個人情報保護法制化専門委員会

第18回個人情報保護法制化専門委員会議事要旨



1 日 時:平成12年6月23日(金)14時〜17時
 
2 場 所:総理府3階特別会議室
 
3 出席者:
小早川光郎委員長代理、上谷清委員、高芝利仁委員、高橋和之委員、新美育文委員、西谷剛委員、藤原静雄委員、堀部政男個人情報保護検討部会座長
※園部逸夫委員長、遠山敦子委員は所用のため欠席。
(事務局)
藤井昭夫内閣審議官、小川登美夫内閣審議官、松田学内閣審議官
(関係省庁)
法務省:官房審議官(刑事局担当) 渡邊一弘
人権擁護局調査課長 佐久間達哉
民事局参事官 相澤 哲
通産省:機械情報産業局次長 林良造
機械情報産業局情報処理システム開発課長 氏兼裕之
機械情報産業局情報処理システム開発課課長補佐(総括班長)渡邊昇治
大蔵省:大臣官房参事官 高木祥吉
金融企画局市場課投資サービス室長 森 信親
通産省:大臣官房審議官(消費者行政担当) 鈴木喜統
産業政策局取引信用課長 古賀茂明
厚生省:大臣官房総務審議官 宮島 彰
大臣官房政策課情報化推進企画官 大崎眞一郎
大臣官房統情報部保健社会統計課保健統計室長 瀬上清貴
健康政策局総務課企画官 岡部 修
郵政省:電気通信局電気通信事業部長 有富寛一郎
電気通信局電気通信事業部業務課電気通信利用環境整備室長
諌山 親
放送行政局放送政策課長 中田 睦
 
4 議 題
(1)個人情報保護検討部会における意見交換について(報告)
(2)関係省庁ヒアリング
  法務省
  通商産業省
  大蔵省・通商産業省・金融監督庁(信用情報分野)
  厚生省
  郵政省
(3)その他
 
5 審議経過

(1)個人情報保護検討部会における意見交換について(報告)
 事務局より、6月9日に開催された個人情報保護検討部会における意見交換の概要等について報告がなされた。

(2)関係省庁ヒアリング

@法務省
 法務省より、資料1に従って、開示、訂正等請求権及び罰則の在り方、人権擁護分野における個人情報保護の状況について説明があり、質疑が行われた。質疑の概要は以下のとおり。

○ 刑罰を考えるにあたり、刑罰と秩序罰としての過料を区分する基準は何か。
→ 一般に、違法性の高い行為について刑事罰が設けられている一方、過料制度は、行政法規の中で、その実効性の担保のための秩序罰として設けられているものであり、その区分基準を示すことは困難である。

○ 個人情報が人権、あるいは人権に近いものとして保護されるという原則が確立された場合、法務省の人権擁護機関が保護していくつもりか。
→ 法務省の人権擁護機関としてどのような対応をとるべきか、まだ方針が確立しているわけではない。なお、現在、人権救済制度の充実に関し審議中の人権擁護推進審議会では、一定のプライバシー侵害の問題も視野に入れた議論がなされている。

○ 罰則の創設については市民団体などから要望が強いが、罰則の規定についてどのようなものが考えられるか。
→ 現行刑事法体系では、「秘密」一般は処罰の対象とされていない上、また、個人情報には様々なものがあり、その保護の対象範囲が明確でない状況の下で、罰則の規定の仕方を示すことは難しい。なお、国際的に問題となっている偽造クレジットカードについては、現在罰則を設けることも検討している。

○ 人権擁護局のマスコミの事前差止の議論はどうなったのか。
→ 誤解を与えかねない表現があったが、そうではないことを釈明した。一方で、マスコミによる人権侵害という問題があるのは事実であり、この問題も視野に入れて、憲法の枠内で何ができるのか、審議会で議論しているところである。

○ 業態によっては情報のセンシティブ性と守秘義務の相関により限定すれば、可罰的違法性及び刑罰と保護法益の比例均衡という問題が解決されるのではないか。
→ 現行法上でも、「秘密」の保護も様々なパターンがあることを考慮すると、まず保護されるべき個人情報と業種の範囲、態様を決めて、その後に検討する問題なのだろう。

A通商産業省
 通商産業省より、資料2に従って、民間部門における個人情報保護の検討の状況と法制化専門委員会中間整理に対する意見について説明があり、質疑が行われた。質疑の概要は以下のとおり。

○ 1(1)マニュアル処理情報の「自動処理することを目的として」とはどの程度厳格に考えているのか。
→ コンピュータ処理され、ネットワークを通じて個人情報が流されなければ、被害の拡大範囲などレベルが違うのではないか、という考え方である。

○ 1(6)の「同意」とは、インフォームド・コンセント程度のものを想定しているのか、それともノーティス程度のものか。
→ オプト・インまではいかなくとも、少なくとも本人の知る機会の提供程度のものは必要なのではないか。

○ 米EU交渉について、「セーフハーバー原則」では、コード・オブ・コンダクトを守らないとFTCが一定の介入をすることとされていたが、米EU交渉でこの点は議論に含められて合意されたのか。
→ FTCのインタベンションは交渉の一つの要素となっている。

○ (7)@の「比較衡量」は「拒絶」の場合にも考えられるのか。
→ 個人情報保護を自己情報コントロール権によるものと考えると、開示、訂正等の請求に当たって、情報主体は、自らの権利利益の確保を要件とされるべきではなく、単に知りたいだけの理由をもってしても、開示、訂正等の請求を行って良いと考えるが、その際には、開示、訂正等の要求の頻度や開示、訂正等を行わなかった場合の情報主体の損害、企業の被る負担の程度等を比較衡量すべきであると考える。

○ 「個人情報安全管理者」に関して、その射程を整理すべきとし、執行面では、個人情報に関する紛争の処理は現場近くで行うべきとしていることを考慮すると、同「管理者」は苦情処理、安全確保まで含むべきものと考えているのか。
→ 苦情・紛争の処理については、企業活動の現場から遠くなればなるほど、対応が遅くなるため、一義的には、業の実態に近い企業、業界団体等で処理するのが現実的という考え方を述べたものである。「管理者」については、現場に近いところに担当者を置き、広く役割を担うのが適切であると考える。なお、個人情報保護に係るJISの「管理者」の考え方は、プロセス全体を管理する幅の広いもので、始めてみて不都合があれば改善していくことを想定しており、幅広い権限を与えられている。

B大蔵省・通商産業省・金融監督庁(信用情報分野)
 大蔵省・通商産業省・金融監督庁より、資料3に従って、信用情報分野における個人情報保護の検討の状況と法制化専門委員会中間整理に対する意見について説明があり、質疑が行われた。質疑の概要は以下のとおり。

○ 事業者による国等の施策への協力について、訓示規定を置くと、「不透明な行政指導の温床となる」とあるが、行政手続法が働かないということか。
→ 協力して欲しい内容や範囲が予めはっきりしていれば問題は回避できるが、あいまいなままであれば、適否の判断などで事業者側の精神的な負担は飛躍的に高まると考えられる。

○ 国民の役割も、権利保護を求めている国民に対してこのようなことを書く意味は何か不明。泥棒から守ってくれという国民に対して刑法で国民に戸締まりの義務を課すようなものではないか。
→ 3(5)、5国民の役割も、従来の基本法の立法例を参考にしてまとめたものである。

○ 4「特定の個人情報」に関して個別法を定めた場合でも、個別法対象外の事業者から漏れる場合があり得るということだが、個人情報を指標として個別法を定めた場合、個別法の適用から漏れるような業種が考えられるのか。
→ 「特定の個人情報」で区切ることとしても、実際には情報で横割りに区切ることは不可能であり、各省庁ごとに担当する業で区切ることになる。この場合、区切られた範囲外の者が保有する情報については基本法のみが適用されることとなってしまい、個別法が適用される者との均衡が問題となる。

○ 特に厳重な保護を要する信用情報を問題として説明していたが、これを前提とすると基本法は作成できなくなる。本専門委員会はあらゆる情報を対象とする基本法を検討しているのであり、特に重要な保護を要するものについては抜き出して政府の方で検討するということである。
→ 基本法で不十分なところは各省で適宜保護措置を取ることとするのか、それとも情報等で基準を設け、その基準に照らして、情報に応じた整理を行うようにするのか、整理が必要。
  仮に前者だとすると、それぞれの省庁ごとの縦割りの法律にならざるを得ない。横断的な情報について、省庁ごとで個別に対応することとするのか、何らかの共通な基準を設けて整理することとするか、これにより省庁の側としては対応が変わることとなる。現在、信用情報については大蔵省・金融監督庁・通産省で検討しているが、これらの省庁の所管外の業界が保有する信用情報については他の省庁により保護してもらうしかない、ということである。

○ 3(1)利用目的を通知しておけば、同意の取得は不要と読めるとのことだが、私は、情報取得時に本人の同意が必要であり、その際に利用目的を通知しておかなくてはならないと理解している。同意を得なくても自由に利用できるということではないのだが。
→ 中間整理中の、実効性担保がされるであろう事業者が遵守すべき事項については、本人の同意が不要と読める。

○ (1)は目的を明確にしなくてはならないという原則である。その上で適正な方法による取得で、本人から取得することとされており、例外はあるかもしれないが、本人は目的を知った上で同意することになる。
→ 契約などに基づき情報を収集した後に、当該収集された情報の新たな利用目的を本人に通知して利用するということが現に問題となっている。例えばクレジットカードなど、新たな目的に同意をしない場合に契約を解除できたとしても、カードが利用できなくなることによって本人にとって不利となることがある。

○ どこまで基本法制で目的の包括性の基準などを明示的・黙示的に書き込むのか、あるいは空白にしておくのか、という問題であろう。

C 厚生省
 厚生省より、資料4に従って、厚生行政分野における個人情報保護の検討の状況と法制化専門委員会中間整理に対する意見について説明があり、質疑が行われた。質疑の概要は以下のとおり。

○ 例外措置を講ずる場合、EU指令では適切な保護措置を求めているが、例えば、地域がん登録事業を本人同意の例外とする場合、どのような保護措置が採られているのか。
→ 現在、地域がん登録事業は各都道府県、市の実施要綱に基づいて運用されている。保護措置のレベルについては、今後、法制化も含めて検討してまいりたい。

○ がん登録やその他の疫学的調査に関しては、米やEUでは各医療機関に倫理委員会が設置されているが、我が国においてもそのような機関が設置されているのか。設置されている場合、外部委員は含まれているのか。
→ 国公立の医療機関には倫理委員会が設置されており、国立の医療機関については複数の外部委員が含まれているが、公立の医療機関については委員の構成は様々なようである。なお、現在、厚生科学審議会先端医療技術評価部会に「疫学的手法を用いた研究等における個人情報の保護等の在り方に関する専門委員会」を設置しており、地域がん登録研究についても検討の対象としている。

○ 医療分野の個人情報について、医師と患者の間の権利関係はどのようになっているのか。その関係を明確化する手段はないのか。
→ 我が国において、診療側と患者側の権利関係の整理は発展途上にあるものと考えており、現在のところ患者の権利性を明確に規定するには至っていない。

○ 日本医師会の「診療情報の提供に関する指針」の運用状況はどうなっているか。
→ 当該指針については、今年の1月から施行されているが、開示請求の件数など運用状況の詳細については承知していない。ただ、都道府県医師会及び郡市医師会に設置されている相談窓口に持ち込まれる苦情等は、全国ベースで月200件程度、うちカルテ開示に係る苦情等は5〜10件程度と聞いている。

D 郵政省
 郵政省より、資料5に従って、電気通信分野における個別法の検討状況及び中間整理の各項目の考え方に対する意見等について説明があり、質疑が行われた。質疑の概要は以下のとおり。

○ 仮にマスメディア全体を適用除外とする場合、法令上どのような規定とすることが考えられるか。
→ 「放送」については、定義があるために、明示的に適用除外とすることが可能であるが、マスメディア全体ということになると、書き方については特に考えはない。

○ 有線放送とインターネットによる配信の区別は明確になっているのか。
→ 有線放送事業者には一定の伝送容量を占有させることを認めているのに対し、インターネットではそうでないという点で異なっている。

○ 「個人情報の処理等」の定義の中に「消去」を明示すべきということだが、その理由は何か。
→ 課金等を目的として保存されている通信ログを必要な期間を超えて保存し続けることについては、個人情報保護の観点から好ましくないということで、米やEUでは、こうしたトラフィックデータは必要な期間を経過すれば「消去」ないしは「匿名化」することと法令上規定されている例が多い。また、電気通信分野においては、「処理等」という一連の流れの中で「消去」という概念が一般的に観念されてきたという事情もある。

○ 電話帳などの公開ソースのデータベース等については、別の枠組みにすべきであるという趣旨か。
→ 公開情報について別の枠組みを求めているわけではない。しかし、欧米等では電話帳情報について、適正な対価を払う者に対しては提供すべき旨の規定を特別に設けている例もある。

○ 個人情報の漏洩等に関する罰則について、「『基本法』により適切な手当てがなされるよう」とあるが、これはどういう趣旨か。
→ 罰則については、白地で個別法に任せられても、個人情報の「秘密」の部分についてさえ罰則を規定できるかどうか定かではない。このため、基本法制の中でその考え方を示すべきではないかということである。

(3)その他
 事務局より、関係省庁、関係団体・学識経験者ヒアリングの今後の予定ついて、資料6のとおり報告がなされた。

(次回の予定)
 次回は、6月30日(金)14時から17時まで、総理府3階特別会議室で開催し、関係省庁ヒアリングA(文部省、経済企画庁、警察庁、自治省、総務庁)を行う予定。

*文責事務局

*本議事要旨の内容については、事後に変更の可能性があります。

資料