個人情報保護法制化専門委員会

第19回個人情報保護法制化専門委員会議事要旨



1.日時:平成12年6月30日(金)14:00〜16:30

2.場所:総理府3階特別会議室

3.出席者:

園部逸夫委員長、上谷清委員、遠山敦子委員、新美育文委員、西谷剛委員、藤原静雄委員、堀部政男個人情報保護検討部会座長
※小早川光郎委員長代理、高芝利仁委員、高橋和之委員は所用のため欠席。
(事務局)
藤井昭夫内閣審議官、小川登美夫内閣審議官、松田学内閣審議官
(関係省庁)
文部省:大臣官房審議官(初等中等教育局担当)玉井日出夫
大臣官房総務課長金森越哉
学術国際局学術情報課長尾崎春樹
文化庁文化部宗務課長戸渡速志
経済企画庁:国民生活局審議官池田実
警察庁:長官官房審議官(刑事局担当)岡田薫
自治省:大臣官房審議官(行政・共済担当)伊藤祐一郎
大臣官房情報政策室長井筒郁夫
総務庁:大臣官房審議官(行政管理局担当)藤井昭夫
行政管理局行政情報システム企画課長橋口典央
統計局統計基準部統計企画課長渡辺秀一

4議題
(1)関係省庁ヒアリング
 文部省
 経済企画庁
 警察庁
 自治省
 総務庁
(2)その他

5審議経過

(1)関係省庁ヒアリング

 @文部省

 文部省より、資料1に従って説明があり、質疑が行われた。質疑の概要は以下のとおり。

○ 事業者が遵守すべき事項の適用範囲を組織として保有するものに限定するとは、個人的なメモのようなものを排除できればよいとの趣旨か。
→各教員が独自に作成している資料等を排除するとの趣旨であり、適用対象を学校が組織的に作成・利用する情報としたいとの趣旨である。

○ 学術・宗教関係の個人情報については、包括的な適用除外ということではなく、各事項ごとに例外的取扱いとされればよいとの考えか。また学術研究情報は個人が識別できない形で取りまとめられることが多いとのことであるが、医学研究や歴史学研究も念頭においてのことか。
→医学研究など学術・宗教関係の個人情報についても、その取扱い次第では個人の権利利益を侵害するおそれのあることは同様であり、包括的に適用除外とするということではなく、各規律の適用に当たり、学術研究・宗教活動に支障の生ずることのないようにすることが必要との考えである。

○ 適正な方法による取得について、推薦入試の推薦書などは本人からの提出が通常だと思うが、そうでない場合は有り得るのか。また保護者又は代理人からの情報の取得は第三者からの取得に該当しないのではないかと考えるが、保護者等以外からの情報の取得は有り得るのか。
→例えばアドミッションオフィス入試では、教員から直接評価を伝えてもらう場合などがある。また児童生徒の情報は保護者から得ることが中心だが、場合によっては不登校の子どもが通っている適応指導教室など関係者や教育相談所などから情報を得る場合もある。

○ 学術研究関係の個人情報について、利用目的を学術目的として広く取った場合、その目的外で第三者に個人情報を提供するということは有り得るのか。
→ここでは学術研究目的以外で収集された情報を、学術研究目的で提供を受けることを想定している。

○ 適正な方法による取得、個人情報の処理等に関する事項の公表、開示・訂正等に関する例外措置の理由として、膨大な量の個人情報を頻繁に利用することを挙げているが、こうした事情は他の事業者にとっても共通するものであり、このような研究者の都合だけでは例外的な取扱いが必要かつ合理的であると判断するのは難しく、客観的な事由が必要なのではないか。
→学術研究目的の個人情報についての例外的な取扱の根拠として、研究成果が一般に個人が識別できない形で取りまとめられることが多いことがあげられる。学術研究における個人情報保護の在り方について、現在、学術審議会学術情報部会で検討しているところであり、更に具体的な事例等について検討したい。

○ 学術・宗教分野に関する例外的措置について、学問の自由や宗教の自由といった憲法上の権利を根拠として主張するか。
→規律の適用により学術研究・宗教活動に制約が生じれば、ひいては憲法上の学問の自由、宗教の自由を侵害するおそれがあるため、規律の在り方については、その活動に支障の生ずることのないようにすることが必要との考えである。

○ 学校は国立・公立・私立と設置主体が分かれるが、個人情報の取扱いについては学校として共通の部分があると思うがどう考えるか。
→個人情報の取扱いについては、学校として設置主体にかかわらず基本的には共通であると考えている。

 A経済企画庁

 経済企画庁より、資料2に従って説明があり、質疑が行われた。質疑の概要は以下のとおり。

○ 国民生活審議会消費生活部会などでも個人情報保護について検討されてきたが、経企庁として消費者個人情報保護に関する個別法を検討する予定はあるか。
→消費者個人情報保護については重要な課題と認識しているが、直ちに個別法をということは考えていない。

○ 公営事業も適用対象とすべきとはどのようなものを想定しているのか。
→例えば消費者契約法では水道事業者など私的契約の色彩の強いものも対象としている。

○ 信用情報の取扱いについては各省で検討しているが、経企庁は関与しているのか。
→経企庁として現在調整などは行っていない。

 B警察庁

 警察庁より、資料3に従って説明があり、質疑が行われた。質疑の概要は以下のとおり。

○ 各団体等から、個人情報の漏えいに対する罰則の創設を求める要望があるが、警察庁として情報の漏えいに対する法的措置を講じる考えはあるか。
→刑法領域での処罰の創設をということは警察庁としては答えにくいが、個人的見解から述べれば、情報の窃盗・横領については、現在は物の窃盗・横領の観点に着目して対応しているが、現実には法益侵害は情報にあるのであり、情報窃盗等についての罰則を創設する方向にあるべきではないかと考える。

○ 銃砲・刀剣の登録管理はどのように行われているのか。
→国の行政機関の個人情報保護法により管理されており、パスワード管理などが行われている。

○ 例えば刃物を現金で買った場合は身元はわからないが、クレジットカードで買った場合はそこから身元が分かる。プリペイド式の携帯電話について、匿名性に対する犯罪捜査目的で必要ということであればこれを登録制とすべきとも考えられるがどうか。
→犯罪捜査目的から個人情報を保存してほしいということではないが、善良な市民の中に紛れた犯罪者を追跡できる仕組みがないと、社会の健全性が保たれないのではないか。

○ 第三者提供を拒否された場合には礼状によって強制的に取得し得るのであるから、犯罪捜査目的による目的外の第三者提供の例外とは、任意捜査を念頭に置いて、障害にならないようにとの趣旨か。
→令状による強制捜査も可能であるが、何でも強制捜査で行うことがよいのかという問題もある。個人情報の保護を厳格にしすぎて善良な国民が守られないことがないようにとの趣旨である。

○ 安全保護措置としてネットワークを通じて情報にアクセスした者の記録保存の必要性とあるが、法律上の措置を念頭に置いているのか、それとも実態上の措置を念頭においているのか。
→実体論としてそうして欲しいし、また、法制上もそうすることが望ましい。

○ 不正アクセス防止法の制定の際、電気通信事業者にログの保存を義務化することについて、関係省庁との調整から義務化を見送った経緯があるが、これを義務化するようにとの趣旨か。
→現実の重大な被害がなければ法整備は行いにくいと思うが、そうした被害は将来起こり得るのではないかと考えている。

 B自治省

 自治省より、資料4に従って説明があり、質疑が行われた。質疑の概要は以下のとおり。

○ オンライン接続禁止規定を削除する地方公共団体が、今後かなりの割合で増えると考えているのか。
→まず、条例で禁止規定があっても、少なくとも法律による住民基本台帳ネットワークについては、オンライン接続されることとなる。また、個人情報保護の基本法制がきちんとできあがれば、地方公共団体としてもオンライン接続禁止規定を置く必要はなくなるだろう。自治省も全面的に禁止する規定については、情報通信技術を活用した行政運営の省力化を行う上で問題があるとしており、規定の見直しを要請してきているところ。その結果、平成12年4月1日現在の速報値では、禁止規定を有する団体が昨年より約50団体ほど減少している。

○ 苦情処理の実効性に関して、都道府県、政令市では個人情報審査会が苦情処理に当たり大きな役割を果たしていると考えられる。地方公共団体が苦情処理を実施する場合、地方公共団体に過重な負担がかかるとのことだが、それは都道府県、政令市以外の団体のことか。それとも民間事業者に係る苦情等の処理も担当することとなり、すべての地方公共団体にとって負担となるのか。
→地方公共団体に対するヒアリングの際にも報告があったようだが、民間事業者をすべて引き受けるとなると、区域外の漏えいや事業者の調査等、苦情処理の実際の対応での実効性が問題となる。団体の規模にかかわらず、国と地方の役割分担を明確にした上でシステムを構築するのが大切だろう。また、一般的に事務処理が困難となるのは、都市化し、匿名化した地方公共団体なのではないか。

○ 平成2年の第二次個人情報保護対策研究会の後、自治省として地方公共団体が民間事業者を扱うことで何か検討しているのか。
→研究会以後は特に自治省としては行っていない。ただ、民間部門への関与の必要性を認識し、対象としようとする地方公共団体数は増えてきている。もっとも民間部門については地方公共団体の区域を超えた活動となることが多く、地方公共団体単独では限界があり、法律で対応して欲しい、という要望がある。

○ 紛争処理機関は自治体でかなり設けられているのか。また、中央に紛争処理機関を設置した場合、その苦情をどのように仕訳したらよいと考えるか。
→条例の付属機関ならば807団体あるが、紛争処理機関についての明確な数字はない。国と地方の役割分担について、明確な案はないが、民間部門にかかわることでもあり、地方公共団体が最終的な責任を負うことは困難だろう。地方公共団体に対するヒアリングでも、国の法制がないので対応はしているが、潜在的には情報は地域、国を超えて移動するのだから、観念的には対応しきれないということだったと思う。ただ、中には区域内にとどまる情報もあり、地方公共団体のやる気を含めた対応能力を検討しているところである。

 C総務庁

 総務庁より、資料5に従って説明があり、質疑が行われた。質疑の概要は以下のとおり。

○ 既存法令の見直し等に関し、行政機関の個人情報保護法はどのような日程で見直されることとなるのか。
→できるだけ早くやりたいと考えている。ただ、仮にマニュアルを含めるだけでも、目的規定や法律の名称を再検討するほどの全体的な見直しが必要となる。内容としても、中間整理の5原則と厳密に整合しているか詰める必要がある。見直し作業はそれほど容易ではない。いずれにせよ、大綱案の最終版がどこまで詰めて書かれるのかによる。

○ 統計調査で、管理責任体制はどのようになっているのか。
→調査の実施にあたっては、必置ではないが、報告調整官という統計の専門家を置くことができる。また、管理責任体制についていえば、統計調査を実施するにあたっての審査の際にチェックしているところ。

○ 基本法制の例外としたとしても、管理責任者などは必置とするべきではないか。
→統計法では、統計調査を実施するにあたっては、保存責任者を必ず置くこととなっており、総務庁長官による承認審査ではそこを確認した上で処分を行っている。

○ 最近、患者調査の個票が処理の委託先から流出した。現在、統計法は国の個人情報保護法の適用除外となっているが、安全保護措置の関係で、基本法制で重ねて何らかの措置ができるのではないか。
→統計法15条の3で適正に管理することとされており、本来あってはならないこと。既に、適正な管理をするように、各省へ通知し、また関係省庁連絡会議で注意を促している。

(次回の予定)
 次回は、7月7日(金)14時から17時まで、総理府5階特別会議室で開催し、学識経験者・関係団体からのヒアリング@を行う予定。

*文責事務局

*本議事要旨の内容については、事後に変更の可能性があります。

資料