高度情報通信社会推進本部

第6回個人情報保護法制化専門委員会議事要旨

1.日 時:平成12年3月9日(木)15時〜19時40分
 
2.場 所:総理府3階特別会議室
 
3.出席者:
園部逸夫委員長、小早川光郎委員長代理、上谷清委員、高芝利仁委員、高橋和之委員、遠山敦子委員、新美育文委員、西谷剛委員、藤原静雄委員、堀部政男個人情報保護検討部会座長
(事務局)
藤井昭夫内閣審議官、小川登美夫内閣審議官、松田学内閣審議官
(関係団体)
経済団体連合会:情報通信委員会個人情報保護に関する打合せ会座長 
東京海上火災保険(株)顧問
礒山隆夫
(株)東芝EC戦略推進室参事窪小谷隆
(株)ダイエー広報企画室副室長片岡伸介
富士通(株)法務・知的財産権本部
法務部ビジネス支援部担当課長
鈴木康史
第一生命保険(相)調査部課長河谷善夫
経済団体連合会常務理事立花宏
日本新聞協会:朝日新聞東京本社編集局次長鈴木規雄
毎日新聞東京本社編集局次長朝比奈豊
読売新聞社社会部長桃井恒和
日本経済新聞社編集局次長兼社会部長秋吉穣
東京新聞編集局次長兼社会部長山田哲夫
産経新聞東京本社編集局次長兼社会部長高尾元久
共同通信社法務室次長土方健男
時事通信社法務室主査山本智
日本雑誌協会:日本雑誌協会取材副委員長
講談社取締役
杉本暁也
日本雑誌協会編集倫理委員会委員
小学館編集総務部次長
山了吉
日本雑誌協会編集倫理委員会委員
集英社編集総務部部長代理
永井英男
日本雑誌協会次長勝見亮助
日本弁護士連合会:情報問題対策委員会委員長土生照子
同委員会副委員長北澤義博
同委員会事務局長三宅弘
同委員会幹事森田明
日本放送協会:報道局編集主幹
報道局取材センター長事務取扱
御手洗正彦
総合企画室[経営計画]統括担当部長大島敏男
日本民間放送連盟:日本テレビ放送網報道局次長石井修平
東京放送報道局編集主幹植田豊喜
テレビ朝日報道局コメンテーター室長渡辺興二郎
フジテレビジョン報道局解説委員長船田宗男
テレビ東京報道局次長藤延直道

 
4.議題
(1) 関係団体ヒアリング

5.審議経過

(1)関係団体ヒアリング

@経済団体連合会

 経済団体連合会より、資料1に従って、個人情報の管理の現状、業務分野における自主規制等取り組みの状況、法制化に当たっての具体的な要望事項について説明があり、質疑が行われた。質疑の概要は以下のとおり。

○悪質な行為については制裁も検討すべきとのことであるが、何か具体的に検討しているか。
→悪質な行為を罰しなくてはならない、と考えているまでであり、具体的にどんな条文にするか、までは検討していない。

○例えば改正職安法のように、秘密の漏示には罰則を科す一方で、秘密ではない個人情報を漏らす行為については罰則を科さないという整理もあるがどう考えるか。
→どういう行為が罰則で規定されるのか、なぜその行為は罰せられるのか議論しなくてはならない思う。例えば、集められた情報が第三者に対価を伴う形で移転するときに問題が生じやすいのではないか、名簿が商売になること自体はどうなるのか、など詰める必要があると思う。

○自己責任型システムの構築を目指すべきとの主張だが、自己責任を求めるには自己決定が前提であり、主体の同意の持つ意味はより一層大きなものとなる。経団連は「同意」について、包括的同意、将来にわたる同意も認めるべきという提案をしているが、自己責任がその前提とするインフォームドコンセントの観点からすれば、むしろ逆の方向に考え方は進むのではないか。また、例えば、瑕疵担保責任についてでさえ、企業取引では民法の瑕疵担保期間より短くなっているのであって、一度した同意が将来永久に有効というのはおかしいのではないか。
→例えば、すでに取引のあるお客様に対し新商品サービスの案内をする場合改めて同意を得るのは実務上困難である。お客様がそうした案内は不要であるとおっしゃるのであれば、いらないという意思表示のできる関係にしたい、という趣旨である。

○企業の裁量を認めるべきであるというが、こうした考え方は自己決定権とは合わないのではないか。
→企業の裁量といっても一定の合理的な範囲に制限されると考える。申込みや契約時に相手方に想定のつく合理的範囲に限られる。

○委託者に責任を集中すべき、とのことだが、委託に出す際には、何らかの基準があるのか。
→仕事の完結のため、配送など委託先はどうしても必要であるが、当然予想される範囲内が委託先となる。ただし、トータルの責任を最初の企業が負うというのが実務だと思う。この過程すべてについて相手方となる消費者の了解を得ることは実態とかい離するので、契約の中身を確定するときに、消費者に契約が履行される手続きを示せば、予見可能性もあってよいのではないか。
→通常、委託の際の契約では相手方に守秘義務を課すとともに、情報の使用目的を制限している。この契約が遵守される企業であるか否かが、委託する際の重点となる。その際、契約が遵守されるか、という点は見るが、具体的な個人情報の管理者の存否や、管理体制まで細かくチェックするとは必ずしも限らないと思う。

○故意ではなく、何らかの形で第三者への漏えいが起きた場合、委託側が全ての責任を負う体制になっているのか。
→この場合は、契約上の履行補助者の法理が適用になると思う。とすると、消費者との関係では委託者に契約上の責任が発生する。

○業種・業態によっては、他人のデータの取扱いを専ら業として受託しているが、これについてより厳しく規制をするという考え方もある。これについてどう考えるか。
→情報処理を業とする受託者から流出しても、委託者の責任となるので、1年に1回処理業務の検査をするなどしている。個人的見解だが、お客様との関係では、受託者が情報処理を業としていても、委託者が少なくとも一定の民事上の責任を負うべきではないかと考える。

○実際に、企業内にデータ保護管理者を置くなど一定の役割を与える取組が既にあるのか。
→管理の責任については、一義的には担当役員の役割ということになるが全部は無理であり、各部門ごとに管理し、また、個人情報を扱うオンライン端末でログを保管することなどにより、管理を補充している。企業の業種、規模により違うのではないか。

○例えば、規制するか否かは別として、名簿取扱業種やダイレクトマーケティングの情報を扱い、他の企業に情報を提供する業種については、受託か否かに関係なく、原則の適用が一般企業より強くなるという考え方についてどう思うか。
→問題は業態の定義によるのではないだろうか。「専ら」そういった業務をする例は少ないのではないか。実態的にはある企業を業種で振り分けるのは難しい。

○例えば金融機関では、個人の信用情報を企業横断的に一カ所に集めるなどしているが、それ以外の企業で情報をある場所に集中するという実態があるのか、将来的に集中して情報を管理する方向へ進もうとしているのか。
→損保業界では、モラルリスクが発生するので、事故時の照会システムがある。第三者への情報提供が全く規制されると、悪人を助けてしまう要素が出てくる。
→生保業界では、生命保険協会内に情報を集中するシステムがある。加入時に保険約款内にこの契約内容登録制度についての事項があり、これに基づいて登録することとしている。

A日本新聞協会

 日本新聞協会より、資料2に従って、「我が国における個人情報保護システムの在り方について(中間報告)」に対する意見について説明があり、質疑が行われた。質疑の概要は以下のとおり。

○配付資料中の表記は、憲法13条に基づいて、国民は公的機関の保有する個人情報の開示請求ができる、という理解でよいのか。
→憲法13条から開示請求が直結するものではない。まず幸福追求権が保障される。これは国の責務である。また憲法21条の表現の自由、知る権利から、国民は国の持つ情報を十分に知り、かつ誤っていればそれを直す。報道の自由、表現の自由をめぐり、憲法13条と21条は時に対立する権利の概念でもある。この文脈に即すると、国の責務と国民の権利が対置される。

○配付資料中に、個人情報の保護とプライバシーの保護は違い、個人情報の方が広い、という表現がされている。広いならプライバシーも保護されると考えるが、どう違うのか。個人情報とプライバシーではバランスされる利益が違うのか。
→個人情報は幅広く、個人が識別可能な情報である。プライバシーはメディアの取材活動との調整から考え出された限定的な概念だと思う。後者は公開を欲しない私生活上の事実である。裁判所などで、報道と書かれる側のプライバシーの調整では長い歴史があったが、プライバシーが一般的に表現の自由に優越するという考えはなかったと思う。とすれば、個人情報のような幅広い概念に対しては、報道の自由を含む表現の自由は、当然に最初から優越するのではないか。

○「報道機関は法の対象外」との主張だが、包括的にすべての原則について対象外とすべきという主張か。それとも個別原則ごとに対象外とすることを検討すべきという主張なのか。
→報道、言論活動は国民の知る権利に資する活動であり、本来的に公益性が内在しているので、包括的に除外されると考える。

○「個人情報の管理などについて自主的な取り組みを強化し」ている方向とのことだが、具体的にはどのような取組がなされているのか。
→個別に自主的なガイドラインを作ろうとしている。例えば、記事データベースなどで、事実に相違があれば速やかに訂正することとしている。また、例えば逮捕された容疑者が社会に復帰した場合など、一定期間経過後の情報の取扱いをどうするかといった問題について議論をしている。ルールを作っていない段階でも、個別に対応していることがある。インターネットの世界でも、利用者や投稿者から寄せられた個人情報についても、ルールを作成・提示して、その枠組みで使ってもらうこととしている。そのとき、新聞本紙と電子媒体の相互交流に関し、新聞本誌への投稿を電子媒体でも使用することがある旨を断っている。全体としては、自主的な指針をまとめているという段階である。
→紙面に近いところの情報のほか、販売相手の読者や懸賞応募者の情報など、営業用のファイルがある。管理と利用目的を明示するなど、使用・管理のルールを作ろうとしている。そのとき、まず、社内にどれだけのファイルがあるか把握し、その上でルールづくりを検討している。各社が取組を始めている状況。
→個人情報保護の内部指針をまとめる委員会を作っている。また、通産省のJIS規格に基づき、HPサイトの取扱指針については実施している。また、これ以外の分野についても始めている。

○新聞関係では報道情報のほかに営業情報があるが、その一例として、新聞販売店の情報はどのように扱われているのか。
→新聞社と販売所は基本的には別会社であり、例えば販売局が指導、管理しながら販売店が販売している。ただ、情報としては、販売店が読者情報を把握している。新聞本社としては、読者の数や地域程度は把握しているが、読者個々人の個人情報は直接懸賞などに寄せられたもの以外、把握していない。

○公的機関の個人情報保護法を制定するとき、当時の新聞の論調としては、国際基準に則った法制度が必要だ、とのことだったと思うが、個人情報が流出した場合の国民の権利・利益の侵害の事実は、公的部門でも民間部門でも変わらないはずである。むしろ最近では民間部門の方が危ういというのが国際的認識だと思う。とすると、公的部門と民間部門のどちらのレベルを上げるかといえば、民間部門のレベルを上げる保護措置の方が国際的スタンダードに近づくのではないか。
→新聞協会としては、民間部門をすべて自主規制にすべき、と主張しているのではなく、必要な範囲で個別分野については、法の規制に服することも考えられが、報道の自由に係る部分については適用を除外すべきであると主張しているのである。また、民間部門の方が危ういという点は、個人的にはそのようには思わない。

○販売会社は新聞本社と別会社とのことだが、報道の自由というときにそのような新聞関連の周辺事業も含めて一切を適用除外とすべきということなのか。それともそもそも別会社なので、本体の報道に係る部分についてのみ適用除外とすべきとの趣旨なのか。
→個人情報保護がファイル管理の問題とすると、表現の自由に関連するファイルと営業用のファイルがある。周辺事業を行う関連会社でも、報道・出版にかかわるものもあるので、その事業の態様、保有しているファイルについて、どのような規制をかけるのか、自主ガイドラインで任せるのかという区分けの仕方がよいのではないか。

○国際的基準からすれば、取材・報道機関も法の枠組みに入ってもらい、その上でそれなりに特別扱いするという考え方になると思うが、どうか。
→基本法の在り方によっては、法の枠組みの中に入れるということ自体が、知る権利、報道の自由からは危ういものがある。

○報道関係でも個人情報ファイルがあり、保有・管理していると思うが、その部分についてまで、電話会社の顧客名簿や信用機関の個人情報とは違うという主張なのか、取材報道そのものとは質的には違うという考えか。
→新聞協会全体でそこまで考え方がまとまっていない。懸賞や投書などの個人識別情報は信用情報などと同じように扱ってよいのではないか。ただし、個別法の対象にすべき事柄ではない。報道の自由との関係で微妙なつながりがあるからである。新聞社の営業活動、別会社も含めて自主規制にすべき事柄と考える。個別法で対象とするのではなく、指針などによる自主規制の対象に含まれると思う。
→私的見解だが、基本法という概念の中に、法律による規制と自主規制があり、新聞については、法の理念部分について入るのは良いが、自主規制とすべきである。自主規制に含まれる新聞の仕事の中に、取材ファイルと営業用ファイルがあり、取材ファイルは報道の自由に直結する。営業用のファイルの取扱い・管理については、自主ガイドラインで対応している。

○取材ファイルについては、他の民間のファイルと同列に扱ってよいのか。
→取材ファイルには、取材メモも含まれる。取材からその伝達まで、新聞の本来的活動が個人情報そのものを扱っており、本人の同意等を取っていてはできないものである。これは民間の他の分野の活動とは大きく異なる。

○自主規制で対応するとなると、透明性の確保や説明責任が問題となるが、どういうシステムを構築しようとしているのか。
→ある新聞社では、HPについてはメディア事業局に個人情報保護の委員会を設置し、本人から申し出があったときは、合理的・適切な範囲内において訂正・削除の求めに応じ、第三者への提供制限、本人同意等も行っている。こういう方向になるのではないか。我々が心配しているのは取材報道に関わる分野であり、営業部門については透明性を担保している。

○取材・報道活動については透明性を確保しておく必要はないのか。
→考えていない。取材中の個人情報まで透明性を担保していたら、取材活動が成立しない。

○説明責任についてはどうか。事後的に犯罪でないと判明した場合に、その取材の過程で収集された個人情報はどのように取り扱われるのか。
→犯罪でないとしても、社会的に問題である場合は多数ある。
→取材ファイルが関係する取材活動については、まさにセンシティブな情報そのものを扱っている。ここにはガセネタなどを含む様々な情報が入ってくる。その中から、何重もに情報を精査した後に、自己責任の下で紙面や電子媒体に掲載している。この掲載した情報については、事後に検証を受ける。誤っていれば、本人からの申出などに対応して、ファイル共々訂正をする。
→情報は成熟するもの。最初の、まさに事実かどうか検証しなくてはならない素材としての情報と、人名録など保存すべき情報とは区別すべき。前者については、本人から求められたときに開陳、あるいは削除しなくてはならないとすると、取材・報道活動は成り立たない。

○取材して情報として蓄積されたファイルで、結果として報道として使われなかったものについて、後から訂正を求めることができるのか。
→そのとき公表するに至らなかった情報でも、後に他の情報と結びつき大きな事件に発展することも数多くある。このようなファイルについては外部に流出することのないよう十分な管理をしなくてはならないが、取材活動はこの繰り返しである点を御理解いただきたい。
→先の検討部会では審議を公開していたが、本委員会でも審議を公開とすることを是非検討していただきたい。
→パブリックコメントの実施についても是非検討していただきたい。

B日本雑誌協会

 日本雑誌協会より、資料3に従って、個人情報保護に関する法制化に対する意見について説明があり、質疑が行われた。質疑の概要は以下のとおり。

○一般企業とは違うとのことだが、一般企業と同じことをしている部分があるとしたら、一般企業と同じ法的な枠組みに入るのは仕方がないと考えるか。
→一般企業と同じ部分があるのか。葉書やアンケートなどは、収集・分析後一定の期間が経過したら断裁して廃棄している。あるいは専門の委託業者にこうした処理を委託している。このような処理しかしていないので、社内的に蓄積し、別途利用・使用することは現実にはほとんどない。どこに規制がかかるのか分からない。
→我々が一番持つ機会のある個人情報はアンケート懸賞などで、名前、住所、星座、性別程度だが、この類でも個人情報に入ってくるのか。
→広告関係の葉書はクライアントの企業の方に届くので、どのように取り扱われてるのか我々は知らない。

○配付資料<4>読者情報について具体的な取組は何なのか。
→まだ、具体的な検討に入ってはいない。データ化された個人情報の取扱いが、現在、各社ごとに対応がバラバラであり、処理の実態をみて、ある程度のガイドラインを作ろうということである。

○取材情報について、雑誌はかなり長期的に取材し、編集した後に公表するものと考えられるが、一定期間保有・管理している個人情報については、自主規制も含め、全く何のルールもない状態でよいのか。一定期間役に立たない情報についてはどうか。
→週刊誌の取材データについては、関係者から裁判に訴えられることもあるので段ボール箱等に入れ、一定期間保存する。
→保管しているデータを持ち出し、どこかに流す、という話は聞いたことがない。署名原稿の場合、保管データを持ち出してどこかに売ればその人の責任となってしまうので、あまり心配していない。

○よく、記事で「X氏語る」などと表現されており、当該X氏が誰であるか、読者が知りたくなることもあるのではないか。
→雑誌は新聞などとは違い記者クラブなどがなく、新聞等の第一次情報を手がかりに直接取材するなどしている。しかし、この情報を全て書いているわけではない。議論もあるだろうが、見識を持って報道している。
→このような場合にX氏が誰であるかを知っているのは、取材した本人と担当程度のごく一部の関係者のみであり、それを社内全体が知るというようなことはない。

○取り扱っている個人情報が説明のような管理方法ならば、新しい法律の範囲内に入るように思われる。実際に法の対象となるか、自主規制となるかは今後の議論を待たなくてはならないが、仮に管理方法が法の範囲内であっても、法の対象から外れたいのか。
→法の外であって欲しい。なぜなら、今でも報道後、異議申し立てがあるのに、新しい個人情報保護法ができると、周辺取材をするに際し、取材対象の了解を取っていないので漏らすことはできない、話すと責任を負わされる、と誰もが口をつぐむことになってしまうことが危惧されるからである。

○逆にアンケートなどは、個人情報が漏れてしまうかも知れないので、ということで協力を得られないことがあるのではないか。
→アンケートは書いても出さなければよい。アンケートは利用目的を書いて、それ以外には漏らさないと書いてあるなら、それでも漏れてしまうと思う人は出さないはずであり、出す人の自由意思である。今でも安易な取扱いはしていない。

○配付資料中、これまでと同様の取材ができなくなることを危惧する例として、E大学の合格者名簿などあるが、本人が出してもらいたくない、といった場合でも、他人がどんどんしゃべってくれなくては困るということになるのか。
→ケース・バイ・ケースなのではないか。アンケートなどよりも、むしろ我々は取材あるいは表現の規制の方に新しい法律の力点があるのではないかと思えるのだが。

○Eをみると、このような個人情報についても、今までのような取材の仕方でよく、本人の同意などなくて名前を出して構わない、そのような取材の仕方ができなくなると困る、というように読める。このような個人情報を公表されることで本人にとって困る場合もあるだろうが、そういう人をどうするのか。
→基本的には尊重するのではないか。

○それを保護するのが個人情報保護の趣旨だと私は理解していたのだが。
→公人の周辺の取材について同じ理屈が通るのか。

○公人は別である。公人でない人たちはどうなのか。
→大学合格者を念頭に置いているが、大学合格者についての記事は、今春からは掲載されないと思う。

C 日本弁護士連合会

 日本弁護士連合会より、資料4に従って、中間報告に対する意見書(案)の概要等について説明があり、質疑が行われた。質疑の概要は以下のとおり。

○意見書を理事会で決定する予定ということであったが、理事会は、いつ開催するのか。
→16日の予定である。

○資料4の添付資料4「個人情報保護法大綱」はどのような趣旨で添付したのか。
→現行の「行政機関の保有する電子計算機処理に係る個人情報の保護に関する法律」を改正する際に参考としていただきたいという趣旨である。日弁連の内部において、官民を基本法という一つの傘の下に入れるべきかどうかについてかなり議論があり、公的なところは、説明責任や情報公開等との関係が出てくるのに対して、民間部門は、基本的には個人情報を持てるが、個人の尊厳等との関わりで問題となってくるということで、公的部門は現行法の改正で対応が可能であり、基本法は民間部門に収斂するのではないかという議論があった。

○報道・学術研究機関の収集原則は適用を除外すべきとのことだが、公共の利益という切り口はあっても、収集における同意も不要ということにはならないのではないか。
→報道・学術については、関係団体の意見も聞いてもらいたいが、収集における同意も不要ということは考えていない。報道による人権侵害は極めて大きい。

○学術研究機関などで研究目的のために個人情報を取り扱う場合に収集原則の適用を除外すべきとする根拠は何か。
→学問・教育の自由を根拠とするものである。もちろん、出版・報道の自由と同様に比較衡量する必要がある。

○マニュアル情報も含むべきとのことだが、どこまで対象とするべきか。
→我が国の法制において、「ファイリングされた」ないしは「検索可能な」という基準で対象を特定できるか疑問がある。マニュアル情報が全部、除外されるということでは狭すぎるという感じがする。業務関連性により、事業者で対象を分けるのが無難ではないか。

D日本放送協会及び日本民間放送連盟

 日本放送協会より、資料5に従って、中間報告に対する意見、個人情報の管理の現状および自主規制等取り組みの状況について説明があり、続いて日本民間放送連盟より、資料6に従って、中間報告に対する意見、取材・報道活動を個人情報保護法制化の対象外とすべき理由、個人情報保護法制化が取材・報道の自由を侵害する具体例等について説明があり、両団体あわせて質疑が行われた。質疑の概要は以下のとおり。

○マスメディアにおいても一般企業と同様に営利事業等を行っている部分もあると思うが、この点についても適用除外を求めるものなのか。
→受信料の徴集等も、番組を中心とする事業を支えるものとして、一体として行われているものであり、外部から強制が働くような契機はなるべく避けていただきたい。
→報道・取材で得た情報を事業で使用することは、実態としてありえない。
→例えば、テレビショッピングなどもやっているが、厳しい競争の中で行っているものであり、マーケットを失うような安易な情報管理は行っていない。。

○保護法の傘の中において、取材・報道の自由は認めた上で、管理や苦情処理等はしっかり行っていくという考え方については、どのように考えるか。
→管理等をしっかり行っていくべきことは当然と考えているが、自主的・自律的な取り組みの中で実現を図りたいと考えている。
→BRCで受け付けた事案等については、公表している。

○我が国の報道は、すべて公共の利益のために行われているのか。例えば、昨日の地下鉄事故のようなケースで、事故の被害者の個人情報が詳細に報道されているが、こうした報道は、外国ではあまり行われていないのではないか。
→国によってメディアの考え方は違い、我が国では被害者の氏名を含め、事実は網羅的に報道するとうことで関係者の認識が一致している。
→誰が事故にあったかについて、局への問い合わせも多く、重要な事故情報として、報道している。例えば、阪神大震災のときの安否情報は重要な役割を果たしており、今後も、そうした役割を果たしていきたいと考えている。

○報道の自由は、テレビに出演する個人についても、射程として含まれるのか。
→現実の番組制作において、何を言うかわからないような人に出演してもらうことはない。
→番組が生放送で行われている場合に、出演者が、不当にプライバシーを侵害するような発言をした場合には、番組において、訂正や釈明を行っている。

○基本法、基本原則から報道、取材をはずす場合、他者が適用除外に当たるかどうかを認定することが問題ということであれば、技術的にどうすべきか。
→報道「機関」を適用除外とする場合には、例えば、フリーランスのジャーナリストの扱いなど、何をもって報道機関とするかが難しい。報道、取材「活動」ということではないか。

○何らかの方法で適用除外を規定する場合、裁判所以外の介入がないということならよいのか。
→まだ、一致した見解はないが、趣旨としてはよくわかる。
→難しい問題だが、基本法の性格そのものから、適用除外を作らなくても、表現の自由、取材の自由に支障がないような作り方を検討していただけないものか。

○基本法は理念だけにとどめて、法的効果は持たないようなものとして、法的効果があるものは、個別法によるということならよいのか。
→対案があるわけではないが、基本法が薄い網を被せるもので、宣言的、倫理綱領的なものであれば、反対するということではない。

法的効力があるようなものを作れば、効力が及ぶか除外するかのいずれかになる。除外する場合、全ての原則から全面的に除外すべきと考えているのか。それとも、管理、利用制限などは、行っていくということであれば、収集方法等について個別的に例外を考えていくことでよいのか。
→利用制限については、取材の過程で違う目的に使う場合もあろうし、また、取材の際に、内部告発等が生かせなくなることを懸念する。管理という点については法的な縛りより、業務の内容からいって厳しい縛りを自ら課している。各原則ごとに個別に検討するということではない。

(次回の予定) 次回は、3月17日(金)15時から17時40分まで、総理府3階特別会議室で開催し、関係団体ヒアリングB(日本疫学会及び地域がん登録全国協議会、日本医師会、全国銀行協会、全国信用情報センター連合会及び株式会社シー・アイ・シー、東京都)を行う予定。

*文責事務局

*本議事要旨の内容については、事後に変更の可能性があります。


配付資料一覧