高度情報通信社会推進本部

第5回個人情報保護法制化専門委員会議事要旨


1.日 時:平成12年2月29日(火)15時〜17時10分
 
2.場 所:総理府5階特別会議室
 
3.出 席者:
園部逸夫委員長、小早川光郎委員長代理、上谷清委員、高芝利仁委員、高橋和之委員、遠山敦子委員、新美育文委員、堀部政男個人情報保護検討部会座長が出席
*藤原静雄委員は海外調査中、西谷剛委員は欠席
(事務局)
藤井昭夫内閣審議官、小川登美夫内閣審議官、松田学内閣審議官
(関係団体)
大阪府:企画調整部人権室 人権企画課長 谷野 敏雄
企画調整部人権室人権企画課 人権推進係長 中岡 恭子
自治省:大臣官房情報政策室長 井筒 郁夫 が同席
知る権利ネットワーク関西:事務局長 岡本 隆吉
教育情報の開示を求める市民の会:代表世話人 山口 明子
全国消費生活相談員協会:理事長 藤井 教子
消費科学連合会:事務局次長 原 早苗
 
4.議 題
(1)関係団体ヒアリング
○大阪府
○知る権利ネットワーク関西及び教育情報の開示を求める市民の会
○全国消費生活相談員協会及び消費科学連合会
(2)その他

5.審議経過

(1)関係団体ヒアリング

@ 大阪府

大阪府より、資料1、2及び3に従って、大阪府個人情報保護条例の制定に至る経緯、概要及び課題について説明があり、質疑が行われた。質疑の概要は以下のとおり。

○ 口頭開示請求とは何か。
 → 個人情報保護条例第19条で規定される開示の方法であり、あらかじめ定めた個人情報について、口頭により開示請求ができ、かつ請求があったときは直ちに開示するものである。「あらかじめ定めた個人情報」は試験結果等のように一律に開示の判断を行うことができ、一度に多くの請求が見込まれるものについて、実施機関が定めたもの。開示すると決めているので、開示・不開示で微妙な問題の出てくるものではない。
 具体的には、行政書士試験、調理師試験、毒物劇物取扱者試験の成績などについて、受験票の提示により本人確認の上、開示する場合などがある。

(参考)大阪府個人情報保護条例
 (開示請求等の特例)
 第19 条実施機関があらかじめ定めた個人情報について本人が開示請求をしようとするときは、第16条
  第1項の規定にかかわらず、口頭により行うことができる。
 2 前項の開示請求をしようとする者は、第16条第2項の規定にかかわらず、自己が当該開示請求に係る
  個人情報の本人であることを証明するために必要な資料で実施機関の定めるものを実施機関に提示しなけ
  ればならない。
 3 実施機関は、第1項の開示請求があったときは、第17条及び前条第1項の規定にかかわらず、直ちに
  開示するものとする。
   この場合において、個人情報の開示の方法は、前条第2項及び第3項の規定にかかわらず、実施機関が
  別に定めるところによるものとする。

○ 府立高校の入試結果については、口頭開示請求は実施しているか。東京・神奈川では実施しているようだが。
 → 大阪府では実施していない。府立高校の入試結果について、実施するとなれば、窓口が定まらなければならないが、それだけの体制は整っていない。

○ この口頭開示では、通常の開示請求では開示決定を経るため2回窓口に来なければならないところ、1回で成績等を知ることができるというメリットがある。

○ センシティブ情報については収集が制限されているが(個人情報保護条例第7条第4項)、例外的に利用が認められるのは、どんな場合か。
 → (府立病院における)診療行為に伴う、病歴などの収集がこれに該当する。また、職員、委員等の任命の際の犯歴照会や、機関委任事務に基づく国の指示によるものなどがある。

(参考)大阪府個人情報保護条例
 (収集の制限)
 第7条
 4 実施機関は、次に掲げる個人情報を収集してはならない。ただし、法令若しくは条例の規定に基づく
  とき又は審議会の意見を聴いた上で、個人情報取扱事務の目的を達成するために当該個人情報が必要で
  あり、かつ、欠くことができないと実施機関が 認めるときは、この限りでない。
  (1)思想、信仰、信条その他の心身に関する基本的な個人情報
  (2)社会的差別の原因となるおそれのある個人情報

○ 条例に基づく調査業者に対する立入検査を実施したとのことだが、これは条例に記載があるのか。また拒否した場合の制裁措置はあるのか。
 → 立入検査については、大阪府部落差別事象に係る調査等の規制等に関する条例第11条に規定がある。また、制裁措置については、罰金が規定されている。

○ センシティブ情報のうち、思想・信条に関するものとして例外的に収集が認められるのはどんな場合があるのか。
 → 作文のコンクールの場合など、消極的な形で収集される場合や、海外からの研修生を受け入れる際、宗教上の理由による食生活などに配慮するため、信仰を尋ねる場合などがある。

○ 府の条例の特色として、請求権の一身専属性を厳格にしたとのことであるが、法定代理人の権限は基本的に財産行為に限られ、当然に一身専属権にまで及ぶかは議論のあるところである。この点については議論されたのか。
 → この点に関連して議論があるのは、府の条例では、本人に能力がないことを前提として、未成年者と禁治産者の法定代理人について開示請求を認める制度としているので、実際には未成年者に能力がある場合、法定代理人を認めるべきか、ということである。

○ 禁治産者でも、裁判所の禁治産宣告により禁治産者となるのであり、能力の有無については変動するものである。府での議論では、未成年者と禁治産者に対象を限定したので、本人の実際の能力の有無についてはあまり議論がなかったのか。
 → 府の条例の基本的考え方として、代理人でも本人の利害と対立することがあるので、開示請求はなるべく本人に限定し、慎重に取り扱うこととしている。

○ 大阪府の説明では、府の個人情報保護条例の特色として、「心身」も含めたこととし、その具体例として病歴を挙げている。しかし、病歴はセンシティブ情報に含まれると考えるのが一般的である。とすると、本条例では「心身」という語を用いることでセンシティブ情報の内容を拡張したというよりは、「心身」という語を条文上書いたということが新しいのか。
 → 条例の文言として、東京、神奈川など関東では、「心身」という語は入っておらず、関西では「心身」という語をセンシティブ情報に含めて明示的に規定していると理解している。

○ 条例では、「思想、信仰、信条その他の心身に関する基本的な個人情報」と規定されており、「心身」の「心」については例示されているが、「身」については例示がない。具体例は何か。
 → 障害などである。

○ 「心身」とは、精神と身体と理解してよいか。
 → 御指摘のとおり。

A知る権利ネットワーク関西及び教育情報の開示を求める市民の会
知る権利ネットワーク関西より、資料4に従って、法制化に当たっての要望等について説明があり、続いて教育情報の開示を求める市民の会より、資料5に従って法制化に当たっての要望等の説明がなされ、その後両団体あわせて質疑が行われた。質疑の概要は以下のとおり。

○ 民間病院の持っている医療情報も非常に多く、公的部門も民間部門も含めて個別法を整備した方がまとまりがあると思われる。民間の医療機関の保有する個人情報については、どのように考えているか。
 → 公立病院がカルテ等を開示して見本を示せば、それに倣って民間の医療機関も続いて開示していくと考える。

○ 公的医療機関と民間の医療機関に対する法的な対応が時期的にずれても構わないのか。
 → 構わない。公的な部門が開示すれば、民間も必ず自主的に考え、それについてくると考える。

○ 説明者本人が医療機関のカルテ開示を請求したということだが、それは診療が終わった後だったのか、それとも診療の途中だったのか。もし診療の途中であれば、医師に頼めば説明してくれたり、見せてもらえるのではないか。
 → 私の場合は途中であった。医療情報の中には医師にとって都合が悪く、伝えてくれない情報もあるので、すべてのデータを入手するため、カルテ開示を請求した。
裁判になっている事例を見ると、医療分野ではカルテの改ざんが多い。見せてほしい、という人にそのまま見せてくれない。今までは医師の側に、カルテの内容を知りたいとの請求を拒む権利を与えてきており、それがおかしい。

B全国消費生活相談員協会及び消費科学連合会
全国消費生活相談員協会より、資料6に従って、関連する相談事例や検討部会中間報告に対する意見、法制化に当たっての要望等の説明があり、続いて消費科学連合会より、資料7に従って中間報告に対する意見、法制化に当たっての要望等の説明がなされ、その後両団体あわせて質疑が行われた。質疑の概要は以下のとおり。

○ 信用情報についての相談事例で、信用情報機関への登録について事前の説明が不十分であること、大蔵省・通産省の通達ではブラックリストに登録する際には、消費者がその事実を知り得るものとするよう検討せよとあるにも関わらず、通知がされていないこと、が挙げられているが、信用情報機関等はその実態につきどのように説明しているのか。また実態は把握しているか。
 → 相談は受けたものの、相談してきた方が信用情報機関等との話し合いで受けた回答までは把握していない。ただ、ブラックリストへの登載については、事業者団体に確かめてはいないものの、302人中1名しか通知を受けておらず、かなり問題のある状況だったことは確かであると思われる。

○ マスメディアについては適用除外となると考えるか。個人情報の保護との関係でどうか。
 → 適用除外とは考えていない。憲法21条の表現の自由も個人情報についての権利も、ともに尊重されるべきであり、お互いに調整されるべき事柄だと思う。「適用除外」とするのではなく、法律上、何か別の表現方法があるのかもしれない。

○ 包括的基本法には賛成であるものの行政の持つ個人情報保護については、早急に見直しに着手すべき、とのことだが、これは国の行政機関については優先して見直すべきである、との趣旨か。また、この意見の前提として、国の行政機関の個人情報保護法に関し何か問題と考えている事柄はあるのか。
 → 国の行政機関の保有する個人情報の保護については、保護される個人情報の範囲が電算機処理情報に限定されていることが問題である。また、国の個人情報保護については別の場で議論することかもしれないが、同時並行的に検討を行っていただきたい。

(2)その他
中間報告に対する意見の概要を配布した(資料9)。寄せられた意見については、事務局の主観を極力廃し、そのままの状態で委員に読んでいただくため、ほぼそのまま委員に配布することとした(ただし、各意見中、個人名が表示された部分については除いた)。

(次回の予定)
次回は、3月9日(木)15時から18時40分まで、総理府3階特別会議室で開催し、関係団体ヒアリングA(経済団体連合会、日本新聞協会、日本雑誌協会、日本弁護士連合会、日本放送協会及び日本民間放送連盟)を行う予定。

*文責事務局

*本議事要旨の内容については、事後に変更の可能性があります。

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