資料5
| 平成12年6月23日 郵 政 省 |
(1)個別法整備の必要性
大綱案中間整理「4政府の措置 (1)既存法令の見直し」は、個別法制定の条件として、「特定の個人情報又は特定の利用方法であるため、特に厳重な保護を要する等、別途の措置が必要」であることを掲げている。この点について、電気通信事業者が保有する個人情報及びその利用の在り方については、以下の事情を総合すると、前記「特定の個人情報又は特定の利用方法」に該当し、特に厳重な保護を図るため、個別法を整備する必要がある。
(1) 電気通信事業者が保有する個人情報の中には、「通信の秘密」や、個人の存在場所を特定する「位置情報」のように、高度のプライバシー性を有する情報が存すること。
(2) 電気通信事業者には、「通信の秘密」の保護が強く要請されており、この保護を強固なものとするためにも、「通信の秘密」の外延情報としての個人情報保護一般について、電気通信事業者に対する社会的な期待、要請には大きなものがあると考えられること。
(3) 電気通信事業者は、個人を同定するための鍵となる個人情報として利用されている電話番号情報を自ら作り出し、これを個人に付与し、管理していること。
(4) 電気通信事業者は、通信履歴をはじめとする個人情報を時々刻々自動的かつ大量に作り出し、これを蓄積していること。
(2)検討状況
現在、以下の論点を中心に検討を行っている。
(2-1)電気通信事業者に対する規制の在り方
@個別法の位置付け
大綱案中間整理「5事業者等が遵守すべき事項」について、「事業者は、基本原則に沿って、自主的に必要な措置を講ずるもの」とされている。この点について、「個別法」においては、事業者の遵守事項を法的義務とすることにより、電気通信分野における個人情報保護の水準を引き上げること。
A規制の仕組み
個人情報保護について、電気通信事業者に対する郵政大臣の指導・助言、業務改善命令の規定を定め、業務改善命令の違反については罰則を定めること。
なお、電気通信事業者が、「基本法」の定める遵守事項に従い、適切な個人情報の処理等を実現できるよう、郵政大臣において、必要な「指針」を公表すること。
(2-2) 個人情報の漏洩等に関する罰則の在り方
電気通信事業者が保有する個人情報のうち、「通信の秘密」の外延にある「個人の秘密」を漏洩・窃用した者について、罰則規定を置くこと。
電気通信事業者及びその従業員等に加え、代理店等の業務委託先及びその従業員等をこの罰則の対象とすること。
(3)今後のスケジュール
昨年9月から開催している「電気通信分野における個人情報保護法制の在り方に関する研究会」において、「基本法」の検討結果を踏まえ、本年10月を目途に最終報告の取りまとめを予定している。これを受けて、電気通信分野における「個別法」についても、「基本法」と同様、次期通常国会への法案提出を目指したい。
2 中間整理の各項目の考え方に対する意見
(1)「個人情報の処理等」の定義について
個人情報の取扱いについては、その利用目的の範囲内で取得、蓄積、維持管理をし、利用、提供を行い、利用目的の達成後には速やかに消去するというのが、その適正管理に係る一連の基本的な流れと考えられることから、この点を明確にするため、「個人情報の処理等」の定義(「2定義(2)」)の中に、「消去」についても明示するのが適当ではないかと考える。
(2)「5 事業者が遵守すべき事項」について
(2-1)利用目的の限定について
事業者は、「当該事業の遂行について、個人情報の処理等を行う者」(「2定義(3)」)である以上、事業者が個人情報の処理等を行う際の利用目的は、当該事業の遂行に必要な範囲内でのみ許容されていると考えるのが自然であり、利用目的の設定(変更も含む)には、このような制約が存することについて、明記する必要があるのではないかと考える。
(2-2)本人同意に関する考え方
@個人情報の取得について
個人情報の取得に当たっては、具体的な利用目的の通知等を行い、(「(1)利用目的の制限」)、原則として本人から取得することが必要(「(4)適正な方法による取得」)とされていることから、結局、利用目的を前提とする本人同意の存在が当該取得の正当化の根拠となると解されるが、このような理解の当否について、ご教示願いたい。
Aいわゆる目的外利用について
「(2)第三者への提供」は、既に取得した個人情報を、その利用目的を超えて第三者に提供(目的外提供)する場合には、原則として本人の同意を得てこれを行う必要がある旨を定めている。
これに対し、既に取得した個人情報について、その利用目的を超えて提供以外の処理等(加工、蓄積、維持管理等、いわゆる目的外利用一般)を行うことについては、同旨の規定は置かれておらず、この場合には、新たな利用目的を具体的に明確にし、その通知等を行うこと(「(1)利用目的による制限」)のみが事業者に課せられた責務となる。
そうすると、目的外提供についてはオプトイン(本人同意がある場合にのみ許容)の発想により規制され、その他の目的外利用についてはオプトアウト(本人が不可とする場合にのみ排除)の発想により規制されていることとなるが、このように取扱いを区別する合理的な理由について、整理する必要があるのではないかと考える。
(1) 業務委託について
携帯電話事業者においては、電話加入契約の締結の取次の業務を代理店に業務委託しているのが通例であるが、この場合の「5事業者が遵守すべき事項」の適用関係については、次のように考えられるところ、その当否についてご教示願いたい。
@代理店がその受託業務の履行として行う個人情報の処理等については、その主体はあくまで携帯電話事業者であり、代理店自身に「5事業者が遵守すべき事項」の各項が適用されることはない。
A代理店が、受託業務の履行の過程で入手した個人情報を他の業務に流用しようとする場合には、個人情報の処理等を行う事業者として、別途「5事業者が遵守すべき事項」の各項の適用を受ける。
Bこの場合、代理店は、委託者である携帯電話事業者から個人情報を改めて取得し(第三者からの取得となるため、本人の権利利益を侵害するおそれのないことが明らかな場合等にのみ許される(「(4)適正な方法による取得」))、利用目的を明確にした上で、これを本人に通知する必要がある(「(1)利用目的による制限」)。
CBにおいて、携帯電話事業者が代理店に個人情報を提供する際には、利用目的の範囲を超えて個人情報を第三者に提供することとなり、当該携帯電話事業者は、原則として、その旨本人の同意を得る必要がある(「(2)第三者への提供」)。
(1) 個人情報の開示等について
@開示の範囲の限定について
電気通信事業者は、加入者に関する個人情報を膨大に蓄積しているが、例えば、加入者から、電話をかけた先の電話番号の開示を求められたとしても、事前にその旨(料金明細サービス)の契約が締結されていない場合には、該当する情報を取り出すのに多大な作業を要し、業務上の負担が大きいことから、原則としてこうした開示には応じていないのが通常である。
このように、保有する個人情報の開示について多大なコストを伴う ようなケースについては、予め、当該本人との契約において、開示する情報の範囲を限定する等の措置を講ずることが認められるべきではないかと考える。
A 「通信の秘密」との関係
電気通信事業法における「通信の秘密」の保護は、通信両当事者の利益を保護するものであることから、「通信の秘密」に該当する個人情報については、一方当事者からの開示請求等は、他方当事者の利益を保護するという観点から、一定の制約を受け得ることとなる(例えば、ある匿名通信の受信者から開示の要請を受けても、電気通信事業者は、当該通信の発信者情報を当該受信者に開示することは原則として許されない。)。
このように、他の法律との関係で開示の範囲等が制約を受け得ることについて、明記しておく必要があるのではないかと考える。
3 電話帳情報(公開情報)の取扱いについて
NTTが発行している電話帳(ハローページ)のCD−ROM化等をめぐる各遵守事項の具体的な適用関係について、概ね、以下のようになると考えられるところ、その当否についてご教示願いたい。
(1) NTTが遵守すべき事項について
現在、NTTは、紙ベースでの電話帳の発行(紙ベースでの公開)を利用目的とし、加入者本人からの同意を得ているが、その利用目的及び本人同意は、電話帳の媒体如何にかかわらず、その機能に着目したものと考えられる。
したがって、CD−ROM電話帳の発行(CD−ROMによる公開) についても、その機能が紙ベースの電話帳の機能と実質的に同視し得る場合には、従来の利用目的及び本人同意の範囲内であるということができ、その際、改めて利用目的の明確化や本人通知を行う必要はない。
これに対し、実質的に紙ベースの電話帳とは異なる機能(逆検索機 能等)を新たに付加したCD−ROM電話帳を発行することについては、従来の利用目的及び本人同意の範囲外ということになり、その範囲を超えて第三者に個人情報を提供することとなるため、その際、本人の同意を得る必要がある(「(2)第三者への提供」)。
(2) 電話帳情報を二次利用する第三者が遵守すべき事項について
@NTTが発行する電話帳にはない新たな機能を付加した電話帳を作成・販売する場合
第三者が、NTT発行の電話帳(公開ソース)から電話番号情報を取得することは、本人以外からの個人情報の取得であり、「本人の権利利益を侵害するおそれのないことが明らかである場合その他個人情報の性質、取得の際の状況等に照らし必要かつ合理的と認められる場合」においてのみ許容されることとなる(「(4)適正な方法による取得」)。
そこで、第三者が、NTT発行の電話帳にはない新たな機能を付加した電話帳の作成・販売(NTTにおいて既に明示してある利用目的及び本人同意の範囲を超えた利用方法)を目的として、電話帳の情報を取得することが、本人の権利利益を侵害するおそれがあるとされる場合には、そもそも認められないということになる。
ANTTが発行する電話帳と同一の機能を有する電話帳を作成・販売する場合
他方、第三者が、NTT発行の電話帳と同一の機能を有する電話帳の作成・販売を目的として、電話帳の情報を取得することは、NTTにおいて既に明示してある利用目的及び本人同意の範囲内での利用であり、本人の権利利益を侵害するおそれはないことから、「(4)適正な方法による取得」の例外として許容される。
ただし、この場合であっても、当該第三者は、「(1)利用目的による制限」の適用を受けるため、自らの利用目的を具体的に明確にし、本人への通知を行わなくてはならない。
3 中間整理で引続き検討することとしている課題についての意見
個人情報の漏洩等に関する罰則について、「個別法」で手当てできるのは、他分野との整合性、従来の立法例等による制約から、「個人の秘密」の漏洩等に関する規定を定めるのが限界であるとも考えられるところであり、個人情報保護の実効性を確保するという観点から、「基本法」により適切な手当てがなされるよう、積極的に検討を進めていただきたい。
(1) 苦情等の処理(「4政府の措置及び施策」関係)
「苦情等の処理」について、「政府」による苦情等の適切な処理、必要な調査を実施することとされているが、放送番組に関しては、業所管等を根拠に苦情等の処理、調査をすることは難しい。
現在、放送法では、表現の自由の尊重の観点から、
@ 放送事業者の自律を基本とした制度となっており、権利侵害に係る苦情処理については放送事業者が自ら行うとともに、当事者間で話し合いがつかなかった事案については、NHK及び民放連が共同して設立した「放送と人権等権利に関する委員会機構(BRO)」が対応している。
A 郵政大臣の放送事業者に対する報告徴収は政令で限定列挙されており、苦情等の処理に必要な個別の放送番組の内容については、その対象とされていない。
したがって、このような放送法の考え方を踏まえると、放送に関する政府による苦情等の処理について、適用除外にするか、法的措置を講じ明確化するか、いずれかの措置が必要である。
(2) 独立行政法人等に対する措置(「4政府の措置及び施策」関係)
「独立行政法人等に対する措置」に関しては、郵政省所管のNHKは、特殊法人に該当するが、報道機関としての役割を果たしていることから、政府が必要な措置を講ずるに当たっては、このような特性に十分配慮することが必要である。
2 中間整理で引続き検討することとしている課題についての意見
適用対象範囲について、「表現の自由、学問の自由等に十分留意」して、「規律ごとに情報の性格等に即して検討する」とされているが、「放送」に関して、放送事業者が取材活動の中で収集する個人情報や個人情報の放送については、マスメディア全体の観点から検討することが必要と考える。