高度情報通信社会推進本部

資料4

個人情報保護法制化専門委員会ヒアリング口頭陳述書

平成12年2月29日

知る権利ネットワーク関西
事務局長岡本隆吉

1.はじめに

 1988年9月に大阪で「知る権利ネットワーク関西」という市民運動団体を発足させ以来地方自治体の情報公開条例を活用して市民に役立つ情報の公開に努めてきました。

 また、大学で情報公開の総合講座に取り組み、近隣自治体への情報公開制度発足の働きかけを行い、既に制度のある自治体にはその活用を促進し、運用面での改善を求め、その実現を図ってきました。

 国に対しては、情報公開法制定を要望し、かつ、大阪に集中している国の出先機関に対して情報公開請求ツアーを行い、実情を把握し、要綱案に対するヒアリングにも参加しました。今回も口頭意見陳述の機会を与えていただきましたことに感謝いたします。

2.意見

@ 去る1月17日に別紙の意見書@を提出していますが、改めて強調したいことは、情報公開法と個人情報保護法とは車の両輪であることです。
 従って、地方自治体の多くが情報公開条例と個人情報保護条例とを制定しています。情報公開法が「国民主権の理念に則り・・・」として、国民に対して国が保有する情報の開示を規定したように、個人情報保護法もまず国民に対して国が収集し保有する個人情報をいかなる理念に基づき本人開示し、保護し、自己情報コントロール権を認めていくかを明確にするべきと考えます。
A 情報公開で最も重要なことは、全ての人が平等に情報開示されることでした。個人情報保護においては、本人が知らない個人情報をなくすることと、その情報を一人歩きさせないことが重要です。つまりは、個人情報収集の範囲、収集のあり方、本人開示請求権、削除・訂正請求権が明確にされることであると考えます。
B 従って、「中間報告」でまとめられた「全分野を包括する基本法制定を目指すこと」は極めて危険で、これでは個人情報保護の原理原則が大きく後退するのではないかと危惧いたします。
 個人情報を如何に有効に活用するかという民間の立場をまずは切り離し、国が国民に対して果たさなければならない責務としての個人情報保護の基本法を確定していただきたいと考えます。

3.教訓にしていただきたい過去の事例−医療分野について

@ 1997年、厚生省が設置した「カルテ等の診療情報の活用に関する検討会」(座長・森島昭夫上智大学法学部教授)は、1年間の検討を経て翌年、「カルテ開示の法制化」を報告書にまとめました。ところが、この報告書を受けた医療審議会は、ほとんどの委員が医療関係者で占められていることもあり、医師会による法制化反対の立場を受け入れて、「カルテ開示法制化先送り」の結論を出しました。
 利害を優先する民の力が入ると、国民の声を無視して国の方向までをも後退させた事例と考えます。このことからも、まず国の基本が確立されるべきと考えます。
A 薬害エイズでは、血液製剤がその原因であることが米国からの情報で明らかとなりましたが、血液製剤が使われていることが患者にはいつまでも知らされず、隠されたままでした。人の生死を左右しかねない医療情報の本人開示、削除、訂正権が真先に確立されなければならないと考えます。「中間報告」では個別法として別途検討対象例となっていることに強く反対いたします。
B 地方自治体でカルテは既に数多く開示されています。本人開示は当たり前のことですが、各地で遺族への開示も進んでいます(東京都は97年に、八尾市は98年に開示)。また、兵庫県の個人情報保護審査会は99年1月、遺族への開示を答申しています。このことからも、遺族に対しても開示請求権を認めた法制化が必要と考えます。

以上