個人情報保護法制化専門委員会

第26回個人情報保護法制化専門委員会議事要旨



1 日 時:平成12年9月22日(金)14時〜17時

2 場 所:総理府3階特別会議室

3 出席者:

園部逸夫委員長、小早川光郎委員長代理、上谷清委員、高芝利仁委員、高橋和之委員、遠山敦子委員、新美育文委員、西谷剛委員、藤原静雄委員、堀部政男個人情報保護検討部会座長

(事務局)
藤井昭夫内閣審議官、小川登美夫内閣審議官

4 議 題
個人情報保護基本法制に関する大綱案(素案修正版)について

5 審議経過
  事務局より関連資料の説明の後、議論が行われた。議論の概要は以下のとおり。(→は関連意見及び質問等に対する回答。)

○ 2定義は、立法作業の段階で書きぶりが変わりうるものなので枠外に出してはどうか。
→ 検討したい。

○ 2(4)※に「要検討」とあるが、本委員会で検討するとの趣旨なのか、それとも条文化段階で検討するとの趣旨なのか明確にする必要があるのではないか。

○ 2(4)※「小規模の個人情報データベース等を取り扱う者」は、本基本法制の対象にはすべきだが、「個人情報取扱事業者」の定義からは除外してよいのではないか。

○ 2(4)※「独立行政法人等」については、5政府の措置及び施策のところにまとめて書いてはどうか。
→ 特殊法人情報公開検討委員会でも議論になったように、どの範囲で切り分けるのかという問題もある。

○ 3基本原則の法的拘束性についてはどう考えるべきか。
→ 努力義務だから守らなくてもよいということにはならない。そういう意味では法的拘束力があるということではないか。

○ 基本原則であっても(1)利用目的による制限と(5)透明性の確保については、報道分野への適用を除外する必要があるのではないか。
→ 基本原則にはサンクションがないことから、(1)と(5)も適用してよいのではないか。
→ すべての原則を適用することとした方がよいと思うが、(5)については、例えば「公益上の必要がある場合」を除外する旨を追加してはどうか。
→ 努力義務とはいっても法律上の義務ではあり、基本原則も含めて条文ごとに適用を除外してはどうか。

○ 基本原則は努力義務であり、直接的な民事効果を持つものではなく、解釈基準として間接的に影響を及ぼしうるものなのではないか。

○ 全体構成について、1目的、2定義、(3国際協調(協力))、4国の責務、5事業者の責務、6国民の責務、7個人情報取扱事業者の義務等、8政府の措置及び施策、9地方公共団体の措置、10罰則、11(個人情報保護審議会)としてはどうか。5には、個人情報保護の重要性、自主的な取組みの推進、苦情処理について規定することとし、報道分野等は、7の適用を除外し、5の事業者の責務のみ適用することとしてはどうか。なお、大綱案の基本原則については、7にその趣旨がすべて含まれているので、あえて明記しなくともその目的を達しているのではないか。
→ 国民、事業者、個人情報取扱事業者を区分するのは困難ではないか。
→ 官民を通ずる原則を明示することとしたため、現在の構成になったのではないか。

○ 基本原則は目指すべき方向を定めたものであり、報道・学術分野については、(1)と(5)は方向が逆向きであり、適用除外とすべきではないか。

○ 基本原則は一般事業者にも適用されるものであり、一般事業者の保有する個人情報には顧客情報だけでなく従業員情報も含まれることから、すべての分野に適用した方が安定的ではないか。
→ 労働者に関する個人情報にはセンシティブな情報が含まれるが、一般的には内部で利用されるものであることから、別途の取扱いとすることも考えられる。

○ 基本原則を憲章的なものではなく、守られるべき努力義務と考えるならば、何らかの担保措置が必要ではないか。個人情報取扱事業者からは外れるものの影響力を持つ一般事業者や、個人であっても悪質な取扱いを行う者にも一定のサンクションが与えられることが明確になれば、この法律の目的も達しやすくなるのではないか。

○ 多少修正があっても基本原則は、すべての国民が個人情報の取扱いに対して認識を深めるための原則としたいが、法的規定として充実させようとすると適用除外の問題が生じてしまう。また、個人情報取扱事業者に具体的にどのような事業者が含まれるのか示すのは困難であり、また報道なども様々な種類があるため、委員会で細かい定義をするのは困難である。しかしながら、大雑把な形でも適用除外を認めていく必要がある。ただ、適正管理、苦情処理についてはきちんと行う必要がある。本基本法制では、事前の規制はそれほどないものの、裁判所における国民の権利の救済は、すべての事業者について認められなくてはならない。

○ 基本原則についても、違反すれば違法となるのは当然である。しかし、真っ向から反対して行動するならともかく、違法と認定される可能性はほとんどないだろう。そうであれば、直ちに報道の自由に悪影響を及ぼすとも考えられず、原案どおりとしてよいのではないか。

○ ADR(裁判外紛争処理)については、国際水準的なものに留意するという方向とすべきではないか。

○ 資料4の苦情統括官庁は、第三者機関的な性格を有することになるのか。
→ 統括官庁としてふさわしい官庁になるよう、政府内で調整している。

○ 行政庁の苦情処理の判断について裁判所で争えるのか。
→ 苦情処理は処分にまでは至らない、せいぜいが情報提供なので裁判所の判断の対象とはなりにくいだろう。ただ、本体の事件が法律違反であれば当然裁判所で争えるので、苦情処理を通じて争点が明確となり、訴訟効率がよくなるとは一般的にいえるのではないか。

○ 4(9)苦情の処理等を行う団体の認定について、認定を受ける団体がない場合はどうなるのか。
→ 奨励型行政なので、申請を受けての形となる。ただ、監督官庁は個人情報の保護が特に重要となる業界については、緩やかであっても推奨することが望ましい。

○ 法を適用する対象によっては監督官庁のないところがあるのではないか。
→ 規制法がないと確かに主務大臣は不明確であるが、国家行政組織法の考え方では、すべての行政分野を網羅していることとなっている。必要があれば関係官庁間で調整をして決めていくこととなる。

○ 立法措置が採られなければ、総務省が最後には引き受けることとなるのか。
→ 即答はできないが、一番なじみやすい省庁が主務官庁となるのではないか。

○ 4(4)イの一番上の※では、利用目的を取得の際に通知、公表等している場合には、再度本人への通知、公表等は不要としているが、利用目的以外の事項も通知、公表等が不要になるとするならば、おかしいのではないか。

○ 5政府の措置及び施策以下についてはこの内容を基本法に書くということか。それともこれは委員会の政府に対する注文との位置付けか。
→ 事務局の認識では、大綱案は法律の趣旨を要約したものであり、基本的には法律案に盛り込まれる内容の骨格である。ただ、どこまで法律に盛り込まれるか、法制的、技術的にさらに精査する必要がある。

○ 4の※については、立法趣旨として敷衍して枠外に出すべきではないか。

○ ※になっている適用除外は本文に入れるべきではないか。

○ 4(4)アAでは、「責任を有する者の氏名」が通知、公表等の対象となっているが、頻繁な異動も考えられるので担当職名や内部組織で足りるのではないか。
→ 「責任を有する者」については、アカウンタビリティと現場での管理監督責任を有する者というイメージがあったが、この大綱案では「責任を有する者」の事務内容が盛り込まれず、意味がなくなってきている。日本の組織として、事業者そのものが「責任を有する者」であるならば、不要であると考えられる。

○ 目的や個人情報取扱事業者の考え方で、「情報通信技術を用い」、「情報通信技術を活用して」という表現があるが、個人情報にはマニュアル処理情報まで含むので表現を検討する必要がある。

○ 4の柱書きから※の「必要最小限」が落ちているが、ここは民間事業者にとって大変重要なので、大綱案に含めるべきである。

○ 4の柱書きでは、「妨げるものではなく」と表現されているが、ここでは「むしろ」以下が重要である。民間事業者が個人情報の保護に努力してきているところがあるので、本基本法制の必要最小限度の規律で保護は十分と捉えられることのないようにする必要がある。

○ 4(1)イ※の表現では、「一般的に合理的」とは結局「不測かつ不当」に帰着することとなるが、変更それ自体の合理性もあるのではないか。「当初の目的との関連性から」と「社会通念上」で分け、二つの要件とするべきではないか。

○ 4(3)※Bについて、この大綱案では「明確に」と「通知し又は公表等」を書き分けているので、この双方を含めるべきである。

○ 4(4)公表等について、別案で「通知・公表等」とした趣旨は何か。
→ 従前は公表をベースにしていたが、今回は透明性が一義的には本人に対するものであるという議論を受けると、通知・公表等となるのではないかということである。

○ 4(5)開示について、「生命、財産その他正当な利益」とあるが、例示が不適当であり、表現を工夫すべきである。

○ 4(1)エについて、「原則として本人から取得すること」が落ちているが、「適正な方法」という表現では、原則本人から、という趣旨を読むのは難しい。表現を整理して復活するべきである。

○ 苦情統括官庁の意義は大きい。その中で8条機関でよいので、審議会のようなものが必要ではないだろうか。基本方針を定めるに際しても、各官庁を束ねるのは難しいと思われ、また、グローバルに大所高所から判断する必要もあるのではないだろうか。さらに、組織としてきちんとしたものがないと、外国からは疑念が出てしまうおそれがある。
→ 基本法全体の統括官庁、苦情処理の官庁については、政府部内で検討中である。その中で審議会のようなものについても検討してみたい。
→ 素案修正版の考え方はまだ一部のみであり、できるだけ趣旨を書き加えるようにしたい。

○ 資料3を原案にして適用除外を明文化する必要がある。

○ 報道分野の適用除外については、4個人情報取扱事業者の義務等を除く方向で検討すべきだが、難しい。政府の関与が問題ならば政府の関与に除外を設ければよい。しかし、委員会の方向としては、個人情報取扱事業者から目的、活動で除外すべきということである。「報道」については、公職選挙法第151条の3を参考にできないだろうか。

○ 外国の例を参考として紹介すると、アメリカでは問題が生じるたびに議員立法で個別分野ごとに法律ができるので、メディアに対する調整の問題は生じない。州レベルではいくつか個別法があるものの、修正1条の議論が生じるので、自主的に対応している。ヨーロッパでは、体系的な個人情報保護法を有しているので、何らかの適用除外を設けている。

(次回の予定)
次回は、9月29日(金)14時から17時まで、総理府3階特別会議室で開催し、今回の議論を踏まえてさらに修正を加えた大綱案について議論を行い、実質的な審議を終了する予定。

*文責事務局

*本議事要旨の内容については、事後に変更の可能性があります。

資料


 その他、第11回個人情報保護検討部会において席上配布等された、同部会欠席委員の意見を添付。