個人情報保護法制化専門委員会

第21回個人情報保護法制化専門委員会議事要旨



1 日 時:平成12年7月14日(金)14時〜17時30分

2 場 所:自治総合センター 大会議室

3 出席者:

園部逸夫委員長、小早川光郎委員長代理、上谷清委員、高芝利仁委員、高橋和之委員、新美育文委員、西谷剛委員、藤原静雄委員、堀部政男個人情報保護検討部会座長
※遠山敦子委員は所用のため欠席。

(事務局)
藤井昭夫内閣審議官、小川登美夫内閣審議官

(関係団体)
全国消費生活相談員協会:理事長 藤井 教子
消費科学連合会:事務局次長 原 早苗
全国銀行協会:常務理事 鵜飼 克
全国信用情報センター連合会:副会長 平野 征人
株式会社シー・アイ・シー:専務取締役 原田 實
日本医師会:副会長 小泉 明
常任理事 櫻井 秀也
常任理事 西島 英利
参与(弁護士)奥平 哲彦
日本民間放送連盟:日本テレビ放送網 報道局長 石井 修平
東京放送 報道局編集主幹 植田 豊喜
日本テレビ放送網 報道局次長 林 樹三郎
テレビ朝日 報道局コメンテーター室長 今村 千秋
テレビ朝日 情報局情報番組センター長 渡辺 興二郎
フジテレビジョン 報道局報道総務 大林 宏
テレビ東京 報道局次長 藤延 直道
日本放送協会:総合企画室 [経営計画] 統括担当部長 大島 敏男
報道局編集主幹・報道局取材センター長事務取扱 諸星 衛
日本新聞協会:朝日新聞東京本社 著作権管理センターチーフマネジャー 杉野 信雄
毎日新聞東京本社 編集局次長 朝比奈 豊
読売新聞社 法務室次長 山口 寿一
日本経済新聞社 編集局次長兼社会部長 秋吉 穣
東京新聞 編集局次長兼社会部長 山田 哲夫
産経新聞東京本社 編集局次長兼社会部長 笠原 文夫
共同通信社 法務部長 土方 健男
時事通信社 法務室 主査 山本 智
北海道新聞 東京支社編集局長 鎌形 敏雄
新潟日報社 東京支社報道部長 武藤 斌

4 議 題
(1)関係団体ヒアリング
○ 全国消費生活相談員協会、消費科学連合会
○ 全国銀行協会、全国信用情報センター連合会、株式会社シー・アイ・シー
○ 日本医師会
○ 日本民間放送連盟
○ 日本放送協会
○ 日本新聞協会
(2)その他

5 審議経過

(1)関係団体ヒアリング

@全国消費生活相談員協会、消費科学連合会
 全国消費生活相談員協会及び消費科学連合会より、資料1及び資料2に従って説明があり、質疑が行われた。質疑の概要は以下のとおり。

○ 資料1の最後に「第三者的な苦情・紛争処理機関の設置について」とあるが、実際に消費者相談に乗っていて、どのようなものが理想的だと考えるか。
→ 国が関連した形で第三者的に苦情や紛争を受け持つ窓口の設置が必要なのではないか。
→ 実際には個人情報だけの被害というより、他の被害と不可分の関係になっている場合が多く、個人情報だけを取り出した苦情処理機関では対応が難しいのではないか。
→ 事業者団体や行政がそれぞれ苦情処理を行い、その中で個人情報に特化したトラブルであって非常に解決困難なものが独立した第三者機関に最終的には上げられる形が良いのではないか。

○ 個別の事例を挙げてもらえれば、それが抽象的な表現に該当するか否かを考える材料になると思うので、今後とも情報提供をお願いしたい。

○ 子どもからの収集を制限すべきとのことだが、「子ども」をどの程度のイメージで捉えているのか。
→ 学習塾関係やビデオレンタルなどでは非常にルーズに情報収集を行っているところがある。少なくとも中学生ぐらいまでは制限すべきではないか。

A全国銀行協会、全国信用情報センター連合会、株式会社シー・アイ・シー
 全国銀行協会、全国信用情報センター連合会及び株式会社シー・アイ・シーより、資料3、資料4及び資料5に従って説明があり、質疑が行われた。質疑の概要は以下のとおり。

○ EU−米の合意と足並みをそろえた形で個人情報の取扱いをすべきとのことだが、自主規制に違反した場合には米のFTCによるインタベンションのようなものを想定しているのか。また、それがないとすれば自主規制に違反した場合、どのようなサンクションを考えているのか。
→ 政府によるインタベンションではなく、業界が設置する第三者を入れた監視機関が行うことを想定している。サンクションとしては、すでに勧告、利用停止、場合によっては契約解除という方法があるが、今後さらに検討していきたい。

○ それでEU指令の要請するレベルになると考えているか。
→ そうなると考えている。中間整理では政府による調査、勧告という仕組みも考えられており、どのような組み合わせがあり得るのか、これからの検討課題ではないか。

○ EU−米でもう少し強い形で決着が図られれば、当然それが最低のレベルになるということか。
→ 国により国情も異なることから、必ずしもそうはならないのではないか。

○ 資料中の「国際協調」とはどの様な趣旨か。
→ 個人情報の流通については、政府間の合意がどのようになされるか、お互いにどこまで認め合うかという話になるが、それが国により余りにも違った形にならないよう一定の調整がなされなければならないという趣旨である。

B日本医師会
 日本医師会より、資料6に従って説明があり、質疑が行われた。質疑の概要は以下のとおり。

○ 医師が患者の情報を研究に利用するということで診療と関係無いところに流すことは、正当か不当かはともかく、医の倫理綱領に違反することになるのではないか。研究者の立場を優先すれば、治療者としての倫理と矛盾する行動を容認することになるのではないか。
→ 相互に矛盾するとは解釈していない。ヒポクラテス以来の守秘義務は守りつつ、個人情報を十分保護した上で、公益性あるいは学問の自由の観点から考えるべきではないか。

○ 診療記録等には、診療従事者の主観的評価、感想などを記載した部分があり、これは個人情報の範囲に含めるべきではないとのことだが、個人情報の範囲から除外する方法もあれば、開示、訂正等について除外する方法もあり、どちらの方が適切と考えるか。
→ 例えば、診療記録等には、誤診や見落としをしないように様々な病名を疑いという形で書いている。氏名や生年月日など普通に得られる情報であれば問題はないが、そういう内容も含まれているということを理解いただきたい。

○ 主観的評価などは医師としての立場で記述されたものであり、誤りというわけではなく、訂正する必要はないのではないか。

○ 「適正な方法による取得」について、適用除外を考える場合に地域がん登録等は該当すると考えていたが、中間整理で問題があるとすればどこにあるのか。学会報告等についても、個人を識別できない形で行われれば問題はないのではないか。
→ 当方の考え方を再度強調したということであり、そのような考えであれば、是非そのようにしていただきたい。

○ 例えば、遺伝子検査の結果をどのように取り扱うのかといった問題が今後出てくると思うが、医師会においてその取扱基準を自主的に検討する場合、どのようなものを考えているのか。また、個別に適用する際の個別審査について、何か制度的なイメージがあるのか。
→ どの範囲で公益性を優先させるべきかを考える必要がある。遺伝子情報については、疾患に直結するような遺伝子の解明はこれからであり、一定の公益性あるいは研究の自由と個人情報の保護という点で一線を画するにはもう少し時間が必要なのではないか。

○ 個人情報の診療目的以外での利用はどこまで許されるのか、その場合に情報漏洩等を防ぐための基準はどうあるべきなのか。そういう意味で手続的な基準を自主的に作成することを考えているか。
→ 情報漏洩等については、個人情報の保護という観点から比較的その基準づくりは出来上がっているのではないか。
→ 研究目的での利用は、国際的な問題であり、少なくとも日本が他国に比べてより厳しく制約されるようなことがあってはならないと考えている。

○ 既に行政機関の個人情報保護法や条例が制定されているが、これらが適用されているところで様々な支障が生じているという例があれば、お示しいただきたい。

○ 診療情報の提供に関する苦情の内容や応対の結果などについて、まとまった段階で情報提供してもらいたい。

C日本民間放送連盟
 日本民間放送連盟より、資料7に従って説明があり、質疑が行われた。質疑の概要は以下のとおり。

○ 報道機関としての活動を対象外として欲しいとのことだが、その範囲はどこまでか。資料に記載のある「取材・報道活動」及び「一般の番組制作活動」のほか、具体的にどのような活動が含まれるのか。
→ 一般の番組制作活動に関しては、表現の自由の中核は報道の自由だが、これを広げるとするとそれ以外の番組も表現の自由の中に当然含まれるものと考えている。ニュース番組以外は該当しないとは考えていない。基本的にはテレビ局が視聴者に提供する番組は表現行動であり、同じような意味を有すると考えている。

○ 放送関連の事業あるいは放送を補助する事業も含まれるのか。
→ 報道の自由に絡むものは全て含まれる。

○ 副業、あるいは関連事業は含まれないのか。
→ 民放全体での統一見解ではないが、ほぼ共通の認識として、報道の自由あるいは表現の自由を下支えするものは含まれると考えている。

○ 報道等には非常に間接的に関わるものであっても、営業収入を上げるものは全て下支えするという趣旨か。
→ 外部からは報道活動、営業活動と異なって見えるかも知れないが、いずれも報道の自由、表現の自由をトータルで支えるものであり、全体の仕事としては同じであると考えている。

○ BRCに個人情報保護に対する苦情を明確な形で位置づけることを考えているか。
→ 民放連の統一見解ではないが、BRCの現在の基準の中に個人情報保護が含まれるとは考えていない。個人情報の保護は広範に過ぎ、かつ、BRC設立の趣旨と異なる。個人情報に関するクレーム処理は各放送会社が社内的、自主的に行うべきであると考えている。

○ 他国では個人情報保護立法が既に行われ、マスコミも法の対象となっているが、我が国の放送業界は、他の国と異なり、一方的に表現の自由を強調し、全くの法の対象外であるべきと主張するのは、国際基準という観点からみて、我が国としての何か独特の理由があるのか。
→ ジャーナリズムの社会的機能はそれぞれ国により異なり、直接的な比較は困難である。先進諸国でも、報道機関の報道活動的なものの位置づけについては、日、欧、米でそれぞれ独自の発達を遂げており、比較論は難しい。米では合衆国憲法修正第一条による強力な下支えがある。プラス・マイナスの比較を行い出すと大変難しい。

○ 法の対象外というとき、それは放送だけを想定しているのか。出版やミニコミについてはどう考えるのか。
→ 新聞協会、雑誌協会については、対象外とすべきという主張で一致しているのではないか。NHKも同じ趣旨ではないか。個人的にはミニコミ、出版もすべて基本的には法の対象外とすべきではないかと考える。

○ 条文に書くのは難しいが。
→ しかし、出版、ミニコミ、テレビ、新聞、マスコミなど様々あり、全てを一括してくくり、基本法の対象内とするのも難しいだろう。

○ 事業体や活動の内容で分けるなどの議論もあるが。
→ ミニコミ、出版が違うものだと言っているのではない。報道の自由、表現の自由というものが、民主主義を支える重大な理念として具体的に表現している手段としては等しく共通である。
→ 法の対象の区分は報道目的という活動であり、機関や組織による区分は考えていない。

○ 報道目的で一括除外するという主張について、内容の正確性の確保など適用しても問題のない部分もあると考えられ、なぜ各規律ごとに適用を除外するのは不可能であるという結論となったのか。また、一般の番組制作や、それ以外の事業も全て法の対象外とのことだが、この主張は、表現の自由及び個人情報の保護という共に重要な権利の調整を考えたとき、報道機関については一括除外であり、それ以外については厳重に保護が必要であるという主張と整合的といえるのか。
→ 各規律項目が相互密接に連関している一つの流れであること、及びメディアの自主・自律が重要であり、他から規律されるべきではないことが挙げられる。例えば、違法となる場合を除き、収集は自由にできないと取材活動が成り立たない。また、開示が強制されると、取材対象者との信頼関係が崩れ、取材や報道が極めてやりにくくなる。

○ 取材源の秘匿は重要であると考えているが、個別に適用が困難な規律を除外するのではなく、なぜ「一括に」対象外としなくてはならないのか。
→ 中間整理の5原則を細かくケーススタディした結果である。

○ 当専門委員会が見落としているような箇所で、一括して適用除外としないとうまくいかないのはどこか。
→ 例えば管理については、行政機関の調査とセットで考えると、管理の点で問題があるとして、ここから辿って取材源にまで行き着き、取材活動が制約されることが考えられる。

○ 調査についてはどの程度まで認めるかはっきりしていないが、税務調査のように法的な応答義務を課してまでの調査は難しいと考えられる。せいぜい公表ぐらいだろうが、それに対しては報道機関は抵抗し、その中で国民の支持を得られるかどうかだろう。具体的に何がそれほど問題なのか。
→ ある雑誌の「検閲の歴史」という特集を見ると、戦前は当時の法律に従って、絵画、彫刻や音楽にまで検閲が及んだことがある。行政のアプローチがありうるというだけで、報道活動に対し重要な牽制となる。こういう観点から対象外としていただきたい。
→ 取材源の秘匿については、倫理として法廷の場でも貫いているが、法的に制度的な保障があるわけではない。個別の法制度があっても、言論機関が抵抗するのは確かだが、放送法第1条で、放送の自律を保障することによって、放送による表現の自由を確保することとされており、この点が一般の業態との相違点ではないだろうか。

D日本放送協会
 日本放送協会より、資料8に従って説明があり、質疑が行われた。質疑の概要は以下のとおり。

○ 法の対象外とする場合、報道機関の取材だけではなく、取材の対象が取材に応じる場合も対象から外すことを求めているのか。
→ 取材はあくまでも報道目的であり、この括りで除外ができないだろうか、ということである。

○ 取材対象者についても個人情報保護の対象から外すということか。
→ 問題設定の仕方いかんであり、取材対象の本人に接触できないこともあり、第三者から情報収集しなくてはならないこともある。

○ 報道機関に義務を課すなということだけではなく、報道機関に個人情報を提供する側についても義務を外せと言うことか。
→ 規制する方向でばかり考えていると、活力ある民主主義社会が達成できないのではないか。

○ 第三者への提供という場面で、適正な方法による取得の趣旨からすれば、第三者から取得することが必要かつ合理的な場合については除くということか。
→ 取材に協力していただける側のリスクが高くなるようなことを、懸念せざるを得ない。ただ、これは報道機関が主体として取材する場合とは少し異なるだろう。

○ 今でも就業規則等により守秘義務があるところもあり、同様の問題は起きているのではないか。
→ そこは取材する側の腕の見せどころであり、公益性の問題が絡んでくる。情報が外部に出た方が会社にとって利益のある場合もある。規制する法律があるので情報を提供できません、とされるのが困るのである。
→ 一義的には、報道機関が取材する場合での、法の対象外を主張している。

○ 取材活動が阻害される、あるいは言論機関に対する萎縮効果があるのは分かる。しかし民放連も同じだが、法の対象外とする場合、取材・報道活動ではなく、およそ報道機関の関連する事業はすべて適用除外であるという主張もあり、この場合、NHKが主体となる活動は全て対象外ということか。
→ これは問題設定の仕方の問題である。

○ 取材が守られれば良いのか。
→ 報道機関としては、できるだけ自律的に活動したいのであり、何らかの強制の働くものは避けたい。受信契約についても自律的に活動する上での基盤であり、一体として捉えたい。受信契約情報については、ガイドラインを作成してきちんとやっており、従来トラブルも生じていない。これからも自主的にやらせていただきたい。

○ 他の関連業務もやっているようだが、関連業務も含め、NHKは他の事業者と異なり法の対象から全く除外されるとするのか。また、自主的にやっているとのことだが、安全保護措置を講じてきちんとやっているときに、自主的にきちんとやって下さいという規定が入っても問題はないのではないか。
→ 政府の調査や苦情処理の対象となれば、自主性が完結しないのではないか。

○ 安全管理のみで調査や苦情処理等から切り離されるとしたら、何も困ることはないのではないか。

○ BRCも人権という名を掲げているので、個人情報のうち重大なものについても対象とし、政府の関与をBRCと切り離して考える場合はどうか。
→ BRCに持っていくか、裁判に持っていくかは被害を受けた方の事情の問題となる。裁判となったものはBRCの対象とならない。BRC自体は様々な機能強化の方策を自主的に進めている。

○ 安全管理について適用される場合、何らかの支障が出るのか。
→ 政府の苦情処理、調査の対象として残るのであれば、行政のメカニズムに組み込まれることになる。自主的な措置としては完結しない。

○ 仮に管理だけを切り離して考え、政府の苦情処理、調査の対象とならないとした場合はどうか。
→ 規定を見てみないと何とも言えないが、考慮に値する。

E日本新聞協会
 日本新聞協会より、資料9に従って説明があり、質疑が行われた。質疑の概要は以下のとおり。

○ 「情報の自由な流通への配慮が不十分」との主張だが、企業が集めた顧客情報がどんどん流出して良い、とも受け取れる。中間整理では個人情報の保護を強調した主旨として理解したつもりだった。報道機関としては、報道機関の個人情報の使用は、「利用」であり、これと個人情報保護のバランスの問題ととらえているのか。
→ 報道目的での使用と、信用情報、顧客情報の利用とは異なるものと考えている。ここでは通常の個人情報の利用についてみても、もう少し利用と流通の両立を打ち出した方がバランスのとれた法制となるという趣旨である。

○ 報道機関が個人情報を扱うのも利用であり、民間部門が営業の自由を行使して個人情報を扱うのも利用であって、その点では違いがないということか。
→ 報道目的の個人情報と営利目的の個人情報では根本的に異なる、というのが当協会の意見の前提である。
→ 資料中(2)は情報利用一般についての話である。報道目的は別である。

○ 「情報の自由な流通」についての共通の理解が欠けているように見受けられる。私が情報の利用という場合には営業用の情報を念頭に置き、報道機関の情報は別途考えなくてはならないと思っていたのだが。
→ 一般論として、民間の情報の自由な流通が図られなくてはならない。その上で、報道については更により一層の情報への自由なアクセス、使い方が必要であると主張している。

○ 企業が個人情報をたくさん集めているが、その点を従来よりも重視するという趣旨か。
→ 中間整理では、印象として検討部会中間報告より保護に重点が置かれているように受けとれたので、資料のような表現になっている。

○ 自分としては、企業の営業用の個人情報を主として考えていたが、営業用の個人情報を利用することに重点を置きすぎないで、保護する方に重点を置こうと考えていた。表現を変えているのは個人情報を保護することに重点を置きたいという趣旨である。報道機関の個人情報については別の枠組みで考えていた。

○ 資料中(2)は民間部門一般を対象としているが、従来、新聞各社の意見は民間部門一般についてここまで自主的措置に委ねるべきとは言っていなかったのではないか。民間はあまり規制すべきではなく、その一環として報道機関はなおのこと規制すべきではないとの主張は、従来の主張と少し異なっているように思えるがどうか。
→ 資料中(2)は、民間部門の苦情処理は自主規制を基本とすべきであって、公権力が民間の苦情処理に介入することに関しては厳しく限定されなければならない、という趣旨である。一般的に公権力の調査権まで認めることは、検討部会中間報告と比べて民間への規制色が強くなっている。「政府の調査権の行使はあくまで例外的に行われるべきで、その対象は厳しく限定されなければならない」という点に重点を置いている。
→ 「原則として」苦情処理は民間の事業者に委ねるべきである、としているのも同旨である。

○ 民間というときに、信用情報分野や名簿業者等に関しても厳しすぎる、ということか。
→ 個別法で規定する場合についてまでは言っていない。基本法で一般的に自主規制に委ねられる分野にまで、政府機関が幅広く調査権限により苦情処理に介入できるように読めるので、この点で中間報告に比べて広げているように感じられる。

○ 個別法で必要に応じて公権力を介入させるのは良いが、基本法で広く網をかぶせるかたちは反対であるということを、従来より強調しているということか。
→ そのとおり。

○ 目的規定に関連して、もっと情報の流通が自由にできた方が良く、そちらに力点が移ったと解して良いか。
→ これからの社会は今以上に情報の自由な流通が図られねばならないだろうから、そのような社会を前提に、バランスのとれた法制度を作っていくべきであると主張している。そしてその表現が、中間整理の方が検討部会中間報告よりも後退しているということである。

○ 検討部会と当専門委員会とでは扱っている対象が違う。基本法制と個別法を含めた全体の問題を混同すべきではないのではないか。
→ 目的規定の言葉の印象を考えると、保護の方に力点が置かれていると感じられる。また、行政機関による調査権限が一般分野いわゆる自主規制分野まで広がると行政調査権限が無限定に広がる。この双方の理由により、このような表現となったと考えていただきたい。

○ 新聞販売店の保有する個人情報について、事業者の11項目の適用はどう考えるのか。
→ 前提として、「報道」は読者に届くことで達成されるので、取材、制作、配達のプロセスまで考えている。個人情報を大きく報道関連のものと民間一般と区切ると、新聞販売店の顧客情報は報道に関わるが、民間一般に通じるものと感じられる。
→ 情報の収集、利用は取材、報道にあたり、報道活動の核心部分である。それ故に敏感に反応せざるをえない。販売店の顧客情報については、民間一般の個人情報に通じるものがあるが、完全にイコールとは考えていない。読者にとっては知る権利に関わる。新聞ごとに論調の違いがあり、また政党機関誌のように思想・信条に関わるものもあり、報道の受け手の側の思想、信条の自由に関わってくる。したがって、仮に販売店の顧客情報が法の適用対象となった場合にも、政府の調査権の対象となるのは好ましくないと考える。
→ 報道目的又は表現の自由については、原則にせよ、規律にせよ、これが適用されるなら、報道、取材を含めての活動全般にわたり大変な萎縮効果を呼んでしまう。法が制定されると取材される側の萎縮も含めて生じる。したがって、法の冒頭で適用対象外としていただきたい。我々は非常に切実に危険だと思っており、報道の現場だけでなく日本の社会全体にとってそう思う。

(次回の予定)
 次回は、7月21日(金)14時から17時30分まで、総理府5階特別会議室で開催し、学識経験者・関係団体ヒアリングBを行う予定。

*文責事務局

*本議事要旨の内容については、事後に変更の可能性があります。

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