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平成12年6月30日
警察庁


1 基本的考え方

 第三者からの個人情報の取得が不可欠な警察事務の特性に照らして、犯罪の予防、捜査等に支障の生じない枠組みが必要

2 各論

(1) 大綱案3「基本原則」、大綱案5「事業者が遵守すべき事項」について
ア 「(1)利用目的」の射程
○ 自己の身元が判明しづらい社会・経済のシステム等を悪用する「匿名性を利用した犯罪」に対処するため、事業者が事業の安全性・信頼性を害されないよう、本人確認等の措置を講ずる必要性
○ 第三者に対する目的外の提供の制限が、警察活動の支障とならないような除外措置が必要
また、「目的外提供の場合の本人同意」についても、犯罪の捜査等本人に知られてはならない利益が優先すべき場合の除外措置が必要

イ 「(3)適正な方法による取得」
○ 事業者が自己の営業利益を守るため不正行為者に係る個人情報を取得する場合における適用除外措置の必要性

ウ 「(4)安全保護措置の実施」
○ 安全保護措置として、ネットワークを通じて情報にアクセスした者の記録保存等の措置の必要性

エ 「(5)透明性の確保」
○ 警察機関が犯罪の予防、捜査等のために収集した個人情報については、捜査の秘匿性、情報提供者の信頼感等の観点から、適用除外とすべき
○ 事業者が不正行為者に係る個人情報を取得しているような場合等本人のコントロールを及ばせることが適当でないものが存在

 (2)大綱案4「政府の措置及び施策」について

ア 「(3) 個人情報の保護の推進に関する方針の策定」
○ 個人情報の第三者提供等が制限される場合、警察への協力が得られにくくなるおそれがあり、「方針」の内容として、一定の場合に情報の提供が可能であることを明記する必要性

3 情報漏洩等に係る最近の検挙事例をみて

個人情報の漏洩等が問題となった主な事例(平成9年以降)
番号検挙年月都道府県警察事 案 の 概 要
平成9年3月 宮城県警察 ○ 信用情報機関被害に係る私文書偽造・同行使及び詐欺並びに貸金業規制法違反事件
東京都内の経営コンサルタント会社社長らが、平成7年11月ころから平成9年3月ころまでの間、他人名義で福島県知事から貸金業登録を受けて貸金業協会に加入した後、全国4,200社の貸金業者が加盟する全国信用情報センター連合会の信用情報システムから、顧客の債務状況等の信用情報を不正に引き出し、他人に販売して利益を得ていた事件で、個人の信用情報を引き出す目的で、全国信用情報センター連合会傘下の東北情報センターに偽りの入会申請書類等を作成提出したうえ、専用のコンピュータ端末機を騙し取った私文書偽造・同行使及び詐欺により同社社長ら3名を逮捕するとともに、貸金業規制法違反(不正貸金業登録)により追送致した。
平成10年1月 警視庁 ○ 大手都市銀行における顧客情報の業務上横領事件
平成9年11月、借金に窮した会社員が、自己の勤務するコンピュータシステム会社が大手都市銀行からシステム開発を依頼されその業務に従事していることを奇貨として、同銀行の顧客データをコンピュータから引き出し、データが記載された記録紙及びデータを記録させたフロッピーディスクを持ち出し、名簿業者に20万円で売却処分したもの。 また、会社員から情報を買い受けた名簿業者は、このデータを被害金融機関に買い戻すよう脅迫するなどしたため、恐喝未遂で逮捕した。
平成10年1月 神奈川県警察 ○ 住民票を虚偽移転した有印私文書偽造・同行使、電磁的公正証書原本不実記録・同供用並びに詐欺事件
被疑者は、平成9年4月ころ、川崎市内に住民登録している21歳の学生になりすまし、川崎市内の区役所に偽造の転出届を提出して転出証明書を入手し、東京都江東区に虚偽転入して住民登録したもので、同年7月ころまでの間、5回にわたり別々の人物になりすまして虚偽移転を繰り返すとともに、その都度、国民健康保険被保険者証の交付を受け、保険証をサラ金業者に提示して借入名下に金員を騙し取ったり、同証を身分証明書として利用して携帯電話を購入し、「期間限定の使い放題の携帯電話」などと偽って、他人に売り飛ばしていたもの。
平成10年5月 島根県警察 ○ 会社員によるインターネットを利用した海賊版音楽カセットテープ等販売に係る著作権法違反事件
被疑者は、平成9年12月ころから平成10年3月ころまでの間、権利者の許諾を得ずに、衛星放送番組から複製した最新のヒット曲入りのカセットテープやMDをインターネットのホームページに広告掲載して購入者を募り、郵送販売していたもの。 代金の振込先には、他人名義(妻の従兄弟)の住民票を無断使用して開設した銀行口座等を利用していた。
平成11年1月 千葉県警察 ○ インターネット会員制メール利用による名誉毀損事件
コンビニエンスストアの経営者らは、アルバイト応募のため面接に来た女性の履歴書から入手した複数の女性の個人情報を、インターネットの配信グループの主宰者に提供し、同情報を元に、平成10年11月ころ、同女らは卑猥な女性であるかのような内容を、インターネットの会員制ホームページで多数の者に配信し、同女らの名誉を毀損したもの。
平成11年2月 宮城県警察
愛知県警察
岐阜県警察
○ テレホンクラブ利用料金回収名下の詐欺事件
被疑者らは、債権回収代行業者と名乗って電話をかけ、未納金がないにもかかわらず、「テレホンクラブの利用料金が未納となっているので直ちに振り込むように。支払いがなければ回収に行くが、その場合は旅費も払ってもらう。」などと言って請求し、一人当たり5〜10万円を振り込まさせ、騙し取ったもの。 電話をかける対象者の選定には、関係者から提供を受けたテレホンクラブ顧客リストを利用していた。
平成11年2月 警視庁
愛知県警察
○ 元山口組傘下組織構成員ら詐欺グループによる紳士録登載打ち切り等名下の広域多額詐欺事件
元山口組傘下組織構成員ら詐欺グループは、共謀の上、紳士録に登載されている会社役員ら2名に対し、架空の団体名や偽名を使用し、電話で紳士録への登載打ち切りや原版の廃版処理手続を代行する旨申し向け、その旨誤信した被害者から、平成9年8月ころから同年11月ころまでの間、架空団体名義の郵便貯金口座等に現金合計487万円を振込送金させ、これを騙し取ったもの。
平成11年4月 警視庁 ○ 個人情報入手による都銀偽造カード使用の連続窃盗事件
コンピュータソフト開発会社に勤務する会社員は、平成10年2月以降、自己が勤務する会社が足立区コミュニティ文化・スポーツ公社のデータ管理を委託されていたことから、同データから入手した個人情報等から偽造カードを作成し、ATM機から現金を窃取したもので、私電磁的記録不正作出・同供用及び窃盗で逮捕した。
平成11年5月 千葉県警察 ○ NTT社員による電話個人情報漏示をめぐる贈収賄事件
NTT社員が、平成9年6月から平成11年1月までの間、愛知県内のピアノ調律師から依頼を受け、NTTのコンピュータ端末機を利用し、電話個人情報を引き出し、提供したことに対する謝礼として、平成9年7月から平成11年2月までの間、前後31回にわたり、自己名義の普通預金口座に合計89万3,000円の振込送金を受け、賄賂を収受したもの。
10 平成11年5月 愛知県警察
新潟県警察
○ インターネット利用の釣り竿販売名下の詐欺事件
被疑者は、インターネットの掲示板で、バス釣り愛好家に人気の高い釣り竿を譲ると呼びかけて、釣り竿販売名下に代金5万〜5万5,000円を騙し取ったもの。被疑者は、知人から聞き出した個人データに基づき、運転免許証を偽造して、同免許証を使って他人名義の携帯電話や銀行口座の契約を行い、他人になりすまして犯行をしていた。
11 平成11年7月 大阪府警察 ○ 流出した出産予定日リスト利用による訪問販売法違反事件
教材販売会社の営業社員は、マタニティー専門の通信販売業者から流出した近畿周辺の妊婦1万数千人の「出産予定日リスト」を名簿販売業者から入手し、同リストを利用して、出産を終えたばかりの主婦宅を訪問し、公的な育児相談機関の職員のように錯覚させて教材を売り付け、商品の解約を求めた主婦らに対し、「クーリングオフはできない」、「毎日家に押しかける」などと申し向けたもの。訪問販売法違反(不実の告知、威迫脅迫)で逮捕した。 ※入手ルートは不明(捜査中)
12 平成11年10月 愛知県警察 ○ 銀行員の顧客情報漏示をめぐる恐喝未遂事件
元中古車販売店従業員は、銀行の支店行員が、同人の預金残高等を、政治活動標ぼうゴロに対して教示したことに因縁をつけ、平成11年9月、同行支店長らに対して、「どういう恨みで俺の残高をしゃべったんだ。銀行の窓に穴が空くかも知れんぞ。どう落とし前をつけるんだ。」等と申し向け、金員を喝取しようとしたが、被害者が警察に届け出たため、目的を遂げなかったもの。
13 平成12年3月 警視庁 ○ 指定暴力団松葉会傘下組織組長らによる銀行の顧客情報入手を奇貨とした恐喝未遂事件
指定暴力団松葉会傘下組織組長らは、銀行の支店から流出した顧客貸出残高明細照会票を入手したことを奇貨として、平成12年3月、同支店副支店長らに対し、「外部に流出すれば、社会問題になるのではないか。悪用されるとも限らない。融資の形を取って、支店長決裁で200〜300万円くらいすぐ出来るでしょう。」等と申し向け、同行から融資名下に金員を喝取しようとしたが、被害者が警察に届け出たため、目的を遂げなかったもの。 ※入手ルートは不明(捜査中)
14 平成12年5月 宮城県警察 ○ 五代目山口組傘下組織組長による信販会社の顧客情報買取り名下の恐喝未遂事件
五代目山口組傘下組織組長は、信販会社コールセンターから漏洩した顧客データ及び社員教育用マニュアルの写しを入手し、平成11年11月、同コールセンターマネージャーに対し、「街宣車を出す。穏便に済ませたければ、情報を買い取ってほしい。」等と申し向け、顧客データ等の買取り名下に金員を喝取しようとしたが、被害者が警察に届け出たため、目的を遂げなかったもの。 なお、顧客データの入手ルートについて追跡捜査を実施したところ、同信販会社支店の元女性従業員が、上記五代目山口組傘下組織の幹部から依頼され、平成11年8月ころから同年11月までの間、コールセンターにおいて、同社支店管理に係る顧客データ等の写しを窃取したことが判明したことから、同女を、平成12年6月、窃盗罪で通常逮捕した。
15 平成12年6月 警視庁 ○ 金融業者らによる医療機器輸入販売会社顧客データをめぐる恐喝未遂事件 金融業者らは、知り合いの医療機器輸入販売会社に勤務する会社員が、同人の勤務する会社から盗み出した心臓ペースメーカー等の顧客データを入手したことから、平成12年6月、同社の総務担当部長に対し、「データは7億円の価値がある。拾得物の謝礼は5%から20%だ。」等と申し向け、金員を喝取しようとしたが、被害者が警察に届け出たため、目的を遂げなかったもの。