資料1
| 平成12年6月30日(金) 文部省 |
【適用対象範囲】
○ 例えば、学校には、指導要録や調査書のように法令の規定に基づき、収集・保有されるもののほか、教員の指導記録のように各教員が教育指導上の必要等から適宜作成している書類・資料等が多数存在する。これらすべてについて、本人からの開示や訂正の請求を含め、保護の対象とすることは、教員の日常の指導活動への影響が懸念されるとともに、現実的でない。
○ このようなことは、分野を問わず該当することと考えられる。
○ したがって、「事業者が遵守すべき事項」の適用対象となる個人情報については、組織として保有するものに限定するなど、一定の制限を設けることが適当であると考える。
【事業者が遵守すべき事項】
(1)利用目的による制限
○ 学校では、児童生徒に関する様々な情報を本人、保護者及び関係機関から取得しながら、その情報を基に日常的な指導を行っている。また、指導上の協力を得るため、児童生徒に関する情報を関係機関に提供することもある。
○ このような日常的な指導の個々の場面において、個別の利用目的をその都度明確にし、児童生徒に対して通知しなければならないとすることは現実的でない。
○ このため、事業者の行う事業の性質上、個人情報の取得が日常的、継続的に行われる場合には、包括的な目的の設定で足りるとする等の配慮が必要であると考える。
(2)第三者への提供
○ 学校では、児童生徒の家庭事情や問題行動の発生状況により、関係機関と協力して対処しなければならない場面に多く直面する。
○ このような場合の関係機関への個人情報の提供については、学校の保有する個人情報の利用目的の範囲内として取り扱うことが適当であると考えるが、仮に、目的外利用とした場合でも、本人の同意を必要とすると、指導上著しい支障が生じる場合があることに留意する必要があると考える。
(4)適正な方法による取得
○ 学校教育においては、児童生徒の保護者との面談や家庭訪問が日常的に行われており、これらを通じて児童生徒に関する情報の取得が行われている。
○ また、例えば、問題行動や家庭内の問題がある場合などには、児童福祉施設や警察などの関係機関や地域住民からの情報の取得も行われている。
○ さらに、大学入学者選抜においては、推薦書や高等学校の教員の直接の評価など、第三者から取得することを前提としているものがある。
○ このような場合については、「第三者から取得することが必要かつ合理的と認められる場合」に該当すると考える。
(8)開示、訂正等
○ 学校の保有する評価等に関する情報は、各学校が指導や選抜の必要から記録、整理している情報であり、このような情報そのものの性格や、これを開示した場合の教員と本人等との教育上の関係に及ぼす影響、本人のその後の学習に及ぼす影響等を考慮すれば、基本的に慎重な対応が求められるものである。
○ 他方、近年の地方公共団体における個人情報保護条例の制定状況や諸外国における取扱いの状況、自己の情報に対する国民の関心の高まり等の社会状況を考慮する必要があると考える。
○ このようなことから、教育情報のうち特に慎重な対応が必要と考えられる指導要録、調査書について、現在、教育課程審議会において、本人開示の問題を含めその在り方について専門的見地から審議しているところであり、この審議の動向を踏まえ、今後、学校の保有する評価等に関する情報に関しては、適切に対処することとしたい。
【事業者が遵守すべき事項】
(1)利用目的による制限
○ 膨大な量の個人情報の個別の利用目的をその都度明確にしなければならなくなると、学術研究の円滑な遂行を阻害する可能性があることなどから、研究者が学術研究の用に供するため、その発意に基づき処理等する個人情報であって、学術研究の目的のために使用する個人情報については、目的を必要以上に細かく区分することなく、「学術研究」として捉え、その旨を明らかにすることで足りることとすることが必要と考える。
(2)第三者への提供
○ 学術研究を遂行する過程において、目的外の第三者への提供の場合に、その都度本人の同意を得なくてはならないとすると、学術研究の円滑な遂行を阻害する可能性があることなどから、学術研究目的のために提供する場合については、原則として、「個人の権利利益を侵害するおそれの無いことが明らかな場合等」に該当し、本人の同意を必要としないものと考える。
(4)適正な方法による取得
○ 学術研究においては、大量の個人情報を一度に必要とする場合が多く、その中に含まれる多数の個人情報の一つ一つについて本人から取得することとすると、学術研究の円滑な遂行を阻害する可能性があることなどから、学術研究目的の個人情報の収集、利用等の場合には、「第三者から取得することが必要かつ合理的と認められる場合」に該当すると考える。
(7)個人情報の処理等に関する事項の公表
○ 学術研究目的による個人情報の利用の場合においては、膨大な量の個人情報を頻繁に利用することが多く、その都度個人情報の処理等に関する事項について公表することととなると、学術研究の円滑な遂行を阻害する可能性があることなどから、学術研究目的のための個人情報の処理等については、適用の例外を設ける必要があると考える。
(8)開示、訂正等
○ 学術研究目的による個人情報の利用の場合については、膨大な量の個人情報を頻繁に利用することが多く、研究成果としては、一般に個人が識別できない形で取りまとめられることが多いため、開示等することがなじまないものとして、適用の例外を設ける必要があると考える。
【個人情報の定義】
○ 国籍、信教、政治的見解等のハイリーセンシティブ情報は、個人の人格そのものにかかわる個人情報であり、不当な差別に利用されるおそれがあるなど、基本的人権の侵害を引き起こす危険性が大きいものである。
○ したがって、ハイリーセンシティブ情報については、原則その収集を禁止すべきであり、信教に関する個人情報については、宗教法人等が宗教活動等により収集するなど一定の場合に限り例外的にその収集を認めるということを基本法において明確にすべきと考える。
【政府の措置及び施策】
(5)苦情等の処理
○ 苦情等の処理に関しては、憲法上の権利である信教の自由及び政教分離の原則に鑑み、調査権、勧告権を行使する方法は適当でなく、関係者に任意の協力を求める方法によるべきと考える。
【事業者が遵守すべき事項】
(1)利用目的による制限
○ 宗教法人が信者等の個人情報の処理等に当たり、例えば書面や口頭で利用目的を明確にし、具体的に通知等を行うこととなると、従来から行われてきた宗教法人の宗教活動の在り方を変えざるを得ないなど重大な影響が生じるおそれがある。
○ したがって、通常個人がその利用目的を容易に推測できる場合には、「利用目的を具体的に明確にし」「具体的な利用目的の通知等を行うこと」と見なす、あるいは宗教活動に影響が及ばない形態を例外的に認めるなどの措置をとるべきと考える。
(2)第三者への提供
○ 被包括宗教法人が保有する信者等の個人情報を、その上部組織である包括宗教法人等に提供することも「第三者への提供」に該当し、信者本人の同意が必要となるとすれば、従来から行われてきた宗教活動の在り方を変えざるを得ないなど重大な影響が生じるおそれがある。
○ したがって、同じ宗派内等での情報交換などは「第三者への提供」に該当しない、あるいは該当するとしても第三者への提供が「利用目的を超えること」に該当しない、さらには「個人の権利利益を侵害するおそれの無いこと」に該当するとして宗教活動に影響を及ぼさないような取扱いを認めるべきである。
(7)個人情報の処理等に関する事項の公表
○ 信教に関する個人情報はハイリーセンシティブ情報として原則収集禁止とすべき情報であり、その存在そのものも秘匿されるべき情報であるため、その処理等に関する事項について、「容易に閲覧可能な方法により公表」することについては、例えば、「個人情報の利用目的及び方法」や「保有する個人情報の概要」の公表をしなくてもよいこととするなどの取扱いが必要であると考える。
(8)開示、訂正等
○ 宗教法人は、宗教活動のために必要不可欠要素として、個々の信者の状況や所見等を作成している場合があり、教義上、本人を含めて一切開示してはいけないこととされている場合もあるため、それらの個人情報について開示や訂正等を行わなければならないとすると、宗教法人と信者との間の信頼関係が壊れ、宗教活動に極めて重大な影響が生じるおそれがある。
○ このため、これらの情報については「事業者の適正かつ円滑な業務の確保に対し支障のある場合」として、開示しないことができるようにすべきであると考える。
(10)他の事業者との協力
○ 日本全国における宗教法人数は約18万3千であり、それぞれが教義、伝統に基づき多種多様な宗教活動を行っているため、全宗教法人又は全宗教団体を対象とする自主的ガイドラインを策定することは事実上不可能であり、また、信教の自由及び政教分離の観点から、所轄庁による公的ガイドラインの策定はなじまないので、基本法を踏まえた各法人、各団体の自主的な取組を基本としたい。