個人情報保護法制化専門委員会

第21回個人情報保護法制化専門委員会議事録



1 日 時:平成12年7月14日(金)14時〜17時30分

2 場 所:自治総合センター 大会議室

3 出席者:

園部逸夫委員長、小早川光郎委員長代理、上谷清委員、高芝利仁委員、高橋和之委員、新美育文委員、西谷剛委員、藤原静雄委員、堀部政男個人情報保護検討部会座長
※遠山敦子委員は所用のため欠席。

(事務局)
藤井昭夫内閣審議官、小川登美夫内閣審議官

(関係団体)
全国消費生活相談員協会:理事長 藤井 教子
消費科学連合会:事務局次長 原 早苗
全国銀行協会:常務理事 鵜飼 克
全国信用情報センター連合会:副会長 平野 征人
株式会社シー・アイ・シー:専務取締役 原田 實
日本医師会:副会長 小泉 明
常任理事 櫻井 秀也
常任理事 西島 英利
参与(弁護士)奥平 哲彦
日本民間放送連盟:日本テレビ放送網 報道局長 石井 修平
東京放送 報道局編集主幹 植田 豊喜
日本テレビ放送網 報道局次長 林 樹三郎
テレビ朝日 報道局コメンテーター室長 今村 千秋
テレビ朝日 情報局情報番組センター長 渡辺 興二郎
フジテレビジョン 報道局報道総務 大林 宏
テレビ東京 報道局次長 藤延 直道
日本放送協会:総合企画室 [経営計画] 統括担当部長 大島 敏男
報道局編集主幹・報道局取材センター長事務取扱 諸星 衛
日本新聞協会:朝日新聞東京本社 著作権管理センターチーフマネジャー 杉野 信雄
毎日新聞東京本社 編集局次長 朝比奈 豊
読売新聞社 法務室次長 山口 寿一
日本経済新聞社 編集局次長兼社会部長 秋吉 穫
東京新聞 編集局次長兼社会部長 山田 哲夫
産経新聞東京本社 編集局次長兼社会部長 笠原 文夫
共同通信社 法務部長 土方 健男
時事通信社 法務室 主査 山本 智
北海道新聞 東京支社編集局長 鎌形 敏雄
新潟日報社 東京支社報道部長 武藤 斌

4 議 題
(1)関係団体ヒアリング
(2)その他

5 審議経過

【園部委員長】それでは、ただいまから個人情報保護法制化専門委員会第21回会合を開催いたします。本日は、所用ため遠山委員が御欠席、高芝委員が後ほどお見えになられます。3時半に新美委員が退席されます。
 今日は随分盛りだくさんでございまして、関係団体からのヒアリングですが、全体を30分ずつ6つの時間に区切ります。まず全国消費生活相談員協会と消費科学連合会、次に全国銀行協会、全国信用情報センター連合会及び株式会社シー・アイ・シー、次に日本医師会、その後、休憩を挟んで日本民間放送連盟、次に日本放送協会、最後に日本新聞協会、それぞれ御意見を聴取して質疑応答を行ってまいります。
 それでは、まず全国消費生活相談員協会及び消費科学連合会からヒアリングを行います。全国消費生活相談員協会の藤井理事長、消費科学連合会の原事務局次長、いずれも御多忙の折、誠に恐縮でございますが、御出席いただきましてありがとうございます。ゆっくりお聞きしたいのですけれども、何しろ時間が両団体で質疑を合わせて30分ですのではなはだ恐縮ですが、両団体を合わせて15分から20分程度でまず御説明と主張をお聞きいたしまして、その後の時間を質疑に当てたいと存じます。誠に時間の制約が厳しいのですが、いただきました資料は事前に各委員に届けられておりますので、ポイントを絞って簡潔にひとつ御説明いただきますようにお願いをいたします。それでは、まず藤井理事長からお願いします。

【藤井全国消費生活相談員協会理事長】2月に引き続きまして、このような機会を私どもにお与えいただきましたことに御礼申し上げたいと思っております。私どもは本当に簡潔に1ページにまとめております内容を申し上げました後、原さんの方にと思っております。
 まず「中間整理の各項目の考え方に対する意見」というところで、3の「基本原則」につきまして申し上げたいことが1つございます。(1)の「利用目的による制限」ということなのでございますが、「個人情報は、その利用目的が明確にされ、明確にされた利用目的に関連して必要な範囲で取り扱われること」とございまして、第三者に対する目的外の提供の制限という点なのでございますけれども、これについて引き続きこの委員会で御検討になるという注記がされておりました。これにつきましては、私どもの立場としては第三者に対する目的外の提供は法律により規定する場合以外は原則禁止とすることを基本にしていただきたいと考えております。これは私どもが消費生活相談の仕事をしておりまして、どういう形でか自分の名簿があちこちの業者の手に渡って、そしてそれがどちらかと言えば悪用されるような形でいろいろな被害に遭っている例など、さまざまな相談現場の感覚からお願い申し上げる次第でございます。
 その次、4の「政府の措置及び施策」についてということでございますが、(1)にあります「既存法令の見直し等」というところで「特定の個人情報又は、特定の利用方法であるため、特に厳重な保護を要する等別途の措置が必要なものについては、特別な法制上の措置その他の施策等の措置を講ずるものとすること」と書かれておりますけれども、特に個人信用情報とか医療の情報とか電気通信情報などの分野に関しましては、やはり基本的な法律だけではなくて個別の法律を制定することが望ましいと考えております。特に私どもが長く関わっております消費者信用の関連で申しますと、市場は更に拡大をしている傾向がございますし、また民間の事業者の下で多くの大量の個人情報が取り扱われております現状、そういった消費者苦情が発生する実態から考えてみますときに、特に消費者信用情報につきましては情報の保護とか登録や、利用の事業者としての自主ルールの制定、それから遵守に加えまして、この法律を踏まえた個別法の早期制定をしていただく必要があると考えております。
 それからもう一つは、中間整理されております中で引き続き御検討になるという課題についてのことでございますが、8の「その他」のところで(3)の個人情報の漏洩等に関する罰則の可否という点でございますけれども、前回も意見として申し上げておりますが、刑罰の適用を規定することによって個人情報の漏洩、不正提供、不正利用の抑止を図るということが必要と考えますので、この点も御勘案をいただきたいと思います。
 それから、(4)の第三者的な苦情・紛争処理機関の設置というとでございますけれども、「事業者が遵守すべき事項」の「苦情等の処理」で、事業者は本人からの苦情等を受け付けて適切かつ迅速に処理を行うこととしております。しかし、被害の実態から実効性確保ということを考えますときに、このほかに第三者機関として事業者団体及び国の機関としての苦情紛争処理機関の設置ということを更にお考えいただければありがたいと思っております。以上でございます。

【園部委員長】どうもありがとうございました。それでは、引き続きまして原事務局次長からよろしくお願いします。

【原消費科学連合会事務局次長】私の方からは3枚のペーパーで提出をしております。6月9日の部会のときにも少し発言させていただいておりますので、重複を避けてポイントだけと思っております。書き方としては大綱案にならって並べておりますけれども、懸念を表明していて自分で代案があるわけではないものもありますので、それは御容赦いただきたいと思います。
 まず「目的」のところなのですけれども、これは私ども検討部会のときにも話がありましたが「個人の権利利益を保護することを目的とする」という、これを第一義に挙げていただきたいと発言をしておりましたので、その点ではこの「目的」の書きぶりは評価をしたいと思います。
 その上で細目についてなのですが、全部を述べている時間がありませんので、私として強調したい点だけになりますが、まず「定義」のところの(3)の注書きになりますけれども、個人情報というのも「マニュアル処理のうち検索可能な状態で保有されているもの」と書いてあって、これは確かに現行の行政の法律に比べると範囲は広がりますけれども、逆に検索不可能な情報のままで保管をするという抜け道というのでしょうか、わざわざそうする業者はいないようにも思うのですけれども、そういう道もあるような気がして、そこの辺りをどう検討してきちんとしたものに収めていくのかという辺りが気になります。
 それから「基本原則」で書かれている部分なのですが、基本原則の(2)のところで「内容の正確性の確保」というのがあります。これは正確な内容に保たれることということなのですけれども、この正確性をどうやって担保するかというとき、最新性というのでしょうか、そういった概念も私としては含めていただきたいと考えておりまして、この最新性という概念も何らかの形で正確な内容のところに入れていただきたいと思います。
 それから(3)で「適正な方法による取得」というのがありますが、これはこの間の6月9日の検討部会でも発言をいたしました「適正」という言葉ですね。これは私たちは普通の日常生活でも使う言葉でもありますし、またその法律的な使い方ということもあってここに入っていると思うのですが、この「適正」というのが一体何を差すのかですね。前回質問をしたときに私が取り上げた例として、子どもからの収集利用ということを申し上げましたら、それがこの「適正な方法」というところに当たる。だから、子どもからの収集のようなことは「適正な方法」に当たらないからだめだという話もあったのです。それで、子どもからの部分というのはわかったのですが、ほかにもいろいろな形が考えられて、そういったものが確実に制限されることになるのか、この一言でいいのかどうかというところに懸念をしております。
 その次に5番の「透明性の確保」の部分です。これは繰り返しになりますけれども「可能性」という言葉の使い方が余りよくなくて、やはり一般の人が読んだときにも、それから事業者や行政が読んだときにもちょっと読み砕けないというのでしょうか、意味が取れない、意味をくみ取れないと感じておりまして、もうひと工夫要るのではないかと思います。これは前回の質疑の中で言わんとしていることは大体わかってはきたのですけれども、やはりきちんとした開示訂正、削除の請求権として構成をしていただきたいと考えております。
 その次ですが、4番から「政府の措置及び施策」というところでずらっと並んでいるのですが、「基本原則」とずっと重なり合ってはいるのですけれども、(5)の「苦情等の処理」というのが出ています。苦情の処理というのはいろいろな場面で、また事業者の方でも出てくるのですが、どういう形でやるのか。これは「政府は、受け付けた苦情等の処理に当たって」となっていますので政府が主語になっていますけれども、政府にきたものは当然やるべきなのですが、もっと広げて広い範囲での苦情の処理ということになれば、それは私は政府から独立した第三者機関的なところがやるべきではないかと思っています。今も、早目に来たのでさっと目を通したのですが、報道機関から出されているのを見ますと、政府が情報をコントロールするのはいかがなものかという懸念を表明されていますけれども、やはり主語が政府になる部分は行政の情報というところに限って、全体的な部分というのは独立した第三者機関ではなかろうかと思っておりますので、こことほかのところと重なっている部分と整理をしていく部分とを分けていただきたいと思っております。
 それから、5番目からは「事業者が遵守すべき事項」というのが書かれております。ここの中で「第三者への提供」というのが(2)にありますけれども、これは「個人の権利利益を侵害するおそれの無いことが明らかな場合等を除き、本人の同意を得て行う」ということなのですが、そのおそれのないことというのは一体だれが判断をするのかということです。それで、これはその次の(4)の「適正な方法による取得」のところも「個人の権利利益を侵害するおそれの無いことが明らかな場合」と書かれておりまして、やはりこの両方にかかっておそれのないことの判断主体というのが不明確という感じがいたします。
 それから(5)に「安全保護措置の実施」というのが書かれています。これも議論になったところですけれども、個人情報の安全管理者というもののイメージなのですが、配置としてありますが、ある程度のきちんとした管理資格というものにするのか、それともそういう管理責任者の明示といったようなところにとどまるのか。これもわかりにくくて、また具体化した場合に実際にどんな形での作業になるのかという辺りももっと明確にしてみる必要があるかと思います。
 それから(6)の「第三者への委託」ということで、この場合免責をしてよいかどうかということが注の中に書かれているのですが、私としてはもちろん第三者へ委託をした場合、契約書を交わしたり、定期的にチェックをしたりという監督義務というのでしょうか、監督をやられると思うのですけれども、最終的には保護措置が図られていることが責任を果たしたということになるので、やはり結果がついてこなかった場合はどこかでその責任を果たしていないということになるので完全な免責ではないと考えます。
 それから、(8)に「開示、訂正等」とあります。これも「本人から開示を求められたときは、一定の場合に、その個人情報を開示すること」とされていますが、この「一定の場合」というものをわざわざ入れられた理由というのでしょうか。それから、入れたとして「一定の場合」は何を指しているのかというところがわかりにくいのです。
 あとは「国民の役割」などについては、恐らく主婦連の加藤さんの方からも発言があったと思いますのでそのとおりです。
 それから、「その他」のところの「適用対象範囲」ですが、ここにあります表現、学問の自由という部分は繰り返しになりますけれども表現、学問の自由を指定をしているわけではないということです。それで、それについては報道の自由で持っている情報とそうでないものと区分けをして考えられるということと、そういったものについての事業者側の自主的なガイドライン、基本法にのっとった形でのガイドラインというようなことも考えられると思います。
 それから、苦情・紛争処理機関の設置については先ほど述べましたのでそのとおりです。
 それから「条例に関する規定」というのが(5)に書かれておりますが、これは地方公共団体の自律性を尊重しつつ整合を図る観点から検討するとなっていますが、この検討する主体というのは私はやはり地方公共団体に持たせたいと思っております。それから、先進的な取り組みをしている条例については現行法の見直しの中に取り込んでいただきたい。
 それともう一つ、この中に全然入っていないことで追加的なことで入れたものがあります。それは宗教とか思想とか門地など、センシティブ情報の収集というものについて全く触れられていないのですが、これは私は一応原則として制限すべきではないかということを加えていただきたいと思います。
 それで、全体に「その他」のところが余りにも大きくて重たくて、これがまだ積み残しのような形で今回中間整理ということで提示をされておりますけれども、やはりパブリック・コメントとか、ヒアリングが終わった段階でもう一度開かれた、そして集中的な議論というのがもうワンクッション必要ではないかと思っております。その上での立法化を図っていただきたいと考えております。大体、駆け足ですが以上です。

【園部委員長】どうもありがとうございました。それでは、ただいまの両団体の御説明を合わせまして、委員の方から御質問をお願いいたします。どなたからでもどうぞ。

【堀部座長】藤井理事長に伺いたいと思います。最後の(4)の「第三者的な苦情・紛争処理機関の設置について」ということで、実際に消費者相談にのっていてどういうのが理想的だと思われるのでしょうか。ここに出ているものですと「第三者機関として、事業者団体及び国の機関としての苦情・紛争処理機関の設置が望まれる」ということですが、例えば事業者団体等はいろいろあり得るかと思いますが、国の機関としてはどういうものを考えますでしょうか。

【藤井理事長】確かなイメージがあるということではないのですけれども、例としては余りいい例かどうかわかりませんが、製造物責任法ができました時点でPLセンターというものが各事業者団体の関連で幾つも設けられました。相談員側もそうですし、また一般の消費者団体などからも、事業者の方々の機関についてはどちらかと言えば評価が高いとは言えない。まだ設立後数年しかたっておりませんから十分か分かりませんけれども、中身を見ておりましてそう思うのです。
 そうしますと、もう一段違う形のものをやはりもっとこういう場合は設けていただかないと、本当の問題があったときに十分な解決が得られないのではないかと私は考えておりまして、国が関連したような形で第三者的にこのことについて受け持っていただけるような窓口の設置というのがやはり要るのではないかと思います。

【堀部座長】先ほど原さんが言っていたことで、第三者機関でマスコミなどを考えると、行政がやるのではなくて第三者機関が必要だということなのでしょうか。

【原次長】具体的な発言をしたいのですが、二、三年前に日本総研でやはり個人情報について調べたことがあるのです。それで、東京都の消費者センターに寄せられたこういう個人情報に関わる苦情相談というのを調べたのですが、個人情報でファイリングされていないものでプライバシーという形でファイリングされているものを拾ったのですが、個人情報とかプライバシーだけでの被害というのがなかなか取り出しにくくて、それが元になって何かの被害が起きている。だから、自分の名前が流れてそれが何か使われてダイレクトメールが来て何か被害に遭っているというので、ほかの被害と不可分の関係になっているようなものが多くて、それが個人情報だけ取り出したような苦情処理機関をやって、実際に消費者問題みたいなところからだとどういう形でやっていけるのか、非常に難しさも感じたりはしていますが。

【堀部座長】東京都でも15年前に消費生活対策審議会でMECONIS(東京都消費生活相談情報オンラインシステム)というデータベースで調べてみたことがあります。あのときは情報化とか高齢化、国際化を検討しましたが、そのときはおっしゃるようなことでその項目としてはなかなか出てこないのです。パイオネットのは最近少し出てくるようになったようにも思いますが、その独自のものというよりはほかのものと関連しているものが多いということですね。

【原次長】私の感じとしては、事業者は事業者団体で持つべきですね。それから、政府というか、行政は行政で持つべきで、その中ですごく個人情報に特化したトラブルになっていて非常に解決困難なものが独立した第三者機関に最終的には上げられるという形かなと思っています。

【小早川委員長代理】1つは一般的な感想というか、お願いですけれども、お二方のお話の中でも代案云々とございましたが、できましたらできるだけいろいろな面で代案を出していただきたい。
 それからもう一つは、これでもいいかもしれないけれども表現が抽象的でこういう場合はどうなのだろうかということがいろいろございました。私どもも検討の際には具体的なケースを考えながらやってはいるのですが、しかしそこは、いろいろな情報をお持ちですから、こういうケースはどうかとか、そういうものを挙げていただくと、それが抽象的な表現に当たるか当たらないかということを考える材料になると思いますので、そういう情報、データをこれからも提供をお願いしたいと思います。
 それとの関連で、差し当たり「利用目的による制限」、それから第三者提供の制限といったところで、お二方ともこれは第三者目的外提供は原則禁止にせよと言っておられますが、これなども、原則禁止という場合に例外はどのように書けばいいのか。例外なしというわけにもいかないのだろう、当然許容されていいもの、そこまで禁止することはないというものもいろいろあると思います。その辺をどう書けばいいか。「事業者の遵守事項」の方では、「個人の権利利益を侵害するおそれの無いことが明らかな」と書いてみたわけですが、これについても御批判があるようですけれども、ではほかにどう書けばいいのかということです。

【原次長】こちら側から見て、何かそういうおそれがあったでしょうと言っていけばいいわけですよね。

【小早川委員長代理】例えば物の配送を委託するときに、当て先の住所、氏名を書きますね。そういうのは情報を本人の同意なしに提供したことになるわけですけれども、それを制限するというのは。

【原次長】ただ、それは配送してほしいとか、本人は一応どこかの段階で依頼をしているか……。でも、お中元みたいなものもありますね。

【堀部座長】それは相手が書いてくるわけですね。

【小早川委員長代理】そういうものは、そのおそれがないことが明らかだというところで救えるかなという心なのですが。

【藤井理事長】今のお話で言いますと消費者トラブルでそんなに多くはありませんけれども、消費生活相談の中で興信所に何々を依頼して随分高い値段で目的としていた解答も得られないとか、ありますね。ああいう契約は、本人の同意は全くないわけですよね。一体こういう場合はどうなるのかと考えながら伺っていたのですけれども。

【堀部座長】あとは、ほかの人が言っていないことで原さんがよく言っている子どもからの収集ですね。その場合の子どもというのをどの程度のイメージでとらえるのか。年齢でとらえるのかとか、アメリカではチルドレン・オンライン・プライバシー保護法が98年にできまして、親の同意を得なければならないとなっていますね。そういうことでいいのかどうか。子どもから集めるというのもいろいろな形でありますね。学習塾などでも親の名前を書くのはどうかとか、個別にはいろいろ出てくるかと思いますが、ほかに主張されている方はないのでとりあえず何かイメージがあれば。

【原次長】少なくとも中学生ぐらいまでで、学習塾関係は子どもをターゲットにするような情報収集をしていますから問題ですね。それから、ビデオレンタルとか、ああいったところも中学生は結構出入りをしていて、厳しいところは必ず親に逆に連絡をしてきて確認を取ってやっていますけれども、そうではない非常にルーズなところもあります。だから中学生までで、私としてもどこまでどう取り組めるかがわからないのがインターネットですね。結構子どもでもアクセスしていろいろなことをしているので、ここの制限はなかなかやらなければと思ってもこれでやれるというイメージが……。

【園部委員長】よろしゅうございますか。それでは、もっとお聞きしたいのですけれども時間がまいりましたの恐縮ですが、消費生活相談員協会、消費科学連合会からのヒアリングはこれまでといたします。なお、後日また質問を事務局を通じてさせていただくかもしれませんが、その切はよろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。

(消費生活相談員協会、消費科学連合会関係者退室
全国銀行協会、全国信用情報センター連合会、株式会社シー・アイ・シー関係者入室)

【園部委員長】それでは、引き続きまして全国銀行協会、全国信用情報センター連合会、株式会社シー・アイ・シーからヒアリングを行います。全国銀行協会の鵜飼常務理事、全国信用情報センター連合会の平野副会長、株式会社シー・アイ・シーの原田専務取締役、本日は御多忙のところ御出席をありがとうございます。御説明は3団体合わせて15分から20分程度、その後の時間を質疑に当てたいと存じます。時間の制約が厳しいのですが、資料は事前に各委員に届けられておりますので、ポイントを絞って簡潔に御説明いただきますようお願いをいたします。それではまず鵜飼常務理事からお願いいたします。

【鵜飼全国銀行協会常務理事】こういう形で意見を述べる機会をいただきまして、お礼を申し上げたいと思います。今お話がございましたように時間が限られておりますので、簡潔に御説明申し上げたいと思います。
 大きく分けて2点に絞って御説明を申し上げたいと思いますが、1つは私ども全国銀行協会が設置・運営いたしております全国個人信用情報センターの立場から意見を申し述べさせていただきます。
 個人信用情報センターについては、既に今年の3月にこの専門委員会におきまして詳細の御説明を申し上げておりますので詳しい御説明は省略をさせていただきたいと思いますけれども、個人信用情報センター及び会員における個人信用情報の取扱いルールについてのみ本日補足的に御説明申し上げたいと思います。これにつきましては、実は私ども全国個人信用情報センターの規則あるいは取扱要領等の自主ルールを定めて、それに基づいて運用しております。このルールにおきましてはデータの正確性であるとか目的外利用の禁止、あるいは秘密の保持、情報の登録・利用に関する本人の事前同意の取得、更には本人に対する登録情報の開示、誤情報の訂正・削除等の異議申立ての手続、そういったものをこの自主ルールの中に規定をいたしているわけでございます。私どもといたしましては個人信用情報の取扱いに関しましてはこの自主ルールにより、必要な保護措置は定められており、今日まで有効に機能してきたと認識をいたしております。したがいまして、今後この基本法制を中核として構築されます我が国の個人情報保護システムの中におきましても、基本的にはその自主ルールにゆだねていただきたいと考えております。
 なお、今回の大綱案におきまして「政府の措置及び施策」の項目で特別な法制上の措置等を講ずる云々という記述があります。今後、個別法を制定する場合におきましても、個人信用情報制度が消費者信用の健全な発展を図るためのものであり、多重債務の防止であるとか適正与信という目的を有しているということから、円滑な情報交流が確保されるよう十分な配慮をお願いしたい。以上が個人信用情報機関の立場からのコメントでございます。
 次に、全銀協として今回公表されました大綱案に対する銀行界の意見を取りまとめておりますので、せっかくの機会でございますのでそれについて二、三ポイントのみを御紹介をさせていただきたいと思います。お手元の資料の3−2をごらんいただきたいと思います。3−1は3−2を要約したものでございまして、先生方にはむしろ3−2をごらんいただいた方が御参考になるかと思います。
 まず銀行界の意見でございますが、「基本的な考え方」というので1ページの2のところに(1)(2)(3)と整理をいたしております。詳細説明は省略をさせていただきたいと思いますけれども、私どもの方といたしましては個人情報保護の基本ルールを作成するに際しましては、個人の権利利益の保護が目的であるということはもちろんでございまして、そのことについて十分認識しているわけでございますけれども、他方で高度情報通信社会が到来する中で事業者が良質なサービスを提供するということも重要なことでございます。その意味で、利用面の有用性ということが損なわれないような配慮をお願いしたい。
 2つ目は先刻御案内のところでございますけれども、個人情報の利用形態、それから利用の程度というのは事業者ごとに、あるいはその業界ごとに相当な差異がございます。加えて、昨今の技術進歩あるいはその事業形態の変化というようなことを考えますと、個人情報保護の実効性を確保するためには柔軟なシステムを構築する必要があるのではないかということであります。そのためには法規制、政府の関与を必要最小限にとどめて事業者あるいはその業界ごとの自主的な取り組みを是非尊重していただきたい。
 以下、各論点についてでございますが、3点ばかり申し上げたいと思います。1つは大綱案の「定義」の部分に関連したことでございます。すなわち、保護すべき個人情報の範囲の問題であります。これは2ページの上の方に(1)というのが書いてございますけれども、私どもは先ほども申し上げましたように利用面の有用性確保、個人情報の適切な流通を促進するための社会的基盤を整備するということも基本法制の目的の一つであると考えたい。その意味で、事業者内の使用に限定される営業上の目的以外で保有する内部管理情報、あるいは事業者が自ら付与した評価情報、これらについてはこの基本法制の対象に含めないこととすべきであると考えます。
 それから、いわゆるマニュアル情報の問題でありますが、これにつきましても現実問題として電子データと異なりまして検索あるいはその特定個人の情報のみを抜き出すということがかなり難しいことも予想されるわけでございますので、これについても対象外と考えていただけないかということでございます。大綱案には公表、開示、訂正等という項目がございますけれども、それについても今、申し上げた3つの情報についてはそれを対象とするということは不適当あるいは非常に困難ではないかと私どもは考えております。
 次に、各論点のもう一つは大綱案の「基本原則」の中の「利用目的による制限」に関する項についてでありますが、企業グループ間で情報共有あるいはその提供・結合については、総合金融サービスの提供や適正なリスク管理等、顧客サービス向上に寄与するものについては何か一定の条件、例えば情報交流の範囲を金融関連分野に限定するといったような条件の下で弾力的な運用を認めていただきたい。
 大綱案の5で「事業者が遵守すべき事項」という項目が幾つか並べられております。これらについての基本的な考え方だけを申し上げさせていただきたいと思います。この部分については、各事業者等が基本原則にのっとって自主的に明確かつ適正なルールをつくり、情報の利用や管理方法を公表することによって個人の権利利益の保護に関する法の実効性は担保できるのではないか。かつ、消費者の不安感も相当程度払拭できるのではないかと考えております。ここに掲げられております「事業者が遵守すべき事項」については努力目標という位置づけをお願いできないかという考え方でございます。特に「開示、訂正等」についてでございますけれども、これについては法的強制というのが課せられるということになった場合、事業者の事務負担が増加をする、それによって全体に波及するところもかなり多いのではないかという懸念を持っておりますので、是非御配慮をいただきたいと考えております。私からの説明は以上でございます。

【園部委員長】どうもありがとうございました。それでは、引き続きまして全国信用情報センター連合会の平野副会長からお願いいたします。

【平野全国信用情報センター連合会副会長】本日は、個人信用情報機関としての立場から私どもに強く関係が生じてくる事項、3点に限って御報告したいと思います。
 お手元に3枚物の資料をお出ししておりますが、第1ページに限りましては既に前回までに御報告して語り尽くされた事項でございますので第2ページ、基本法と個別法の関係から入りたいと思います。
 第2ページの(1)、大綱案を拝見していますと基本法の対象でございます個人情報一般については利用目的の提言としてあらかじめ情報主体に対して個人情報の利用目的を明らかにしなければならないとされていますが、その一方で情報主体の同意を得れば利用目的の変更が可能とされております。私どもが取り扱っております個人信用情報につきましては、その利用目的について貸金業規制法あるいは割賦販売法におきまして返済能力、支払能力の調査に限られており、その後たとえ情報主体の同意を得たとしましても、いわゆる与信判断以外に利用することを禁じられているとともに、そうした2つの法律が施行される以前から私どもの自主ルールにおいても目的外の利用としてそれ以外の利用を厳しく禁じてまいったところでございます。
 この1点だけを取り上げましても、基本法の対象となる個人情報と、今後予定される個別法の対象となる個人信用情報ではその性質、取扱いの態様が大きく異なりますので、まずは個人信用情報についての個別法できっちりと規定される個人信用情報については個別法で規定されることとして、この基本法においては個人信用情報に関わる個別法の位置づけを明確に記載して、後で述べさせていただく何点かにつきまして基本法の適用対象ではなく個別法にゆだねる旨を明確にしていただきたいと存じております。
 仮に個別法に先立ちまして基本法のみが施行される機会というものがあるといたしますと、個人信用情報に関する個別法で特段の定めを必要とする事項については基本法の適用除外としていただきたく存じます。
 個別法と既存法令の関係についてでございますが、貸金業規制法と割賦販売法がございますが、貸金業規制法に関して申し上げますと与信判断目的以外の先ほど申し上げた使用が禁止されていること、並びに貸金業規制法においては全国47都道府県に設置された貸金業協会が個人信用情報機関を設立または指定して協会加盟員に利用させることなどの規定がございます。個別法の制定に当たりましては地方公共団体の条例を含め、既存のこうした法令と矛盾が生じないよう整合性を図っていただきたいと存じます。
 次に、私どもの資料の2ページの中段以降、信用情報機関の立場から具体的に3点ばかりのお願いをしたいと存じます。その第1は、(1)の「利用目的による制限」についてでございます。先ほども若干触れましたとおり、大綱案においてはその利用目的の変更を前提とした提言がなされていると解釈しておりますが、個人信用情報については既存の法令において既に、あるいは現行の私ども自主規制において利用目的を極めて厳格に狭義に規定しております。そして、大綱案にある利用目的の変更、変更可能な範囲、あるいは第三者に対する目的外の提供等は個人信用情報に関わる個別法では、いずれも本来禁止されるべきものと考えております。したがって、そうしました利用目的の通知による変更や、本人の同意があれば利用目的を超えて第三者に提供できるようにするような規定は個人信用情報にはなじまないばかりか、現在行っております信用情報システムの基本的性質を大きくゆがめるおそれがあると感じております。
 例えば、利用同意を取ったからといって雇用目的に使われる例が本人開示等でございます一例を挙げております。ポジティブな情報を期待できる、あるいは登録がない顧客にとっては何か有用なようにも思えることでございますが、そうでない利用同意を第三者に与えない本人にとっては有形無形の被害を与えるおそれがあるとともに、現行の本人開示制度の趣旨をゆがめるおそれもあるのではないかと心配しております。
 時間の関係がございますので、第2の点は同意原則の適用除外についてのお願いでございます。これについても詳細はるる書いてございますが、一定の要件、例えば個人信用情報の有用性と社会的周知が図られ、その情報管理に各事項が遵守されることを前提とした上で、情報主体の同意取得を同意原則の適用除外として考えていただくことも御検討願いたいと存じます。
 続きまして、4の個人情報の漏洩に関する罰則等でございますが、これにつきましてもここに書いてございますように自主ルールが現行一定の機能を果たしているとは認識していますが、近年第三者による情報の盗用、不正入手等が発生し、自主ルールによって担保できない問題も生じてございます。今回の個人信用情報に関わる個別法制定の目的として、個人信用情報を取り扱う事業者からの情報漏洩の防止とともに悪意の第三者による情報の改ざん、滅失等から情報を保護することが重要であり、これらに対しては刑事罰の適用による措置を講じていただきたいと存じております。ただし、個人信用情報を取り扱う事業者に対する罰則については、故意また重大な過失がある場合に限定していただきたいとお願いしたいと存じます。時間の関係もございますので、以上で報告を終わらせていただきます。

【園部委員長】ありがとうございました。最後に株式会社シー・アイ・シーの原田専務取締役、お願いします。

【原田株式会社シー・アイ・シー専務取締役】信用情報機関、この3機関は今日お話をしておりまして共通するところもございますので、共通する面はなるべく割愛して御意見を申し上げたいと思っております。資料の5に沿って申し上げます。
 1つは「基本的な考え方」として今、お二人がおっしゃいましたほかに、国際的な調和ということについてもう少し視野の中に入れておく必要があるのではないかという感じがいたしております。御承知のように、今年の6月にEUとアメリカ合衆国との間で個人情報保護の取扱いに関しましていわゆる合意がされております。セーフハーバープライバシー原則といったようなことですが、そういったアメリカとEUとの関係、これは言ってみますと日本とEUとの関係、あるいは日本とアメリカとの関係、この辺も出てくるわけで、その辺のいわば整合性といいますか、ハーモニーといいますか、そういったことについても配慮していただいた方が、これからボーダレスの時代に入ってくるときに必要ではないかと思っております。
 それで、私どもが強調したい点は「基本的な考え方」の3番目でございますが、今回の基本法というのは先に発表されました「我が国における個人情報保護システムの在り方について(中間報告)」に示された基本法に該当すると理解しております。そうしますと、やはり全体としての保護システム、基本法、個別法、自主規制の位置づけと、それぞれの役割について更に明確にしていただきたいという気持ちがございます。特に、一般的にはこの基本法と自主規制というのが保護システムのベースと考えております。それで、個人信用情報についてはこれに加えて特別な法制上の措置、いわゆる個別法というものを講ずるとされております。そうであるとするならば、個別法を制定する必要性、基本法と自主規制ではなぜ不十分なのか、あるいは例示に挙げられておりますような信用情報、医療情報、電気通信、こういった3分野についてはなぜ上乗せの規制が必要なのか。こういった点についても是非明らかにしていただきたいということです。
 それで、その中で私どもとしましてはこの自主規制というのが民間事業者の保護システムとしては最も重要であり、根本にあると思います。そういう観点から、この自主規制については民間事業者としては積極的に取り組むということを明確にする必要があるのではないかと思っています。現在クレジット業界においては先にも御案内いたしましたように、実効性の担保措置も考慮に入れながら個人信用情報の保護と利用に関する自主ルールの制定作業を鋭意進めております。今回の法制度化に当たりましては、こういった民間事業者の自主規制の取り組みをできるだけ尊重し、法規制はできるだけ最小限のものとしていただきたいと思います。
 この自主ルールと申しますのは、これまでのガイドラインといったものではなく、クレジット業者、いわゆる与信業者でございますが、それと信用情報機関、それぞれを包摂した総合的な業界自主ルールということで検討しているところでございます。
 大綱案の各項目につきましての意見でございます。主な点だけを申し上げますと、1つは「定義」につきましてはハイリーセンシティブ情報というものについての範囲と取扱いを基本法で明確にする必要はないでしょうかということでございます。それから、マニュアル処理される個人情報のうち、検索可能な状態で保有されているものにつきましては、これは電算機処理情報と同等の保護措置を講ずる必要性があると思いますけれども、しかしその保有、利用の実態というのが業種業態で異なっておりまして、一律に規制するのは適当ではないので業界ごとの自主ルールにゆだねていただきたいと思います。
 それから3ページのところで「事業者が遵守すべき事項」でございますが、「利用目的による制限」の部分につきまして、通知等の対応の一つにいわゆるクレジット業界で定着しておりますような個人情報の利用目的等を明記した契約約款への同意も当然含まれると理解してよろしいかどうかということでございます。
 それから、Dのところに書いてございますが、消費者信用取引に際しましては、電話番号等の個人情報を第三者、この場合通信業者になるわけですけれども、第三者から取得すること及び秘匿性がなく公知の情報の取得、これは例えば官報情報みたいなものでございますけれども、こういったものの取得につきましては本法で言います個人情報の性質、取得の際の状況に照らし、第三者から取得することが必要かつ合理的と認められる場合に該当すると理解しておりますけれども、それでよろしいでしょうかということでございます。
 それから安全保護措置でございますが、これは適切な技術的措置ということが書かれておりますけれども、やはりその実施のコストというものも考慮に入れるべきではないかということでございます。
 それから、7番目で「個人情報の処理等に関する事項の公表」でございますが、委託先の公表というものも掲げておられますけれども、ここまで開示をすると情報の漏洩とか不正取得のリスクを高めることになるのではないか、適当ではないのではないかと考えます。
 それから、8番目でございますが「開示、訂正等」でございます。これにつきましては、まず個人信用情報の分野では近年、開示制度を悪用いたしまして一般企業とか、あるいはアウトサイダーへの与信業者が情報主体に強制的に開示をさせてその情報を手に入れるというケースが目立ってきております。これについて何らかの制裁ということは難しいかとも思いますが、何らかの抑止措置を検討していただけたらとお願いいたします。
 それから、信用情報の場合には訂正、削除の請求については誤情報が確認された場合にのみ、つまり合理的な理由がある場合にのみ応じるということを原則とする必要があると思います。
 それから、4ページの「その他」でございますが、「第三者的な苦情・紛争処理機関の設置」につきましては、複数の機関を設置するのであればやはり統一的なルールをつくる方が望ましいのではないかということでございます。
 それから、実は事務局の方から「委員会からの要請による留意点」ということで2点ございました。1つは、企業経営の多角化等を踏まえて特に留意すべき点ということでございますけれども、これにつきましては近年企業経営の多角化等、特に提携、合併、買収、こういったことによりまして個人情報の拡散とか、あるいは盗用化の傾向というものが目立つようになってきておると思います。この取扱いにつきましてはいろいろな角度からの検討が必要ではないかと思います。それで、これは結論が実はあるわけではないのですけれども、企業の再編成に伴いまして金融債権というものが移転するということがございます。その場合、この金融債権の移転と同時に個人情報も移転する場合には余り問題はないといいますか、債権の取扱いと同じような取扱いをすれば情報の保護が図られると思いますけれども、情報につきましてはいわゆる非排他性がございます。この非排他性というものがございますために不正な目的とか、あるいは目的外に利用される可能性があるわけでございます。したがって、これについてはどのように適切に管理できるかというルールを検討していく必要があると思います。いわゆる適切な管理方法、それから例えば同意取得などはどのように位置づけていくかといった点を慎重に議論した上で考えていく必要があるのではないかと思います。特に、信用情報機関を通じます個人信用情報につきましては、更に限定的な利用になるのではないかと考えておりますけれども、これにつきましても合わせて慎重な検討が必要だと思いますので、ひとつよろしくお願いしたいと思います。
 それから、安全保護措置の在り方につきましては、先ほども申しました自主ルールでございますけれども、その中では個人信用情報の保護と利用に関しましてクレジット業界の個々の与信業者に対してコンプライアンスプログラムの策定を義務づけたいと思っております。それの監視機関として自主ルールの運営協議会のような機関をつくってコントロールしていきたいということであります。同時に、当社みたいな信用情報機関につきましては更にこれに上乗せまして通産省の電算機安全対策基準の遵守とか、あるいはISOの品質保証システムによる監査、特に外部監査ですね。こういったものを実施するということが必要ではないかと考えております。以上でございます。

【園部委員長】どうもありがとうございました。それでは、御質問をどうぞ。

【新美委員】いろいろ御説明をありがとうございます。お三方共通して認識されているのは、EUとアメリカとの合意が成り立って、それと足並みをそろえた形で日本でも個人情報の扱いをすべきだという御趣旨だと思いますが、EUとアメリカとの合意でアメリカのセーフハーバーについてはコード・オブ・プラクティス、コード・オブ・コントラクトに違反した場合に、FCCがインタベンションするということも含めてセーフハーバーとして認めるということだったのですが、日本での自主ルールではそういうようなことを考えていらっしゃるのかどうか。あるはいは、それがないとしたら自主ルールに違反した場合にどんなサンクションを考えていらっしゃるのか。その辺を御説明いただきたいと思います。

【原田専務取締役】今、私どもで考えておりますのは政府によるインタベンションではなくて、先ほど申しました業界でつくる監視機関で、これは恐らく第三者が入った機関だと思いますけれども、こういったものが監視していくということでございます。措置の内容についてはいろいろなレベルがございまして、既に私どもの個人信用情報機関の情報の利用の仕方がまずい場合には勧告とか利用停止とか、あるいは場合によっては契約解除という方法もございますし、その辺も少しかみ合わせながらどういうサンクションにするかということはこれから検討していきたいと思っています。

【新美委員】それで一応EU指令の要請するレベルになるとお考えなのでしょうか。

【原田専務取締役】そうなると一応思いますし、今度の基本法で政府による調査なり勧告といった措置もございますので、その辺をどのように組み合わせられるのか。それはこれからの検討ではないかと思います。

【藤原委員】今の新美委員の質問に引き続いてですけれども、そうしますともしもEUとアメリカ間でセーフハーバープリンシプルについてもう少し強い形で決着が図られれば、当然それが最低のレベルになるということですか。

【原田専務取締役】そこはそうは必ずしもならないのではないかと思います。それは、国によって国情も違いますし、ベースも違うでしょうから、それは同じとは言えないと思います。

【藤原委員】そうすると、ここに書いてある国際協調というのはどういう意味ですか。

【原田専務取締役】つまり、クレジットの場合には今はほとんどがドメスティックなユースですけれども、これからどんどんボーダレスといいますか、そういう時代になっていくと思います。それで、そういうこともありますけれども、これは別にクレジットのことばかりではなくて一般の個人情報、特にインターネットを通じるときにそういったものがございます。そこは政府間の合意がどのようになされるかによって、つまりお互いにどこまで認め合うかという話だと思いますので、そこに従うということでございます。
 ただ、それが余りにも違った形になっていくのはまずいのではないか。やはりそこは一定の調整がなければならないというぐらいの趣旨でございます。

【藤原委員】と申しますのは、6月末のセーフハーバー原則はもう御存じだと思いますけれども、必ずしもまだ完全にEUの議会等で認められたわけではないということですので伺ったわけです。

【園部委員長】よろしゅうございますか。それでは、時間になりましたので全国銀行協会、全国信用情報センター連合会、株式会社シー・アイ・シーからのヒアリングはここまでといたします。御出席いただきました関係者の皆様、本日はどうもありがとうございました。時間の関係上、お伺いできなかったことはまた事務局を通じて照会させていただきますので、その切はよろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。

(全国銀行協会、全国信用情報センター連合会、株式会社シー・アイ・シー関係者退室・日本医師会関係者入室)

【園部委員長】それでは、引き続きまして日本医師会からヒアリングを行います。本日は小泉副会長ほか担当の皆様に御出席いただいております。本日は御多忙のところ御出席をありがとうございます。御説明は15分程度ということで、その後の時間は質疑に当てたいということで、全体として30分しかございません。時間の制約が厳しいと存じますが、ポイントを絞って簡潔に御説明いただきますようにお願いをいたします。それでは、小泉副会長からどうぞお願いいたします。

【小泉日本医師会副会長】本日は、こちらにおります西島常任理事から御説明いたします。

【西島日本医師会常任理事】それでは、意見に対して意見を述べさせていただきたいと思います。
 過去、平成11年の9月21日、それから平成12年の3月17日の2回、意見の陳述を行ってまいりました。その内容につきましては、医学・医療の発展に不可欠な疫学的な調査研究の個人情報の利活用ということについての点、それからもう一つは患者さんとの信頼関係を大切にするための患者さんの秘密を厳守するという伝統的な職業倫理、それから刑法等に位置づけられております守秘義務等々があるということの意見を述べてまいりました。今回は、今回出されました中間整理の大綱案ということにつきましての具体的な意見を述べさせていただきます。
 まず「目的」につきましては、個人情報の取扱いに関しまして基本となる事項を定めるということは私どもは賛成をいたしております。これは今お示しをしております2ページ目でございます。
 それから「定義」に関しましてでございますが、この個人情報の定義というものを「個人に関する情報であって、当該個人の識別が可能な情報」と定められておりますけれども、私どもが扱っております診療記録等にはそのような患者さん個人の氏名、生年月日、客観的な検査データ、それから診断治療内容のみならず、私ども診療従事者が考えます主観的な評価、感想、それから思考過程などを記載した部分がたくさんございます。これが個人情報の範囲に含まれるということになりますと、後ほど述べます開示・訂正、利用等の取扱いについてはさまざまな問題が生じることがあるということでございますので、この個人情報の範囲について慎重に御検討いただきたいと思っております。
 それから「個人の識別が可能な情報」ということでございますが、私ども他の資料と突合することによりまして個人を特定し得るといった場合は個人情報として取り扱えるか、わかりやすい判断の基準を是非示していただきたいと思います。と申しますのは、私ども症例検討、それから学会報告等がございまして、これは医療の技術の向上等には欠かせない部分がございますので、是非その点の判断の基準をお願い申し上げたいと思います。
 それから、3番目は死者に関する個人の情報の取扱いについてでございますが、これもやはり医療の分野におきましては患者さんが亡くなった後にその症例を分析、検討する機会が非常に多うございます。これは医学・医療の進歩に欠かせないものでございます。亡くなった方の個人情報の取扱いについても、慎重に御検討をお願いしたいと思っております。
 「基本原則」についてでございますが、「利用目的による制限」「第三者への提供」という部分でございますけれども、私ども患者さんの診療情報というのは原則としまして当該患者さんの診療目的で取得、使用されております。しかし、これらを医学の研究、公衆衛生の確保等の公益目的に利活用することは医学・医療の進歩発展、それから公衆衛生の確保と公共の福祉のためには必要不可欠でございますし、また憲法上も学問の自由その他で保証されているところでございます。したがいまして、患者さんの診療情報は患者個人の診療目的に制限されることなく、このような公益的目的に利用することを許されることを是非明記していただきたいと思います。また、この場合に患者さんに具体的な利用目的の通知を行うとか、患者さん本人の同意を要するといった条件を付されますと、目的を達成できないおそれもございますので、患者さん本人の利益を不当に侵害するおそれのない場合、あるいは公共の利益と患者さん本人の利益を比較し、公共の利益を明らかに優る場合等にはこれらを是非不要としていただきたいと思っております。
 3ページ目でございますが、注1に「疾病調査」というところがございます。この典型的なものががん登録事業でございまして、これに関しましては前回行われました厚生省の意見のところでも恐らく述べてあるところだろうと思いますが、大綱案が示す考え方に従いますと、データベース登録につきまして個々の患者さんの同意を改めて取得する必要があると考えられるわけでございますけれども、このがん登録におきましては場合によっては患者さん自身にがん病名の告知がなされていない段階でデータ登録の同意を取りつけることは治療上の見地からも絶対不可能でございます。また、同意が取りつけられた症例のみを登録するというような事態になりますと、そのデータベースは特定の疾病の全数調査を通して疫学的な研究を行うという学問上の要請に全くこたえることができなくなってしまいます。更に、極めて伝染性の強い原因不明の疾病が発生したとき、その原因、治療法を緊急に知る必要が生じた場合などには、この患者さんのデータを本人の同意を得ることなく調査研究に利用することが公益上の見地からも是非あらかじめ保証されている必要があると考えているところでございます。
 そういう意味から、学問的な調査研究で患者さん個人の診療情報を利用する際には、大綱案に原則に対する例外といたしまして患者さん本人の利益を不当に侵害するおそれのない限り、本人の同意は不要と取り扱っていただきますよう要望するものでございます。また、症例報告、学会報告等についても同様のことでございます。
 なお、最近人の遺伝子情報の解析が進むにつれまして、個々の患者さんにつきまして将来発病するおそれのある遺伝子を有するかどうかを比較的容易に知ることが可能になってまいりました。こうした個人の遺伝情報というものは、明らかにプライバシー保護の対象となる個人情報でございます。米国等ではこれらの情報を元にいたしまして、いわゆる遺伝子による差別をすることを禁止する法案が審議されておりまして、我が国におきましても今後同様の議論が展開されるものと思っております。遺伝子検査の実施自体には被験者の同意が必要であることは当然でございますが、その結果の利用につきましては医学的研究の場合にもすべて被験者の同意を必要とするのか、また一定の要件を満たした研究については同意を得ることなく利用することができるとするのかは、今後更に私どもといたしましても慎重な検討を重ねる必要があると考えているところでございます。
 その他、5ページ目でございますけれども、(2)(3)(4)(5)、それから4の「政府の措置及び施策」につきましては現段階では特に意見はございません。
 5番目の「事業者が遵守すべき事項」についてでございますけれども、事業者が基本原則に沿って自主的に必要な措置を講ずるものとすることに関しましては私どもは賛成でございます。しかし、医療というものの特殊性、本質、特に医師と患者さんとの信頼関係があって初めて医療というものは成り立つものでございます。そういうことにかんがみまして、各事項に関しまして義務規定としたり、法的強制の手段を講じることには私ども反対でございます。これはどうしてかといいますと、法的強制の手段という形になりますと医師と患者さんの信頼関係がある意味ではぎくしゃくした関係になってまいります。見せる見せない、これは後ほども申し述べますけれども、さまざまな影響のある部分については開示できない部分もございますので、是非法的強制の手段を講じることには考慮をいただきたいと思っております。また、日本医師会といたしましては医師、患者相互間の信頼関係を醸成するためには法的権利、義務関係を全面に押し出して法による強制を振りかざすよりは医師の職業倫理、医師団体の倫理規範にゆだねまして自主的・自発的履行を待つ方が実効を上げるものと考えておりますので、医師、患者さん関係に法律の規制を持ち込むべきではないと考えております。
 医療の分野では、もう一度申し上げますが、患者さんとの信頼関係を大切にいたしまして、患者さんの秘密を厳守するという伝統的職業倫理が定着しております。お手元の資料にもありますように、昭和26年に『医師の倫理』という形で日本医師会がつくりまして、更に本年4月2日に採択されました新しい『医の倫理綱領』、これは12ページのところで医療情報の開示と、それから守秘義務のところをきちんと記載しているところでございます。そういう意味で、更に医療関係者には法律によりまして厳しい守秘義務が課されておりまして、医療の分野における個人情報の保護というのは励行されている状況にございます。また、更に日本医師会といたしましては患者さんの自己決定権を尊重するとともに、治療効果を上げるためにはより緊密な医者と患者さんとの関係の確立が重要であると考えておりまして、そのために患者さんに対する診療情報の十分なる提供に努めるべきであるとしまして、専門職業団体としての倫理規範としまして診療情報の提供に関する指針を定めまして、その周知徹底を図っているところでございます。私どもほとんどの医療機関にこういう形でポスターを張りまして、その周知徹底を図っているところでございます。
 また「利用目的による制限」でございますが、2番目の「第三者への提供」につきましては基本原則のところで述べさせていただきました。
 「内容の正確性の確保」という部分では、医療における個人情報を記載した診療記録、これは先ほど述べましたように診療従事者の主観的評価、感想、それから思考過程などを記載した部分がございますが、この部分につきましては専門的な部分もございますし、「内容の正確性の確保」の措置というのは該当しないものと考えております。
 また、「安全保護措置の実施」につきましては法律により厳しい守秘義務が課されておりますし、個人情報の保護というものは励行されている状況にあるので、この上、医師等に煩雑、過大な負担を課していただくことのないように御配慮をお願いしたいと思います。
 ただ、「第三者への委託」でございますが、例えばレセプト請求の事務等々がございますけれども、医療機関が個人情報の処理等を行う第三者を監督するということは現実には困難でございますので、これら個人情報の処理業者につきましては個人情報保護義務を十分に遵守されるような仕組みをお考えいただければと思っております。
 それからもう一つの重要な部分でございますが、「開示、訂正等」についてでございます。日本医師会といたしましては、平成11年4月1日に「診療情報の提供に関する指針」を日本医師会会員の倫理規範の一つとして制定をいたしまして、本年1月1日より実施をしているところでございます。この指針では開示を求める者、開示を求める手続、費用、苦情処理等について詳細に定めておりまして、更に理解に資するため解説も付しております。これも資料としてお付けしております。
 なお、この日医指針というものは医学的見地から一定の場合に開示を拒否し得るものという規定を設けております。すなわち、開示することによりまして患者さん本人の心身の状況に著しい悪影響を及ぼし得る場合、例えば心身の状況に悪影響を及ぼしますと不安、緊張、それから抑うつ状態になりまして、もうどうなってもいいというような気持ちに患者さん自身がなってまいります。そうしますと、治療に対する意欲というのが失われてくるわけでございます。
 また、自殺というものもございます。平成9年警察白書によりますと自殺者が2万4,391 人いらっしゃいまして、この中で病気を苦に自殺というのが9,058 人いらっしゃいます。また、別に精神障害、アルコール等による自殺というのは4,601 人いらっしゃいます。更に平成10年は3万2,863 人が自殺されておりまして、病気を苦に自殺というものもまた増えている状況でございます。
 また、先ほどがん登録の問題がございましたが、某有名な病院のがんセンターの元総長の方が新聞に述べておられましたけれども、自分の親友の医師が受診して来られまして、もしがんだったら告知してくれと言われまして、こいつならば大丈夫だと思って告知したところ、その翌日自殺した。私は絶対に告知はしないということをそこで述べておられたのが非常に印象的でございました。
 また、更に他の第三者に不利益が及ぶ場合も開示しなくていいとしております。例えば、これは家族歴を聞くとき、患者さん本人に教えていないことを家族の方から教えていただく。それから、例えば出生の秘密の問題もございます。その他、精神障害の問題等々もございます。なぜそんなことを言ったのだというようなことで家族間でのトラブルにも及ぶということで、他の第三者に不利益が及ぶ場合、これも開示を拒否するとしているところでございます。日本医師会の「診療情報の提供に関する指針」というものは会員の倫理規範として制定されたものでございますけれども、同時に日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会、日本精神病院協会、日本私立医科大協会等の諸団体におきましても、本指針に基づいた取り組みがなされております。また、先日、国立病院等診療情報推進会議が報告書を出されまして、これも日本医師会の指針に基づいた取り組みをするということで一致しているところでございます。そういう意味で、日本医師会以外の医師につきましても事実上、我が国の医療界全体の標準的な行動規範として位置づけられ、遵守されている状況にございます。
 次に、大綱案によりますと、事業者は内容についての訂正、請求にも原則として応じることとされております。しかし、先ほど述べましたように、診療記録等におきます診断の内容など、医学的判断に属する事項につきましてはすぐれて医師の専門的業務に関わることでございまして、患者さんの請求によって訂正すべきものとは思われません。そのほか、法律で作成、保存を義務づけられている診療記録の証拠文書としての位置づけからいたしましても、訂正については慎重に対処すべきでございまして、訂正請求権を認めることは妥当でないと私どもは考えているところでございます。
 次に「苦情等の処理」でございますが、大綱案では個人情報の処理等に関する苦情を受け付ける窓口を明確にし、また受け付けた苦情を迅速に処理することを事業者に義務づけておられます。後に述べますけれども、全国の医師会では現在、既に診療に関する相談窓口が設置されておりまして、更に窓口で処理し切れなかった診療情報提供に関する苦情相談を処理する機関といたしまして、診療情報提供推進委員会を都道府県医師会と日本医師会に設置しているところでございます。この診療情報に関する相談窓口につきましては、資料として提出をしております。
 なお、この診療情報提供推進委員会には弁護士等の公正中立な立場の第三者の方々を委員に加えることにしておりまして、このように我が国の医療分野における苦情受付処理の体制というのは今、整備されつつあるところでございます。
 そのほか、適用対象範囲につきましては先ほど述べました診療情報の医学研究、公衆衛生の確保等の公益目的のための利活用に関しましては、是非適用対象から除いていただきたいと考えております。
 更に「開示、訂正等」の法律上の位置づけにつきましては法制化は適当でないということは先ほど述べさせていただいたところでございます。
 また、診療情報につきましては先ほど申し上げましたように苦情・紛争処理機関を設置をいたしまして実効的な解決を進めているところでございます。平成12年5月現在で全国475 か所の医師会にこの窓口が設置されておりまして、これらの窓口で受け付けました相談、苦情件数の総合計は今年1月から4月末までの4か月間で773 件でございました。このうち診療情報の提供そのものを問題とする事例は130 件、17%でございまして、そのほか診療の内容に関する相談、苦情というのが513 件、全体の66%を占めておりました。診療情報提供や記録へのアクセスを内容といたします相談、苦情の割合は、医療そのものに対する不満と比較いたしまして明らかに少ないという結果が出ておるところでございます。これまでの経緯を見る限りにおきましては、日本医師会が始めました診療情報提供の取り組みというのは順調に推移していると私どもは考えております。
 今後の取り組みといたしまして、日本医師会ではこれらの相談苦情の受付体制を引き続き充実させまして、その実態把握に努めますとともに、各事例の詳細な分析を通じまして医師と患者さんとの医師疎通における問題点の早期発見と、その未然防止の方策を検討しまして、更にそれらを会員を始めとする医師・医療機関にフィードバックすることによりまして、医師と患者さんとの信頼関係を強くし、よりよい医療の実現に資しますよう努めていくことを私どもは考えているところでございます。是非御理解をよろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。

【園部委員長】どうもありがとうございました。それでは、ただいまの御説明に関連して御質問をどうぞ。

【新美委員】2点ほど伺いたいのですが、この医師会の作成された『医の倫理綱領』は非常によくできて、ヒポクラテス以来のものを現代的にしたものと評価しておりますけれども、その観点から少し伺いたいのですが、この守秘義務というのは患者の治療を行う。要するに、診療者として必ず守らなければいけないというものだと思うのですが、その診療者たる立場がその患者さんの診療に関係ない部署に情報を流すというのは、患者さんにとってはやはり害をなす。これは正当か不当かはともかくとして害をなすことは間違いないわけですが、そうすると倫理綱領に違反するのではないですか。
 医学研究は治療者としての立場ではないですね。あくまでも研究の立場です。しかし、『医の倫理』というのは治療者としての倫理なわけですから、個々のお医者さんは治療者と医学者としてのアンビバレントな関係に立つわけですね。研究者としての立場を優先したら、治療者としての倫理はそこで違反しているのではないか。

【小泉副会長】研究者としての立場優先というのは研究の話でございまして。

【新美委員】しかし、治療者として患者さんの情報は外に出すわけですね。

【小泉副会長】患者さんの個人に関わる守秘義務を守った上で流すということでございますから。

【新美委員】その守秘義務というのは、患者さんの治療に必要な限度ですべて秘密にするということですね。ヒポクラテス以来はそうだと思うのですが、そうすると医師会のこの倫理綱領はそこで変質していると理解してよろしいですか。

【小泉副会長】私は変質しているとは思いません。

【新美委員】そうすると、治療者としての立場である以上は、治療に関係ないところには一切流さないという立場ではなかったですか。

【小泉副会長】治療者としての立場と相反するということが先生のおっしゃる意味ということはよくわかりますが。

【新美委員】ですから、少なくとも治療と関係のないところに流れている。患者さん本人の治療には関係のないところに流れていることは間違いないですね。

【西島常任理事】それはこの意見に述べましたように、憲法の定める研究の自由の……。

【新美委員】それは学者としての自由ですね。ですから、治療者ではないですね。

【西島常任理事】将来的にそういう研究が治療という形で患者さんにフィードバックしてくるわけですから。

【新美委員】でも、それは患者さん本人ではないですね。ですから、私が言っているのは、ヒポクラテス以来の倫理というのは治療者としての倫理であるから、それに矛盾する行動を容認するのですかという質問です。

【小泉副会長】公益性ということが言われ、あるいは学問の自由ということが言われたのはヒポクラテスの時代ではなかったわけで、その後にこういう現在の倫理が必要となってきたわけでございますから、したがって私は相矛盾するという解釈はしておりません。治療は治療として、当然ヒポクラテス以来の患者に対する守秘義務を守る。しかし、新たな観点で患者さんの個人の情報を十分保護した上で、公益性あるいは学問の自由を考えると解釈しております。

【新美委員】これは議論するつもりはありませんが、要するに公益といいますか、学問の自由という患者さん本人の治療と関係のないところに情報を出すということも、倫理としてはよろしいという御意見ということで理解してよろしいですか。

【小泉副会長】それは、医の倫理というのは広い意味の医の倫理でございますから。

【新美委員】ですから今、申し上げているのはヒポクラテスのときとは変わってきているということでいいわけですね。

【小泉副会長】そうです。それは変わったとおとりになられても。

【新美委員】わかりました。

【高橋委員】3点ほどお伺いしたいのですけれども、1つは2ページのところで診療従事者の主観的評価、感想等々が入っているから、これは個人情報の範囲に含めるべきでないとおっしゃっているのですが、これは個人情報の範囲から外すと考えた方がいいのか。それとも、個人情報なのだけれども、例えばここでお書きになっているような訂正請求などが出てくることもあるということであれば、そちらの方で除外で考えていくという考えをとった方がいいのか、どちらの方が医者の立場から見るといいとお感じになるのかが1点です。
 それに関連して、どうも主観的な評価などについて訂正請求していたら、これは誤っているのでも何でもない、医者としての立場の記述ですから、訂正しなければいけないということはないのではないかという気もするのですけれども、その辺りはどのようにお考えなのかということです。
 それから、調査でがん登録などについて大綱だと困るということだったのですけれども、いろいろな解釈の仕方があるのかもしれませんが、私は「適正な方法による取得」で例外規定を入れているのです。直接本人から取らなくてもいいというようなことですが、それとは違った問題になるのか。ひょっとしたら違った問題なるのかなという気もするのだけれども、一たん取ってしまった情報を違うところに使おうということで、他目的事業ととらえるのか、そこら辺が自分で考えていてもよくわからないところだったのですけれども、大綱を議論していた過程で私自身が思っていたのは、がん登録などのものは一応除外するというつもりでいたのですけれども、お読みになってどうもそうではないと感じられたとすれば一体どこら辺が問題なのか。もしお考えがあったらお伺いしたいと思います。
 それから、学会報告などで個人の情報を使おうという点について、これなどは個人を識別できるような形でおやりにならないわけですから、他目的利用ととらえるのかどうか。そこら辺は法律家の私がお医者さんたちに解釈を聞くというのもあれですけれども、何となく私は他目的利用ということではないような気がするのですが、その辺はいかがですか。

【西島常任理事】今、高橋委員の方からおっしゃいましたことに関しましては、私どもが再度強調した部分でございまして、先生方の方がそのようなお考えでございましたら私どもは是非そのようにしていただきたいということの改めての強調でございました。
 それから、診療従事者の主観的評価云々というところでございますが、例えば私どもはできるだけ誤診をしない、見落としをしないというようなことで、さまざまな病名をそこに疑いという形で書いてまいります。そうなりますと、そういう情報を患者さんが見られますとびっくりするような病名もそこに出てくるわけでございますし、またそれに関しましてのさまざまな検査計画等々も書いてまいります。そういう意味で、実際の患者さんの個人の氏名とか生年月日とか、普通に得られる情報であればこれは構わないわけでございますけれども、そういう内容が含まれているということで是非御理解をしていただきたいためのお話をさせていただいたというところでございます。

【小早川委員長代理】今までのお話の延長ですが、診療情報を治療以外に使うことについて私ども委員会も特に結論が出ているわけではないというのが私の理解ですけれども、伺いたいのは、仮に、今やっておられるがん登録などは実質的には許される範囲であるとか、ここに想定されている、極めて伝染性の強い原因不明の云々というような場合は仮に公益上の必要が個人にとってのリスクを上回るのだと考えたとしましても、例えば遺伝子検査の結果をどうするかとか、いろいろなケースがこれから出てくるわけです。そういう場合に、個別の審査も必要ですけれども、その基準を、自主的に医師会の方でお考えになるのだという場合どういうシステムで考えていかれるのか。基準づくりのシステムというものをお考えなのか。そしてまた、それを個別に適用する際の個別審査ということについても、医師会はどのように考えておられるか。その辺は何か制度的なイメージがございますか。

【小泉副会長】制度的なイメージというほどまでは固まっておりませんけれども、基本的な考え方としては、どこまでどの範囲で優先させるべき公益性というものを考えるかということが1つあると思います。そのことと、個人情報の公益性に勝る保護という、その範囲は何であるかということを個人情報の観点から今、鋭意打ち出されました遺伝子情報等は特にそうでございますけれども、検討していくということで、1つはまだその原則論を更に深めるということが必要であるということ、殊に遺伝子情報に関しましてはごく最近ヒトゲノムの組成構成の解明ということが報道されている段階で、まだヒトゲノムの構成が解明されても遺伝子が明らかにされたわけではなくて、特に疾患に直結するような遺伝子の解明はこれからでございまして、一つの専門家の間の見方では2010年までにはかなり進むであろう。特定の遺伝子が特定の疾患に結び付く、あるいは複数の複合遺伝子がごくありふれた病気についても結び付くであろうという予見もございますけれども、そういう研究の進展状況を見ませんと、目下のところ遺伝子に関して一定の公益性あるいは研究の自由と個人の情報保護という点で一線を画するにはいま少し時間が必要ではないかと考えております。

【小早川委員長代理】その基準ですね。診療以外の目的のどこまでがいいのか。それから、そういう場合に予想外の漏洩とか、そういうことを防ぐための基準はどうあるべきなのか。そういった意味での実体的な、あるいは手続的な基準は、やはり自主的におやりになるのですか。

【小泉副会長】今おっしゃったように、公益性の点は明らかに公益性の重要性というのですか、緊要性ということが大きく基準設定に関わってくると思いますが、他の診療以外に対する漏洩等につきましては、これは個人の情報保護という点で、その基準づくりはでき上がっているのではないかと思っています。

【櫻井日本医師会常任理事】今の点ですけれども、今回ここで我々が述べさせてもらっているのは、先生方が示された基本方向を決めることについての大綱案に対する意見として申し上げているわけです。ですから、我々が申し上げていることの内容をくんだ基本法にしてほしいということを申し上げているので、おっしゃるとおり細かい一つひとつについてどうだと言われると、それはもしその上で検討しなければならない部分があるという意味では今、小泉副会長が申し上げたとおり、一つひとつ既に日本医師会としてこの分はこうだとか、個々の個別について決めているわけではなくて、基本的に基本法を定めるときに何でもかんでもだめだよとしないでほしいということを申し上げていると御理解いただけたら、おっしゃるとおり実際にそういうことが進んでいけばそういうことが必要になることは我々もよく理解しているつもりでございますけれども今、申し上げているのは基本法を決めるということに対して、基本的な問題として我々はこのように考えていると御理解いただけたらと思います。

【奥平日本医師会参与】少し追加をしますと、学問的研究目的とか、そういうものについてはかなり国際的な問題ですので、少なくとも日本が他国に比べてより厳しいようになって、学問等について非常に制約されるようなことがあってはならないだろうというぐらいのことで、余り細かい基準がどうであろうかという検討はしていないというのは今、述べたとおりです。

【堀部座長】質問というよりも、後でもし何かあれば御回答いただければと思うのですが、中間報告では医療について個別法分野ということで出していますけれども、既に行政機関の保有する電子計算機処理に係る個人情報の保護に関する法律は、国立病院、国立大学の病院には適用があるわけですね。それから、都道府県の病院あるいは市町村立の病院などでも条例があるところとないところとありますが、あるところはその下で診療、研究をしています。そういう形で既に法律や条例の適用のある医療分野とそうでない分野とあって、法律や条例の適用のあるところでそれがあることによって支障が生じているという例がありますか。例えば、がん登録については前からお聞きしていますけれども、何かほかにそういう例があって、法的措置というのはできるだけ最小限にとどめるべきだと考える際のデータになるようなものがあれば、後で結構ですけれどもお示しいただけるとよろしいのではないかと思います。

【西島常任理事】それは後ほど。

【藤原委員】先ほどの診療情報の提供に関する指針で、たしか130 件ぐらい苦情等が来ている。それで、聞いておりますところでは今後分析等をなさるということで個票をお配りだということを伺ったのですが、もしできれば現場でこういう問題があるので開示するところもあるし、開示しないところもある。具体的に対応がなかなか公的な請求権になると難しいのだということの裏づけになるような説明ですね。要するに、130 件苦情が来ているけれども、その苦情の内容とか、どのように応対したかまではたしかまだ公表されていないと思うのですが、それがまとまった段階でお教え願いたいということです。

【西島常任理事】わかりました。今、個別票で出していただきたいといたしておりますので、かなり詳細な内容が上に挙がってくると思いますから、またそのときには御提出させていただきたいと思います。

【堀部座長】それは厚生省にも少し伺ったところなのですが、全体の割合だったか、数か何かのお話は伺っています。

【園部委員長】それでは、時間も超過いたしますので日本医師会からのヒアリングはここまでといたします。小泉副会長ほか、担当の皆様、本日はどうもありがとうございました。時間の関係で本日お伺いできなかったことは、また事務局を通じて照会させていただきますので、その切はよろしくどうぞお願いします。本日はありがとうございました。
 それでは、時間が押していますので4時まで休憩といたします。

(午後3時50分休憩)

【園部委員長】それでは、会議を再開いたします。日本民間放送連盟に限って、ヒアリング中、撮影を許可することにいたしました。
 それでは、日本民間放送連盟からヒアリングを行います。本日は、同連盟の報道問題研究部会から幹事である日本テレビ放送網の石井報道局長ほか、同部会メンバーの方々に御出席をいただいております。本日は御多忙のところ御出席をありがとうございます。御説明は少し短いのですが10分から15分程度、その後の時間を質疑に当てたいと考えますので、時間の制約が厳しいかと存じますが、資料は事前に各委員に届けられておりますので、ポイントを絞って御主張なさりたいところを簡潔に御説明をいただきますようお願いをいたします。それでは、石井局長お願いします。

【石井日本テレビ放送網報道局長】本日は、意見を述べる機会を与えていただきまして誠にありがとうございます。なお、合わせて各委員には取材の許可もいただきまして、大変前向きな姿勢を高く評価しております。ありがとうございました。
 私どもは一言で言うと、これまでどおり我々の仕事についてはもし基本法の形ででき上がるとすれば、法律の対象外にしていただきたい、するべきであるという立場を改めて表明したいと思います。基本的にはトータルとして意見書の形にしてありますので、これは当方の渡辺委員からまず簡潔に説明していただきます。よろしくお願いします。

【渡辺テレビ朝日情報局情報番組センター長】先生方には、私どもの意見書というものを事前にお渡ししてありますので、それをベースに基本的に御説明させていただきたいのですけれども、まずもって委員の先生方、今年の2月4日から鋭意精力的に活動されて研究された。これに関しては、我々民放連としましても心から改めて敬意を表するものでございます。それで、今回このようなヒアリングの場をつくっていただいて、これも非常にありがたいと感謝をいたしております。
 顧みますと、私ども民放連としましても去年の夏から報道問題研究会という小委員会のようなものをつくりまして、およそ1年にわたってこの問題を議論してまいりました。わかりやすく言えば、こういう問題が起きたからこそこういう議論がかなり濃密に、回数から言いましても20回近くの勉強会を含む会議を開いてきました。そういう意味でいけば、我々にとっても今回恐らくこれが最後のヒアリングになると思うのですけれども、非常に感慨深いものがあると私どもは考えております。
 それから、冒頭に申し上げたいのは、これまで類似ヒアリングというものが行われましたけれども、民放連としての基本的なスタンス、姿勢というものは変わっておりません。これは幹事の石井が今、申し上げましたように、一貫して我々が主張してまいりましたのは報道活動を個人情報保護法制の対象外としていただきたいということであります。これは前回のヒアリングでも同じことを申し上げましたし、それから検討部会の中間報告、それからそれに伴うヒアリングでも同じことを言わせていただきました。しかるにということなのですけれども、やはり中間報告でも、それから6月2日に出されました大綱の案でも、この報道の活動を規制の対象外とするというはっきりとした方針が文面上は出ていないということに関しまして、我々としては正直申し上げて失望の念は隠せないと申し上げたいと思います。
 それで、大綱案の中間整理ということですけれども、この中では適用の対象範囲については規律ごとに情報の正確等に則して検討する。この場合に、表現の自由、学問の自由等に十分留意するとお書きになっていらっしゃいます。これは我々から見ますと、この規律によっては表現の自由に関わる問題というのを適用対象にする可能性を残しているのではないかと我々としては受け取るわけでございます。これは、この前のヒアリングでも申し上げたのですけれども、やはりあの表現の自由というのは憲法で保障された極めて大切な権利だというスタンスを我々は外すことはできません。この表現の自由というのは、さまざまな側面はもちろんあると思うのですけれども、我々のような仕事に携る者にとって言えば、この表現の自由の中の根幹部分というのはやはり報道の自由ではないかと考えております。報道の自由というのは判例にもありますように、国民の知る権利に奉仕するものであるということであるとするならば、この自由を守るためには保護法の対象外にしていただきたいと私どもは思っているわけでございます。
 我々の取材活動、これはさまざまな情報を集めるという意味で取材活動ですけれども、これはその情報をそのまま商売の道具にするという意味ではないということで、あえて言えばほかの業界とは性格が根本的に異なるのではないかという受け止め方を我々はしております。ですから、表現としては適用除外ということではなくて、もともと対象の外にしていただきたいということでございます。我々が繰り返し申し上げてきました極めて重要なポイント、これは大綱案の中間整理では今後引き続き検討することとすると、いわば先送り状態となっております。これまで1年近くにわたってこの先送り状態が続いてきたということは、我々にとっては非常にもどかしいという感じが正直言ってするわけでございます。
 それともう一つは、大綱案で中間整理で示されました各規律ということなわけですけれども、私どもの基本的な姿勢としては各規律というものはそれぞれが個別独立したものではなくて、相互に極めて密接に関連していると我々は考えております。報道活動、その前提にある取材活動というのを一つ取っても、やはり国民の知る権利にこたえるために取材対象にこれは自由に接近して収集する、利用できる。利用というのは報道目的ということでありますけれども、そういう環境は最大限尊重していただきたいということでございます。それの前提として、収集したさまざまな情報の管理というものは極めて厳格に行われなければならないということは当然のことであります。これに関しましてはこれまでも十分やってきたつもりでございますし、これからはますます社会環境の変化に伴いましてこの内部での社内的な意味での情報の管理というものは今まで以上にやらなければいけないと考えております。これは後で話が出るとは思いますけれども、各社それぞれのレベルで対応が既に始まっていると御理解いただきたいと思います。
 更に、取材源の秘匿というものが我々の決して外してはいけない根源的な要素であるということはこれまでも御説明してきたとおりでございます。表現の自由に保障されたこの取材・報道活動を自由に行うために、5つある規律、規則というものを、これはいい、これはだめだと切って個別分断してということは我々は基本的には考えておりません。トータルでと基本的には考えております。
 そしてもう一つ、取材・報道活動というものが一体どういうものであるかというテレビ局にとっての基本的な問題なのですけれども、通常のニュースは当然であります。しかし、更にそれを広げて一般の番組制作活動ということにおいても同じように法律で規制されてはならないのであろうと我々は考えております。これはニュースだけに限らず、やはり報道目的といいますか、報道の自由に関わる問題であるから、これは同じように扱うべきであろうと考えております。
 更に、この大綱案の中間整理の中において、政府は受け付けた苦情等の処理に当たって必要な調査を行うことができるものとするとあるわけですけれども、この文案をそのまま読みますと、これは取材・放送内容に関連しまして直接調査を行う権能というものを政府に認めることになるのではないかと我々は考えております。これは憲法でうたっている表現の自由の原則からして、我々としては是認することはできないと申し上げたいと思います。先ほど申し上げた繰り返しになりますけれども、表現の自由という大原則の下で国民の知る権利にこたえる責務を負うメディアの一角を担う我々としては、当然自らを厳しく律してさまざまな放送倫理、ルールというものを守りながら、これからも取材・放送活動を続けてまいりたいと思っております。
 残念ながら、放送の結果、トラブルが起こるということは今までもありました。それから、あってはならないことですけれども、これからももしかしたら不可避的に起こる可能性もあります。直接これは個人情報保護とは関係ありませんけれども、そういう残念な事態が起きた場合には我々としましては先生方御案内のように、3年前からNHKと一緒にBRO、BRCという組織をつくって放送と人権等権利に関する対応というものを自律的にやっているということは改めて御理解いただきたいと思います。
 更に、自主的な対応によってこれでも解決できないという場合には、残念ながら司法の判断を仰ぐというケースも当然出てくるわけですけれども、こういったプロセスとは別に行政に一定の調査権等々が与えられるとすれば、我々にとっては取材・報道の重大な侵害だと見ざるを得ないと思うわけでございます。改めまして、報道活動というものを個人情報保護法制の対象外としていただきたいということで、これは法律の中に明記していただきたいと我々は考えているわけでございます。繰り返しになりますけれども、これまでの一連のヒアリング、それからパブリック・コメント等において、我々が示した一連の懸念というものに対して、文面から言いますとそれにこたえていただけないということについては極めて残念であると思うわけであります。
 今回、このようなヒアリングの場をつくっていただいて非常にありがとうございますと感謝を申し上げたいわけですけれども、それと同時にこれを単なるプロセスといいますか、手続といいますか、そういうことに終わらせることなく、我々の真意というものをどうか先生方におくみ取りいただきたいと考える次第です。どうもありがとうございました。

【園部委員長】どうもありがとうございました。それでは、御質問をどうぞ。

【藤原委員】どうもありがとうございました。3点ほど質問をさせていただきます。
 まず第1に、今日の御意見の中で報道機関としての活動を対象外としろとおっしゃっておられて、その内容について、2段目ぐらいで取材・報道活動はもとより一般の番組制作活動についても同様であるということですが、主張された報道機関としての活動というのはどの程度のものまで含んでおられるのかというのをもう少し具体的にお聞かせ願いたい。つまり、ここに書いてある取材・報道活動等は一般の番組制作活動ということに限るのか。そもそも報道機関としての活動というのはだれが認定するかという問題があるかと思いますので、そこのところをもう一度確認させていただきたいというのが1つでございます。
 2番目の質問は、BRCは自主的な苦情処理機関として活躍されているということなのですけれども、ここに個人情報保護に対する苦情というのを明確な形で位置づけるというお考えを持っておられるかどうかということです。ここにはプライバシーとか人権と書かれておりますけれども、そこでもう少し今度は個人情報保護もここで扱いますよというお考えがあるのかどうか。
 3番目ですけれども、どこの事業者団体等から伺っていても2枚目に書いておられますようにコンピュータ技術と通信技術の発展した今日のIT社会において国境を超えるということで、国際的な観点が必要であるという御発言があるのですけれども、国際基準という観点から言って日本の放送業界を他の国の放送とは違って全くの対象外にしろとおっしゃるのは、我が国としての独特の理由があるのかどうか。他の国では、個人の尊厳に直結する権利であるプライバシーの権利、更にその周辺の権利である個人情報を尊重するということが盛られた立法になっているように私は考えているのですけれども、一方的に表現の自由ということのみを強調されるのは我が国に特別な理由があるのかどうか。
 もちろん、その前提として表現の自由というのは民主主義の生命線であり、前にも申し上げましたけれどもどうしても守られなければならないものであるということは重々承知した上ですけれども、それとともに個人情報保護というのも非常に重要な制度であると思いますので、国際的な基準をとらないとすれば我が国の放送が国際的基準をとらないということに対する何か御説明があるのかどうか。この3点をお教え願いたいと思います。

【渡辺センター長】3点、先生から御質問を受けまして、私の方からまず1点、最初の御質問に対してお答えさせていただきたいと思います。
 これは私どもの意見書の中にもありますけれども、報道機関として対象外ということと、あとは1ページ目の下から4つ目のパラグラフのところであります。一般の番組制作活動においてもというところとの絡みだと理解いたします。基本的に私どもが理解しているのは、報道の自由という先ほど御説明申し上げましたように、表現の自由という憲法に保障された大きな権利の中で、我々から見るとそれの中核を占めるものが報道の自由であると基本的に考えております。それで、その中で一番典型的な例はニュース、報道番組ということになりますけれども、それを更に広げますと、やはり憲法で保障されている表現の自由というものの中には、いわゆるほかのそれ以外の番組も当然含まれてくるであろう。広い意味で言えば、それは表現の自由の中の一角に当然入るものであると我々は考えているわけでございます。
 ですから、例えば極めてわかりやすく言いますとニュース番組、ニュースだけがここに当てはまって、それ以外のものは該当しないとは我々は考えておりません。基本的にはテレビ局が放送する、皆さんにお伝えする番組というのは表現報道だと考えておりますので、同じような意味を持っていると我々としては基本的に考えています。

【藤原委員】伺いたかったのは、放送関連の事業は、あるいは放送を補助するような事業も含まれますかということで、今のお答えの趣旨は当然そうだということのようですが、その関連というのはどのぐらいまで含むのでしょうかというのが質問です。

【渡辺センター長】例えば、これは報道の自由、表現の自由という言葉にまた戻るわけですけれども、それに絡むフィールドというのは全部私どもは含まれるであろうと考えております。

【藤原委員】そうすると、報道機関がなされる純然たる事業活動ですね。副業というか、関連事業というか、それは関係ないということですか。

【渡辺センター長】これは、正直に申し上げますと民放連全体で200社近くの会員社が加盟しておりますが、これが全部集まって一つの統一見解をまとめたということではありませんけれども、我々はこの1年間、先ほど申し上げたように20回近くにわたって議論してきた中での大体のまとまり方、これは枝ぶりということで申し上げたいのですが、それで言えばやはりそれは報道の自由とか表現の自由というものを下支えするものであるという基本的な考えは持っております。

【藤原委員】ということは、報道等に間接的にしか関わらないものでも、営業収入を上げるものはすべて下支えになるというお考えだということですか。

【渡辺センター長】すごく乱暴な言い方をしますけれども、これはある種の営業活動で金もうけである。これはそれ以外の報道活動であると、外から見るとそういう受け止め方をされるかもしれませんけれども、我々はそれは報道の自由とか表現の自由というものをトータルで支えているものである。基本的には全体の仕事としては同じであると受け止めております。

【園部委員長】その点は前回も同じようなことをおっしゃっておられたから、もう繰り返しになりますので、その次はどうでしょうか。

【植田東京放送報道局編集主幹】2点目は、BRCの個人情報保護も対象にするようにはっきりさせるのかという御質問だったと思います。BRCは、NHKと民放連でつくり上げたものでありまして、その対象範囲というのは今の基準で決まっておりますけれども、その中に個人情報が含まれるかどうかは議論の余地があるかもしれませんが、少なくとも私はそのようには考えておりません。個人情報の保護といいますとものすごい広範な情報ということになってきますし、恐らくBRCの設立趣旨は違うのだろうと思います。
 ではどうするかといいますと、これはそれぞれの放送会社で持っている諸々の個人情報で、取扱いを限定しなければならないものについてはBRCにいくのはプライバシーとか直接的な人権侵害でありますけれども、そうでない広い意味での個人情報絡みでのクレーム処理などにつきましては、それぞれの放送局で行う社内的な自主的なガイドに基づいて紛争の解決を行うべきものだと思っております。これは私の考えでありまして、まだ民放連全体で討議したものではもちろんございませんし、ましてBRCはNHKさんも入ってのことですので、そこまでは……。
 3番目については極めて難しい種類の御質問だと受け止めましたけれども、それぞれの国で前回のこちらのヒアリングでも、海外のジャーナリズム活動と日本との違いみたいなことについての御質問をいただいたこともございまして、幾分か似たお答えになるかもしれませんが、やはりジャーナリズムの社会的な機能というのはそれぞれの国によって相当違いますので、これはヨーロッパの現在の個人情報保護のシステムがどうなっていて、その中でのジャーナリズムの自由の確保がどうなっているかということとの直接的な比較というのは難しいのではなかろうかと思います。それで、前回と同じお答えになって大変申しわけないのですけれども、ものすごく大ざっぱに分けまして先進諸国の間の報道機関の報道活動的なものの国における位置づけというのはヨーロッパ的なものと、ヨーロッパも大陸と島国がありますけれども、それとアメリカ的なものと日本的なものとでかなりそれぞれ独自の発達を遂げておりますから、一概に比較論というのは必ずしも不可能ではありませんけれども難しいと思っております。
 それで、日本の場合、例えばアメリカとの比較で言いますと、アメリカの憲法修正1条の強力な下支えがある中でのメディアの中での位置づけと、また日本とは違いますけれども、そういうものとの比較もやはりしなければなりませんし、プラスの比較もマイナスの比較もやり始めたら結構必要になってくると思いますので、これ以上は難しい部分だろうと思います。すみません。

【小早川委員長代理】適用除外でなくて対象外というお話ですが、対象外にするという御意見の場合に、これは放送に限るのか、出版、ミニコミというのはどうなるのか。

【石井局長】ほかの委員からもお答えがあるかと思いますが、私たちはとりあえず民放連の立場で物を申していますが、基本的には少なくとも新聞協会と雑誌協会についてはまさに対象外ということで恐らく今、一致しているわけです。これからヒアリングがあるのかどうかはあれですけれども、NHKさんも恐らくそういう趣旨だと思います。
 私個人としてはミニコミ、出版も基本的には含まれると考えております。

【小早川委員長代理】条文に書くのは難しいですね。

【石井局長】そもそも恐らく具体的に出版だ、ミニコミだ、テレビも民間放送、NHK、新聞、新聞もいろいろありますね。いわゆる一般の商業新聞もあれば機関紙もある。ミニコミもあればマスコミもある。そういったものは、逆に私は基本法で一括してくくってこれらを個人情報保護法の規制の対象内にするというのも非常になかなか大変だという気がしています。

【小早川委員長代理】この点は前回も、事業体で分けるのか、活動内容で分けるのかという議論がありましたが。

【石井局長】つまり、私どもの立場ではミニコミはそうではない、あるいは出版はそうでないという立場は取らない。表現の自由、報道の自由というのは等しく極めて重大な民主主義を支える理念として具体的に表現されている手段としては共通であると思います。

【渡辺センター長】基本的には同じであります。付け加えますと、報道目的という恐らく活動ということなのだと思います。機関、組織とは我々は基本的には考えておりません。

【高橋委員】今のお答えに関連するのですけれども、報道目的について結果として除外するという主張もそれはそれでよくわかるのですが、私の思考過程としてはまずは最初から除外してしまうのではなくて個別に考えていくことができるかどうか、その点を検討してみようと思っているのですけれども、情報内容の正確性とか、前のヒアリングのときにも当然自分たちが守っていくと言われているような異論のないものもあったと思うのです。
 そうすると、この点は困るという点を各原則ごとに除外していくということで考えてみて、最終的にはやはりそれでうまくいかないから報道活動については一括してということになるのかもしれません。そこら辺はまだ私の理解でははっきり決まっていない。今、考えている最中だと思っているのですけれども、なぜ個別的に除外するというのが不可能だとお考えになるのか。いろいろ研究されたということですから、なぜそういう結論になったのか、もう少し知りたいという点が1つです。
 それから、報道というのは割合わかるのですけれども、一般の番組制作活動についてもだと。更には、先ほどの質問に対する答えとして、それ以外の営業用のものもすべてだと言われると、個人情報保護というのは非常に重要な価値で、表現の自由も非常に重要な価値で、どちらが上だというものではないと私は思っているのですが、その調整を考えているときに、そういう形で放送機関あるいはもう少し広く報道機関についてだけは一括して全部除外してしまって、それ以外については個人情報は必要だと強調してキャンペーンをされていた時期があったと思いますけれども、そういった点はうまく整合的に説明できるのでしょうかという疑問を持つのですが、その辺りはいかがですか。

【渡辺センター長】今、先生から2つ御質問をいただきましたので、私は最初の御質問にお答えしたいと思います。
 恐らく先生のおっしゃったことは規律といいますか、5項目も含めての話だと思うのですけれども、繰り返しになりますが、私どもとしては一つずつ切り離すのではなくて、まとめてといいますか、全体でと考えております。これはなぜかということなのですけれども、まず最初に結論だけ申し上げますと、こういう各規律、各項目というのは相互に極めて密接に連関している一つの流れであると我々は考えております。それから、あくまでもメディアの自立自主というのが大事で、回りからの規制は困るというのが2番目の理由であります。
 例えば、最初のところでお答えいたしますと情報を収集する。これは収集というものは我々の取材活動でありまして、違法、不法なことを除けばこれは当然自由にさせていただかないと取材活動が成り立たないというのがあると思います。それから、例えば開示の問題がありますけれども、開示も具体的に取材対象者から放送の前か後かは別にして、例えば対象者がやってきて自らの情報を開示せよと迫られた場合、我々としては取材とか報道が極めてやりにくくなるであろうと思います。それで、具体的になぜかといいますと、やはりこれは第三者からの収集ということもあるわけですけれども、それが一定の力を持ってオープンにせざるを得なくなるとしたら、取材対象者と我々との間のある種の信頼関係というのは根底から覆されると思います。
 少し話は飛びますけれども、今回の雪印の問題にしてもさまざまな形で内部からの通報というのがあると思います。これは、言葉を加えれば善意の告発者という言葉を使ってもいいのかもしれませんけれども、そういう方たちは我々の民主主義社会にとって極めて大事なのだということを私どもは基本的には考えております。そういう方たちの情報がどんどん露出したということになると、我々の取材報道活動というのは基本的には信頼関係という点で成り立たないのではないか。

【高橋委員】よくわかります。私もおっしゃっているとおりに取材源の秘匿が守れないような形になってはいけないと思いますし、そういう点で報道の自由がきちんと守られるような形に書かなければいけないというのは全くそのとおりで、どのように書くかということで頭を悩ませているわけなのです。
 その場合に、今おっしゃったように、例えば本人から情報を取らなければいけないという原則については、報道の場合はこういうことは困るということはよくわかりますから、そういうのを除外する規定を入れることを考えていこうと、そのように困るとおっしゃる点を除外していく形でまずできないかと考えているわけです。それに対して、いやそうではなくて一括してやらなければうまくいかないのだとおっしゃるから、どうしてなのかなと、そこをもう少し具体的にもしわかればと思ったのですが。

【渡辺センター長】我々としては、先ほど申し上げましたけれども、1年近くに及ぶ議論の中で、実は5原則といいますか、その前に8原則というのもありましたが、かなり詳細に具体的なこの取材の場合にはというようなある種のケーススタディもやったわけですね。そういう結果ということでありまして、誤解を先生方にしていただきたくないのは、我々は最初から全部だめなのだということで最初に結論ありではなくて、かなり具体的な取材例でのケーススタディと考えています。

【高橋委員】私が知りたいのは、恐らくそのように吟味されたろうと思いましたから、もう少し具体的に、例えばこういう場合が困るとか、我々が見落としていることで、今おっしゃったようなところはここにも書いてあってよく理解できるのですけれども、そうではない我々が見落としているようなところで一括してやらないとうまくいかないというのがあったのかなということです。

【石井局長】例えば規律ごとという言い方ですると、では管理はいいではないかと。個人情報の管理を厳しくするということについて問題はないではないかということですが、例えば苦情の申立てがあったときに行政の責任において調査できるということとセットで考えると、ある病院で重大な医療過誤があった。それについて、看護婦さんから善意の告発があった。その病院は院長以下、全部それをもみ消そうとしていますと。そのときに、我々はその情報を得る。それを管理する。そうすると、そのことに気が付いた病院の院長さんが、個人情報に基づいて漏洩している疑いがある。それはどうも日本テレビに来ているようだ。その日本テレビに来ていることについて、例えば物を言える仕組みになると、そこからやはりそもそもの取材の大本までたどって、最終的には報道するまで取材源も含めて秘匿的に秘匿しながら進めていかなければならないものが、非常に報道活動が制約される結果になるといったことが例えばあると思います。

【高橋委員】その調査についてはどの辺りまでというのははっきりしていない段階でしょうけれども、私の感じでは調査について法的義務を課すと、調査に応じる税務調査みたいな、そんな強力なものは少し難しいのだろうなと思っていまして、恐らく義務があるわけではない。ただ、苦情がきて非常に重要だと思ったような場合に問い合わせるぐらいのことでサンクションを加えるとすれば、例えば公表するみたいなことはあるかもしれないけれども、報道機関だったら当然それに対しては闘うということがあるのだろうと思うのです。その中で国民の支持を得られるかどうかであって、特に法的なサンクションがあるというわけでもないとすればどうしてそんなに問題かなという気がするのです。

【石井局長】先ほどの藤原委員の、何か日本は特別なのかという質問とも関連するのですけれども、本当に率直な心情を申し上げますと、例えば雑誌『太陽』という写真誌があるのですが、それで検閲の歴史というのを特集しているのです。そうしますと、その内容というのは例えば当時の法律に基づいて小説から論文から、場合によっては絵画、彫刻、音楽、ありとあらゆるものに及んで、それが今、私たちの基準からすると単に労働者がデモ行進をしている絵画、これもだめですよといったような歴史があるわけですね。
 私たちは、あらゆるものが一つの法律が一人歩きする中でそういう形の言論、表現の自由を動かしかねない要素がやはり日本の、さっき行政からの問合せということがありましたけれども、日本の行政というのは非常に優秀で非常に力があって権限があるのです。それで、その一つのアプローチ自体が我々の報道活動に対する重要な牽制になるといったようなことも含めて、やはり恐れを抱いている。これは正直なところです。
 したがって、細かい専門的な法律論争の中で我々は専門の先生方と議論をするというよりは、そういう観点から全体として今回の動きについては対象外としてほしい、するべきであるという主張をしていると御理解願いたいと思います。

【植田主幹】今、高橋先生のお話で面白かったのは、仮にある項目について調査に乗り出すとしても報道機関だから抵抗なさるでしょうと、そういうことはものすごく面白いポイントなのです。実際に法律がある状態、ない状態などというものを考えるときに、例えば取材源の秘匿については現在必ずしも法的には何の保障もございませんし、場合によって民事訴訟でも、刑事事件でも、取材源を法廷で開示することを求められることはしょっちゅうあるわけですけれども、これはほぼ一律にそれを拒否せざるを得ないというのが報道機関の立場であるというので、どの社に限らず通しているわけです。
 にもかかわらず、それは判例としても完璧に認められているわけでもなく、あるいは認められる裁判でもあるわけですけれども、そこのところは法があってもなくても報道の倫理原則みたいなものから絶対に出せないものは出せないということがあるのです。その辺のことはよくわかっていただいておりますので今、高橋先生もそのようにおっしゃったと思うのです。
 そうしますと、この個人情報の保護法制度につきましても、あったとしても抵抗なさるのではないかと。まさにそうなのですけれども、そういうところでどうして我々が頑張るかといいますと、憲法21条というのを何かと言えばすぐ持ち出してと必ずしも思ってはいけないので、例えば憲法の法律で言えば我々の事業を規定しています放送法でも最初の第1項目で極めて珍しい文言が使われておりまして、放送はその自立をもって表現の自由を確保することにより公共の福祉に貢献するものであるという非常に珍しい法律で、我々の業務のかなりの部分を規定しておりますから、そういうところはきっとあるのではなかろうかと思うのです。それがあるから我々はいつも頑張るというわけではないのですけれども、その辺が一般の業態とはかなり違うところはあるのではなかろうかと思っております

【園部委員長】いろいろ御質問申し上げたいこともあるのですが、これは議論になりまして、1日議論していても終わらないものですから、御主張の趣旨はよくわかっておりますし、十分今日も拝聴いたしました。また、こちらから議論が進むにつれて更に具体的に御質問申し上げることもあると思いますが、そのときは事務局を通じて質問いたしますので、今日のところはこの程度で終了したいと思います。では、日本民間放送連盟からのヒアリングはここまでといたします。石井局長ほか御出席の皆様、本日はどうもありがとうございました。

(日本民間放送連盟関係者退室・日本放送協会関係者入室)

【園部委員長】それでは、引き続きまして日本放送協会からヒアリングを行います。総合企画室の大島統括担当部長、報道局の諸星編集主幹ほか、御出席の皆様、本日はどうもありがとうございます。御説明を10分から15分程度、その後の時間は質疑に当てたいと思います。時間の制約が厳しいのですが、資料は事前に各委員に届けられておりますので、ポイントを絞って簡潔にひとつ御説明をお願いいたします。それでは大島部長からどうぞ。

【大島日本放送協会統括担当部長】それでは、資料に沿って御説明します。
 今回、中間整理を取りまとめられた御労苦に対してまず敬意を表したいと思いますが、同時にマスメディアなど、表現の自由に関わる諸活動に対して、個人情報保護の要請を法的義務として導き出すことは表現の自由、表現の内容に対する法的規制につながりかねないので、慎重な上にも慎重であってほしいと繰り返し表明してきたところなのですが、今回の中間整理でもそうした懸念はぬぐい切れないところです。
 基本法に関する検討は、そういうおそれもある方向で進んでいる以上、マスメディアなどはその対象外にしてほしいと考える次第です。それで、中間整理にあります基本原則と事業者の遵守すべき事項について、これまでのヒアリングの際と繰り返しになることもあえて避けないで御説明したいと思います。
 「利用目的による制限」は、ニュースなどの取材制作には当事者本人への取材はもちろんのこと、事前取材や周辺取材、本人以外からの裏づけ取材も欠かせないところです。これは繰り返し御説明していますが、収集制限を含む利用目的による制限、この原則を我々マスメディアなど、表現の自由に関わる諸活動に適用しますと、事実の正確な把握とそれに基づく報道、放送という最も基本的な要請に応えられなくなる。知る権利に応えるという使命が全うできなくなるおそれがあります。民放連さんとNHKとでつくった放送倫理基本綱領には、事実を客観的かつ正確、公平に伝え、真実に迫るためには最善の努力を傾けなければならないとあり、我々は心掛けているところなのですが、この最善の努力の障害になるおそれがあるわけです。
 それから「透明性の確保」と「個人情報の処理等に関する事項の公表」、それから「開示、訂正等」は前回も申しましたけれども、取材制作編集過程への不当な干渉や介入を許すことにつながる懸念があると考えます。取材源の秘匿、取材対象との信頼関係にも影響する重大な問題だと思っております。
 それから、「適正な方法による取得」ということも挙げられていますが、法令に違反しないことは仕事を進める上で当然のことなのですけれども、適正の概念があいまいで無用なトラブルを誘発して取材を萎縮させる危険があるのではないか。
 それから、「内容の正確性の確保」とか「安全保護措置の実施」、それから「第三者への委託」の際の注意すべきこと、それから「苦情等の処理」、これはNHKとしては個人情報保護の法制化を待つまでもなく、報道機関、放送事業者として当然のこととして心掛けて実践しているところです。このように考えた場合、マスメディアなど、表現の自由に関わる諸活動に対して、この中間整理にあります「基本原則」や「遵守すべき事項」を法律によって規定することは、表現の自由とこれに由来する報道の自由、取材の自由という憲法上の要請を制約することにつながるおそれがある。むしろ弊害が大きいのではないかと言わざるを得ません。
 取材は生き物です。取材の過程で新たな事実が判明すれば、当初のねらいを軌道修正して取材の範囲を広げたり、あるいは裏づけ取材とか周辺取材によって全体を再構成する、そういったことは決して珍しいことではありません。むしろ必要なことなので、そういう取材制作の現場にこういう基本原則などを適用しますと、いわば角をためて牛を殺す結果ともなりかねない。繰り返すようですけれども、是非留意していただきたい。
 表現の自由とこれに由来する報道の自由、それからプライバシーを中核とする個人情報の保護、これら2つの価値の調和、均衡はやはりマスメディアと国民との間で自律的に達成されるのが本筋だと考える次第です。
 それから、政府の施策ということですが、「政府の措置及び施策」として、政府によって苦情処理と必要な調査ができるとされていることは取材制作過程に行政の介入をもたらすおそれがあって、これは我々としては受け容れることはできないと考えます。放送法との関係でも言いますと、政府が仮に苦情の処理などをしようとしますと、個別の放送番組の内容とか取材制作過程を把握する必要がありますけれども、放送法では郵政大臣が放送事業者から資料の提出を求めることができる事項というのは限定的に定められています。個別の放送番組の内容などはその対象に入っていないわけで、行政の介入をできるだけ少なくする考え方に放送法は立っています。そういう工夫がいろいろあるわけなのですけれども、放送に関わる苦情等の処理はしたがって放送事業者の自律を基本とする仕組みだと。言うまでもなく、これは放送法で「自律」と「放送による表現の自由の確保」が原則として明記されていることもあります。
 そこで、放送分野では既に自律を基本とした仕組みしてNHKと民放連が共同で設置した「放送と人権等権利に関する委員会(BRC)」、それから放送番組向上協議会の「放送と青少年に関する委員会」が対応して、BRCの方で放送による人権侵害の苦情に対して自主的、迅速かつ有効な対応に努めているところです。それから、NHKでは東京の放送センターの視聴者ふれあいセンターを始め、各地の放送局に苦情等も含む問合せの対応の窓口を設けていまして、平成11年度は全部で609 万件のそういった視聴者からの問合せが寄せられています。そういう問合せとか、中には苦情がある場合、一つひとつについて真摯に取り組んでいるところです。
 それから「その他」というところですけれども、中間整理では適用対象範囲について「規律ごとに情報の性格等に即して検討する。この場合、表現の自由、学問の自由に十分留意する」とあります。また、「事業者が遵守すべき事項」で列挙された事項については、「義務規定とすること等を含め、その法的強制の程度について、規律ごとに引き続き検討をする」とあるわけですが、これまでいろいろ意見を述べたような立場に立つ以上、マスメディアなどの表現の自由に係る諸活動に対しては、規律ごとに考えるよりもむしろまず基本法の対象外とすることを求めたいと思います。
 「事業者が遵守すべき事項」には自主的措置の余地が残されていると思いますけれども、一方で政府による苦情処理と調査の対象となれば、これは行政のメカニズムに組み込まれることになって、結局は自主的な措置にならないのではないかと考えるわけです。
 それから、これまでのヒアリングの席などで、我々は基本法について宣言的なものであればともかく、そうでなければ基本法そのものに慎重にならざるを得ないと述べてきたのですが、今回の中間整理では権利義務の関係に基づく公的規制も含めた措置が盛り込まれていますし、そうである以上、マスメディアなど、表現の自由に係る諸活動については基本法の対象外とすることを求めざるを得ないと考える次第です。
 それから罰則ですけれども、これは遵守事項の「第三者への提供」の制限と同じように、その設定の仕方いかんでは支障が生ずることを強く懸念します。規制を強化しますと、次第に協力する側のリスクが大きくなって協力が得られにくくなるということを恐れるわけです。ここら辺の具体的な事例については私の説明の後、同席しています諸星の方から若干補足して御説明したいと思います。
 それから最後に独立行政法人、特殊法人等については「政府は個人情報の保護を充実強化するための制度、施策を検討し、必要な措置を講ずるものとする」とありますけれども、NHKはその設立の経緯、それからその業務、組織、財政、このいずれを取ってみても他の特殊法人とは違う独特の性格を有しているわけです。是非その性格、業務内容に応じた検討を進めていただきたい。
 それから、性格、業務内容に即して付言しますと、公共放送はその番組を中心として受信契約、技術、管理など、あらゆる業務が一体となって運営されて初めて「豊かで、かつよい放送番組」、これは放送法の規定ですけれども、これをあまねく提供でき、言論、報道機関としての遺憾のない働きが可能になる。繰り返し前回のヒアリングのときにも申しましたけれども、表現の自由に関わる放送事業者としては、たとえそれが何であれ、外部から強制力が働く契機はできるだけ排して自主的自律的に事業を運営すること、それが何よりも大切だと考えています。この個人情報保護の法制化の議論の帰趨を待つまでもなく、我々としては取材制作をはじめ、受信契約など、自律的な事業運営に関わるさまざまな情報の保護の徹底を引き続き自主的に図っていくという考えを表明して、とりあえず私の説明は終わりたいのですが、続いて補足的に諸星の方から御説明したいと思います。

【諸星日本放送協会報道局編集主幹】基本的な考え方は今、大島の方から言ったとおりであります。既にヒアリングも3回目ということで、我々の基本的な考え方は繰り返し申し上げておりますように、表現の自由の確保というのは自由で活力のある国民社会を維持、発展させていくためにもどうしても必要である。そのためにも我々は今、行われております取材、制作、放送の自由というものをどうしても守っていく必要がある。むしろこれを維持発展させていく必要があると基本的には考えております。
 それで、私は報道の取材現場をあずかる者としまして、今回まとめられました中間報告とその取材現場とはどのような関わりを持つかという点で若干感じるところを申し上げたいと思います。これにつきましては、前回前任者の御手洗の方からも申し上げたかと思いますけれども、今回私は個人情報の第三者への提供と事件取材との関係について若干申し上げたいと思います。
 事件取材と言いますと、やはり社会の公平、社会正義を守っていくという点で極めて報道の中でも重要な意味を持つわけでありますけれども、具体的な事例で申し上げますと、最近では現在捜査中であります中尾元建設大臣の汚職事件、この贈収賄などを見ましても、これが仮に第三者への提供が制限されますと、事前の取材というものが事実上行われないということになります。そうなりますと、捜査当局の発表あるいは裁判が終結するというのを待たないと事態が明らかにならないということが起きるのではないかと思います。
 それから、同じようなことは去年摘発されました長銀や日債銀の粉飾決算事件でも同じようなことが言えるのではないかと思います。組織ぐるみで不良債権を隠しているという実態を明らかにするためには、どうしてもやはり個人での取材をせざるを得ない。そうしませんと実態が必ずしも明らかにならないということになります。
 それから、例えば労災とか過労等の問題につきましても、亡くなられた方の経歴とか、この取材というのはどうしても必要になります。例えば1996年、長野県の小谷村で14人が亡くなった土石流の災害があったのですけれども、多くの人は北海道とか東北からの出稼ぎ者でした。これなどにつきましても、仮に雇い主、会社の側がそういうものについては提供できないということになりますと、ニュースの社会的な側面ということが十分に報道できないというようなこともあると思います。
 それから、佐賀のバスジャックがありました。これは、少年がいじめに遭ったのかどうか、動機を解明する上では非常にそこのところがポイントになるわけですけれども、これにつきましても仮にこういった法律ができますと、学校側がこれを盾にして一切そういう情報について開示しないということがあり得るのではないかと思います。
 いずれにしましても、我々はその真相究明の上からもやはり取材、特に個人に対する取材の自由というのはどうしても確保していただきたいと思います。したがいまして、大島の方からもるる言っておりますけれども、この法律と我々の表現の自由、取材制作の活動の自由というのはやはり確保するという意味からも対象外にしていただきたいと考えております。
 もとより、個人情報の保護というのは時代の要請でもありますし、我々マスコミの側もこれをないがしろにしようというような気は毛頭ありません。我々はむしろこれをそれぞれのマスコミの自主性に置いて、これを確保していくという手段が一番適切だろうと思っております。NHKとしましても、ここにも持ってきましたけれども、それぞれの事案に応じた場合にどうするかといったような番組基準のハンドブックとか、あるいはかなり細かなガイドラインをつくっております。更に、特にこういう問題については迅速性が必要でありますから、苦情があった場合についてはできるだけ現場に下ろして真相を解明した上で正すべきものは正し、訂正すべきものは訂正するという形で、より正確な情報を伝えていこうという姿勢をとっております。
 更に、民放との関係でも苦情処理機関を設けております。したがって、全体として私は我々の自主性に任せていただきたい。そのことが社会全体の、先ほど言いました自由で活力のある社会の維持発展に貢献できるのではないかと思っております。そういう点で、最終段階におきまして是非マスコミの部分については法律の対象外にしていただきたいと考えております。

【園部委員長】どうもありがとうございました。それでは、ただいまの御説明に関連して御質問をどうぞ。

【小早川委員長代理】対象外にするという場合、特に諸星さんのお話が出て、そこでお考えなのは、報道機関の取材といいますか情報の取得、それからそれの使い方、というだけでなくて、報道機関の取材の対象であるいろいろな民間企業とか公共の学校などですね、そちらの方が取材に応じることが個人情報を提供することになる場合があるわけですが、そちらの方も外せという御趣旨ですか。

【諸星主幹】私たちが取材しますのは、あくまでも放送目的で取材するわけです。ですから、そういうくくりで除外できないかということです。

【小早川委員長代理】取材対象者についても、そうでなければ個人情報保護でもって縛りがかかってくるところを外すという…。

【大島部長】そこは設定の仕方いかんで非常に大きな影響が出てくる。それから、我々も本人からだけ取材できるとは限らないし、第三者から取材して補強する。それから、本人に接触できない場合もありますね。容疑者としてどこかに拘置されていたりですね。そうした場合、やはり第三者から取材せざるを得ませんし、その設定の仕方についてですね。

【小早川委員長代理】その状況はわかりますが、今までの報道機関は対象外にせよという御意見は、報道機関に義務を課するなということだけかと思っていたのですが、そうではなくて報道機関に対して個人情報を提供する側にもその義務を外せということだとしますと、今までと話が違うのか。

【大島部長】設定の仕方いかんで、余り規制の強化ばかり考えているとそういう弊害が出てくる。そのことは、さっき言ったような活力ある民主主義社会にとって必ずしもよくないということです。

【堀部座長】今の小早川委員の質問は、諸星さんが「第三者への提供」という、「事業者が遵守すべき事項」の概念で言ったものですから、そうすると学校側がNHKに対して情報を提供する場合にも、NHKに提供するのは適用を受けないと規定すべきだというようなところまでいくだろうと、こういうことなのではないかと思います。

【諸星主幹】そこまでは私も言っているわけではないのですが。

【堀部座長】その言葉を使ったものですから、そのように解釈されたのだと思います。恐らく「適正な方法による取得」の方、またはこれは全部外せということになればこの適用も受けないわけですけれども、その趣旨からすれば第三者から取得することが必要かつ合理的と認められる場合は除くとか、そういうことになるのでしょうか。

【大島部長】とにかくまずその設定の仕方いかんで、規制を強化すればいいというものではないと思います。

【高橋委員】設定の仕方いかんというのはどういう意味ですか。

【大島部長】そこを具体的に法律でどう書くかは私もこの場で申し上げる立場にはありませんけれども、取材に協力していただける側のリスクが高くなるようなことは、我々としては一方でその点も懸念せざるを得ないということです。

【高橋委員】そうすると、やはり今、諸星さんがおっしゃった点が非常に重要だということになりますね。

【大島部長】我々としては懸念するところは、それはあります。ただ、それが我々が主体として取材する場合の適用除外とは少し違うと思うのです。

【堀部座長】それは今でも起こり得るわけですね。それぞれの会社に勤めている人は守秘義務を就業規則なり何なりを負っていますから、それをこういう情報を教えてほしいと言えば、場合によるとその守秘義務に違反して出しているかもしれませんし、その守秘義務を破るのを教唆しているかもしれないのですね。

【諸星主幹】ですから、そこが取材する側の腕の見せどころだと思うのですが、やはり公益性の問題が絡んでくると思うのです。それで、その会社自体もそれを表に出すことによって会社のプラスになるという点もあると思うのです。ですから、それを法律で規制するということになりますと、それを根拠にこれはこういう法律があるからできませんと言われるのは非常に困りますということを言っているわけです。

【大島部長】一義的には、我々が取材する際の適用除外を言っているわけです。

【藤原委員】今、適用除外と言われたのでそうかなと思ったのですが、前回と同じ主張だと大島さんの方からおっしゃって、私も同じような質問をして恐縮なのですが、今、諸星さんの御説明を伺っても、具体的な取材活動の場面での問題が出てくる。それで、ジャーナリストの方一般に伺っていても、取材活動を阻害される、あるいは萎縮効果を与えるようなことは困る。これは大変よくわかるし、当然のことだと思うのです。
 しかしながら、このヒアリングで聞いておりますと、前回も伺ったし、民放連の方にも伺ったけれども、全部対象外にしろというときの対象外というのは取材報道活動ではなくて、およそ報道機関が関連するような事業はすべて外せというような主張も見られますし、まずそこのところですが、やはりNHKが主体となるようなものはすべてこの法律を対象外としろという意味なのかということです。

【諸星主幹】ですから、そこのところはさっきから大島が、設定の問題だと言っているのはそこだと思うのです。

【藤原委員】取材ということが守られればもちろん大丈夫であると。

【大島部長】これも繰り返し言っていますけれども、要するに自律が我々の基本であって、何らかの強制が働くようなことはできるだけ避けたい。受信料も含めて、受信料は要するに自律的自主的な経営を担保する唯一の財政基盤ですので、そういうことを考えればすべて一体として我々としては考えていただきたい。それから、受信料の受信契約の情報というのは我々が保有している情報の量としては非常に多いのですが、これについては前回も御説明しましたようにガイドラインをつくってきちんとやっていますし、そのこと自体で何も問題が起こったことはありませんし、引き続きそれは自主的にやらせていただきたいというのが趣旨です。

【藤原委員】私が質問しているのは受信料のことではございませんで、他の関連の業務をやっておられますね。

【大島部長】それは関連団体ということですか。

【藤原委員】そうではなくて、例えば通信と放送が融合になったときに、通信関係については民間の事業者についても例えば規制がかぶってくるときに、通信放送一体として事業を進めるときにNHKは全く排除されるという趣旨まで射程に入っているのか。

【大島部長】NHKが通信事業者となることについては、今のところ何かインフラを用意してそこに参入しようなどということは全く考えていません。

【藤原委員】この法律の対象として伺っているだけで、もちろんどうなるかということを伺っているのではございません。ジャーナリズム目的ということを皆さんそう説明されるので伺ったのが1つと、今の点は置くとして、自主的になさるというのは結構ですし、そのとおりやっておられるのだと思うのです。それで、先ほどNHKとしても民放連の方もそうでしたけれども、きちんとやっているという中味ですが、例えば安全保護の措置というのは安全保護措置を講じて漏洩や毀損等がないように気をつけてくださいという趣旨だと思うのです。そして、それはきちんとやっておられるのであれば、それに自主的に取り組んでくださいという規定が入っても困らないのではないでしょうか。

【大島部長】その結果、政府の苦情処理の対象になったり、調査の対象になるとすれば、それは自主的ということは貫徹しないのではないでしょうか。

【藤原委員】逆に言えば、そこのところは決まったわけではありませんけれども、安全管理の原則が安全管理の原則だけで入ってくるということで、今のお話だと苦情処理と切り離せれば対象外にしなくてもいいということになりますね。

【大島部長】それは安全管理一本ですか、それだけですか。

【藤原委員】先ほど来の御主張は、とにかくすべて対象外ということですね。しかし、例えばですけれども、安全管理のみとなれば何ら困ることはないのではないかと思うのですが。

【大島部長】その結果、政府の措置の対象にもならないということですか。

【藤原委員】それは書き方と議論によりますが。

【大島部長】私が最初に言ったのは、仮にそういうケースであっても自主的にやるということであっても、政府の苦情処理と調査の対象というか、そういう仕組みの中に組み込まれれば、それは自主的な仕組みということで完結しないのではないかと思うわけです。

【藤原委員】そうすると、例えばそこを政府が関係せずにNHKも参画してつくっておられるBRCの方の問題にするということになるとどうなりますか。

【大島部長】BRCは自主的な組織ですから。

【藤原委員】そうです。だから、私の申し上げたのは、人権と書いてあるのだから、個人情報の問題も深刻な問題になった場合は多分人権問題になるのでしょうけれども、もう少し広げて個人情報保護で人権侵害一歩手前のものとか、そういったものもBRCでおやりになる。それで、政府はBRCとは切り離して考える。そのときは管理等の規定も入ってもいいということですか。

【大島部長】その場合は、BRCに持っていくのか、いかないのかは被害を訴えられる方の事情の問題であって、それは裁判に持っていかれる方もいらっしゃるかもしれません。裁判になったものは、BRCは確か扱わないという考え方です。

【藤原委員】ですから、苦情処理機関としての役割を拡充したりすることは考えられないかという意味です。

【大島部長】BRC自体は、例えば放送事業者と訴えた御本人の間で3か月以上結論が出ないようなことであれば、自主的にBRCは取り上げるとか、そういう機能強化の方策は進めていると思っております。これはいずれにしても自主的にやっているわけですね。

【藤原委員】そうですね。ですから、BRCの拡充強化のようなものが一方にあって、一方でこの5原則のうち安全管理原則だけが例えば適用されてあとのものは適用除外になるというときに、何らかの支障が出るのかというのが私の質問なのです。

【大島部長】私が言っているのは、BRCは自主的なものなのですね。
 ところが、一方で政府の措置ということで、政府の苦情処理と、それから調査、この対象として残っているようなことであれば、これは結局行政のメカニズムに組み込まれることになって、そういう仕組みは自主的な措置としては完結しないのではないかということを言っているわけです。

【藤原委員】その点はよくわかりました。私が申し上げているのは、ですからそこが切り離されたと仮定した場合の話です。

【大島部長】政府の対象にもならないと。

【藤原委員】そういう話です。ただ、管理は入るというときはどうなるのでしょうかという質問です。

【大島部長】それは考慮に値するかもしれません。管理だけだと。

【園部委員長】なお検討しますということで、別に仮定の質問ですから。

【大島部長】それは、どういう規定になるのかを見てみないと、我々としてはとにかくまず対象外にしていただきたいということであるわけです。

【園部委員長】それでは時間がまいりましたし、御趣旨はよくわかりましたから、この辺で終わらせていただきます。それでは、日本放送協会からのヒアリングはここまでといたします。大島部長、諸星編集主幹ほか御出席の方々、本日はありがとうございました。なお、また御質問等がございましたら事務局を通じてお願いをいたします。どうもありがとうございました。

(日本放送協会関係者退室・日本新聞協会関係者入室)

【園部委員長】それでは、引き続きまして日本新聞協会からヒアリングを行います。本日は同協会の人権個人情報問題検討会から、幹事である日本経済新聞社の秋吉編集局次長兼社会部長ほか、同検討会のメンバーに御出席いただいております。皆さん、御多忙のところ本日はありがとうございます。御説明を非常に短いのですが、大分時間も超過しておりまして、30分が限度ですがなかなか終わらないのですが、6時までには是非とも終わらせていただきたいと思っております。資料は既に各委員に配られておりますし、前回と余り繰り返しにならないように要点をひとつ簡潔に御説明いただきますようお願いをいたします。それでは、秋吉編集局次長、お願いいたします。

【秋吉日本経済新聞社編集局次長兼社会部長】それでは、新聞協会として意見を表明いたします。
 日本新聞協会は、1月に個人情報保護検討部会の「我が国における個人情報保護システムの在り方について」に対する見解を表明し、3月に個人情報保護法制化専門委員会のヒアリングに際し、考え方を説明した。今回、専門委員会が公表した「個人情報保護基本法制に関する大綱案(中間整理)」、以下、大綱案と略します。それに対して、改めて意見を述べたい。
 ネットワーク社会が世界的規模で急速に進展している状況を考慮すれば、民間部門でも個人情報保護システムを早急に確立する必要がある。そのための法制化に当たっては、情報の自由な流通を確保し、表現の自由を尊重するとともに、個人の尊厳を守るとの考え方に立つべきである。保護と利用の両立が大切であって、どちらか一方に偏することがあってはならない。我々は、情報化社会が一層進展する21世紀に向けて、そのような法制化を提言してきた。
 取り分け、民主主義社会の維持、発展のためには表現の自由が不可欠であり、法制化に当たってその自由が損なわれることがあってはならない。報道の自由は表現の自由の中核を成すものであり、最高裁判所が「報道機関の報道は国民の『知る権利』に奉仕するものである」との判断を示したように、国民の基本的人権の中でも重要な権利である。
 しかし、大綱案はその点についての配慮を欠いており、大きな危惧を抱かざるを得ない。
 以下に詳述するように、このような基本法制を考えるのであれば、報道の自由に関する分野については明確に法律の適用の対象外とするべきであり、法律の冒頭部分にその旨を記す必要があると考える。
 社会のさまざまな分野の活動に大きな影響を与える法律の制定に当たって、大綱案は根幹部分と言える多くの重要部分について「引き続き検討する」と判断を先送りしている。全体像が不透明なまま、各界の意見を聞いたという形式的、表面的な手続きだけを踏み、十分な論議もないままタイムスケジュールに沿って作業を進め、大綱をまとめることのないよう強く指摘しておきたい。速やかに全体像を示した上で、より一層開かれた論議を重ねるべきである。
 詳論に入ります。(1)報道目的に関する個人情報は、法律の適用の対象外とするべきである。大綱案は「8 その他」で「(1)適用対象範囲について、規律ごとに情報の性格等に即して検討する」として「この場合、表現の自由、学問の自由等に十分留意する」としている。しかし、表現の自由等の分野は個別的な検討ではなく、包括的にこの基本法制による規律の適用の対象外に置くべきである。具体的には法律の冒頭部分で、例えば「『報道目的』で扱う個人情報について」は適用の対象外とする規定を明記する必要があると考える。
 新聞・通信各社は個人情報を扱うすべての分野を対象とした基本法を制定するならば、具体的原則ではなく、個人情報保護の理念をうたう内容が望ましいと主張してきた。そして、措置内容は個別法の規制分野ではその特性によって決め、他の自主規制分野は自主的な決定にゆだねることなどを規定するべきだとも提言してきた。個別法を規制分野も自主規制分野も包括する基本法に具体的原則を盛り込めば、その効力は法規制分野のみならず、自主規制にも及ぶことになり、実質的に報道の自由を制約する機能を持つからである。当協会が3月9日の専門委員会ヒアリングで中間報告を批判し、基本法に5原則を規定するべきではないと主張したのもこうした観点からであった。
 その上で、新聞・通信各社はもしも基本法に個人情報保護の具体的な原則を盛り込む立場から法制化を考える場合には、報道の自由に関する分野は法律の対象外とすることが議論の前提となることを強調してきた。大綱案は中間報告と同様に、具体的原則を明記する内容であり、個人情報の取扱いに当たって「透明性の確保」などの5原則が書かれているだけではなく、「5 事業者が遵守すべき事項」で原則に沿って11項目にわたる措置を講ずるよう求めている。しかし、法制化に当たっては、報道は国民の知る権利に奉仕するものであり、その点で報道機関が収集、保存、報道する個人情報は一般の民間事業者が扱う個人情報とは根本的に異なった性格を持つことを理解すべきである。
 報道の目的のために取材の過程で収集する情報には必然的に個人情報が含まれるが、こうした原則を適用すれば取材報道活動に大きな支障が生じる。取り分け取材で得た個人情報の開示などが求められるならば、取材源の秘匿など報道の根幹が崩れるおそれが強い。取材は報道の不可欠な前提であるが、報道する側と情報提供者の信頼関係が十分に確保されていなければ的確な取材は成立し得ない。取材内容に関わる個人からの開示請求や、公権力の介入が想定される状況では、情報提供者は臆病にならざるを得ず、取材する側とされる側の信頼関係が十分に確保されないおそれが出てくる。その結果、正確な情報に基づく報道は実現されず、国民の知る権利は十分に満たされないことになる。このように、事実を伝達するために、取材を通して多くの個人情報を日常的に収集する報道機関の活動に看過し難い重大な支障が生じる結果となることは避けられない。取材する側だけでなく取材される側についても、法律の規制から自由が保障されていなければならない。
 報道のこうした特別な需要を考慮すれば、個別的な検討ではなく、包括的にこの基本法制の適用の対象外に置くべきであり、法律の冒頭部分で報道目的で扱う個人情報を対象外とすることを明示することは欠かせない。
 (2)民間部門の苦情処理は自主規制を基本とするべきである。情報化社会では、個人情報の保護とともに情報の自由な流通が重要であり、健全な民主主義の基本として民間部門では柔軟な個人情報システムが求められている。検討部会の中間報告は、保護の必要性とその利用の有用性の双方にバランスの取れた法制化を目指しており、この点への配慮を読み取ることができた。これと比べると、大綱案が「(個人情報)の適正な利用に配慮しつつ、個人の権利利益を保護する」ことを目的としている点は、情報の自由な流通への配慮が不十分な表現と言わざるを得ない。
 また、大綱案では「4 政府の措置及び施策」の項で「(5)苦情等の処理」に当たって「政府は受け付けた苦情の処理に当あって必要な調査を行うことができる」としている。基本法の下に個別法分野と自主規制分野を並存させるという中間報告から大綱案に貫かれている構想は、柔軟な個人情報保護システムを目指すものでなければならない。そのような個人情報保護体系の中では、原則として苦情処理は民間業者の自主的な措置にゆだねるべきであり、公権力が民間の苦情処理に介入する規定には反対せざるを得ない。政府の調査権の行使はあくまで例外的に行われるべきで、その対象は厳しく限定されなければならない。
 なお、新聞・通信各社がこれまで主張し、また本意見書でも既に述べたように、表現の自由、学問の自由の分野に関わる苦情処理への公権力の介入が認められるべきでないことは言うまでもない。
 (3)現行個人情報保護法の速やかな改正が必要である。大綱案は「4 政府の措置及び施策」の「(1)既存法令の見直し等」で「基本原則に沿って〜個人情報に関する既存の法令を見直す等、必要な措置を講じるものとする」としている。しかし、この規定は極めて不十分である。新聞・通信各社はこれまで「行政機関の保有する電子計算機処理に係る個人情報の保護に関する法律」(以下、現行法)の抜本的改正が急務であると指摘した。その理由として挙げたのは、現行法が規制対象を行政機関に限定し、裁判所、国会特殊法人を含めていないこと、また学校の成績や医療記録の例のように、本人からの開示請求であっても適用除外として不開示とされる項目が多過ぎること、電子情報以外の個人情報を対象外としていることなどである。
 不開示情報の範囲については、2001年施行の情報公開法においても、個人が識別されあるいは識別され得る情報は原則的に開示されないこととなったが、情報公開法要綱案の作成に当たった行政改革委員会は、本人情報については個人情報保護法で開示されるべきことを前提とした措置としている。したがって、現行法は遅くとも情報公開法施行までには速やかに改正されなければならず、そうでなければ本人情報が情報公開法でも、また個人情報保護法でも不開示されないという不都合な事態が生じることになる。
 国は、憲法13条に基づき個人の尊厳を保障する義務がある。また、国民は公的機関が自分の情報をどのような形で持っているかを知る開示請求の権利を持っている。しかし、現行法はその要請に十分にこたえてはいない。現行法には個人情報の管理や保護などについて、OECD8原則を守るべき法機関として明確に定めるとともに、適用除外規定を早急に見直すべきである。官民を包括する基本法制だからという理由で、公的機関を対象とする現行法を民間部門と同列に扱うのは、現行の見直しに消極的な姿勢と言わざるを得ない。
 以上です。

【園部委員長】何かほかに補足はありますか。
 それでは、今の御説明に関連して御質問をどうぞ。

【高橋委員】3ページのところで、(2)の中で情報の自由な流通への配慮が不十分と言われているのですけれども、ここで考えられていることは何かというのがちょっとわからなかったのです。例えば、企業などが顧客の情報などをいっぱい集めていて、それをどんどん流通させる方がいいと読めないわけでもないのです。
 情報の利用と保護とのバランスという点で、検討部会の中間報告よりもこの大綱案の方が後退しているという文脈でそういうことをおっしゃっていて、なるほどそういう読み方があったのかと、ちょっと虚を突かれた感じがしたのですけれども、私自身の理解ではむしろ中間報告のところで利用と保護のバランスといっているところがもう少し個人情報の保護の方を強調したような趣旨に理解していたものですから、表現の自由とか学問の自由のために考慮するというのは、その利用の問題とは違うと私自身理解していたのですけれども、皆様方の方ではそういう報道機関の方が個人情報を使うことが利用であり、それと個人情報保護とのバランスの問題だというとらえ方なのでしょうか。

【山口読売新聞社法務室次長】今おっしゃられたように、報道目的の個人情報、報道に使う場合と通常の個人信用情報あるいは顧客情報等の個人情報の利用とは異なると我々は思っております。ここで言っているのは、通常の個人情報の利用ということで見ても、利用と流通の両立ということをもう少し強く打ち出していただいた方がバランスのとれた法制化の道にかなうのではないかという趣旨です。

【高橋委員】報道機関が個人情報を扱うことも個人情報の利用だと。民間の営業の自由を行使している企業が個人情報を使うことも利用であるので、そういう点では違いはないのだと。

【山口次長】そうではないです。報道目的の個人情報と、営利に営業活動等に用いる個人情報とは性格が根本的に異なるというのが当方の意見の大前提です。

【高橋委員】私もそうではないかと思っていたものですから、ここを読んで少し虚を突かれた感じでした。

【杉野朝日新聞東京本社著作権管理センターチーフマネージャー】(2)のところで言っているのは、あくまでも報道目的ということとは別にして、民間部門の苦情処理というか、情報の利用一般についての話をしておりますので、そういう意味で今、山口が言ったように、情報の利用そのものの話をしているのです。それで、報道機関としてあるいは報道目的のという話をここで特にしているわけではありませんので、法の在り方としてそういう利用と保護というものを両立させるという、そこの目的をもう少し明確にした方がよかったのではないかという趣旨の話で書いております。

【小早川委員長代理】今日のヒアリングの主題は、報道機関と個人情報保護の問題かもしれませんが、今の点で(2)のところ。私も先ほどの御説明を伺っていて、ここは民間部門一般を問題にしておられるのですが、少し余計なことを質問することになるかもしれませんが、従来新聞各社の御意見として、ここまではっきり、民間部門一般について公権力ができるだけ介入すべきではない、自主規制に任せるべきであるということをおっしゃっていましたか。従来は確かに、政府保有の個人情報保護法制をもっと改善すべきである、それが急務であるということを強調しておられ、それと比べると民間の方はその次の問題だという位置づけであったことは承知していますが、今回のこのトーンはそれより更に一歩先に進んで、民間は余り規制をすべきではない、その一環としての報道機関はなおさらそうだという論法になって、少し従来とトーンが違うのかなという感じがしますが、いかがでしょうか。

【朝比奈毎日新聞東京本社編集局次長】この2番の問題はそのように受け取られるとしたらやや補足して説明しますが、この第2のところの民間部門の苦情処理は自主規制を基本とすべきであって、公権力が民間の苦情処理に介入することに関しては厳しく限定されなければならないと、ここまでの主張だとお読みください。中にはそのように書いてあるはずでして、民間の一般的な先ほどの個人情報、実は個人情報の範囲もいろいろあると思いますが、さまざまに今、必要とされている個人情報の流通というようなものを前提にすると、ここにお書きになられているような公権力が行政の調査権まで認めて、それを政府がやっていくのだというようなことを一般的に非常に強化している。これは中間報告の段階での規定よりも、より民間に対する規制の色合いが非常に強くなっているということに関して、あえて私どもはこの(2)で公権力が行政の調査権の行使とうたっていらっしゃいますが、より限定された、ここでの書き方としてはあくまでも例外的に行われるべきで、その対象は厳しく限定されなければならない。ここに意があるのだということを御理解願いたいと思います。

【秋吉部長】補足して申し上げますと、協会意見の3枚目の一番最後に「原則として」という言葉を入れておりますが、それは今、毎日の朝比奈が言ったことを表している表現だと我々は思っております。3ページの一番下は、原則として自主的な措置にゆだねるべきであり、原則として公権力が民間の苦情処理に介入する規定には反対せざるを得ないというようにお読み下さい。

【小早川委員長代理】ということは、民間という場合に特に、いわゆる信用情報機関なり、あるいは、また違いますが名簿業者なり、そういうものがいろいろ議論されているわけですが、それについて今回の案は厳し過ぎると…。

【朝比奈次長】今、信用情報とおっしゃいましたけれども、私どもがこの基本法の法制が個別の分野に関しての、例えば信用情報は個別法ということを想定していると思いますけれども、そうした個別法でこうした公権力の介入というようなものを規定すべきであって、そうではない分野にわたって、自主規制分野であると私どもが理解していた分野にわたって、このことを読みますと決定的なことはまだ決められていないという表現が多いものですから、私どもが誤読しているとしたら御勘弁願いたいのですが、政府機関が幅広く調査というような形で紛争処理に介入していくという余地を、私は中間報告よりは広げているような感じがします。
 それで今、信用情報というようなことをおっしゃいましたけれども、信用情報だったら個別法でおやりになればいいので、そういうことですよね。

【小早川委員長代理】個別法で必要に応じて公権力を介入させることは別問題だけれども、基本法で広く網をかぶせる形でやるのは問題だということを、今回、従来よりも強く強調されている。

【藤原委員】今の点ですけれども、私もこれを読んでおりまして、従来報道取材ということを強調していらしたのは非常によくわかったのですが、情報公開法のときも法律の目的規定にどういう文言が入るかについてはマスコミの方々は非常に注目しておられたと思うのですけれども、その中で検討部会の方がバランスがとれていたけれども、こちらは利用に配慮しつつ個人の権利利益を保護すると、これを目的規定に盛り込んだという点は、今の質問を受けて言うならば、もっと情報の流通が自由になった方がいいと、プレスの考えとしてはそちらに力点が移ったということでよろしいのですね。

【秋吉部長】もっと情報を自由にというよりも、これからの社会は情報の自由な流通が今以上に求められている社会になるわけですね。それを前提として、保護と流通のバランスをとる精神が必要であろう、理念が必要であろうということをここで申し上げているので、冒頭に書いてあると思うのですけれども、情報の自由な流通に一層配慮しろということを強調しているのではなくてどういう社会になっていくか、その中でバランスのとれた保護法の法制化をするべきであろうということをここで強調しているわけです。その表現としては、そのバランスの取り方が検討部会の中間報告に比べると若干大綱案の方は後退しているかなという印象を持っているということです。

【高橋委員】最初の質問と同じようなところをぐるぐる回っていると思うのですけれども、情報の自由な流通という言葉で理解されている点の共通な理解が欠けているのかなという感じがしているのですが、私が情報の自由な流通という言葉を聞くと、恐らく報道関係を頭に置いて考えていらっしゃるのだろうなと思っていたら、ここの文脈ではそうではない。
 つまり、情報というのは報道に関連した情報もあれば、企業の営業活動に関連した情報もあるわけですね。それで、利用と保護の調整を図るという場合に、私が主として頭に置いていたのはそういう営業活動の情報であって、報道関係というのはそれとは別個に報道側の自由が規制されることのないように考えなければいけないという別枠で考えていたのです。ところが、ここのところではどうもそうではない。情報の自由という中に両方引っくるめてお考えになるのだなという感じを受けたのです。それで最初の質問をしたのですけれども。

【杉野マネージャー】民間企業の活動の自由という中に情報の自由な流通、それを利用してという活動も含まれるわけですが、そういったものは当然確保されなければいけない。その場合に、一方で個人の尊厳というような問題が出てくる。個人情報の保護という問題がある場合にはそこをもちろん考えなければいけないわけですが、基本的には個人情報の保護ということでもって余りにも情報の自由な流通が阻害されるようなことになってもいけない。そういう意味でバランスを考えるべきであると。一般の情報についてそうであるので、我々としては報道に関するものについては更にそれ以上に神経を使うべきであるということで、これ以下の主張になってくるわけです。そこはやはり同じもので一緒に考えていくよりも、とりあえず一般論として民間の情報の自由な流通ということをきちんと考えていただきたい。更に、その上に立って報道というのはより一層の情報に対して自由なアクセスなり、使い方なり、そういったものが必要ですと、そういう主張をしているということです。

【高橋委員】ですから、企業などが情報をたくさん集めているわけですね。それは別に信用情報等ではないほかの分野でもやっているわけで、従来よりももっとそこのところを強調するという趣旨ですか。

【杉野マネージャー】従来よりもというか、あくまでもここはここの表現でお読みいただければと思うのですが、中間報告のときの印象と、この大綱案の中間整理の印象とでは、我々の解釈が間違っていればごめんなさいという話であるのですけれども、印象としてそういう印象を受けたものですからここで申し上げているわけです。

【高橋委員】皆さんの解釈の方が正しいかもしれないですけれども。

【堀部座長】何回も御意見を伺っているところなので改めてということになるのかもしれませんけれども、前から議論になっていることで、今日は直接は触れていないと思うのですが、新聞社の場合、販売店のところで個人情報をたくさん持っていますね。それについては、こういう基本法制ができて、事業者が遵守すべき事項として11項目挙がっていますが、その点はどのように考えられるのか。これもすべて除けと言うのか。

【山口次長】我々がこの意見書で報道目的の個人情報と書いている、その範囲のことをお尋ねだと思うのですけれども、まず前提としては、報道というのは特に新聞を想定して言うと、読者に届けられて達成される。したがって取材、制作、それから配達と、そこまでのプロセスが報道だというのが出発点なのです。
 けれども、個人情報という切り口で見ていくと、個人情報を仮に便宜的に分けると、報道関連の個人情報と民間の一般の個人情報と、極めて不正確な表現ですけれども、便宜的にそうやって2つのカテゴリーに分けると、新聞販売店が持っている顧客台帳、顧客情報というのは報道に関わってはいるけれども、民間一般の個人情報に通じる性質もあるということは感じております。

【小早川委員長代理】先ほどの議論のやりとりなのですが、一応かなりわかったのですけれども、検討部会とこの専門委員会とでシフトしたとおっしゃるのですが、そこは1つは検討部会は問題全般を扱ったのに対して、この検討部会は基本法制の在り方を考えるということなのです。ですから、先ほど言われたようにこのペーパーも基本法の問題と、それから個別法を含めた全体の在り方の問題を区別しておられるので、同じことが検討部会とこの委員会との間でもやはりあるわけです。そこは余りごっちゃにするとお互いに議論が混乱するかなという、これはコメントです。

【朝比奈次長】言葉の解釈で言いますと、これは蛇足になるかもしれませんが、「適正な利用に配慮しつつ」という表現と「利用の有用性とのバランスを」ということで言えば、やはりそれはどちらが力点を置かれたかという印象を持つというのは当然ではないでしょうか。ですから、これが保護の方に偏っているという印象を私たちは持った。そうでないという先ほどの御質問だったように思いますけれども、言葉の印象としてはそのように受けるというのが1つあるのと、先ほど言いましたように行政調査権が非常にきちんと書いてありますけれども、これが一般分野、いわゆる自主規制分野まで広げられていくと、行政調査権の行使の範囲が非常に無限定に広がるのではないかという心配をするわけで、ここはセットでの表現だと御理解願いたいと思います。

【高橋委員】おっしゃる意味はよくわかりました。ただ、「適正な利用に配慮しつつ」というのと比べた場合、私の解釈が統一解釈ということではないのですけれども、私自身が考えていたのは、営業用の個人情報を主として考えていたものですから、営業用の個人情報を利用することを重点に置き過ぎないで、むしろ個人の情報を保護する方を多少中心にすべきではないかと、私自身はそういう感じを持っていたものですから、ここのところは適正なと表現を変えているのは、その点では営業用にどんどん使っていいということではなくて、むしろ個人情報を守るということを基本にしながら、しかし営業用も配慮するのですよという趣旨に私自身は読んでいたものですから、こう言われたことについて、そういう読み方もあったのかなとちょっとびっくりしたという趣旨なのです。
 ただ、私は報道のための個人情報をどう考えるかというのはこれとは別枠の、もっと違う外から考えるという枠組みだったものですから。

【朝比奈次長】ですから、私どもも報道の部分は(1)でやってありますので、(2)で是非(1)の議論をしていただけると今日来た甲斐があります。

【園部委員長】わかりました。それでは、時間になりましたのでこの辺で終わらせていただきますが……。

【朝比奈次長】時間になってしまったわけですけれども、私どもは実は(1)で詳述していますように、報道目的という言葉が実は適切なのか、あるいは表現の自由あるいは報道の分野とした方がいいかとは思いますが、よくお考え願いたいのは、この原則も規律もそうですが、報道の分野にもしこれが適用されることになりますと、報道のための取材も含めての私どもの仕事全般にわたって大変な萎縮効果もたらしてしまうということは是非御理解願いたい。何ならば新聞社に先生たちをお迎えしますから、1週間でも現場を見ていただいて是非御理解願いたい。
 これは非常に重大なことでして、冒頭の方で、対象外にしてほしいと言っているのは、言葉の上だけのことを言っているのではなくて私どもは非常に切実にこれは危険だと思っています。これが個人情報保護法でこの原則、例えば透明性などの原則も含めて適用されるということがあまねく知れわたったときに、個人情報保護法があるから私どもはこの件に関しては取材に応じるわけにはいきませんというような取材される側の人たちの萎縮というものを含めて生じてくると思います。そういう意味では先日、表現の自由、学問の自由等に配慮するという言葉が付け加えられましたが、このことは最初からあるべきだったのではないでしょう。1週間前にはなかった言葉が1週間後には付け加えられるというような、そういうような認識でこの問題を扱われるということは私どもは本当に心配しているのです。是非適用の対象外という規定を冒頭の方に付けていただきたい。

【杉野マネージャー】規律ごとということではなくて、包括的にということで冒頭にということをここでは強調しておりますので、是非そこの点をお考えいただきたいと思います。

【朝比奈次長】日々、報道の現場で仕事をやっておりまして、私どもの職業のエゴで言っているわけではなくて、本当にこれは日本の社会のためにも必要な部分だと思いますので、委員の先生たちも是非御理解願いたいと思います。

【山口次長】個人情報の用語で言う収集というのは、報道の分野ではそれはまさに取材に当たるわけですね。それからね利用というのは報道に当たる。これは報道の活動では取材、報道というのは核心中の核心であります。ですからそこに法律の規制が及んで、更には政府の調査権も及んでくるということに対して我々は敏感に反応せざるを得ないということです。
 それから、先ほど堀部先生の方から販売店の営業情報に関してお尋ねがありました。これについての追加をさせていただきます。先ほど、販売店の顧客情報は仮に報道関連の個人情報と民間一般の個人情報と2つに分けた場合、民間一般の個人情報に通じる面があろうということを申し上げましたが、ただ、完全にイコールではないと思っております。どこが違うかというと、報道の受け手、読者にとっては知る権利に関わっている。新聞ごとに論調の違いはありますし、更には特定の政党機関紙のように政治的な立場が非常に明確な新聞もある。それを購読しているという個人情報は、報道の受け手の自由に関わってくるのではないか。販売店にとっては営利的な情報かもしれないが、読者にとっては思想信条の自由に関わってくるのではないか。そういう点が、民間の一般の部門とは違うのではないか。だから、仮に新聞販売店の顧客情報がこの基本法の適用対象となった場合でも、政府の調査権の対象とされることは好ましいことではないだろうと考えておりますので、そこの点も付け加えさせていただきます。

【園部委員長】それでは予定の時間となりましたので、日本新聞協会からのヒアリングはここまでといたします。秋吉編集局次長ほか御出席の方、本日はどうもありがとうございました。御主張は切実に受け止めます。

(日本新聞協会関係者退室)

【園部委員長】以上をもちまして本日の会合は終了させていただきます。次回の会合は7月21日金曜日午後2時から5時30分まで、総理府の5階の特別会議室で開催いたしますので御出席よろしくお願いいたします。次回の会合は、学識経験者と関係団体からのヒアリング第3回目を予定しております。
 本日はどうもありがとうございました。