個人情報保護法制化専門委員会

第6回個人情報保護法制化専門委員会議事録



1 日 時:平成12年3月9日(木)15時〜19時40分

2 場 所:総理府3階特別会議室

3 出席者:

園部逸夫委員長、小早川光郎委員長代理、上谷清委員、高芝利仁委員、高橋和之委員、遠山敦子委員、新美育文委員、西谷剛委員、藤原静雄委員、堀部政男個人情報保護検討部会座長

 (事務局)
藤井昭夫内閣審議官、小川登美夫内閣審議官、松田学内閣審議官

 (関係団体)
経済団体連合会:情報通信委員会 個人情報保護に関する打合せ会座長
東京海上火災保険(株)顧問  礒山 隆夫
(株)東芝 EC戦略推進室 参事  窪小谷 隆
(株)ダイエー 広報企画室 副室長  片岡 伸介
富士通(株) 法務・知的財産権本部法務部ビジネス支援部担当課長  鈴木 康史
第一生命保険(相)調査部 課長  河谷 善夫 
経済団体連合会 常務理事  立花 宏
日本新聞協会:朝日新聞東京本社 編集局次長  鈴木 規雄
毎日新聞東京本社 編集局次長  朝比奈 豊
読売新聞社 社会部長  桃井 恒和
日本経済新聞社 編集局次長兼社会部長  秋吉 穣
東京新聞 編集局次長兼社会部長  山田 哲夫
産経新聞東京本社 編集局次長兼社会部長  高尾 元久
共同通信社 法務室次長  土方 健男
時事通信社 法務室 主査  山本 智
日本雑誌協会:日本雑誌協会取材副委員長 講談社 取締役  杉本 暁也
日本雑誌協会編集倫理委員会委員 小学館 編集総務部 次長  山 了吉
日本雑誌協会編集倫理委員会委員 集英社 編集総務部 部長代理  永井 英男
日本雑誌協会 次長  勝見 亮助
日本弁護士連合会:情報問題対策委員会 委員長   土生 照子
同委員会 副委員長  北澤 義博
同委員会 事務局長  三宅 弘
同委員会 幹事  森田 明
日本放送協会:報道局編集主幹・報道局取材センター長事務取扱  御手洗 正彦
総合企画室[経営計画]統括担当部長  大島 敏男
日本民間放送連盟:日本テレビ放送網 報道局次長  石井 修平
東京放送 報道局編集主幹  植田 豊喜
テレビ朝日 報道局コメンテーター室長  渡辺 興二郎
フジテレビジョン 報道局 解説委員長  船田 宗男
テレビ東京 報道局次長  藤延 直道

4 議 題
(1)関係団体ヒアリング

5 審議経過

【園部委員長】ただいまから、個人情報保護法制化専門委員会の第6回の会合を開催いたします。
 本日は、次第にございますように関係団体からヒアリングを行います。ヒアリングは経済団体連合会、日本新聞協会、日本雑誌協会、日本弁護士連合会の順に行いまして、最後に日本放送協会と日本民間放送連盟を合わせて行うことにいたします。時間配分は、1つの分野について質疑応答を含めておおむね40分程度といたしますが、最後に行う日本放送協会と日本民間放送連盟につきましては説明時間を若干多目に取ることといたします。ヒアリングは、それぞれ入替え制で進行させていただきます。
 まず経済団体連合会からヒアリングを行います。本日は同連合会の情報通信委員会個人情報保護に関する打合せ会の座長であり、個人情報保護検討部会にも参加されておられます礒山隆夫様に御出席いただいております。そのほか、打合せ会のメンバーである窪小谷さん、片岡さん、鈴木さん、河谷さん、立花さんにおいでをいただいております。
 本日は、御多忙のところ御出席いただきありがとうございます。御説明は20分程度で、あとの20分は関連質疑に当てたいと存じます。いろいろ御主張もおありと思いますけれども、一応20分で止めていただいてあとは質疑の方に回させていただければと思います。どうぞよろしく御協力をお願いいたします。
 それでは、礒山様から御説明をよろしくお願いいたします。どうぞ。

【礒山氏】ただいま御紹介をいただきました礒山でございます。本日は、産業界の考え方を御説明する機会をちょうだいいたしまして感謝いたしております。

 経団連では昨年の7月にお手元に御参考4という形でお配りさせていただいておりますが「電子商取引の推進に関する提言」を取りまとめまして、その中で個人情報の適切な取扱いを確保するための方策についての考え方を整理いたしました。ポイントを一言で申し上げれば、何よりも重要なのは企業の自主的取り組みであり、それを補うための公的基盤として悪質な行為への罰則や事後救済の仕組みを整える必要があるということでございます。私は政府の個人情報保護検討部会の委員の一人として参加させていただきましたが、中間報告において企業の自主規制と基本法、個別法の組み合わせによる柔軟な個人情報保護システムが適当であるとの結論が明らかにされたということは大変高く評価しておる次第でございます。本日は、事前にちょうだいしたヒアリング項目に従いましてレジュメを作成いたしまして、資料1ということでお手元にお配りさせていただいておりますので、私の方もこれに沿って御説明するということで進めさせていただきたいと思います。

 まず最初に「個人情報の管理の現状」というところですが、この個人情報の管理の現状のうち現に保有するファイルの種類とファイルの形態についてでございます。ここで私どもがファイルと申し上げているのは電子媒体と紙媒体とに関わらず、ある程度検索可能な形で情報が整理されたものであります。できるだけ具体的にと思いまして、御参考1として企業の保有する個人情報の具体例を列挙したものを御参考までにお配りさせていただいておりますので、これは後ほどごらんいただければと思います。

 企業が保有する個人情報の主なものは、大きく分けまして顧客関連情報と従業員情報がございます。基本的には個人情報は企業の経営基盤そのものでありまして、また営業情報としても極めて重要なものですから、みだりに外部あるいは他者に漏れたりすることのように注意を払っておりますが、これを一歩進めまして個人情報の取扱いに関する原則、中間報告にある基本原則ですが、これを遵守するということになりますと、やはり組織的に管理可能なのかどうかとか、あるいは検索を容易に行うことができるかどうか、こういった点が重要になってまいります。例えば、従業員個人が独自に収集して保管している情報につきましては組織的に把握することが困難でございます。また、本人情報の開示等を求められた場合に、本人が指摘するファイルを特定し、探し出すことができなければ対応することはできないわけであります。

 その意味で、紙ベースで保存されている個人情報は電子媒体のファイルに比べて開示などの求めに応じることは難しくなるわけです。例えば、顧客からの申込書を日付順にファイルしている場合には、個人名から該当する個人情報を探し出すのに相当な手間と時間が掛かります。そのほか、ファイル形式になっていない個人情報として苦情ですとか、あるいは故障の申立ての記録やアンケートの原票などがございます。また、組織的に管理することが困難な個人情報として、従業員個人が保有しているお客様との間で交換した名刺情報ですとか、あるいは各自のパソコンの中に保管している営業情報などがございます。これらの点は、基本法の規定の対象となる個人情報の範囲を検討する際に是非考慮していただきたいと存じます。

 続きまして自主規制などの取り組みの状況ということで、自主規制の現状について触れさせていただきます。多くの企業は就業規則において業務上知り得た秘密を他に漏らしてはならない旨を定めておりまして、違反者に対しては解雇も含めた制裁措置も可能になるため、かなりの場合にはこの規定が効いてくると存じます。しかも、最近の個人情報保護に関する関心の高まりに対応して企業も取り組みを強化しております。例えば個人情報取扱方針、いわゆるプライバシーポリシーを策定してホームページ上に掲載したり、これを遵守するための内部規定、いわゆる情報管理規定ですとか、あるいは遵守プログラムを定めたり、更にはJIS規格への適合やプライバシーマークの取得といった取り組みも見られるようになってまいりました。具体的な取り組みの一例をお手元の御参考の2という形でまとめてございますが、これは私どもの打合せ会の委員会社の実例でございますが、これにつきましても後ほど御高覧いただければということでございます。

 企業の側には、消費者の信頼を得られない企業は今後淘汰されていくという危機感がございます。そのためにも、個人情報保護への取り組みは不可欠であるという意識が浸透しつつあります。とはいえ、自主規制を遵守するための体制の整備などはまだまだ発展途上の段階にあるのが実態でございます。また、どの程度まで対応すれば十分なのか、企業としても模索をしているというところでございます。

 次に、質問項目では中間報告に対する意見ということでちょうだいしておりますが、むしろ今後の基本法の法制化に対する要望という形で取りまとめ、なるべく内容的にも具体的なものを盛り込んで述べさせていただきたいと思いますので、ひとつお聞き取りいただければと思います。

 第1に、中間報告で打ち出された個人情報の保護と利用のバランスについてでございます。検討部会の中間報告でも、個人情報の保護と利用面の有用性とのバランスの重要性が強調されており、私どもも高く評価いたしております。今後もこの方針に沿って法制化を進めていただきたいと存じます。現在の経済活動は個人情報を含め、さまざまな情報を利用することで成り立っており、保護の面に偏り過ぎた法制化は国民の利便性の低下や社会全体としてのコスト増を招くなどということに留意する必要がございます。また、情報化のメリットを生かした新たな産業の芽をつむことのないように御配慮をいただきたいと存じます。

 例えば、個人情報の共有によって従来の業種業態にとらわれない融合的な商品や、あるいはサービスの提供が可能になります。また、ワン・ツー・ワン・マーケティングの進歩などによって消費者は自分の嗜好に合った商品やサービスを享受することが可能になります。更に最近グローバルな競争に対応するため、連結重視の経営へと移行しつつありますが、それを可能とするためには個人情報を始めとするさまざまな情報を組織を超えて共有することによってグループ全体としてのリスク管理を強化することが不可欠でございます。企業を一律に厳しく律する法規制が導入されると、このような情報化のメリットが生かされず、国民生活の質的向上や産業の活性化を実現することが困難になってまいります。こういった点を考慮いたしますと、我が国における基本法の法制化に当たっては基本的には企業の自主的取り組みを後押しするような内容にしていただくとともに、それを補うために苦情処理、相談体制の整備と、悪質な行為に対する罰則の導入、事後救済の充実などについて御検討をいただきたいと存じます。

 第2に、企業の実務を踏まえて御検討いただきたいと存じます。消費者の信頼を得るためには企業の取り組みの一層の充実が求められるところではございますが、企業の実務に乖離した義務づけが行われますと膨大なコストが掛かってしまったり、事業が成り立たなくなることになります。したがいまして、法制化に当たっては企業の日常的な実務と大きな乖離を来さないよう御配慮をいただきたいと思います。

 実務上の検討の視点としては5つほど挙げられると思います。

 まず第1の視点として、保護すべき個人情報の範囲の明確化についてでございます。法制化を行う際に法律の適用範囲を明らかにすることは不可欠でございますが、先ほど御紹介申し上げましたように収集目的の本人による確認や開示の求めへの対応をすべての個人情報について義務づけられるということになりますと、事業運営に重大な支障が生じることが懸念されます。個人情報保護と言いましても取扱いの局面によってさまざまな対応のレベルがあろうかと思いますので、中間報告で示された個人情報の取扱いに関するすべての原則を通じて一律に範囲を決めるということは危険があると存じます。例えば、各原則ごとに個人の権利、利益に及ぼす影響の大きさを勘案しながら適用範囲を検討するということも必要なのではないかと存じます。

 実務上の検討の第2番目の視点として、各原則については用語の定義を可能な限り具体的かつ客観的なものにしていただきたいと存じます。企業の選択の幅を確保するために条文上、具体的に書くことが不適切な場合には指針などで例示をしていただくなど、企業や消費者が見て判断しやすいような工夫をお願いしたく存じます。ここで、特に企業実務に影響の大きな用語について若干詳しく御説明申し上げたいと存じます。

 企業の専門家がよく指摘することに、事前に明らかにすべき収集目的についてはどこまで具体的に説明しなければならないのかということがございます。例えば、顧客への情報提供やアフターサービスを追加する可能性があることを事前に通知しておくことが可能なのか。それとも、一々同意を取り直さなければいけないのかというような問題がございます。この場合は将来の可能性も含めて事前に同意を得ておくことも可能にするなど、できるだけ幅広く設定できるようにしていただきたいと存じます。

 また、本人による確認についてですが、日常の取引慣行で行われている黙示の同意が認められないと企業、消費者双方にとり負担増になることが懸念されます。例えば、契約の申込みをもって商品やサービスの提供に必要な個人の収集にも同意したとみなすと、こういった解釈を可能にしていただきたいと存じます。

 それから、先ほど申し上げましたとおり企業実務への影響が大きいのは本人情報の開示、修正、提供拒否の求めでございます。すべての個人情報について消費者からの求めに対応することは企業実務上困難でございますので、例えば「電子計算機処理され容易に検索可能な個人情報あるいは組織的に管理されており容易に検索可能な個人情報」といった一定の線引きをしていただく必要があると存じます。

 更に用語の定義に関しては、本人以外からの収集制限や明確化された目的外の利用・提供の制限の原則に関わる第三者の定義が重要でございます。今後、多くの企業でグローバルな競争に対応するため企業組織を改編したり、業種・業態を超えた提携を行うなどの動きが強まってきておりますが、その場合一企業にとどまらず複数の企業で一体的に情報を利用することが予想されます。そのような場合に、第三者の範囲が事業の対応にかかわらず当該企業以外のすべてという形になりますと、目的の範囲内での利用であっても関係するすべての企業が一々本人の同意を取り直すということになり、企業、消費者双方にとり負担が重くなります。したがいまして、事業承継者や連結決算の対象企業は第三者から除外するなど、柔軟な対応を可能にしていただきたいと存じます。

 次に、実務上の検討を行う際の第3の視点として他の利益とのバランスがございます。例えば個人情報の保有状況を公開したり、開示の求めに対応することによっていわゆる営業妨害行為を誘発することが懸念されます。権利の乱用や反社会的行為につながる場合には適用除外にするといった取扱いをお願いしたいと存じます。

 第4の視点として、合理的なコスト負担の在り方に御配慮いただきたいと存じます。企業側に過大な負担が掛かるような義務づけが行われますと事業そのものが成り立たなくなる可能性もあるため、個人の権利、個人の利益に侵害を及ぼす可能性が低い場合にはできるだけコストの掛からない手段を選択できるようにしていただきたいと存じます。例えば個人情報の適正化、最新化の手法として、本人からの変更の届出によることを認めていただくなどが考えられるわけであります。

 実務上の観点からの検討の視点として最後に、業務委託を行う場合の委託側と受託側との適正な責任分担について別途検討をお願いいたしたいと存じますが、情報処理や業務そのものを委託することは日常的に行われております。基本的には顧客に対して責任を持つのは委託元の企業でありまして、受託側が委託元と同じ責務を負うことは余り意味がなく、かえって円滑な業務の遂行が妨げられるといったデメリットか生じるおそれがございます。

 以上、個人情報の取扱いに関する原則の法制化をめぐる御要望を申し上げましたが、合わせて重大な悪質行為への制裁や被害救済の在り方についても基本法の法制化の過程で御検討をお願いしたいと存じます。善意の企業に幾ら厳しい規制を課したところで、ひとたび悪意のものが個人の権利や利益を侵害するような行為に及んでしまえば消費者の信頼は失われてしまい、多くの善意の企業の努力は水泡に帰してしまいます。そういう意味で、事前規制型の法体系はコストが高くつく割には実効性を伴わないため、望ましくないと考えております。罰則につきましては、検討部会でも議論になりました。構成要件の設定が難しいということで断定的な表現にすることは見送られましたが、情報化に対応した法体系の在り方について早急に検討に着手するべきであると存じます。

 御参考までに、制裁を課する対象について、例えば盗取あるいは詐欺的・欺瞞的な方法によって個人情報を取得、利用、開示並びに第三者への移転を行ったか。あるいは、そのような行為があったことを知りながら個人情報を取得、利用、開示といったような明らかに悪質な行為に制裁を課すことが考えられないか、よろしく御検討をお願いしたいと存じます。

 ただ、特定の悪意の従業員が会社の方針に反して違法行為を行った際に、一般的な管理責任をきちんと果たしている善意の企業についてまで両罰を課すということはやり過ぎではないかと思います。これによって企業活動が必要以上に萎縮してしまうことになることを強く懸念しているわけであります。

 更に、中間報告で提案された複層的な苦情処理、相談体制の整備についてでございますが、さまざまな機関の役割が重複して消費者から見てわかりにくかったり、責任の所在がはっきりせずに効率的に問題を解決できなくなることのないよう、官民の役割分担の在り方について御検討いただきたいと存じます。

 最後に、国際的な整合性の確保についてでございます。EU型の厳しい法規制をグローバルスタンダードと見るのはいかがなものかと存じます。例えば、欧州委員会と米国あるいは日本との交渉の過程でも、欧州委員会は諸外国がEUと同じような立法を行わなければ十分なレベルの保護措置を講じているとは認めないというわけではなく、立法であっても自主規制中心であっても実効性が担保されていればいいという姿勢であると伺っております。また、主要会員企業の現地法人などを通じて欧州の企業にEU指令や各国の国内法に関する評価を聞いたところ、消費者の信頼確保のためには仕方がないという意見がある一方で、こんなに厳しい規制を行う必要はないのではないかとか、このままでは事業の遂行に支障が生じるのではないかという声がございましたので、我が国においてはより企業の自主的な取り組みが生かされるような立法化をお願いしたいと存じます。

 また、EUはプライバシー保護に関する立法化も進んでおりますが、一方、個人情報の利用も我が国に比べて進んでおります。英国の例ですが、データの利用について本人の同意を得てデータ監督庁にも届出をした上でメーリング・リストや地図データを市販する業者が存在しております。消費者の側にも個人情報が本人の意図に反して利用されないためには、事前に利用の可否についてちゃんとチェックしなければならないという認識が定着しております。我が国では個人情報を提供することのメリットとリスクがきちんと理解されているとはまだ言えず、このような段階で厳しい法規制が行われると規制だけが先行してしまい、企業の取り組みの柔軟性が失われ、個人情報の利用が進まなくなるおそれがございます。適切な取扱いが確保されているのであれば、個人情報は国民の利便性の向上や多様な価値観の充足のため、より活用されていくべきだと考えております。まず一義的な責任を有する企業の取り組みを優先し、消費者の信頼を確立することが何よりも重要であると存じます。

 最後にお願いといたしまして、基本法においては個人情報の適切な取扱いに関する教育・啓蒙についての条文を置いていただき、政府や地方公共団体の取り組みを促していただきたいと存じます。インターネットで消費者に世界じゅうどこからでもアクセスすることができますので、国内で幾ら規制を厳しくしても外国からの犯罪から国民を守ることは事実上不可能でございます。国民一人ひとりが個人情報利用のメリットとそれに伴うリスクを正しく理解することが大変重要であり、具体的な自衛策として個人情報を提供する際に自分の個人情報がどのように利用され、どのように保護されるのかを事前にチェックすることなどを、学校教育や社会教育あるいは政府のホームページなどで呼び掛けることが考えられ、既に米国では実践されていると聞いております。

 以上、産業界としての基本的な考え方を申し上げました。基本法の制定によって個人情報保護に関する国民や企業の理解が醸成され、企業の側の取り組みが促進されるとともに、国民一人ひとりが個人情報の適切な取扱いに心掛けるような自己責任型の社会が実現されることが強く期待されるところでございます。委員の先生方におかれましては、よろしく御検討を賜りますようお願いしたいと存じます。

 なお、本日は具体的な話も出るかなということもありましたので、できるだけいろいろな業種・業態のメンバーから同席をしていただきました。質問等がございましたらどうぞよろしくお願いしたいと思います。以上で私の話を終えさせていただきます。どうもありがとうございました。

【園部委員長】どうもありがとうございました。それでは、ただいまの御説明について御質問等がございましたらどなたからでもどうぞ。

【堀部座長】礒山さんとは個人情報保護検討部会で一緒に御議論をしていただきまして、それを踏まえて今日かなり具体的に条文の中でこうした方がいいのでないかというようなことも御指摘いただきましたので、恐らく法制化専門委員会においても検討する上で役立つのではないかと思います。
 その中で、委員の間の合意がないまま先送りした分野の悪質行為への制裁ですが、今の日本の法体系ですと個人情報の窃取そのものを犯罪にしにくいというのがあって、その辺りが恐らく今後とも議論のあるところだろうと思いますが、何かこの辺りを経団連などで具体的に検討されていればむしろお教えいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

【礒山氏】今、申し上げましたように、極めて悪質な欺瞞的なとか、そういうものを何とかしないとほかの努力がみんなぱーになってしまうものですから。そういう形で論議をしておりません。こういう条文にしたらというところまでは詰めておりません。

【堀部座長】その秘密を漏示すると罰則を科するというのが、従来の考え方で、職安法の改正では従来罰則のなかったものを秘密と個人情報と分けて、秘密の方には罰則を科して個人情報について罰則を科さないということになりました。立法上の整理が昨年の通常国会でなされているものですから、その辺りはどのようにするかという問題は恐らくあるかと思います。

【礒山氏】やはりどういう行為をしてはいけないかというところは確かに構成要件は難しいかもしれないのですけれども、そこに少し日を当てて論議をしないと。確かに新聞記事などを見てこれはけしからぬという感じは、何がけしからぬのかというのをもうちょっと詰めていく必要があるんじゃないかと思います。実際に被害が出てきてしまうのは本当にごく一部というか、ごく少数の人が何かやって、しかも大体、何か起きるのは1か所に渡した情報がよそへ移転するときですよね。相対でやっている間にはそんなに話が広がるということはありませんから、要するに不当な、例えば値段が付いて物が出ていくような感じの取引が行われるということ自体、例えば名簿が売られるというか、ああいうのが商売になること自体がどうなのかという感じが私は個人的にはするのですけれども、そこはやはり詰める必要があるのではないかという感じがします。

【新美委員】非常にわかりやすく説明していただいたのですが、最後のところに関連して3つほど質問がありますのでお教えいただきたいと思います。
 最後に自己責任型のシステムを構築することを目指すべきだという御提案でしたが、その自己責任という形ですと、これは必然的に自己決定権がその前提になると思うわけです。そうしますと、個人情報の主体である人の同意というのはかなり大きなウェートを持ってこざるを得ないだろうと思うのです。
 そういう観点から見ますと、御提案された点で3点ほど疑問といいますか、お伺いしたい点があるのです。まず3ページの@Aとの関係です。かなり包括的で、更に将来にわたっての同意でも構わないんじゃないか、あるいはその方向でという御提案だったかと思いますが、インフォームド・コンセントというのが自己決定権の一つの典型的な考え方だと思いますが、そういう考え方でいきますと包括的では困る。できるだけ具体的にということになるわけです。そうしますと、自己責任型を目指すという理念と逆の方向に進んでしまうのではないかと思うのですが、その辺はどのようにお考えか。
 更に、ある時点で同意を得たならば将来にわたってもその同意をもって有効にすべきだという御提案だったのですが、これは一回したら永久にということはとてもおかしな話だと思うのです。例えば、いろいろな取引で、よく企業の皆さんは、瑕疵担保責任ですら民法で規定する「知りたるときから1年」というのを更に縮めて契約のときから1年という期間制限をしておるわけですが、そういった期間限定はどんな場面でも必要であります。したがって、そこでも将来にわたって手放しでということにはならないはずなのですが、その辺については御議論されているのかどうか。
 2点目は、EUのように同意をしっかり取って利用をかなり幅広にという御提案に関してです。そこでは同意に余り固執することなく、企業の柔軟性のある対応にゆだねるべきだとおっしゃったわけですが、それは基本的には企業の裁量を認めるべきだということになろうかと思います。そして、この裁量を認めるということは自己決定権という考え方からしますとかなり正面からぶつかってくることになるのですが、その辺についての御議論はどのようなことになっているのか。そこで最終的に担保されるのは客観的な合理性とか、そういうようなものですけれども、その辺をどのようにお考えになったのかということです。
 それから最後の点ですが、委託先の方に責任集中すべきだという御提案があったのですが、問題は委託に出す場合の許容基準というものについて御議論をなさったのかどうか、何か御意見があったらお教えいただきたいと思います。以上、ちょっと長くなりましたが。

【礒山氏】1番目の点でありますが、同意というのが例えば契約するときには当然情報をもらうということで同意しますけれども、私どもの場合ですと保険業ですから、その後で新しい商品が出てきたときにお客さんによかれと思ってその住所なり氏名なりを使ってお知らせをするとかというようなことをやりたいわけですけれども、お知らせをすることについてまたその都度合意を一々とらなければいけないのだろうかどうだろうかという話なのです。ですから、言ってみればお客様の合理的な一つの考え方の中で本当に役に立つんじゃないかとこちらが思ったようなことまで全部、一律に同意というのはその都度やらなければいけないんだよというような禁止的な決め方だと実務上やりにくいというか、あるいはお客さんの方もそんなものはいいよと。その代わり、要らないんだったら要らないと言うからというような関係にしたらどうかなと思いまして、そういう意味でこういう表現を使ったわけです。
 それから、2番目のところについては企業の裁量と言ってもやはり一つの合理的な範囲があると思うのです。全然突拍子もないことをそれでやり出すということになると、やはりお客さんの方にとっても予想外のところから飛んでくるわけですから、当然最初の申込みなり契約なりのところからある程度の想定がつく合理的な範囲だと思っています。
 それから3番目のところについては、実際には商品とかサービスを提供するときにも、例えば運輸関係などの例がよく挙げられますけれども、実際には物を配送するときに預かった人と実際に届けに行く人というのは、あるいは途中のトラックに載せて運ぶ人は違う人が運んだりとかで、一つの仕事を完結するためにどうしても委託先が通常必要である。例えばインターネットで本を頼んでも、最終的にその情報は本屋さんなりに行って本屋さんが配送するという手続をしなければ本が届かないわけですから、当然予想される範囲内が委託先になるわけですけれども、実際にはとにかく注文を取るところから本をストックして本を送るところまで一つの企業でやるという時代でもなくなってしまって、実態としては通常はアウトソーシングというような言葉を使っていますけれども、かなり切り刻んだ形で業務が遂行されて、トータルの責任は最初に注文を受けた人がやはり負うとか、そういう形で実態としてやっていると思うのです。それで、本件についてもそういう実態に合わせて一々その後、配送を頼まれた本屋さんがそのお客さんに、あなたのお名前が私のところに来ましたけれどもと了解を取ったりとかというようなことになると実態から乖離してしまうので、委託あるいは契約の中身を確定するときにむしろあなたの契約を履行するためにはこういう手続を踏まれて履行されますという辺りがお客さんにはっきりわかる形にすれば予見可能性も出てくるし、いいんじゃないかなと思っています。

【鈴木氏】委託のところでございますけれども、すべての企業がこうだということではないと思いますが、例えば通常ですと委託するときに秘密情報などを出すときには守秘義務とかを設けたりしてございます。それで、守秘義務などですと大体守秘するということと、それから使用目的の制限をかけて、大きくこの2つが契約のポイントになってくるわけなのですけれども、個人情報につきましても結局委託する目的、業務目的、それでその目的外使用を禁止するとか、あるいはそういう委託のために提供している個人情報は第三者に負わせない。恐らくそういう契約で縛っていくというやり方になるのではないかと思うのです。それで、少なくとも契約が遵守される企業であるかどうかという観点から恐らく見ていくのではないかと思われます。そのときに、例えばそこの企業の中に具体的にこういう個人情報の管理者がいるかどうかというよりも、むしろそれをちゃんと守れるかどうかということですね。細かい実際の管理体制を細かくチェックするというところまで必ずしも見るとは限らないかなという感じがちょっといたします。

【新美委員】そうしますと、その辺りのチェックをして仮に第三者への漏洩事故が起きてしまったような場合、委託先がすべて責任を負うという了解ができているのでしょうか。故意のケースではなくて、何らかの形で漏れてしまったと。

【鈴木氏】その場合は、通常の契約の考え方の中でいわゆる履行補助者の過失ですとか、そちらの問題になりますので、まずお客様との契約関係ではそちらの方の法理の中で解消されていくのではないかと思われます。そういう意味で委託元といいますか、発注先の方がお客様との関係では当然契約上、取引上の責任というものが発生するだろうとは考えております。

【藤原委員】詳細な説明をいただいてどうもありがとうございます。今の業務委託との関係で1点、それから実際に参考資料として添附されております2の企業の中のガイドラインとかマニュアル等について1点お伺いしたいと思います。
 1つは業務委託の実態等について、教えていただいたのですけれども、物の考え方として業種・業態によるでしょうが、情報処理を業務としていたり、情報を委託して専ら扱っている人たちにこそ一般の受託する企業より厳しくデータ保護の関係の規定を適用するという体系がある国があるわけです。要するに一般企業が自社内でデータを処理する分には緩いけれども、専ら業として受託してデータを取り扱っているような企業であれば、他人のデータを取り扱っているわけだからそれなりの責任を負っていただいてもよろしいのではないかという考え方もあり得ると思うのですが、それについてどう思われるかということです。
 2番目は、ガイドライン等で企業にかなりデータ保護のポリシーとか管理規程等でデータ保護教育をされているということなのですけれども、これは御存じであればで結構なのですが、実際に企業などでデータ保護を管理する人間、例えばデータ保護管理者とかを当てて一定の役割を与えておられる取り組みが既に一定程度あるのかどうか。その2点についてお教えいただきたいのですけれども。

【礒山氏】では、私の答えられるところで申し上げますと、今の情報処理を仮に受注する受託者であっても、委託する方としてみればそこで情報が流通することになると委託した方の信用問題になるわけですから、私どもで言うと委託者の側になるわけですけれども、だから相手が渡した情報をどのように取り扱っているかというのは、例えば年に1回とか必ず向こうの事務所へ行って向こうの処理の状況がどうだとか、そういう検査をしたり、あるいは契約書を交わしたり、そういうことをやりながらきちんと押さえているわけです。それについて、刑事上の責任を負うようなときの考え方は別なのかもしれませんけれども、少なくとも民事で考えるときで言えばやはりお客さんに対しての責任は情報処理をしている人に、あいつがいけないんだよと言っているだけでは多分済まないから、それなりの責任は委託者側で負うべきだと私は思っています。
 それから後ろの方ですが、実際には会社の中でもいろいろなことをやっていまして情報管理規定を置き、それから特にオンラインの端末機や何かの操作でだれがどういう情報を見たかということを管理者がすべて管理することは実際にはできませんから、管理者が全員の残業の後まで残っているというと必ずしもそうでもありませんから、必ずログや何かを全部保存して、何かあったときには後から絶対トレースできるような形のものを残しています。そういう意味で、だれが責任者かというと確かに担当役員もいるのですけれども、担当役員の1人が本当に全部を管理できているかというと、それは実際にはなくて、事実上各部門に管理者、例えば情報システム部門ならば情報システム部門の部長なりが管理し、その先は今のログとか別の手段で管理補強するような仕組みをつくって規定を徹底しているというような形になっているのです。だから、ここは企業の規模とか業種や何かでちょっと違うかなという感じがします。

【藤原委員】どうもありがとうございました。前半の方ですけれども、私が申し上げたのはもう少し具体的に言うと、先ほど御説明の中で出ましたけれども、こういう業態を規制するかどうかは全くの別問題として仮定の設例ですが、名簿がありますね。名簿を専ら取り扱っておられる業種とか、ダイレクトマーケティングで顧客の情報を専ら処理したりして他の企業にサービスを提供している業界は、受託で受けていようと何で受けていようと業としてデータを処理していれば、これらの業種については、例えば開示の5原則は御説明のようにいろいろな原則が業界によってモディファイされて適用されるというお話でしたけれども、適用される部分が一般企業より強くなっても構わないという考え方について伺ったのですが、それをどう思われるかということです。

【礒山氏】そういう感じはしますけれども、そういう情報に近いところにいるのだったらそれなりの……。

【藤原委員】たとえ受託であってもそうではないかということを伺ったのです。

【片岡氏】その点で、ただその場合に問題になるのは業者自身の業態の定義みたいなことが出てまいります。それを専らと言うのは比較的多分珍しい。名簿だけをやっているとかというのはむしろ珍しくて、オンラインでの処理をやっていて、その間にアルバイト的にと言ったらおかしいですけれども、個別の受注でやっている場合もありますし、なかなかそれ専業というので、だからA社さんとB社さんとC社さんとあって、A社さんだけがこの業界だからという定義をするのはなかなか難しいだろうなと、実態的にはそう思います。

【藤原委員】どうもありがとうございました。

【上谷委員】実態と、それから将来の見通しでお尋ねしたいのですけれども、例えば金融機関だとか、あるいはクレジット会社などで個人の信用情報を1か所に集めていろいろ利用するということをやっていますが、そういうもの以外の一般的な企業でそのような情報をどこかに集中して、そしてお互いに利用するという実態が今あるのかどうか。あるいは、将来的にはそういう方向へ進んでいく可能性があるのかという点をお聞きしたいのです。先ほどのお話で外部に委託するという場合でも、例えば通信販売の業者がどこかから申込みを受けるというような場合、品物をお客さんの手元に届けるためには運送業者も必要だし、それから倉庫業者も必要だしというお話がありましたが、それは事務の分担ですね。ですから、そういうような場合ですと、どこかの受託側がいろいろな関連する個人の情報を集めて処理するという方向ではありませんので、確かにおっしゃるとおり委託した側が責任を持つということで対応できると思います。しかし、先ほど藤原委員などから質問が出ているのは、むしろいろいろな業界で、例えば保険ならば保険、それも損害保険ならば損害保険、生命保険ならば生命保険の業界でそれぞれの企業が契約者からもらっている情報をお互いにどこかへ集めて、そこでファイル化するという実態があるのかどうか。将来的にそのようにいくのかどうかでこの議論が大分違ってくるように思いますので、そこをお聞きしたいと思います。

【礒山氏】具体的な話をさせていただきますが、我々は損保ですけれども、実際にはモラルリスクというのがあるものですから、損保で持っている個人の情報というのは同業他社にはできるだけ教えたくないのです。自分のところの契約の素ですから人には絶対教えたくないのですけれども、ああいう和歌山事件みたいなものがあったときにも国会でも私どもの社長が答弁していますから、これはちゃんと議事録にも載っていますが、ああいう事故が起きたときの照会システムみたいなものは実は持っているのです。それが極端に特定の人に集中して、ある特定の時期に大体契約が集中して事故が起きるというようなことからモラルリスクを見つけ出したりとかというような仕組みというのは用意しています。ですから、第三者へというのを絶対だめと遮断されてしまうと、今度は悪い人を助けてしまうみたいなところも実は出てきてしまう要素はございます。

【河合氏】私は生命保険業界の者なのですが、さっき礒山から話があったように、やはりそういうモラルリスクの観点から各企業の契約の情報を我々の場合は生命保険協会の中に集中するシステムを持っておりまして、そこで一応加入情報を管理しています。このときに、一応加入するときに説明事項として保険約款の中に契約内容登録制度と言うのですけれども、そのような形で利用させていただきますという同意をいただいた上で登録を行っていくという形にさせていただいております。

【高芝委員】1点だけよろしいですか。どうも御説明ありがとうございました。今日のペーパーの1枚目で従業員個人のパソコン内で保有される営業情報とか、メーリングリストというのはなかなか管理が難しいという御説明をいただいて、2枚目のところで個人情報の保護については基本的に企業の自主的取り組みが尊重されるべきではないかというお話をいただいたのですが、この2つの関係で企業の自主的取り組みの方を尊重した場合、先ほどの従業員個人のパソコン内で保有されている営業情報やメーリングリストの管理とか保護がしやすいという趣旨なのか。それとも、自主規制でもやはりそこはなかなか難しいという御趣旨なのか。

【礒山氏】ここで申し上げたかったのは、お客様の同意と言っても私どもの営業マンなりがお客様のところに行って趣味を聞いたりとか何かして、後で営業の役に立ったりしますね。そういう情報を取るところまでお客様の同意をちゃんと書式でもって得てやらなければだめというようなコントロールというのはなかなか難しいということと、今度は先方からおれの情報を何かおまえの会社は持っているだろうと言われたときに探し出さなければいけないのですけれども、個人が自分のパソコンで持っているような自分のお客様の特性みたいなものを探し出すというのはなかなか管理不能だなという2点です。

【高芝委員】わかりました。どうもありがとうございました。

【礒山氏】個人情報全体を大事にしなさいというか、ちゃんと保護することは大事だよということは言いつつも、やはり開示とかというときにはそこは少し分けて考えていただけませんでしょうかということです。

【園部委員長】もっと伺いたいのですけれども、時間がまいりましたので一応ここまでとさせていただきます。礒山さんを始め、御出席いただきました関係者の皆さん、大変ありがとうございました。時間の関係で本日お伺いできなかった質問につきましては後日また事務局を通じてお尋ねいたしますので、その節はよろしくどうぞお願いいたします。どうもありがとうございました。

(経済団体連合会関係者退室・日本新聞協会関係者入室)

【園部委員長】どうもお待たせをいたしました。引き続きまして、日本新聞協会からヒアリングを行わせていただきます。本日は日本新聞協会の人権個人情報問題検討会のメンバーであられる朝日新聞東京本社の鈴木編集局次長、毎日新聞東京本社の朝比奈編集局次長、読売新聞社の桃井社会部長、日本経済新聞社の秋吉編集局次長兼社会部長、東京新聞の山田編集局次長兼社会部長、産経新聞東京本社の高尾編集局次長兼社会部長、共同通信の土方法務室次長、時事通信社の山本法務室主査においでをいただいております。御多忙のところおいでいただきましてありがとうございました。
 御説明は、実は20分しかございません。それで大変短いのですが、一応20分で止めていただきまして、あとは質疑応答のときにまた補足していただければと思います。よろしく御協力をいただきたいと思います。それでは、検討会の幹事である日本経済新聞社の秋吉さんから御説明をお願いいたします。どうぞよろしくお願いいたします。

【秋吉氏】日経の秋吉です。それでは、日本新聞協会の意見を表明いたします。

 日本新聞協会は1月、個人情報保護検討部会の「我が国における個人情報保護システムの在り方について」と題する中間報告に対しての見解を表明しました。今回、個人情報保護法制化専門委員会のヒアリングに際し、改めて意見を述べさせていただきます。

 (1)現行個人情報保護法の速やかな改正が必要である。新聞・通信各社(以下、新聞界)は昨年10月6日、検討部会のヒアリングで「行政機関の保有する電子計算機処理に係る個人情報の保護に関する法律」(以下、現行法)の抜本的改正が急務であると指摘した。 その理由は、@規制対象を行政機関に限定している。特殊法人、国会、裁判所も対象に含めるべきだ。A電子計算機処理情報に限られている。Bセンシティブ情報の収集制限がない。C個人情報ファイルの総務庁長官への事前通知と公示、ファイル簿への記載や閲覧について適用除外が多い。D本人の開示請求についても学校の成績、入試記録、診療記録などの医療の記録、刑事記録など、適用除外が多過ぎる。これらも、行政機関が保有する情報のすべてを対象とした情報公開法と同様に適用対象にすべきだ。E本人の訂正権の規定がないなどである。

 不開示情報の範囲については、2001年施行の情報公開法においても、個人が識別され、あるいは識別され得る情報は原則的に開示されないこととなったが、情報公開法要綱案の作成に当たった行政改革委員会は、本人情報については個人情報保護法で開示されるベきことを前提とした措置としている。したがって、現行法は遅くとも情報公開法施行までには速やかに改正されなければならず、そうでなければ本人情報が情報公開法でも、また個人情報保護法でも開示されないという不都合な事態が生じることになる。

 こうした現行法の多くの欠陥は「行政活動の一環としての個人情報の収集利用は本来、各行政機関の自主裁量にゆだねられるべきだ」という基本姿勢からきている。法案作成段階から、省庁調整の中で適用除外の事項があふれる事態になってしまったことを改めて指摘しておきたい。

 国は憲法13条に基づき、個人の尊厳を保障する義務がある。また、国民は公的機関が自分の情報をどのような形で持っているかを知る開示請求の権利を持っている。しかし、現行法はその要請に十分こたえてはいない。現行法には個人情報の管理や保護などについてOECD8原則(「中間報告」では後述の5原則)を守るべき法規範として明確に定めるべきである。

 「中間報告」には、こうした現行法の改正、強化についての視点・姿勢が欠落している。専門委員会の議論は、まずこの点から出発すべきである。そもそも現行法は1989年の制定当初から「5年以内に見直しをする」との条件が付いている。民間の個人情報保護制度の検討を待つまでもなく、必要な改正を急がなければならない。

 (2)は新しく追加した部分です。民間部門の個人情報保護の対象は「個人データファイル」であり、報道による人権・プライバシー侵害問題などと混同してはならない。新聞協会加盟社は昨秋、個人情報保護検討部会が実施したヒアリングでも意見を述べた。その際の質疑や同部会の議論を見ると、個人情報保護の問題と報道によるプライバシー侵害の問題等を短絡させたり、混同している場面が少なくなかった。個人情報保護の対象となる「個人情報」は、プライバシーの権利の対象となる「プライバシー」に比べ、より範囲の広い概念である。「個人情報」は「個人が識別され得る情報」であり、民間部門の個人情報保護の問題は、本来的にはファイル管理の制限の問題である。

 法制化に当たって保護すべき個人情報の定義や範囲を議論する際には、こうした基本的な考え方を確認した上で検討することが肝要である。「プライバシー」は「個人情報」に比べてより絞り込まれた概念であり、報道によるプライバシー侵害については、個人情報保護とは別の検討枠組みの中で論じられるべきものであって、例えば電話会社の顧客名簿や金融機関の信用情報の流出などへの対応と同じように議論されるのは大きな間違いである。

 (3)「基本法」には個人情報保護の具体的原則を盛り込むべきではない。「中間報告」が指摘するように、ネットワーク社会が世界的規模で急速に進展している状況を考慮すれば、民間部門においても個人情報保護制度が早急に確立されなければならない。しかし、検討部会が提言する具体的な保護原則の法定化については以下の理由で同意できない。

 「中間報告」は、全分野を包括する基本法を制定すべきだとした上で、個別分野については個別法及び自主規制で保護を図ることを提言した。併せて「個人情報保有者の責務」「個人情報の理由等」「個人情報の管理等」「本人情報の開示等」「管理責任及び苦情処理」の5項目を個人情報保護のために確立すべき原則としてこれを基本法に盛り込むべき内容の一つとした。

 21世紀に一層進展する情報化社会にあって、民間部門の柔軟な個人情報保護システムの確立は民主主義の維持・発展のために欠かせない。基本法の下に個別法分野と自主規制分野を併存させるという構想は、その柔軟な個人情報保護システムを目指すものでなければならない。そのような個人情報保護体系の中では、報道・出版の自由に関わる分野は法規制ではなく自主規制をもって対応すべきであることは言うまでもない。表現・報道の自由は個人情報の保護と同様、民主主義にとっては不可欠であり、法による規制はその自由を阻害することになるからである。

 そう考えると、個別法規制分野も自主規制分野もともに包括する基本法で上記5原則を規定するという検討部会の提言は、それが報道・出版活動に対する実質的法規制につながるという意味で、新聞界として大きな危惧を抱かざるを得ない。基本法に5原則を盛り込めば、その効力は当然ながら法規制分野のみならず自主規制の分野にも及ぶこととなり、事実を伝達するために取材を通じて多くの個人情報を日常的に収集する報道機関の活動に看過し難い重大な支障が生じる結果となることは避けられない。

 新聞界はこれまでも「個人情報保護法は情報の自由な流通を確保し、表現の自由を尊重するとともに、個人の尊厳を守るとの理念の下に」制定されるべきことを強調した。現代社会では個人の尊厳を守ることも情報の自由な流通を確保することも、ともに大事な営為であって、どちらか一方に偏することがあってはならず、個人情報の保護と利用の両立こそが大切であるという趣旨であった。

 取材・報道活動に事実上の規制効果を持つ5原則を基本法に盛り込むことはその趣旨に反するものである。基本法では具体的原則ではなく個人情報保護の理念をうたい、その上で個人情報を扱うすべての分野で保護措置を講ずべきこと、措置内容は法規制分野にあっては個別分野の特性に応じて決めること、自主規制分野は自主的な決定にゆだねることなどを規定するのが望ましいと考える。

 あえて付言すれば、基本法に5原則を盛り込む立場から法制化を考える場合には、これまでに述べたような理由から、「報道機関は法の対象外」が議論の前提となることを強調しておきたい。

 (4)報道・出版の分野については行政機関が関与する「複層的救済システム」構想の対象から外し、自主的な対応にゆだねるべきである。「中間報告」は、個人情報の不適切な取り扱いによる紛争の解決手段として、法的な処理とは別の救済制度の確立を提言した。事業者、民間第三者機関等、地方公共団体、国、統一的な第三者窓口がそれぞれ役割を分担し、全体として効果的に機能し得るような「複層的な救済システム」の構想である。この構想の対象分野が個別法分野なのか、自主規制の分野なのか、あるいは双方を含む全分野であるのかを「中間報告」は明記していないが、仮に自主規制分野までがその対象に含まれるとすれば、個人情報保護と情報の自由な流通の両立を目指す立法の趣旨に反しかねない。

 取り分け、報道・出版の分野に適用されるとすれば、個人情報を収集し報道することで国民の「知る権利」にこたえる報道機関の活動について、国の各行政庁または地方公共団体が司法システムとは全く別に「裁定」することも想定される。行政機関の表現・報道の自由への介入につながりかねないこのような重大な事項が、内容があいまいなまま「適用除外」などの条件も付さず、「中間報告」に記載されたことに強い懸念を抱かざるを得ない。

 各新聞・通信社は現在、個人情報の管理などについて自主的な取り組みを強化し、真撃に検討を続けているところである。「中間報告」が提言する救済制度がどのような形態のものになるにせよ、少なくとも報道・出版の分野については「複層的救済システム」構想の対象から外し、自主的な対応にゆだねるべきである。

 以上です。

【園部委員長】どうもありがとうございました。それでは、ただいまの御説明に関連して質疑を行いたいと存じます。余り時間はございませんけれども、もしそちらから自由に御発言になる場合は速記を取っておりますのでお名前だけ先におっしゃってください。それでは、委員のどなたからでもどうぞ。

【高橋委員】御説明ありがとうございました。4点ばかり簡単にお聞きしたいのですけれども、まず最初に1ページ目のところに関連して下の方で13条に基づいて開示請求権があるとおっしゃっているのですけれども、これは13条を根拠にして本来開示請求をしていくことができるのだという理解なのかどうかという点が第1点です。
 それから、2ページ目のところで個人情報の保護の問題とプライバシーの保護の問題は違うのだとおっしゃっていて、プライバシー保護よりは個人情報保護の方が広いという表現になっているのですけれども、揚げ足をとるつもりはないのですが、広いのならば当然プライバシー保護の問題はカバーしているということになってしまうのだろうと思います。ですから、違うとおっしゃる場合、どういう違いとして理解されているのか。その例として挙げられているところで真ん中辺り(3)のちょっと上ですが、電話会社の顧客名簿等々とは違う問題なのだとおっしゃっているところから推測すると、どうも個人情報の保護とバランスされる利益が経済活動ではなくて表現の自由だという違いだという理解が基礎にあるのかなと思うのですけれども、そのように私の方で理解してよろしいかどうかが第2点です。
 それから、3ページ目で報道機関は法の対象外と考えていくべきではないかとおっしゃっているのですが、これは包括的に全部対象外と考えるということなのか。それとも、個別原則ごとにもう少し細かく考えていくというような考え方がおありなのかどうか。もしあるとすれば、例えばどんなものかということを教えていただければと思います。
 それから、4ページ目で自主的な取り組みを真摯にやっているということなのですが、その議論の中でどんな方向が出てきているのか。ここに書いていないことでもう少し具体的なものがあれば教えていただければと思います。以上です。

【朝比奈氏】今4点まとめて御質問があったものですから、個別に分けて答えようということでこちらで決めましたけれども、プライバシーの保護の問題と個人情報の問題をどのように考えるかという問題が2点目にございました。それから、対象外についてどのように考えているかという質問が3点目にありましたので、私の方からはこの点についてお答えさせていただければと思います。
 私たちの考え方としては、保護されるべき個人情報というときの個人情報という考え方は言ってみれば非常に幅広いのではないか。個人識別される情報、個人に関する情報ということでいけばプライバシーはその中に含まれるだろうということはあるのですが、プライバシーの概念を考える場合にこれまでメディアが取材報道活動との調整を迫られてきて、その中で考えられた限定的な概念ではないかと考えています。そういう意味では先ほど出ましたような顧客名簿とかのような広い分野の個人情報という概念に対して、プライバシーというのは公開を欲しないであろう生活上の事実というか、そういうようなもので、今までも裁判所などでメディアの報道と書かれる側のプライバシーの問題との調整という点では長い歴史があって考えられてきたと思うのです。
 そうすると、私どもの中には報道の自由を含む表現の自由が優越するのだという考えもありますが、裁判所の判断を見ていきますと少なくともプライバシーが一般的に報道の自由に優越するという考えはなかったと思うのです。そうした均衡、調整、それぞれの個別の事例に基づいて考えていくということはあったと思うのですが、プライバシーという限定された部分の概念に関してもそのように言ってみれば報道の自由、表現の自由というものに対して優越するという考えはなかったということを考えますと、それよりも一般的に広いこうした概念の個人情報保護を考える場合に、あたかもプライバシーと同じようなレベルで表現の自由というものを比較衡量の対象として考えるのはおかしいのではないだろうか。報道の自由を含む表現の自由というのは当然最初から優越されて考えるべきではないだろうかというのがここで伝えたかった意味でこございます。
 それから3番目の問題ですけれども、報道機関の言論報道活動というものは、私どもの理解では国民の知る権利にこたえるべく活動をしているわけで、社会的に非常に大きな意味のあることであり、本来的に公益性が内在していると思っております。そういう活動というものは細かいことを言えば具体的な取材活動との関連では幾つか言えることがあると思うのですが、そうしたこと等を考えていきますと、個別にここは少し違うとか、そういう適用除外といいますか、対象外という問題ではなかろう。包括的に除外すべき問題ではないかと私どもは考えています。
 もしまだ説明が必要ならば、いかに個別の保護原則を入れることが私どもの活動を阻害することになって、ひいてはこれが公益に反することになるかという説明をしてもいいのですが、時間が限られているということなので、2番と3番についてはそういう説明をさせていただきます。

【鈴木氏】第1点と第4点についてお答えします。
 第1点ですが、憲法13条から開示請求権へという直結ではなくて、憲法13条の幸福の追求権が基本的にあって、個人の尊厳ということは十分に守られなければならないわけです。そこは国の責務の問題なのですが、一方で21条には表現の自由という問題があって、その前提になる国民の知る権利から言うと、国がどういう情報を持っているのかについては国民の立場からそれを十分に知り、もしそれが例えば誤った情報であればそれを直す。そうした権利につながっていくと考えております。
 21条と13条は時に対立する権利でもあるわけで、意見書の文脈では、国の責務の問題と国民の権利の問題とを対置をしていると御理解いただければいいと思います。
 それから第4点ですが、個別にそれぞれの社が今、自主的なガイドラインをつくろうということで議論を続けています。朝日新聞の場合について少し御紹介すると、記事データベースというのを持っていまして、これを外の読者に提供しているわけですけれども、その中で例えば事実に相違があったときに新聞本紙では訂正を出します。それと同じように、データベースの電子の情報の世界でもこれを速やかに訂正しています。あるいは御承知のような時の経過論の中で、一定の期間が過ぎたときに例えば、逮捕された容疑者が罪を償って社会復帰してくるという時間の中でその記事をどうすべきかを検討中です。全文削除するのか、あるいは固有名詞を匿名にするのか、そういう議論を続けています。データベースについては実際にそうした問い合わせも社の側にあって、まだルールをつくっていない段階でも個別に対応したケースが現実にあります。
 同じようにインターネットの世界で朝日新聞の場合には「アサヒコム」という媒体を持っていますけれども、その中で個人のメールナンバーであるとか、人名をはじめ住所その他、そういうものが利用者あるいは投稿者という形で新聞社に寄せられるわけですが、その場合についても一定のルールを定めて、そのルールを利用者に提示をして、その枠組みの中で利用してもらっています。その中には投稿欄もあるわけですけれども、投稿についてもこういうふうに使うということをお断りする。これはペーパー媒体の本紙と電子媒体のアサヒコムとの相互に交流があるわけですけれども、新聞本紙の場合も投書欄には電子媒体でこの投書を紹介することもあるということを紙面で投稿者に知らせております。そのほか、コメントを寄せられる外部の方々に対しても、新聞はもちろんですけれども、電子情報の世界でもその利用について著作権の視点からそれをどのように扱ったらよいかという検討をしています。全体としては今はまだ自主的な指針をまとめている段階と言えます。
 新聞には取材関連情報のほかに、営業用のファイルが幾つもあります。読者についていろいろな個人情報がファイルになっているだけでなく、懸賞に応募した方々についても個人情報が新聞社に寄せられる。そういう場合に、どういう目的でどういうことでやるのだ、一体だれが責任を持つかという社内での管理の問題と、それから読者に対してこういう目的で使うのだということなどを明示し、かつそれを使うときに目的外使用に当たらないようにするなどのルールもつくろうとしています。
 それぞれの新聞社で同じように取り組みをしていると思いますが、朝日では社内に一体どれだけのファイルがあるのか、取材用も営業用のものも含めて、そのファイルの状況の把握をした上で現在、申し上げたようなルールづくりを検討しています。こうした自主ガイドラインについては各社が相互に情報を交換しながら同じように取り組みを始めている状況です。

【朝比奈氏】4点目を追加しますが、例えば毎日新聞の場合には同じように全社的な個人情報保護の内部の指針をつくる委員会をつくっておりまして、既に実は今インターネットにおけるメディア事業の関係の部分につきましてはサイトに掲載しております。個人情報保護の取扱指針という通産省のJIS規格に基づくいわゆる自主規制のガイドラインを検討しまして実施しているわけです。それで、これはサイトに乗っておりますので必要ならば後で提出しますけれども、そうしたいろいろな分野について自主的な検討を、やはりこういう個人情報保護の法制化の動きが始まったこともありますけれども、私どもの社も含めて業界では熱心に始めていると御理解願いたいと思います。

【鈴木氏】アサヒコムも同じように、サイトではさっき言ったようなルールで出しております。

【西谷委員】新聞販売店の情報というものは新聞本社との関係ではどのようになっているのか。つまり、新聞関係では報道に関する情報と営業関係の情報とがあるわけで、その一例として販売店情報はどう管理されているのか伺えればと思います。

【鈴木氏】一般的に言えば、新聞社と、それから販売所と言いますけれども、そこの関係は基本的には別会社の形です。専売とか合売とかいろいろな種類がありますけれども、朝日新聞の場合で言えば本社販売局の指導管理の下に販売所が売っています。販売所は会社の場合もあれば個人営業の場合もありますけれども、自分が配っている相手の情報を承知しているわけですね。それから、読者から本社へ直接、例えば懸賞の応募などの形で情報が上がってきている。朝日新聞社が例えば鈴木という新聞販売店の顧客について全部の情報を押さえているかというとそうではないけれども、数とか地域とか、そういうものについては社も承知している。大体そんなイメージで、読者情報というのは二重、三重の形でファイル化されているのだろうと思います。

【藤原委員】どうも御説明をありがとうございました。検討部会での前の議論は拝見したという前提で、言論の自由というものが民主主義の生命線であるとよく言われるということは十分承知した上で3点ほど質問させていただきたいと思います。かつて公的部門における個人情報保護ができるときに、あの当時の新聞の論調は日本も国際基準に即した個人情報保護法制を構築すべきであるというものであったと記憶しているのです。その国際基準という観点から質問させていただきたいのです。
 第1点は今日の御意見の御趣旨は民間部門は現在のままの自主的な取り組みでよろしい。公的部門を引き上げなさいというわけですけれども、個人情報の不適正あるいは不法な利用によって権利利益を侵害される一般国民の側から見れば、公的部門から侵害されようと、私的部門から侵害されようと、権利利益を侵害されているという事実には変わりがないのではないかという感じがするのです。更に、公的部門よりも民間部門の方が最近は危ないというのが国際的認識ではないかと思うのです。ですから、まず第1点はどちらのレベルを上げるべきだというのならば我が国の場合、現在ゼロに近い民間部門のレベルを上げた保護措置が必要なのではないかという気がするわけです。それが国際的なスタンダードに近づくことではないかと私は理解しているのですけれども、それについてどう思われるかです。
 第2点は、先ほど販売会社と別会社なのだとおっしゃられましたけれども、そうしますと新聞、出版はデータベースとか関連の周辺事業も持っておられるわけですが、報道の自由という場合、その周辺の事業も含めて一切適用除外にしろという御趣旨なのか、それは線引きが難しいからでしょうか。あるいは、そもそも別会社別法人なのだから本体の報道の部分だけを別扱いにしろという御趣旨なのか、ちょっとわからなかったので教えていただきたいということなのです。
 3番目は、またこれも国際的な基準という意味で伺いたいのですけれども、個人情報保護法を持っている国では、先ほど御質問がもう既にありましたが、この基本原則を一切盛り込むなという御意見なのですけれども、すべての者に一応はこの枠組みの中に入ってもらって、しかし学術研究であるとか報道、出版の自由というのは非常に重要なもであるから、それなりに特別扱いをしましょうということが、これも国際的な考え方ではないかと思うのですけれども、でもやはり日本はそれとは違うとおっしゃるか。この3点についてちょっと教えていただきたいのです。

【鈴木氏】若干私見も入りますがご説明いたします。まず公的な部門の情報保護と民間部門の情報保護ですが、新聞協会の主張は民間部門について全部自主的にやれということではなくて、必要な分野、例えば信用情報その他、既に個別法が検討されている分野もあると思います。そういう分野は法的に規制をしていくということは十分考えられる。ただし、表現の自由あるいは報道の自由に関わる部分についてはそれを外してもらいたいということを言っているわけです。実際に、紙面では例えばNTTの情報が漏れたとか、何とか会社の情報が漏れたとか、随分大きな扱いをしています。それはおっしゃるように権利侵害の事実について報じているわけですけれども、公の機関からの漏洩と民間部門のそれとを比べた場合、民間部門の方が危ないというご意見については、必ずしもそうではないと、私は個人的には思っております。
 それから、周辺事業との関係ですけれども、これも最初に申し上げたように、個人情報保護とはファイル管理の問題であり、そうだとすると、そのファイルには取材そのものに関わる、つまり表現の自由に関わるデータと、それから営業用のデータがある。本社の周辺にある関連会社でも子会社であっても、放送や出版の部門に関わる子会社もあります。したがって本社と周辺会社というような分類よりは、その事業の内容によって、あるいは持っているファイルによってどのような規制をかけるのか、あるいは自主ガイドラインで任せるのか、そういう区分けの仕方を考えていただければよろしいのではないかと思います。
 3番目は法の枠組みの中に入れたうえで適用除外を主張するのかどうかについてですが、我々が基本法という考え方を打ち出したのは、表現の自由に関わる報道機関も基本法の枠組みの中に入れて考えるということではあります。その基本法はすべて国も民間も、そしてその民間の中に報道機関があるわけですけれども、今日意見の中で「あえて」と申し上げているように、基本法の在り方によっては非常に国民の知る権利の付託を受けた表現の自由あるいは報道の自由を守るところからは危いものがあるのではないか、その場合は基本法そのものの対象外とすべきだ、と、こういうことを申し上げているつもりです。

【小早川委員】今のお話と関連しますし、また最初の方でこのペーパーに即して議論されていたこととも関連するのですが、おっしゃられる取材報道の自由ですね。これが来るべき基本法によって制約されるのは大変問題であるということは、確かにその情報の流れの中で取材報道ということが今の現行法の中でどれだけ尊重されているかということを考えれば、そこに特別な問題があるということはよくわかります。それは私たちもこれから考えなければいけないと思いますが、それと取材報道そのものではなくて、既にお話に出ているように営業もあるのでしょうが、報道関係でも要するに個人情報ファイルはあり得るし、現にいろいろ持っておられるだろうと思うのです。それで、それは個人情報を保有し、管理しているという活動なわけで、このペーパーはその部分についてまで電話会社の顧客名簿や金融機関の信用情報とは違うのだとおっしゃられるのか。それとも、そこはそうではなくて取材報道そのものとはやはり質的には違うという考え方もお認めになるのか。その辺はいかがでしょうか。

【朝比奈氏】そこまで新聞協会全体でまとまっていることでもないので私見も入りますけれども、これは先生が御指摘のとおりで、例えば私どもが情報取扱指針をつくりましたが、これが懸賞とか電子メール新聞の購読とか、そういうことに伴って利用者から提供を受けた住所、氏名、電話番号などの個人識別情報とか、そうした投書とか、そうしたものの個人識別情報を対象にしてやっておりますが、今、言ったようにそれは私は信用情報と同じように扱われていいのでないかと。
 ただし、中間報告の枠組みで言えば個別法の対象にすべき事柄ではなくて、これは非常に微妙な点が報道自由とのつながりの点ではあると思うのです。ただ、新聞社の営業活動の部分、更には別会社の部分も含めて自主規制の適用を受ける、自主規制を自分たちでやっていくべき部分だと思います。そういう意味では同じように判断して、例えば個別法の適用の対象ではないけれどもさまざまな企業、さまざまな団体が指針をつくってやっていくというものには含まれるだろうと思っています。

【鈴木氏】前回の検討部会のヒアリングや中間報告にも意見を出していますが、基本法という枠組の中で民間の場合、法律によって規制を受けるところと、それから自主ガイドラインでやるというところがあるわけです。基本法が理念の部分をきちんと書いてもらう分には、報道機関もその枠の中に入りますと主張しているわけです。では入ったら全部法規制なのかというとそうではなくて、必要なところは個別法でやられたらいいと思いますけれども、そうでない部分は自主的にやる、そしてその中に新聞の仕事は入ってくるのだと思います。
 そして、その新聞の仕事の中に取材ファイルと営業用ファイルが確かにあるのです。取材ファイルはもちろん報道の自由に直結しますから、取材のメモを出せと言われても出せないということですけれども、営業用のファイルについては取扱い管理、あるいは集めるときの基本原則に関わるような目的とか、そういうものについては我々は自主ガイドラインをつくろうということでやっているわけです。

【小早川委員】わかりました。ただ、やはり今、言われた内訳で言うと取材ファイルですね。そこの部分をほかの民間の個人情報ファイルと同列に扱うのか、それとも違えるのか。そこに問題があるわけですね。

【鈴木氏】そういう意味で言えば取材ファイルというのは幅広いと思いますけれども、今、申し上げたように取材のメモを考えていただければすぐお分かりと思いますが、個人情報そのものを我々は扱っている。取材活動そのものがそうですし、それから更にそれを書いて伝達する部分まで、新聞の本来的な活動というのはそもそもが個人情報そのものを扱っている。したがって、例えば目的を明らかにして、本人の同意を得てから、というのではとてもやれない取材活動は随分あるわけです。そこが、ほかの分野が持っているファイルとは大きく違うと思います。

【新美委員】今、自主規制の問題が出ているのですけれども、自主規制をする場合には透明性をどうやって確保するのかというのは非常に大きいと思うのですが今、考えられている中で透明性確保あるいは説明責任のためにどんなシステムを構築しようとしているのか、簡単に伺いたいと思います。

【朝比奈氏】既に構築されたものがありますので参考になると思いますが、例えば毎日新聞の場合でのメディア事業に絡むインターネットにおける個人情報の取扱指針で言いますと、メディア事業局という部分に個人情報保護の委員会をつくっておりまして、収集した個人情報に対して提供した本人による申出があって合理的、適切な範囲内において訂正削除の請求があった場合にはこの求めに応じますというようなことも入れてありますし、また更に第三者への利用制限、本人同意の原則というようなこともこの中にはうたっておりまして、こういう方向になっていくと思います。
 ただ、先ほどの質問で少し心配なことを言いますと、報道機関で私どもが問題にしているのは明らかに取材報道に関する分野でありまして、例えば賞品を出しますというのに応募して来るような人たちのもの、それも私たちは除外にしようなどということを言っているわけではないので、そこらは当然区別して考えております。そうした営業に絡む部分に関しては今、言ったみたいなことで透明性ということの担保といいますか、こういうこともやっております。もちろんこの後、営業部門もいろいろな分野がありますので、引き続いてこういう検討を続けていきたいと思っております。

【新美委員】取材報道の部門ではないと。

【朝比奈氏】それは今のところ考えておりません。それは、こういうことがあるのです。例えば先ほどのあれですけれども、具体的に言わないとわからないかもしれませんので、一昨年から昨年にかけて私どもは防衛庁の調達実施本部の水増し請求事件というのがありまして、これを取材していました。そうしますと、当然のことながら関係者の個人情報を本人の同意を得ることなくいろいろ集めていく中で疑惑というような問題が出てくる。そうしたものの取材の結果、それを公表していくという中から刑事犯罪というものがはっきりしてきた。最終的にはその水増し分がわかりまして、国庫に100 億円前後のお金が返るというようなこともありまして、公益目的みたいなことがこういう取材というのはつながると思います。こうした場合に個人についての情報を取材していったときに透明性を担保しろと取材中に言ってくるというようなことを前提にしたら、取材活動は非常に制約を受けるという以上に成立しませんね。それで、刑事事件にも発展しないだろうし、国民に返還されるべき100 億円も返ってこなかったでしょう。そういうことだと思います。

【新美委員】その場合には説明責任はどうされますか。

【朝比奈氏】どういう説明責任でしょうか。

【新美委員】事後的にはこういうところにつながった。では、それが犯罪でなかったというときにはどういうことになりますか。

【朝比奈氏】犯罪でないかどうかなどということは余り意味はないのではないですか。社会的に問題があったケースであれば、犯罪にならないけれども社会的に非常に問題だということはいっぱいありますね。ですから、何を失敗と言うのかわかりませんが。

【新美委員】先ほどのプライバシーの問題にもなりますけれども、全くそれは見込み違いだったというときもありますね。

【朝比奈氏】見込み違いというのはどういうことでしょうか。

【鈴木氏】我々は情報を集めますね。その集まった情報によって紙面をつくっていく。その紙面に誤りがあったときには自社のそれぞれの苦情対応システムと、場合によっては法的な判断をあおいだ上で、訂正を出したり、事後措置をしたり、検証作業をしたりしているのですけれども、それは報道機関が持っている情報ファイルを変える変えないではなくて、紙面になったものについてどう手当するかという議論ですね。
 我々が取材過程で手にする情報というのはガセ情報も含めてものすごくたくさんあるわけです。そういう中で、我々は自己責任において、その集めた個人情報の中から選択した情報をペーパー媒体あるいは電子媒体によって伝えていく。その伝えたものについての責任は、自分たちが取る。こういう仕組みになっているわけです。
 我々の中にはものすごくたくさんのうわさ話も含めたファイルがある。鈴木規雄という個人に対して、これが公的人物であればなおさらのこと、いろいろな情報が集積されている。それを全部開陳して、鈴木規雄君、君についてはこういう情報があります。これは正しいですか。もし間違っていたら訂正してください、というようなやり方で仕事はしていないわけです。
 取材活動そのものはまさしくセンシティブな個人情報を集める作業です。しかし、我々は集めた情報の100 ならば100 出しているわけでは全然ありません。取材ファイルというのはそうしたフィルターを幾つか通りながら、その中から必要な情報を紙面化し、事後に厳しい検証を受ける。例えば鈴木規雄の年齢が15だったら、これは違うというのがすぐ来るわけです。それに対してはもちろん中のファイルともども紙面できちんと読者に対して、あるいは御本人に対して訂正をしていく。ですから、そこには訂正の作業というものも行われているということだと思います。

【園部委員長】これは余りやると弁論になってしまって、ここは法廷ではないので……。

【高尾氏】新美先生は誤解されていると思うのです。情報という言葉の概念が、やはりこれは成熟するような情報なのだろうと思います。最初はこれこそ本当に事実かどうか検証しなければいけない段階の情報と、それから例えば1つの年鑑ならば年鑑とか、人名録とか、きちんとした形で保存をするような、そこまで確定的になっていったものの情報と、これまた違うと思うのです。
 我々が今、一番心配しているのは、「一番最初の検証すべき事柄、素材についてまで一々全部御本人の同意を得なさいよ」ということです。それで検証があったら、「あなたに対する疑惑はこういうことでございます。警察が調べているのはこういう事情でございます」と開陳しなければならない。本人がもし嫌だと言えば、違うと言えば、それを削除しなければならない。これは本当の公益を図る観点からすると随分とマイナスになってしまうのではないか。そうすると、やはり憲法が定めているような私どもに課しているような責務とは矛盾して、それを実現することにはならないのではないかという疑問が出てまいります。
 したがって、一番最初のところでプライバシーということと個人情報とを随分区別をしているようでございますけれども、その辺も個人情報ということの意味合いをひとつ御配慮いただけたらと思います。

【朝比奈氏】一言、先ほどの新美先生のお話で、失敗した場合というのは紙面化してそうしたものが今、言ったように公益目的になっていなかったということは……。

【新美委員】そうではなくて、集めたときに見込みで取材し、情報としてたまりますよね。それが結局使われなかったというようなファイルが残っていた場合、それをどう扱うのかですね。

【朝比奈氏】それは取材活動というものをもう少し時間をかけてわかっていただかないとまずい話なのですけれども、先ほども説明があったと思いますが、取材活動というのはそうしたことの繰り返しなのです。その意味では、そうしたものの管理、それがまた流出したりしないようにしなければいけないので、当然そのことの管理というのは必要になります。取材をして情報を集めるけれどもそれを報道するに至らないというようなことの繰り返しの中で私どもは仕事をしています。
 ただ、集めた情報がそのときは公表するに至らなかった。しかし、後にほかの情報と結び付いたらこれが大きな問題になってくる。過去にもそうしたかたちで出てくる疑惑事件など数多くあるわけです。ですから、途中経過でそうなっているものを公開対象にしないということについては、取材の非常に微妙な問題もありますので、取材・報道活動への御理解を願いたいなと思います。

【園部委員長】いろいろお聞きしたいことはいっぱいあるのですけれども、これをやっていると1日掛かってしまいますので、今日はとりあえず皆さんの……。

【鈴木氏】1つよろしいですか。御質問には出なかったのですけれども1つだけ、非常に僣越なのですけれども要望しておきたいことがあります。前の検討部会は我々報道を含めて基本的に公開をしていただいて、その中でどういう審議と、それから我々の側の意見も含めてですけれどもどうなされていたのかということについて見えたのです。専門委員会に私どもがこのように意見を申し上げる機会があったので是非ともお願いしたいのですけれども、検討委員会の審議について何とか公開の原則を貫いていただきたいと思います。

【園部委員長】それは最初から申し上げているのですが、全く公開しないというポリシーを貫いているわけではありません。もうしばらくの間、こちらの方でいろいろな知識の集積ということもありますから、その上で実質的な審議に入った段階で公開するかしないか、なお白紙に返って考えたいと思っております。

【朝比奈氏】それから、この専門委員会に対するパブリック・コメントの募集とか、そうした国民の意見を聞くスケジュールですね。こうしたものはまだ明示されていないように思うのですが、それも……。

【園部委員長】それについても検討します。

【朝比奈氏】是非公開の方向でお願いしたいと思います。

【園部委員長】わかりました。それでは、どうも長時間にわたってお忙しい中ありがとうございました。これで一応日本新聞協会からのヒアリングは終わらせていただきます。時間の関係で本日お伺いできなかったことはまた後日、事務局等を通じて照会させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。どうも本日はありがとうございました。

(日本新聞協会関係者退室・日本雑誌協会入室)

【園部委員長】どうも大変お待たせをしました。引き続きまして日本雑誌協会からヒアリングを行います。本日は講談社の杉本取締役、小学館の山編集総務部次長、集英社の永井編集総務部部長代理、日本雑誌協会の勝見次長、この4方においでをいただいております。御出席を御多忙の中、大変ありがとうございました。
 どの団体にもお願いしているのですが、御説明は20分程度で一応止めていただきまして、その後20分程度は質疑応答の時間で、なお御主張がございましたらそれを補足してもらうということにさせていただきます。よろしく御協力をお願いいたします。それでは、講談社の杉本取締役から御説明をお願いいたします。

【杉本氏】時間が押せ押せになっていますので、むしろ質疑応答の時間の方を長くしていただいた方がよろしいのではないかと思います。

 といいますのは、先に検討部会の段階で雑誌協会として意見書を出しておりますし、更に中間報告についての見解というのも雑誌協会として提出しておりますし、更には今回のヒアリングに当たって改めまして「個人情報保護について」という文書を出しておりますので、これはお読みいただいているものだと解釈をして、むしろ短時間に説明を終わって私どもの方で伺いたいこともありますし、そちらの方の時間を長く取っていただいた方がよろしいかと思います。

 そういうことで、改めまして今回3枚にわたって出しましたけれども、雑誌協会としてはそもそも報道・出版というものをこういう中に組み入れること自体に基本的に反対であり、こういう基本法の中で報道・出版というものはそれ自体がなじまないものだと解釈をしております。その辺につきましては、最初の段階から雑誌協会としては考え方は一貫しておりますので、今回、中でも具体的に申し上げたいのはいわゆる5原則、個人情報の収集、利用、開示、管理及び管理責任などが中間報告に盛り込まれておりますけれども、具体的に皆さんの方でこれからどういう検討に入っていくのかはわかりません。とにかくこれ一つ一つ個人情報の収集という第一の問題ですけれども、中間報告の場合はアイウエという段階でそれぞれ小項目みたいなものが入っておりますが、基本的に個人情報の収集というのは私ども雑誌あるいは出版に関わってこれは取材というものに当たるわけですけれども、収集目的の明確化、本人による確認、適法かつ公正な手段による収集、本人以外からの収集、これを一つ一つ雑誌、ジャーナリズムあるいは調査報道、あるいはノンフィクション等々の出版ということの関わりで見ても、特に第三者からの収集という問題については、新聞の第一次情報といいますか、速報性というものと雑誌あるいは単行本の考え方というのは全く違いますし、取材の範囲も違うのです。よって、第三者からの収集についても同意あるいは確認というようなことになれば、そういう考え方が法制化の中に入ってくると事実上、我々の仕事はほとんど不可能に近い状態になると考えております。個人情報の利用という場合も目的外の利用あるいは取材した段階と、例えばその人が立場が変わる、考え方が変わる、あるいは極端に言えば何らかの犯罪に関わるとか、そういう場合にも確認が必要なのかどうか。その辺の問題というのは当然この中に出てまいりますので、これもいわゆる取材、それから記事化していく場合に非常に支障を来す。なぜそこまで考えなければいけないのかというのが我々が持っている疑問です。

 更に個人情報の管理あるいは本人情報の開示、これについてもこのアイウエの一点一点をきちんと吟味していくと、取材及び記事化する場合に非常に制約を受ける。これはやはり表現の自由に抵触すると思いますし、本人が開示を求めてきた場合に我々としては原則的に応じなければならないと書いてあるのですけれども、例えば政治家の場合、あるいは各官庁その他官僚の場合、あるいは犯罪に関わっている場合、このどれ一つ取ってみても現在の雑誌及び出版の中でこれは支障を来すという言葉どころではなくて完全に封殺されるというか、そういう感じすら私どもは持っております。  ですから、更に5番目の管理責任及び苦情処理、これは各社においてそれぞれ責任を持ってやっているわけですけれども、どうも適正な処理の「適正」という言葉もどこまでをもって適正と言うのか。もちろんデータの管理あるいは漏洩ということに関してはそれぞれの社で責任を持って処理しているわけですから、雑誌協会全体でどうこうせよというような形にはなっておりません。これはそれぞれの社のそれぞれの責任の中でやっているわけですし、現にそういう問題が生じているというのは我が社の場合も含めまして私も聞いておりませんので、そういう御心配は要らないのではないか。ですから、基本的なことを申し上げれば、これは一般企業の個人データの収集、利用、開示というものと、あるいは一般企業でなくても諸官庁、諸団体、そういうものと報道機関を一緒くたにとらえ、網を掛けるというか、大枠でとらえられるということについて、これは雑誌協会加盟社を含めまして大変な危機感を持っておりますので、専門部会で基本的にどういう検討をなされていくのか。それはこれからのことだとは思いますけれども、基本的には私どもはそのように考えております。

【園部委員長】ありがとうございました。それでは、質疑応答の中でまた補足していただきます。それでは、質疑応答を質疑から各委員どなたでもどうぞ。

【藤原委員】どうも御説明ありがとうございました。1点だけ、今の御説明の中で一般企業と出版というのは違うのだということをおっしゃって、それはよくわかっているつもりなのですが、逆に出版の中で一般企業と同じことをやっている部分があるとしたら、その部分については一般企業と同じ規制に服するのは構わないというお考えですか。例えば、前回の検討部会の議事録を私は拝見しましたけれども、若干議論のすれ違いはあるみたいですが、広告を集めるだとか、はがきアンケートだとか、いろいろな議論はありますけれども、そのお答えはきちんとやっているから大丈夫だ、信じろというお話なのですが、一般企業もそういうことをおっしゃったとしても一般企業活動、営業活動として普通にやっていれば自主規制になるのか、何らかの法的枠組みなのかはともかく営業活動だから規制はされるかもしれない。規制という言葉は自主規制まで含めてですけれども、それは構わない。つまり、さっきおっしゃった一般企業と同じではないのだということを逆に言えば、一般企業と同じ部分についてはこういう法律の枠組みの中に入ってこられるのは構わないという御趣旨ですか。その1点だけお聞かせ願いたいと思います。

【杉本氏】基本的に情報収集から始まって開示に至るまでの私どもの問題と、それから確かに各出版社それぞれの雑誌及びそれぞれの単行本の中に愛読者カードなり、はがきアンケートというものを取りますね。それで、その一般企業とどこが同じかと言われても私どもはお答えしかねるのですけれども、通常はがきあるいはアンケート的なたぐいのものというのは、例えば雑誌ならば毎号入っているわけですから膨大な量になりますね。しかし、基本的にはがきに書かれていることというのは、どういう範囲まで個人情報と言うのかという解釈にもよると思いますけれども、アンケート、はがきでいただいたものを分析をして、一定の時期が終われば各編集部あるいは各局で断裁をして廃棄をする。あるいは、専門の委託業者に断裁廃棄というのをお願いするということは恐らく各社ともそうだと思いますので、そういう出版社の持っているデータと、取材とか表現とかというのと分けて考えますと、安心しろと申し上げているのではなくて、出版社というのはそういう処理の方法しかやっていないというのが現状です。
 これはもちろん横流しとかそういう問題とも違いますし、あるいはきちんと社内的にデータを蓄積をして別途それを利用するとか使用するとかということは現実にはなかなかないわけです。ですから、どういう形の規制をお考えになっているのか、むしろ私どもの方でお聞きしたいぐらいです。

【永井氏】ちょっと補足をさせていただきますが、我々雑誌の場合はアンケート懸賞というものをやることがあります。これは定価の20倍よりも高目の懸賞の商品を付けることができるということと、9項目のアンケートを付けなければならない。これは氏名以外に住所、年齢、性別、職業のほかに、芸能誌の「明星」だったら、好きな歌手・タレントや最近買ったCDなどを聞くわけです。こういったものも個人情報かも知れません。

【杉本氏】それからもう一つ、広告関係で通信講座とか、いろいろな形で折込みのはがきを入れますけれども、そのあて先はクライアントの方ですから、雑誌の編集部に来るのではなくてあて先はそもそも広告の企業の方にいっていますから、それぞれのところでどのような形の処理をなさっているかということについては私どもは知らないというのが現状です。

【堀部座長】10月6日も日本雑誌協会から来ていただいてヒアリングさせていただきましたが、今日の「個人情報保護について」というものの特徴は最後の4のところで、今も議論になっています読者情報について明確に触れられている点ではないかと思うのです。10月6日のときにもこの辺りについて質疑応答がありましたが、ここに出ていますような最後の一文で言いますと「中間報告の提言を受け、当協会は今後、特別委員会を設置する方向で検討し、何らかのガイドラインを設けて啓蒙を図っていきたいと考えております」と書いてありますが、これはもう少し具体的にはどういうことになるのでしょうか。

【勝見氏】まだ具体的な検討には入っておりませんが、データ化された個人情報が各社によって取扱いと廃棄の仕方がある程度統一したものではありませんし、共通した課題などもありますので、それを協会として一度集約した形でどういう処理が行われているのか現状を把握し、そこを検討した上である程度のガイドラインをつくる必要があるのではないかという意味でございます。

【小早川委員】今のは読者情報に話題がいっているのですが、確かに雑誌の場合に継続購読している読者との関係というのは大事な話だろうということでそれも面白いのですが、読者情報と片方ではここで言うと販売顧客情報というのがありますね。それで、こちらの方になると先ほどの藤原委員の質問と絡みますが、出版雑誌業界だけの話ではなくて一般の業界での問題と共通するのではないかというところがあって、そこはさっき議論がありましたのでもう触れませんが、逆に取材情報とでも言うべきものがありますね。読者ではなくてまさに取材の結果得られた情報、これは新聞ですとすぐに報道されてしまうとか没になってしまうのが大部分だと思うのですが、雑誌の場合はもう少しそれを長期的に取材を続けてまたかなり編集をし、加工した上で公表するということがあって、新聞とはちょっと違うかなという気もします。その辺の実態はよくわかるのですが、そういう意味でのある一定期間保有し、管理し、処理している情報の中に個人情報がたくさん入っていると思いますけれども、そういうものについてはどうなのでしょうか。全く何のルールもなしでよろしいとお考えなのか。それとも、例えばある一定期間役に立たなかった情報であれば処分、廃棄するということが望ましいようにも思うのですが、そういう観点から恐らく差し当たり法規制はお望みでないと思いますが、そういう取材結果についてのファイルなり何なりというものについての自主規制なり、そういうものについて何か見解がおありでしたらお願いします。

【杉本氏】自主規制という言葉になるかどうかわかりませんけれども、週刊誌あるいは月刊誌の場合、週刊誌のデータでというのは全部ファイルとまではいかなくてもダンボール箱に入れて何月何日号という形で一定期間、書庫の中に入れておきます。というのは、例えば訴えられるとか、そういうことがあります。古いもので1年前、2年前という形で訴えられるというのはありまして、そのときに一切データはございませんというわけにもいきませんので、何年間分は重要だと思う部分について保管してあります。

【山氏】補足みたいになりますけれども、『週刊ポスト』や『女性セブン』に私はいたのですけれども、そういうときには基本的に取材したデータ原稿というのは不法行為責任の時効というのは知り得て3年、獄中に入っていたりしたら20年と言いますが、20年はちょっと無理なので知り得て3年という不法行為責任の時効期間があります。その間はテーマを書いて大きな袋に入れて、毎号何号の記事をつくった特集のデータだということでみんな取材メモとかデータ原稿とかを入れてそれを保管しております。
 それで今、小早川委員がおっしゃったような意味で、それをだれかが持ち出してどこかに流すとかということは、例えば週刊誌でそれを報道してそのことをだれかが聞いて持ち出して流したというのは私の知っている範囲ではいまだかつてないのです。というのは、署名原稿の場合はフリーライターを中心にして編集者とか記者とかが一緒になって動いて、そしてピックアップした情報を署名原稿、例えばだれだれと本誌取材班という形でやって、それを記事にした場合は責任はだれだれと本誌取材班と編集者と編集長にありますので、そのことで知り得た情報、知り得た情報を全部書くわけではございませんから、基本的なルールは私どもは守っているつもりです。もちろんそうでないと見解が違った場合には抗議があったり訴状が来たりしますので、普通の私人の場合は名前を伏せたり、年齢を伏せたり、匿名原稿にしたりしますので、それがだれから聞いたものなのかということは裁判上では必要ですから、そこをデータ原稿を書いてしまっておいたものを持ち出してどこかに売るとかということは、まずそういうことをやった場合にはその人の責任になりますので、そういうことは余り心配してはおらないのです。そういうことがかつてあったというのは私どもの社も知りませんし、ほかの社もないのではないかと思います。

【小早川委員】読者の側からしますと週刊誌でよくあるようにX氏語るとあって、そのX氏というのはだれだろうというのを知りたくなることはありますね。

【山氏】そのX氏を、大きな問題のときには一斉に追うわけです。ところが、私どもの雑誌社というのは記者クラブはないのです。基本的には全く捜査権もなければ記者クラブ制度もないからインフォメーションもないのです。だから、新聞の情報を頼りにして現場に飛んで、そこから一から疑ってかかってサルベージしていくわけです。だから、そういう流れの中においては非常に貴重な情報が得られるときがあるのです。しかし、民間から得た情報とか私人から得た情報の場合は当然伏せますね。
 いい例が柏崎の警察の例などは『週刊文春』が初めて警察発表ではなくて行なって、あの7人の保健婦が柏崎署に何度連絡しても来なかったということがわかったわけですね。だけど、記者クラブとか警察の情報だけだったらあのことは表沙汰にならなかったです。だから、きっかけは『週刊文春』の保健婦の取材から始まった。しかし、そこから本当のことを全部聞いたからといって全部書いているわけではないです。これは女性のプライバシーに触れるような部分ではかなり配慮をして書いていると思います。だから、ゲリラ的に現地に飛んで取材をするという行為が、これをでたらめにやっていたらはっきり言って全部毎週告訴告訴です。それを見識を持ってやっているから売れていて続いているのではないかと思います。
 それは意見はいろいろあると思いますけれども、今度の個人情報で私は言わせてもらいますと、卒業生名簿とか、あるいは卒業写真とか、出す出さないは別にして、人物を確認するためにそれを入手する。入手経路も伏せないとこれはまずいですし、それを表に出すことはいけませんから、少年法の場合もいろいろな論議があったとしても私どもは出しませんけれども、そういうことをずっと細かく取材していく過程において全部本人の確認が要るとかになりますと何もできないわけです。ちょっと私は「雑誌協会の見解文書」に書いておいたのですけれども、そういう意味では個人情報保護法というのは逆に言うと取材に対してはすべてガードが掛かってくると考えざるを得ないです。だから、そういうところだけは私ども憲法で保障されたことに抵触するのではないかという気があって雑誌協会としては訴えたいというところです。

【杉本氏】X氏あるいはA氏、B氏、このたぐいはもちろん本人取材をした場合にどうしても匿名だということになれば、それはX氏なりA氏なりB氏なりという形で雑誌の表現上はそういたしますけれども、ではX氏はだれなのだということについては取材した当人と、その記事の担当者と、編集長がこのXというのはだれだ、大丈夫かというような段階にならない限り、編集部全員がX氏というのをだれであるかというのは承知しているわけではありませんので、これはそれぞれの担当あるいは編集長の責任の中でやっておりますから、社内でもX氏については当事者しか知らないというのが日常の編集作業になっております。

【遠山委員】先ほど山さんが説明された管理の仕方がなされていれば、それが漏れたりして個人情報として個人の権利を侵害するというようなことにはならないと思うのですが、ではそうであれば今回考えられているいろいろな個人情報保護のための規制もその範囲に類似していると思うのです。要するに、規制の仕方というのもその個人の情報を守るということですから、そのような管理をされていれば法制の中に仮に入ることになっても、そこから逸脱することはないのではないかと思われるのです。ですから、まだこれから雑誌関係の報道関係について規制の範囲内にするかとか、あるいは自主規制にするかというのは今後の議論だと思いますけれども、そのように見られる場合にもなおかつ雑誌関係については全く今回の新しい法律の枠の外にありたいと思われるのかどうかです。

【山氏】私は全くその外であってほしいと思います。というのは、基本的に個人情報保護、これはどういう個人情報になるかわかりませんけれども、異議申立てをされた場合に、例えば今でも取材で報道した後、そのことが違っていたりしたら異議申立てはあるわけです。一番極端な形は名誉毀損、プライバシー侵害の訴訟という形をとるわけですけれども、そうではない形で最初から、例えばあることを取材に行った場合、その周辺取材をするときにこの取材対象者に了解もとっていないのに私からは何も言えませんみたいな形でみんなが口をつぐんでしまう可能性がある法律だと私は思っているのです。というのは、個人情報を漏らしてはいけない。だれかのことを勝手にしゃべってはいけないとか、勝手に漏らしてはいけない。データを出したらデータを出した人の責任になるのではないかということが危惧されるという意味なのです。

【遠山委員】逆に法律と全く関係ないということになりますと、例えばいろいろなアンケートに答えても、この情報がどこかに漏れてしまうかもしれないということで協力を得られないというようなことはないのですか。

【山氏】アンケートは自由意思ですよね。アンケートには答えなければいいわけだから。アンケートを出す出さないというのは、例えばそのアンケートの目的以外に何かに使う場合は、ダイレクトメールをあなたに送っていいですかということの了解をとっていないのにアンケートはがきを受け取ったからと言って目的外使用はいけません。Aという商品が当たるアンケートだとしますと、Aという商品が当たらなかったらあなたは買いませんかというアンケートを出した場合、私はそんなダイレクトメールなど受け取りたいと思っていない、意思表示もしていないのになぜ送ってくるのだみたいなことがありますから、私どもはアンケートはがきなどについては個人の意思をちゃんと出して書いてもらい、これはこういうことを漏らすことはありませんしこの限りで使わせていただきますという形でとります。つまりアンケートはアンケートを出す方の意思だと思いますけれども、(企業側が)それ以外の目的に使った場合には問題になると思います。私どもはそういう形では安易なダイレクトメールを送ったりするべきでないということは現在でも思っております。

【高橋委員】余り抽象的に議論をしても私もよくわからないものですから、この中で具体的に例を挙げますと@からEまで書いてあるのですけれども、これをざっと見ていて、例えばEのところで具体的に考えてみると大学の合格者名簿などは従来のようなやり方はできなくなるとお書きになっているのです。最近では恐らく大学というのは名前を発表で出していない。そうすると、番号で大学から名前を教えてくれ、あるいは塾かどこかに行って教えてもらって載せるというようなことをやっていらっしゃるのかと推測しているのですけれども、そういう場合に大学なり塾なりが名前を出すときに、これからつくろうとしている法律だと恐らく本人に同意を得ないで出してはいけないという話になる。それが取材する方では困るということですけれども、本人から見るとやはり出してもらいたくないという場合はあるわけですね。よければOKでいいわけですから。
 そうすると、雑誌社の方からはそういうものはどんどんしゃべってくれなくなってしまうと困ると、それはそれで理解できないわけではないのですけれども、この目的は本人の情報の方で、本人が嫌だと思っている場合でもしゃべってもらうべきだということになるのか。そこら辺はどのようにお考えなのでしょうか。

【杉本氏】ケース・バイ・ケースだと思うのですけれども、実はこの具体的な例として挙げたのは私どもがこういう形でもちろん考えた部分はあるのですが、そもそもこの個人情報保護法の検討部会に入る前の雑誌協会の事務レベルの段階の話でこれは内政審議室の方々がおっしゃったことなのです。ですからここに、以上のような点は昨年内閣内政審議室から指摘された内容ですということなのです。ですから、私どもとしてはアンケートとかそういう個人情報の保護よりも、より力点が取材あるいは表現、そういうものに置いているのかなと我々も考えたわけです。

【高橋委員】私は逆にここに書いてあるのを見ると、個人情報もかなり重要なのに従来どおりでいいのだという前提でお書きになっているのかなと思って、Eなどは「これまでと同様な取材ができなくなる」と。だから、これまでの取材のやり方でいいのだ。勝手に本人の同意も何もなしで名前を出していいのだ。それができなくなるから困ると読めたものですから、本人にとって困っている人もいるのかもしれないけれども、そこをどうお感じになるのかということをお聞きしたいということです。例えば、どこどこ大学に合格したなどということを知られたくないと思ったら近所じゅうにわかってしまったとかですね。

【山氏】それは基本的には尊重するのではないですか。それを無視してやるということはないと思います。

【高橋委員】だから、それを保護しましょうというのが趣旨だと私は理解していたのですけれども。

【山氏】基本的に、例えば全人格的なものが問われる公人の場合、政治家としましょう。小渕首相でもいいですし、だれでもいいです。要するに、その公人のプライバシーということで、これは論議があると思いますけれども公人の周辺、いわゆるパブリック・フィギアの理論の裏付けがあると思いますが、そういう人たちの取材を私どもが始めるとするじゃないですか。でも、私は知られたくない、個人的な自由だと。それは無視してもらったら困るということが通るかどうかですね。

【高橋委員】それはまた別の問題でしょう。

【山氏】別ではないでしょう。

【高橋委員】私がここで聞いたのは公人ではないですから。

【永井氏】高橋先生がおっしゃったのは大学の合格者名簿に限った場合ですけれども、さっきお話もありましたように学校が番号だけでしか発表しなくなっている。それを受けて私の記憶では『サンデー毎日』が最後までこの記事の特集をやっていましたけれども、この春を過ぎないとわかりませんが、多分『サンデー毎日』もやらなくなっているのではないかと思います。
 ただ、一方で高校別合格名簿、これは高校に取材しているのではないか。高校としては自慢なので東大、京大卒業と、そこをお出しになっているのかなということはありますけれども、我々のこの三社あるいはいつもおつき合いがある出版社の中ではこの特集をやっておりませんのでわかりかねますが、多分今年はないだろうと思います。

【園部委員長】個別的な問題になるといろいろあるのですが、今日は一般論をお聞きするということでこの程度で終わらせていただきたいと思います。今日は日本雑誌協会から御出席いただきましてありがとうございました。なお、質問等、委員の方もありますけれども、これは後日事務局を通じてお尋ねすることがあるかと思いますが、その節はよろしくお願いします。どうも本日はありがとうございました。

(日本雑誌協会関係者退室・日本弁護士連合会関係者入室)

【園部委員長】どうも大変長くお待たせをいたしまして失礼しました。引き続きまして、日本弁護士連合会からヒアリングを行います。
 本日は、同連合会の情報問題対策委員会から委員長の土生先生、同じく副委員長の北澤先生、事務局長の三宅先生、幹事の森田先生においでいただいております。御多忙のところ御出席ありがとうございます。お待たせしておいてまた短くして申しわけないのですが、御説明はどの団体にも20分程度していただきまして、その後20分程度を関連質疑ということになっております。20分でお話できない点は関連質疑の方でまた補足していただきたいと思いますので、よろしく御協力をいただきます。それでは、土生先生から御説明をお願いいたします。

【土生氏】本日は当委員会のヒアリングにお招きいただきましてありがとうございます。検討部会の出されました中間報告については、日弁連としましては2月に公募されましたパブリック・コメントにも意見を出させていただきまして、更に詳しい意見書を作成しております。

 しかしながら、来週の16日の理事会の審議を経て日弁連意見ということになりますので、今回はその概要を資料としてお配りをさせていただきました。時間の関係もありますので、その中の主な部分について御説明するということでお許しをいただきたいと思います。

 日弁連は現行の個人情報保護法が昭和63年に制定されて以来、ずっと個人情報保護法の法制化を考えて検討してまいりました。その中で、公的部分については今日お配りしております個人情報保護法大綱というものを発表しております。更に資料としてお配りしておりますように信用情報、個人信用情報に関しての意見、それから診療情報に関する意見なども発表をしております。この立場から中間報告が全分野を包括する基本法の制定ということで提言をされていることについては高く評価をいたしたいと存じております。

 しかし、公的部分と民間分野ということについて考えますに、国民の個人に関する情報を大量に収集し、そして行政が利用することによって国民の基本的人権や、あるいは国民生活に極めて影響の大きい公的分野についての保護の在り方と、それから表現の自由や知る権利との調整あるいは情報の流通における有用性というものを考えなければならない民間部門の保護の在り方とは保護のシステムに差異があるのではないかと考えております。

 したがいまして、公的分野についてはせんだっての住民基本台帳法の改正の際にも問題になりましたように、早期に現行の個人情報保護法の抜本的改正によって法制を確立すべきだと考えております。したがいまして、本日の意見は中間報告に対する意見として主として民間部門の保護の在り方についての意見としてお聞きいただきたいと考えておりますので御了承いただきたいと存じます。

 以下、各出席者から分担して説明申し上げますので、よろしくお願いします。

【三宅氏】意見書の概要、資料4の添附資料1でございますが、まず1章で述べておりますことは今、土生委員長が述べたところでございまして、公的部門と民間部門ではやや基本的な考え方が異なるというところを、この基本法における法制化の中でも十分に留意していただきたいということでございます。それから現行の個人情報保護法、公的部門のものですが、この抜本的改正に関わる点については森田弁護士の方から御説明をします。私は主として民間部門の個人情報保護の基本法という意味に限定した上での個人情報保護の原則、救済システム、国等の責務、自主規制等について日弁連の考え方を述べ、更に個別法については北澤弁護士の方から法制化についての意見を述べます。

 公的部門についてはOECD理事会勧告8原則を十分徹底した強い法律を抜本改正としてつくっていただきたいということで、これは昭和63年の公的部門の個人情報保護に関する法律案の制定の際の附帯決議、資料4の添附資料3でございますが、この趣旨を国会の決議に基づいて徹底すればおのずと基本的な法律の枠は見えてくるだろうと考えております。民間部門につきましては個人の尊厳というもの、憲法13条が間接的に適用されると考えますと同時に、表現の自由、知る権利との調整ということが同時に必要になってくるだろうと考えています。いわばある人が他人の情報を収集するということは、基本的には知る自由という観点からできるという観点もやはり考えていかなければいけない。それが多分、中間報告における保護の必要性と利用面との有用性のバランスというところの基本的な根本的な憲法原理がそこに反映されていると考えております。そういう意味では基本法の内容が個人情報保護の目的、保護すべき個人情報の範囲、基本原則、国民、国、地方公共団体の責務というところに限定した非常に謙抑的な基本法になるということであれば、大変結構なことであろうと考えております。

 ただ、全体の構成としましてはここに書きましたように、個人の人格的利益の侵害から個人を保護する必要性が具体的に認められる分野で、先ほどから述べております公的部門と民間部門の一部については強い法的規制が必要であろうと考えております。それで、この一部をどうとらえるかということでございますけれども、それ以外の民間部門についてはOECDの8原則等の理念に即した自主的規制、いわばガイドラインの根拠法になるような、そういう規制を奨励するような性格の基本法にすべきではないかと考えております。

 民間部門における保護すべき個人情報の定義でございますが、これは情報公開法の場合の定義とやはり似通ってくると思いますけれども、個人に関する情報であって当該情報から特定の個人が識別され、また識別され得るものという定義でよいのではないかと考えております。当該情報からというのを盛り込みましたのは、個人の識別性というのは情報公開条例のさまざまな判例を見ても外縁部分が非常にあいまいになっている部分がございますので、ある程度当該情報を中心として個人の識別性を判断するメルクマールにしていく絞り込みが必要ではないかと考えました。保護すべき範囲としましてはマニュアル情報も含むべきと、これは中間報告も同じでございますが、事業者がその業務に関連して収集管理し、利用するすべての個人情報という定義で私的収集情報は除外するということはどうだろうかと考えて提言をしております。

 ファイリング等により検索可能な個人情報という考え方でございますが、ファイリングとか検索可能という言葉がまだ法律の条文として日本の場合になかなかなじまないのではないかということで、この辺の法文上の不明確性というところをもしもこの辺で絞り込みをおかけになるとする趣旨であるとすれば、十分に検討していただかなければならないところではないかと考えています。

 それから、基本法であるゆえんというのは個別法と違いまして、例えばインターネットの利用に伴って生ずるプライバシーの侵害等、電子商取引の場面に限らず、今後個人情報の保護の問題としてかなりいろいろな分野で出てくると思いますけれども、そういうインターネットを利用する業務分野全般、すなわちサイバースペースにかかる業務分野全般にもかかるようなものとしては、やはり基本法の制定というのは必要であろうという立場に立っております。

 それから、民間部門の個人情報保護のための確立すべき原則でございますけれども、個人情報収集に関する原則につきましてはここに書きましたように収集目的の明確化の原則を規定していただくべきであろうと考えますが、直接収集の原則につきましては情報公開法に基づく開示請求や弁護士法23条の2等の広範な例外規定を設けざるを得ないと考えていますので、この原則につきましては非常に例外規定が多くなるのではないかと考えております。

 報道・学術研究機関の収集原則につきましては報道目的、研究目的のために適用を除外すべきであると考えます。報道・学術研究機関につきましては、これ以下に述べます民間部門の個人情報の利用、管理等、目的外利用制限、本人開示、訂正等の請求、管理責任、苦情処理相談、紛争処理機関における紛争処理等におきましても個別に適用除外を検討していただきたいところであります。すべて適用除外ということになりますと、民間部門の個人情報の保護基本法から学術機関や報道機関を対象外として取り扱うということも理論的には考えられますけれども、そのようなことも視野に入れて関係当事者の意見を十分聴取の上で御検討いただきたいところであろうと考えています。

 センシティブ情報の収集禁止につきましても、既に民間部門のガイドライン等でもおおむねうたっておるところでもありますし、やはり基本法としては収集禁止の規定を明記すべきであろうと考えています。

 個人情報の利用、管理等、目的外利用制限の除外につきましても、弁護士の業務との関係で申しますとやはり情報公開法における開示決定等に関わるもの、民訴法の文書提出命令、それから弁護士法23条の2等の除外がやはり法律上明確になるような形で規定される必要があるのではないかと考えています。

 民間部門の本人開示、訂正等の請求と書いてきた部分でございますが、個人情報の保有状況についてはその内容を一般の閲覧に供すべき制度を確立すべきであると考えます。本人開示請求を認めるべきでありますけれども、適用除外としては基本法で適用除外を盛り込む場合にはかなり抑制的に、例えば開示することにより本人自身または第三者が著しい不利益を被ることが明らかであるとか、法律の具体的規定により開示することができないとされているときなどに限定すべきであると考えています。

 本人からの訂正の請求につきましては、削除請求も含めて御検討いただきたいと思っておりますが、中間報告と若干違いますのは(5)でございまして、数次取得者が存在する場合の措置につきましては提供先業者が累次提供業者をして当該誤情報の訂正を行わせると、二次、三次にわたる累次のものにつきましても第一次的な提供業者の方から取扱いの訂正を行わせることができるような手続にしていただきたいと考えています。

 本人からの同意なく収集または目的外利用等をされた個人情報につきましては、無条件で本人からの自己情報の利用・提供拒否の請求ができるようにしていただきたいし、一たん同意したものについても将来にわたって無条件で撤回できるようにすべきだと考えていますが、この辺りは中間報告のところと少し意見が違うところでございます。

 それで請求権とその申出と、どういう形の構成にするのかというところでございますが、詳しくは後に提出します意見書を参考にしていただきたいと思いますけれども、本人による開示、訂正、利用・提供拒否の求めは少なくとも権利宣言的な規定、すなわち本人による開示、訂正、利用・提供拒否の権利というようなものを明文上確認しておくということは必要であろうかと思います。それで、更に個別法等によって具体的請求権を明記して司法救済を可能にする分野と、専らこの基本法に基づく権利確認を前提としてガイドライン等による自主的規制にゆだねることにとどめる分野と2つに分けるべきではないかと考えております。

 民間部門の個人情報の保護のための管理責任、苦情処理、相談、紛争処理機関については、ここで述べたように具体的な規定の提案をきめ細かにしていただきたいと考えています。

 それから、個人情報保護委員会の設置ということを日弁連としてはやはり民間部門についても独自に提言していきたいと考えております。調査権限、それからそれに基づいた指導助言、それから勧告、是正命令の権限、そういうものを与え、オンブズマン的に機動性のある委員会を紛争処理の機関として設けるべきであると考えています。

 民間における紛争処理機関の活用と複層的な救済システムの中では、民事法における事後救済にとどまらず中立、公平、公正な救済制度を準備する必要があるだろうと考えております。救済機関には住宅管理、品質管理に関わる新たな審査機関と同じように公的資金の利用等も検討に入れていただきたいと考えております。

 国民の責務というよりは事業者の責務を明確に規定していただきたいということと、国の責務、自治体の責務というものは努力義務として明記していただきたいということです。 それから、全分野を通じた登録制度というのは現実的でないけれども、自治体での条例に見られる登録制度を更に一般化し、認証マークを付与するようなことを全国的に行うことは必要であろうかと考えています。

 全分野を通じた罰則、悪質な不適正処理に係る制裁としては、行為対応によって罰則を規定すべき分野があるのではないかと考えています。先ほど言いましたように、ガイドラインにつきましてはこのレジュメの5ページに自主規制と書いておりますけれども、そのガイドラインの根拠になるものとして基本法の位置づけを明確にしていただきたいと考えています。

 以下、個別法については北澤弁護士の方から御説明いたします。

【北澤氏】時間も余りないようですので簡単に行います。

 個別法の分野というか、個別に検討しなければならない分野として私どもはこの4つの分野を挙げているわけです。すなわち個人信用情報の問題、医療情報の問題、電気通信分野における個人情報保護の問題、そして教育情報の問題と、主として4つ挙げているわけです。

 ただ、これは4つにとどまるものかどうかはまだわからないので、とりあえず私どもは重要だと思って挙げたものでございます。また、この4つの分野がそれぞれ個別法を持つのが適当かどうか。これも検討に値することですし、基本法がどういう形でできるかによって個別法あるいは個別的な問題の規定の仕方も変わってくるのだろうと思います。

 では、簡単に4つの分野についてだけ申し上げます。まず個人信用情報の分野でございますが、これは本日添附されておりますように、日弁連としても「個人信用情報保護・利用の在り方に関する論点・意見の中間的な整理」に関する日弁連意見書が出ております。恐らくこの分野が一番人権侵害、プライバシー侵害が目立つ分野でありましょうし、早急な立法的な措置により個人情報のプライバシー保護が図られなければならない分野だと考えているわけです。これは内容を見ていただくのが早いわけですが、一番の柱としてはOECD8原則を明文化をして自己情報開示請求権、訂正削除請求権、中止請求権等を具体的権利として消費者に認めていくという形になる立法が望ましいのだろうと考えております。

 それから次に医療情報ですが、これも日弁連の方で厚生省の「カルテ等の診療情報の活用に関する検討会」報告書に対する日弁連意見書が出ておりますので、具体的にはこれを参照していただきたいと考えます。それで、その主な内容については今日のレジュメの4ページの第12章の(2)というところに基本的な日弁連の意見がまとめて書いてあります。 それから次に電気通信分野でございますが、これについては「電気通信分野における個人情報保護法制の在り方に関する研究会」中間報告というのが出ておりまして、これに対する意見を私どもも盛り込んで発表する予定です。ただ、この分野は非常に専門的な分野で私どもはまだわからない点が多いのですが、これは電気通信事業法の改正という形で行われるようなのですが、本来表現の自由を保障するための電気通信事業法が個人情報保護の個別法としてふさわしいものかというようなところから検討していくべきだという意見を持っております。

 それから、罰則により保護すべき対象として、通信の秘密とその業務上知り得た個人の秘密とする秘密概念を提起されておりますけれども、それに対する秘密概念というのはあいまいなものであるという点もありますので、果たして刑罰、罰則規定として適当かどうか検討に値する問題だと考えている次第です。

 最後に、教育情報です。これは更に難しい問題で私どももなかなか明確な意見を出しておりませんが、今日の資料の第14章では2点だけを指摘しているわけです。

 まず第1点の現行の個人情報保護法13条の本条では一見すると教育情報を除外するような規定がありますが、これは決して教育情報を除外する趣旨ではないという点。それから、教育情報の場合、教育機関に在籍しているときの個人情報と、それから教育機関を卒業した後の情報というのは学生との間で取扱いが異なってくるのだろうと思われますので、そういう在籍中の個人情報と卒業後の個人情報を区分けして考えていったらどうだろうかという提案をしているわけでございます。個別法については以上でございます。

【森田氏】最後に、資料4の添附資料2というものが私のレジュメなのですが、時間もありませんのでごくポイントを絞ってお話をしたいと思います。私の話の主眼は公的部門における個人情報保護法制、すなわち現行の個人情報保護法の改正の方向性を示す。合わせて、それと民間部門の個人情報保護とどの辺りが違ってくるのかといったことを若干お話をしたいと思います。

 まず1に法の目的ということを掲げましたが、現行法ではプライバシー保護が基本的人権であるということ自体が前提とされていないという問題が制定当時からありまして、この点をまず明確にする必要があるということであります。それで、それに基づいて従来言われてきた個人情報保護の原則の日弁連大綱の形での法制度化が必要であるということになるわけで、これに対して民間部門についてもやはり同様にプライバシーが基本的人権であるという出発点に立つということは必要なことであると思うわけですけれども、ただ恐らく民間部門についてはその分野ごとにある意味では弾力性のある規制というものを考えていかないといけないということになるかと思います。

 それが現れるのが、次に書きました収集制限の問題あるいは利用制限の問題であります。現行法では、例えばセンシティブ情報の収集禁止であるとか直接収集の原則といったものはありませんけれども、公的部門についてはこういったことをきちんと規定する必要がある。あるいは、利用制限についても現行法は非常に抽象的な形で例外を認めておりますけれども、これを具体的に規制する必要があるというようなことで、日弁連の案ではそういう規定を考えております。それで、これに対して民間の情報については恐らくこういった形での規制というのは難しい分野が多いかと思います。

 ただ、問題なのは、かといって民間部門の個人情報保護規制を野放しにしてはならないということでありまして、その分野ごとにめり張りを効かせた規制というものが必要ではないかと思います。ある分野では収集のレベルで制限をする。あるいは、ある分野で収集制限自体は緩めざるを得ないかもしれないけれども、そういう場合にはむしろ利用のレベルで制限するといっためり張りを効かせた規制というものを考えていく必要があるのではないか。そういった工夫をすることによって、民間のさまざまな情報も大きな意味での個人情報保護の枠内にはきちんと入れていくという考え方が必要ではないかと思います。

 それともう一点だけ申し上げますと、5番の個人情報保護委員会の設置、これは公的部門の仕組みの中で個人情報保護委員会というものに大変大きな権限を持たせております。これは日弁連の案の特徴なのですけれども、民間部門についてはこれと同じような機関を置くことはもちろん不可能だとは思うのですが、先ほどの報告にありましたようにやはり個人情報保護委員会という機関、これを同じにするか、別にするかという問題はありますけれども、いずれにしろ第三者的な機関を置いて、直接それで運営するのではないけれども、苦情への対応あるいは調査監督権限といったチェックシステムをきちんとつくっていく必要があるのではないかということでございます。これは個人情報保護ということを考える場合、もちろん利用の必要性ということから弾力的な対応も必要なのですが、やはりチェックシステムとして本質的に重要なのは自分のところの業務で個人情報を利用しようとする当事者がチェックするのではなくて、そこから一歩退いた形での第三者がチェックする。そういう仕組みを何らかの形で民間部門においても導入する必要があるのではないかということでございます。

 とりあえず私の方からはそれだけ申し上げておきたいと思います。

【園部委員長】それで一応これでこちらの御説明は終わりということにしまして、各委員からどうぞ御質疑をお願いいたします。大分時間も迫っておりますので、簡潔にお願いいたします。

【堀部座長】三宅弁護士とは個人情報保護検討部会で御一緒していますが、基本的には中間報告の線ということではないかと思います。先ほど土生先生が言われたことですが、日弁連はいつ理事会にこれを諮るのですか。

【土生氏】来週の16日に理事会がございまして、そこで説明をし、審議をして、それで確定をするということです。

【堀部座長】全体にわたって非常に重要な指摘がありますので、今日は先ほどのお話で概要の説明ということだったので、日弁連の理事会で決まれば正式な見解としてこういうことになると理解してよろしいわけですね。

【土生氏】お手元にお届けしたいと思っております。

【園部委員長】個人情報保護法大綱という1998年3月19日、これは今後どういうように位置づけられるのでしょうか。これをお出しになった趣旨を伺いたいと思います。

【土生氏】この趣旨は、日弁連としては現行の個人情報保護法の抜本的改正ということで早急にしていただきたいと考えておりますが、その改正の方向に是非この大綱を御参照いただいて意見を入れていただきたいという趣旨です。

【園部委員長】改正問題についてのということですね。

【森田氏】改正についていろいろ検討をしたのですが、公的部門と民間部門についてはやはり分けて考えようということで、公的部門についてはこの大綱に沿った形での提案ということでございます。それで、民間部門についてはこれからと思っております。

【三宅氏】日弁連の委員会の中で、基本法の一つの傘に民間部門と公的部門がすっぽり全部入るかどうかというところでかなり議論が中間報告以降にありまして、民間部門と公的部門の違いというのはやはり先ほど申しましたように、例えば公的部門としては説明責任とか政府情報、個人情報にも関しますけれども、情報公開法の特則としての個人情報保護開示請求等における知る権利の取扱い、説明責任というようなものがひとつあるだろう。ところが、民間部門はやはり個人で持っている情報というのは、それが他人の情報であっても基本的にやはり持てる。
 ただ、今日のように大量に瞬時に電子情報として流通するようなところで今回このような問題が起きてきたというところで、個人の尊厳と知る自由の調整というのが民間部門としてはやはり公的部門よりも強く考慮されなければいけないのではないかということで、一つの傘の中にすっぽり全部入るのかどうかをかなり議論しまして、現行の公的部門の個人情報保護法が今、政府関係法人も含めて情報公開法の対象機関が検討されていますけれども、それが明確になれば現行の公的部門の対象機関とそうでない民間部門というのはかなり明確に分かれるということだろうと思います。そうすると、公的部門については基本法と言ってもむしろ現行の個人情報保護法の改正ということは従前から言われていることですけれども、それを改正してしまえば公的部門についてはそれでもう事足りるのではないかという議論が強くなっています。
 そういう意味では、基本法の持つ非常に重要な部分は何かということになると、むしろこれは民間部門をどう規制していくかということで、ガイドラインとか個別法とか基本法における罰則等もありますけれども、そういうところにかなり収れんされていくのではないかという議論をあの中間報告以降、かなりしたわけです。

【堀部座長】中間報告ではむしろ全体の傘として、あるいはインフラとして基本法というものを置いて、公的部門のものも公的部門についての個別法というようなとらえ方をしてみています。そういう御意見があるということはわかりました。

【新美委員】今日御説明いただいた中でちょっと気になるのは、報道・学術研究については収集原則は適用除外だということですね。そうすると、これについてはどういうコントロールが及ぶのでしょうか。自主規制だけで任せるのか。その自主規制については個人情報保護委員会はどういう対応をするおつもりなのでしょうか。

【三宅氏】むしろ第一次的には報道機関とか学術研究機関ですか、先生方もどうなさるのかということを逆にお尋ねして、そういう報道機関とか学術研究機関における意見を踏まえた上でこちらでも考えたいと思っておりますけれども、基本的にはすべて一律除外ということなのか、個別の基本原則の一部についての除外なのかという方向づけによって、いわば一部を除外、5原則ならば5本ありますけれども、そのうちのこれとこれを除外ということになると適用される部分はあるわけですね。例えば、正確性の原則とか最新性の原則は適用してもいいというような意見もあるようですが、そうなるとそれについては救済機関の部分との関係でやはり関わってくるだろうし、そうなると除外と言ってもある程度救済機関の持つ意味は強くなると思うのですけれども、すべて除外ということになるとなかなか民間部門の個別救済というか、民間部門も含めた救済機関を新たにつくる。ここの救済機関では無理で、あとは司法審査によるよりほかはないということになろうかと思います。

【新美委員】EUの指令などですと公共の利益という理由で除外するということは収集の原則にあるのです。ところが、学術だから報道だからということで収集の原則を同意なしでもいいとはいっていないのです。収集した後、第三者への利用とか目的外利用については学術だとか、そういうものの場合には例外を認める。適当な保護措置があれば認めるという規定をしておるわけです。本日伺ったお話ですと、収集の原則のところでぽんと外してしまうという御意見だったものですから、あとはどうやって歯止めを掛けていくのかというのが少し気になったものですから。

【三宅氏】もう少し報道機関と学術研究機関における御意見をお聞きしてから日弁連としても決めたいと思っていますが、基本的には日弁連は除外してくれとは言っていませんので。日弁連は基本法を求めてきた立場から一律除外というような立場ではないのですが、報道機関などは、同じような利害関係はあるわけですね。仕事をする上で他人の情報を直接本人から収集していれば仕事にならないわけですけれども、そういう意味では弁護士会はこういう立場ですが、報道・学術機関でさまざまな先生方がいろいろなところで御意見を述べられるところを踏まえて検討していきたいと思っています。

【土生氏】三宅さんは大変緩やかに言いましたけれども、日弁連としては一律外してしまうという考え方はとっておりません。部分的に取材の自由との関係で収集の原則から外すとか、そういうことで考えておりますので、是非また報道機関の御意見なども参考にはしたいと思っております。

【園部委員長】報道機関のは先ほど聞いたばかりですが。

【小早川委員】まさにその点なのですが、これからまた大いにいろいろ意見交換をすべきだと思うのですけれども、教育研究目的のものも一方で個人情報保護自体は憲法上の価値のあるものだとしますと、それに対抗する研究目的というのは一体何だろうか。私たち法学部というのは余り個人情報を収集していないのですが、むしろ医学部とか理学部とかそういうところでいろいろやるわけですけれども、ただそれだけではなくて国立研究機関とか、大学だけではなくてそういう研究目的というのは個人情報保護と匹敵するような憲法上の保障があるのだろうかというのが1つです。

【三宅氏】それは、意見書の中では学問・研究の自由というものを重要な個人情報の保護に対抗する権利利益ととらえて、その調整が必要だろうというとらえ方でおります。

【小早川委員】先ほどのお話でも、全面除外ではなくて収集までいかぬということになるとそれは学問の自由に抵触するかもしれませんけれども、そこをどうコントロールするかですね。それから報道についても、これは取材の自由は大事なのだということは報道関係の方は強調されるわけですが、ただ取材した個人情報を保管する過程になった場合、それも全部取材、報道の自由ということで憲法上カバーされてしまって絶対これは聖域ですよということになるのか。そうでもないような気もするので、そこの仕分けの論理があり得るかどうかということを、今日でなくても結構ですけれどもいろいろお教えいただきたいと思います。

【土生氏】報道による人権侵害というのは極めて最近大きな話題になっておりまして、侵害の事例も多いですので、その辺で報道の自由と個人のプライバシーあるいは名誉権というものの調整、比較衡量ということは当然その報道機関がなすべき義務だと私ども思っておりますけれども、それは学術研究でも同じことで、研究をされてもそれを特異な事例として名前を挙げて出版されるということになると、これは個人のプライバシーに関わることも多々ございますので、そういう意味でも自由との調整の比較衡量というのは必要だと考えております。

【藤原委員】どうも詳細な御説明をありがとうございます。先ほど三宅弁護士がマニュアル情報でファイリングの関連のことをおっしゃられたので非常に興味深く拝聴したのですけれども、具体的にはペーパーの束、それからもう少しファイルで管理しているもの等々がありますね。これは民間でマニュアル情報も含むべきとおっしゃるときにどの程度のものをイメージしておられるのか。具体的なイメージはここが一番難しいところだと思いますので、あればお聞かせ願いたいと思います。

【三宅氏】なかなか難しくて、我々の仕事の中でも例えば依頼者に事務所報を送るときの住所録等がございますね。それから、事件ごとにある人の事件ということで、その事件関係のファイルがありますね。そうすると、その事件ごとのファイルというのは個人情報ファイルだとすると、これはマニュアル情報でかなりだれそれの事件についてということになるといろいろ出てくると思うのです。そのマニュアル情報を除外するとなるとそういう事件ファイルは全部除外ということですけれども、それだと少し狭いのではないか。そのときに、そのファイリングとか、検索可能とか、そこで本当に日本の今の我々の仕事もそうですけれども、対象情報の範囲を明確に切れるか。除外するものとそうでない対象になるものと明確に切れるような基準ができるかどうかというのは議論してなかなかできなかったものですから、むしろ事業者のところで限定したり、業務関連性というようなところで限定をつけるような形での保護の範囲しか考えつかなかったというのが正直なところです。

【藤原委員】どうもありがとうございました。請求権を与えるとすると、三宅先生がおっしゃったように見つけられなければ請求権がないのと同じという関係になると基準を立てるのが実は難しいですよね。それで、具体的な業務の中でどうお考えなのかなと思いましたので、どうもありがとうございました。

【園部委員長】それでは、大変お忙しいところをおいでいただきましてありがとうございました。日本弁護士連合会からのヒアリングはここまでとさせていただきます。御出席いただきました4人の先生、本当にありがとうございました。
 時間の関係で伺えなかったことは、また事務局を通じて伺わせていただきます。どうぞよろしくお願いします。

(日本弁護士連合会関係者退室・日本放送協会及び日本民間放送連盟関係者入室)

【園部委員長】どうも大変お待たせしました。引き続きまして日本放送協会及び日本民間放送連盟からヒアリングを行います。本日はこちらから見て右側からですが、日本放送協会から御手洗報道局編集主幹、大島総合企画室経営計画統括担当部長においでいただきました。
 それから、日本民間放送連盟からは同連盟の報道問題研究部会の幹事である日本テレビ放送網の石井報道局次長、同じく委員である東京放送の植田報道局編集主幹、テレビ朝日の渡辺報道局コメンテーター室長、フジテレビジョンの船田報道局解説委員長、テレビ東京の藤延報道局次長にいらしていただいています。御多忙のところ御出席ありがとうございます。
 全部一緒にいたしますので、日本放送協会からは15分程度御説明をいただく。それから、日本民間放送連盟は合わせて20分程度、今日は本当にごくエッセンスだけをお聞きすることになっておりますので、その点御協力いただきたい。その後、20分程度全部御一緒にして関連質疑をさせていただきたいと思いますので、よろしく御協力をお願いいたします。
 それでは、日本放送協会の大島様から早速御説明をお願いします。

【大島氏】今日は、このような意見表明の機会を設けていただきましてありがとうございます。資料に沿って御説明する前に、NHKと放送ということについて若干述べたいと思います。

 NHKは放送法によって、豊かでかつよい番組をあまねく全国に受信されるように放送することを使命としています。合わせて放送及びその受信の進歩、発達に必要な業務などを行うことになっていまして、そうした報道機関、放送事業者としてのNHKの経営の自律性、中立性を財政面から担保するものとして受信料があります。放送法はその第1条の目的の中で、放送による表現の自由を確保することを挙げています。憲法21条で保障された表現の自由を現実のものにするものとして放送があります。

 一方で、個人情報保護の要請も今日的課題として十分理解できることであります。放送法でも公共の福祉に適合ということがうたわれているわけです。表現の自由、それに由来する報道の自由や取材の自由を通して国民の知る権利にこたえるという我々の使命と、個人情報の保護という2つの価値の調和均衡はやはり自律的に実現すべきだという基本的な立場でありますし、この点については去年の10月の検討部会のヒアリングの席でも申しましたけれども、その立場は変わっていません。以下、中間報告に対する我々の意見を御説明し、続いてNHKの保有する個人情報とその管理について申し上げたいと思います。

 中間報告に対する我々の意見ですが、資料を開けていただければ、中間報告では個人情報保護のために確立すべき原則としていわゆるOECD8原則に沿って幾つか挙げられていますが、去年の10月の席で我々はこうした基本原則、特に収集制限、利用の制限、更に本人情報の開示等の原則をマスメディアも対象に権利として法制化することは表現の自由への、しかも表現内容そのものへの法的規制につながりかねないと強い懸念を表明したところです。その上で、マスメディアに対する個人情報保護の要請を法的義務として導き出すことは慎重の上にも慎重であってほしいと述べました。重ねて御説明することになりますけれども、中間報告が挙げています個人情報の収集の原則にはOECD8原則のうちの収集制限の原則に対する要素が含まれています。ところが、ニュース等の取材、制作過程では当事者本人への取材はもちろん必要ですけれども、事前の周辺取材とか、あるいは本人以外からの裏付け取材も同様に重要です。この取材の制限を徹底しますと、周辺取材、裏付け取材が規制されて、事実の正確な報道、放送という最も基本的な要請にこたえられなくなるおそれが生じると思います。それは公共の利益にも反することだと考えます。

 このことは利用制限の原則についても言えることでして、この原則がマスメディアに適用されますと、本来伝えるべき情報であっても第三者が収集した情報は本人の承諾がなければ報道、放送に使用することは困難となるのではないか。例えば本人の身柄が拘束されているような場合には、その承諾を得ることもできません。いわゆるたれ込み情報とか内部告発、そういったことなども生かせなくなるわけです。取材、報道活動そのものが成り立たないと心配します。取材は生き物です。取材・制作の現場で収集の原則、利用制限の原則などを適用しますと、いわば角をためて牛を殺す結果にもなりかねないと危惧するところです。

 更に本人情報の開示の原則ですけれども、この原則に従って自己のデータに関する開示の求めとか訂正の求め、それらを法的に認めますと、放送前のニュースや番組であってもその内容の正誤とは関係なく、試写とか修正削除の請求に対応しなければならない事態も出てくることは考えられるわけです。特に本人に都合の悪い内容の事件報道などではこうした請求が多く出されることも予想されますし、請求そのものが取材制作、編集過程の不当な干渉、介入を許すことにもつながりかねないと心配します。また、取材源の秘匿という報道機関にとって最も基本的な要請にもこたえられなくなるおそれがあります。

 放送法では第1条の目的で、繰り返すようですけれども「放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによって、放送による表現の自由を確保すること」を原則の一つとして挙げています。上記のような今、述べましたような基本原則が基本法として法制化され、放送事業に適用されますと、取材・制作活動に規制が加わって表現の自由に由来する報道の自由、取材の自由や編集権を損なうおそれがあると考えます。その点で、中間報告は保護と利用のバランス、あるいは国際的な議論との整合性、速やかな整備の必要などの諸点に議論が偏りがちで、表現の自由の視点が弱いように思われます。座長私案などと比べて後退している印象も気になるところです。保護すべき個人情報の範囲の整理などと合わせて、更に議論を尽くされることを要望します。

 10月のヒアリングの際にも申しましたけれども、取材・制作の現場では表現の自由に由来する報道の自由と人格権、プライバシーの保護という2つの価値の狭間で取材・制作者は事実の正確な把握に努めているところです。この2つの価値は、どちらか一方が当然のように他方に常に絶対的に優越するという関係にはないと思います。その調和と均衡は、原則としてまず国民とマスメディア自身によって自律的に実現されることが望ましい姿であると考えます。その点で、紛争処理のための第三者的な窓口と、中間報告で言及されているように国においてマスメディアもその制度の対象とすることは行政の介入を許すことにつながるおそれがあると思います。万一、両者の価値が衝突した場合の比較衡量はあくまでも個々の具体的な事案に即して判断し、第一義的には放送事業者が真摯に受け止めて対応すべきであると思います。

 NHKと民放では救済機関として放送と人権等権利に関する委員会(BRC)を共同で設けています。NHKとしては放送に対する視聴者、国民の信頼を得るために何ものにも侵されない自主的、自律的な姿勢を堅持して取材・制作過程を適正に保つことに従来から努めていますし、また今後も努めていきたいと考えています。この基本原則を適用した場合の指標、その具体的なことについては編集主幹の御手洗から後で補足的に御説明します。

 続いて、NHKの保有する個人情報の主なものとその管理について御説明します。あらかじめお配りした資料の2とあるところですが、まず受信契約です。受信料はNHKの財政のほとんどすべてを賄う財源でして、財政面でNHKの自律的な経営を担保する基盤です。御承知のように放送法では、NHKの放送を受信できる受信設備を設置した視聴者はNHKと受信契約しなければならないとされています。このことから、NHKは受信契約者に関する(1)のような個人情報を保有しています。氏名、住所、電話番号、契約種別、それからテレビは何台あるか、口座番号、これらは受信料を集める収納業務の遂行に必要不可欠な個人情報です。これらの個人情報はコンピュータによる電子情報として管理しています。この個人情報の保護についてNHKでは昭和62年に自主的なガイドライン「営業活動と個人情報保護」を策定しました。そのほか、平成元年に施行された「行政機関の保有する電子計算機処理に係る個人情報の保護に関する法律」、この法律の趣旨を踏まえて改定しまして、去年更に電磁的記録媒体の普及やネットワーク化など、その後の情報化の進展に対応して再改定したところです。例えば、情報のファイル伝送を禁止するとか、CD−ROMの保存と廃棄の基準を新たに設けるといったことを盛り込んでいます。これによって、今日の情報環境に十分適応した個人情報保護の一層の強化を図っているところです。

 営業活動に関するガイドラインというのはこういう冊子になっていますが、情報の収集制限としてその目的、範囲を特定して適法・公正な方法により実施する。情報の適正管理として情報の利用、提供等の日常管理は各組織に責任者を置いて、その指導の下に実施するとか、安全確保として使用済みの情報の廃棄は散逸流出を予防する情報保護の基本として特に厳格な運用を行う。以上の3点をポイントに、縷縷現場に徹底するように述べているところです。このガイドラインによって公共放送としての責任と自覚を明確にし、視聴者、国民の信頼にこたえる活動を続けているところです。この情報システムのアクセスは専用端末に限定されていまして、個人に配備している端末ではアクセスできません。アクセスできる資格も、担当者を中心に登録した者に限定しているところで、例えば私がアクセスしようとしてもそれはできないということです。この受信契約に伴う個人情報が漏洩したり、プライバシーの侵害とか、そういったことで問題になったことはないということをここで御説明しておきたいと思います。

 それから、取材・制作過程に関わる個人情報ですが、(2)ということです。著作権に関するもの、出演者に対する出演料の支払いに伴うもの、それから人物データベース、そういったものです。このうち人物データベースというのは放送に出演した方を中心にさまざまな分野で活躍されている人、そういった方の情報を収集したもので、方法としてはNHK内での使用を条件にアンケート形式でお尋ねして御本人に記入していただき、その情報をデータベース化しているということです。それで、アクセスしようとしますと最初の画面に注意表示が出まして、「取扱いを誤るとプライバシー侵害になるおそれがあります。NHKの放送以外に使用することは禁止します」という表現が出て注意を喚起しています。ただ、ニュースや番組制作にとってはこのようなシステム化された情報はいわば補助的な情報で、これがあればニュースや番組は成り立つというたぐいのものではありません。ニュースや番組の核心となる情報はこうしたシステム化になじまないものであることは普通でして、肝心な情報であればあるだけ個人とか小人数で大事に扱うというのが実情です。

 こういう実態を踏まえて、NHKでは取材、制作の実践的な手引として放送ガイドラインというのを部内で作成しています。この放送ガイドラインの前提となるのが「国内番組基準」とか、更には「放送倫理の確立に向けて」、これはインターネットでも公表しています。それから、この放送ガイドラインでは隠し撮り隠し録音ということは原則として行わないとか、プライバシーに配慮するといったことを徹底させているところで全職員に配布しています。それから、職員研修の一環として取材制作現場の新人、中堅、ベテランの職員に対して毎年計画的にさまざまな実践的な研修を行っているということも申し添えておきます。こうしたことを通して、名誉毀損やプライバシーなどの問題について慎重な扱いを徹底させ、取材源の秘匿や公共放送としての公平、公正な立場の堅持、品位の保持などに努めているところです。

 それから世論調査に関する情報ですけれども、世論調査に伴って資料のような個人情報が蓄積されるわけですが、例えば調査票には名前を載せずに調査対象者の一覧との照合は番号のみで行うといった慎重な手順を踏んでいます。それで、調査結果データは完全に数値化されたもので個人を特定できる情報は含まれていません。

 NHKには日ごろさまざまな意見や要望が寄せられています。ファックスとか電話、投書、これは600 万件という数字がありますけれども、全体から見ますと名前などを明らかにする人はむしろ少なく匿名が多いのですが、近年は番組のホームページに意見などが寄せられるケースが多くなっています。そうした扱いについては、この資料に書いておりますように厳重に管理しているわけですが、インターネットのメールによる意見や要望が最近増えたことも考えまして、そういったインターネットによる意見や要望の扱いについても運用とハードの両面で流出防止を目的としたガイドラインを目下作成中です。

 それで、要は放送事業は番組を中心として技術、営業、管理、あらゆる業務が一体となって運営されて初めてその機動性を発揮して報道機関として遺漏のない働きが可能となると思います。同時に、表現の自由に関わる放送事業者として外部から強制が働く契機、モーメントをできるだけ廃して自主的、自律的に事業を運営することこそが何よりも大切だと考えているわけです。我々はこの法制化の議論の帰趨を待つまでもなく、事業運営に関わるさまざまな情報の保護の徹底を引き続き自主的に推進していく考えであることを改めて表明したいと思います。私の方からは以上です。

【御手洗氏】ただいま報道の自由の制約につながりかねないという趣旨の懸念を表明したわけですが、これはイコール国民の知る権利の制約にもつながりかねないと思うわけであります。現在問題になっております新潟の少女監禁事件ということに絡む警察の不祥事ということがありました。この問題は、そもそも少女を現場で発見したときに保健所員の出動要請を警察が断ったということをあるマスコミが独自の取材で報道したということが発端でした。これについて警察の発表の訂正なり何なりがありまして、それから現在御承知のようないわゆる不祥事ということになったわけです。

 こういうことで、独自取材による報道というものが警察の対応の不手際ということをあかるみに出して、このことについて国民の多くが疑問と怒りを感じて現在、警察制度の根幹を揺るがしかねない大きな問題になっているところであります。この一例に見られるように、報道の自由ということと国民の知る権利は密接不可分の関係にあると思います。現在示されております中間報告の個人保護の原則を見ますと、このままですと我々の取材活動が規制されて事実の正確な報道、世論の喚起というものが制約されるという危惧を持たざるを得ないのであります。

 具体的例を1つ2つ挙げます。来月からチャイルドシートというものが義務化されるわけですが、このチャイルドシートは取り付け方が難しくて誤って使用された場合、重大事故に至るケースが多いわけであります。我々は去年4月に取り付け方がいかに難しいかということを検証して注意を喚起するための企画ニュースを放送いたしました。この際、具体的に問題を指摘する必要がありまして、事故に遭った親の了解を得て実際の子どもの死亡事故例を取り上げました。これは一つの例であったわけですけれども、この一例を見つける過程ではもともと警察から取材してあった子どもの幾つかの交通死亡事故例を精査した上で警察に追加取材をして、チャイルドシートの取り付け方が間違っていた等のケースを見つけ出して、更に親の了解が得られた一つのケースに絞り込んで取材をしたわけであります。死亡事故の情報は交通事故の報道を目的として取材してあったものであります。しかし、チャイルドシートの取り付け方の問題を報道するために後になって利用したという例であります。現在の中間報告の原則を適用しますと、こういった取材報道というのはなかなか難しくなるということだと思います。

 もう一つ、本人が知らないうちにクレジットカードが偽造されて他人に金を借りられるなどという悪用された事件の追跡取材をいたしました。そして、クレジットカード社会の危うさを利用者に広く知らせるレポートを放送したわけであります。この際、クレジットカードを悪用されて被害に遭った複数の個人の情報を入手して、この中からカードを偽装されたケースを見つけ出しました。カード被害の情報の入手は関係者からのもので、本人の了解はとっておりません。どんな被害があったのか、まず探し出して、どこに重点を置いて調査報道をしていいのかということを判断するために広く情報収集をする段階では、本人の了解をとることは事実上不可能であります。最終的には了解を得られた本人、被害者からインタビュー取材をして、広くカード社会の危うさというものを利用者に知らせるレポートを放送したわけです。

 このように、情報の収集にもし規制が掛けられるということになりますと、被害者の声は取材することが難しくなって説得力を持った調査報道は難しくなると考えるものであります。いずれにしましても、そういうことから我々の取材、編集、放送の現場からしますと、報道の自由に関わる分野は法規制ではなく自主規制を持って対応すべきであると考えます。報道の自由は個人情報の保護と同様、民主主義にとっては不可欠でありまして、法による規制はその自由を阻害することになると思いますし、ひいては国民の知る権利を阻害することにもなりかねないと考えるわけであります。以上、補足で申し上げました。

【園部委員長】どうもありがとうございました。引き続いて、日本民間放送連盟を代表して日本テレビ放送網の石井さんから御説明をお願いします。

【石井氏】長時間お疲れ様です。もうしばらくどうかお聞きいただきたいと思います。

 実は、内容につきましてはこれから渡辺さんに説明していただきますが冒頭に一言だけ、今NHKからも説明がございましたが、最近の2つの例、新潟県警及び神奈川県警の不祥事がやはり象徴的だということで、新潟につきましては第一発見者に報道陣が殺到することを避けたかった。神奈川県警につきましては、発端の事件については被害者の女子大生のプライバシーを守りたかった。結果的にうその発表をしました、捏造しましたという言いわけを警察のトップはなさっていました。しかし、目的はそうではなくて自らの不手際、捜査上の手落ちを捏造を覆い隠すための行為だったということが今ははっきりしております。このことが象徴的だと思います。

 我々は自由な取材、自由な報道、これらが規制されることは絶対受け入れることはできません。自由な取材、自由な報道によって困る人に悪用されるような形での法案作成が行われないように、切に冒頭でまずお願いしたいということで、具体的な意見については渡辺委員の方から説明させていただきます。

【渡辺氏】座ったままで失礼いたします。私ども民放連を代表して今日5名でやってきたわけですけれども、時間が限られていますが、先生方に今日できれば御理解していただきたいことは、我々報道機関がいつもどんなことを考えてどのようなことを大事にしながらニュース報道を中心に動いているのかということの一端がわかっていただければありがたいということで、先生方のお手元に資料を既にお配りしてありますけれども、これをベースにしながらできるだけ具体例というものを挙げて御説明させていただきたいと思っております。

 この間、堀部先生を始めとします検討部会の先生方のいろいろな活動、それからそれを受けての専門委員会の先生方の活動、これは当然個人情報保護ということに対しての作業でございますので、これが非常に必要なものである、大事なものであるということにつきましては我々民放連もそのとおりだと思うわけで、それは最初に申し上げておきたいと思います。そのため去年の夏、秋以降の動きに呼応する形で我々民放連もある種の作業部会のようなものをつくりまして検討してきたつもりでございます。

 この間の動きとしましては、例えば検討部会の先生方に対しては10月6日にヒアリングというのがありまして、ここで意見を述べさせていただきました。それで、ここで申し上げたことは、これは繰り返しになりますけれども、個人情報保護の制度というものが報道、表現の自由を制約するならば、我々は受け入れるわけにはいかないという基本的な姿勢を申し述べたわけでありまして、当然これは今も変わっていないということでございます。それで、そういったヒアリングを受けて11月に検討部会の方で中間報告がなされて、それを受ける形で民放連としても今年の1月20日に意見書を提出させていただいたわけですけれども、そこではやはり取材、報道活動というのは本来的には個人情報保護の対象外とすべきであろうという意見を意見書として出させていただきました。

 その理由ということなのですけれども、資料にもお配りしてあると思いますが、1月20日の意見書の中で、1つは基本原則というものを基本法の中にもし盛り込むとすれば、やはり取材報道の自由を侵すおそれが極めて強い。これは今までNHKさんの例でもありましたけれども、一連の警察の不祥事の取材もまさにそうでありまして、これは8原則ないしは中間報告では5原則になっていますけれども、収集目的の明確化、本人の確認、第三者からの情報収集の制限、本人情報の開示原則、こういったものが仮に機械的に一律に適用されるとするならば、我々にとっては正直に言いまして非常に取材、放送の上で不都合が生じる。

 具体的にどういうことかといいますと、事実関係の正確な取材が極めてできにくくなる。裏付けというものが極めてとりにくくなるということなわけであります。これは当然、一つひとつの情報の細かな確認チェックというのがあえて言えばおろそかになるということにつながるわけですから、これで今までどおり取材、報道をするということになりますと、極めてあやふやな情報が視聴者なり読者なりの下に届けられることになるのではないかという、我々サイドから見る危惧であります。

 もう一つは、適用除外ということであります。適用除外ということもいろいろな先生方の御意見はあると思うのですけれども、報道機関というものをどのように線引きするのですかということを細かく詰めていきますと、一部の特定の方がそれを一方的に認定するという作業を行うとすれば、それこそが基本的に報道や表現の自由というものを損なうことになるのではないかと我々は考えるわけです。

 それからもう一つ、我々が挙げたのはこの中間報告にもありますけれども、複層的な救済システムということであります。これは現在の司法の判断というものを我々は極めて重要視しているわけですけれども、これとは別に何らかのトラブルが起きたときに、いわゆる言うところの判決ですけれども、これを下すような公的な救済システムというものがもしつくられた場合、その判断というものが報道機関に対してある種強制されるとするならば、これは我々にとっては非常に取材、報道の自由への重大な侵害になるのではないかという立場を我々は主張したいわけであります。判断するところが場合によっては2つできてくるという可能性も否定できないわけであります。

 そういった我々が基本的な考え方に立って、それでは取材、報道活動というのはなぜ対象外とすべきなのかという我々の主張の根拠というものをごく簡単に幾つか述べさせていただきたいのですけれども、報道において取り扱われる個人情報というのは基本的に取材ということを通してやるわけなのですが、基本的には我々の目的はすべて報道目的であります。これ以外の個人的な趣味だとか、別の何かの目的で取材活動をするということは基本的には考えられません。最終的には報道をして皆さんに伝えるということが我々の最大唯一の眼目であります。その目的に対してのみ、我々が集めた情報は使われるということです。

 これは言葉を変えますと、例えば犯罪報道もそうなのですけれども、それが公表される個人情報というのは基本的には公共性、公益性というものがあるのだという我々の判断で取材をして報道をしているということであります。ですから、当然放送内容には個人情報が含まれているわけですけれども、だからと言って即これがある種の保護法の規制の対象になるということは我々としては納得できないという立場をとらざるを得ないと思うわけです。我々ももちろん営利企業であります。それは認めます。しかし、我々が集めた、取材した情報というのは、その情報そのものが売買の対象ではないということを先生方には十分御理解いただきたいと思います。それはなぜ報道するかと言えば、先ほど申し上げた、それが社会に対して公共性、公益性があるからであって、情報をそのままむき出しの形で売買するわけではないということが、あえて言えば報道機関とほかの業界といいますか、ほかの組織との根本的な違いだと私どもは理解をしております。

 それからもう一つは、集めた情報をどのように外に出すかということですけれども、我々は当然放送、報道ということを一つのルートとして出すわけですが、それ以外にあるのかということであります。報道目的で集められた個人情報は、我々は放送ではっきりさせる以外に決して外部に出すということはないのが大原則の鉄則になっています。これはスクープ情報というのももちろんですけれども、それ以外のあらゆる情報も放送してみんなに伝えるということ以外にはこの情報は使われません。これは鉄則というよりも、いわば我々の職業的な本能と御理解いただきたいと思います。なぜならば、このルールを我々が自ら破れば、それ以降の報道、取材活動というのはできなくなるという極めて現実的な要請なわけです。

 それで、もう一つ御理解いただきたいのは個人の権利、つまり個人情報を何とか守りたいということと報道の自由というのは本質的、根本的には両立するのだと我々が考えているということです。つまり、今まで申し上げたような内部で集めた情報に対してかなり厳しい取扱いをしているというのは、情報提供者はたくさんいるわけですけれども、そういう方たちとの信頼関係というのを損なってはいかぬということと、それから我々自身がその活動が国民の知る権利の代行といいますか、付託を受けてやっているのだということ、それからさまざまな勢力、グループ、権力から干渉を受けずにやり続けるのですという一つの決意表明だと思うわけです。

 ですから、先生方がよく御案内のように、例えば捜査機関、ある種の犯罪、事件に関しまして資料を提供してくれということに対しては、テレビの場合は特に映像というものが強いわけですけれども、そういったものについては今までどおり一貫した姿勢というのを我々はこれまでもそうだったし、これからもとり続けます。つまり、それは放送以外の目的では出すことはないということであります。映像以外にも、例えば取材源の秘匿ということにつきましても我々は基本的に同じ姿勢を堅持しているわけです。

 こういう基本的な立場を踏まえましてもう一つ、この間の具体的な例というのを御説明したいと思います。これは都立の広尾病院で、消毒液が体に入って亡くなってしまったということなのですけれども、これは一言で言いますと病院ぐるみ、組織ぐるみの隠蔽工作が発覚した、そんな事件だったと我々はとらえています。これがどのように露見したのかということなのですけれども、これは我々民放連に属しますある放送局のスクープであります。そのある放送局の記者が、余り細かくは語れないわけですけれども、非常に丸めて言いますとお役所の中を回って通常の取材をしていたときに聞き及んだということであります。そういう中で取材が始まったということです。

 この事件というのは、その関係しているお医者さんとか看護婦さんだけではなくて、管理責任者である病院長だとか事務長も加わった組織的な隠蔽工作の活動だったわけです。ですから、これは5原則の話にまた戻るわけですけれども、これは本人に対する直接確認はできません。やったということはイコール隠蔽活動がそのままもっともっと巧妙に続くということになります。ですから、ある放送局の記者というのはそのようなことがわからないように、さまざまなテクニックを労しながら取材活動を続けたということであります。

 では、病院のだれにどういうテクニックで接近したのか。これは、このような場でも申し上げることはできないわけであります。それで、そのある局の記者にもし私が聞いたとしても、彼は決して口にすることはないと思います。それが取材源の秘匿であり、それは部外者に対しては確実に彼らは守ると、本能的にこれは守ることなのです。

 この事件に関してもう一つ話を進めますと、結局その記者が役所回りと申しましたけれども、常日ごろ役所を回りながらある種の人間関係を設定しながら情報を得たということなわけでありまして、不正な違法な活動ではありません。

 それからもう一つは、事件に関わった本人そのものが隠蔽活動を一生懸命やっている以上、これは直接じか当たりができないと同時に、これは別の方法だとしたら周り、第三者から当たるしかないわけです。それで、これは今回の取材の極めて重要なポイントになったと私は想像しています。つまり、報道自体が周りの周辺取材が極めてきちんとできたからこそ、結局はスクープにつながった。このような事件が露見したのだと我々は考えています。そして、これは当然のことでありますけれども、この事件取材のプロセスで明らかになった広尾病院の内部事情、実態というのはニュースの報道以外では一切使用はしていません。これは当然のことです。

 それから、こういった一連の情報というのは今の段階でも厳正に局の中で管理されているということであります。これはたまたま広尾病院の例を挙げたのですけれども、先ほどNHKの方が新潟の事件も取り上げられましたが、これは例を挙げればきりがないぐらい幾らでも例示できる問題でありまして、逆に言いますと我々の日常的な取材活動というものは程度の差こそあれ、そういったものの連続、継続なのだと御理解いただきたいと思うわけです。

 時間の関係でまとめさせていただきますけれども、今日ここにも御列席されている堀部先生が実は去年の12月号の『ジュリスト』という雑誌の中で論文をお書きになって、我々も非常に参考にさせていただきました。先生を前に失礼なのですが、ちょっと引用させていただきます。

 「個人情報保護制度が取材、報道の自由、表現の自由を侵害してはならないと報道機関は主張した。それは報道機関としては当然の主張である。個人情報保護の思想は、表現の自由を制約することを目的とするものではない」。先生はこのようにお書きになって更に、表現の自由を守りながら個人情報やプライバシーをも保護して、両者のバランスをどうとるかという観点からの議論が必要であるという趣旨のことをお書きになったわけであります。失礼ながら非常に妥当なお考えだと思うし、我々も意を強くしたところでございます。

 しかし、もう一つ失礼ながら、このような堀部先生の御見識、御高説が中間報告の中に十二分に反映されたのかどうかということになりますと、我々マスコミのサイドから見まするに、それは決して十分ではなかっただろうと言わざるを得ないところであります。中間報告では先生方御案内のように、冒頭個人情報保護の必要性についてマスメディアの発達というのを挙げているわけですけれども、本文の中では適用除外の項目で一言触れられているにすぎないわけであります。我々は何回も事ある度に指摘してまいりましたけれども、一体保護すべき個人情報の範囲というのはどの辺にあるのか。報道機関にとっての個人情報というのはどのようなものなのかということが、正直に申しますと今の段階でも私どもには不明確であります。

 それからもう一つ、プライバシーの概念というのも個人情報よりは狭い範囲だろうということはもちろんわかります。しかし、その概念についてもあいまいさというものを残したまま我々は受け取っているわけであります。これからの流れでいきますと、こういった我々の基本的な考え方というのを十分先生方に御理解いただいた上で、基本的には報道の自由について十分我々が納得できる結論、これはでき得るならば市民が納得できる結論と我々はリンクさせたいと思っているわけですけれども、こういう議論を我々としては望みたいと思うわけでございます。

 先ほどの意見表明でも明らかにしたのですけれども、これは繰り返しですが大事なことですのでもう一回繰り返させていただきます。結局、個人情報の保護と報道の自由というのは決して対立、衝突するものではないと我々は考えていますし、それはこれからもそうなのだろうと思うわけであります。我々のジャーナリストの大先輩が言った言葉であるのですけれども、事実は厳粛であり評論は自由である。これがフリープレスの大原則だと我々は信じております。論評、評論は自由だというのは我々マスコミが持っている独占権ではなくて一般市民も当然持っているわけであります。その前提として厳粛な事実というのを間違いなく伝えるということが我々の基本的な任務なのだと考えております。だからこそ情報の収集だとか、それを伝達するということに関して規制とか束縛というのは我々は困るのだということを訴えたいわけであります。

 それから、最後に申し上げたいのは、個人情報保護というのとは直接は関係ないわけですけれども、人権とかプライバシーの保護について問題が起きることは正直に言ってあります。そのときに我々はどうするかというと、NHKと手を携えてBRCという組織を2年前に発足させております。こういう中で、我々は万が一そういう問題が起こったときの対応というのも地道にやっているつもりですので、その点もひとつ先生方には御理解を賜りたいと思う次第です。非常に簡単ですが、よろしくお願いします。

【園部委員長】どうもありがとうございました。それでは、両団体の御説明に関連して一括して質疑を行いたいと思います。大分遅くなっておりますので、まとめて20分で恐縮ですがお願いします。

【藤原委員】どうもありがとうございました。2点だけお伺いしたいのですが、自由な取材、自由な報道を守るべきことは民主主義社会においては当然のことで、それは私も十分に承知しているつもりなのです。それを前提にしてお伺いしたいのですが、もしも24時間メディアの関係の方々が報道と取材しかしていないというのならばそれはよくわかるのですが、メディアは営利事業も展開されていると思うのです。それが一切ないというのならば私の第1の質問も要らないことになるのですが、一般企業と同じような活動をされておられる部分も、やはりメディアの企業であるということで一切適用除外という御趣旨なのかということが第1点です。
 第2点は、取材、報道の自由は認めるとして、個人情報保護と報道の自由は抵触するものでないという最後のお話しがございましたけれども、保護法の傘の中に入って、例えば具体的に申し上げますとこの8原則で、これは本当に仮の話ですが、個人情報の管理というものはしっかりしなさいとか、あるいは管理の責任の体制を従来よりは責任者をきちんと置く等のことをして強化しなさいであるとか、あるいは苦情処理でも、例えば主務官庁に届けるという方法もあるでしょうけれどもBRCでも結構なのですが、今BRCが年次報告のようなものをつくっておられるかどうか知りませんが、もう少し詳細に個人情報保護に関わるような問題についてこういう事例があったとか、こういう苦情があったとか、あるいはこのように解決しているのだというものを一般の方々にもっと公表するとかPRするとかというような規定が入るとか、そういう程度の原則が盛り込まれることもやはり取材の自由あるいは報道の自由があるからだめだという御趣旨なのでしょうか。これが2番目の質問です。

【大島氏】まず第1点は、報道以外の活動についてどうかという御質問だったと思います。先ほど私が最後に言いましたが、放送事業というのは番組を中心にあらゆる業務が一体となって運営されて遺漏のない働きが可能になってくる。それで、我々の場合で言うと受信料のこともあると思うのですけれども、受信料というのは表現の自由に関わる放送業務としてNHKが自律的、自主的な事業運営を進めていくためのほとんどすべての財源でして、この営業活動というのは言ってみれば表現の自由を確保するための不可欠な手段だと。そういう点では表裏一体だと我々としては考えております。したがって、説明でも言いましたけれども報道機関、放送事業者としては外部からたとえ何であれ強制が働くような契機とかモーメントはできるだけ避けたいというのが我々の基本的な考え方です。
 ですから、2点目のことについても自主的にやって、それで目的が達成できるということで、それを目指すということで基本原則の考え方についても自主的、自律的な取り組みの中でその実現を図りたいというのが基本です。

【渡辺氏】民放連の方から若干お話ししますと、まず最初の御質問で営利事業もやっているだろうと、おっしゃるとおりであります。どのぐらいもうかっているかは別として営利事業は確かにやっています。
 具体的に言いますと、私どもの社の場合に事業部というセクションがあっていろいろな事業活動を展開している。人を集めて、例えば何かのイベントをやる。それは当然営利事業であります。ですから、先ほどから申し上げている報道機関にとっての個人情報というのはどのようなものなのだろうかというのはまだはっきりしない段階で申し上げにくいところもあるのですけれども、少なくともかなり絞ってニュース取材活動で得た個人情報的なものというものを例えば事業部だとか、ほかの事業に展開するということは考えられないわけであります。つまり、一つの机上の議論としては恐らくそれは成り立ち得るのでしょうけれども、現実の仕事の展開としてはそれがオーバーラップしたり、どこかで触れ合うということは基本的にはあり得ないわけです。つまり、仕事の内容がそれほどまでに違うとお考えいただきたいと思います。
 それからもう一つは、管理責任はどうなのか、そのくらいはやるのが当然であろうと。おっしゃるとおり、それは当然だと思います。ますますコンピュータ化されて、それこそ検索可能な情報というのが膨大に増えていく中で、この情報の管理というのは今まで以上に厳しくやらなくてはいけないというのは当然だと我々は考えております。ただ、NHKの大島さんがおっしゃったように、これも含めて我々が責任を持って自主的にやらなければいけない当然の作業なのだと我々は基本的に考えております。

【石井氏】ちょっと補足しますと、例えばテレビショッピングで営利活動というのはやっているのですが、これについての顧客情報というのは当然あるわけですけれども、一言申し上げたいのは、民間企業というのは激しい競争をしているわけです。テレビショッピングというのはあらゆるチャンネルがやっている。つまり、非常に重要な商売に直結した情報をみだりに外に表すというのは逆にないのです。つまり、営利活動の部分だけでとらえれば、そういう非常に厳格なマーケットを失うことにつながるような安易な情報管理をしている局は一局もありません。つまり今、NHKさんがまとめておっしゃいましたけれども、我々が今日資料を出していないのはそういう点から出せないということもあるわけです。
 もう一つは、したがってそういう営利活動の側面から言えば、これはいろいろな形で既に法律はあるのではないでしょうか。その辺で全部対応可能ではないかと私は思います。やはり一番大事なのは報道機関としての機能をいささかも損なうことがあってはならないということだと思っています。

【藤原委員】では一言だけ申し上げます。そうしますと別にメディア事業だからといって他の民間企業と変わらない部分では同じような規制を受けるとも受け取れます。そもそも民間企業には個人情報保護は要らないとも受け取れますが、ほかのもので十分だというのはそうも受け取れるのですけれども、逆に言えば他の企業が法的規制に服するのならば当然服すべき領域ではないかという気もするということだけ申し上げておきます。自主的努力と言った場合、あるいは競争があるといった場合は、ほかの民間企業もすべて競争の中で努力しておられるのではないかという気がいたします。それだけ申し上げておきます。

【石井氏】ですから、私どもは民間企業をターゲットにするよりはむしろもっと違うところをターゲットにされるべきではないかという気がしています。民間企業ほど情報管理は厳正であるということを申し上げたい。
 もう一つは、目的がどこにあるかということですね。要するに、敵は本能寺ということで先ほど大島さんもおっしゃっていましたけれども、強制力の働くいろいろな契機は基本的には報道機関という機能を非常に重要に考える立場からは妥当ではないということを申し上げたいわけです。

【新美委員】1点伺いますが、先ほどニュース、報道が公共の利益を図ってきたという点については、あるいはそれをシミュレートするというのは全く私も賛成なのですが、問題は我が国の現在の報道はすべて公共の利益に資しているのかということについて、外国の記者の人と話していて疑問に思ったものですからお尋ねします。
 というのは、先日、中目黒の事故がありましたが、同じように大事故があったときに外国のニュースでは、被害者の名前は余り出てこないのです。だれそれがけがをしたということはないのです。それを外国人の記者に聞いたら、それは警察がやればいいのであって報道がするものではない。公共の利益になるのでなはいかと言ったら、それは関係者にとって利益になるだけであって一般の人には何の関心もないはずだということで、これは公共の利益ではないということをその記者は言っていたのです。ましてや、その被害者がどういう属性の人かなどというのは報道に値しないということをおっしゃっていました。今回の中目黒の事故について見ていたら、被害者の名前どころかどんな人であるかということまで続々と出てきたわけですね。あの点について、皆さんは公共の利益にかなっているという御判断なのかどうかということを伺いたいのですが。

【植田氏】国によってメディアの性格はかなり違うと思っております。ヨーロッパ型のジャーナリズムの成立過程とアメリカとはまた違いますし、日本もまた戦前と戦後では随分違いますけれども、どちらかというとアメリカ型に近いメディア状況があります。
 にもかかわらず、現在でもアメリカ的なジャーナリズムの考え方と日本のジャーナリズムの考え方は幾分か、あるいはそれ以上の違いがあるかと思います。現実に日本の場合のジャーナリズムにおける事実の報道というものの事実のとらえ方なのですけれども、割合我が国では事実については網羅的にニュース報道を形づくるかなり大事な要素だと、これは新聞、テレビを通じてなっていると私は思っております。その辺は外国人の記者の方が、どちらの国の方かはあえてお聞きしませんけれども、考え方の違いは国によって確かにあるとは思います。ただし、日本の場合ではおおよそ共通の理解として、同業の我々の場合は被害者を含めて基本的には氏名を特定するというのは非常に大事な必要事項だと思っております。

【御手洗氏】昨日の事故でありますが、多数の通勤利用客が利用している中での事故であります。そうした中で、だれが事故に遭って入院しているのかというのは我々は重要な事故情報として報道をしております。これは、はっきり言ってまだ名前がわからない時間帯もあったわけですが、そういうときに外部から直接NHKに問合せの電話があったり、これは相当の数に上ります。そういうことがあったりということで、我々としては重要な事故に関連する情報としてやっております。
 少し違いますが、阪神大震災のときは安否情報ということで相互の被害に遭われた方、あるいは被害を心配する方が大震災の場合は極めて多数に上ります。我々としてはテレビの一つのチャンネルを当ててそれ専用にしたという事例もありますし、今後の大震災、大災害に備えて引き続き一つのチャンネルを持って安否情報を専門に当てるという体制もとっているところであります。したがって、今後ともそういう事故に遭われた方の氏名というのは我々としては報道するつもりであります。

【西谷委員】テレビに登場する民間企業の個人情報があったとして、これはここでおっしゃっている報道の自由の射程の中とお考えでしょうか。テレビ出演をしたとしますね。その民間企業がある種の個人情報をもちろん持っていて、それをどうするかという問題が出てくるわけです。
 つまり、それは仮に法律で規制されたとして、報道の一環なのだから報道の自由論でいけば特に規制は外すということになるか。それとも、やはりそれは報道機関でチェックして当然、民間企業並みの情報コントロールの下であって、それを特に報道の自由があるからと言ってその段階で破るものではないということなのか。

【大島氏】具体的なケースということで、例えば出演者が勝手に何かしゃべるとか、そういうことですか。

【西谷委員】そうですね。勝手にしゃべるのだけれども、それは一方報道なのだから勝手にしゃべってもそれは報道されたものですからいわゆる報道の自由の射程なので、一般法の規制はかぶらないというようなことになるのか。報道の自由とおっしゃっているのはそういうところまで及ぶものではないということなのかということなのです。

【大島氏】現実の番組制作とかニュースのそういう取り上げ方の場合、事前に何を言うかわからないような人に登場していただくということはまずないのです。それはあらかじめどの程度の発言かということは取材もし、意見交換もした上で出ていただくというのが普通だと思います。危なくて野放しというようなことは実態的にはあり得ない話なのです。

【植田氏】生番組が多いものですからそういう御心配をもしかしたらされているかと思いますけれども、現実に番組を生で制作して出しておりますと、確かに御心配なさっておられますように、予期せぬ発言というものがもちろんどうしてもあるわけです。その中に、これは個人情報というよりは私はプライバシーに関わるようなことが出る心配ということで、先生もその趣旨かと思うのですけれども、そういう場合に確かに公共の電波に不必要なプライバシー情報で、しかもその当該の方に非常に不快感を与えるというようなものは、必要があって、あるいは公共の非常に大きな目的があって出るのならばともかく、その番組の趣旨から言っても不必要であるというような場合ですね。
 そういうことは確かに恐れなければいけないことですけれども、万が一そういうのがあった場合には事後の、あるいはその番組の中で、もしくは次の機会の同じ番組でとか、そういうところで視聴者の方にある程度の修正をしたり、あるいは名指しされた方に対する局としての釈明をしたり、それから発言をされた方に対しても本来番組はこうあるべきものですから、あの発言については局としてこのように視聴者と、それから場合によっては御本人に釈明をさせていただきますという手続を現実にもとるようにしております。多分、どこの局も同じような姿勢だと思っております。

【小早川委員】明示的には民放連の方の今日の御説明の中で強調されているのですが、NHKの方でも御意見はあるかもしれませんけれども、基本法なり、あるいは基本原則の適用から取材、報道の部分を外すという実質論はわかります。しかし、いろいろこれから議論しなければいけないということだと思うのですが、技術的に言って適用除外というのはだれかが決める、認定することなので、これは危ないという御趣旨だと思うのですけれども、技術的に言って、ではどうすればいいのかということですね。何らかの定義をしてそれを全体から外すか。あるいは原則これこれの適用からは外すかということは、いずれにせよせざるを得ないのかなという気がしているのですが。

【渡辺氏】逆に言いますと、報道機関と言った場合に何をもって報道機関とするかということと、それから機関だけではなくて報道、取材活動ともう少し人間のアクティビティの話になってきますともっと漠とした概念になってきますね。例えば、フリーランスのジャーナリストがいる。それで、それが極めて名前があって定期寄稿もテレビ出演もどんどんやっているという人は恐らく認知されるのでしょうけれども、その人が仮に月に1回とか、そのように人によっていろいろ幅があると思うのです。
 ですから、そういうのは逆に言いますと認定というのは非常に難しいわけです。ですから、組織ということで限定するのは作業としてはかなり難しいのではないかという気が現実問題として私はしております。ではどうするかというと、恐らくそういう種類の活動行為なのだと私は思います。

【上谷委員】私もそれを聞こうと思って。一方で個人情報は保護しなければいけないということで、これは大事な目的だということは皆さんもお認めいただいた。一方で、報道の自由というものは是非守ってもらわなければ困る。そういう形になりますと、結局は技術的に何らかの形で適用除外を決めていかざるを得ないのではないか。そこの判断ですが、例えば先ほどのお話では、裁判所が判断に当たれば、刑事事件になるとか民事事件になるとかということで、最終的に裁判所が判断するという以外の情報開示の可否の判断は困るということですね。裁判所以外にはそれができないよう制度が担保されればそれでいいのだろうか。そこだけをお聞かせいただきたいと思います。
 何らかの形で除外規定を書かざるを得ないのだろうと、それはそれでわかりました。おっしゃりたいことは私も、賛成反対は別として、理解できますが、何らかの形で適用除外という形にしないと、一方で個人情報を保護しなければいけないという原則は掲げるわけですから。何か書かなければしようがないとして、それをまた変な形で規制に使われるのは困るということをおっしゃっていますので、そのようなことがないような形を考えてくれと受け取っていいかどうかということです。

【石井氏】実は民放連は5局の代表が来ているものですから、まだその部分について統一的な先生の御意見に対して明確なお答えはしかねるのですが、ただ先生のおっしゃっている趣旨は非常に我々としては、ほかのメンバーの方はわかりませんが、私などは趣旨としては非常によく理解できます。私は非常に理解できるとは思いますが、ほかの方からもあると思いますので。

【大島氏】これは非常に難しい問題だと思います。だれがどういう基準でということになるとですね。それで、我と我が身の方から線引きしてくれということはとても言える話ではありませんし、難しい問題だと思いますが、その点で例えば基本法の性格そのものでもって何か適用除外をつくらなくても我々が懸念している報道の自由、表現の自由に差し障りのないような基本法のつくり方というのはないものかということをまず考えていただきたいとは思います。

【石井氏】先ほど先生のおっしゃった一切の介入ができない形の具体的なものが生まれれば、我々としてはそれは受け入れることはできると思います。

【高橋委員】今は、つまり基本法が邪魔にならないようなものをつくってくれというような趣旨をおっしゃったと思いますが、基本法は理念だけにとどめて法的効果を持たないような形にして、法的効果については個別法でやったらどうかということなのですか。

【大島氏】具体的な対案が今あるわけではないのですけれども、これは10月のヒアリングの席でも言いましたが、仮に基本法が薄く網をかぶせるようなもので宣言的、倫理綱領的なものであるとすれば、それはそのことで反対するとか、そういうことではないということであります。

【高橋委員】法的効力を持つようなものをつくれば、これは除外するかかぶるかという話になりますから、取材、報道の自由の問題は非常に重要だから、ある程度どういう形にしろ除外するということを考えるとすると、どうしても報道機関か報道活動かという形で何らかの線引きをせざるを得なくなってくると思います。そこら辺をどうするか。
 それに関連して、全面的に除外するべきだというお考えなのか。それとも、さっきから話を聞いていると管理はやってもいいだろうというようなことをおっしゃいましたし、利用制限についてもそれほど反対ではない。例えば、報道目的で収集した情報をほかのことに使うというようなことはしてこなかったのだということでおっしゃっていましたから、それだったらしてはいけないと書かれても別に何も困らないだろうという気がするのです。そうすると、原則的には法がカバーして、その中で特に例えば収集方法についてはかけてくれるなとか、個別的に例外をつくっていけばいいのかとか、そこら辺はどうなのですか。

【大島氏】その利用制限の話でいいますと、恐らく二面あると思うのです。本来の目的で集めたものがその取材の過程で、あるいは別な事案が発生して違う目的で使うというようなことも当然あるでしょうし、外部に対して取材する際に利用制限ということが徹底すると、先ほど少し言いましたようにいわゆるたれ込み情報とか内部告発といったたぐいの情報がなかなか生かせなくなるのではないかという懸念があると御説明したところです。

【植田氏】今の高橋先生の御質問と藤原先生の2度目の御発言と関連していると思うのですけれども、先ほど石井幹事が言いましたように民放連で全部そこまでまだ突っ込んだ議論の段階ではないのですが、報道機関という規定の仕方か、報道活動という規定の仕方かというところでも関連されているような気がしますので、どちらかといいますと報道活動という定義の仕方は別としまして、それは規定にひょっとしたらなじむかもしれない。報道機関はかなり難点があると渡辺委員も御説明しましたけれども、次に一つの企業の中でのこちらの部分、つまり報道的な活動から生じたり蓄積されているものが報道でない事業活動の部分にいかないといっているのだから、そういう目的外利用の部分は適用があってもいいのではないかというのが先生のあれでした。
 その部分についてはそのとおりですけれども、しかしその目的外利用の部分の適用があればやはり報道の中で、これは事件の実例でも御報告しましたが、こちらの警察活動も多岐にわたっていますから、1つの情報が次のもっと国民にとって大事な伝えなければならないニュースにつながることもあるわけですので、そういう部分に目的外の利用というのは引っ掛かってきては困りますから、報道活動という対象に限って言えば絶対に困るわけであります。
 それから今度は管理という点について、そこは残っていたかもしれないのですけれども、これはどういう情報が責任ある管理の中に含まれているのかということが、管理の問題について基本法が適用されますと、あるいは何かが適用されますとその中身については、先ほども基本的な御説明で申し上げましたけれども、どういう外部の機関でありましてもなかなか御説明を控えざるを得ないということになりますから、管理についてもやはりなじまない。その代わり、報道の憲法的な使命の性格から言っても、管理している情報の扱いについては一つの法律とか法的なもので縛られるよりもっと厳しい縛りを業務の内容から言って自ら課している。それがなければ報道活動は成り立たないという御報告で、繰り返しになりましたけれども、そういう趣旨でございます。ですので、5原則のうちどれがいいとかではないということを、申しわけないですが今、繰り返しました。

【堀部座長】質問ではないのですけれども、先ほど藤原さんが言ったBRCは、年次報告書を出しています。どこまで宣伝しているかというのはあれですが、ラジオやテレビでもかなりPRしていますので、いろいろ問合せも増えているとは聞いております。

【石井氏】先生の補足で恐縮なのですけれども、1997年度からそれぞれ個別の件数については、例えば各メディアにその内容について流す。あるいは、具体的な事案についてもこれは各メディア、あるいはテレビ局自らもそれぞれ報告があるという形で、活動については報告をその都度しております。

【藤原委員】あれに反論が載っていましたか。

【堀部座長】放送局自らが反論まで放送しているかは記憶が定かではありませんが、新聞の方ですと申立てをした人の主張も出していた例はあります。これは今後のBRCと各放送事業体との関係でどうするのかという議論にもなってくると思うのですけれども、恐らくこれがあるから複層的な救済システムの方に入れるなという御主張だと思います。

【園部委員長】それでは、随分予定も超過しまして、議論し始めたらきりのない話でございますので、今日はこの程度で勘弁していただきたいと思いますが、本当に今日は遅くまで日本放送協会及び日本民間放送連盟から御出席をいただきまして熱心に御説明いただきましてありがとうございました。
 時間の関係で、なおまだ伺えなかった質問については後日、事務局を通じてお伺いすることもあるかと思いますので、その節はよろしくお願いします。では、以上をもちまして本日のヒアリングは終了いたします。どうもありがとうございました。

(日本放送協会及び日本民間放送連盟関係者退室)

【園部委員長】それでは、以上をもちまして本日の会合は終了させていただきます。次回の会合は来週3月17日15時から17時40分まで、この部屋で関係団体からのヒアリングを予定しております。よろしくお願いをいたします。
 本日はどうも遅くまでありがとうございました。