。いすの入れ方にもよると思いますが、かなり入れるかと思いますので、そこで次回は開かせていただきたいと思います。今、第4合同庁舎に入りますのにかなり厳しくいろいろチェックしているようですので、事務局から入構の仕方等については御連絡させていただきます。そういうことで進めたいと思いますが、よろしいでしょうか。

 それでは、長時間にわたりまして御議論いただきましてありがとうございました。

 これで終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

(以上)