高度情報通信社会推進本部

第9回個人情報保護検討部会議事録

1 日時:平成11年11月19日(金)14:00〜15:30
 
2 場所:総理府地下講堂
 
3 出席者
(委員)堀部政男座長、礒山隆夫委員、浦川道太郎委員、大橋有弘委員、岡村正委員、開原成允委員、加藤真代委員、鈴木文雄委員、西垣良三委員、原早苗委員、三宅弘委員、安冨潔委員
(事務局)竹島一彦内閣内政審議室長、小川登美夫内閣審議官
 
4 議題:中間報告案について

【堀部座長】それでは、ただいまから高度情報通信社会推進本部個人情報保護検討部会第9回の会合を開催させていただきます。お忙しい中お集まりいただきましてありがとうございます。

 本日は、大山委員と須藤委員が御都合により欠席との連絡が入っております。また、原委員が少し遅れるということであります。

 早速、本日の議事に入らせていただきます。本日は、本検討部会の最終回になりますので、中間報告案につきまして最終的な検討を行いたいと思います。前回、第8回の最後でタイトルも「我が国における個人情報保護システムの在り方について(中間報告)」ということで御了承を得ましたので、そのような形で取りまとめております。前回の部会におきましてお示しした報告案につきまして、部会の場で御意見をいただきましたし、また一両日中に事務局にペーパーを御提出いただきたいということをお願いいたしまして、いろいろ御意見をいただきました。報告書案の修正につきましては座長の責任で、いただいた御意見を十分に踏まえて最終的な案文を作成いたしました。

 後ほど、どういう表現に改めたかということにつきましては事務局から説明をしていただきますが、大きな点を1つと、若干議論がありまして変えた点を私の方から最初に申し上げたいと思います。

 まだ目次等は付けてありませんけれども、大きなVとしまして10ページの「個人情報保護システムの在り方」がありますが、座長私案の段階ではWの「今後の進め方等」の中に入れておき、また前回もそのようにしておいた2つの項目を、Vの「個人情報システムの在り方」の中に入れることにいたしました。14ページのところに6としまして「複層的な救済システムの在り方の検討」ということで入れまして、もう一つは15ページに7としまして「悪質な不適正処理等を行った者に対する制裁措置の検討」と入れました。これらにつきましては多くの御意見がありまして、むしろ積極的に取り組むべきものということでありましたので、今後の検討というよりは全体のシステムの在り方の中に位置づけて、それを更に検討することになるわけですけれども、そういう位置づけにさせていただきました。

 それからもう一点は基本原則のところで8ページですが、前回ここにヒアリングの際に報道機関から表現の自由とのかかわりで意見が出ておりました。その点につきまして、その趣旨をここに書きましたが、ほかからもヒアリングを行っていますし、その一部についてだけ書くのはどうかという御意見もありましたので、ヒアリングでどういう意見があったかというのは全体として受け止めることにいたしまして、個別に書くことはしないようにいたしました。そのために、その部分は削除いたしました。

 また、特に個別法等に基づく公益上の観点からの問題等につきましていろいろ御意見もありまして、これは現行法でもいろいろ対応できる部分でもありますので、現在法律があるものについて、それを最初にアという形で持ってきまして、従来アとして掲げていました報道・出版、学術・研究のところはイということで次に掲げました。それは、イの最初の方に書きましたように、「次のような個別法等に規定のない分野については」ということで、まさに検討をどうしてもしなければならないところであるわけですけれども、個別法で対応可能なところと、そういうものがなくて憲法とのかかわりで議論をしなければならないところを順番を入れ替えてみたわけであります。それらが全体の構成を少し変えたというところであります。

 あとは、それぞれの表現につきまして御意見をいただきまして、それを整理してみました。御意見は必ずしも全部取り入れているということにはならなかったのですが、全体としてみますと取り入れているといえます。個別的にはこういうことでこのようにしたという点を事務局から御説明をいただくことがよろしいのではないかと思いますので、小川審議官から御説明をお願いしたいと思います。

【小川内閣審議官】それでは、前回の案から変更になった主な点を順に御説明申し上げます。

 まず1ページ目の下から5行目でございますが「一方、近年、個人情報の流出や」というところで、前回は「民間部門等において」というような限定がございましたけれども、御意見がございましたので趣旨を踏まえて削除をしております。

 次に3ページの上から3行目の末尾、「条例が制定されている」という表現でございますが、前回の案では法的限界が云々という表現でございましたけれども、前回の委員会で御議論がございましたので、そこは削除をしております。

 それから、次の4行目から5行目にかけてでございますが、分野によっては守秘義務等の規定が設けられているというような御指摘がございましたので、ここにございますように「特定の分野において刑法その他の法律により守秘義務の規定が設けられているほか」と、一般的な事実を挿入しております。

 次に、4ページでございます。下ほどの四角の中でございます。(1)の目的のところでございますが、「個人の人格にも関わるものとして適切な保護」という表現がございます。従前は「人格の一部として」という表現でございましたけれども、委員の中から保護には経済的利益等もあり得るのではないかというような御指摘もございましたので、少し幅を広げた表現に修文をしております。

 同じページの一番最後の行から5ページの頭にかけてでございますが、個人情報保護の問題についての記述でございますけれども、原案では「不安感を生じさせている」という表現でございましたが、不安感だけではないのではないかという御指摘がございましたので、その趣旨を踏まえまして「不快感等」という言葉を加えまして「予期しない形での収集、利用、提供や不完全なままの利用、提供等により、不安感や不快感等を国民の間に生じさせているところにある」と修文いたしております。

 それから、5ページの上から16行目になりましょうか、「この2つの概念については」というところでございますが、前回の検討部会で憲法上の権利ではないかというような御議論も多々あったところでございますので、ここに「憲法第13条に基づく権利であるとする学説がある」という説明の語句を挿入しております。

 同じページの下から4行目以降でございますけれども、自動処理情報、それからマニュアル情報という言葉がございます。用語の整理がついていないのではないかという御指摘がございましたので、次の6ページにかけて整理をしてございます。

 それから6ページの上から2行目から3行目でございます。「個人情報保護システムの目的や確立すべき原則の法的効果とのバランス等を踏まえ」という表現がございます。前回の案ではなかったところでございますけれども、範囲を明確化する必要性があるのではないかという御意見をいただきましたので、その趣旨を挿入しております。

 一方でその記述の一番最後でございますけれども、「保護すべき個人情報の範囲に関しては、マニュアル情報についても対象として検討すべきであるが一定の限定は必要である」という表現です。前回の案では不可欠という言葉を使っておりましたけれども、少しきつい言葉ではないかというような御意見もございましたので、一般的な用語に改めております。

 それから、同じページの下ほどでございます。2つの四角のちょうど真ん中辺りでございますけれども、「一方で既に公にされているものから収集する場合のほか」の次で「緊急の必要や生命、財産等の安全を守るため」というのが原案と少し変わっております。これは緊急の場合、それから生命、財産の安全を守る場合、それぞれ読めるように検討対象を広げた方がいいのではないかということで修文しております。

 続きまして7ページでございますけれども、上から3行目も今ほどと同様の趣旨で修文をしております。「緊急の必要や、生命、財産等の安全を守るため」という表現でございます。

 それから、8ページにまいりまして上から14行目でございます。「ただし、収集の際に本人同意がない場合については」の次でございますが、ここの一文が一般論であることを明確にするために「一般的には」という語句を挿入いたしております。

 それから、段落としてその2つ後でございますけれども「イ、ウ、エの求めについては」というところでございます。この段落全体につきましては、前回の検討部会におきましてさまざまな議論があったところでございます。議論の経過が明確にわかるように、このような表現に改めております。

 それから同じページの下の方、米印の1のところでございますけれども、まず前回の検討部会で例示をめぐりまして憲法25条等の御論議があったかと記憶しておりますが、ここで憲法論議に基づいて整理しているわけではないということでございますので、全体の整理の仕方を改めますとともに、例示の順番も原案ではアとイが逆になっていたわけでございますが、その順番を改め、また表現等も修正しているところでございます。

 また、併せまして、先ほど座長から御説明がございましたように、報道機関についての表現が4行ございましたけれども、個別の分野の取扱いはこの報告では全体を通じて取り上げないとの方針から、ここでは4行まるごと削除をいたしております。

 それから10ページでございます。上から3行目ないし4行目でございますが、前回の検討部会で国民に対する啓発や教育に関しても記述があった方がよいのではないかという御意見がございました趣旨を踏まえまして、この一文を挿入いたしております。

 それから、同じページの一番最後の行でございますが、前回お取りまとめをいただきました結論のとおり「このような観点から、我が国の個人情報保護システムの中核となる基本原則等を確立するため、全分野を包括する基本法を制定することが必要である」という結論を明示しております。

 次に11ページでございますけれども、今ほどの基本法の結論に従いまして2番及び3番のところを、前回の案では空欄でございましたが、すべて「基本法」という言葉で埋めております。

 それから、同じページの米印の1番の「監督機関について」のところでございますが、その2行目から3行目にかけましてでございますけれども、前回の検討部会でここの記述にあるデータ保護庁についての性格の御指摘等がございました。そういう経過も踏まえまして、ここの表現の趣旨を明確にするため、理由について「一般多数の事業者に対する規制措置によって本来自由であるべき事業活動を大幅に制約することとなるなど」と修文をいたしております。

 それから、12ページにまいりまして米印の3番でございますが、「全分野を通じた罰則等について」という表題及びその全体の表現でございますか、原案では「罰則等の規制措置」とか、「罰則等」とか、必ずしも表現の統一がとれておりませんでしたので、ここでは「罰則等」という言葉で統一しております。

 それから、上から10行目ぐらいの、その場合の抑止効果についての記述でございますけれども「抑止効果には限界があり」という後に、原案ではアウトサイダーに関する記述がございましたけれども、御意見がございましてここは削除しております。

 それから、同じ米印の3番の最後の行でございますけれども、罰則等を創設することについてでございますが、原案では「問題があり慎重に考えざるを得ない」という表現でございましたけれども、罰則の検討の可能性までは否定しないという趣旨から、「創設することについては、慎重に考えるべきである」と修文をいたしております。

 次に4番の「個別法等」の(1)の「個別法の整備」のところでございますが、その5行目から6行目にかけてでございますけれども、個別法の整備に早急に取り組む必要があるのではないかという御指摘が前回の検討部会でございました。その趣旨も踏まえまして、「個人情報保護に関する法整備を含めたシステムを速やかに整えるとの観点から」という一文を挿入いたしております。

 13ページにまいりまして、上から4行目でございます。ここは届出、登録制の部分でございますけれども、委員から届出、登録制は補完的であるべきではないかというような御意見をいただきました。その趣旨も勘案いたしまして、ここに「必要に応じて」という言葉を挿入しております。

 それから、真ん中ほどより少し下で「自主規制」の(1)で「自主的な取組みの促進」の3行目でございますが、自主的な取組みには効果が及ばないような場合もあるのではないかという御意見をいただきました。その御指摘も趣旨も踏まえまして「一定の限界はあるものの」という言葉を挿入いたしております。

 それから、14ページにまいりまして下ほどの「複層的な救済システムの在り方の検討」でございますが、ここについては冒頭に座長から御説明がございましたように、全体の構成につきまして御意見が前回の検討部会でございました。その趣旨を踏まえまして、システムの在り方の検討は全体のVの中に移すこととし、ここの6番へ移しております。また、同じく次のページの「悪質な不適正処理等を行った者」についても7番へ移したということでございます。

 それから、14ページの「複層的な救済システムの在り方の検討」の中身でございますが、各省庁とか行政庁とかいろいろ用語がございました。一応苦情処理については各行政庁という言葉で統一をいたしております。

 また、8行目は「国又は地方公共団体の所要の措置」という言葉になっております。これは「勧告、指導、公表等の措置」と書いてあったのですけれども、ここについては御意見がございました趣旨を踏まえまして、さまざまなものが予想されますので「所要の措置」ということに修文をいたしております。

 同じく14ページの一番最後の行でございますが、「民間第三者機関等、地方公共団体」、その次に「国」とあります。これが「各省庁」となっておりましたが、これも用語の統一で「国」と改めております。

 それから、15ページにまいりまして7番の制裁措置は先ほど申しましたように構成を変更しております。そこのところの一番最後の行でございますが、「刑事罰等の制裁措置を検討し得る可能性もあることから、別途検討していく必要がある」となっておりますが、前回の原案ではここの間に「将来において」という言葉がございました。前回の検討部会でここはいかがなものかという御意見がございましたので、その意見を踏まえまして「将来において」という言葉を削除させていただいております。

 最後にWの「今後の進め方等」でございますが、体制の整備でございますけれども「法制的な観点から専門的な検討」ということで、表題及び表現の中で用語の整理を図っております。「法制的・専門的」という原案だったかと存じますけれども、「法制的な観点からの」と用語の整理を行っております。

 それから、3行目から4行目にかけまして、前回の案では「専門部会」と言っておりましたけれども「専門委員会」という表現に修文いたしております。また、構成が改まったことと関連いたしまして3番、4番がそれぞれ1番、2番と繰り上がったということでございます。以上でございます。

【堀部座長】ありがとうございました。全体としてこのような取りまとめにしたいと思いますが、いかがでしょうか。

【礒山委員】意見を出して若干否定されたものもあるので、確認も兼ねて触れさせていただきたいのですけれども、6ページの「個人情報のために確立すべき基本原則」ですね。これはこの後で専門委員会が開かれて、専門委員会で法制的な検討をしていくということなのですが、少し気になりますのは、例えば一番最初の「個人情報の収集」のところで言うと、エという項目については下の方へいくと「適用除外」という言葉が出てきて、適用除外の検討もあり得ると。ところが、アとかイとか、そこら辺になると適用除外という言葉が下にないから、これは適用除外みたいなものというのは本当にないのか、専門委員会で検討することで可能なのか。例えば一番最初の「収集目的の明確化」とか、ここら辺の観点で言うと、契約を締結してその契約が履行の範囲内だということで利用する場合には、契約の締結をもって本人の確認したものとみなすとか、何かそういうみなしみたいな適用除外みたいなものがあっていいのではないかと感じがしたものですから、どこまで拘束してしまうのかというのが1点です。

【堀部座長】その点は既に自治体の条例などでも収集目的の明確化は掲げていますが、実際にはその運用に当たっていろいろなやり方をしております。それから契約条項に入っていて、それに署名捺印すれば通常は契約理論からしても本人が同意していると考えられるところですので、これはまさに後で専門的に検討する中で、そういうことを一々入れるのか。これは全体に法律をつくる場合の問題になるのですけれども、法の一般原則で対応できるところは明文で書かなくてもいいという考え方があります。信用供与の場合などでも、審査に当たりまして情報を利用するかということについて書いてあって、それについて同意していればその範囲では利用するということになっています。

 ただ、この辺りも実際問題とすると、どこまでそれを説明しているのかとかという問題は出てくるかと思いますが、基本法の中の基本原則として掲げるのは、そこまで細かくは恐らく規定できないのではないかと思います。そういう意味では、御趣旨の点は今後更に検討することになると思います。

 エのところで例外の例を掲げましたのは、特に本人以外からの収集制限につきまして、そういう収集制限をするわけですけれども、一般的に言えますのは、法令の規定に基づく場合にはまず本人からでなくてもということにもなりますし、あるいは本人が同意している場合には例外とするなど、これも一般的によくあるところですので入れてみました。

【礒山委員】余り表現に縛られて、これから先は専門委員会で検討してはだめとか、そういう形ではなくて、専門委員会で内容を詰めていくという過程の中で新しい事態が出てくれば、それに対応することはあり得るという理解でよろしいですね。

 もう一点、これも産業界で非常に関心が強いところで情報の開示のところです。7ページの「本人情報の開示等」の中で、アの「個人情報の保有状況の公開」という項目があるのですけれども、個人情報をどれだけうちの会社なりが持っていますよ、保有していますよという状況を一般に公開してしまうことが、本当にその特定の個人について利益になるのか。本人が開示請求してきたときに応じるという意味で必要性はわかるのですけれども、一般的に公開してしまうというのはかえって個人に不利益をもたらすような可能性があるのではないかというのが少し気になりました。

 実務の話をしますと、私どもでも実は大変悩んでいるのは、現在でも本人と称する人からの問合せというのは結構ありまして、その人が本人なのか、あるいはなりすましなのかというのをどうやって見極めるかとか、そういういろいろな手段を社内に徹底して、すぐ電話では答えないようにしています。そうすると、おたくの会社はCSに反するとかやられてしまうのですけれども、それはお客様に、あなたの情報を大事にするために折り返し申込書に書いてある電話番号に返事をさせていただきますとか、そういう形でいろいろなことをやっているのですけれども、この点でうちの会社にそれだけの情報が蓄えられているのならば、例えば社員を1人だましてでも情報を盗み出させてでも取りたいなどという変な人が出てきたときに、これは罰則の規定が今回もこれからの検討課題になってしまって連動していませんので、そういう点が少し心配になって、これはどの辺りまでの保有状況の公開というのを具体的にここの中に盛り込もうとして考えているのか、お伺いしたいと思います。

【堀部座長】保有状況の公開といいますのは、ここにも書きましたようにOECDの8原則の一つの重要な原則、オープンネス・プリンシプルからきています。本人が自己情報の開示請求をする場合に個別にどこにあるかということではなくて、特定の企業が大体こういう種類の情報があるというようなことを何らかの形で知り得るようにしておけば足りると考えます。行政機関の保有する電子計算機処理に係る個人情報の保護に関する法律の場合は、総務庁長官に対しまして行政機関の長が全部事前通知をします。もちろん一部、国の安全等にかかわるものについてはそういう事前通知の例外になっておりますが、それを官報に公示しますので、どこにどういう情報があるか、官報にはどういう記録項目があるかというようなことが出ています。民間の場合に全体として登録制度、届出制度をとればそういうことになりまして、ヨーロッパではそういう国もあります。しかし、ここではそういった登録制度、届出制度は全体としてとりませんので、そういう義務づけはなくなる、一般的に知り得るような状態に何らかの形にしておけば足りると考えております。ですから、保有状況ということでありまして、保有の情報の一つ一つの中身ということではありません。

【安冨委員】前回申し上げさせていただきました憲法25条2項に関する部分を御検討いただきましてありがとうございました。

 ただ、その変更された部分で、気になります点を申し上げさせていただきたいと思います。

 具体的に申し上げますと9ページのイのところで「次のような」という限定するかのような文言が入っておりまして「報道・出版、学術・研究など」とあるわけですが、先ほどの御説明ですともう既に法律がある部分と、それからこれから検討しようという部分とをアとイに分けたという御趣旨のようですが、そうであるとするならば、逆に「次のような」という限定をされますとさまざまな問題が出てくるでしょうし、「など」というところに含めると言っても「次のような」「など」というのは何を言っているか意味がわからないわけですので、私はできればこの「次のような」という表現は削っていただくのが問題の整理の仕方としてわかりやすいし、体系的ではないかと思ったわけです。

 たとえば、昨今問題になっておりますような介護保険制度の場合、調査員が集めてまいりました個人情報は市町村が保有しても、それがどう活用されて認定されたかということについて、個人情報保護条例の場合だと本人開示が原則ですから、本人以外たとえばその親族であるとかは開示してもらえない。しかし、要介護を必要とするような方からの本人開示の申請ができない場合もあるわけで、これをどのようにすればよいかという問題が生じます。介護保険法の中に本人以外の開示請求を認めるという規定がないものですから、法律が動きだしたのに今後の課題として残っています。今後、社会福祉制度だとか、あるいは公衆衛生の観点でのさまざまな事業だとか、そういう「生存権」に関する個人情報が収集され、あるいは利用されていく状況というのはますます増えると思うのです。その意味でこれは検討されなければいけない課題の中の一つだと思うのですが、報告書にあるように、イの「次のような」という限定が入ってしまいますと、余りにも狭くなり過ぎるのではないかという気がしているのです。

 ですから、確かに前回からも御議論をいただいていて、私も反対するわけではありませんが、「報道・出版、学術・研究など」という「など」はあくまでも例示なのであって、前回も憲法25条2項の「生存権」の問題も入るのだという御趣旨でしたけれども、「次のような個別法等に」という表現になってしまいますと、いささかそこが一人歩きして適用範囲が狭まり過ぎないかという気がいたしまして発言させていただきました。せっかく整理していただいたのですが、このイの「次のような」という頭の5文字を削っていただきたいというのが私の意見でございます。

【堀部座長】決して限定したつもりではありません。「次に掲げる」と書けば限定しますけれども、「次のような」というのは非常に柔らかな表現であると思います。

 それから、介護保険等の問題につきましては地方公共団体で条例を制定しているところでは個人情報に関する条例でそれぞれ対応しているところでありまして、その中に本人開示請求権が制限されるような場合もあります。そうなりますと、これはここで議論しているわけではないのですが、私の個人的な考え方でいけば、やはり国としてそういうところを法的にきちんと措置をして、こういうところはこういうことで本人開示を可能にするとか、そういうことも考えざるを得ないと思うのです。自治体がこれまでそれぞれの特性に応じて努力を重ねてきていますので、私も随分関係してきておりますが、相当時間をかけて各方面からの意見を集約してまとめてきています。それが今、自治体の条例になっています。新たに介護の問題等が出てきていまして、これは一方では個人情報の収集、提供、利用等もどの範囲でするのかというのは非常に大きな問題になってきています。御指摘のような本人開示の問題もそこには出てまいります。

 ついでに申し上げますと、地方公共団体の条例の中には、個人情報のオンラインによる結合を禁止ないし制限しているものもあります。これもそれぞれの自治体で住民等からの要望に基づいてそれぞれの判断で定めているところであります。しかし、それがインターネットの利用に当たって条例の適用のある公立の学校でインターネットが利用できないというようなことが問題になりまして、それならばそれをどうするのかということで再検討するところも出てきています。こういうこともありますので、介護という非常に重要な新たな高齢化社会における問題については、それぞれ対応していただくということになろうかと思います。

【安冨委員】確認ですが、そういう社会福祉であるとか、社会保障だとか、あるいは公衆衛生のさまざまな事業だとか、そういう事業に関する個人情報もこのイのところで含んで読んでいるのだということでよろしいのですね。

【堀部座長】むしろイというよりは、既にアの部分が特に条例との関係ではあると見ていいかと思います。

【安冨委員】あとは、新しい事業に関してはイも考えてよいということですね。

【堀部座長】イで対応することも可能だと思います。

【三宅委員】2点ございます。まず4ページの「個人情報保護の目的」のところなのでございますが、憲法上の根拠を枠内にかけないというような前回議論がいろいろ間接適用切等のお話で出てまいりまして、5ページで「憲法13条に基づく権利」という用語を入れていただいたのは大変ありがたいのですが、ただ前回(1)のところで「個人の人格の一部として」というのが経済的な利益等も含むということが考えられるからということで少し広げられた表現になったという、そこの点ですね。

 この点については、人格の一部という表現だと、個人情報のいわゆるセンシティブな情報の核みたいなものが非常に明確に、個人情報の保護は人格権的な権利の保護として必要だというのが、コアの部分というか、核の部分として明確になると思うのですが、これが「人格にも関わる」という形になると、範囲が広がった分だけその権利とのつながりが少し弱くなるのではないかという懸念があります。

 例えば、著作権などでも著作者人格権と、それから財産的な権利と言われる著作権と2つあるわけですけれども、ここのところも元にもし戻すことができれば、経済的利益というところを広げ、余りきれいな形ではないかもしれませんが、「人格の一部またはそれに関わる」というような形にすると、コアの部分としてセンシティブ情報は保護しなければいけないという必要性と、それの外延部分での経済的利益の保護というのが非常に厳密になるのではないかと思いまして、私は個人的には人格の一部ということで、むしろその一部ということの中に経済的な利益も含むような構成の方がいいのではないかと実は思っていたものですから、元に戻していただきたいという気はあるのですが、戻せないとしたらそこはそういう表現の方がどうだろうかというのが1点目です。

 それからもう一点は用語の問題なのですが、8ページの「管理責任及び苦情処理」のところで枠の下の2行目に「個人情報保護の実効を上げるためには、個人情報を保有する事業者が」とありますけれども、これは多分「個人情報の保有者」もしくは「個人情報を保有する者が」ということにしないと、ここの原則が事業者だけにかかるような読み誤りをされるのではないかと、少し気になります。14ページの「複層的な救済システムの在り方の検討」のところには、下から2行目に「事業者、民間第三者機関等、地方公共団体、国、統一的な第三者窓口」というのがございますね。恐らく8ページの(5)の「管理責任及び苦情処理」の方は、地方公共団体においても苦情処理、相談窓口を設置することはこの基本原則に基づく適用になろうかと思うのです。それで、個人情報保護条例があるところは恐らく基本法の具体化というとらえ方をして、この基本法による運用指針と個人情報保護条例の双方が適用になると思うのですが、保護条例がまだないところは恐らくこの基本法が直接適用になると思います。

 そうすると、ここの管理責任のところで事業者が基本原則を遵守するという形になると、ここの用語のところからは地方公共団体が除外されてしまうのではないかという懸念があります。多分そういう趣旨ではなかったはずだし、基本原則は地方公共団体が条例として具体化するところにも適用されるべきものではないかと思いますので、その辺の用語を少し変えるのか、趣旨を明確にしておくのか。今、言ったところの枠の下の7行目は、個人情報の保有者に対して「苦情に関する適正処理の責務」となっていますので、そこのところのバランスというか、用語の統一があるかなと思います。それで、保有者の用語の下の6行目が事業者側になっていますから、これは民間事業者には過大な負担にならないというようなことで、これは公的部門については余り考慮しないという趣旨と読むのか、その辺りの整理が必要かなと思ったものですから、それが2点目でございます。

【堀部座長】まず第1点目につきましては「人格の一部」と最初書きましたが、もう少し広げるべきではないかという御意見もありましたので、もう少し広げてみるということで「人格にも関わるもの」としてみました。一部もその中に含まれるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。これがそのまま法律の目的にすぐなるということには多分ならないのではないかと思いますので、そういう趣旨を広げて問題を考えるということでいかがかと思います。

 8ページのところは自治体については、行政機関の保有する電子計算機処理に係る個人情報の保護に関する法律の26条で条例を制定するようにしているのですが、これがあまり進んでいない実態があります。この基本法ができますと、更にそれぞれ進めることになると思います。どちらが早いのかわかりませんが、一応これはこのようにして、これは事業者について書いてみましたので、自治体もそれぞれ何らかの形で対応するということです。

 それから、先ほど念頭にあった条例なのですが、自治省の調査ですと規則で個人情報保護を図っているものがかなりあります。ここでは住民の代表である地方議会によって議決されたもののみを掲げていますが、それぞれの首長が定める規則その他で保護措置を講じているものも最近の自治省の調査では出てきております。そういうことでかなり多くなってきていると思いますので、またこのような全体をカバーするような基本法ができることによって自治体の条例化、規則化というのは更に促進されるのではないか。ここでそれを否定する趣旨ではありませんが、むしろとりあえずはこのままにさせていただきたいと思います。

【開原委員】4ページの囲みの中の「個人情報保護の目的」の(2)に関してです。これは実は前回も申し上げたところですが、この2行目の「利便性の高い豊かな国民生活」という言葉に少しこだわるようなのですが、利便性があって豊かなというのを多少曲解すれば経済的に豊かなとも解釈できるわけですから、まさにエコノミックアニマル的な社会というものを追求するためにこういう個人情報のネットワークが社会的基盤としてあると読めないこともない。

 私は、個人情報の流通、利用ということが人間の生存ということにかかわり合いを持ってくるところにこの問題の非常に難しいところがあると思っています。先ほど安冨委員が言われたように、福祉の問題であるとか、医療の問題であるとか、安全の問題であるとか、生存にかかわるところに関係しているがゆえに、個人情報を一方で保護しなければいけないし、一方でその流通も図っていかなければいけない。そこにいろいろな矛盾も出てくるし、注意しなければいけない点も出てくるわけです。ですから、それを利便性ということと豊かさということだけで言ってしまうと非常に一方的になる可能性があるので、私は国民生活というのは健康で文化的であり、かつ安全であるということが最も基本的な国民生活であろうと思うので、是非……。

【堀部座長】その趣旨を否定するつもりは全くありません。ここは別に経済生活というよりは豊かな国民生活というので、御指摘の点なども全部私の理解では含められるのではないか。健康に関するもの等が非常に重要な意味を持っていることは前から御指摘になっているとおりでありますので、それは議事録にきちんととどめまして、今後法律の目的にそれが入るかどうかは専門的に検討していただかないとわからないところですが、そういうものとして扱わせていただければと思います。

 憲法25条につきましては、この性格等も学界、それから判例でもいろいろ議論があるところでして、これもそのとおりだと思うのですけれども、それをここにそのままというか、その趣旨を入れるというのもどうかということで、そういう形ではここでは入れませんでした。そういうことで、今後の検討にゆだねさせていただきたいと思います。

【加藤委員】本当にわずかの時間の間に大変たくさんの意見を合理的に御採用いただいたり、あるいは説明付きでそれは却下されたり、でもそれは納得した部分がほとんどでございますし、部会長さんを始め事務局の御努力には大変感謝しております。特に、私は基本法としてきちんと指針ではなくやってほしいといった消費者団体みんなの気持ちが入ったことで、大変その点については安堵しているわけでございます。ですから、余りこまごまと素人の不安を述べ立てるのも何かと思いますけれども、やはりどうしてもここのところはもう一度確認させていただきたいというところが4、5点ございます。

 まず1つは4ページの「個人情報保護の目的」のところで、三宅委員もおっしゃいましたけれども、今度の新しい「人格にも関わるもの」といった表現は一般国民が見たときに多少の影響がある程度にしか感じられなくて、そもそもこの保護をしようとしたときは、保護と利用のバランスということを考えたときに、情報主体者である人の人格の一部、人格権にやはり価値を置いて、そこに源があるのだということの印象が希薄になるような気がいたします。それで「人格の一部」といった前の表現のまま、あるいは先ほど三宅委員がもう一つ新しい修正案をお出しになりましたけれども、そのように変えていただけないものかというのがお願いです。

【堀部座長】それでは、4、5点おありとのことですので、一つ一つ申し上げます。

 「人格の一部」というのは、例えば人格権というのは権利として考えた場合には、これも学説、判例でいきますと、名誉権ですとか、あるいは肖像権ですとか、氏名権ですとか、それから三宅委員が挙げられました著作者人格権というような形での人格権もあります。ここでプライバシーという言葉は大変使いにくいものですから、最初のところに出して後は個人情報、あるいは個人情報保護と書きましたけれども、それは今、言ったようないろいろな人格にかかわる権利の一つなのです。ですから、三宅委員の言われたようなセンシティブなというところも含みますが、むしろ今、言ったようないろいろな人格権の一つであるということで最初書いたわけですけれども、かかわるものということでも全体を包摂するということで決してそれを否定する意味ではありません。

【加藤委員】わかりました。それから、2番目のポイントは4ページの最終行のところでございますけれども、前回にもお願いしたのですが、収集、利用、提供等により不安感があるということに対しまして、今回修正していただきましたのが「不快感」という言葉を入れてくださいまして、国民の思っている感情というのが私たちが調査したときにも大変そういう言葉がたくさんあったのをうまくまとめてくださったとは思います。

 しかしながら、国民生活センターの被害状況とか、この部会でも9月に全国消費生活相談員協会の会長さんがいろいろな例を挙げていらっしゃいましたけれども、そのほかにも今までマスコミ報道で、例えば93年ごろでしたか、どこかの銀行のそれこそお客様の名前とか、預金金額まで入ってしまっているようなものがその辺に落ちていたという、関東地方で大きな事件がありましたり、最近ですと出産情報の大量流出で悪質訪問販売業者が逮捕されたとか、派遣会社から容姿の評価をした情報がネット上で売られたといったようなとき、個人の情報主体者にとっては大変な不快感とか不安感とかというようなレベルの問題ではなく、具体的な被害なわけです。やはり内実がその財産権か身体的なのかという仕分けが困難だからここのところは難しいということで被害という言葉が入り切れなかったのかと理解はしたいと思うのですが、やはりどうしても一般国民的な普通の私たちの生活者の感情ではここは不快感とか不安感だけではなく権利侵害の事実には違いがないので、どうしても被害という言葉を明記していただけないだろうかと思うわけです。

【堀部座長】その点ですが、被害という言葉の使い方にもよるのですけれども、一般的には被害と整理されていると思うのです。ただ、法的被害で実際に個人情報の漏洩で争われて判決でそれが認められたという例が今のところないのです。しかも基準がないものですから、何が被害なのかというのが法的には明らかでないのです。むしろ今後法律ができますと、それによって被害と法的に表現できるものが出てくる。今の段階ですと、残念ながらまだそこまで至っていない。

 これは私も論文でもいろいろ書いてきたのですが、とにかく基準がない、物差しがないというのが今までの日本の問題点だったわけです。法的に被害だということで訴えようにもなかなか訴えられない。その具体的なものというのは出てこないのです。そういうところから、その被害という言葉の使い方については一般的な用語としてはわかりますが、これは今後法律に持っていくための一つ手前のものですので、その辺りは正確に表現しておきたいということでこのようにしてあります。

【加藤委員】本人が許せないし、こんなばかばかしいことで夜も眠れないということはあるわけだし、それから本人に対する周辺評価がすごく落ちてくると得べき本人の将来的職業上の利益などもすごく損するわけですね。だから、やはりこれは被害ではないかと思いますけれども、余り素人が法律を……。

【堀部座長】具体的に今のところ、実際に漏洩された人が被害が生じたという形でのものが表面には出てきていないのです。それが一般法で救済されるようなものなのかどうかというのも今のところまだ明確でないということがありまして。

【加藤委員】私ばかり余りたくさん発言しても何ですけれども、消費者センターや何かの苦情例を見ますと、お年寄りですと羽毛布団の二次被害、三次被害ですね。個人情報の漏洩によるものですが。

【堀部座長】それは財産的な被害ですね。

【加藤委員】そうですね。それから、中高年ですと紳士録だとか、今の不況ですから資格商法による二次、三次名簿流転用の被害とか、いわゆるカモ情報ですね。若者ですと宝石だとか、そういったようなものはいわゆる被害で、何かそれは法律的……。

【堀部座長】それはよく存じていますが、それが情報が原因なのかどうかというところが必ずしも明確でないと思うのです。ここは個人情報の問題ですので、個人情報の扱いという観点からは現段階ではこういう表現の方が適切ではないかと思います。

【加藤委員】私はこういう表現をされると昨今テレビで見ております、体がミイラ化しても死体ではないと言ったのと同じような言いくるめられ方をしているような気がするというのが感想でございます。

 次のところを申し上げます。8ページの中段のところですが請求権の問題で、これでもよろしいのか、前回ほかの委員さんから検討の経過がもう少しわかるようにという御要望があってこのようになったわけですが、私はぜいたくを言うならば後ろの2つの意見に比べて請求権として構成するべきであるという御意見の方が少し多かったような気がするので「請求権として構成するべきであるとの多数意見」というように「多数」という言葉を入れていただけないものかと思っております。

【堀部座長】そこも、決を採って何対幾つという形でやっておりませんので、さまざまな意見があります。前回も請求権とすることについて安冨委員から反対の意見も表明されております。そういうことを踏まえますと、やはりこういう形で前回よりはいろいろな意見があることを表現できたと思っております

【加藤委員】私が心配するのは、後ろの方に国民の責務として自己情報をきちんと自分でも管理しなさいというようなことを言われながら、その管理するための武器である自己情報の開示、訂正、削除といったような請求権が与えられなければ自己責任を果たせないと思うのです。そこのところで、安冨委員などは別のレベルでの対応のところで何か十分だと思って、学者でいらっしゃるので私たち素人の不安以外の解決方法を御提示くださるのかとは思うのですが、やはり私はここはどうしても請求権を主張しておきたいと思います。これは議事録に載ればもう結構でございます。

【堀部座長】それは主張としてはよくわかりますし、先ほどの被害についてももちろん私はそういう実態を知っておりますが、先ほどのようなことでそういう意見を踏まえてここではこういうふうに表現をしてみたということで御了解いただきたいと思います。

【加藤委員】それから最後でございますけれども、12ページの「個別法の整備」の5行目です。これらの改正も含めてずっときているのですが、これを読みますと下の方に事例とある電気通信分野とか、医療とか、信用情報とか、そういう分野だけについての対応のような感じがするので、これらの改正並びにとか、あるいは必要に応じた新たな個別法の整備と、もし今後必要な分野が出てくれば、例えば今、電子商取引の分野などはガイドラインでやっていくという大きな国の方針の下でやっておりますけれども、これももしかすると必要が出てくるかもしれないので、こういった未着手、手つかず分野の対策について、将来の展望を断絶しないような書きぶりがされた方がよろしいのではないかというお願いというか、感想でございます。

【堀部座長】それはこの文章で表現できていると思いますが、いかがでしょうか。電子商取引の場合等もどのように対応するのか、これは岡村委員がよく言われている国際的なことにも関係していまして、国内法の整備だけで済むのかどうかとか、検討すべき課題がかなりあるように思います。また、これは消費者保護にもかかわることで国際機関等でも検討されているところでもありますので、そういう全体の状況をここで更に検討していくということで例示としてといいましょうか、これは前から申し上げていますように信用情報と医療情報につきましては昨年の11月の高度情報通信社会推進本部の基本方針の決定の中に入っております。更に、電気通信分野につきましてはその後、所管しております郵政省がそういう方針を打ち出しているということで非常に明確であります。

 前回、加藤委員が示されました通信販売、図書館、もう一つ教育ですね。それについては御意見としてはそういうことで理解をいたしますが、まだそれを進める個別の関係省庁がそういうところまでいっていないというところもあります。通信販売の問題になってきますと訪問販売法との関係もありまして通産省でどうするのかということにもなると思います。

 図書館の問題は前回も少し触れましたが、公立図書館ということになりますと地方公共団体の方が圧倒的に多いところでして、そこでは既に個人情報に関する条例でかなり対応していると理解しております。実際に図書館の方々の集まりなどにも出たこともありますが、相当注意しております。例えば、個人情報についてもだれがどういう本を借りたかということはその人の思想傾向等を把握することができる非常にセンシティブな情報でもありますので、図書館によりましては貸している間はだれにどの本を貸しているかということを記録にとどめなければなりませんが、返ってくればそれを記録にとどめる必要がなくなりますので、そこで消去するというような措置をとっているところもあると伺っておりますし、それぞれ検討されていると思います。

 教育の問題は、この前、文部省からのヒアリングも行いまして、文部省としてのお考えもありますが、これも地方公共団体で実際にはかなり進んでおります。報道等でも明らかなように各種学習指導要録等も開示していまして、昨年の12月にある市の個人情報保護委員会が出しましたように、その所見欄についての記述も削除すべきであるという意見も出てきているところであります。教育につきましては行政機関の保有する電子計算機処理に係る個人情報の保護に関する法律でも随分議論をして、国の法律では請求権としては認められていないのですが、それについてもいろいろな意見が出てきているところですので、どこかでそれは検討されることになるかと思います。

【加藤委員】もう一つだけです。12ページの罰則のところの最後の行の「罰則等を創設することについては、慎重に考えるべきである」となったわけでございますけれども、15ページの「悪質な不適正処理等を行った者に対する制裁措置の検討」との書きぶりからいきますと、やはりここのところも慎重に考えるべきというとかなり消極的で、それよりはむしろ十分な検討を要するということの方が結論の幅もあるし、よろしいのではないかと思うのですが、いかがなものでしょうか。

【堀部座長】ここも前に申し上げましたが、罰則は非常にわかりやすいものなのですが、一方で罰則というものをどこまで設けるべきなのかというのは憲法論としても非常に大きな議論があるところです。座長私案で最初に出しましたときには、そもそも刑罰が謙抑的であるべきだという書き方をいたしましたが、刑罰を設けることによって威嚇効果が生じて他の利益が侵害されるようなことになりますと、憲法との関係で議論が出てくるところはあります。そこで、これもそのときに申し上げたのですが、アメリカの判例理論ではレス・レストリックティブ・オールターナティブといいますか、より制限的でない他の代わり得る手段があればそういうもので実効性を担保すべきであるということになります。罰則につきましては一般的にはそういったこともありまして、ここではそういう表現にしております。

 そういう中でも、特に悪質なものにつきましては何とかしなければならないということで、15ページの方では、しかもこれも前から申し上げていますように日本でも随分議論の長い歴史がありまして、そういう中でなかなか進んでこなかった、最初の案では「将来において」としておきましたが、これはきちんと検討すべきであるという意見がここでは私が理解したところでは多数でありましたので、それを除きまして別途検討していくということでまとめてみました。その辺りの趣旨を御理解いただければと思います。

【鈴木委員】13ページの「自主規制の在り方」の中で「ガイドライン等」と、ガイドラインも一つの方法という書き方をされております。一方で14ページの「認証制度」のところは「等」という言葉が入っていないのですが、ここはやはり「認証制度等」にしておかないと認証制度だけが唯一絶対的な手法ととらえられてしまうと思います。認証制度だけが唯一の手法とは限らないと思いますので、「等」と入れていただいてはどうかと思います。

【堀部座長】最初の「ガイドライン等」のところはガイドラインや規格といいましょうか、この規格で現在ありますのはJIS規格、ジャパニーズ・インダストリアル・スタンダーズです。認証制度につきましてはほかのものが今のところありませんので、これはこういう形でよろしいのではないかと思います。ほかに何かあればよろしいのですが、何かありますでしょうか。

【鈴木委員】将来的には認証制度以外の手法も出てくるのではないでしょうか。

【堀部座長】将来また出てくればということで、現段階で認識しているところでこのように書いているということです。

【岡村委員】特に強い意図でこの文書を変えていただきたいというお願いではないのですけれども、今、自主規制のお話がありましたので少し付言させていただきたいと思います。今回「一定の限界はあるものの」という言葉が付け加わりました。当然、自主規制ですから一定の限界があるのはわかり切った話なのですが、先ほどお話が出ましたように世界的な電子商取引がこれから行われようとするときに、今グローバルに律しようといたしますとそれぞれの国における自主規制、これが非常に大きな役割を占めることになるわけで、自主規制の役割を後段で非常に強く言っていただいていますので、あえてその削除ということはお願いしないのですけれども、やや「一定の限界はあるものの」という表現がここに入りますと、自主規制を進める側からしますと少し気持ちがなえる。これから業界全体として自主規制を促進していこうといったときに、限界があるというのが当たり前のことですがわざわざ入ってきますと、少し意欲が鈍るような表現になっているのではないかという心配をしておりますが、それだけのことでございますので特に削除ということはありませんけれども、是非皆様方に御理解いただきたいのは、グローバルな社会で電子商取引を行うときのルール、これはグローバルにいくと日本で起こる問題以外のものすごい大きな問題がこれから押し寄せてくる。そういう意味で、自主規制のルールがないときには実際に電子商取引そのものは混乱するという認識を是非持っていただきたいというお願いだけでございます。

【三宅委員】訂正を求めるわけではございませんで1点質問なのですが、12ページの個別法で「見直し等の必要性などについて、別途検討していく必要がある」というので、「行政機関の保有する電算機処理に係る個人情報の保護に関する法律」などというのが挙げられていますが、具体的にこの法律については今後どういう形で見直しが進められるということを国民として理解していればいいのかという点ですが、スケジュールとか、そこはまだわかりませんか。

【堀部座長】そこはまだわかりませんが、これを所管しています総務庁の方に考えていただければ、また日弁連が大分いろいろ意見を出していますので、そういうものを踏まえて検討をすることになるのではないかと思います。

【三宅委員】では、総務庁に是非お願いしたいということを、この場にいらっしゃれば言っておきます。

【加藤委員】6ページに「緊急の必要」というのがアンダーラインで入りましたね。6ページと7ページと両方にございますけれども、この「緊急の必要や、生命、財産等の安全を守るために」という言葉は、何となく必要なときにはこれはやむを得ないのかなと思いながらも、一方でこれは緊急だ、これは緊急だという形で非常に乱用されるのではないかという不安感があるので、その辺については後の専門委員会の方で詰めてくださるということなのか。

 それからもう一つは、典型的な例はどんなことなのでしょうか。

【堀部座長】緊急の必要性とか、生命、財産等を守るというのは条例等では規定がありまして、やはりこれは原則と例外の関係になりますが、どうしても何らかの例外措置というのは一般的には設けざるを得ません。生命のところで言えば、そこに今、病人がいる。その人について、例えば救急車で搬送をされていくわけですが、それがどこのだれかというようなこともはっきりしないということになりますと、本人からの収集ということはできませんから第三者から収集するとか、そういう場合も生命にもかかわるし、緊急な場合として必要になってまいります。これは、自治体の場合ですと消防を持っていますので、そういう規定がないと実際には個人の安全を確保できないというようなことがあってそういう形になってきます。

【加藤委員】私なども少し不安に思ったりするのですが、これは外交上の必要だとか、捜査上の必要だとか、そういったような公的機関での乱用だとか、非常に悪質な取立て業者が、これは緊急だからなどと言ってこの条項でやられるととても怖いので、その辺の歯止めを専門の方でお願いできればという気持ちでございます。

【西垣委員】内容の問題ではないのですが、一番最後の15ページのパブリック・コメントの手続について、この部会からは意見を聴取する手続を要請するという立場なのですが、このパブリック・コメントを実施する期間といいましょうか、例えば2か月ぐらいを予定をするのかとか、そこら辺りについてまで要請の対象に含めて座長は考えておられるのか、また、想定されている期間をお伺いしたいと思います。

【堀部座長】パブリック・コメントにつきましては閣議決定がありまして、そこで手続が定められております。その手続にのっとって進めていただくということになりますので、通常は1か月ぐらいということになっております。

【西垣委員】これだけの内容で、しかも大変多方面にわたるということになりますから、通常1か月ということであれば、少なくとも最低限1か月以上ということも期間としては付して要請をしていただければと思います。

【堀部座長】わかりました。そういう要望があったということで、事務局の方でまた御配慮いただきたいと思います。

【開原委員】内容のことではないのですが、伺いたいことがあります。この間の議事録のほかにその後、文章でいろいろ意見を申し上げたわけですが、それは今日お送りいただいた方には資料として入っているわけですけれども、これは何らかの形で議事録の一部として付くか、または資料としてこれも公開されるのか、それともこれは単なる資料として埋もれるのか、はっきりさせておいていただきたいのですが。

【堀部座長】これはどういう扱いになりますか。

【小川内閣審議官】前回の部会で、座長からペーパーを出してくださいというお話があり出していただいた分でございまして、基本的にはこの場に出たわけではないものですから、区分けをして考えたいと思っております。要するに、公開をさせていただくのはこの部会に出た正式の資料であり、一方、お送りいただいた分は、事務局とのやりとりであり、またその結果は全部今回の案文に入っているわけでございます。

【開原委員】お願いなのでございますが、私としては意見として申し上げたのですが、残念ながら入れられなかったものもあるわけです。私の意見はこの場で本当ならば全部申し上げてもよかったのですが、時間もなかったので文章として申し上げた部分もあります。ですから、文章として申し上げたことはこの場で発言したのと実は同じような意味を持っていると考えておりますので、できればそのように扱っていただければありがたいと思います。

【小川内閣審議官】議事録は議事録でございますからこれは別ですけれども、皆様の御意向で、もし必要であれば、座長の御判断で参考資料ということでインターネット上に附属資料として公開することも可能でございます。それは、皆様でお決めいただければと思います。

【堀部座長】三宅委員と加藤委員が前回出していただいたのは全部この場でも配っております。その後のものはこの修文をするに当たっての御意見ということで今のような事務局の扱いでしたが、もしお出しいただいた文書を公開しても差し支えないということであればどういう形になるのでしょうか、議事録に参考資料としてつけるということになりますか。ヒアリングのときの参考資料は随分いただいているのですが、デジタル化していませんのでこれはホームページには出せないのです。そうしますと、この委員の中で出していただいたものは場合によってはEメールで送っていただいた方がいいかと思いますが、事務局の方でどういう形で可能なのかということもありますけれども、公開するということでよろしければそういう形で公開するようにしたいと思います。

【浦川委員】今の点なのですが、委員の方でこの点だけは是非議事録にとどめておいてほしいということがあれば、議事録の追記みたいな形で整理した形で出した方が、私は全体としてはきれいだろうと思います。提出する文書をそのまま載せるという話であれば、整理された方がいいのではないかという意見です。

【堀部座長】では、それぞれの趣旨を生かして、またどの委員がどういう御意見かということがわかるような形で整理して出したいと思いますが、御一任いただきたいと思います。それでは、まだいろいろあろうかと思いますが、前から申し上げていて恐縮なのですけれども、11月には最初の言い方は第一次報告をまとめてほしいという要請がありました。7月23日に第1回の会議を開きまして、最初から会議の公開をどうするかということで委員の間で大分意見を言い合うというようなことにもなりまして、この検討部会は非常に活発な議論をする場になるのではないかと予測していましたところ、そのとおりになりまして、大変貴重な機会であったと思います。

 個人情報保護の問題はこれまでにも申し上げていますように随分前から議論になってきたところでありまして、1990年代も終わりに近づいているこの時期に、国として基本法を制定するという方向をこの検討部会として出すことができました。これを是非、政府としても受け入れて今後作業をしていただければと思っているところでありまして、諸外国と比較しましても遜色のないものに今後していけるよう、専門委員会で検討をしていただきたいと思っています。このような日本型の個人情報保護制度につきましては比較法的観点からも申し上げたいことは多々ありますが、また機会がありましたらそのようにさせていただきたいと思います。

 今日、こういう形でまとめさせていただきましたものは今後、高度情報通信社会推進本部におきまして何らかの形で取りまとめられ、次の段階に移ることになるのではないかと思います。その辺りにつきまして事務局の方で今後どうなるのか、予定がありましたら御説明いただきたいと思います。

【竹島内閣内政審議室長】今の座長のお話に加えまして一言お礼も申し上げさせていただきたいと思います。7月からの短い期間に、このような大変難しい基本にかかわることを含んだ問題に本当に精力的にお取り組みいただきましてありがとうございました。政府といたしましては、年内にこの個人情報保護の法整備を含めたシステムはいかにあるべきかという基本的枠組みを定めるようにという命題を抱えておりまして、まさにそれにすぐ使わせていただけるタイミングでおまとめいただきましたことについて、改めて本当に心からお礼を申し上げます。ありがとうございました。

 私どもはこれから12月の初めに、堀部座長が今おっしゃったように高度情報通信社会推進本部を開きまして、そこで堀部座長からこの中間報告を御説明いただいて総理にお渡しいただくということで、政府としてこの報告を利用させていただくということで進めていきたいと思っております。その後は、来年になろうかと思いますけれども、専門委員会、それからそのお世話をする担当室、12月にはその設置の準備に取り掛かりまして、1月にはそういう体制で専門委員会等がスタートできるように進めていきたいと思っております。

 それから、この検討部会はこのまま存続をお願いしたいと思っておりますけれども、御提言をいただきました基本法について専門委員会におきまして具体的な検討が行われるわけでございますが、専門委員会の人選とか、どのように進めるかというのは、専門委員会のメンバーが内定しましたらそういう御意向も必要でございますし、政府として改めて専門委員会の人選、その在り方については検討をさせていただきたいと考えております。

 いずれにいたしましても、どういう体制で専門委員会が設けられ、どういうことを検討していくことになるかということにつきまして、固まり次第この検討部会には報告をするようにさせていただきたいと思います。本当にありがとうございました。

【堀部座長】どうもありがとうございました。それでは、適宜事務局からまた進捗状況につきましては御連絡いただきたいと思います。

 最後でありますが、月2回というペースで、しかもヒアリングのときなどは1回4時間以上にわたったこともありまして、大変長時間の会議にそれぞれ多数の委員に御出席いただきましてありがとうございました。座長であるがゆえに自分の意見は余り言わずに、人の意見を場合によると抑えるようなこともありまして大変失礼かとは存じますが、全体として取りまとめなければならないという立場でもありますので、是非御理解をいただき、今後専門委員会で是非立派な基本法案ができますよう願って、9回にわたります検討部会をこれで終わらせていただきます。ありがとうございました。

(以上)/P>