個人情報保護法制化専門委員会

第25回個人情報保護法制化専門委員会議事録



1 日 時:平成12年9月14日(木)14時〜17時

2 場 所:総理府5階特別会議室

3 出席者:

園部逸夫委員長、小早川光郎委員長代理、上谷清委員、高芝利仁委員、高橋和之委員、遠山敦子委員、西谷剛委員、藤原静雄委員、堀部政男個人情報保護検討部会座長、
新美育文委員は所用により欠席

(事務局)
藤井昭夫内閣審議官、小川登美夫内閣審議官

4 議 題
個人情報保護基本法制に関する大綱案(素案)について

5 審議経過

【園部委員長】それでは、ただいまから個人情報保護法制化専門委員会第25回の会合を開催いたします。新美委員は、本日所用のため御欠席でございます。
 本日は、前回に引き続き大綱案の素案について1巡目の検討を行います。本日の会議終了までに素案について一通りの検討を行い、次回は素案を修正した案文を基に2巡目の検討に入ることとします。大綱案の素案については前回の資料を適宜御参照いただくこととし、前回の議論に関連して論点に関するペーパーが用意されておりますので、事務局から資料の説明を願います。どうぞ。

【藤井室長】お手元に新たに資料1、資料2というそれぞれ1枚紙をお配り申し上げています。
 資料1の方は前回素案のときの御説明でも申し上げたところでございますが、素案の5ページの(3)の「第三者提供の制限」等に関連する問題ですが、現在の素案というのはその第三者提供を原則としてやってはならないという厳しい規定になっていて、正当な事業としてやっておられるようなデータベース業者全体に対して、あるいは企業間で相互に情報提供をしているような場合も原則できなくなってしまうということで、その辺は工夫の余地があるかどうかというようなところを事務局なりに整理してみた案でございます。それで、資料1の案の上の方は第三者提供そのものを業としてやっておられる業者についての一つの適用の仕方について考え方を整理しているわけですが、一回読み上げさせていただきます。
 「個人情報取扱事業者が、第三者提供を目的として個人情報を取得する場合には、本人の同意がある場合を除き、利用目的の他、提供方法等についても通知、公表等の対象とし、本人からの利用停止等の申出があった場合、原則として当該個人情報の利用停止その他適切な措置を講じなければならないものとする」。
 若干補足的に御説明しますと、いわば第三者提供を業としておられるような方、これは個人情報について同意がある場合は当然やっていいということになるのでしょうが、同意などをとっていない場合であっても、少なくとも情報主体である個人の方が自分の情報はどういう使われ方をするかということがあらかじめわかるように利用目的、提供方法あるいは「等」の中には例えば個人情報と言ってもどういうようなカテゴリーの個人情報が保有されているかということがあらかじめわかるようにしておくこと。そういうわかるようにしておいた上で本人から、これも本人参加ということになると思うのですが、利用停止等の申出ができるような仕組みをあらかじめつくっておいて、事後的であっても利用停止の申出等があったら原則としてそのデータベースから外すというような形の、いわば手続的な制度にのっとってやっておられる事業者、こういったものは認めるという形はいかがかということでお出ししているところでございます。
 と申しますのは、正当な事由かどうかというのは個人情報の質で分けるという考え方もあるかと思うのですが、なかなかこの制度が質で分けるというような考え方をとっていないということであるならば、むしろ手続的に本人参加がきちんとできるというような仕組みがなされている場合は認めるという考え方もあるのではないかという観点からの一案でございます。
 さはさりながら、次に個人情報の質で規定する考え方も示しているわけですが、例えば人の秘密については基本的に第三者提供されるような個人情報データベースに入れてはならないというような形で、それ以外のものは許すという考え方もございますが、これは次のペーパーにもありますが、なかなか人の秘密というものは外延部分がわかりにくいというところがございまして、予防制度として設ける場合には結構事業者は混乱して、結局事後的な裁判等による判断にすべて依存する形になるというところが一つの難点かなと思っておるところでございます。
 案2の方は第三者提供と申しましても、例えば銀行などをイメージしていただければいいのですが、銀行間で相互に個人データを利用するというようなことを協定等で結んで使われている場合でございます。こういった場合も、今の素案のままでいけば原則禁止という形になることが考えられるのですが、こういうような相互に利用するという場合であっても利用目的とか、あるいは提供先と申しますか、個人情報を利用する者があらかじめ明確になっている場合は認めるという考え方もあるのではないかということでこういう案をお出ししているところです。
 ただ、※で書いてありますとおり、この場合でもいわばアカウンタビリティと申しますか責任者、これは一体だれがだれであるのかということがデータ主体といったところに明確にわかっているような制度であるということが一つの前提条件ではないかということで※を付けているところでございます。
 資料2は「罰則について」でございます。この資料につきましては、上谷委員から非常に御懇切な御指導とか御示唆をいただきながら事務局で整理して、事務局のみの案としてお出ししているものでございますが、整理したものでございます。
 それで、1で「秘密を対象とする罰則」ということでございます。今回の基本法制、一般法の部分も含めて、基本的には個人データの質を問うていないわけですが、罰則をかける場合には個人情報の質というものに着目せざるを得ないのではないかというようなことで、一応それを秘密という概念でつくってみたらどうかということでA案とB案を整理しているところでございます。
 A案のアを読み上げさせていただきます。「正当な理由なく、人の秘密に属する個人情報を第三者に提供した者及びその提供を受けた者について罰則を設ける」というこのでございます。それとイでございますが、「情報を管理する者の同意を得ないで、人の秘密に属する個人情報を取得した者について罰則を設ける」ということでございます。
 ※として、秘密というのは資料1で申し上げたとおり、なかなかあらかじめ何が秘密であるかというようなことは一義的に判断できないという難点がございますので、むしろ個人情報と申しますか、秘密でも更に医療に関する秘密とか、そういったたぐいのカテゴリー的に明確にするというような考え方、あるいは逆に秘密というような質の問題ではなしに、むしろデータが大量にコンピュータ処理可能なデータベース等で蓄積されているというような保有の形態と申しますか、処理の形態そのもので限定していくという考え方もあるということを※で書いているところでございます。
 また、アは特段侵した者についての限定がなく、何人もということになるわけですが、ここは何人もということになりますと例えばうわさ話、これも名誉毀損とか侮辱罪とか、あるいは業務妨害的な、そういうような個々の既存の刑法罰の対象になる場合は別ですが、それにかからないような個人の秘密についてもうわさ話をするだけで罰則がかかるということに対する違和感みたいなものが出てくるわけですが、そういうことであればアの主体を個人情報取扱事業者の従業員に限定するという考え方もあるということでございます。
 それから、この場合においても果たして個人情報取扱事業者であるということだけでもってほかの事業者と区別して秘密を侵した罪的な刑罰をかけるということについて、果たして罪刑法定主義的な観点からいって問題はないのかという懸念はございますとともに、もう一つはアの「及びその提供を受けた者について罰則を設ける」という情報受領者も罰則がかかる形になっておりますが、普通秘密漏洩罪などでも情報を受けた者に、それを受けることについて積極的なアクションがあるということであれば共同正犯なり、あるいは教唆犯という形で罰則がかけられるわけですが、それ以外に単に受動的に情報を受けたということをもってだけ、ただその情報が秘密であるということは認知しているということが要件なのだろうと思うんですが、そういう情報を受動的に受けたことをもってのみ刑罰を科けるということが、罪刑法定主義的なものの考え方からして果たしてどうなのかというような懸念がある。これは端的な場合、これは単なる例ですが、ラジオ放送とか新聞などを見て、それが秘密であるということを認知してラジオを聞いただけで罰せられるのかとか、そういうような問題が生ずると、そこの区別をどうつけるのかというような新たな論点が出てくるということかと思っております。
 B案の方は、事務局で一応つくってみた案ということで御理解いただきたいのですが、これも読み上げてみます。「法令で定められた守秘義務規定に違反して提供される個人情報であることを知りながら、それを取得した者について罰則を設ける」という案でございますが、これは新たに守秘義務規定という概念を構成要件的に用いて、それに違反して提供される個人情報であることを知りながらと、こういう形にしているのですが、守秘義務規定違反というようなものが個人の秘密とか、あるいは個人情報の秘匿性とストレートに結び付けられるのかどうかというのは若干懸念がありますとともに、その取得したものについて罰則を設けるというのは今ほど申し上げました、ラジオを聞いていただけで罰則を設けるということにもなりかねないというところの難点があろうかと思っております。
 イは「アに違反して取得された個人情報であることを知りながら、それを第三者に提供した者について罰則を設ける」ということですが、これは守秘義務規定と書こうが、人の秘密にと書こうが、なかなか事前には何がしかの義務規定に違反しているか、人の秘密に違反しているかということがわかりにくいというところがございますので、結局はやはり裁判の蓄積を待つという形にならざるを得ないという難点があろうかと思いますけれども、私もうろ覚えですが、まだまだ秘密に関する判例というのはないことはないようですが、そんなに蓄積が多いというわけでもないということで、例えば結構一般的概括的な概念に言われるところの問題点は残るのかなというところでございます。
 2番目は、これに対してむしろ刑事罰的というよりは、今回の法制の一般法もかかる部分のいわば行政法規としての法規義務違反に対して行政罰的な罰則を設けるということでございます。素案の11ページで、個人情報取扱事業者に対して主務大臣がその報告を徴収とか助言改善指示をすることができるという権限規定を書いてございますけれども、この※の2つ目で「改善・中止命令まで付与するかどうかについて検討する」という、この辺りからの延長線上の問題ですが、特に今、問題になっていますようないわば悪質な第三者提供については単なる改善指示というような形ではなくて、むしろ行政処分としての改善中止命令をできることとして、その違反について罰則を設けるという考え方でございます。それで、延長線上の問題として主務大臣の報告徴収等々についても罰則を設けるということは理屈上は可能かと思っております。これは行政法規的には例がある話でございまして、さはさりながらその基となっているいわば義務の強さに対して比例的に適切な担保措置になっているかどうかというような検討は引き続き事務局ともしなければならないと思っているところでございますが、この方向性については可能性はあると事務局としては考えておるところでございます。
 あとは、共通する論点として従業員による違反行為に関する両罰規定を設けるかどうかとか、あるいは特に守秘義務法制については昔、私も個人的に調べたときには200 ぐらい守秘義務法制があるようですが、それぞれ罰則は相当乱れておるところでございます。今回、新たに秘密に関する罰則を設けた場合、この辺りとの整合性というようなものを検討するという必要も出てくるかと思っております。
 あとは、第三者提供ということになりますと、実は報道界がまさに不特定の者に対する第三者提供を業とするということも言い得るかと思うのですが、この辺りは前回お出しした適用除外との問題との関連でも検討が不可欠な問題と考えておるところでございます。以上でございます。

【園部委員長】それでは、本日追加して提出されました資料の1と2、それから前回の資料1−1、これが素案ですね。それから、前回出されました資料1−2、これは適用対象範囲に関する資料です。これら全部を含めまして、前回に引き続き素案の1巡目の議論を行いたいと存じます。
 まず御自由に御発言をいただいた上で、あとは多少順序だてて各委員の御意見を承るということにしますので、最初はどういう形ででも、どういう事柄についてでも結構ですかまず御意見を承りたいと思います。どうぞ。

【高橋委員】前回いただいた資料をじっくり読んでみて、前回気が付かなかったところを幾つか気が付きましたので、確認するとともに私の意見を述べさせていただきたいと思います。
 一番気になったのは第三者提供のところでありまして、これは5ページに出ているものですけれども、第三者提供として規定されているのは個人情報データベース等に関するものでありますから、データベース化されたものを前提にされているだろうと理解をいたしました。したがって、報道ですね。新聞、雑誌、放送、こういった日々報道を行っているものについては第三者提供という問題にはならないと理解をいたしました。そういう理解でいいのかどうかということですね。
 しかし、それを過去のバックナンバー等データベース化したとき、新聞などは既にそういう形で提供しているわけですけれども、それは第三者提供に入ってくる。それで、その場合には恐らく個人情報、第三者提供を業とする者というのに入ってくるのかなという気がいたします。ですから、その点については引き続き検討するという対象になっているのだと理解いたしました。そういう読み方でいいのかどうかということですね。
 それから、病院とか学校が持っている情報について研究用にその情報を使う必要があるのだとヒアリングで非常に強調されたのですけれども、そういった情報は小さな病院などで全然データベース化していなければ第三者提供ということにはならないということになるのかと思いますけれども、データベース化している場合ですね。それから、情報をもらおうとすると、情報をもらおうとする側では一定の除外規定を設ければそこに書いてあるような除外規定でクリアできると思いましたけれども、提供する側の方が、これは第三者提供になるからだめだということになるのかどうかですね。第三者提供の場合、もらう側と与える側の問題、もらう側といいますか、情報を取得する側は一応研究用とか報道用ですね。この場合には除外規定を設けることによってクリアできると思いますけれども、与える側の方で今、言いましたような病院とか、あるいは学校関係もそうだろうと思います。児童の教育に関する情報などがデータベース化している場合は第三者提供ということになってくるのかどうか。そこら辺がいまひとつはっきりしていなくて、どうもデータベース化しているとそれに該当してくる。そうだとすると、それを可能にするような除外規定を入れる必要が出てくるのではないか。5ページで書いてある除外規定ではそれは入っていないように読めますので、その点の検討が必要かなという印象を持ちました。以上です。

【藤井室長】それでは、事務局からまずお答えさせていただきます。第三者提供の議論に関して、データベース化を前提としているのかというようなことに尽きるかと思うのですが、おおむねそのとおりになっております。取扱事業者の項目はIT社会における個人情報の取扱いを最低限の規律を設けるという観点でつくっている関係上、対象となる情報はデータベース化されているか、あるいはそれに準ずるような処理方法によるマニュアル情報というものを前提とするということになるかと思っております。
 また、病院などの情報についても同じようになるかというような御指摘かと思うのですが、第4の項目は基本的に情報の質とか事業者の種類というものを現段階では念頭に置いていないものですから、御指摘のとおりデータベース化しているか、あるいはそれに匹敵するようなマニュアル処理をしているかどうかという切り方になってくるということでございます。
 ただ、ここは定義規定の問題でもございまして、例えば個別法などで病歴情報などに着目したような法律、個別法がつくられるということであれば、それはそれでまた別のつくり方があってしかるべきということになろうかと思います。
 また、それに関連して、例えば学術目的からの統計などもそうなのでしょうけれども、提供の依頼があったような場合、除外規定が要るのではないかと、ちょっとそこの言い方は違っているかもしれませんが、適用の除外の関係をどうするかということですが、そこは御指摘のとおりと申しますか、今のところ調整規定はここでは明確になっておりませんで、そこは前回の資料の1−2で「報道、宗教、学術等分野の調整について」という次のページに「適用除外を検討すべきその他の事項について」という1枚紙がお付けしてございますが、まさにこの中でそういうような第三者でも正当な利用というものを前提としている場合はやはり適用除外という形での調整を引き続き検討しなければならないと、とにかく事務局はそういうような認識でおるということでございます。

【園部委員長】ほかによろしゅうございますか。

【堀部座長】これは前回も申し上げたのですが、今回の法律の目的との関係で高度情報通信社会、IT社会ということに非常に近づけて、それに密接に関わる個人情報あるいは個人情報の取扱いの部分を対象にするとするのか、もう少し個人情報の範囲を広げて扱うのか。それによって随分議論も違ってくるように思うのです。大綱案の中間整理の段階では余り明確ではなかったのですが、今回個人情報データベース「等」というのでどこまで入れるかという問題はあるのですけれども、かなり限定されたものになってきます。そういう非常に限定された法律であると考えられます。もちろん「基本原則」のところは「何人も」となりますから、ここのところは全部に適用があるということにはなりますが…。
 先ほどの例えば第三者提供情報の場合などでも、実際に信用情報にも関わります。金融機関などで今まで議論してきたところでも、金融ビッグバンの下で非常に多くの情報が他の企業に提供されます。それは、例えば個々の顧客を勧誘するためにデータベースの提供というよりは、個別にこの人は今ここに加入している、だから、今度こういう新たな商品の紹介をするというので別の関連企業あるいはグループ会社に提供するのはどうなのか。こういうことはしばしば問題となります。

【藤井室長】前回、事務局からの御説明が不明確だったかと思いますが、項目でいきますと「目的」「定義」「基本原則」、それから5の「政府の措置及び施策」、それから6の「地方公共団体の措置」等、これについては実は堀部先生がおまとめになった中間報告の個人情報全体に対する基本法、これを個別法とか、あるいは諸々の施策を総合的に推進するという形で推進していくというところは維持した上で、特に強力な義務規定とか、あるいは開示請求権制度とか、そういうようなプラスアルファの部分についてはIT社会でこれからどんどん個人情報を、機械処理なのか、あるいはインターネットなどを使ってやっていかれる。そこの部分については特に強力な、いわば一般法的な部分を付け加えたという趣旨でございまして、決して個人情報についての基本法として我が国における個人情報全体をレベルアップするということをないがしろにするものではないということです。

【堀部座長】むしろこの4のところはIT社会、高度情報通信社会の下でのとなってくると、先ほどの範囲として個人情報データベースということで書かれていて、この部分はそれに限定されるのだと読めます。確かに地方公共団体のところは個人情報データベースということではありませんので、これは広くなると理解していますが、4のところがどの範囲までなのかということになるかと思います。

【藤原委員】今の堀部座長の御質問ですけれども、先ほど審議官から御説明があったように、起草の意図は個人情報自体は別に検討部会のそれと変わっているわけではありませんで、この個人情報データベース、これは「データベース等」という言葉が既にマニュアルを含む、個人情報データベースに匹敵するような、あるいは検索等が同等に容易なということでマニュアルを含んでいること自体からおわかりのように、個人情報という概念そのものを特に厳しくしたわけではないのだと思うのです。
 ただ、さっき審議官がIT社会と密接というところを強調されたからかと思うのですけれども、第三者提供とか義務規定、そして義務規定との関係で罰則をかけるというようなときにはデータベースあるいは高度情報通信社会と関係してくる。密接と言うかどうかはともかくとして、マニュアル等でIT社会と関係のない、あるいは大福帳の世界で生きているような企業まで対象にすることはない。少なくとも高度情報社会において恩恵を受けているが故に危険性があるような企業、事業者が入ってくればいいという趣旨だと理解しているのです。まずそれが第1です。
 第2は、ですから例えば第三者提供のところも「データベース等の」と入っておりますし、「全部又は一部を」ということですので、先ほどの御質問の銀行とか信用であれば、今日冒頭で説明いただいた資料1に案が2つあって、別にこれは選択的なものではなくて2つの取扱いだと思うのですけれども、後ろの方の「特定の者との間で相互に利用する場合」等で、さっき先生がおっしゃったような問題を解決できる糸口になるのではないかと、そういう趣旨だと理解しています。

【堀部座長】それはわかっていますが、この「定義」にも関連してきて、どこまで含むのか。「マニュアル情報については、電子計算機を用いる場合に匹敵する検索等の処理が可能であるものに限定する」ということですので、相当限定されたものになってくると思います。来週の月曜日に検討部会を開くので、恐らくそういう質問などもいろいろ出てくると思うのですけれども、検討部会の方では紙1枚とまでは言いませんが、そういうものまで含めて保護の対象にしてほしいという意見も非常に強くあったものですから、この法制化専門委員会では「定義」の(3)の「個人情報データベース等」とすることによってIT社会に非常に密接に関係するようなもの、それからその周辺の部分ということになると思います。しかし、一般の個人情報取扱い、ダイレクトメールがくることも含めてかなり厳しくしてほしい、罰則を設けてほしい、そういうものがありますので、そういう要望にはこの法律では直接には応えられないと説明せざるを得ないということもありまして、どの範囲なのかは重要な問題です。
 先ほどの銀行とか金融機関の例については財団法人金融情報システムセンターの会議では随分議論になりまして、グループ内あるいは子会社間などでは、お互いに使えるようにして顧客には何らかの形で伝えるという方法でよいのではないかということになっています。
 適用範囲を限定するとなりますと、データベース化しないで手作業処理で扱っていった方がいいということになり、逆にIT社会を推進するのを阻害する要因になるのではないか、脱法行為のためにそういうこともあり得るのかと思って、質問を兼ねて意見を申し上げました。

【小早川委員長代理】多少今のお話に関連してですが、今回のこの素案は大きく分けて柱は2つだろうと思うのです。個人情報一般についての取扱い原則を改めて確認するということ、それはIT社会ということには直接には限定されない。しかし、それと、個人情報データベース等というのをキーコンセプトにして、IT社会特有の事業者についての法的な仕組みをつくるという、その2本柱がそれぞれ大事なのだろうと思うわけです。そのようにできていると思うのですが、全体はそういう構成だとしますと、全体の構成というレベルで気になるところが、改めて考えますとやはりあるわけです。
 1つは行政機関保有個人情報の取扱いについて、この法律がどういうスタンスで書いているのかということですね。今回の素案では、その辺を私から申し上げるのは大変恐縮なのですが、やはり「個人情報データベース等」という概念をここにも使っているわけなのですが、そこの整理がまだ、申しわけないのですが十分できていなかったのかなという気がするわけです。従来の行政機関保有個人情報保護法は何もIT社会を念頭に置いているわけではなくて、コンピュータ電算機処理ということは言っていますけれども、その絞り方の意味はそこではなかったと思うわけです。それで、その後いろいろ出されている意見からすると、政府に関してはマニュアルまで広げるべきだとかということは強く言われているのですが、それは今回のこの法案がIT社会云々ということに着目しているのとは別の文脈だろうと思うわけで、この5.の「政府の措置及び施策」というところがさっきの2本柱で言うとどちらの中に位置づけるのか、少し整理ができていなかったかなという気がして改めて御議論いただきたいという気がするのが1つです。
 それからもう一つは、今日御説明のありました「罰則について」の案なのですが、これもどちらなのかということですね。先ほどの事務局からの説明の中で、うわさ話禁止規定ということになるのかどうかという問題があって、多分それはまずいのだろうと思うのですけれども、そうしますとここもあるいは、IT社会における、ということを前提にした上で、いわば二重の縛りで、そういう情報技術を持っている事業主体が人の秘密について著しく注意を怠った、あるいはこのように悪いことをしたということを罰するというのが一つの落着きのいい線かなという気がするのですが、いかがだろうか。その場合に、直罰なのか行政命令を介してなのかというのは、仕組みの問題としてはあると思いますが。
 全体の構成として、この基本法がどういう基本設計の下にでき上がるべきなのかというところで御意見を申し上げた次第です。

【西谷委員】適用除外について、私の感想を申し上げたいと思います。表現の自由とか学問の自由、信教の自由、こういうものとプライバシー権との調整ということを我々は話題にしているのだと思いますけれども、その際に一方が全面的に優先してしまうということはないと思うのです。あるいは、両者の調整を要しない世界だと理解することは妥当でないと思います。つまり、全部適用排除ということではないように考えるべきだと思います。
 そこで、やや具体的に見ていくと、まず第3章といいますか、この「基本原則」のところに5つ挙がっているが、まずはその柱書きのところも「基本原則」なのですね。柱書きというのは個人の人格尊重の理念でいかなければいけないよと、こういう理念そのものは当然表現、学問の自由等の基本権についても適用になるべきでしょう。それから、柱書きにはもう一つの原則があって「努めなければならない」と書いてある、これが必ずしもはっきりしない言葉ですが、自主的に皆、努めていこうという意味であると、そのように読むとすれば、この自主性の原則というのもまた「基本原則」として共通にあまねく適用になるべきものだと思います。
 そして、以下5つ並んでいるわけですけれども、(1)の「利用目的による制限」というのは例えば報道でも学問でも、学問のために使います、報道のために使いますと言えばいいのかと言えばそういうことではないでしょうね。この利用目的というのはできるだけ具体的にしていくという方向、そういう方向へ動いていかなければいけない、運用していくべきものです。法文はどうあったとしても、運用の方向はそのようになっていくべきものだとしますと、どうも報道、学問という世界ではそこが具体的に言えない、また言うべきものではないという気がするのです。
 ですから、(1)は私はその意味で適用になるのは疑問がある。(2)は適用されるべきであり、(3)の正確性も適用されるべきであり、(4)の保護措置もそうだ。(5)の透明性というところはやはり引っ掛かりがあります。これは表現、学問などではその成果が最終的に公表されるまでは、中にある情報というのはまさに内なるものではないかという気がいたします。
 それから4章の義務、これはやはり適用除外の範疇に入れるべきものじゃないかと思います。個々に一つひとつ見ていきますと、例えば適正管理というようなことで項もありまして、そこは適用してもいいのかなという気もしないではないのですけれども、しかしここはもともと義務の世界として書いてあるとすれば、公式にトラブルが生じてくる可能性というのが非常に強い。「適正な」というような不確定概念とか「合理的範囲」とかという不確定概念をめぐってトラブルが発生してくる。トラブルが発生して、そこに巻き込まれるということ自体が表現の自由なり学問の自由なりを阻害する可能性というのは相当大きいという気がしますので、私としては4章といいますか、この義務のところは外れるのかなという気がしております。
 そのような感覚を持った上で、次に適用除外の仕方なのですが、これは機関とか組織、報道機関とか報道組織あるいは大学とか、そういう組織、機関で除くべきものではないと思います。かといって、情報の種類で除くわけにもいかない。情報の種類というのは個人情報ということで皆共通ですから、それで除くわけにもいかない。とすると、結局目的で除くということになると思います。報道の目的、出版の目的、その他の表現の自由の行使の目的で行われる個人情報、あるいは学問の目的で取り扱われる個人情報とか、あるいは宗教活動の目的で取り扱われる個人情報というように、語尾は個人情報でも取扱いということでもいいとは思うのですが、いずれにせよ目的として書いていくことが適当ではないかと思います。
 最後に、その目的、学問の目的で取り扱われる個人情報と例えば書いても、それはどこまでどうなのだという更なる具体的な確定という問題がどうしても起こるのですね。その点については3つほどやり方があると私は思うのです。
 1つ目は、もうこの研究会としてはそこは詰められないというか、ですから政府が立法に当たって具体的によく考えてできるところまで詰めてくれという逃げ方といいますか、そういう答えをしておくということ。
 2つ目は、成り行きに任せる。つまり、社会的市場に任せていくというやり方ですね。法律というのはいつも不確定概念は含まざるを得ないのですが、それは社会がその中から何を選び取っていくか、具体化していくか、そこに任せるというのも一つあり得る方法で、究極的には判例法の形成というようなところにいくわけですけれども、あらかじめ法律でそこを固めずに社会的市場に任せる。
 3つ目の方法は、屋外広告物法の15条というのも私はずっと頭にあったのだけれども、これは屋外広告物の規制をしている法律ですから表現の自由と絡むのですね。そこで最後の15条というところに規定があって、正確な文章は別ですが、この法律の適用に当たっては国民の政治的活動の自由その他の基本的人権を不当に侵害しないように留意しなければならないという留意書き規定、見出しは適用上の留意か、そんな留意規定が置かれているのです。それに倣えば、こちらも今のような除外すべき情報の解釈、運用に当たってはということでつなぐことができますね。これは確定したことにはなりません。一つの方向を示した規定にほかなりませんが、これも意味はあるのだろう。私などは既存法があることから考えてもそんな方法はちょっと魅力的だなという感じを持っております。以上が私の適用除外関係の感想といいますか、感じでございます。
 それから、「罰則」について一言申し上げます。罰則の中では、当然なりすまし請求の罰則は要るのではないかと思うのです。つまり、虚偽の、あるいは不当な手段でもって請求する。請求権を設けるということを前提としたとすれば、それを悪用して請求してしまうという、これは最小限ふさいでおかなければいけないのではないか。さっきの秘密云々というような罰則については仮にわきに置くとしても、請求権の裏として不正な請求というのは63年法にもあるわけですが、これは押さえておく必要がある。そして、63年法では政府の方なものですから過料になっているのです。秩序罰になっている。右の場合に、これは秩序罰ととらえるべきではないと思うのです。結局刑罰という形になってきて、そして政府の方も多分それに合わせて刑罰となるのかなという気がいたしますが、その細部の議論はともかくとして、一応不正請求、虚偽請求というのは罰則を設けるべきではないかと思います。とりあえず以上です。

【堀部座長】今、西谷委員から適用除外についてのお話がありましたので、中間報告を作成する際、それ以降の経過も含めましてどう考えたらいいのかということについて少し申し上げたいと思います。
 中間報告は、先ほど藤井室長が言われたように個人情報を保護するという全体の構造の中で、法の部分も基本法、それから個別法、あとは自主規制という言葉を使いましたが、それで対応する、それらが全部基本法の上に乗るということにはなるわけです。もちろん行政機関のものもその上に乗せるということにはなりまして、その場合でも基本法に基本原則を定め、5つ掲げましたが、それとの関係で調整を要するものをどうするのか、こういうことで整理しました。昨年の10月20日の段階で座長試案というのが出まして、11月19日に中間報告を文章としてまとめました。お手元のファイルの第1回目のところにあるものです。そのときに、その過程でもありましたし、その後もあったのですが、10月20日の座長私案の段階ではもっと表現の自由とか、学問の自由とか、「等」で今回出てきている宗教活動、政治活動なども念頭には置きましたが、それは一々は例示しませんでした。2つを例示として挙げてみたわけです。
 この問題についてマスコミ関係者からは、あの検討部会にはマスコミ関係からだれも委員が入っていない、そういう中で、一番影響を受けるであろうマスコミについてこういう扱いでは大変困るということで大分おしかりも受けました。法制化専門委員会のヒアリングなどでその点は十分主張してほしいということを言ってきまして、実際に2回にわたってそのヒアリングが行われてきたところです。そのヒアリングで述べられた意見は最大限尊重されなければならないと思います。
 この中間報告の段階でどう調整するかと考えた中で、私は言論の自由の問題などを前から少し研究していたこともありまして、その当時も考えてみましたし、今も考えていることで申しますと、「基本原則」で(1)から(5)まで掲げたもののうち、座長私案では21条とか23条を先に掲げたのですが、中間報告では法令に規定のあるものを先に掲げて憲法とのかかわりを2番目に持ってきました。これについてはヒアリングの席でも座長私案よりも後退したという発言をしていた人がいますが、順序が後になったことで格下げになったと受けとめたようです。言論の分野について個別法等に規定のある場合というのはどうするのかということになりますと、戦後の状況を反映して、言論にかかわる新聞紙法とか出版法が廃止されて、プリントメディアというような言い方をメディアの世界ではいたしますが、そのプリントメディアの場合には一般法による制約を除き一切ないという状況ですけれども、放送メディアの場合には放送法があります。明示はしませんでしたが、言論の分野の個別法というのは放送法を念頭に置いていました。それとの調整をどう図るのかというのは具体的には議論をしていませんが、幾つか問題があるように思います。放送法は、1950年制定ですからちょうど50年経っていますが、電波の希少性ですとか、放送の社会的影響力というようなことで、一定のものについては放送番組の編集について一定の準則を規定しています。
 今度の個人情報保護の問題と照らし合わせて考えますと、行為の主体としての放送事業者が取材をし、その取材した情報を編集する際に現行の放送法でいうと、第3条の2の第1項に、「公安及び善良な風俗を害しないこと」、「政治的に公平であること」、「報道は事実をまげないですること」、「意見が対立する問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」、こういう番組編集準則が適用されます。それは、最後の、といいますか、取材し、編集し、放送番組として出すときの準則であるわけですね。ですから、取材のところ、あるいは編集をどこまでこの法律で規定するのかわからないのですが、その取材についてはこれまで触れられないできたという状況がありまして、それを今度の個人情報保護の問題になりますと、取得なり利用という点で行為の側面を対象にすることになります。
 報道した結果、あるいは放送した結果については一般的に責任を負うのは当然ですので、第4条に訂正放送の規定がありまして、放送番組の保存をどの程度までするのかなども議論になってきました。現行法では3か月にしましたが、それは録画しておく技術などが発達してきてそれは可能だろうということもあります。そういうことで、事後的なところも、放送法では訂正放送、もちろん民法による損害賠償請求は名誉毀損等を理由として救済を求めることができますが、それにとどまっています。
 先ほどの「個人情報取扱事業者の義務等」のところがどこまで適用になるかによりますが、「個人情報データベース等」ということで適用になるということを前提にしますと、主務大臣の権限が問題となってきます。それについては、郵政省からヒアリングをしたときに郵政大臣が報告を求めることができるのは法令に定められた範囲であるという趣旨の説明がありました。取材し、編集し、報道するということは自由であるということになります。中間報告でまとめた段階でもその辺りをどうするのかということは考えていましたが、そういう議論をする機会を得ませんでしたし、これが最後かと思いましたので少し申し上げました。
 更にもう一つ、プリントメディアについては一切今までのところ法的な規制は、一般法によるものは別として、ないところに、今度は行為について取材の段階から一定の規律が出てくる、これは従来のものを非常に大きく変えることになるということになってきますので、それをどう調整するのか。調整する原理というのは憲法に根拠を置くことになりますので、それは中間報告の段階でも書いていたところです。
 他方、個人情報保護の問題というのは私もずっと研究してきていますが、ある意味では性格は違いますけれども環境保護、環境保全などと似たような人類共通の側面もあるのではないか。そうすると、それをないがしろにするということもできない。これはたとえ報道に携る者であっても個人情報の保護には努めるべきだ、そういう中でどう調整を図っていくのかということになるのではないかと思うのです。どの案がいいのか。これは最終的には委員長に是非お決めいただきたいと思いますけれども、今の西谷委員の発言等からしますと、「基本原則」の中でも適用できないものが出てくるのではないか。私も例えば第5の原則ですね。「透明性の確保」のところで「個人情報において識別される個人による適切な関与が認められ」ということになった場合、どういう形の関与になるのかというようなことも含めて、前回上谷委員が言われた取材源の秘匿にも関わる問題ですし、そういうこととも関連づけて論じなければならない事柄ではないかとも思います。そうなりますと2ページの「何人も」というのをどのようにするのかというようなことも関係してくるそういう感想を持ちました。
 この議論は、マスコミ各社が非常に大きな関心を持って見ていると思いますが、それをどうするのか十分検討をしていく必要があるのではないか。他の適用除外についても程度の違いがあるかとも思いますが、学術研究とか宗教の問題について文部省から問題提起されていまして、実際に文部省の学術審議会の学術情報資料分科会学術検討部会でもいろいろ検討をしています。そこでは学術研究が主なものですが、文部省の方から説明がありましたように、既に行政機関個人情報保護法でもかなりの調整を図って適用除外を設けているということもありますので、そういうことも参考にしながら宗教も含め、あるいは憲法で保障されているその他の重要な価値についてどうするのかということも検討する必要があると思っています。

【高橋委員】今の堀部座長や先ほどの西谷委員の御発言を聞いていて、ひょっとして私の方に理解の間違いがあるかもしれないということに気付きましたので、皆さんの御理解の仕方をお聞きしたいのですけれども、私は基本原則については法的義務であり、努力義務の規定であり、まさに原則ですから例外を許さないものという理解でもない。この個人情報についての基本的な考え方を述べたという趣旨のものだと理解しておりました。ですから、前回「基本原則」については「何人も」ということで、特に報道機関などについて除外しないとまずいと考える必要はないのではないかという発言をしたのですけれども、もしこれが私のような理解のものではなくて法的意味を持っているような原則であって例外というのはそんなに許されないものだというものであるとすれば、以前からの私の発言は撤回したい。
 もしそういうものであれば、この「基本原則」の中でも除外を入れていかないといろいろ困ったところが出てくるだろうと思います。私は、この「基本原則」というのはまさに基本的な原則を考えるということであって、例外を一切許さないというものではない。そういうことで読めば、何人に対してもこういうことを求めても特に問題になることはない、むしろ求めるべきだ、努力義務として求めなければ基本法をつくる意味がないのではないかという理解をしております。

【小早川委員長代理】適用除外の問題ですが、いろいろ御意見がありましたので私も申し上げます。
 結論から申し上げた方がいいと思うのですが、私は報道機関、あとは宗教、学術というのは十分議論していないのですが、何らかの文章上の要件上の整理をした上でやはり同じ扱いにするのかと思いますが、事業者の義務、4.の部分をまとめて適用除外にする辺りがいいのではないかというのが結論でございます。
 それで、いろいろな考慮なのですが、1つは4.の中のいろいろな義務で、義務によっては例えば管理などというのはそうかという御発言もあったかと思いますが、報道機関等に課しても実体的には不当でないものもあるかもしれない。ただ、そうでないものもあるわけで、ですから、義務ごとによって違うというのが1つですが、それより、4.というのはそういういろいろな義務を一定の仕組みによって担保しようという全体のシステムになっているわけでして、そこは自主的取り組みをきちんとやってくださいね、苦情処理体制はきちんとつくってくださいね、それから、そういう自主的な取り組みを前提にした上で主務官庁が一定の監督権を持ちますよということでありまして、やはりそういうシステム全体を外さない限りは端的に言えば、今の堀部座長のお話にもありましたけれども、プリントメディアについて従来主務官庁というのはなかったはずなのですが、この際そういうものをつくらなければいかぬということになってしまうということも象徴的にあると思うのです。ですから、4.を部分的にせよ適用するということはそういう帰結をもたらすのではないか。それはやはり避けた方がいいのではないか。技術的なところにだけ口を出しますよと言っても、その主務官庁が口を出すときにはやはり実地調査なりデータベースの中身なりを見ることになるかもしれない。実体に立ち入る可能性を残しておくということはかなり問題があるのではないかということであります。
 それに対して「基本原則」の方は私は今、高橋委員がおっしゃられた言い方で言うと、「基本原則」というのは守ってほしいが守らなくてもいい原則ということではなくて、やはり何人もといいますか、例外なしに実現されるべき原則なのではないかと思っているのです。ただし、そのためにエンフォースメントの仕組みを特につくることはしませんよというだけのことでありまして、私はそのように理解しています。そういう観点からしますと、確かにこの5原則のうちの第5原則「透明性の確保」の点についてはやはり少し見直しの必要があるのかもしれない。私の差し当たりの思い付きとしては、公益に反しない限りとかという言葉を入れて、報道機関なり学術研究なりについてはそもそも、適切な関与を認めるべきだという原則そのものに例外をここで付けておく。例外とする可能性を残しておくということが望ましい。その上で「基本原則」は必ず守ってくださいねというのが、書き方としてはすっきりしているのではないかと思います。
 もう一つ、4.で除外するという場合、事業者をまるごと除くのか、それともデータベースを区分して除くのかという問題がありまして、できれば後者の方がいいだろう。報道機関であれば、報道目的のデータベースとそうでないデータベースを区分した上で適用する。その前提は、報道機関の側にそういうことをしていただくというのが前提であり、それは大学等も同じで、宗教法人の場合にどうなのかというのはよくわかりませんが、その辺はまた御検討いただきたいと思います。私の意見は以上です。

【上谷委員】結論的には今、小早川委員がおっしゃったことと私もほぼ同じ意見です。私の気持ちとしては、宗教はやや違いますのでもう少し検討してみたいと思っていますが、報道、学術、その除き方を例えば機関でとらえるのか、目的でとらえるのか、いろいろな問題があるとは思いますが、恐らく目的でとらえるのだろうと思います。そのようなものの除外の仕方については、結論としては今、小早川委員がおっしゃったところになるのだと思います。
 前回、私も各条文ごとにということを申し上げましたので、その観点から申し上げますと、前回以後、特に4.の中の一つひとつを読んでみました。読んでみましたけれども、結局この中で生き残ってきて学術等、あるいは報道にも必要で是非残しておきたいというものになってくると、結局適正な方法によって取得しなければならないというこの部分なのですね。それと、あとは安全管理ぐらいのところですか。例えば、4の中の(3)以降は報道にしろ、学術にしろ、一つひとつ検討してみた結果も結局は適用できないことになるということになりますので、残ってくるのはそのくらいかと思います。
 それから「基本原則」も、私はこれはどちらかと言えば西谷さんと同じようなことを当初考えていたのです。やはり(5)は「透明性の確保」の中で適切な関与という部分が当然問題になってくるので、ここが残っている限りそのまま報道、学術等には適用できないだろうと思います。
 それから、(1)の「利用目的による制限」も目的達成に必要な範囲内で云々の、こちらはだれに適用されても問題ない規定だと思いますが、利用目的を明確にするという点で必ずしも明確にできない場合が学術研究の場合にしろ、報道の場合にしろやはり出てくる可能性があるので、ここが引っ掛かるかなということになってくると(1)は少し問題になるのかなという気がいたします。ですから、先ほど小早川委員のおっしゃったような修正を施す、あるいは利用目的が明確にされるということについて何らかのそういう報道あるいは学術、宗教目的等で外れることがわかるような表現を取り込めれば、小早川委員のおっしゃったとおり「基本原則」全体はすべて適用という形にする方が筋が通るかなという気がいたします。
 細かいことを言いますと、私は4.の中でも適正処理とか安全管理の場合の部分は本当はすべて適用されて、つまり適用除外を認めないということでいいような気がしていたのですが、この素案自体の構成が実は「基本原則」で言えば(1)と(2)を一緒にまとめて書いてありますので、そこで分けづらくなってしまったということがありますし、そんなに細かいことを言い出しても、結局それを認めようとすると例えば大臣の関与等も外していかなければならないということになって技術的に大変複雑になりますので、この際の議論としては先ほど小早川委員あるいは西谷委員がおっしゃった4の方からは学術、報道関係は適用除外とするということでいいと思います。
 宗教については、私はまだ検討が不十分なのですが、どちらかと言えば学術、報道目的とはかなり違った場面があるので、適用除外はもう少し範囲が狭くなってくるのではないかという感じはしています。ちょっとまだ、自信がございません。
 それから「罰則について」です。これはたまたま私がこの次までにつくれと言われて事務局と相談して提案しましたので、私の意見を申し上げておきます。私は、結論としては、基本的にはA案ですが、やはり先ほど御指摘があったように秘密というものを定義するということは非常に難い。実はこの案は、刑法134 条、135 条の規定をそのまま借りたものでして、医師、薬剤師、助産婦云々というものを全部省いてしまって、「が知り得た秘密」というところを「知り得た人の秘密に」に、「正当な理由なく」の次のお医者さん…も全部抜いてしまったというのが実はこの案です。
 ところが、私はそのときにも気になっておりましたので、この注の中に入れておりますけれども、やはり秘密の種類をある程度限定しておかないと、全く裸で人の秘密というので漠然とし過ぎはしないかという懸念は私自身も持っております。例えば、「わいせつ」と言っても別に何の定義規定もないのだけれども、判例で形成されているではないかということから言えば、人の秘密も別に定義はなくてもいいとは思うのですが、やはり「わいせつ」についてもいろいろ争いがあるということも事実ですので、法律を適用する方の側のことも考えますと、ある程度内容を既に使われているものに限定していく方が、当面の出発点としては無難ではないかという気もします。
 そこでB案とも関連しますが、既に法令で定められている守秘義務規定をA案の中へ持ち込んで、そういうような規定に表れているような人の秘密に属するという限定を設けると同時に、先ほどのお話にございましたような、うわさ話までここに入ってしまうのかというと、それは幾ら何でもいき過ぎだと、そこを明確にする意味と、本来的にはこれはIT社会を前提にしていますので、集積された個人情報、個人情報データベースというものからの提供ということで限定するという両方の問題点を取り入れていただいた意見で私は構わないと思っております。
 先ほど西谷委員のおっしゃった、「なりすまし」による取得ですね。それも確かにいろいろなところから要望が出ておりますし、私も大事な問題だと思います。ただ、私がここで提案いたしましたのは、前々から申し上げておりますとおり、実効性を確保するためには是非必要だという観点です。ある程度絞ってでも罰則はやはり設けておくべきだ、ということになりますと、結論としてはやはり自由刑を含むような罰則でないと実効性の確保は難しいと思います。現に刑法の規定を見てみますと、自由刑としては6か月以下の懲役ということで自由刑が入っています。罰金は10万円と余り高くはありませんけれども、そういう罰則になっております。そういう自由刑を含まれるものということを前提に考えています。例えば国家公務員法なり地方公務員法なり、その他いわゆる守秘義務規定というものに設けられている罰則は実は非常にばらばらではありますけれども、かなり自由刑が含まれている罰則が多いはずです。そういう罰則に値するものということになってきますと、先ほど西谷委員のおっしゃったようなものまでここへ含めるのはいささか無理があるかと思って、罰則に自由刑を含むことによって抑止力をかなり期待できると、そういうものに限った趣旨です。
 なお、B案について申し上げておきますと、私はここで表れている守秘義務規定に違反したということで秘密の趣旨をくくるということについては全く異存はございません。したがってB案に乗っても悪くはないのですけれども、この中で出ている「違反して提供される個人情報」という「提供される」というところに私は疑問を持っています。例えば、医師などから医療の研究のためにある人の病状の提供を受ける。このこと自体、医師の行為自体は決して違法ではないはずです。学術目的のために、正当な目的のために情報提供をする。これは例えばがんの研究のため、疫学の研究のためにということでいろいろ利用されている。それが違法だとは考えられないはずです。提供すること自体は正当な行為だと評価されると思います。そのように正当に、つまり守秘義務規定には違反しないで提供された大事な情報というのもあるはずなので、そういうものが外へ出ていくということを罰しなければいけないものですから、元が違反に限らないだろうという意味で、この「違反して提供される」という書き方に私は違和感がある。そういう意味で、B案のように守秘義務の範囲を限定するという意味で似た表現を使うことには私は決して反対ではございませんので、私の申し上げたことが充たされるなら、どちらの案であっても私は固執はいたしません。

【高芝委員】今の議論の関係で意見を述べさせていただきますけれども、私の理解では大綱案の中間整理案、6月に出たときの5.で事業者のところでは、基本は自主的に必要な措置を講じるということを前提として、その法的な程度は更に検討しようということであって、それを踏まえて今この議論になっていると理解をしているわけです。その意味では、今回の今の原案の3.の「基本原則」のところ、これは「基本原則」がシフトして書く場所が変わってきていますけれども、言わんとしている趣旨は理念といいますか、基本の原則を尊重して自主的に努力をしましょう。やはりこれがベースであるということは変わっていないと思っています。それを前提にした上で、一部義務規定を明確に書く部分が出てくる。それは4.だということで、4.の方に割とはっきり出ているのでそちらが目立つようにも思うのですが、基本的には私はこの3.の「基本原則」の方で、原則は自主規制を前提としていると理解をしております。
 それで「努めなければならない」という書き方の言葉はいろいろな解釈が出てくるかと思うのですけれども、念頭に置いているのはやはり努力規定、努力義務ということだと思いますので、これで直截に何らかの民事効果も含めて出てくるとか、そういうものではないだろうと考えています。ですから、その意味ではこの「基本原則」というのはもし法律をつくった場合の骨子、ポイントとしては最大限生かしていく。適用除外の関係のところでも、それを前提に考えていけないかなと思っています。
 それで、適用除外の部分についてはまだ私の方がテクニカルなところで引っ掛かっていまして、現在4つの道筋の中のAとかBとか各委員の御意見を伺っていてなるほどと思っているのですけれども、イメージとしてそれぞれ報道用という場合、ないしは報道目的という場合の特定の仕方がまだ私自身どうなるのかというところがあります。まだ理解できていないところがありまして、皆様方は共通の思いで議論をしているというのはわかったのですけれども、その除外の仕方、特定の仕方と言ったらいいのでしょうか。それによってまた検討の余地ないしは考え方をまとめていくことも一つかなと思っています。まだ途中段階なので申しわけございません。
 ただ、いずれにしましても何らかの概念を使って、用語を使って適用除外を考えていくことになると思うのですけれども、そのときには報道用といえ、報道目的といえ、やはり解釈の問題が出てこようかと思いますので、先ほど西谷委員が言われた留意規定というのは私も検討の価値があるのではないかと思っています。以上です。

【藤原委員】起草の立場なので少しだけ遠慮していたのですけれども、もう申し上げていいと思いますので3点ほど申し上げます。
 第1点は前回と、それから先ほどの堀部座長の御質問に対する意見というか、補足です。この法律の仕組みは全体として取得段階で情報ファイル、あるいはそれをデータベースと呼ぶかどうかはともかくとして、ファイルを把握することは我が国でも、あるいは欧米でも先生も御存じのようにかなり難しい。ですから、できるだけ出口の提供のところで縛ろうという体系になっております。例えば子どもの情報にしても、そのほかの信用情報等にしても、やはり提供のところで縛る。そして、社会的にも新聞等で報道された事件というのは大量なデータベース等が不法に、あるいは不適切にだれかに提供される事例である。そういうところに国民全体が不安を感じておられるのではないか。そういう仕組みがいいのではないかということで全体ができ上がっていると思います。まずそれを補足させていただきます。
 2番目は刑罰のところなのですけれども、私も上谷先生のA案にどちらかというと賛成でして、これも非常に難しいと言えば難しいと思うのです。といいますのは、先ほど審議官から罪刑法定主義という言葉がありましたけれども、要するに刑罰の構成要件というのは反対側から見れば人権を守るためのものですから、構成要件があいまいであり、余りにも抽象的であれば、それは人権を侵害するということになりますから、構成要件は非常に正確に書かれなければならないし、あいまいなものであってはならない。そういう意味で立法がかなり難しいということはそのとおりだと思うし、よくわかります。
 ただ、一方ヒアリングを通じて、あるいは社会の要請というか、この法案が出てくるときに検討部会等でもいろいろな方々から座長の方に質問があったのは、やはり刑罰が考えられないかということであったと思うのです。そうしますと、アのようなもので、かつ今の世の中で何が問題になっているかというと、大量に蓄積あるいは大量に集積されたものが知らないうちに飛び回るのが不安であるし、それはもはや高度情報化社会では許されないということなのではないか。そういったことであるとすれば、先ほど上谷委員から補足がありましたように、客体を絞って、かつデータベースもそれを大量性等で絞るということで可能かどうかの検討を委員会というか、我々としてもぎりぎりまで追求してみるという案がよろしいのではないかという気がしました。まずそれを申し上げます。
 それから3点目に適用除外、特に報道機関等ですけれども、これもヒアリング等で意見を伺っておりますと、要するにメディアとしての取材活動と報道の自由の制限になってはならない。それは制限してならないものであるのは当然のことだと私も思います。ただ、一方でプライバシーというのは有力な憲法学説によれば、一本の木にたとえれば木の根っこのようなもので人格、つまり人間の尊厳を支えるものである。それで、個人データというのはその周辺であるわけで、いかに表現の自由といえどもプライバシーに関わってくる個人データと、やはり未調整でいいとか、無修正でいいというのは通用しない議論であると思います。
 ただ、そこで調整はやはりしなければならない。それで、具体的にどうするかというと、これもほとんどの先生方がおっしゃいましたけれども、「基本原則」なり4.の義務等で抜かなければならない規定があるということです。それで、私個人としては資料で前回配られた1−2でいけば、やはり条文の趣旨に照らして条文ごとに適用検討するのが合理性が高いのではないかと思っておりますので、「基本原則」に関しては先ほどの西谷委員と同じような感じを抱いております。つまり、取材を制限することになる利用とか「透明性の確保」のようなところは、やはり報道の自由ということを重視する立場から適用除外にすべきであろうと思います。もっとも、ここのところは先ほど小早川委員が「基本原則」というものの性格上、一律ではないかとおっしゃって、それもそうだという気もするのです。ただ、自主的な努力を求める趣旨というのをどの程度に読むかということによっては、5番の「透明性の確保」のみただし書きにその旨がわかるような形で除いてもいいのかなという気もいたします。いずれにせよ、ここは情報を収集、取得したり、利用したり、あるいは関与を認めたりするというようなところは取材の自由、報道の自由が優先すると思います。
 それから4番ですけれども、これは全体的に抜けという意見が大勢であることはわかっているのですがあえて申し上げると、この中でヒアリング等で報道機関以外の方々の要望として多かったものとして抜けているのが苦情処理のところだろうと思います。それで、この苦情の処理のところは努力義務規定なのです。努めなければならないという努力義務規定である。ただ、もちろん努力義務規定なのですけれども、安全管理義務もそうですが、努力義務規定であるにせよ、5番の政府の措置のところで主務大臣の指示等というのが残っては困るというのもそのとおりだと思います。それで、私は条文ごとに見るということですので、確かに法文の体系としては若干美しくないということはよくわかるのですけれども、この辺りはまだ適用の可能性があるかどうかは検討してみてもよろしいのではないかと思います。ただし、その場合には実例もあるようですので、こういうところが入ったとしても主務大臣等の指示というところとは関連しない。ここら辺は適用除外とする。その前提で、単なる努力義務規定を置いておくということが体系上どうかという議論があるのはもちろん承知していますけれども、それでも一応自主的にやはり努力していただきたいという旨を残すかどうかは検討の価値があるのではないかと思います。全体としては、他の先生方と適用除外の範囲が大きく異なるものではありません。以上です。

【園部委員長】遠山委員、何か休憩前にございますか。

【遠山委員】今回の法制は、やはり個人情報主体である国民が非常に注目している法制であると思います。その意味で、目的に照らして高度情報化社会におきましても自分の知らないところ、あるいは機械的に自己についての情報が流れていくということがある意味でコントロールされていく。また、そういうことについて自らの関与がある程度できるということで、今回の法制度は非常に待たれていると思います。
 その意味で、適用除外につきましては私はできるだけ制限的に考えた方がいいのではないかと思います。もちろん報道の自由、表現の自由ないし学問の自由というのは本当に大事なことでありますし、国の基本になることであります。ただ、個人情報の主体者から見ますとそれらのものが完全に抜けてしまう。組織体として、あるいは事業者としてのあれが完全に抜けてしまうということについて一体どうなのかなという点を少しここで議論してみた方がいいのではないかと思います。
 それが1つと、それから国際的に見てこの個人情報に関する保護法が各国で法制化されておりますけれども、そこのところで、こういう形で全く事業者としてのそれらの機関が抜けてしまっているような法制があるのかどうかという点も、もう一度念のためにお伺いしたいと思います。その意味で、結論がどうなろうと特にこだわることはないのでございますけれども、できれば報道の自由そのものを守るということは基本としながら、適用除外そのものをある程度制限的に考えるという角度から4のところの適用のルールあるいはあるべき適用の項目というのがあるのかどうか。これだけもう一度サーベイしていただきたいと思います。その結果を見て結論を出してはどうかと思います。
 それからもう一つ全く別の点でございますけれども、やはり国民が待っているのはいろいろな問題があったときにどういうところへ駆け込んでどういう苦情処理がしてもらえるかというのは非常に大きくて、そのことについて明確にされることを要望していると思いますが、この法体系では余りその点が明確でございません。いろいろな業界団体等でやってくださいと、これはこれでよろしいのですけれども、大きなIT社会のいろいろな問題をどう解決するかというような議論の流れの中でADRといいますか、裁判外組織における紛争処理機構というのを充実していこうという動きがございます。その方法については、恐らく政府のところで書かれようとしております基本方針を新たにつくるときにもう少し明確化されるものではあろうかと思います。
 ただ、この案を外に出しますときに、できるだけ第三者機関で、そして個々人が利用しやすいような裁判外の紛争処理機関というものにできるだけ対応していくということを明確にした方がいいと思います。
 それで、法制の議論とは直接関わらないのでございますけれども、私も何かいい方法はないかということで考えてみましたところ、例えば日本弁護士会では、全国各地に弁護士会の組織を持っております。それから、そこが仲裁の機能を既に持っております。ですから、そこに個人情報を扱うような仕組みを置いてもらえば、市民は何か問題があったときにそこに相談に行きやすい。最終的には主務大臣が関わって罰則ということになると、そこの仕組みはどうなるかということはまだ判然としませんが、私が申し上げたいことは、国民にとってできるだけ自分たちの個人情報の主体者としての権利が守られて、苦情処理というのがどのようになされるかが知りたい中身であろうかと思いますので、その辺をもう少し詰めていった方がいいのではないかと思います。以上です。

【園部委員長】どうもありがとうございました。それでは、一応3時55分まで休憩いたします。

(午後3時40分休憩)
(午後3時55分再開)

【園部委員長】それでは、会議を再開します。いろいろ御意見が出まして、基本的にはまずこの対象除外とか適用除外の問題がございますが、それは私の理解が間違っておれば別ですが、今まで伺っていた限りでは、先ほどの資料の1−2の調整についての@C、つまり1案と4案は積極的に支持される方が余り出てこなかった。私の理解はそうでございます。それで、一応今回はABといいますか、第2案、第3案というのは非常にお互いに関係しておりまして、2がいいとか3がいいと言ってもどちらをどのように理解するかによって3になったり2になったりするという問題がございます。
 それで、まず最初に私のこの問題についての考え方についてまた皆様方の御意見を承りたいと思いますが、例えば「基本原則」について全部適用があると、仮にそういうことをいたしましても、「基本原則」が執行機関というものに直接関わってこない努力義務だけだということになると、憲章みたいなもので本当の意味の基本法ということになります。
 ところが、4.の「個人情報取扱事業者の義務等」となりますと、これはかなり一般法的なものがここに規定されている。したがって、この基本法的なものと一般法的なものというのが混在しているという前提で考えなければなりませんが、ただ、4.のところでできれば全部にかぶせていきたいというものは、それは考えてみれば「適正な管理の実現」というのがございますが、「適正な管理の実現」という(2)は基本原則の(3)と関連しているわけで、問題はその「適正な管理の実現」がどういう政府の機関によって最終的に実行されるかということに関わってくるわけであります。
 最近の例で言えば、JRが長いこと駅と駅の間に止めた。これは運輸省としてはもう少し改善の余地はないかと、必ずこのようにくるわけでございまして、食品に何か中毒が出れば厚生省その他が関与してくる。これは最終的には改善命令、中止命令というのが出てくるわけですが、果たしてこの適用除外をすると考えている出版、報道あるいは医療等々の関係で、そういう監督的な主務大臣というものを新たに設けることができるかどうかということがございます。
 それで、最終的には中止命令から改善命令まで出さなければ、これは本当の意味の法律の規定として実効性のないものになるわけでございまして、その点はまずどうしても引っ掛かってくるわけで、放送については先ほど堀部座長がおっしゃったように、一定の放送法というものがかぶってくる場合もありましょうが、プリントメディアについては今のところそういうものがないのを、特にそういう機関を設ける必要があるかないかということが議論の対象になります。
 それからもう一つ、私が非常に大事だと思うことは苦情処理機関でございますが、苦情処理機関は私は是非設けて欲しいと思います。これは、単なる自主的努力ではなくてあらゆる個人情報処理に当たるものは一切苦情処理について何らかの団体を設けるということは必要だと思いますけれども、本当にその団体として認められるためには、これまた主務大臣の認定を受けたきちんとしたものでなければならぬというようなことになってくると、すべてのものに主務大臣の認定というような行政行為がかかってくるということになります。
 そこで結局のところ、1つは苦情処理についてはむしろ「個人情報取扱事業者の義務等」と持っていかないで、何か別の枠でそういうものを別の章なり別の条文でも結構ですが、苦情処理機関というものはどうしても設けなければいけないのだということを法律上求めるということができればこれが外れますので、どうしても私などの考えている4.をもし外してしまうと苦情処理まで外れてしまうのは困るという考え方については多少の安全弁になるかと思うのですが、ただ法律の条文としてそういうものができるかどうかというのは大きな問題点です。
 そこで、私は何とかこの一つひとつですね。先ほど遠山委員からも御指摘がありましたように、もしこの4.でいくとして、かつ政府の機関というものを考えないで、なおこの4.の中で出版とか放送とか新聞とか、あるいは医学関係とかその他、今、個人情報保護の対象の外側に置いてほしいと思われている人たちに4.でかけられるものが果たしてあるのか、かけてどのように具体的に実効性を持たせることができるのか、このことをひとつ考えていただきたい。そのときに政府の機関として、例えば苦情処理機関というものを今、日本弁護士連合会の問題も出ましたが、適正なADRというものが一方でできるということも、法律案として求めることは無理としても、私はできればこの委員会の一つの大きな要望として述べてみたいと思ってはおります。
 ただ、それが制度化できるかどうかというのはいろいろ政治的な問題もございまして、つくるとなると相当大きな立派なものをつくっていかなければなりませんし、またつくられた機関が本当に苦情処理機関として機能するかどうかという問題もございまして、その辺のところをどのように考えていくか、これが一つの大きな問題だろう。実際に個人情報を取得する段階か、提供する段階か、あるいはその後の苦情処理の段階か3つありますけれども、最終的な苦情処理のところはどうしてもきちんと押さえておかなければいけないだろうと思っている次第です。
 それで、3案に比較的近いお考えの方で個別に除外をするとした場合、報道用の取扱いとか報道機関というのがありますが、例えば私の理解では新聞社その他でも純粋の報道目的だけに個人情報を集めている部分と、それから商業的に利用する可能性のある部分とがあるわけでございまして、そうなると商業的に取り扱う部分についてはここで規制をかけようとしている個人情報取扱事業者になる可能性もあるわけです。新聞だからすべて免責だと、新聞社のやっていることはすべて免責である、放送事業のやっていることはすべて免責であるということにはなかなかならない。したがって、やはり目的ですね。目的を区別していかなければいけませんが、そういう場合に条文として報道用とか、報道用のための取扱いとか、そういうような要件だけでうまくカバーできるかどうか。その点をひとつ御議論いただきたいと思います。
 そこで、この4.の中でもし個別的に除外を考えていくとして、それがうまく機能できるかどうかということについて何か御意見があればおっしゃっていただきたいと思います。

【藤原委員】私も今、委員長が言われたとおりで結構かと思います。3で、各条文の趣旨に照らして詳細に検討してみるということですけれども、詳細に検討してみてどうしてもやはり報道機関といえども頑張っていただきたいと思うのは、先ほど既に申し上げたとおり苦情の処理でございまして、そこが他のところで技術的に措置することが何らかの形で可能であるということであれば4はそのまま抜いて、「基本原則」という、先ほどの小早川委員長代理に近い形でもよろしいのかなと思います。その場合、多分機関では抜けませんので、今おっしゃったように営業用ファイルもありますし、取材用ファイルもあると思いますので、例えば専ら報道目的でする個人情報の取扱いというような書き方がよいかどうかはともかくとして、多分専ら報道を目的とする個人情報の取扱いについては適用除外としていくというような形になるのではないかと思います。

【園部委員長】ほかに何か御意見ございますでしょうか。

【堀部座長】報道という概念が必ずしも明確ではなくて、私が知り得る限りで現行法上使われているのは、例えば、著作権法の41条で時事の事件の報道というような形で使っているとか、あるいは放送法ですと先ほど言いましたように第3条の2の第1項で、報道は事実をまげないですることとというような形で報道というのは使われています。更に放送法ですと第3条の2の第2項で、放送番組調和原則というのがありまして、教養または教育ならびに報道および娯楽と4つのカテゴリーに分けています。そうしますと、報道というのは一般的には時事の、あるいはいろいろな社会的現象等を一般的に伝えるというようなことで、そうなった場合に番組制作というのがどういうカテゴリーでとらえられるのか。今、言ったような番組調和原則からすると教育、教養というのもありますし、それから娯楽というカテゴリーもあって、全体が番組なのですが、番組制作というのは報道とは違います。ですから、報道というと既存の法律の規定との関係でいくとかなり狭くなる、それでいいのかどうか。
 だから、保護すべき利益は何なのかというようなことで新たに概念をここでつくり出せれば一番いいかと思いますし、この法律で報道というのはこうだと定義すればいいのですけれども、それもなかなかここですぐには出てこないのではないか。先ほど西谷委員が言われたことをメモしていないのですけれども、何と言われましたか。

【西谷委員】報道の目的、出版の目的、その他表現の自由の行使を目的として取り扱われる個人情報。

【堀部座長】何か工夫をしないと。

【園部委員長】そこは一番大事なところですね。

【堀部座長】ここでは一般的に報道、報道と言っていますけれども、既存の法律との関係もあるし、余りそれと違った表現もできませんので、そこをどうするのかということは是非御検討いただければと思います。

【藤井室長】報道という言葉の使われ方とか意味は今、法令検索データベースというのがありましてすぐにチェックできますので、あるいは用語辞典とかいろいろ調べさせていただいて、今日お出しできればお出ししますが、もし次回でよろしければ次回に資料などは調整して御検討の材料に供することはできると思います。

【堀部座長】さっき法令検索について言おうと思ったのですが、今すぐというわけにはいかないだろうと思い、私の頭の中のデータベースにあることを申し上げました。

【園部委員長】それはパソコンで出してもらうということにして、ほかに疫学等々はどう表現しますか。

【堀部座長】これは厚生省の厚生科学審議会のワーキンググループでもいろいろ議論をしているところで、そこをどうするかは、あるいは考え方という形で出すのであればある程度法案を作成する上で使うべき表現についてきちんと詰める必要があります。

【藤原委員】今、疫学研究と委員長が言われたのは、特にそれが明記されるという意味ですか。

【園部委員長】学問全部と言っても非常に広いものですから、学術研究を全部やりますか。出版、報道、学術研究と。

【藤原委員】学術研究、宗教というのは比較的報道よりは対象は明確で、学校法人あるいは施設、宗教ならば宗教法人法といったようなもので大枠をかぶせることは可能です。ただ、疫学となるとある意味で言えばEU指令に出てきますような公衆衛生といったような書き方の方が多分いいのだろうと思います。

【堀部座長】憲法25条2項に公衆衛生の向上というのがあって、厚生省は今までそれがあるので、先ほど来言っています中間報告の中でも憲法25条を入れてほしいということがありました。これを社会権としてとらえると、この問題というのは法律ができたときに自由権の制約の問題なので、学問の自由、憲法23条で考えてはどうかというような議論をしました。
 地域がん登録センターの人たちはそれは事業として行っている、それは学術研究なり学問の自由とは言えないと言っているのですけれども、報道というのも営業行為としてやっていますので、事業活動であってもそれに関連した保護されるべき価値があれば学術研究で考えられるのではないかと言っています。まだ厚生省の方の厚生科学審議会の先端医療技術評価部会疫学的手法を用いた研究等における個人情報の保護等の在り方に関する専門委員会もその言葉を詰めて議論してはいません。

【藤井室長】今、報道という言葉について以前、法令検索をかけて調べたものがありますので、それを提供させていただきたいと思いますが、いずれにしても結構言葉をどう使うかというのは立法技術上の問題でございまして、この点はもし必要ならばこういう点、こういう点ということを言っていただければ、今日は全体はお出しできないですが、次回にでも準備させていただきますので、また言っていただければと思います。

【藤原委員】別の点で、今日の資料1の第三者提供自体を目的とする場合の取扱いというのがかなり大きな問題だと思います。提供を業とする場合をどうするかという、ここに案が2つ示されていますので、それも少し触れておいた方がよろしいのかなと思ったものですから。
 考え方としては一番厳しくというか、伝統的なやり方を考えれば、こういう業者についてはいわゆる行政法で言うところの届出等も考えられるわけですけれども、しかしそれは恐らくこの法律が事前規制を行わずにできるだけ事後規制であること。そして、社会の動きもなるべく事前の規制をしないという動きになっているということとは調和しないのだろうと思います。そうしますと、ここに書いてあるような方法でこういう業を認める以上はこの法律の中にうまく組み込むような規定を置いた方がいいのではないかと思います。その場合、この案で「本人の同意がある場合を除き、利用目的の他、提供方法等についても」云々というところですけれども、ここら辺を法文に書き込むか、あるいはもう一段下のレベルで書くかはともかく、かなり具体的なものを求めるという方法になるのかなという感じがいたします。

【園部委員長】これは、今のあれで言うとこうしなければならないと、これはどちらがいいのですか。

【小川副室長】資料の1は別に選択の案ではございませんで、それぞれ別の局面についての問題提起でございまして、上の方は現在の素案でいきますと5ページの(3)でございますけれども、この本文だけですと第三者提供の制限というのはおよそ制限されてしまっているわけですね。それで、その一番下の※で「第三者提供を業とする者の取扱いについては引き続き検討する」と。これは念頭にございますのはデータベース業だとか、あるいは起草委員会で若干議論が出ましたのは住宅地図等で個人情報を提供しているものでございまして、およそだめだよということにしますと、ほとんど個人情報を含むものは提供できなくなる。すべて本人同意が必要になる。これが社会実態的に見て本当に妥当なのかどうか。ドイツ法では第三者提供をする業の人が別に書いてあって届出制がとられているとか、別の規制がかけられているようでございますけれども、そういうところを今度の基本法の中でどう表現するかということでございますが、お手元の資料1の案は基本的にはやっていいのだけれども、通知、公表の中身をもっと具体的に義務を課す。そのことを条件としていいよと。それから、事後的に利用停止等の申出にこれを付け加える。基本的には了だけれども、事前の手続を少し重くすると同時に、事後的に利用停止の申出に応じなければいかぬという義務を課すということでバランスさせてはどうかという案でございます。

【園部委員長】そうすると、これは並立的なのですか。

【小川副室長】下の方はむしろ別の局面でして、目的の明確化の範囲との関係で、第三者提供なのか、目的の明確化の問題なのか、両方に足場がかかっている問題でございまして、要は明確化された目的の中で者を特定して、こういう人たちの間で相互に利用すると明確にした場合は、それは第三者提供という観念ではなくて相互に利用することも可ですよということを明確にしておく必要があるのではないかという問題意識でございます。

【園部委員長】これは第三者提供ではないのですね。

【小川副室長】いわゆる自分と情報主体以外の人間というのが第三者提供ですから、基本法上、第三者をどう観念するかという問題に関わるわけでございますけれども、下の方はこういうことは目的で明確にされていれば使ってもいいのではないかという共通認識をいただければ、その旨どこかで一文立てるのか、ないしは考え方に書くのか、いずれにしてもこういう場合は可であるということを明確にしたいと思います。下の方はそんなに問題があるわけではない。問題は上でございまして、やはり第三者提供制限の範囲、基本構造に関わる部分でございますので十分御議論いただきたいと事務局としては思っているところでございます。

【園部委員長】第三者提供を目的とする個人情報取扱事業者というのは非常に独特なもので、これはある意味では全体の中でくくるとしても特別のものですね。特段認可とか、そういうものは必要ではないのですか。

【小川副室長】そういう考え方もあろうかと思いますが、今、藤原先生もおっしゃいましたように諸外国では届出制をとっているところもあるわけですね。現実にそういう例があるわけでございます。

【園部委員長】届出制も必要かもしれませんね。

【小川副室長】ただ、その届出制が必要だという結論になりますと、中間報告以来、そういう事前の規制はできるだけやらないという前提で考えてまいったこととの関係が出てきて、基本構造が変わってしまうという問題認識でございます。
 また、もう少し言葉を継ぎますと、目的を明確にするという中でこういう業を不特定の人に提供するというのは目的を明確にしたことになるのかどうかということです。少なくとも出口を止めていこうという発想でございますから、それは別に考えた方がいいのだろう。それで、今の素案ですと全面禁止になってしまいまして本人同意が全部必要になりますから、そこはある程度実態に応じて手続的な事前の手続、いわゆる通知公表の中身を具体的にする。繰り返しになりますけれども、そういう事前の手続と、それから事後的ないわゆるオプトアウトに当たろうかと思いますが、利用停止等の措置等をかませることによってバランスさせてはどうかとういう案でございます。法律にするときはもう少し精緻に、こういう業の定義をきちんと書かなければいけないとは思いますけれども、基本的な考え方としてデータベース業なり、そういう業の存在を前提にした条文はやはり別途起こす必要があるのではないかということでございます。

【園部委員長】この第三者提供の制限の中にまず基本的には一切禁止、ただし例外的にこういうものは認めるという形の条文になるわけですね。

【小川副室長】例外的にいいけれども、その場合は別の義務がいろいろかかりますよと。

【園部委員長】そういうことだそうです。今ごろになってあれですが、ひとつそういうことで一度どのように書けるか、中に入れ込めるかどうかやってみてください。

【高橋委員】それに関連して質問がありますけれども、これは新聞のデータベースについても適用されるということになるのだろうと思うのです。その場合に、例えば10年前の犯罪事実について報道している。ところが、最近の考え方では10年前の犯罪事実でもプライバシーを侵害するということになるわけです。それで、仮のこの規定を入れたとしてもそういうプライバシー侵害などには影響しないという理解でいいのですか。それとも、これが入ってしまうとプライバシー侵害も免責されることになるのですか。

【小川副室長】基本的にこの規定に限らずですけれども、民事法上の不法行為とか、そういうことは全く別論であると考えて今まで作業をしてきたつもりでございます。

【高芝委員】前回のペーパーの1−2の2枚目に付いていたところなのですけれども、それの2.で公知の情報については個人情報は適用除外というのが出ていたと思うのですが、それを踏まえてこの案ができているという理解でよろしいのでしょうか。それとはまた別ですか。

【小川副室長】公知の情報だけを提供するデータベース業もあると思うのですが、まず公知の情報という限定もなかなか難しいなということと、それだけでなくやはり第三者から収集したまさに個人情報に当たる情報をお持ちの場合もあると思うのです。だから、これはかなり判断なのですけれども、それをだめだという判断ももちろんあり得ると思うのです。この案は基本的にはよしとする前提で、ただしここにありますように手続的な担保で何がしかの制限をかけて適切な個人情報の取扱いに少し近付けようと。だから、若干柔らかい案なのです。

【高芝委員】その趣旨はすごくよくわかったのですが、ただ、このオプトアウトの権利は公知の場合はないということですか。

【藤井室長】補足しますけれども、大体そういうことでいいのですが、適用除外で検討すべき他の事項についてはあくまでも横断的に見ていこうとしている考え方でございます。ですから、今の第三者提供の例外みたいなものはまた別途の話という位置づけで御論議いただければと思います。それで、特色はむしろ小川審議官からも言いましたが、資料1の現在の案はむしろ情報の質を問わずに手続的な制度を構築する。それは事前手続と事後のオプトアウト的な位置づけですが、情報の質に着目しないで制度をつくってみたらこういう考え方がありますという理解でいかなければと思います。個人情報はまた個人情報のところで御論議していただければと思います。

【藤原委員】今のお話のように情報の質を問わないという制度であることに関連して、※にあるところの人の秘密という概念は先ほどの罰則とも実は重なってきますので念のために申し上げます。ここも人の秘密というのがさっきの議論のとおり難しいということで、取得制限ということを考えたときにこれまで度々挙がってきて採られていない、いわゆるセンシティブ情報的な考え方を採っていないわけです。私は法律全体の仕組みはそれでいいと思うのですが、ここに関しては社会的な要請がある部分であろうと考えますので、この個人情報の取得のところだけは、この個人情報取扱いで第三者提供を業とする者についてはですけれども、なお検討してみてもよろしいのかなと思いますので、その旨だけ。

【園部委員長】この適用除外を検討すべきその他の事項についてというのはどのように盛り込んでいくのですか。

【藤井室長】これは前回のときの御説明でも申し上げましたが、申し上げたというのは弁解を申し上げたということなのですが、ほとんど詰めた議論をまだ事務局としてはしていないと。ただ、各国の法制とかを見ていましても、何らかの意味での適用除外というのが書かれていて、特に今回第4章というか、あそこの規定を法律上義務化したということであれば、やはり正当な取扱いなどの場合は法律上それぞれ各条文を精査した上できちんと決めておかなければいけないという、どちらかというとそういう問題意識を書いたぐらいの話でございます。

【小早川委員長代理】今日の資料1の第三者提供を目的とする業の話の下半分の話ですけれども、これは確かに先ほど小川審議官が言われたように理論的には根本的な問題ではないのかもしれませんが、ただ、ここは緩やかにすると第三者提供にしろ規範効果はふやけてしまうわけですね。ですから、あらかじめ明確にするという場合に明確にすべき内容と、それから明確にする形式はやはりきちんとしておくべきではないか。信用情報機関、情報の相互のやりとりなどという場合もそこは大事な話ではないかという気がします。

【堀部座長】資料1で、上の方の案は例えば地図データベースですね。学生から聞いたところではアルバイトで一軒一軒表札を見て、ここにだれが住んでいるというのを集めて、そういう形で取得をしましてそれをデータベース化して業としているものもあります。その場合にオプトアウトの申出があればその部分は削除しなければならないという発想ですね。それが非常に多くなると地図データベースとしての意味が失われるおそれもあるということにもなりますけれども、その辺も配慮して個人の権利利益を重視すればこういうことでいいだろうという趣旨と読んでいいでしょうか。

【小川副室長】事務局で考えましたのはその裏側でございまして、それをよしとした場合に取扱事業者に第三者提供の制限というのをかけ得るのかどうか。要するに、業として不特定の者に提供しますと書いていただけで大体よくなってしまうわけですね。そうすると、書かない人は制限なのだけれども書いた人は何でもいい。そうすると、本来自分だけで使う人が、そのほか提供することがありますと書けば提供していいということは、事実上制限をかけていないことと等しくなるのではないか。したがって、第三者提供をそもそも目的とする人をくくり出して、少なくとも届出制は無理だとしても条文を起こしてその人については特別の手続を書くということでそこを区分しようという発想でございます。

【堀部座長】後半のところは、5ページで言うと(3)の@と理解していいのでしょうか。特定の者との間で相互に利用する場合というのは、@を条文の形で一般的に表現すればこうなるということなのでしょうか。

【事務局】一応3番目のカテゴリーということになります。実は、Aでありますようにまずグループの人がそういった企業の場合については、「共同し、又はその委託により」というのは、例えば私がある会社との間で目的を明確にされます、その目的のみのために共同するないしは委託するというのがここで読めるのです。
 ただし、今、銀行がやっていますように銀行と取引をすると、銀行はその情報をプールしてしまいます。例えば、私が住友銀行との間で取引をしても、それは三和銀行も使えるしほかの銀行も使えます、それはさすがに今、書いてあるものでは読み切れない。そうであれば2つやり方があって、銀行としては当初そのように使いますよと言って私に同意をとってください、ないしは、それは余りにも広過ぎる。それからもう一つは企業のいわゆるブラック情報みたいな共通で持っているがゆえに意味があるような企業の正当な行為として行われるものというのはやはりここでは読み切れないということで、第3のカテゴリーの注が要るのではないかという整理をしております。

【藤原委員】第3のカテゴリーというのは、今日の案のBです。

【園部委員長】Bというのは、新しく出たのでここには書いていないわけです。それがその案の下の方です。

【堀部座長】@はどうなるのですか。

【事務局】@の方は、当人との間において、例えばA社という会社との間で私が目的を明確にしてもらいました。そのA社がその部分を営業譲渡してB社がたまたま使うことになったとしても私との目的は維持される、ないしはそこの部分がだれかに吸収される。何か分社化したとしても、私との関係においては目的の連続性があります、そういう意味においては、@もAも私との関係で当初明確にされたその目的の遂行であるということで連続性があるから抜こうということです。それで、Bはそこがもう少し横に広がっていくので@とAでは読み切れない。@の場合に、例えば引き継いだ会社がほかの目的に使えば、それは目的外利用だということです。

【堀部座長】その特定の者との間でと言った場合、Bの新たなカテゴリーだということでわかりますが、よくこれも言われているのは金融ビッグバンで合併していく。その場合使えるのか使えないのか。これはさっきも言った財団法人金融情報システムセンターで議論をしたところですが、それは第三者提供とは見ないということですか。

【事務局】この注は(3)に置くとすればBなのですけれども、正確に言うと目的外利用と第三者の間ぐらいの規定になります。したがって、その提供先は不特定多数ではなくてあらかじめこの範囲だけでやりますという行為が、確かに特定の第二者ではないという意味においての第三者でありますが、目的性がかかるというちょうど間ぐらいにはまる微妙な例なものですから。

【堀部座長】そこをうまく表現できるかどうかですね。

【事務局】場所的に物理的にも(3)も(1)のむしろ間ぐらいに入る。(2)のどこかということよりは、その間の別項目になるかもしれません。

【上谷委員】いろいろな例を出されたから、もう少し読んでみないと。

【園部委員長】頭が回転しませんね。
 いずれにしても、まずやっておくべきことだけ先にやらせてください。個人情報取扱事業者の範囲で2ページの(4)のところですが、2行目の「一定のもの」と。「個人情報データベース等を取り扱う者のうち一定のもの」というのはどういうことになるのですか。具体的にはどうしたらよろしいですか。このままでいいのですか。

【藤井室長】今の素案の段階のものの考え方としては、(4)の下の※の1番目でございますが、「単にアクセスすることのみが許されており、データの変更、移転等ができない事業者及び専ら小規模の個人情報データベース等を取り扱う者」を除いた者という形になっていますが。

【園部委員長】このように案を出しているわけですか。

【藤井室長】一つの考え方としてはですね。それプラスいろいろな除き方はまた別途あると思います。例えば、政令等に委任して業界ごとに抜いていくとか、そこは先ほどの適用除外の問題などとも関連してくるのですけれども、いろいろ手はあるのですが、余り事務局と申しますか、素案の段階ではそこは詰まっていないと。

【園部委員長】少し※の中に入れたような形にだんだんしておいていただいて、それで議論した方がいいような感じがします。
 それから次に「基本原則」は「何人も」というのを入れますか。その点はどうですか。

【堀部座長】起草の段階で「何人も」と入りまして、それであとは前の中間整理の7の「国民の役割」がなくなって「基本原則」で全部だれにでもということになりますので、数量的に言えば一応日本国内にいる者で1億何千万かは「基本原則」を全部適用されるということになると思うのです。その場合に、これは前から言っていますドメスティックユースとかプライベートユースみたないものを更にここから外すのか、外さないのか。例えば先ほどのメディアとの関係で申しました「透明性の確保」の場合、携帯電話に何百人という個人情報が入っていますけれども、それを一々本人の関与がある場合にはそれに応じなければならないとするのか。あるいは、個人の住所録というデータベースについてはどうするのかという問題も出てくると思います。「何人も」となるとそういうことになってくると思うので、そこをどのようにするか。「国民の役割」というのは消費者団体とか市民団体の人から評判が悪かったので結局削っていますけれども、「国民の役割」というところで言えば中間整理の方でいけば、国民は他人の個人情報の保護及び自己に関する個人情報の適切な管理に努めるものとすることだけでよかったわけですね。ところが、「基本原則」で「何人も」と入ってくると、この「基本原則」の読み方にもよりますけれども、そういうことはどうなのかという問題があります。

【園部委員長】個人情報を主語にするという法律はあるのですか。

【西谷委員】それはありますね。それが主語というか、要するに人でない。ただ、そのことは前回私も申し上げましたが、「個人情報は適切に取り扱われなけばならない」となってしまうのです。努めるというようなことを書けばだれというのが要るようになりますから、それで大勢の御意見は「何人も」があっていいではないかと。まず薄く努力義務というか、自主的義務があって、特定事業者はその上に義務が強く乗っていて、政府も強く乗っていて、それから外れる人たちが自主的努力義務の世界に入ると読めるのではないか。もし情報の方で書けば、情報が適切に取り扱われなければならないと書きますと、その残った分のものについて、つまり特定事業者は「ねばならない」と書き、政府は「ねばならない」と書く。その他の事業者あるいは何人もですが、それは「努めなければならない」というのをもう一個どこかに起こさないと欠けたことになりますね。そういう構造をとってもいいし、私はどちらかというとそういう構造をとった方がと思っていたのですが、こう書いてそこをのみ込んでしまうことが悪いとは思えませんので。
 ただ、適用除外の使い方などがこの柱書きのところは適用除外の対象にならないが、下に並んだ5つのうち3つだけを適用するとなると、適用除外の書きぶりが、若干混乱するかもしれないという感じはあります。

【藤井室長】代替案というか、選択肢として「何人も」という話と並ぶ概念としては、部会報告でもありましたが、情報主体を除くという意味で個人情報の保有者というような考え方、あるいは今の基本法制の流れからいきますと個人情報を取り扱うものというようなくくり方、それから個人情報を取り扱う者の中でも更に堀部先生がおっしゃいましたけれども、更に限定をかけるという書き方、それぐらいの選択肢があるのかなという気がいたします。

【園部委員長】堀部座長、何か御意見はありますか。

【堀部座長】藤井室長の今の御発言で少し書いてみていただくと、次回議論するのによろしいかと思います。

【園部委員長】それでは、それを書いてみてください。

【小早川委員長代理】書いていただくことはいいと思いますが、確かにこの5の「透明性の確保」に関して、これはドメスティックユースについて何らかの縛りをかけることになるのかというところはうるさく考えれば問題だと思いますが、これは先ほどの報道等との絡みほどの問題ではなくて、法はドメスティックなものには立ち入らずとかいう格言のようなものを考えて、それを「適切な」ぐらいの辺りに読み込めば解釈上も楽でいいのかなという気もいたします。

【藤原委員】適用除外を書くまでもないということですね。

【藤井室長】全体としては、主務大臣の関与で担保するということになっております。それプラスむしろ本人参加の手続規定で自主的に当時者間で解決を図っていただく仕組みを用意しているということ。3番目に、それでも悪質なものについては今日も御論議いただきましたが罰則を設けるとか、あるいはもっと強力な改善命令に至るような行政処分のようなものをかからしめるというところですが、後ろにいくに従ってまだ検討中というトーンが強くなっております。今の段階で明確なのは主務大臣の関与と、あとはいわば情報主体の参加ということで全体として担保していくという仕組みになってございます。

【園部委員長】この「主務大臣の指示等」について、この「法律の施行に関し」という言葉が出ているので、法律の施行というのは全部にかかってくるわけですね。そういう意味では「努めなければならない」とあるのと、「〜を講じなければならない」とか、大体「ならない」が多いのです。ですから、もしそうでない場合は法律の施行ということで主務大臣が関与する。これは個別法でいろいろ議論が出てくると思いますが、とりあえずはそういう理解でよろしいですか。

【高橋委員】今、委員長がおっしゃった趣旨は、努力規定の場合には関与は生じない。義務規定の場合だけだということですか。

【園部委員長】そういうような意味合いで振り分けているのかなと思ったのですが、その辺はどうなのですか。

【高橋委員】私は、何となくこの関与のところは別に規定されていますから関与の権限を与えと、この法律についてすべてかかっているのだと思いましたので「基本原則」を根拠にしてというか、努力規定でもとにかく関与はできるのだろう。強制的な調査権とか、そういうのはないのでしょうけれども、一応御報告願いますということは言えるのだろうと読んでいたのですが。

【園部委員長】それは「基本原則」でですか。そうすると、それは主務官庁がなければだめですね。

【高橋委員】主務官庁でなければだめです。

【園部委員長】その点はどうなのですか。

【藤井室長】11ページの(5)なのですが、これは確かに「法律の施行に関し」ということで広めておりますが、あくまで主務大臣の関与は文章としてうまくできているかどうか、また御論議いただきたいのですが、個人情報取扱事業者に対してということで対象を限定しております。趣旨としてはそういう趣旨であって、あとは努力義務規定に対して関与がかかるかどうかというと、施行に関してですからやはりかかるのですが、ただそれは努力義務とした法律の趣旨から見て主務大臣の関与というのはおのずと制限的なものでなければならないということになろうかと思います。例えば普及施策とか情報提供施策とか、ソフトな支援施策というような形での関与というのは考えられるかと思います。

【高橋委員】そうすると個人情報取扱事業者に対してだけだということで、例えば関与が困るという議論が最初の段階で出てきました報道機関等ですね。それを除外するということになると、個人情報取扱事業者から除外するという書き方になるということになってくるのでしょうね。

【藤井室長】そういう考え方でございます。

【園部委員長】もちろん新聞社でもある部分は個人情報取扱事業者になる可能性はあると。先ほど申しました目的によってですね。

【高橋委員】そうすると、報道目的とするものがアンブロックに除外されてしまうわけではなくて、事業者として残る部分と。

【園部委員長】新聞社のやっていることは報道だけではない。例えば放送事業者でも報道だけではないですから、もし報道だけでかぶせるとするとそれ以外の部分は取扱事業者になる可能性があるかどうか。それは今の議論の問題です。

【高橋委員】私は、今のような議論になってくると最初の「定義」のところで個人情報取扱事業者から報道目的のものは除くというような書き方になるのかなとちらっと思ったものですから。

【藤原委員】そこは、いずれにしても目的というところの解釈は残りますので。

【小早川委員長代理】だから、何々の目的でする場合に限り除くとか、除かないとか、そういう書き方かなとは思っておりましたけれども。

【西谷委員】それはいろいろなやり方があろうかと思います。

【藤井室長】大綱案の段階でございますので、なかなか立法技術的な観点から見て正確に書かれているかどうかというと余り自信がありませんので、むしろこの場では趣旨として、例えば今、委員長が御指摘だったのですが、取材用のファイルを保有している取扱事業者などは除くのだよという趣旨が明確になれば、それは条文化することは立法技術上の問題ですので、むしろそのような趣旨の方を明確にしていただくということで結構かと思っております。

【上谷委員】個人情報取扱事業者というところで報道目的を持っている者とくくってしまうと、先ほど委員長のおっしゃったような報道目的以外の情報まで取り込んで除外してしまうので、そこの書き方は注意していただきたいと思います。

【堀部座長】3ページの4の「個人情報取扱事業者の義務等」の後に※がある部分ですが、ここに書いてあるということは起草の段階でも申し上げたのですけれども、何らかの形で条文にできるかどうか。というのは、ここにあるものよりも既に自主規制で相当ハイヤーレベルの保護措置を講じているところはあるわけです。そうしますと、これは義務ですから、ここまで守っていればいいのではないか、むしろ全体のレベルダウンになるおそれがあるのです。もちろん何もやっていないところはレベルアップになりますけれどもレベルダウンになるおそれもありますので、あくまでもこれは必要最小限の規律なのだということを入れていただきたいと思います。

【遠山委員】その点は賛成でありまして、今までの流れとしては業界の自主規制というもの、ガイドラインというものを重視していき、そこでできるだけ処理をしてもらうと。その精神をかなり根底から覆すというのは私は問題だと思います。ですから、これは最小限で、これもインクルードした形で業界がガイドラインを示せば、それはそれできちんとやってもらうというようなことがわかるようなことを、むしろそういうことを明確にするような規定があってもいいのかもしれません。先ほど来主務大臣、主務大臣というお話が出過ぎて、基本をここで書いて、あとは主務大臣という単純な方式に読み取られてしまうおそれがあると思います。

【小早川委員長代理】同じことだと思うのですけれども、主務大臣の指示の方も、これはこう書いてあるけれども何でもやるつもりではありませんよということは事務局から何度も発言がありますが、やはり、自主的取り組みを主として、主務大臣もそれを踏まえた上でやるのだということを、もし条文に書ければ。それも検討の余地はあるのではないかと思います。

【藤井室長】条文に書けるかどうかという問題は残りますが、いずれにしてもこの委員会での御意見というものは何か明確な文章に表れるような形で考えるというようなことも合わせて考えさせていただきたいと思います。

【園部委員長】それは必ずしも条文的なものではなくて、委員会としてやれることはここまでだけれども、これだけのことを要望するということは書きたいと思っています。
 それでは、誠に申しわけありませんが、予定の時間となりましたので本日の議論はここまでとさせていただきます。各委員におかれましては、次回会合までの間にお気付きの点などがございましたら、メモあるいは口頭でも結構でございますので適宜事務局まで御連絡いただきますようお願いをいたします。事務局におきましては、前回及び本日の会合の議論や各委員からの御指摘等を適宜整理の上、必要な修正を加えて次回会合に修正案を提出するよう願います。その際、最終報告を念頭に置きながら文書の整除や全体の体裁なども合わせて整理するようにしてください。起草グループの委員の方々にはお忙しいところ誠に恐縮でございますが、適宜事務局の作業に御協力くださいますようお願いをいたします。
 それでは、以上をもちまして本日の会合は終了させていただきます。次回の会合は、9月22日金曜日午後2時から5時まで3階特別会議室において開催いたします。次回の会合では、素案を修正した案文に基づいて2巡目の検討を行うことといたします。
 本日はどうもありがとうございました。