高度情報通信社会推進本部

第4回個人情報保護法制化専門委員会議事要旨

1.日 時:平成12年2月21日(月)10時〜12時
 
2.場所:総理府5階特別会議室
 
3.出席者:
園部逸夫委員長(立命館大学大学院客員教授)、小早川光郎委員長代理(東京大学法学部教授)、上谷清委員(帝京大学法学部教授)、高芝利仁委員(弁護士)、高橋和之委員(東京大学法学部教授)、遠山敦子委員(文化庁顧問)、新美育文委員(明治大学法学部教授)、西谷剛委員(横浜国立大学大学院国際社会科学研究科教授)、藤原静雄委員(国学院大学法学部教授)、堀部政男個人情報保護検討部会座長(中央大学法学部教授)
(事務局)
藤井内閣審議官、小川内閣審議官、松田内閣審議官
(関係省庁)
通産省:文部省:総務庁:
機械情報産業局次長林良造
機械情報産業局情報処理システム開発課長氏兼裕之
機械情報産業局情報処理システム開発課課長補佐渡邊昇治
大臣官房審議官(初等中等教育局担当)銭谷眞美
大臣官房総務課長玉井日出夫
長官官房審議官(行政管理局(情報)担当)藤井昭夫
行政管理局行政情報システム企画課長橋口典央
 
4.議題
(1)関係省庁ヒアリング
(2)その他

5.審議経過

(1) 関係省庁ヒアリング

@民間部門における電子計算機処理に係る個人情報の保護に関するガイドライン、JIS規格等

 通商産業省より、資料1に従って、民間部門における電子計算機処理に係る個人情報の保護に関するガイドライン、JIS規格等の概要や、日・EU協議、米・EU交渉や基本法制定にあたっての要望等について説明があり、質疑が行われた。質疑の概要は以下のとおり。

○ 各業界団体が作成するガイドラインは、どの程度公表されているのか。例えばアメリカのオンラインサービスではプライバシーポリシーが必ずウェブサイトに掲載されており、個別取引きの際、プライバシーポリシーが全てわかるようになっているが、それと同様のシステムとなっているのか。
 → 各業界団体が作成しているガイドライン自体は全て公開されているが、個別契約の際、その全てを必ず提示することにはなっていないであろう。しかし、例えばクレジットカード契約の際に、契約内容を関連企業が利用しダイレクトメールを送ることがあることなど、契約の中に個人情報の収集目的等が取り込まれ、提示されるようなことは、クレジットカードの加入に限らず他の業種でもある。

○ 適切なレベルの保護を保つためには自主的監査が重要と考えるが、実効性担保措置としてこの点はどう考えられているのか。
 → 個人情報保護JISには自主的監査が含まれており、またPマークについては、その取得の段階で内部監査体制を検査するとともに、JIPDEC((財)日本情報処理開発協会)等が2年毎に監査を行うなどしており、監査が大きなウェイトを占めているのは事実である。

○ EUとの協議は担当官に対し行われているのか、個人情報保護専門家委員会に対し行われているのか。
 → EUとの協議では、EU委員会を窓口としており、EU委員会を通じて29条委員会(データ監督庁グループ)、31条委員会(加盟国グループ)と協議することとなっている。

○ 訴訟社会であるアメリカは、開示請求を権利として構成されることを恐れているのではないかとのことだが、これはアメリカではプライバシー権を広くとらえ高額の損害賠償を請求される可能性があるためか。
 → 例えば開示請求があれば直ちに応じなければならないとした場合、その開示までに時間がかかった場合に莫大な損害賠償を請求されるなど、プライバシー権が企業の合理的コストを超えてまで要求されることを懸念しているのであろう。

○ EU側から見て、アメリカの現行制度は実効性という面では納得できるものとの認識なのか、実効性に欠けるものとの認識なのか。
 → アメリカの現行制度がOECD8原則と一致しているか否かについては議論はあまりない。他方、苦情がどこに出され、どのように処理され得るのか、またいずれの業界団体にも属していない企業の場合どこが苦情を処理するのか、さらに、監督官庁の一般権限でどこまで個人情報保護の実効性を担保できるのかといった問題がある。

○ 具体的に、「個人情報」という概念に含まれるか否かの限界線に関する議論はあるか。
 → 「個人情報」の範囲に関しては各業界団体が作成しているガイドラインにおいて議論されているが、概して「個人を識別する情報」、「個人を識別することができる情報」とされている。他の法益との関係で、どのように例外を設けるかという議論はあるが、個人情報の定義自体はOECDガイドラインもEU指令も広いものとなっている。

○ 国際会議などの場において、個人情報保護にあたり、情報技術の進展により情報が自動的に処理されてしまうことに関して何か議論はあるか。
 → 自動処理プログラムについてどう考えるかということと考えるが、EU指令では、例えばクレジットの場合などにおいて、滞納額が一定額に達すると自動的に新規与審信を打ち切るなどの措置を取る場合、事前に同意を得なければならないとされている。

○ このことは、日本における個人情報保護の基本法制定に際しても、国際的な流れの中で位置づけなければならないことを物語っている。

A教育情報分野

 文部省より、資料2に従って、教育情報分野における個人情報保護に関する現状や基本法制定にあたっての要望等について説明があり、質疑が行われた。質疑の概要は以下のとおり。

○ 指導要録・内申書の開示の問題は医療情報のカルテ開示と同じような問題構造を有していると思う。カルテ開示の問題については、法律による開示義務化は見送られたが、医師会の方でも原則開示という態度となっている。その一方で、現に教育を受けている児童生徒であるなら、指導要録の不開示ということもあろうが、一定の評価を既に下した後もその記録を不開示としなければならない実質的理由は何か。
 →  現在教育課程審議会では児童生徒の学習の評価の在り方について検討しているが、この中では指導要録の在り方についても検討項目の1つとしており、開示の問題についても検討いただけるものと考えている。
 指導要録については、開示している自治体でも卒業生と在校生の取扱いは自治体により判断が分かれている。卒業後も非開示としている自治体においては、評価は成長途上にある児童生徒のある時点での評価であり、その評価自体変わり得るものであるため、そのある一時点における評価が妥当であるか否かを問われる場合、それが卒業後であってもその対応は教育上の様々な影響が避けられず、指導要録の制度そのものを破綻させる恐れがある。またこれまで非開示を前提に作成されてきたことから開示を前提としない書きぶりとなっており、こうしたことから開示することに対するためらいもあると思う。

○ 医療情報ではインフォームドコンセントは信頼関係を構築するために必要であると議論されているが、教育の場合は何故指導要録等を開示すると教員と生徒の間の信頼関係を損なうことになるのか。
 → 学校においては、評価を本人に伝えるものとして通知表があり、この中で個々人の評価を知らせている。また、教員と児童生徒は日常の教育活動を通じて絶えず情報を交流しているものであり、教育活動はそういう信頼関係の上に成り立っているものである。

○ 本人に開示することにより信頼関係を損なうおそれがある情報とは具体的にどのようなものがあるのか。
 → 指導要録中、児童生徒に対する見方を記述する「所見」、児童生徒の特性に係わることを記入する「行動及び性格の記録」、「特別活動の記録」は、部分開示の場合でもこうした欄は非開示であることが多い。

○ 指導要録は誰に対する記述となっているのか。
 → 指導要録は、最終的には学校長の責任により作成され、学籍の記録の原簿としての性格とともに、指導の記録としての性格を有している。進級の場合は次の担任が、転校・進学の場合は次の学校の教員がその指導の参考とする。

○ 予備校や学習塾など受験産業は個人情報を多く保有していると思うが、文部省としてはその扱いについて検討はしているか。
 → 一部予備校等は各種学校として学校に含まれるが、多くの学習塾等は学校教育法に規定する「学校」には含まれない。

○ 通産省の資料によれば、(社)全国学習塾協会は個人情報保護に関する業界ガイドラインを作成しているとのことである。

○ 指導要録を既に開示している自治体では、これまで開示により発生することが懸念されている事態は生じているのか。
 → 聞くところでは、部分開示を行っている自治体の一部では記述が形骸化しているとの指摘や、所見欄等が「特記事項なし」として記述がほとんどないことなどが指摘されている一方、開示することにより信頼関係が増すとの指摘もある。

B国の行政分野

 総務庁より、資料3に従って、行政機関の保有する電子計算機処理に係る個人情報の保護に関する法律について説明があり、質疑が行われた。質疑の概要は以下のとおり。

○ 個人情報ファイルの保有の際の総務庁への通知の際、総務庁は事前審査等を行っているのか。
 → 内容の確認は行っているが、問題があったケースはない。

○ 法第21条の総務庁長官の資料提出の求め、22条の総務庁長官の意見陳述は行われたことはあるのか。
 → これまで同条を発動したことはない。例えば附帯決議による法律の見直しなどの際は、関係省庁の協力を得て見直し結果をまとめたことはある。

○ 法律を運用してみて、問題となった点等はあるか。
 → 承知している範囲内では問題等は特段ない。
 各方面の意見では、特殊法人・独立行政法人をどう扱うか、現在法の対象外であるマニュアル情報の扱いをどうするかなどが指摘される。特殊法人・独立行政法人の扱いについては、民間として扱うのか、あるいは官庁として扱うのかという問題がある。またマニュアル情報の扱いについても、政府全体として情報化を進めている中で、新たにマニュアル情報を対象とする必要があるのかという問題がある。

○ 本法の検討段階では、教育・医療情報の本人開示については、それぞれの分野で専門的に検討をしてもらう必要があるとの結論から、文部・厚生両省で検討いただき、適用除外となった経緯がある。また行政改革委員会における行政公開法の議論においても、同様に、医療・教育分野における本人開示についてはそれぞれの分野で専門的な検討が必要とされている。

○ 第13条は自己情報の本人開示を権利として明示したものとされているが、これは権利の新設ということか、あるいは権利の確認ということか。
 → 本人開示は、行政機関が正確な情報を保有しているか、個人情報をどのように使用しているのかを確認することを、行政機関の運用に委ねるのではなく、権利として構築することにより、最終的には裁判の判断も仰げる仕組みとする必要があるとの観点から制度化されたものであり、実体的権利というよりは、むしろ行政機関が保有する個人情報をどこまで保護する必要があるかという制度的アプローチによるものと認識している。

(次回の予定)
 次回は、2月29日(火)15時から17時まで、総理府5階特別会議室で開催し、関係団体ヒアリング@(大阪府、知る権利ネットワーク関西/教育情報の開示を求める市民の会、全国消費生活相談員協会/消費科学連合会)を行う予定。

*文責事務局

本議事要旨の内容については、事後に変更の可能性があります。


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