個人情報保護法制化専門委員会

第24回個人情報保護法制化専門委員会議事要旨



1 日 時:平成12年9月8日(金)14時〜17時

2 場 所:総理府5階特別会議室

3 出席者:

園部逸夫委員長、小早川光郎委員長代理、上谷清委員、高芝利仁委員、高橋和之委員、遠山敦子委員、新美育文委員、西谷剛委員、藤原静雄委員
堀部政男個人情報保護検討部会座長

(事務局)
藤井昭夫内閣審議官、小川登美夫内閣審議官

4 議 題
個人情報保護基本法制に関する大綱案(素案)について

5 審議経過
 事務局より、資料1−1及び資料1−2に従って説明があり、起草グループで検討に当たった小早川委員長代理、堀部座長からのコメントの後、議論が行われた。議論の概要は以下のとおり。(→は関連意見及び質問等に対する回答。)

○ 3基本原則では、何人も「努めなくてはならない」としているのに、4個人情報取扱事業者の義務等では義務規定としている。これでは、基本原則についての努力義務を一部の事業者について除外し、新たに義務を課しているようにも読める。基本原則は主語を書く必要はないのではないか。例えば土地基本法4条は「土地は、投機的取引の対象とされてはならない」として「誰が」ということを書いていない。

○ 4(4)公表等のうち、(1)イで利用目的を明示する際に、一緒に示すこととした方がよい項目もあるのではないか。
→ 4(4)公表等については、やや中間整理と考え方が違ってきた面もある。通知と公表等がどういう関係なのか考える必要がある。

○ 4(5)開示、(6)訂正等は、個人情報取扱事業者の義務とされ、本人からの「申出」によることとしているが、住民基本台帳法などでは行政庁の職権発動の端緒である場合には「申出」、応答が必要的である場合には「請求」という語を使っており、この用い方に従うと、「申出に応じて」と「しなければならない」という語尾が一致しない。ここは「請求」という語に統一することも考えられるのではないか。

○ 基本法としては、個人情報という看板をまず掲げ、全体に対する広い網を努力義務でかけ、個別分野については個別法で対応することとなる。基本原則における努力義務などの言葉遣いについては、なお検討の余地があるのではないか。

○ 基本原則については、この素案のように何人もに対する努力規定としてまとめるのがすっきりしているのではないか。

○ 技術的な話だが、「個人情報」の定義の中で「当該個人」という表現があり、現行の行政機関個人情報保護法にも用いられているが、「当該」という関係代名詞に対応する先行詞がなく、これはおかしいのではないか。「特定の」個人という表現の方が適当ではないか。

○ 「個人情報取扱事業者」には様々な事業者が含まれるのであろうが、この表現では、名簿業者のような事業者が思い浮かび、表現があまり適切とはいえないのではないか。
→ 別案にあるように「特定事業者」という表現もあり得るだろうが、processingの意味としては、「取扱い」が適当なので、「個人情報取扱事業者」という表現としている。

○ 4(6)訂正等及び(7)利用停止等について、「正当と認めるときは」とあるが、これでは事業者が正当性を判断することになる。正当性の判断は客観的に行われるべきであり、「正当と認められるときは」とするべきではないか。
→ 客観的であるべきだが、一次的には事業者が判断することになるのではないか。

○ 4(5)開示及び(6)訂正等について、学校における評価に関する情報や医療機関における診療に関する情報は「正当な利益を害するおそれがある場合又は業務の適正な実施に支障を及ぼすおそれがある場合」に含まれているのか。
→ 教育上あるいは医療上の観点からの適否は、通常「業務の適正な実施に支障を及ぼすおそれがある場合」で読めると思うが、さらに精査する必要があると考えている。また、資料1−2(適用除外を検討すべきその他の事項について)「3別に法律の定めがある場合その他特別の理由がある場合」については、各省庁を通じて、相当広範に精査する必要があると考えている。

○ 個人情報取扱事業者(又は特定事業者)の定義について、「一定のもの」とはどの範囲のものを想定しているのか。また、下位の法令に規定することも考えているのか。
→ 個人情報取扱事業者に罰則を科すことになれば、法律に規定する必要があるのではないか。「一定のもの」は、企業の規模や個人情報データベース等の規模などにより線引きすることを考えているが、大変難しい。感じとしては、全事業者のうち相当の事業者は個人情報取扱事業者に含めて良いのではないか。
→ 個人情報取扱事業者の範囲については、IT社会における個人情報の大量蓄積、検索の容易性、ネットワークを通じた流通といった観点から考えるべきではないか。

○ 基本原則は何人にも適用されることから、個人情報取扱事業者の範囲については限定的に考えるべきとの意見がある一方、できるだけ広範に対象とするべきとの意見もある。

○ 個人情報取扱事業者の範囲を従業員数や保有する情報量で線引きするとして、実際にどのような事業者が対象となるのかイメージがわくようにならないか。

○ カルテの管理は大規模な病院でも手作業で行われているが、このような場合も個人情報取扱事業者に含まれるのか。また、労働者の個人情報をどうするかという観点からも、どのように線引きするかは非常に難しい問題である。

○ 5(1)行政機関の保有する個人情報の保護については、見直しの方向性まで書き込んだ素案はおおむねよいが、法令に基づいて個人情報を収集していることや、個人の権利利益に与える影響の大きさを考慮して、行政機関個人情報保護法の改正の精神や民間との相違を明確にすることができればなおよいのではないか。

○ 報道分野との調整については、目的や基本原則から適用除外とする必要はないことから、資料1−2に示された方法のうち、Aにより4個人情報取扱事業者の義務等を適用除外とする方法が考えられる。また、5(5)主務大臣の指示等が強制力のないものであれば、Bの可能性もあり得るのではないか。

○ 報道分野との調整については、Bになるのではないか。Aで4個人情報取扱事業者の義務等を適用除外とすれば、本来適用されるべき規定まで除外されてしまうことになり、また、基本原則の中にも適用除外とすべきものがあり得ることから、章ごとに適用を除外するのは困難ではないか。

○ 罰則を設けることが難しいことは理解できるが、非常に悪質な取扱いをする者に対しては何らかの罰則を設けてもらいたい。第三者提供に関して、@個人情報の内容(秘密に係るもの)とA手段の悪質性で限定を加えた上で、罰則を設けるべきではないか。また、基本法制に罰則があれば、個別法においても罰則を設けやすくなるのではないか。

○ 産業界からの要望でもあるが、秘密に限らず、集積された個人情報を従業員が漏えいすることを罰することはできないか。
→ 個人情報の内容には様々なものがあり、単に集積された個人情報というだけではなかなか罰則は書きにくいのではないか。
→ 個人情報を漏えいするのはカネになるからであり、その経済的価値に着目して罰則を書けないか。

○ 5(5)主務大臣の指示等について、「必要があると認めるときは」とあるが、これは個別案件の処理のためではなく、公益侵害の観点から指示等をするという趣旨と理解してよいか。
→ 一般論として、主務大臣の指示等は個々の苦情処理のためではなく、社会問題化したような場合に行政目的を達成するために行うことを想定している。個々の苦情処理については、これまでも行政介入に至らない(権力的でない)範囲で既に行われていることである。

○ 苦情処理機関については、自主規制を中心に考えるとすると、公的な第三者機関を創設するのは行政改革の流れもあり難しいと考えられる。その場合、適用除外の問題も当該分野において苦情処理のための自主的な仕組みが設けられているかといった観点からも考えていく必要があるのではないか。

(次回の予定)
 次回は、9月14日(木)14時から17時まで、総理府5階特別会議室で開催し、引き続き個人情報保護基本法制に関する大綱案(素案)について議論を行う予定。

*文責事務局

*本議事要旨の内容については、事後に変更の可能性があります。

資料
資料1−1 個人情報保護基本法制に関する大綱案(素案)
資料1−2 報道、宗教、学術等分野との調整について
資料2 個人情報保護基本法制に関する大綱案の構造
資料3 個人情報保護基本法制に関する大綱案(中間整理との対照表)
参考 「個人情報保護基本法制に関する大綱案(中間整理)」に対する
パブリックコメントの概要(未定稿)