高度情報通信社会推進本部

第3回個人情報保護法制化専門委員会議事要旨

1.日時:平成12年2月16日(水)10時〜12時
 
2.場所:総理府5階特別会議室
 
3.出席者:
園部逸夫委員長(立命館大学大学院客員教授)、小早川光郎委員長代理(東京大学法学部教授)、上谷清委員(帝京大学法学部教授)、高芝利仁委員(弁護士)、高橋和之委員(東京大学法学部教授)、遠山敦子委員(文化庁顧問)、新美育文委員(明治大学法学部教授)、西谷剛委員(横浜国立大学大学院国際社会科学研究科教授)、藤原静雄委員(国学院大学法学部教授)
(事務局)
藤井昭夫内閣審議官、小川登美夫内閣審議官、松田学内閣審議官
(関係省庁)
大蔵省:金融企画局参事官高木祥吉
金融企画局市場課投資サービス室長森信親
通産省:大臣官房審議官(消費者行政担当)鈴木喜統
産業政策局取引信用課長古賀茂明
厚生省:大臣官房総務審議官宮島彰
大臣官房政策課情報化推進企画官大崎眞一郎
大臣官房統情報部保健社会統計課保健統計室長瀬上清貴
健康政策局総務課企画官岡部修
郵政省:電気通信局電気通信事業部長有富寛一郎
電気通信局電気通信事業部業務課電気通信利用環境整備室長諌山親
 
4.議題
(1) 関係省庁ヒアリング
○大蔵省・通商産業省・金融監督庁(信用情報分野)
○厚生省(医療情報分野)
○郵政省(電気通信分野)
(2) その他

5.審議経過

(1) 関係省庁ヒアリング

@信用情報分野

大蔵省・通商産業省・金融監督庁より、資料1に従って、個人信用情報保護・利用に関する検討状況や基本法制定にあたっての要望等について説明があり、質疑が行われた。質疑の概要は以下のとおり。

業規制より行為者規制の方が重要と考えているのか。
 →具体的規制については、また、作業部会を開催して、検討していくことになると思う。規制の在り方については、自主規制、業規制、行為規制を組み合わせた重層的なシステムにより、全体として保護していくという考え方になっている。

○保護法益については消費者保護の観点が入ってくるという理解でよいか。
 →保護法益については、消費者保護の観点から議論する方もいるが、信用情報機関を通じて与信情報のやり取りがなされるというシステムの信頼性を確保していくという論点もある。

○OECD8原則を実行しているというが、執行体制については我が国と諸外国とは異なっているという理解でよいか。
 →現行のガイドラインは強制力はないが、その限界の中でOECDの原則に近づけるように作成したものである。

○与信情報を収集する際の同意と通常の契約における同意を同一のものと考えているのか。与信情報は情報主体のものであるのみならず業者のものでもあると考えているのか。
 →全体の契約規定の中に、他の信用情報機関を通じて利用される旨の規定が含まれており、これも含めて全体として与信を受けるという契約内容になっている。

○グループ企業内で情報を流通させるのは自由であると考えているのか。
 →金融情報システムセンターのガイドラインによれば、グループ会社の中ではある程度自由な流通が認められている。今後金融の再編が進めば、合併の場合と金融持株会社による場合で情報流通の制限が異なってよいものかといった整理も必要になってくるのではないかと考えている。

○与信契約書に規定があるというが、情報収集の際、適切に説明されているのか。
 →ガイドラインにおいて適切な説明をするよう規定しているが、具体的には把握していない。

○自主規制について、業界内部のサンクションはどうなっているのか。監督官庁はどの程度関与しているのか。
 →業界内部のサンクションについては、信用情報機関と会員の業者の間で契約を締結しており、契約に反した場合、情報提供の停止等の措置が、契約に盛り込まれている。監督官庁として信用情報機関から業界内部の制裁について相談を受けているということはない。

○米・EU間での交渉をどの程度把握しているのか。
 →米・EU間の交渉については、米の執行体制が不十分なのではないかとEUが指摘していることは承知している。

○個人情報の保護の範囲について、マニュアル情報を含めるべきか。
 →マニュアル情報の取扱いについては、電算情報と同列に扱うことは実務上負担が大き過ぎるという意見、消費者のプライバシー保護の観点からは、マニュアル情報も電算情報と同様に重要な位置づけにあり、法的な保護・規制の対象に含めるべきとの意見の両論があり、意見はまだ集約されていない。

○ポジティブ情報の交流についてはどのように考えているのか。
 →ポジティブ情報の交流についても、積極的に推進すべきとの意見、慎重にすべきとの意見があり、銀行業界と貸金業界等の業態間においても意見が集約されていない状況である。

A 医療情報分野

厚生省より、資料2に従って、医療分野における個人情報保護に関する現状や基本法制定にあたっての要望等について説明があり、質疑が行われた。質疑の概要は以下のとおり。

○感染症発生動向調査は法令に基づくもののようだが、がん登録事業は何に基づいて、どこが行っているのか。
 →都道府県の委託を受けた医師会、あるいは都道府県の病院の研究部門等が中心になって行っている。法令上の根拠はなく、研究者の間で自発的に始まった事業であるが、現在、老人保健法に基づく要綱で評価事業として位置付け、財政的な措置を講じている。

○収集・利用の制限について、情報収集手続・目的外利用手続のルール化を行うことを前提に特別な取扱いを認めるべきとのことだが、「ルール化」とは法律で要件及び救済措置等について規定するということか。
 →基本法との関係を踏まえEU指令のように適用除外となれば、法制的なルール化が必要な場合もあると考えている。

○カルテ等の開示について、医療従事者の個人情報と患者の個人情報とは区分できると考えているのか。
 →カルテについては様式が厳密に規定されているものではなく、医師のメモのようなものも含まれており、様々な情報が記載されている。このようなものをそのまま開示することには問題がある。仮に開示するにしても記載されている情報の整理が必要だと考えている。

○遺伝子情報の利用等について、法的に何ら根拠がないにもかかわらず、研究者等が同意もとらずに利用しているということに国民は不安を抱いているのではないか。資格を有しない研究者・補助者については、倫理的なものしかないということになるのか。
 →医療分野は守秘義務規定が整備されており、精神医療の分野においては一般職員にも守秘義務規定を置いている。このような規定を他の分野にも広げられるか検討課題である。遺伝子研究については、ミレニアム事業として国としても推進しているところであり、その中での遺伝子情報の取扱いについては、情報保護の観点から国の機関にお願いし、その研究者等に対するガイドラインを作成中であり、現在、パブリック・コメントを行っているところ。遺伝子情報は極めてセンシティブな情報であって、基本的に本人同意が必要と考えている。

○介護保険の導入に伴い、保健・医療・福祉の連携の下にチームで介護を行うということになれば、民間事業者等が関与してくることになるが、契約事項の中に個人情報の保護に係る規定が盛り込まれていれば十分と考えているのか。
 →介護分野においては、地方公務員法、介護保険法、関係省令等により個人情報の保護を図っている。

○遺伝子研究にしても、がん登録にしても、基本法において適用除外とするのであれば、積極的な公益上の理由をもとに別の法律でも作らなければ野放しになってしまうとも考えられるのではないか。
 →基本法の枠組みが見えてきた際に、適用除外に関する法制化についても検討する。

○疫学的な利用が医学の発展に重要だということは理解するが、データバンクのようなところに情報を蓄積し匿名化した上で、カギを持っている人だけが元の情報にアクセスできるようにすれば、適用除外とする必要はないとも考えられるのではないか。

B電気通信分野

郵政省より、資料3に従って、電気通信分野における個人情報保護に関する検討状況や基本法制定にあたっての要望等について説明があり、質疑が行われた。質疑の概要は以下のとおり。

○従来の「電気通信事業における個人情報保護に関するガイドライン」は法的にはどういうもので、何に根拠をもつものか。
 →設置法に基づく告示であり、告示による行政指導ということになる。

○電話帳等の公開情報の取扱いについて、著作権法の問題のほか、個人情報について、同意の範囲外の利用の問題として議論する点があるという理解でよいか。逆引きの議論もからむのか。
 →そのとおりである。NTTが、あらためて同意をとる必要があるかということと関わってくる。電話帳の発行については、電話帳の発行主体がNTT以外であっても、電話帳の発行についての同意という整理にたち、本人同意があるという整理をしているが、CD−ROM化して逆引きを容易にすることについては、本人同意に含まれていないものと解している。

○通信の秘密に関するものは、罰則で保護されているとのことだが、電話番号情報は通信の秘密に含まれるのか。
 →電話番号は個々の通信に関連して取扱われる場合は、通信の秘密に含まれ、そうでない場合には、通信の秘密とは取り扱われない。

○通信の秘密の外にあって個人情報保護の観点から保護していくべき情報は何があるのか。
 →通信の秘密の外にあって、保護すべき情報としては、例えば、携帯電話の位置情報は、通信に関連しない場合には、通信の秘密とはならないが、誰がどこにいるのかという情報は単なる個人情報として扱うには重く、通信の秘密の範囲外だが、厚い保護が必要ではないかと考えている。

○位置情報は、どの程度の精度でわかるのか。例えば、ある時点でどこにいたか記録されているのか。
 →精度については、携帯電話で半径1500メートル程度、PHSで半径数百メートル程度と聞いている。事業者が位置情報を記録しているかどうかはわからないが、少なくとも、その時点では把握している。

○届出・登録制度を不要としているが、理由は何か。
 →届出・登録制度をとっても、必ずしも罰則の構成要件の明確化にはつながらない。また、利用者との間でも、継続的な役務提供契約が特定の電気通信事業者との間で結ばれている。電気通信事業者については許可・届出制度をとっているため、事業者の存在自体は行政側でも把握できる。届出・登録制度は事業者の負担を考慮するとどうか。

○個人情報の保護は、通信の秘密の外延であり、通信の秘密には強い保護を与え、その外延である個人情報には弱い保護を与えるという理解でよいか。
 →そのとおりであり、通信の秘密の保護と個人情報の保護との間では格差があるものと考えている。

○個人情報のうち、多くの情報については、データベース化されており、そうしたものから情報を引き出す行為は、不正アクセス防止法の対象となるのではないかと思うが、その他に問題となるべき事例は何か。
 →情報漏えいで問題になっている事例の多くが、紙に打ち出した情報の売買によるものである。そうした事例については、紙の窃盗として処罰されている。

(2) その他

@関係団体ヒアリングについて

第5回〜第7回において、地方公共団体(東京都、大阪府)、経済団体(経済団体連合会)、弁護士団体(日本弁護士連合会)、消費者団体(全国消費生活相談員協会・消費科学連合会)、市民団体(知る権利ネットワーク関西・教育情報の開示を求める市民の会)、報道機関(日本新聞協会、日本雑誌協会、日本放送協会・日本民間放送連盟)、信用情報関係団体(調整中)、医療・疫学関係団体(調整中)についてヒアリングを行うこととした。

A欧州における個人情報保護法制に関する調査について
 2月22日(火)〜3月4日(土)、藤原委員をドイツ、フランス、イギリスに派遣し、海外調査を実施することとした。

(次回の予定)
 次回は、2月21日(月)10時から12時まで、総理府5階特別会議室で開催し、関係省庁ヒアリングA(通商産業省、文部省、総務庁)を行う予定。

*文責事務局

*本議事要旨の内容については、事後に変更の可能性があります。


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