配付資料

資料2

個人情報保護基本法制に関する大綱案についての意見

7月14日
消費科学連合会
原  早苗


 個人情報保護に関する基本法の制定を、広く国民から意見を求めたうえで制定することを求めます。
 大綱案に掲げられた「目的」は「個人の権利利益を保護すること」が法律の目的として明記されており、評価したい。そのうえで、細目について意見を述べます。

1.「2.定義」について

 (1)「個人情報」の定義について、「当該個人の識別が可能な情報」としているが、住所、氏名のようなものにとどまらず、組織での肩書きのようなものをどうするのか。肩書きでも個人が特定されうる。

 (2)「個人情報」は、「マニュアル処理のうち検索可能な状態で保有されているものを含む」とすると、確かに範囲は広がるが、逆に検索不可能な情報で保管するという抜け道を残すことにならないか。

2.「3.基本原則」について

 (1)「(1)利用目的による制限」のうち、「第三者に対する目的外の提供の制限」は、引き続き検討するとなっているが、原則禁止とすべきではないか。

 (2)「(2)内容の正確性の確保」は、当然収集した側に責務があると考えるが、正確性を確保するためのアクセス権、訂正権の明示は必要ないか。また、正確性のなかには「最新性」も含まれると考えるが、それは、どのように検討されたのか。
 また、期間制限のようなことは考えられないか。

 (3)「(3)適正な方法による取得」の「適正」とは何を指すのか。もっと具体的に明示できないか。目的を隠した形での収集は確実に制限されることになるのか。さらに、子どもからの収集・利用については禁止とすべきではないか。

 (4)「(5)透明性の確保」については、言わんとしていることがよくわからない。おそらく「可能性」という文言の意味が読み取れないからだと考える。開示、訂正、削除の請求権として構成すべきではないか。

3.「4.政府の措置及び施策」について

 (1)「(5)苦情等の処理」では、政府が必要な調査を行なうことができるものとするとなっているが、政府のどの機関がやることをイメージしているのか。できれば、新たな第三者機関としての苦情処理機関の設置を望む。また、調査を行なうとして権限はどういう形で付与されるのか。
 処理にあたっては、「勧告」を行なう仕組みが望ましい。

4.「5.事業者が遵守すべき事項」について

 (1)「(1)利用目的による制限」は、注記にあるように「個人がその利用目的を容易に理解できることが望ましい」が当然であり、条文上も明記してほしい。

 (2)「(2)第三者への提供」は、「個人の権利利益を侵害するおそれの無いことが明らかな場合等を除き、本人の同意を得て行うこと」となっているが、これがどういった場面を指すのかよくわからない。「おそれの無いこと」を誰が判断することになるのか。「基本原則」にならう形でいいのではないか。
 また、「(4)適正な方法による取得」にも「個人の権利利益を侵害するおそれの無いことが明らかな場合等を除き」となっている。これも同様にわかりにくい。

 (3)「(5)安全保護措置の実施」に掲げる「個人情報安全管理者」のイメージがわかないが、ある程度の管理資格とするのか、管理責任者の明示といったことになるのか、わかる形にしてほしい。

 (4)「(6)第三者への委託」は、監督義務を尽くしているときは免責してよいかとなっているが、契約書を交わしたり、定期的にチエックすることなどで監督義務を果たしたとするのなら不十分。最終的に保護措置が図られていることが責任を果たしたということになるので、完全な免責はないと考える。

 (5)「(8)開示、訂正等」は、「本人から開示を求められたときは、一定の場合に、その個人情報を開示すること」となっているが、この場合の「一定」とは何を指すのか。開示を求められた場合は応じるという請求権で構成すべきと考える。
 手数料などその方法についてもアクセスしやすい工夫が必要だと考える。
 当然、不開示の場合の理由も提示する。

5.「7.国民の役割」について


 国民も個人情報保護の意識を高めることは大切だが、条文に明記する必要はあるだろうか。「適切な管理に努めるものとする」の規定が、どう及んでくるか予測できず、軽軽に組み込むべきではないと考える。

6.「8.その他」について

 (1)「(1)適用対象範囲」について、「表現の自由、学問の自由等に十分留意する」となっているが、個人情報保護は、それらを否定するものではない。しかし、「表現の自由、学問の自由」が、そのままそれらの事業者を適用外とするものではないはずである。個人情報の区分けはできるはずで、それぞれの対応が考えられる。さらに、報道の自由の課題もあるが、報道機関による基本法に基づいての自主的なガイドライン策定は考えられうるし、努力に期待したい。

 (2)「(3)個人情報の漏洩に関する罰則の可否」については、軽重に関わらず、社会的抑止力としても必要ではないか。刑事法制の延長として組み立てることは可能と思う。

 (3)「(4)第三者的な苦情・紛争処理機関の設置」については、行政、事業者とも国民に身近なところで設置することを第一義とし、最終的には、それらの判断に不服がある場合に申し出ることができる第三者機関が必要と考える。調査権限をもち、勧告や是正命令を出せるように位置づける。

 (4)「(5)条例に関する規定」については、地方公共団体の自律性を尊重しつつ、本基本法制との整合を図る観点から検討するとなっているが、検討主体は地方公共団体にあるとしてほしい。また、先進的な取り組みは、現行法の見直しのなかに取り込んでいただきたい。

 (5)「その他」に検討項目として入っていないが、宗教や思想、門地などセンシテイブ情報の収集は制限すべきではないか。

 (6)個人情報保護と情報公開法との抵触する部分についても、明確な説明が望まれる。

 (7)現行法の見直し、個人信用情報、医療情報などの個別法の検討、制定を急ぐべきである。

 いずれにしても、検討課題が多く残されており、ヒヤリング、パブリックコメントを求めたうえで、さらに集中的に開かれた議論が必要と考える。

以  上