個人情報保護法制化専門委員会

第7回個人情報保護法制化専門委員会議事録



1 日 時:平成12年3月17日(木)15時〜17時40分

2 場 所:総理府3階特別会議室

3 出席者:

園部逸夫委員長、小早川光郎委員長代理、上谷清委員、高芝利仁委員、高橋和之委員、遠山敦子委員、新美育文委員、西谷剛委員、藤原静雄委員
*上記のほか、堀部政男個人情報保護検討部会座長が出席

(事務局)
藤井昭夫内閣審議官、小川登美夫内閣審議官、松田学内閣審議官

(関係団体)
日本疫学会:理事長田中 平三
倫理問題検討委員会委員長稲葉 裕
地域がん登録全国協議会:理事長大島 明
事務局長津熊 秀明
顧問藤本 伊三郎
日本医師会:副会長小泉 明
常任理事櫻井 秀也
参与奥平 哲彦
全国銀行協会
・全国銀行個人信用情報センター:
業務部長橋本 長雄
全国信用情報センター連合会:副会長平野 征人
株式会社シー・アイ・シー:専務取締役原田 實
東京都:政策報道室 都民の声部
情報公開課長
前田 敏宣

4 議 題
(1)関係団体ヒアリング

5 審議経過

【園部委員長】それでは、ただいまから個人情報保護法制化専門委員会の第7回の会合を開催いたします。本日の次第にございますように、関係団体からヒアリングを行います。 まず医療関係分野から日本疫学会及び地域がん登録全国協議会、日本医師会、次に信用情報分野から全国銀行協会、全国信用情報センター連合会及び株式会社シー・アイ・シー、最後に地方公共団体として東京都からそれぞれヒアリングを行います。時間配分は、複数の団体を予定している時間帯を含めまして、1つの区切りについておおむね40分程度といたします。ヒアリングは、それぞれ入替え制で進行いたします。

 まず日本疫学会及び地域がん登録全国協議会からヒアリングを行います。

 本日は、日本疫学会から田中平三理事長、倫理問題検討委員会委員長の稲葉裕先生、地域がん登録全国協議会からは理事長の大島明さん、事務局長の津熊秀明さん、顧問の藤本伊三郎さんです。本日は、御多忙のところ御出席いただきましてありがとうございました。どうも早くからおいでいただいてお待たせいたしました。ありがとうございます。

 御説明は両団体を合わせて20分程度でございまして、大変短いので恐縮でございますが、その後20分程度一括して関連質疑に当てたいと考えておりますので、その点よろしく御協力をお願いいたします。御説明の方はできるだけ切り詰めていただいて、あとは質疑の中で補足していただければと思います。

 それでは、まず日本疫学会の田中先生から御説明をよろしくお願いをいたします。

【田中氏】日本疫学会理事長を務めさせていただいております田中平三でございます。本職は、東京医科歯科大学難治疾患研究所の疫学の教授をいたしております。こちらにおりますのが、本学会理事の稲葉裕先生であります。本学会の倫理問題に関する委員会の委員長をしていただいております。本職は、順天堂大学医学部衛生学の教授でございます。

 さて、疫学とは人間集団を対象にしており、直接的には個人を対象としておりません。健康に関連した状況あるいは事象、主たる事象、または最も典型的な事象というのが疾病であります。その分布あるいは規定因子を追及する学問であると一般に定義されております。その成果は健康増進、疾病の予防、早期発見早期治療あるいは現代では介護のケア等に直接的に応用される学問であります。つまり、憲法第25条第2項で定められております公衆衛生の向上と増進に関する科学的根拠を与える学問であるとも言えるかと思います。本研究には幾つかの研究デザインがございますが、具体的な例を挙げて主なものに絞って説明させていただきます。

 1つはコホート研究、前向き研究というのがございますが、我が国における脳卒中の疫学的研究を例に挙げて説明させていただきます。脳卒中は昭和26年から55年まで死因の第1位を占めておりまして、その後2位、3位の座にございます。そして、その当時、抜群の世界第1位でありました。特に欧米諸国と比較いたしまして、30歳代から60歳代までのいわゆる実年期と言われている人々に非常に高頻度に認められたわけであります。そういったことから、遺伝要因と環境要因の差ということが仮説設定の糸口として浮かんできたわけでありますが、コントロール(予防)の可能性を考え、また単一民族国家であるにもかかわらず大きな地域差がございます。すなわち、東北地方に高く、関西を中心とした西日本に低いというところから、どちらかというと遺伝要因よりも環境要因の追及がなされたわけでございます。

 それで、まずコホート研究の特色というのは容疑要因をあらかじめ調べておいて、そしてその後、脳卒中に罹患していく者を見ていくということであります。つまり、原因と結果との間に時間的順序が成立しておりますので、因果関係の推理に極めて有用な研究であると言われております。容疑要因としましては、やはり臨床的な経験から高血圧また面白いことに肥満ではなくてやせ型の人に多そうである。また、血中コレステロールも高い人ではなくて低い人に多そうであるということが仮説として当時浮かび上がっておりました。これが心筋梗塞と大きく違う点でございます。また、生活要因としまして疑われていたのは当然食生活、そして身体活動、喫煙、飲酒の問題であります。

 そういった容疑要因について、3,000 ないし3,500 人の人々を調査しました。しかし、この危険因子については既に疑われておりますから、調査が集団検診という意味合いも持っておったということを強調したいと思います。そして、10ないし20年間追跡いたしまして、その人々の転出入、死亡、そしてカルテ閲覧あるいは疾病登録等によりこの罹患状況を把握していったわけでございます。これは世界的に見てこういう個人情報の照合、同定ということは通例としてなされてきたわけでございます。その結果、先ほど申しましたように高血圧の人に脳卒中罹患率が高い。また、やせ型の人に脳卒中、特に脳出血が多い。コレステロールの低い人に多いということが検定されたわけでございます。そして、生活習慣の面では日本の困窮時代に認められた食生活、つまり御飯とみそ汁と漬け物、それに夕食に何か焼き魚や根・野菜が一品付けば上等であると言われていたような食生活を営んでいる人に脳卒中の多発が認められたわけであります。そのほか面白いことに、今は運動不足と言われていますが、当時は重労働が脳卒中の要因として浮かび上がってきたわけであります。また、男性では飲酒者に多いのも事実であることが示されました。

 こういったことで、疫学研究を実施しながらも同時に毎年の集団検診をし、かつそのデータは健康教育・指導にも生かされました。そういったことで地域レベル、集団レベルではありますが、医師、患者関係の信頼の上に研究が実施されてきたということでありまして、個人情報の同定をしましたが、個人情報が漏れるということはありませんでした。それは研究者のみが管理してきたからであります。データの公表も集団レベルに限っておりますし、また学会にはそういった地元の保健婦とか栄養士あるいは医師会の方も発表をするということで、そういう意味のの情報開示をしてきたものでございます。脳卒中は日本人に非常に多くて、日本人に特徴的な疾病でありましたから、これが日本で研究され、そしてその予防対策に関する情報が世界へ発信されたということで、高く先進諸国間において評価されております。今では10万人単位の人々を追跡するという研究が行われております。したがいまして、いわゆる文書によるインフォームド・コンセント等は非常に取るのが困難であるのは事実でございます。

 もう一つの研究デザインとしてコホート内症例対照研究というのがございます。英語ではネスティッド・ケース・コントロール・スタディと申します。これは、検診等で余った血液を研究のためにということで寄附していただき、保存いたします。そして、この研究は非常に効率的で、かつ迅速に健康危機に対応できる研究として評価されております。例えば、アメリカで有名なフラミンガムというボストン郊外の町で実施されたのは、検診後に余った血清を保存しておくということでありました。そして、臨床経験あるいは基礎研究の立場からいわゆる善玉コレステロールと言われておるHDLコレステロールが心筋梗塞の予防につながるだろうということが言われ出したときに、直ちにその保存している血清を用いてHDLコレステロールが測られました。すなわち、心筋梗塞の患者さんと心筋梗塞に罹患しなかった患者さんについて測定されて、その結果、HDLコレステロールが心筋梗塞の予防になるということが世界的に広まったということがございます。こういった場合には、当初その血中成分あるいは対象とする疾病については対象者に当然あらかじめ話すことはできません。またがん登録と輸血のために献血された試料を用いて測定した結果とをリンクさせて、C型肝炎ウィルスと肝臓がんとの関わりについても研究されたものがございます。

 もう一つの研究デザインとして普通の症例対照研究、ケース・コントロール・スタディがあります。これは、ある病気を持っておる患者さんとそうでない患者さんについて、過去における原因を探る研究であります。既に病気になっておりますから原因は過去に作用しておるからであります。その典型例が我が国の例ではございませんがサリドマイドと四肢傷害の話でございます。これはカルテをつぶさに調べられて四肢傷害児を生んだ母親と、その母親が妊娠初期に服用した薬をチェックすることによって行われたのです。これはインフォームド・コンセントはとられておりません。もしとることによって研究が長期間にわたっておるならば、その間、多くの人がサリドマイドの犠牲になっていたと思われます。いわゆる健康の危機管理に非常に貢献しておるというわけでございます。

 そのほか、種々事例はございますが、その資料に示してあるものを見ていただいたらわかりますように、疫学は人々の公衆衛生の向上にいかに寄与してきたか、また健康政策樹立に当たっての科学的根拠を示してきたかということを知っていただければ非常に幸いに存じます。

 今後、私どももこの個人情報の保護にできるだけ留意しながら疫学的研究を実施していきたいと思いますが今、幾つかの例で申しましたように、いわゆるインフォームド・コンセントがとれない場合、非常に長期間を要する場合、困難な場合があります。そういうことをしておると、がんの多発あるいは奇形の多発あるいは死亡者の続出ということが未然に防げないこともあり得るのではないかと考えております。また、当初予測もしていなかった原因あるいは疾病が現れてくる時代であります。こういった場合には、いわゆる目的外使用という話になるのかもしれません。個人情報保護と疫学の公益性とのバランスを十分に御配慮していただけたら幸いに存じます。特にアメリカ及びEUでは、こういった事情に対して深い理解が示され、基準の適用除外がなされております。もしこういった適用除外がなされなければ、多くの疫学的研究は実施不可能となってしまうのではないかと、私は考えております。

 以上で私の説明を終わらせていただきます。ありがとうございました。

【園部委員長】どうもありがとうございました。引き続きまして地域がん登録全国協議会の大島理事長から御説明をお願いします。

【大島氏】私の方から説明させていただきます。使います資料は資料2というものがございます。それから、資料2の添附として参考資料1、2、3、4と4つの参考資料を付けております。それでは、資料2の1枚目をごらんいただきたいと思います。

 地域がん登録と申しますのは、特定の地域の人口集団におけるがん患者のすべてを把握し、罹患から治癒、もしくは死亡に至る全経過の情報を集めて保管、整理、解析することと定義されております。1999年度には表1に示しましたように、34の道府県市で地域がん登録事業が実施されております。大阪府のがん登録を例にしまして、仕組みを図の1に示しました。大阪府の保健衛生部が事業の予算化をいたしまして、大阪府医師会に届出を委託します。そして、大阪府内の病院、診療所はがんの患者さんの診療の区切りの度に届出票をまとめて医師会の方に提出いたします。そして、医師会からは定期的に中央登録室のある私どもの大阪府立成人病センター調査部の方に届出票がまいると、こういう流れでございます。一方、大阪府保健衛生部では目的外使用の手続を踏みまして、保健所にあります死亡小票を大阪府立成人病センター調査部の中央登録室の方に届けます。私どもの方では死亡票を閲覧して、がんの記載のあるものをがん死亡票という形で研究をします。末尾のところに、後ろから3枚目のところに届出票とがんの死亡票を、これは大阪府がん登録の例でございますが、示しております。その後ろに統計ファイルのレイアウトを示しております。資料の2ページ目でございます。

 地域がん登録では、漏れをできるだけ防ぐために多数の情報源から異なる時期にデータを収集いたします。これを同一人に由来するものか否かを正しく判断するためには、個人同定情報を合わせて収集することが必須でございます。また、これらのデータを長期間保管し、整理することによりまして、同一人における複数の種類のがんの発生、多重がんの分析が可能となります。更にがん患者の予後調査、先ほどの図の1に戻りますと、保健所の方は市町村役場の住民票を閲覧しましてその生死を確認するという作業をしますが、このときには個人同定情報が必須であるということでございます。

 しかし、がん登録データの集計、解析に当たりましては個人同定情報は不要でございまして、がん登録においては特定の個人が同定可能な形で公表することはございません。

 地域がん登録は3番に書きましたような5つの役割を果たしまして、我が国のがん予防、がん診療レベルの向上に努めてまいりました。

 まず第1番目に書いてありますのが、がんの実態の把握でございます。がんの罹患率と書いてございますが、これはがんと新たに診断されるものを把握をして人口で割ると罹患率となるわけでございます。それからがん患者の生存率、地域がん登録で把握するがん患者の生存率は一つの病院におけるがん患者の生存率ではなくて、地域におけるすべてのがん患者について把握したもので、地域におけるがん診療のレベルの評価の指標となるものでございます。このがんの罹患率とがん患者の生存率は、がん登録という仕組みがなければ把握することはできません。

 2番目に「対がん活動の企画と評価」というのを書いてございますが、これまでの部位別のがんの罹患率の推移、例えば胃がんが減り、子宮がんが減り、肺がん、肝がん、大腸がんが増えているというような罹患率の推移を見て、これを基に将来予測をするとどのような今後がん対策が必要かということで、がん対策のプランニングができるということでございます。そのほか医療機関への情報還元、疫学研究への応用、がん検診の有効性評価と精度管理、このような作業をしております。

 注のところに書いてございますが、がん罹患率のデータは国際共同研究にも使われております。キャンサー・インシデンス・イン・ファイブ・コンチネンスというデータベースがございますが、1997年に第7巻が出版されております。世界で150 の登録室のデータがここに収載されておりますが、日本からは6つの登録室のデータがここに載っております。がん患者の生存率についても共同調査はございまして、ヨーロッパのユーロケア・スタディ、アメリカのシーア・プログラムなどのデータと比較する国際共同研究に大阪が参加しております。

 次に自主規制等の取り組みでございますが、1982年度に老人保健法の施行以降、ここでがん検診が老人保健事業として行われるということで、府県のがん登録事業は厚生省による健康診査管理指導事業実施要綱に基づいて実施されてまいりました。

 一方、厚生省がん研究助成金による地域がん登録研究班では、欧米の経験や国際がん登録協議会の作成しましたガイドラインに学びまして、1996年3月にがん登録における情報保護ガイドライン、参考資料2でございますが、それをまとめて各登録室に配布しております。各登録室ではこのガイドラインに沿って個人情報の安全保護の措置を講じているところでございます。

 最後に個人情報保護部会中間報告に対する意見でございますが、中間報告の個人情報保有者の責務5つの基本原則がそのまま基本法に取り入れられますと、地域がん登録には「本人の同意を得ないでデータを収集している」、「本人の同意を得ないでデータを利用している」、「開示の請求に応じない」などの問題点が指摘されまして、このままでは地域がん登録の存立が危うくなるおそれがございます。私ども地域がん登録では、先に示しましたようながん予防、がん診療の向上に努めてきたものでございますが、記録に基づいて届出が行われる地域がん登録は、本人に身体的あるいは経済的、時間的な負担を掛けることはございません。また、上記のガイドラインに沿った措置を今までやってまいりまして問題が生じたことはございません。

 中間報告の中で、個人情報保護の必要性とその利用の有用性の双方に配慮したバランスのとれたものとしてシステムを構築する必要があると書いてございます。欧米諸国でも地域がん登録につきましてこのバランスを考えまして、個人情報保護の高まりの中におきましても公衆衛生上の必要から適切な個人情報保護の安全、保護措置の下で本人の同意をとらなくてもデータの収集と利用が行えるよう、法的に整備してございます。我が国におきましても同じようながん登録につきまして法的な整備を、その前に中間報告にあります個人情報保有者責務の5つの基本原則に除外規定を、がん登録を含む公衆衛生活動については除外規定を設けていただきたいというのが私どもの願いでございます。以上でございます。

【園部委員長】どうもありがとうございました。それでは、ただいまの両団体の御説明について御質問をいただきます。大体3時40分ぐらいをめどにしてお願いします。どなたからでもどうぞ。

【堀部座長】大島先生に伺いたいのですが、このがん登録について地方公共団体の個人情報保護条例で登録が非常に難しくなっている例があるということを伺っていますが、具体的にはどういうものがあるのでしょうか。

【大島氏】今、多くの府県で個人情報保護条例が制定される、あるいは制定される予定であるということでございますが、1つは1996年度に福岡県でがん登録事業が廃止されたわけでございますが、福岡県の個人情報保護条例に触れるおそれがあるということが理由の一つに挙げられました。その主な理由は、余り精度が上がらないがん登録でこのままでは事業として続ける意味がないのではないかということでございましたが、個人情報保護条例に触れるおそれがあるのではないかというということも理由の一つにして事業が廃止されたというのが1つでございます。

 もう一つの例は、現在審議が行われているところでございますが、兵庫県でがん登録につきまして県の個人情報保護審議会で審議がなされておるのですが、それだけ重要な事業であれば国レベルで法的な整備をするべきではないか。県だけでこのがん登録をやっていくということには問題があるのではないかという御指摘が審議会の委員の先生からなされていると聞いております。

【堀部座長】大阪府では議論はないのですか。大阪府も条例をつくっていまして……。

【大島氏】大阪府も96年度に個人情報保護条例が制定されまして、審議会が設けられました。私はそこに行って地域がん登録の意義というものを説明してまいりました。大阪府のがん登録には法的な整備はございませんが、実施要綱に基づいて府がやっている事業でございます。その意義とか内容、それから個人情報保護の安全保護の措置等々を説明しまして、大阪府では個人情報保護条例がございますが、大阪府のがん登録は続けてやっております。それは認められておるということでございます。

【新美委員】がんの登録に関連してお伺いしますが、アメリカなどではがんについてきちんと告知をして、がんに関する情報を収集するということを診療の場面で行っていますね。その診療の場面を前提にした上で医学研究のために流用するといいますか、利用することはやむを得ないということで例外的な対応をしておるわけですが、我が国のようにがんの告知をしていない場合、そもそも何のために情報をとられているか患者さんは知らないわけですね。それをある意味で治療と関係のないところに利用するというのではちょっと状況が違うように思うのですが、その辺については何か御議論されているのでしょうか。

【大島氏】アメリカにおきましても確かに告知の状況は日本よりは進んでおりますが、そのアメリカにおきましてもがん登録ということにおける届出については本人の同意は取らないということでございます。

 それから2点目でございますが、本人の診療にがん登録は直接利益が出てくるということではございませんで、先ほど申しましたような公衆衛生の向上につながるというところに意義を認めて、アメリカでもがん登録が行われているということでございます。

【新美委員】申し上げているのは、がんに罹患したらがん登録というシステムに登録されますよということは公になっているわけですね。そうしますと、個々の場面であなたはがんですよということを告げられたら暗黙のうちに公にされていますから、自分は登録されるんだなということがわかるわけですね。

 ところが、そのシステムは我が国はできていないんじゃないか。要するに、がん患者の人は登録されますよと言っていても、御本人はがんだということはわからないわけですね。そうすると、そのつながりはどのように埋まるとお考えなのか。

【大島氏】御指摘の点につきましては、告知がされていない場合はやはり知らない間にデータが使われるという状況になろうかと思います。これについては私どもは仕方がないということで考えざるを得ません。

 ただ、がん登録のシステムを日本でもこういうことをやっていますよというのは、今まで私どももそういう周知徹底に努力してきておりますけれども、まだ少ないのではないかという御指摘もあることは事実でございます。今後その点については努力したいと思っております。

【藤原委員】先ほど田中先生の方から6のまとめのところで疫学研究における個人情報保護取扱いについて除外扱いとするようというお話があったのですけれども、地域がん登録の場合には添附資料の藤本先生のまとめられたものなどを見ますと、例えば個人情報保護の原則でも管理責任とか苦情処理というのは当然のことであるからそれには従う。ほかのところで研究の妨げとならないようにという話なのですが、疫学の方もそういう趣旨であると理解してよろしいのでしょうか。それとも、疫学の方はやはり包括的にそもそも法律の中に乗るということがだめだということなのでしょうか。それとも、苦情処理でありますとか管理体制のようなものは入ってきても構わないという御趣旨なのでしょうか。

【田中氏】それは結構だと思います。

【藤原委員】どうもありがとうございました。

【西谷委員】大阪府の場合ですが、府の保健衛生部から医師会が受託して実際の仕事をしておられるようですが、委託者である府と、それから受託者である医師会の方はこういう保護あるいは苦情というようなことに関してどういう責任分担をしているか。つまり、全部医師会の方でやっていて、ただ府の方は外にあるのか。あるいは、むしろ府が責任を負っているような感じになっているのか。その辺を教えていただければと思います。

【大島氏】今の御指摘につきましては、府の方が責任を持っていると言うべきであろうと私は思います。例えば、個人情報保護条例が96年度に大阪府でつくられたわけでございますが、それまで大阪府がん登録の資料の利用につきましては大阪府医師会長の承認を得て使うという形でやってきたのですが、個人情報保護条例ができた後、今、先生が御指摘のように医師会が責任を持つのか、府が責任を持つのかということが審議会で議論になりまして、府の方で責任を持ってやりましょうということで大阪府の方で資料利用規定というのを設けて、実際には大阪府立成人病センターの倫理審査委員会でその利用については審議し、チェックしておるということでございますので、府の方で責任を持っていると言っていいと思います。

【園部委員長】各団体のほかの先生方も、何か補足されることがありましたらどうぞ御遠慮なくおっしゃってください。

【田中氏】一番最初に申しましたように、疫学は健康政策への科学的根拠を与えるということについてちょっと補足させていただきますと、先ほど私が脳卒中の疫学的研究で申しましたようなことは全国何か所かでモデル的に実施されていったわけですね。それで、その結果、そういうモデル地域では脳卒中が顕著に減少しました。そういうことを受けて、政府は昭和57年に老人保健法というのを制定しまして、モデル地域で実施されていたものと同じような集団検診が法律の下で実施されるようにした。つまり、40歳以上の方全員に血圧等を測定するチャンスを無料で与えたということです。先生方も多分血圧測定は受けられたと思いますし、その結果、生活習慣の改善あるいは降圧薬の服薬ということをされている方があると思います。このことが効を奏してきまして、日本は現在脳卒中の死亡率は欧米諸国と同じぐらいに減少いたしました。多分そういった恩恵は国民の数千万人が血圧管理という意味で受けておるのではないかと思われます。そういったことに疫学的研究は貢献してきたのでございます。健康政策に生かされた一例として説明させていただきました。

【稲葉氏】資料の1について補足させていただきたいのですけれども、これは案という形で資料の段階では提出させていただきましたが、昨日、疫学会の理事会を緊急で開きましてこの声明を認めていただきまして、一応疫学会としてこれでいこうという形になりました。もちろん新しく修正する可能性もあるのですけれども、理事会全体の一致した意見として、是非この委員会のときに法整備に関して今、田中理事長が言われたような適用除外という形で考えていっていただきたい。

 疫学会の学会としての倫理の取り組みは実はかなり昔からやってはいるのですけれども、学会としてまとめてこういう形で出すことができたのは、ある意味ではこの基本法案が出てきてから急に進んだと考えてもいいような感じがします。約1,000 人の会員がいますけれども、やはり濃度がいろいろあります。倫理に関して非常に厳しく考える方と非常にルーズに考える方がおりまして、先ほど御意見がありましたように、法律ができることで縛りが掛かることはやむを得ない。ただ、疫学研究の意義を是非認めていただいて、研究が全くできなくなるような形にはならないように配慮を是非していただきたい。基本的には個人情報を使わないと疫学というのはほとんど成り立たない学問だと皆さん理解しておりますので、是非その辺をお願いしたいと思っています。以上です。

【藤本氏】地域がん登録のことにつきまして、始まりました当時の事情を申し上げます。

 大阪府では、大島理事長から説明がございましたが、昭和37年(今から37年ほど前)に地域がん登録事業が始まりました。そのきっかけは、当時のがんの医療が非常に低いレベルにありまして、がんは「死に病」であるというのが常識でございました。それで、後に推計しました当時の致命率、つまり何割死ぬかという率を見ますと、7割の患者が死ぬ。しかも、その末期は痛みに耐えかねて、死ぬ方がありがたいというような状況でありました。それで、とにかくがんについての医療のレベルを引き上げようということが、医師会の内部でも論議されました。

 それに対応しまして大阪府衛生部は、もしがんの実態が明らかになるのであれば、公衆衛生側としても、例えば罹患率であるとか、がんの動向であるとか、そういうことがわかれば非常にありがたい、ということになり、両者が共同して、がんの患者の実態を調べていこうということでスタートしたわけです。ですから、その結果につきましては、もちろん個人を同定するわけではありません。結果は統計として、医師会、並びにそれぞれの医療施設に知らせる。それで、それぞれの医療施設で、がんの診療についてのレベルを上げていくように努力をしてもらいたいということが、最初の目的でございました。片方では、もちろん罹患率の計測もしたわけです。

 そういうことがございましたから、当初の目的は、とにかく医療レベルを引き上げたいというところにありました。それで、大阪府全体のがん患者の生存率は、始めましたころの25%程度から、現在は40%程度まで上昇してまいりました。このことを確認できたのも、地域がん登録を行ってきたためであると考えております。もちろん、がん登録自体が生存率を引き上げたとは申し上げられませんけれども、しかし、そのことに一つの力を与えたのではなかろうか、少なくともがん医療を向上させようとの認識を与えたと理解しております。

 次に、患者を登録してから5年間観察するという問題でございますが、各病院におけるがん診療においては、これを行うことが必須の条件であります。例えばアメリカではこのことが、よく理解されております。ただ、日本の現状から言いますと、そのようなフォローアップは、ほとんどなされていないのが現状でございます。特定の幾つかの病院においては、確かになされておりますけれども、多くの病院ではなされていない。そういうような欠点を行政の方でバックアップして、がんについての医療を完結し、各医療機関のがんの診療内容をレベルアップしていこうということでございます。ですから、ある意味では、がん登録は診療の一部を形成すると理解していただきたい。そういう面がございます。

 次に、基本法に対しまして、除外規定を設けていただくよう、お願いしておりますけれども、5項目のすべてにつきまして、そのようにお願いしているわけではございません。私が資料に記載させていただいておりますが、長過ぎますので簡単に申し上げますと、まず情報収集のところでは現在、根拠になる法律はございませんので、我々としては、とにかくがんをリポータブルという形の疾病に指定していただきたい。それは個別法で規定すべき問題であります。それで、基本法におきましては、それと対応するといいますか、整合性を持たせるために除外規定をつくっていただきたいということであります。

 それから、利用のところでは、目的外使用ということが先ほど田中理事長からもお話がありましたけれども、しばしば起こるかと思います。それは学問の進歩に伴いまして、やむを得ないことであると考えます。これにつきましては、除外規定をつくるというよりも、そういう問題につきまして審査、あるいはそれの申請を受けて審査、認可するというようなシステムをどこかにつくっていただきたい。できれば基本法において、そういうことが可能ならば、そのようにしていただきたいというのがお願いであります。

 それから、情報の管理の条項でございます。その内容を現在は固定することはできますけれども、将来、例えばいろいろな検査法なり手術法なりが開発されていきますと、今から固定するということは必ずしも容易ではございません。ですから、これにつきましても認可あるいは審査するシステムをどこかに設けるよう考えていただきたいということでございます。

 それから、いま一つ厄介な問題があります。それはデータの最新性という問題であります。中間報告では最新データだけを取る、古いデータは全部捨てるというように規定されますと、誠に困るのであります。例えば、Aという病院で治療を行いまして、次にBの病院に移りまして別の治療を受けます。そして、Aの病院の報告は全部消してしまうことになりますと、その患者についての治療内容はわからなくなってしまいます。

 これに関連することですが、先ほど大島理事長が御説明しましたけれども、1人の患者が2つ以上のがんにかかるということは、10%程度必ずあります。そうしますと、前のがんについての情報は全部消してしまうことになりますので、これも困るのです。何とかそれは残していただくように、つまり除外規定をつくっていただきたいということであります。

 それから、本人の権利としまして情報の開示、あるいは削除の問題でございます。これは、がんという病名の告知の問題とも関連いたしまして、主治医の考えなしに直接患者に応答するということは、はなはだ危険であると考えております。したがいまして、何らかの検討は更に必要ではあると思いますが、これも個別法におきまして、できればそのようなことを回答する必要がないように規定していただきたい。それと整合するために基本法で除外例をつくっていただきたいと、かように考えております。もちろん基本法あるいは個別法をつくるということにつきましては、我々の力で及ぶところではございません。ひたすら関係の方々にお願いいたすということで現在、進んでおります。以上でございます。

【園部委員長】それでは、時間もまいりましたので、日本疫学会及び地域がん登録全国協議会からのヒアリングにつきましてはここまでとさせていただきます。田中理事長、大島理事長を始め御出席いただきました関係者の皆様ありがとうございました。時間の関係で本日お伺いできなかったこと、後で思い付いた質問等がございましたら、事務局を通じて後日照会させていただきますので、その節は何とぞよろしくお願い申し上げます。本日はどうもありがとうございました。

(日本疫学会及び地域がん登録全国協議会関係者退室・日本医師会関係者入室)

【園部委員長】それでは、引き続きまして日本医師会からヒアリングを行います。

 本日は日本医師会から副会長の小泉先生、常任理事の櫻井先生、参与の弁護士の奥平先生に御出席をいただいております。御多忙のところおいでくださいまして誠にありがとうございました。時間が短くて恐縮ですが御説明は20分程度、その後20分程度を関連質疑に当てたいと存じますのでよろしく御協力をお願いいたします。それでは小泉副会長さん、どうぞよろしくお願いいたします。

【小泉氏】私ども3名、日本医師会から出席いたしました。私は今、お言葉にあったように副会長を務めております小泉でございます。よろしくお願いいたします。日本医師会とこの個人情報保護との関連につきまして申し上げます。

 日本医師会は、先に高度情報通信社会推進本部個人情報保護検討部会から医療分野における個人情報の保護の問題について意見招請を受けました。これに対して、平成11年9月21日に意見書を提出し、意見陳述を行いました。その趣旨は、医療分野における患者の個人情報は、医師の倫理として伝統的に厳しく秘密保持されているのみでなく、現行の各種法規定によって厳格な保護がなされております。また、そのこととともに患者本人による自己の情報に対するアクセスについては、医師会が自らの倫理規範といたしまして「診療情報の提供に関する指針」を制定・実施するなど、適切な運用がなされていること等を主眼とするものでありました。

 今回、個人情報保護法制化専門委員会に対して意見書を提出するに当たりまして、本会が示す意見は、基本的に前回の意見書を踏まえたものでありまして、その趣旨に変更はありません。その上で、今回の意見書ではあらかじめ専門委員会から意見を求められた点、すなわち個人情報の管理の現状、自主規制等取り組みの状況、中間報告に対する意見の諸点について回答をお示しし、取り分け医療分野における個人情報を適切に利活用する機会を保証することの重要性に焦点を絞って意見を述べることといたします。

 医学・医療の世界におきましては、個人に関連するデータ・情報の分析から、これまでに多くの医学的・疫学的発見がなされ、重大な疾病の予防・治療を通じて、人類に多大な恩恵を与えてきたことはよく知られているとおりでございます。こうした発見は、個人に関する医療情報を分析することなしに成し遂げることは不可能であります。したがって、個人に関する医療情報を、調査・研究・統計等、あらかじめ想定していた目的以外の目的で利用するという状況が生じることもあり得ると申せます。これを、個人情報の保護の要請とどのように調和させていくかは、極めて重要な課題であると思います。本日の意見においては上記の問題点を十分に認識した上で、医療分野における個人情報の積極的な利活用の重要性を強く訴えるものでございます。

 次の事項としましては、個人情報の管理の状況についてでございます。医療分野における個人情報を、@医療を担当する医療機関において作成・保管する診療録、看護記録、各種検査記録、エックス線写真、CT画像等の原資料と、Aそれらの情報の中から調査・研究など特定の目的に従って抽出、集積された二次的なデータとの2種類に大別することができます。

 このうち、@の情報の中には、看護記録のように法律上必ずしもすべての医療機関に作成が義務づけられていないものもありますが、実態としてはほとんどの医療機関におきまして、これらの記録類が作成・保存されております。これらの個人情報は、現状では大部分が紙媒体、フィルム現物等の形態で保存されておりますが、一部の医療機関におきましてはいわゆる電子カルテ、マイクロフィルム、磁気ディスク等の媒体を用いた電子的な保存も行われているところであります。

 これらの個人情報に関する記録の法定保存期間は、その種類に応じて区々でございます。すなわち、診療録は5年間、これは医師法第24条第2項によります。なお、社会保険診療に関する診療録にありましても、保険医療機関及び保険医療養担当規則第9条によりまして同じく5年間、その他の記録類は医療法第21条によれば2年間、保険医療機関及び保険医療養担当規則第9条によりますと3年間の保存がそれぞれ義務づけられております。

 しかし、多くの医療機関では、これら法定の保存期間に関わらず、患者の記録について相当長期にわたり管理・保存しているのが現状であります。また、これらの今、申し上げた記録類の内容となる情報の秘密保持につきましても前の意見書、先ほど申し上げた平成11年9月21日の意見書でも明示しておりましたように、医師、薬剤師、助産婦等については刑法第134 条、秘密漏示罪の規定により、また、その他の職種についてもほとんどの身分法により守秘義務が課されているところであります。

 更に、電子媒体による記録類の保存につきましては先ほど引用しました平成11年4月の厚生省通知におきまして、電子媒体保存を実施する各医療施設ごとに「診療録及び診療諸記録の電子保存に関する運用管理規程」を作成し、保存の適正化、秘密保持等に特段の配慮をするよう義務づけております。

 先ほどの2つ目の情報につきましては、医療機関、研究機関、行政機関などにおいて調査・研究を目的として収集される情報や、疾病統計、分析など、公衆衛生上の必要性から収集される情報などがあります。これらの情報は、いずれの場合におきましても統計的に便宜なように電子的保存がなされているケースがほとんどであります。例えば、がん疾患の罹患率やがん検診の成果の把握、有効ながん対策の研究等を目的に都道府県の事業として行われる「地域がん登録」を例に取りますと、各医療機関から集積されたがん患者に関する情報は、統計的な利用を目的としてコンピュー夕処理されることになります。その際、患者の二重登録等による精度の劣化を防ぐため、患者同定に必要な氏名・生年月日等の情報を疾病情報とともに収集することが不可欠となります。したがいまして、これら統計的な調査・研究におきましても、個人に関連する医療情報を収集・管理することがその性質上必要となります。

 次に、個人情報の保護に関する自主的な取り組みの状況について申し上げます。先に申し上げた平成11年9月21日の意見書でも述べておりますように、日本医師会は昭和26年に「醫師の倫理」を制定しまして、その「第一 医師の義務、第一章 患者に対する責務 第三節」におきまして、「疾病に関する秘密義務を守ること」「患者に接するには、慎重なる態度を持して、忍耐と同情の誠を示し、その診療上の一切の秘密は絶対に厳守すベきである。」と定め、法律による規定とは別に、医師会の自主的な行為規範においても患者の秘密保護に努めてきたところであります。

 更に最近におきましても、日本医師会は会内の委員会として「会員の倫理向上に関する検討委員会」を設け、その委員会におきまして先ほど申し上げた昭和26年の「醫師の倫理」を改訂しまして、新たに「医の倫理綱領」を作成いたしました。この綱領は、本年2月の理事会承認を経まして、目下4月の代議員会において正式に採択されるのを待つという状況にあります。この綱領「3」の案文によりますと、「医師は医療を受ける人びとの人格を尊重し、やさしい心で接するとともに、医療内容についてよく説明し、信頼を得るように努める。」とあり、またこの倫理綱領にはかなり詳しい注釈を設けておりますが、その注釈の中で、患者の秘密やプライバシーの保護について言及しております。

 次に、中間報告に対する意見について申し上げます。これは、医療分野における個人情報の適切な利活用確保の重要性についてでございます。個人情報保護検討部会が平成11年11月に取りまとめた中間報告は、結論として個人情報保護に関わる基本法を整備すること、その内容は基本的にOECD8原則を踏まえたものであること、併せて個別分野における法制度の整備も検討すること等の考え方を示すものとなっております。日本医師会としては、個人情報の保護を目的とする基本法が制定されることについては、基本的に賛成の立場をとるものでありますが、同時に医学研究や公衆衛生の維持向上の観点から、医療分野における個人情報を一定の条件の下に目的外に使用することを認めることが、立法の際の不可欠の条件であることを強く主張するものであります。

 先の中間報告の趣旨に従いますと、個人情報の収集はその目的を明確にしなくてはならない、また、収集された情報を目的外に利用することを禁止するものとなっております。しかしながら、例えば先ほど申し上げた「地域がん登録」におきましては、情報主体である患者本人に対して、自己の情報が「地域がん登録」のデータベースに収載されることを医療機関側があらかじめ説明することは、がんの病名告知が進みつつある現状におきましてもまだ極めて困難な事柄と想定されます。仮に、患者本人の同意が得られた場合にのみ登録が許されるという事態になりますとすれば、発見されたがんの中のごく一部のみが登録されることになりまして、データベースの学術的価値は著しく損なわれることが明らかであります。

 したがいまして、このような疾病調査におきましては、患者についての診療情報が、本人の諾否に関わらず治療という本来の目的を離れて収集されることを認める必要性が生じるのであります。

 「地域がん登録」を始めとする各種の疾病調査におきましては、有意義な研究成果を得る上で、基礎となる情報の信頼性、すなわち精度の確保は必須の条件であります。そのため、各標本の同一性を判別する指標としまして患者の氏名、生年月日等の情報は、疾患に関する情報に附随して扱われる必要があります。また、診療によって得られた個々の症例の報告から、これまで数多くの医学上の発見、進歩が導かれたという事実も忘れてはならないことであります。歴史的に有名な煙突掃除人の陰嚢がんも、また現在世界の脅威となっている後天性免疫不全症候群、すなわちエイズも、初めは数例の症例報告がなされ、それに対して各方面からの研究が行われた結果、発見された病気であります。症例報告が必要な症例かどうかは、ほとんどの場合、前もってわかるものではありません。したがって、症例報告という目的をあらかじめ患者に伝えて、その同意を得るということは、ほとんどの場合不可能であると言えます。

 このような医学研究や公衆衛生の維持向上の観点から、医療分野におけますところの個人情報につきましては、(1)個人に関する情報であっても、特定の個人を識別できない場合、(2)個人を識別できる情報であっても、本人の権利、利益を不当に侵害するおそれがない場合には、個人情報保護に関わる基本法の適用除外とすべきであります。

 個人情報の保護は、秘密の保護に配慮しつつ、公共の福祉のための適切な利活用とを両立させることによって実効を上げるものであります。したがいまして、個人情報保護に関わる基本法を制定する際に、公共の福祉のための医学研究や公衆衛生の維持向上の観点にかんがみまして、プライバシーの保護に関する厳格な自主基準を持つ医療分野に関する個人情報について同法、すなわち基本法の適用除外とすることは個人情報の保護と矛盾はないものと考えます。

 まとめとしまして、5の「おわりに」では、個人情報の保護を目的とする基本法の制定は極めて有意義なことであるが、保護に重点を置く余り、人類全体に対する福祉が損なわれることのないように、慎重な検討を望むところである。

 以上でございます。

【園部委員長】どうもありがとうございました。それでは、ただいまの御説明に関連して質疑を行います。どうぞ御自由に御質問ください。

【堀部座長】先ほど日本疫学会と地域がん登録全国協議会からヒアリングを行いました。その際に、今、小泉先生か挙げられた中で特に5ページにありますが、基本法では適用除外という考え方もとることになると思いますが、地域がん登録法のような法律をつくって、それで対応していってはどうかという意見も出ていますけれども、日本医師会ではそういう議論というのはしているのでしょうか。いかがでしょうか。

【小泉氏】今回は基本法をめぐる論議でございますから、あえてそこまでは踏み込んでおりません。当然、法を設けなくてもその実効の上がる方法は考えなければならないとは思っております。

【新美委員】御説明をどうもありがとうございました。2点ほどお伺いしたいのですが、第1点はごくごく素朴な質問ですが、ただいま御説明いただいたところで6ページ目の(1)で書いてあるところですが、特定の個人を識別できない個人に関する情報というのは具体的にはどんなものを想定されているのでしょうか。それが第1点でございます。

 それから第2点は堀部座長のお話にも関連するのですけれども、がんの患者さんでなかなかがんを告知できないというのは進行性のがんで、余り予後がよくないというのは告知できないし、しづらい。それから、早期がんの場合には治癒の可能性があるから告知しやすいというお話を伺っていますが、告知できるものはがん登録の場合に告知なさっているのか。がん登録に登録しますよということをおっしゃっているのかどうかということです。それから、進行がんのように病名告知が難しいようなケースでは、死亡後にがん登録するのでは登録の意味をなさないのか。その点をお伺いしたいと思います。

【小泉氏】結局、特定の個人の識別というのは何らかの個人の属性というものがございまして、氏名、生年月日も紛れもなくそうでございますけれども、それ以外にもごく一般的な表現で個人の属性を示すということは状況によってはあると思います。それに基づいて個人の情報が一般化されましても、それが特定な個人と結び付かないということはそういう情報の扱いということは不可能ではありませんし、またそれを工夫するといいましょうか、試みる必要はあると思います。

【新美委員】例えば、具体的に症例報告において氏名などをある程度切断して抽象化して報告するようなものが念頭にあると理解してよろしいでしょうか。

【小泉氏】それもかなりそういうケースの多い例であると思います。

【新美委員】ありがとうございます。2点目についてもお願いいたします。

【櫻井氏】がん登録の場合、今、先生から3つのことを言われたような気がします。1つはがん告知の問題をおっしゃいましたけれども、先生は進行がんの場合はちょっと告知できないが早期がんはできるということですが、必ずしもそうではないと私は思います。全く個人的にですけれども、早期がんを私は告知しませんでした。というのは、私は早期がんはむしろ告知しない方がいいと思っているわけです。完全に治りますから。あとのフォローのためにそんなに患者さんの協力が要らないからです。ところが、あるがん専門病院の若いドクターが手術が終わった後、早期がんだったから大丈夫だよと言った途端に再発するんじゃないかということで翌日からノイローゼになりました。

 だから、私などは考えが逆なので、早期がんはほとんど治癒率が99%ですから、告知する必要はない。放っておけばいいわけで、手術後の抗がん剤の投与も何も要らないわけですから。だから、先生のおっしゃることは必ずしもそうではないと私は思っています。したがって、どういう症例が告知できるかというのは、患者さんと医師との関係の問題だと思っています。それが1点です。

 次に、それをしたとしてもしなかったとしてもあらかじめ登録するかどうかということを本人に告げるかどうかということを第2点としておっしゃったと思うのですが、本文にも書きましたように、もしそうするとすると、告げてだめだと言われたらできなくなるのだと思いますから、そうなったらデータとしていいと言った人だけのがん登録をすることになってしまうわけですから、がん登録の意味がなくなってしまうと考えます。

 それから、3番目の死亡した後ではだめかというのは、死亡した後だけではだめなので、むしろがんは例えば胃がんなどは治るのが当たり前になってきているわけですから、こういうケースは治った、こういうケースはこういう治療をしてもらったというところを見たいわけですから、死亡してからでは無理だろうと考えます。恐らくその3点を先生はおっしゃったのだろうと思いますが。

【新美委員】最後の点はよくわからなかったのですが、このケースは治った、このケースは治らなかったというのを後で登録したのでは意味をなさないのでしょうか。

【櫻井氏】でも、死亡してからと言ったら、例えば35歳で胃がんになった、85歳まで待てとか、そういうことになりますよ。

【新美委員】しかし、そういうケースもありますが、多くの場合は大体5年死亡率で見ますよね。

【櫻井氏】5年で生きていらっしゃる方が多いわけですよね。それはどうするのですか。

【新美委員】そうすると、治った方については一切話さないということが大事だということになるわけですか。

【櫻井氏】今、先生がおっしゃったのはがん登録の話としておっしゃたので……。

【新美委員】ですから、5年生存率で生きていらしても一応がんの治療が終わるわけですよね。その時点で、あなたのケースを登録しますよということはやはりおっしゃらないわけですか。

【櫻井氏】もし言うとすれば、それは困ると言われたらどうするのですか。嫌だ、そんなものは登録しないでくれと言われたら登録できないわけでしょう。そのように2つに分けろと言ったら、本人が承諾した人のがん患者登録というデータしかできないですね。それは全く学問的には意味がないのではないですか。

【新美委員】確かに学問的には意味がない。そうすると、普通の医学治験でもみんなそうですね。御本人が嫌だと言ったらできないのが原則ですね。

【櫻井氏】治験の場合はそうです。

【新美委員】だから、なぜがんの場合には……。

【櫻井氏】がんというのは、私ががんになりましょうと言ってなるのではありません。治験というのは協力してくれますかということで意思でやるものですが、がんは私はがんになりたくてなりますと言っているわけではなくて、なってしまった人に聞くわけですから、それは無理だと思います。

【新美委員】ただ、研究という面から言ったら同じではないでしょうかということです。

【櫻井氏】それは全く別問題だと思います。

【高芝委員】どうもありがとうございます。1点だけ伺いたいと思ったんですが、カルテの関係なんですけれども、カルテに関して記載されている情報の中で医療従事者の個人情報と、それから患者の個人情報が両方入っていて、それを場合によっては分けられるのではないかというような議論も聞いたことがあるのですが、そこら辺の議論がありましたらおわかりのところで教えていただければということと、分けられるものなのかどうかというところも含めて教えていただければと思います。

【櫻井氏】先生のおっしゃる医療従事者の情報という意味は、私ならば私が考えたこととか、よく言うメモ的なこととか、そういう意味の医療従事者に関する情報をおっしゃっているのですか。

【高芝委員】専門的な治験の考えているところとか、思考過程を書いてあると。

【奥平氏】主観の部分と、それから客観的な経過とかですね。

【櫻井氏】私は少なくとも現状のカルテには、法で決められている部分ではその辺のことははっきりしていませんから、ある程度は医師の自由になってしまっているというか、医師法で決められているのは余り細かいことがなくて、どちらかと言うと保険医療をやるには療担の規則があるので、そこには診療に必要なことを書けと書いてありますから、必要なことは何かというのは医師の判断に任されていると私は解釈していますので、先生がおっしゃるようにいろいろなことが書かれている。ですから、客観的な患者さんに関わる、例えば検査データとか、血圧を測ったとか、所見とかというのはもちろんそうです。

 ただ、正直言って、所見も絶対的に判断できる所見と、ある程度医師の判断が入った所見とあり得ると思うのです。特に精神的な問題に関して、心の問題に関しては、所見と言っても医師がどう考えたかという部分が入りますから、そこも難しいところはあると思います。それ以外にも、今ちょっと奥平先生も言っていただいたように、自分の考えとかアセスメント、あるいは他の医師との相談の内容、それから前からあるのですけれども、この患者さんについて、例えばせきとたんがあれば肺がんも考える、慢性気管支炎も考える、ぜん息も考えるというようなその考えを記載するというようなこともあります。それから、女性の場合は本人に妊娠していらっしゃるかどうか聞いて、本人は妊娠していないと言っているけれども、もしかしたら妊娠しているかもしれないというような感想に近いというか、そういう感じたことを書くこともあります。そういうことは十分あるので、よく言われるメモの部分とか日記の部分、それから今、言いましたアセスメントの部分もあるし、鑑別診断みたいなものを一応考えを整理して書いておくとか、そういう部分がある。

 それで、それを区別しろとおっしゃればある程度はできますけれども、先ほど言ったとおりオーバーラップする部分もあると思います。

【高芝委員】それは現実問題としては区別しづらいところでしょうかね。

【奥平氏】それから、今の質問は新美先生などはお詳しいですけれども、ドイツの判例でそういういわゆるデュアルシステムで主観的な部分は出さなくてもいいので、客観的な部分は開示すべしという判例があってそういう議論になっていますけれども、現実に私どもが見ております日本の診療記録、診療録の中では、そういうことが区別できるような形ではほとんどできていない。もともと開示することを前提としてつくられていないという面もあるせいかもしれませんけれども、ほとんどそれは現実にはそうなっているということだと思います。

【小早川委員】2つですが、1つは先ほどのがん登録との関係ですけれども、先ほどは個人に対する告知を前提にしたがん登録の同意云々という論点でした。そこはいろいろ難しいのでしょうが、そうでなしに例えば医療機関の掲示板に、がんの症例についてはがん登録の制度があって登録します、内容はこういう制度ですというような周知徹底をしておられるのか、あるいはすることで何か効果といいますか、厳密な意味でのインフォームドコンセントにはもちろんならないわけですけれども、それに代わるものとして機能するのではないかという気がちょっとするので、それについての御感想を伺いたいのが1つです。

 それからもう一つは、ここの御説明の中で従来の倫理綱領を改めて新しいものにされるという御説明があって、私は詳しく存じませんが、従来のものについては守秘義務についてかなり強い書き方がしてあるのですが、新しい綱領ではそれが先ほどの御説明ですと本文からは消えているのでしょうか。注釈で言及があると言うのですが、あるいはやはり個人情報についてもいろいろな公衆衛生上あるいは研究上の必要からある程度の一定の利活用をするのだというようなことで、やや物の考え方が違ってきたというようなことなのかなとも思うのですけれども、その辺を御説明いただければと思います。

【櫻井氏】前半のがん登録の部分は、私は全体を知っておりませんので、全体を知っていないという意味はがん登録をやっているところで先生のおっしゃるような方法でインフォメーションの仕方をしているところがあるかどうかを把握していませんので大変申しわけないのですけれども、先生のおっしゃっているような方法をやることによって、おっしゃったように完全な一人ひとりのインフォームド・コンセントではないけれども、そういうことで全体的なインフォームド・コンセントがある程度得られるのであれば、確かに先生のおっしゃった方法はいい方法かなという気はしました。

 ただ、がん登録は実際に各県でやっているわけで、私は全国を把握していませんので大変情報不足で申しわけないのですけれども、やっているかどうかと言われますと、やっているところもあるのかなという気もするのですが、特にがんを予防する月間とか週間とかありますから、そういうときなどはそういうことをやっているのは見たことがありますけれども、普段からいつも診療所とか病院に貼ってあるかと言われると、ちょっとわかりませんで大変申しわけございません。

 でも、先生がおっしゃったような方法をやった方がよければ、それは例えば一人ひとりの承諾よりはできることだと思いますので、そういうことでがん登録がうまくいくのならば大変ありがたいアドバイスをいただいたと思いました。

【小泉氏】守秘義務ですが、御指摘のとおり、この注釈の方でそのことについて説明しておりまして、例えば医師は患者の秘密を他人に漏らさないということは古代ギリシャのヒポクラテスの時代から医の倫理として強調されてきております。我が国では当然、先ほどもちょっと触れましたが、刑法によって医師の守秘義務が定められております。もし医師がこの規範を破るようなことがあれば、患者は医師に正直に自分の問題について話をしなくなるでありましょうし、医師と患者の信頼関係が崩れてしまうことになります。

 最近、報道機関等から情報公開の要求が強くなりまして、有名人の病状の説明や脳死体からの臓器移植をめぐる、言うなれば過剰な取材報道を見ますと、患者の秘密やプライバシーの保護について考えさせられるところも多いのでありまして、医師は情報公開の流れの中で患者の秘密やプライバシーの保護に十分配慮すべきであるというのがこの注釈の考え方でございます。

【奥平氏】それからちょっと追加いたしますと、26年の医師の倫理というのは、前回の意見書に添附してある資料ですのでこちらの方にあるかと思いまして今回は添附しておりませんが、非常に多くの条文になっております。今回のこの4月に採択される予定の倫理綱領というのは6項目だけにしまして、あとは注釈に譲っています。

 それで、綱領を非常に短くしたというのは、各医療機関が自分の例えば診察室などには張れるとか、待合室に張れるとか、あるいはメモ帳にも入れるとか、そういう一番基本的な問題だけに絞って6項目にして、あとは注釈に譲ろうということでそういう体裁になっているだけでありまして、守秘義務について軽く扱うからそれを落としたとか、それについて前のときと違う利活用に重点を置くといったような議論はされておりません。

【櫻井氏】項目的には確かに説明になっていますけれども、ちゃんと情報の開示と医師の守秘義務という言い方で、これは資料でお配りすればよかったのですが、代議員会決定を受けていないものですから、ある意味ではまだ公になっていないということで今日お配りしていないので申しわけないと思いますが、そういう意味です。

 それと、正直言ってこの委員会ができて討論しているときは、実は利活用のことなどは考えてもいなかった思うのです。ですから、利活用のために守秘義務の程度を下げたということは考えられないと思います。そんなことは考えていなくて、むしろちゃんと守りなさいということの議論をしているので、情報を利活用するなどというのはこの委員会は考えていないのではないかと思うので、それを考えてやったということはあり得ないと思います。

【高橋委員】非常に素朴な質問を1つだけさせていただきたいと思いますが、調査や研究については基本法から外してほしいということをおっしゃいました。御趣旨はよく理解できるのですけれども、除外を考える場合の範囲について、本人の同意が必要だとか、あるいは目的外利用といった点について適用されては困るという点はよくわかるのですが、一般の人が心配しているのはそういうことではなくて、そういった点は医学のために自分のデータが役立つならばどうぞというのが普通だと思うのです。

 そうではなくて、例えばそういう個人の情報が研究とは全然関係なく、例えば医者の方御本人がそういう使い方をするということはないかもしれませんが、例えば一定の業者でそういうデータがあると非常にありがたいと思っている人はいると思いますし、あるいは宗教団体の人が欲しいと思うかもしれない。そういう方向へ使われるのではないかという不安ではないかと思うのですけれども、そこまで除外されてしまうのか。それとも、そういうのは別にきちんと規定していただいていいという趣旨なのでしょうか。

【奥平氏】例えば従業員とかの目的外の利用ということですが、目的外というのは全部できるというのはではなくて当然限定があるだろうと思います。先ほど言ったような学術研究とか、公衆衛生のための調査統計とか、そういう形の限定の条項が入ってくる。それはEU指令でも皆そのようになっていますから、そういう限定の場合は同意を要しないという趣旨となる意味で適用除外と言っておるのだろうと思います。

【櫻井氏】これは法律のことで私はわかりませんけれども、我々が医師の守秘義務と言われると刑法、法律の話ですから、もし間違っていたら先生方に直してほしいのですけれども、医師、薬剤師、弁護士さんなどもそうですが、幾つかを挙げて、その人たちが正当な理由がないのに業務上知り得たことを他人に漏らしたら刑罰だというようなものがあるのですけれども、それを医療従事者という形で広げた方がいいということでおっしゃっているのであれば、私はそれには賛成したいと思います。

 むしろ医者だけがだめで、看護婦とか受付の事務は勝手に漏らしていいよというのはもともとおかしいわけで、それはむしろきちんとしていただいていいように私は思いますけれども、法律的な解釈はよくわかりません。

【高橋委員】刑法上はそのようになっています。

【櫻井氏】ですから、私どもが言っているのは、医師はきちんとそういうことで縛られていて、先生がおっしゃるような、例えば業者に患者さんの情報を流すなどということは絶対にできないわけです。

 ところが今の法律だと、規則的に言えば事務の人が情報を流しても医者が、おまえがちゃんと監督していないからだなどと言われることになるのではないか。でも、一人ひとりの事務職員まで監督するということは不可能に近いわけですから、むしろ先生のおっしゃる意味だったら、私は逆にそこをきちんと縛ってもらって、守秘義務は医療従事者全員にあるのだから、今、医師が縛られている刑法的な部分を、もちろん今だって医師の場合はおっしゃったように業者に流せば罰せられてしまうわけですから、それはそれでいいように私は思うのですけれども、それを医療従事者全員にきちんとすればいいのであって、先生のおっしゃるように、一般の方が心配する、病院に行って自分の情報がほかに漏れることはないよと言えば、安心されるような気はしますから、それはむしろ縛っていただいていいように私は思っているのです。

 ただ、今のは個人的な意見で、そういう議論は余りしていませんので、申しわけありませんけれども、御質問がそのようなお話だったのでお答えしました。

【遠山委員】まさに今、御議論があったことをお聞きしようと思っておりましたので、大体それでいいと思いますが、目的外ということで簡単にその法体系の外から出たいということではなくて、やはりそれは限定的に考えないといけなくて、それが公共の福祉のための医学研究と公衆衛生の維持向上、これ自体もかなり漠然としておりますけれども、本当にそれだけなのかなということが確認できないと、今回の大きな流れとしての個人情報を守るという流れから外れてしまうのではないかと思います。

 それが1つと、小さい質問で恐縮ですが、簡単に答えていただきたいと思います。お医者さんがお書きになるカルテといいますか、診療法は今後ともああいうマニュアルでずっといくのかどうかということですね。もうちょっと手で書かれて機械処理とか、今後ともそうであるのかという見通しが1つです。

 それから患者が、病院へ行きましていろいろな検査をいたしますね。そうしますと、最近はそのまま自動的にコンピュータにデータが乗るんですね。それで、別の診療科へ行きますとそれを引き出して、個人情報の何とかと言っていないですぐ利用されて、まさに利活用なのですが、それが仮に将来病院を超え、あるいはいろいろなものを超えてコンピュータにつながっていくとどうなるのか。利活用とは言いながらかなりの重要な、血液の中に何が入っているとかということも全部外に漏れていってしまう、そういうコンピュータ時代に入ってきているのですね。そういう中で、医の倫理綱領だけで守れるかどうかということがありますから、そういった点も深く考えていかないといけないと思いまして、そのことについて御感想をお聞きしたいと思います。

【小泉氏】手で書いた診療録のみでないということは、もう今日では電子カルテという言葉で常識化されておりますから、常識で電子カルテにおいていかにして個人情報の保護をするかという技術的なものを含めた課題に入っていると思っております。

 それから、電子化された情報が今の先生のお言葉では、ある診療科から別の診療科にという、それはアクセスが病院内であればどこでもということには通常はなっておりませんから、必要なところへ必要な診療科、必要な医師が必要な情報を取り出す。多くの場合、自らの指示で検査が行われた場合とか、そういうことでございますから、それに対しては十分な歯止めが掛けられると思います。

 それから、異なった医療機関についてはもう申すまでもなく、情報管理を行えば今、御指摘の御懸念のようなことは十分に防げるし、また防がなければならないと私は思っております。

【櫻井氏】2つ御質問があったと思います。後ろの方は今、小泉副会長から回答がありましたから追加ですけれども、この本文にも書いてありますけれども、電子カルテについては2ページの下から6行目ぐらいに「磁気ディスク等の媒体を用いた電子的な保存も行われている」ということで、厚生省の健康政策局長と医薬安全局長と保険局長の3局長の通達という形のものが出ていまして、今までは実はこれをカルテとして認めていなかったのですね。それで、カルテとして初めて認めたのがこの11年4月の通達なのですが、その中に今、副会長がおっしゃったようなことがきちんと書き込まれていまして、例えば保存義務のある情報の真正性が確保されているとか、書き換えができないとかいろいろ書いてありますけれども、施設で管理者が運用管理規程を決めてやりなさいとか、患者のプライバシー保護ができること、適正な運用管理を行う必要な事項があるとか、情報の保護を十分にするとか、そういうことが幾つか条項に挙がっていまして、それができているものにだけ電子媒体によるカルテを認めるという形になっていますから、これのできていないのは電子カルテではないのです。勝手に入れているだけですから、それは認められていないということです。今までは紙しか認めていなかったものを、でも現実に合わせるために縛りを相当かけて、それだけ認めたということです。

 それからもう一つ前の問題は、本来の目的外使用というところの情報の保護だと思うのですけれども、先ほども申し上げたことで、私は医師会ですから医師というものを主語に考えているので、医師にはそれだけ守秘義務がきちんとかけられているから、医師がそういう目的外使用、あるいは本人に承諾を得ないで使う場合も、もともとの縛りがあってやるのだから、それが研究のためだったら使わせてほしいという趣旨のヒアリングに対するお答えになってしまっているので、では事務職員もそれがいいのかという話になると、先ほどおっしゃられたようなことがありますから、それは事務職員が勝手に情報を集めて何かに使うということは許されなくても私は構わないと思います。それは医師の責任においてということになっていいと思っております。それは、医療関係者の事務職員団体でもあれば何と言うかは知りませんけれども、私は医師としてはそう思っています。ですから、あくまでも医師会ということですから医師を主語に考えて、医師はこうしているし、こういう縛りを受けているのだから、医師にはこれを許してほしいと、そうなっているということで御理解いただきたいと思います。

【園部委員長】議論は尽きませんが時間もございますので、日本医師会からのヒアリングはここまでとさせていただきます。小泉副会長を始め関係の皆様、本当にありがとうございました。時間の関係で本日お伺いできなかったことは、また事務局を通じてお伺いします。その節はよろしくどうぞお願いいたします。どうも長時間ありがとうございました。

(日本医師会関係者退室・全国銀行協会・全国信用情報センター連合会・株式会社シー・アイ・シー関係者入室)

【園部委員長】どうもお待たせしました。引き続きまして全国銀行協会、全国信用情報センター連合会、株式会社シー・アイ・シーの3団体からヒアリングを行います。

 本日は全国銀行協会全国銀行個人信用情報センターから橋本業務部長、全国信用情報センター連合会から平野副会長、株式会社シー・アイ・シーから原田専務取締役にそれぞれおいでをいただいております。御多用のところ御出席ありがとうございます。御説明ははなはだ恐縮ですが、3団体で20分でございまして、1団体7分程度でございますのでその点よろしくお願いいたします。その後、20分程度一括して関連質疑に当てたいと思いますので、よろしく御協力をお願いいたします。

 それではまず全国信用情報センター連合会の平野副会長から御説明をお願いいたします。

【平野氏】何分にも限られた時間でございますので、御下問の点につきまして個人信用情報機関の立場から、個人信用情報保護の自主的な取り組み状況並びに現時点における私どもの考え方をできる限り簡略に説明させていただきます。

 資料の5が私ども全情連の資料でございますが、御手元の1ページにございますように私ども全情連は全国33の独立した株式会社形態の信用情報機関、私ども通称情報センターと呼んでおりますが、33の情報センターで構成する任意団体で昭和51年に設立されました。詳しくはパンフレット等が入ってございますのでお目通し願いたいと存じます。

 各情報センターの加盟会員はいわゆる貸金業規制法に基づく貸金業登録業者でございまして、情報センターの主な会員はその中でも消費者金融専業者でございます。現在、資料にもございますように4,800 社、1万1,000 店舗の会員が加盟しております。登録情報においては消費者金融業界の残高をほぼ網羅しているものと自負しております。

 御下問の、保有するファイルの種類及び形態等については、この後にも予定されていますところと大差もございませんし、資料にも明示いたしましたのでお目通し願いたいと思います。

 私ども全情連を端的に御理解いただくために、先に申し上げました消費者金融専業者団体であることのほかに3つの特徴を申し上げたいと思います。

 まず第1の特徴としましては、会員はすべての貸付けに当たって照会を情報センターにかけることになっております。また、貸し付けた契約に関わる信用情報をすべて情報センターに登録するいわゆる全件照会全件登録を義務づけていることでございます。

 2番目の特徴としましては、お客様、消費者の直近時点の借入残高を正しく把握するため、お客様が入金される都度、その残高とその入金日を即時に報告する、いわゆる残高報告の日時更新システムを構築していることでございます。この2つの制度によりまして情報の正確性、あるいは最新性を維持しつつ、情報の量的あるいは質的な充実を可能としているところでございます。

 また、すべての貸付けに関わる情報はお客様ごとに整理収集する、いわゆる名寄せシステムというのを採用しておりまして、これが第3の特徴になっております。この名寄せシステムは利用会員にとっての利便性だけでなくて、情報の正確性の向上にも大きく寄与しているものと思います。

 こうして名寄せされました登録情報が、資料にもございますように1,445 万人でございます。件ではなくて1,445 万人について情報が登録されてございます。照会件数は昨年1年間で1億5,000 万件余りでございました。報告件数はそれの約2.6 倍、3億8,000 万件余りとなっております。これは入金の都度、あるいはお客様の属性の変更の都度、データ更新がされることにより情報内容の正確性と最新性が維持されていることの証左と考えております。 本人開示制度の状況についてもお目通しのとおりでございまして、異議または訂正削除は開示件数の約1%程度でございます。消費者対応窓口として正常に機能しているものと考えております。

 3ページにございます情報の相互交流、いわゆるCRINにつきましてはこの後、銀行協会さんから御報告いただくことになっておりますので割愛させていただきます。

 次に資料4ページの自主規制等の取り組み状況でございます。私ども全情連では1980年OECD理事会勧告のデータ保護8原則及び当時の我が国の行政管理庁のプライバシー保護5原則、並びに米国の1970年、いわゆるFCRA、公正信用報告法等を踏まえまして、OECDの理事会勧告の翌年でございます1981年には御手元に資料別紙で入っております資料3にございます全情連倫理綱領というものを策定いたしまして、個人信用情報の保護に関する基本方針を明確にいたしました。この倫理綱領によります基本方針に基づきまして、その後20年余りにわたりまして各種情報機関の規定等を整備いたしまして、個人信用情報の保護を実効性あるものとするために鋭意努力してまいった次第でございます。

 具体的には情報センターと加盟会員との間で締結する信用情報交換契約書、これは別添の資料1に入ってございます。この契約書に基づきまして、情報センターと加盟会員が守るべきさまざまな事項を盛り込み、情報主体のプライバシー保護に配慮した個人信用情報の厳正な取扱いを会員に要請し、これに違反した場合は当該会員に対して情報の提供停止等の罰則を厳正に適用しているところでございます。

 情報の利用制限についての一例を御紹介させていただきますと、全情連ではと申しましても、この点では日本の情報機関はほぼ共通してございますが、会員が信用情報を利用できるのは信用の供与を伴う取引相手の返済能力の調査、いわゆる与信判断目的のみに厳格に制限しております。自分の会社の社内といえども人事採用だとか、雇用目的であるとか、あるいは社内の人事管理目的などの情報照会も、目的外利用として厳しく禁じているところでございます。

 昨年の臨時国会におきまして、情報センターの会員でございます商工ローン業者が国会に参考人として招致されました際に、信用情報を自社の人事考課に利用していたとして、情報センターから1か月の情報停止処分を受けた事実について、議員と商工ローン業者の間で質疑応答があったことは御記憶にあるのではないかと存じます。自主規制によりまして運営される我が国の情報機関が、法令によって許される範囲で顧客のDMや保険の引受け等に広範な利用を行っている欧米の情報機関と大きく違う一例でございます。

 更に資料にもございますように、加盟会員の各店舗には信用情報取扱主任者制度というのを設けております。これも御手元にこういうカードが入ってございますが、主任者にはすべてこういう写真付きのカードがございまして、主任者を設置するとともに研修会等への参加を義務づけまして、情報管理の現場責任者としての自覚を促すとともに責任の明確化を図っているところでございます。

 その他、5ページにもございますように、公的機関からの信用情報の照会につきましても、裁判所の命令以外は原則として照会に応じないなど、極めて限定的に対応しているのが現状でございます。

 このような自主ルールに基づく保護措置は、現在会員制度の範囲内においては一定のと申し上げますか、かなりの効果を上げているものと考えておりますが、一方で外部が関与するものについてはその限界があることも事実でございます。6ページの上段にも「現状の問題点と課題」として挙げさせていただきましたが、実際にありました例として外部の者が貸金業者になりすました上で情報センターに入会して信用情報を不正に入手し、これを売却して利益を得ようと企てるようなケースにつきましては、個人信用情報そのものが法による保護の対象となっていないために、単に貸金業規制法上の不正登録違反あるいは端末機の不正取得の詐欺といった告発にとどまるのが実情でございました。それから、プライバシー侵害における情報主体の保護にはおのずと限界があるというのを痛切に感じております。

 また、第2項にも挙げていますように、本来情報主体である本人の保護を図るべき本人開示制度が、実は第三者による強要によって本人が開示にきて、何らかの証明目的等の目的外に利用されていることなど、個人信用情報の保護のための法令による安全確保のための何らかの担保措置が必要と痛感しているところでございます。

 最後になりますが、個人情報保護検討部会の中間報告に対する部分でございます。この専門委員会におきまして、私どもが関係する個別分野としての個人信用情報の保護に先駆けて、個人情報全般の保護システムの在り方という基本原則が基本法として示されるものと理解しておりますが、信用情報分野における個別法の在り方につきましては、先に出された中間報告にもあるとおり、この分野における個人情報の内容や収集利用の形態、利用の程度、その実態や特性を踏まえていただくとともに、先ほど申し上げましたように自主ルールが一定の機能を果たしているという現状に十分御配慮いただきたいと存じています。 そして、その上で更に先ほど申し上げましたように情報の不正入手など、自主ルールでカバーできない限界的な問題については一定の法的措置が必要不可欠であると考えています。信用情報機関といたしましては、我が国における消費者信用社会の健全な発展を促進する上で、今後の法整備に当たって個人信用情報の保護については厳しい措置も必要かと考えますが、合わせてクレジット社会のインフラとしての個人信用情報の円滑な流通が図られますよう、個人信用情報の利用の側面について十分な御配慮をいただきたいと存じております。

 以上、簡単ではございますが、全情連からの報告をこれで終わらせていただきます。ありがとうございました。

【園部委員長】どうもありがとうございました。それでは次に全国銀行協会・全国銀行個人信用情報センターの橋本業務部長からお願いいたします。

【橋本氏】それでは、私どもの資料の1枚目が全体の目次でございまして、次にAという資料がございますので、これをご覧いただきたいと思います。これで、当センターの現状をまずご説明申し上げます。

 私ども全国銀行個人信用情報センターでございますが、これは銀行がメンバーになっております全国銀行協会が設置・運営しております個人信用情報機関でございます。会員につきましてはそこにありますが銀行などの金融機関、住宅金融公庫などの政府系金融機関、それにクレジットカード会社、保証会社など、これは11年末ですが、1,810 会員となってございます。

 登録されている情報ですが、ここにあるように氏名、生年月日、住所などの顧客識別のための情報、それから借入日、借入金額などの取引内容、延滞、強制回収などの事故情報、それから会員がセンターに照会をかけてきた日付などの照会記録情報、こういうものが登録されておるわけでございます。

 また、登録されております情報について、ご本人からの異議申立ての手続というものを定めてございます。この異議申立てがありました際にはまず苦情受付コードというものを登録いたしまして、情報を出す際にそのコードを付けて出すことによって、他の会員にそういう状況であるということがわかるようにするとともに、必要な場合には会員にいろいろ状況を聞いた上で訂正・削除を行っているわけでございます。

 これらの情報につきましては、すべて当センターにおきまして集中的に自動処理が行われております。保有情報量は6,764 万件、そのうち1.6 %が事故情報ということで、大部分は貸出しの実行情報等のいわゆるポジティブ情報ということになってございます。照会件数は年間1,856 万件、情報の登録期間は原則5年間ということになってございます。

 次に1ページのAに個人信用情報機関の在り方がございます。これは実は昭和61年に大蔵省通達が発出されておりまして、これに沿って当センターの規則等の自主ルールを定めておるところでございます。ただ、この通達につきましては、当局の組織見直しによりまして平成10年に廃止されております。ただ、私どもセンターといたしましては、その趣旨については引き続き変わっておらないというふうに考えておりまして、これに照らして適正かつ間題なく運営しているというのが現状でございます。

 自主ルールの主な内容は2ページ目に書いてありますが、データの正確性・最新性の維持、目的外利用の禁止、秘密の保持、情報の登録・利用に関する本人の事前同意の取得、本人への登録通知、これは事故情報を登録した場合に当センターから登録したご本人に対し通知をいたしております。そういうことを当センターとしてはやっておるわけでございます。

 それから本人に対する登録情報の開示、これは全国50か所の銀行協会で本人開示を受け付けております。昨年中は2万5,283 件の開示請求がございました。このほかに、前述のように異議申立ての手続ですとか罰則などを定めておるわけでございます。

 次に(2)の「三者協議会の現状」をご覧いただきたいと思います。この三者協議会ですが、これは本日出席させていただいております全情連、株式会社シー・アイ・シーと私どもの3機関、それからこれらと関連する団体で構成されているものでございます。その現状について簡単にご説明申し上げます。

 この三者におきましては、多重債務防止・適正与信の観点から、昭和62年3月からネガティブ情報に限定いたしました情報交流、これは通称CRINと呼んでおりますが、このCRINを実施しておりましてこれまで円滑に運営しております。更にこの10月でございますが、運転免許証等の紛失・盗難、あるいは同名異人、こういう方々に関する本人申告コメント、本人が申告をいただくとそれをお互いに交流すると、こういうことを実施する予定にいたしておるところでございます。

 また、昨年3月でございますが、本日もご出席されております堀部先生に監修をいただきまして「信用情報機関における個人信用情報の保護に関する指針」を三者協といたしまして策定いたしております。以上が三者協議会の現状というところでございます。

 続きまして、(3)の私どもセンターの現状の問題点・課題というところでございます。全銀協のセンターといたしましては、従来より情報の正確性向上、消費者保護、セキュリティ強化等に努めておるところでございますが、更に次の3ページに次期システムというものがございまして、現在次期システムの開発を進めておるところでございます。更に情報の質を高めるということで、漢字システムの導入、登録情報項目の追加、データの暗号化などの機能を追加いたしました次期システムを本年の10月に稼働する予定にいたしてございます。以上が、私どものセンターの現状でございます。

 次に、3ページの2の個人情報保護検討部会中間報告に対する意見というところで私どもの意見を申し述べさせていただきます。私どもセンターは、銀行の業界団体でございます全銀協が運営しているものでございまして、3ページ以下に記載している意見の内容は、昨年12月に提出いたしました全銀協の意見書とほぼ同じ内容になってございます。

 ポイントについて若干申し述べさせていただきたいと思います。私どもで述べさせていただきたいのは下線を引いております。その中でも次の4ページの(2)「保護すべき個人情報の範囲」のBというところにアンダーラインがございますが、「民間事業者については自動処理情報に限定することをも視野に入れた検討が必要」と私どもとしては考えておるわけでございます。

 それから、次の(3)の「個人情報保有者の責務」というところでございますが、私どものような個人信用情報機関は、会員から情報を収集し、これを会員に提供することを目的としている関係上、先ほどご説明をいたしましたとおり、すべての情報をセンターの方で集中的に自動処理し、本人開示でありますとか異議申立てなどの手続につきましても当初からシステムに組み込んでいるということでございます。

 しかしながら、これと同様なシステムを民間事業者に求めるということは無理があるのではないかと考えておりまして、次の5ページの一番上で「特に、個人情報の収集及び本人情報の開示等については、法の実効性を確保する観点からも、民間事業者の実務面への十分な配慮が不可欠」と、こういう考え方を述べさせていただいております。

 なお、その下の(注)にございますが、現段階で私どものメンバーである銀行の実務上問題になると考えられる事項を挙げておりまして、これを資料Bということで付けさせていただいておりますので、後ほどお読みいただければと思います。

 それから最後でございますが、(4)の個別法、自主規制の在り方というところでございます。これにつきましては、個人信用情報に関しまして個別法について検討すべきという項目が中間報告の中に盛り込まれたわけでございます。それに対します私どもの考え方といたしましては(4)の@のアンダーラインのところにございますが、「多重債務防止・適正与信の確保の観点から、ポジティブ情報の交流を含めたより一層の利用が不可欠」であるという考え方を述べさせていただいております。それからその下のAのところでございますが、「基本法及び各個別法間の整合性を十分に図ることが必要」だと、こういう基本的な考え方を述べさせていただいております。

 以上が私のご説明でございますが、それ以外にいろいろ資料を付けさせていただいております。私どものセンターの概要等につきまして説明した資料でございますので、後ほどお読みいただければと思います。私の説明は以上でございます。

【園部委員長】どうもありがとうございました。それでは最後に株式会社シー・アイ・シーの原田専務取締役から御説明をお願いいたします。

【原田氏】繰り返しになるところが多々ございますので、コメントだけ申し上げます。

 当社の特徴といたしましては、私どものいわゆる情報を登録し、あるいはその情報を利用する会員というのがございますが、その会員の業種業態が非常に多業種多業態にわたっているということでございます。信販会社や銀行系のクレジット会社、あるいは百貨店さん、そういったいわゆる販売信用を中心とした多業種多業態の会員というのが当社の特徴ではないかと思っております。

 主要な業務としては、個人信用情報基幹業務として信用情報の収集、管理、提供、開示というのがございますけれども、これと、実は今年の4月1日から開始をしようとして、既に新聞発表等を行っておりますクレジットカード等の紛失、盗難に関わります連絡代行サービスというのがあります。これは他の機関と少し違う点ではないかと思います。

 保有します個人情報の種類等につきましては、ここに書いてあるとおりでございますので時間の関係上、割愛させていただきます。

 登録の件数は、クレジット情報が1億6,968 万7,000 件という状況でございます。当社の一つの特徴といたしまして、申告情報というのがございます。7,976 件、これは消費者が自らのコメントを書いて、そしてそれを当社のコンピュータ上に登録するというものでありまして、例えば保険証を紛失したというような場合に、保険証を紛失したのでこれに基づく与信は行わないでくださいというようなコメントを出せることになっております。これが一つの特徴かと思います。

 それでは、個人情報の保護措置につきまして申し上げます。2ページでございますが、これにつきましては当社としてまず申し上げなければならないのは、当社の経営理念として個人信用情報の保護と整備というものを明確にしております。これは1ページの上から4行目のところに「経営理念」とありますが、そこに書いてありますように、個人信用情報の保護と整備というものを当社の経営理念としても明確に提示して、これを我々は実行するということを内外に宣言しているわけでございます。それが1つの特徴であります。

 それからもう一つは業務検査、内部検査でございます。専任の監査部門を設けているということと、更に監査法人に単なる会計上の監査ばかりではなくて、こういったセキュリティ面も含めた監査を行ってもらっています。そういう透明性のある経営をやろうということで運営しております。

 それからもう一つは、3ページに書いてありますように利用会員に対するモニタリングで、これは私どもから利用していただきます会員さんがどういう使い方をしているかということにつきまして、これはなかなか難しいのでございますけれども、コンピュータシステム上、管理上、お客様の利用を常時チェックするシステムをつくりまして、これで運用してやっております。

 もう一つは、当社の商品といたしまして暗号化の推進ということで、コンピュータ用の暗号化ソフトを当社がCICロックあるいはパソコン用の暗号ソフト、CPロックといったものを開発いたしまして、それを会員さんに導入して使っていただくように勧奨しております。情報の開示は全国11か所の支店で行っておりまして、月間平均情報開示件数は3,213 件となっています。

 次に、自主規制等の取り組みの状況でございます。これはここに書いてあるとおりでございますが、4ページの(2)に「自主ルール制定協議会」というものを書いておりますが、これは先に行われました通産、大蔵のいわゆる共同懇談会の報告書で提言されましたことを踏まえまして、今、業界で自主ルールというものを策定しております。既にガイドラインとか、そういったものはあるわけでございますけれども、これを新たな視点からもっと実効性のあるものにするということで現在検討しておりまして、クレジット産業協会と全国信販協会、それと私ども3者で自主ルール制定協議会というものをつくりまして、1年ちょっとたっていますけれども策定しております。これが自主ルールの取り組みの状況でございます。

 中間報告等に対する意見でございますけれども、既にお話がございましたように、まず是非御理解を賜りたいのは、個人信用情報というのは個人情報の一つとしてプライバシー保護の対象となるということは言うまでもございませんけれども、消費者信用に関わります個人情報を個人信用情報機関を介して与信業者間で流通させ、与信のために相互に利用し合うということにまさに固有の意義があるわけでございます。特に現在、多重債務防止と適正与信の確保の観点から、個人信用情報についてはより一層の流通・利用の拡大というのが社会的に要請されているということでございまして、この点についての十分な御理解を賜りたいと存ずる次第でございます。そういうこともございまして、私どもとしましては、是非、保護の側面ももちろん大事でございますけれども、のみならず利用の面も考慮したバランスの取れた内容としていただきたいということでございます。

 先ほど申しましたように、一昨年12月から業界と私どもの間で自主ルール制定協議会を設置して、業界の自主ルールの策定作業を鋭意進めておりまして、現在かなりの程度まで案がまとまってきております。この自主ルールは従来のガイドラインなどを踏まえながら、新しい法規制の時代にも対応できるような個人信用情報の保護、利用に関するクレジット業界及び信用情報機関の遵守すべき自主ルールにつきまして幅広い観点から検討を加えまして、そのルール化を図っているところでございます。これによって、個人情報の保護は相当程度まで確保できるのではないかと期待しております。

 したがって、個人情報の法制度化につきましては、こうした業界自主ルールの基盤をベースにして、できるだけこれを尊重し、法による強行規制や行政機関の関与をできるだけ少なくしていただくことが肝要と考えます。

 しかしながら、業界の自主ルールではどうしてもカバーできない部分がございます。それは、個人情報の売買のための情報の窃盗や漏洩、あるいは業界のアウトサイダーによる不正な情報の利用などでございます。これらのうち、不正な方法によって情報を窃用し、または他に漏洩することなどによって個人のプライバシー権に対する侵害や経済的な損害を与えるような特に悪質なものについては、何らかの法的制裁処置を講ずることにより抑止を図る必要があると私どもは考えます。これを個別法で措置するのがよいのか、あるいは一般法で措置するのがよいのか、これは立法当局の専門的な検討にゆだねなければならないと存じますけれども、少なくとも言えますのは、このような犯罪については何も信用情報に限られるものではなくて、医療、電気通信、いろいろ他のセンシティブな個人情報にも共通する事項であるということでございます。信用情報にだけこのような法的措置が適用されるとするのは無理があるかと考えられます。是非とも、この個人情報共通の問題としてこの委員会でこの問題を検討していただきたいとお願いする次第でございます。

 それからもう一つ、中間報告におきましては、御案内のように個別法の整備を図るべき分野として、信用情報、医療情報及び電気通信の3分野が例示されておりますけれども、他の個人情報と異なる対応をするのであれば、その十分な根拠理由を明らかにすべきではないか。また、これ以外の個人情報で個別法の整備が必要な分野はないのかについても明らかにしていただきたいと考えます。

 このほか、これは特に信用情報固有の問題であるかもしれませんけれども、先に示された中間報告において以下の点を確認しておきたいと思います。第1は、不特定多数に公開された情報や官報に公告された情報、こういったものの利用につきましては情報主体の同意を要しないものと考えます。第2は、取引時点におきまして収集、利用について情報主体の同意を得た個人信用情報につきましては、同意の撤回ないしは利用提供の拒否が認められるべきではないと考えます。この2点については確認でございます。

 最後に、今後の法制化の検討に当たっては是非広く意見を求める観点から、与信業者そのものの意見も聴取していただきたい。あるいは、法律案の骨格ができました段階で私どもに対して再度意見を述べる機会を与えていただきたいということでございます。以上でございます。

【園部委員長】どうもありがとうございました。それでは、ただいまの3団体の御説明に関連して一括して質疑を行います。御質問をどうぞ。

【藤原委員】どうも丁寧に説明していただいてありがとうございました。細かいことなのですけれども、確認をさせていただきたいというか、教えていただきたいことが3点ほどございます。

 1点は、資料5の全国信用情報センター連合会の資料の2ページ目に、その他の収集項目で破産宣告等の公的記録情報とあって、それからただいま御説明いただいたシー・アイ・シーの方の2ページ目にも官報にも公告された情報などについてと書いてあるのですけれども、この「等」の部分と「など」の部分というのは、細かくて恐縮なのですが、ほかにどんなものがあるのかを知りたいのが1つです。

 2つ目は、先ほど信用情報センター連合会の方でも就職等のときに雇用主が債務等がないことの証明等のために開示請求権を行使しろというような例があるという御説明があったのですけれども、件数等が推定されればそういう利用というのがどのくらいあるのかということです。

 最後は、全国銀行協会の御報告のBというA3の非常に詳細な5原則、あるいは8原則に対する問題点、論点のご指摘があるのですが、これも細かくて恐縮なのですけれども、本人情報の開示の求めのところで適用除外のところに他の顧客の情報が含まれていればだめだと書いてあるのですけれども、これは確認のためですが、次の場合には開示請求を認めるべきではないというご趣旨でしょうか。それで、Bが他の顧客の情報が含まれている場合であると書いてあります。この場合は、他の顧客の情報が少しでも含まれていれば一切開示請求が認められないという趣旨なのか、あるいはもちろんその下のDとの関係で手間暇の問題との衡量が働くと思うのですけれども、一応は他の顧客の情報を消すことをお考えなのか。細かいのですけれども、以上3点です。

【平野氏】一番最初の御質問で、その他の収集項目といいましょうか、出ている公的記録等なのですが、私どもの場合、報告の大半がまず会員報告でございます。これの例外といたしまして本人申告、それから更にその例外として外部情報として債権整理と言われる債務整理を行っている貸金業協会、これは私どもと貸金業規制法に基づく一体関係がございまして、そこの整理情報が3に挙がっているサービス情報のうちの協会整理でございます。

 それからその他、情報機関が収集しておりますものに今、御指摘の公的記録と電話帳情報がございます。公的記録につきましては官報に公告された事項でございまして、登録期間は破産に関する情報は宣告日から10年を超えない期間、あるいは禁治産、今は禁治産、準禁治産は法律の改正によって登録を抹消していく方向なのですが、取消し確定日までの期間でございます。こういった枠組みをつくっております。 それから、2番目に御質問のございました開示のうちで第三者強要によるこれの調査を何度か行っておりまして、件数についてなのですが、ある特定の企業なり特定のところが送り込んできたときには一時的に発生してまいります。これは我々ははっきり把握することは非常に困難でございまして、本人がなかなかそのとおり言わないケースもございます。ただ、開示を求める方がある会社やあるグループに属していたり、これが集中的にきたケース等に対処しているのが現状でございまして、今までこれは違法だと決めつけてなかなか対処できない。御協力を願うということで常時大量に発生しているというものではございませんが、時に集中的に出てくるケースがございます。

【原田氏】 私どもの参考情報とここに書いてあります中身でございますけれども、官報に告示した破産情報、それから禁治産、準禁治産、失踪、これだけでございます。

【橋本氏】私どもに対するご質問でございますが、本人情報の開示等のところの適用除外の話で、他のお客様の情報の件でございます。実務的に紙でやるか口頭によるかによっても違うのですけれども、例えば紙でやった場合、他のお客様の情報を塗り潰してお見せするという場合でも、多分そのお客様からここには何が書いてあるのだというようなことになってまいりますので、私どもとしてはこれは適用除外にしていただきたいと思います。

 ちなみに、私どもで本人開示というものを今やっているのですけれども、その中で同姓同名で生年月日も一緒という場合もございます。その場合、住所が違う情報は同名異人の情報ですので、お見せするわけにはまいりません。この場合は、書面に出力したうえで塗り潰すのではなく、初めから他のお客様の情報は書面に出力しないというシステムの作り込みをしております。私どもとしては他のお客様の情報をお見せするということは非常に厳しく考えていく必要があると考えております。

【藤原委員】どうもありがとうございました。

【高芝委員】1つだけ質問させていただければと思います。

 三者共通なのでどなたからお答えいただいてもいいと思っているのですが、今後の方向で信用情報機関同士での情報の交換という形で書かれているところもありましたし、ポジティブ情報の交流ということで書かれているペーパーもあったのですけれども、いずれにしてもそちらの方で利用の側面も図っていくように、そしてその発展を阻害しないようにという部分のお話があったと思うのですが、それは基本的には情報主体の個別の同意、そういう信用情報機関同士で情報の交流もあり得るという同意を得るということで足りるという理解でいいのか。それとも、それだけではまだ足りない何か今後のそういうポジティブ情報の交流などについて問題点というか、気になるところがあるのか。もしあれば教えていただければと思いましたので、よろしくお願いします。

【橋本氏】私どもとしては、その点につきましては現在、既にネガティブ情報については情報交流をやっておりまして、その問題についてはお客様からしっかりした同意をいただいておりますので、よほど全く違う仕組みができれば別でございますけれども、今の情報交流の延長でございますれば、お客様には同意をいただいているという理解をしております。

【高芝委員】その理解でよろしいということでしょうか。ありがとうございます。

【上谷委員】情報の正確性について1点、取扱いの現状をお尋ねしておきたいのですけれども、与信を与える側と、それから借りる側との不履行状況だとか、そのようなものの情報を入れる場合、これはよく紛争がある場合ですね。私は長年裁判所におりましたので、多重債務者の債務の争いの調停などによく関与したのですが、そのような場合にはどういう処理になるのですか。例えば、信用を与えている側の貸金業者とかクレジット業者の方にむしろ問題があって、消費者が知らずにその名前を使われてしまったお陰で不払いになっているとか、あるいはもう債務がないにもかかわらず利息制限法に違反した金を請求されて、それが残高になってしまって困っているという紛争が今ものすごく多いのです。その場合の処理はどのようになっているのか、わかりましたらお願いします。

【原田氏】通常は開示制度を通じて消費者が自分の情報を開示した上で、その情報に誤りないしは欠陥があるというような場合には調査請求、あるいは訂正の請求というのがございまして、それを私どもが受け付けまして与信業者にそういう申立てが来ているということを連絡しまして、そして与信業者の意見を聞きまして、確かに間違っているということであればそれを私どもの方で訂正なり削除をするという形で、その結果を本人、消費者というか、情報主体にも通知するという方式です。これはもう確立された方式でございまして通常はそういう方式でございます。

 それで、たまには与信業者とその情報主体との間に争いがあって、実はこういうことだったということで与信業者から訂正がくる場合はございますが、それも処理をいたすということでございます。

【平野氏】貸金業者を主たる会員としている全情連が一番そのケースが多いかと思うのですが、まず延滞情報に非常に客観的な基準を置いておりまして、会員が任意に判断できない。ということは前回支払日、支払約定日から3か月間、何らの支払いがない。一度でも支払いがあれば、これは延滞とみなさない。いわゆる通常の延滞という用語ではなくて、情報機関としての延滞に当たらない。まずそういう客観性を持たせていることが大事でございます。

 それから今お話がございましたように訂正削除権がございますが、万一、会員とその消費者との間で見解が違う場合には調査中の注記がずっとついておりまして、消費者の言い分がそのまま記載されております。

【橋本氏】私ども銀行の場合も同様でございまして、異議申立てのルートとしては3つございまして、1つは関係の金融機関に直接お申し出になる。それからもう一つは、私ども銀行協会の方で本人開示を受けていただく。それから、私どもでは延滞情報を登録しますと、その当該お客様に郵送であなたの情報が登録されましたという通知をしておりますので、その3つのルートのいずれかでお客様が私どものセンターの方に、これはおかしいということでありますと調査いたします。私どもの経験で言いますとあり得るのは、友達に自分の名義を使われてしまった、それから、家族に自分の名義を使われてしまったというようなケースがございます。それで会員との間でいろいろ調査をいたしまして、判明いたしますればその情報は消していくという手続をやっております。裁判までいくケースは、私どもの範疇からは外れてしまうということになります。

【上谷委員】今、銀行協会のお話では、延滞情報等を本人にお知らせしているというようなことで、本人の方がそれを把握できるようなシステムになっているというお話がございましたが、ほかの2者の場合はその辺はどうですか。

【平野氏】まず、我々の特色としまして消費者金融、非常に消費者と会員との接触は深うございます。したがって、それがまず第1点。

 それから、保証会社等がついて知らない間に債権が移っているというケースも非常に少のうございます。

 それから第3点としまして、そういうことを情報機関から流すこと自体がまた一つの心理的な威迫に当たる部分もございまして、何度も検討してはございますけれども、今のところ登録通知を採用しないという方向でございます。

【原田氏】私どもも、今のところは登録通知はやっておりません。それは今お話がありましたように、当該の消費者というのはそれまで大体与信業者との間で長い間、交渉過程がございます。したがって、自分の延滞等の事実というのは十分承知されている。したがって、改めてこれを連絡する必要性があるのかどうかという点について多少問題がございます。

 それから今、ありましたように、消費者に対して通知することによってある一種の強迫観念といいますか、そういったものを与えるというようなことも考えられます。

 それからもう一つは、当社の場合は毎月大体8万件くらい新規の異動情報の登録があります。それで、これを毎月郵送によって通知するということになりますと、実は全銀協さんでも御経験のことだと聞いておるのですけれども、かなりの数の不着あるいは返送というものがございまして非常に混乱が生じるのではないかということと、あるいはむしろ途中で紛失したり、他人に開けられるといったプライバシー上の心配も逆にあるのではないかということなど幾つかの問題がございまして、私どもは慎重に今、対応しているというところでございます。

【新美委員】全銀協さんの資料があるのでそれに関連して伺いますが、Cの資料で自主ルールに違反した場合のペナルティーとして、会員が違反した場合に1か月以内の利用停止とか勧告というペナルティーがなされておりますが、この会員という言葉は会員の従業員が行った場合を含むという趣旨なのか、あるいは法人としての銀行という意味なのか。お伺いします。

【橋本氏】ここで会員と申しますのは、やはり機関ということで考えております。

【新美委員】機関が違反するというのはどういう事態を想定されておりますか。

【橋本氏】それは組織としてということでございましょうか。

【新美委員】そうしますと、普通あり得ないですよね。そうすると、どういう場合を想定されているのか。従業員も含むならばわかるのですけれども。

【橋本氏】もちろん個々のそういうケースを犯した当事者は個々の職員だと思いますけれども、職員がそういうことを犯した上で私どもが事情聴取をいたしまして、これが本当に個人の悪意から出たもので組織としての責任を問いえない場合は別といたしまして、それが会員の仕組みや管理上で何か問題があったということになってまいりますと、やはり会員が罰せられるということになろうかと思います。

【新美委員】ペナルティーを課すのは組織としてまずい点があったときに限られるということですね。わかりました。

【原田氏】私どもは、そういうケースにつきましては仮に個人、会員である与信業者の中のだれか従業員が漏洩したとか、そういう場合でも、事情をよく聞きまして、例えば管理監督上の不十分な点があるというようなことが認められれば、私どもでつくっております情報管理委員会という組織がございまして、そこにかけた上で処分をする。つまり、その会員自体に利用停止とか、そういった処分をするということにしております。

 ですから、実際には従業員がやったとしても、管理監督上どうも問題があるというような場合には、仕組みでどうもそれを放置してあるとか、そういうことであればやはり法人に対するペナルティーを課すという考えてございます。

【園部委員長】それでは、大変超過しておりますので、まだお聞きしたいこともございますが、これで全国銀行協会、全国信用情報センター連合会、株式会社シー・アイ・シーの3団体からのヒアリングはここまでとさせていただきます。橋本業務部長、平野副会長、原田専務取締役、本日はどうもありがとうございました。時間の関係で本日伺えなかったことは、また後日、事務局を通じて照会させていただきますので、その節はよろしくお願いいたします。どうも本日はありがとうございました。

(全国銀行協会・全国信用情報センター連合会・株式会社シー・アイ・シー関係者退室・東京都関係者入室)

【園部委員長】それでは今日の最後でございますが、東京都からヒアリングを行わせていただきます。本日は政策報道室の都民の声部の前田敏宣情報公開課長においでいただいております。

 御多忙なところ、御出席ありがとうございます。御説明は20分程度で、その後20程度関連質疑に当てたいと思っておりますので、どうぞよろしく御協力をお願いをいたします。それでは、何とぞ御説明をよろしくお願いいたします。

【前田氏】それでは、お手元に資料7として東京都関係の資料が配布されていると聞いておりますので、そちらの方から御説明させていただきます。

 まず資料7の「東京都における個人情報保護制度の運用状況」、これが本日の説明の概要でございますので、これに沿って御説明をさせていただきます。大きく2つの柱になってございまして、1といたしまして「東京都における個人情報保護制度」の概略につきお話させていただきまして、その後、今回の主なテーマであります「民間事業者が保有する個人情報の取扱いについて」、この大きな柱2つに沿いまして東京都の状況を御説明いたします。

 まず、1の「東京都における個人情報保護制度」の(1)で「個人情報保護制度の趣旨」ということでございます。ここに書いてございますように、個人情報の取扱いの基本事項を定め、個人の権利利益の侵害を未然に防止するために条例を制定して個人情報の保護の制度的な確立を図っていると、これが東京都の概略でございまして、この東京都の条例につきましては平成2年の12月に公布しております。それで、平成3年の4月から一部施行いたしまして、完全施行が平成3年10月でございます。このような形で現在施行しているところでございます。この条例につきましては今、申しましたように個人に関する情報の取扱いについての基本事項を定めまして、都の実施機関が保有する個人情報の開示及び訂正を請求する権利を明らかにして、もって個人の権利利益の保護を図るとともに、都政の適正な運営に資することを目的としております。

 これは、同じくお配りしております「個人情報保護のガイドブック」というのが御手元にあるかと存じますが、こちらの8ページの方をお開けいただけますか。ちょっとページが消えているかもしれませんが、ちょうど真ん中のやや後ろに参考資料ということで、東京都個人情報保護に関する条例の抜粋というのがございまして、ここの第1条を今、御説明させていただいたところでございます。目的はこのような形で第1条に掲げさせていただいているところでございますが、その内容につきましては先生方御承知のとおりでございまして、実施機関が保有する個人情報の保護につきまして、OECDの8原則を踏まえまして大きく4点でございますが収集の制限、個人情報の取扱い、事務の届出、公示閲覧を含めまして届出について、それからその適正な管理と利用及び提供の制限、それと個人情報の開示請求、訂正請求などを定めておるものでございます。これが(1)の趣旨でございます。

 続きまして(2)の「条例の主な特徴」ということでございまして、まずここに4つ掲げさせていただいていますが、まず第1でマニュアル情報も保護の対象としているということで、東京都の条例におきましては電子計算機により処理される個人情報だけではなく、手作業で処理されますいわゆるマニュアル情報、その個人情報も保護の対象としているというのが特徴の第1点でございます。

 第2点といたしまして、レジュメにございますように個人情報の開示請求、訂正請求を具体的な権利として創設ということでございまして、このような形で条例上、個人情報の保護に沿いまして個人情報の開示請求、訂正請求を権利として創設しております。

 続きまして3点目でございまして、東京都が保有する個人情報の総合的な保護制度であるということでございます。これは先ほども申しましたように、東京都が保有する個人情報につきまして収集、管理、利用等のすべてにわたる総合的な保護制度としておるところでございます。

 続きまして4点目でございますが、民間事業者の責務を明確にし、自主的な対応の促進を図るというところでございまして、こちらにつきましては東京都の条例におきましては、事業者の責務を条例上、明確にしておりまして、その保有する個人情報の保護への自主的な対応の促進を図ることと、このようにしております。この辺につきましては先ほどのガイドブックの中の8ページでございますが、そこの27条に事業者の責務という形で「事業者は、個人に関する情報の保護の重要性にかんがみ、事業の実施に当たっては、その取扱いに適正を期し、個人の権利利益を侵害することのないよう努めなければならない」と、このような責務規定という形で規定しているところでございます。以上が、東京都の条例の主な特徴でございます。

 続きまして、その条例運用の現状につきましては、更に資料といたしましてお配りした別添の1というのが東京都の条例の現在の運用状況でございます。こちらの方をごらんいただいておわかりかと思いますが、まず1枚目の表1、表2につきましては、これは個人情報保護の取扱い事務につきまして東京都は先ほど申しましたように、東京都の実施機関が扱うものにつきましては届出制をしております。その届出の件数についての推移が表1でございます。平成3年度の条例実施開始が2,157件でございましたが、その後、平成10年度の数字でございますが10年度末までに、これは届出累計の方の10年度を見ていただくとおわかりになると思いますが2,308 件でございます。その間、開始、変更、廃止等がございまして最終的には現在2,308 、平成10年度末で届出がされている事務数でございます。このような数字になっておりますのは、開始された後、東京都の場合、組織の改編等がございますとそこの中で変更もしくは廃止がございまして、新しい組織が同じような事務を開始するというような形になりますので、実態の数はそんなに増えないということでございますが、中の入り繰りはこのような動きがあると、このような形で表1を見ていただければと思います。

 続きまして表2でございますが、実施機関別の個人情報取扱い事務数の累計でございます。これも平成10年度末現在で、先ほどの2,308件を実施機関別に分けたものでございます。東京都の条例の中では、実施機関といたしましては、この表2の左にありますように知事部局ということで、まず知事が実施機関になっておりまして、それぞれ室局等に分けましてこのような形で持っております。知事部局の合計が1,911件という形になっております。

 その右の方の実施機関でございますが、教育委員会から固定資産評価審査委員会、それから交通局、水道局、下水道局、消防総監という形で、こちらが知事以外の実施機関ということになっておりまして各行政委員会、それと交通、水道、下水道につきましてはいわゆる企業管理者というところでございます。消防総監につきましては消防長でございます。東京都の場合は消防長を消防総監という形で分けてございますので消防総監という分類でございます。それぞれこの数字になっておりまして、合計で2,308件ということになってございます。これが事務数でございます。

 続きまして、2枚目をお開けいただきたいと思います。それでは、先ほど申しました個人情報につきましてそれぞれ開示請求、訂正請求はどのような状況であるかというのをまとめさせていただいたのが2枚目でございます。まず、表3につきましては開示請求等の処理状況ということで、これは開示請求でございます。請求件数をごらんいただきたいと思いますが、平成3年度は49件でございましたのが、4年度が117件というような形で順次増えてございます。平成6年が264件ということで一番増えてございますが、これはこの年、特定の個人の方が自己の情報につきましてかなり多くの請求を出したので、ちょっと突出した形になってございます。平成10年につきましては、10年度の経緯をごらんいただきたいと思いますが135件ということで、やや最近になりまして落ち着いてきている数字になってございます。それぞれの開示決定、それから一部開示につきましてはこのような形の数字なってございまして、例えば10年度でごらんいただきたいと思いますが、10年度は10年度計で135 の請求に対しまして、全部情報を開示したというのが113 、一部開示決定したのが14、非開示としたものにつきましては残りの8ということになってございます。そのうち、非開示事由に該当して開けなかったものが5、不存在等で非開示ということにしたものが3と、このような形になってございます。

 続きまして表4でございますが、訂正請求の件数ということでございます。こちらにつきましては、訂正も個人情報の権利の一つといたしまして認めているところでございますが、ごらんいただきますように平成7年度までは訂正請求がございましたが、平成8年度以降はゼロということでございまして、今年度につきましても訂正請求はないという形でございます。このような形が運用の状況でございます。

 次の資料をお開けいただきたいと思いますが、開示請求申出の内容別の内訳ということでございまして、これは特徴的なものをそれぞれ表5につきましては10年度、9年度どんなものが個人情報の請求としてあるかといのを上位3内容につきまして挙げたものでございます。9年度、10年度いずれも軍歴関係の文書として戦時名簿等につきまして請求が多くなっているというのが特徴でございます。

 あとは3番目でございますが保母の試験の結果ということで、これは毎年それなりの請求があるという形になって上位を占めているところでございます。このような形で福祉教育等の分野の請求が多いというのが特徴になってございます。

 続きまして、表6でございます。非開示に当たったものということで、先ほど幾つか非開示理由がございましたけれども、どのようなものが非開示理由になっているかというのが次の表でございまして、表6でございます。

 第1号というのは非開示理由の法令秘でございますが、これが9年度に1つございました。

 第2号といたしまして、個人の評価、診断等に関わる情報という分野に入りますものですが、具体例としますと高校に提出された調査票がございますけれども、これが比較的多くて9年度、10年度も、7、10という形でございます。

 あとは3号の捜査、争訟関係につきましては火災調査書が10年度で8件ほど出てございます。

 4号が続きまして多いものでございまして、第三者の権利侵害情報に当たるということで、それを個人情報非開示といたしましたもの、これは例えば都立高校の事故報告ということで、個人情報の中に第三者の情報も入っているということで、その人の権利侵害のおそれがあるということで非開示としたもの、これは9年度は8、10年度は10ということでございます。

 あとは第5号といたしまして国等関係情報、児童の通告書ということで国等の関係機関との関係で開示することができないというような内容でございますが、10年度で3件ございます。このような形で特に2号、4号、この辺のところが例年、非開示の理由として多くなっておるところでございます。以上が状況についてのちょっと細かくなりましたが説明でございます。今るる御説明させていただきましたように、個人情報保護条例の運用の中におきましては一番運用がうまくといいますか、多く動いているところは基本的には個人情報の開示請求というところでございまして、事実上、情報公開条例の中で非開示とされています個人情報につきまして、個人が自ら請求するということで、いわば情報公開上の特例としての本人開示と、このような形での運用という側面が非常に強くなっているところが特徴でございます。以上で現状については終了させていただきます。

 続きまして、時間の関係もございますので2番の方の「民間事業者が保有する個人情報の取扱いについて」を御説明させていただきます。

 まず(1)の「条例制定時の考え方」でございますが、先ほど申しましたように平成2年に個人情報保護懇談会の方から提言をいただきまして、その中で民間事業者については次のような考えに立っております。

 まず@として書かせていただきましたが、民間事業者に対する対策等につきましては、本来的には国の法律により全国規模で行うべきものであるという考え。Aといたしまして、東京都におきましては民間事業者自らが個人情報保護に対する責務を自主的に果たすよう、その意識啓発に努めるべきであるという考えに立ちまして、そういうような提言をいただいてございます。したがって、民間事業者につきましては、先ほど申しました条例の27条にありますように、責務規定の範囲でとどめていくと、このような形の提言をいただいたところでございます。

 国の法律、全国規模というところは専門の先生方がおそろいでございますので、殊更説明するところはないと存じますが、この懇談会の中で挙げていただきました問題点といたしまして、まず第1といたしましては、営業上の自由や表現の自由との調整が必要になってくる。つまり、条例で制定する場合にはその点の問題点がある。

 第2といたしましては、開示請求権の設定等私権の秩序の新たな形成は条例ではなし得ない部分ではないかという御提言でございます。

 3点目は、事業者の活動は自治体の区域を越えることが多いため、条例の地域的効力というもので限界があるという点でございます。

 4点目といたしまして、自治体ごとに自主的に対応するという条例の本質的な性格上、施策の重複、競合は避けられなくなってくるということで、したがいまして1つの自治体の条例で民間事業者を制定するのはなかなか難しい面があるということで、先ほど申しましたような責務規定にとどめるというような形になったところでございます。

 ただ、それにつきましてはAでございますように、責務規定を民間事業者に課すだけでございますが、東京都といたしましては知事がその意識啓発等に民間事業者が努められるように、そのような普及促進策を図るようにということで、先ほどのガイドブックの方の27条、下の方に29条がございまして、そこの中で知事の責務を同時に設けているところでございます。29条といたしまして「知事は、事業者において個人に関する情報の保護を図られるよう、意識啓発その他必要な施策の普及促進に努めなければならない」ということで、事業者には責務規定、知事にはこのような努力義務規定を設けるという形で、少しでも実効あるものとしたいと、このような形で条例を制定したところでございます。今、説明したところが(2)といたしまして「具体的手法・施策」について述べさせていただいているところでございます。

 そのAの保護の普及促進の具体的な法策といたしまして「事業者が保有する個人情報の適正な取扱いに関する指針」の策定というものを平成7年度に行ったところでございます。実はこのガイドブックというのは、まさに解説を付けて指針をまとめたものでございまして、これを20万部程度印刷いたしまして民間事業者の方に配布して意識啓発等に供していただくというような形で知事の義務を果たしているというものでございます。以上が(2)の「具体的手法・施策」でございます。

 続きまして(3)で「民間事業者に対する指導の現状と課題」というところでございます。こちらにつきましては@として「個人情報の管理の不適正事故への対処」というところが一番大きなものでございます。御承知のとおり、新聞等をにぎわせましていろいろと個人情報の管理の不適正事故がマスコミ等を通じて出てくるときがございます。それへの対処を東京都は行ってございます。新聞等でそのような事故が起きていることを把握していることは非常にもどかしいところでございますが、東京都の実際に条例を運用している中では、そのような情報がないと漏洩の事実がなかなか把握できないということでございます。そういう情報を端緒といたしまして、このポツで書いてございますように民間事業者に対しての事情聴取、それから個人情報の保護に努めるような指導というところを行いまして、更に事故の概要、原因、今後の対応等につきまして報告を要請するというところを行っているのが現在の具体的な対処でございます。

 したがいまして「指導上の限界」とAにまとめさせていただいたところでございますが、実務上の限界ということで、まず第1にいつも考えているところがございます。それは、やはり条例の方が責務規定でとどまっているというところがございまして、先ほど申しました(3)の@のいろいろな調査等につきましては、あくまでも事業者から任意の協力をいただいて調査を行い、そして報告をもらうというような形をとっているところでございます。したがいまして、協力的な事業者の場合は、非常にスムーズに行くわけでございますが、非協力的な事業者になりますと、協力しなければいけないというものではないということで、なかなか協力いただけないということも出てくる場合があるところでございます。このようなことで強制力のない、実効力のないところで苦労しているところが実務上の限界として常に考えているところでございます。

 続きまして、条例上の規制の限界ということでAの2点目で書かせていただきましたが、これは先ほど2の(1)の@の方で法律で全国的に行うものであるというところと重複いたしますので省略させていただきたいと思います。東京都の条例におきましては今、説明してまいりましたように、懇談会の中でいろいろと条例の限界というところでぎりぎりのところで責務規定、それから知事の義務規定というところで条例を設定しているところでございますが、実際の民間事業者の指導に当たりますと、なかなか限界を感じるというのが実態であるというのが(3)でございます。

 続きまして、(4)ということで「今後のあり方(国への要望)」ということで2点ほど挙げさせていただいております。中間のまとめを読ませていただきまして、東京都といたしまして、やはりこれから国にお願いしていきたい点で、まず第1といたしましては実効性の担保措置というところが一番強く感じているところでございます。条例ではどうしても限界等がございますので、罰則規定等につきまして中間のまとめにありますように個別法、もしくは悪質な不適正処理につきましては全体にまたがるような罰則規定を検討していただく形になっておると書いてございますので、その辺のところでやはり実効性を持たせるためにはそのようなものの規定を設けていただければ民間事業者、特にアウトサイダー的なところで有効と考えております。基本的に業界がしっかりしているところでそのような自主的な対応がしっかりできているところ、またそれに加入しているような会社等については比較的問題はないのではないのではないかと思うのですがアウトサイダー的なものとか、そういう個人情報の取扱いについて不適正であることを承知しながらやっているような実例もございますので、そのようなものを抑制するためにも実効性のあるような担保措置ということで罰則規定等が出てくれば、非常に実務の方はスムーズにいくのではないかと、このように考えるところでございます。

 2点目といたしまして、監督体制の整備ということで挙げさせていただいております。こちらにつきましては、監督体制といいますと、まず1つは自治体の条例でいきますと基本的に全般的な監督体制という形にならざるを得ませんが、国等の仕組みに取り組まれることになりますと、その国等の監督業界というのが縦割りである程度しっかりしてまいりますので、ある程度監督体制のきちんとしたものができるのではないかというのが監督体制の整備の1点でございます。

 もう一点は中間のまとめにございましたように紛争処理機関というところで、こちらの中で役割分担ということで、やはり民間の各会社、それから民間の中の中間的な第三者機関、更に自治体の窓口、国の窓口、最終的な国が関与いたします統一的な第三者窓口という形で、それぞれを中で事後的な救済制度と、いろいろと書いておられたところでございますが、まさにその辺のところの役割分担を明記していただきまして、きちんとした形の監督体制ということに出れば、非常に実効性のあるものになっていくのではないかと考えるところでございます。

 更にこの2つにプラスいたしまして付言いたしますと、せっかくこの度このような形で個人情報について検討されていきますので、特にインターネット等、技術革新の進歩が非常に急速に進んでおりますので、そのようなところにつきましても先々を見た、ついつい条例では遅れ遅れになってしまいがちでございましたので、先々を見据えたような形の制度ができれば非常にありがたいと考えているところでございます。

 以上、雑駁でございますが、御説明でございます。

【園部委員長】どうもありがとうございました。それでは、ただいまの御説明に関連して質疑をどうぞ。

【上谷委員】最後におっしゃったことから御要望なり御意見がありましたらお聞かせいただきたいのです。この民間の事業者等に関する情報保護を国の基本法というものでつくった場合、その実施に際して批判に対する調査とか、あるいは指導とか監督とか、場合によれば苦情処理、そういうようなものに対して国と地方公共団体の役割の分担について何か御意見がございましたらお願いします。

【前田氏】意見と言いましても、今の東京都の場合はこのような責務規定でございますが、ほかの自治体さんの中では今ありましたように調査、勧告、公表制度も盛り込んだ条例もあるとは存じ上げているところでございますが、漏れ聞くところによりますと、なかなかそれを動かしたというところはないと聞いております。したがって、やはり実際にやるときに、国の法の中で法整備として情報公開制度の中できちんとやっていくのだというものができれば、実際の中での役割分担、国はここまでやる、自治体はこれをやるんだとはっきりさせていただければかなり実効性のあるところの調査、勧告、公表まで進むことができるのではないかと考えているところでございます。

 あとは、自治体の立場で申しわけないのですけれども、やはり国と自治体との役割分担となりますと、適正な役割分担ということで過度に自治体の方に負担がかからないとありがたいかなと、ちょっと抽象的な言い方なのですけれども考えるところでございます。

【藤原委員】どうも御説明をありがとうございました。一点、実態について教えていただきたいのですけれども、東京都の条例はマニュアル情報も保護の対象としておられる。その場合は、届出もしなければならないということですね。だとすると、教えていただきたいのは比率なのですけれども、やはりこの登録の中でマニュアルも一定数を占めているのかということです。

 それから、近時はやはりほとんどがコンピュータなのかということと、マニュアルの場合も含めてこの事務は立上げのときに二千百何件すべて把握されてからおやりになったのか。そういうところを教えていただきたいのです。

【前田氏】まず一番最後の3点目のところですべて把握したのかという点につきましては把握するようにしたとは理解しているのですが、実際にはやはりマニュアル情報はいろいろとあると思いますので、完全にすべての公文書を把握したとは思ってはおりません。

 ただ、事務の中でこの事務は個人情報を扱うというものにつきましては、事務として届出はしているとは考えているところでございます。

 あとは、先ほどの比率の点はデータがちょっとないのですけれども、やはり圧倒的にマニュアルの方が多いというのが実態でございます。

【新美委員】どうもありがとうございました。1点伺います。都の条例の、第3章の第7条の3で、必要がなくなった個人情報は速やかに消去し、または廃棄すると明確に規定してありますが、この保有の必要がなくなったという判断は実施機関が自ら行うということで理解してよろしいのかということと、保有の必要性があるかないかについて、それぞれの機関の判断がどこかにオープンにされているかどうかですね、その2点を伺いたいのですけれども。

【前田氏】こちらの方に書いてあります形で「実施機関は、保有の必要がなくなった個人情報については」という7条の3項でございますけれども、これにつきましては東京都の場合もほかの自治体さん、または国とも同じように文書管理の規程、今度規則になりましたがございまして、基本的にはそれぞれの担当する主務課長が廃棄等の判断をして廃棄をするという形になってございます。したがいまして、このように個人情報で保有の必要がなくなりました個人情報につきましては、それぞれの課の所管する課長が判断して廃棄するということになってございます。通常、保存年限というのが定められておりますので、その保存年限に従った扱いとなっていくかと存じます。したがいまして、先ほどの2点目につきましてはそれぞれ実施機関主務課の方で判断するという形になります。

【高橋委員】この条文で10条で目的外利用提供の規定があるのですが、ちょっと見ていてこの2項の例外で3号で「出版、報道等により公にされているとき」という規定なのですが、公にというのは深い意味を込めて入れられたのだろうという気がするのです。どんな議論がなされたか、もしすぐわかれば簡単で結構ですので。

【前田氏】議論といいますか、この辺の考え方につきましては解釈といたしまして解釈運用の方なのですけれども、新聞、書籍、テレビ、ラジオ等によりまして一般に取得し、または知り得る状態にあり、その公知性に疑義がないと、このぐらいのものを公にされているということで、個人情報であっても既に大半の方が知り得る形になっていればというようなことで御理解いただければと考えているところでございます。

【小早川委員長代理】先ほどの5条の届出ですね。これは、届出を受けるのはやはり担当課は情報公開課ですね。それで、中身といいますか、是非についての審査はされるのですか。こういう個人情報ファイルというのは要るのですかねという……。

【前田氏】一応どんなものかという形でチェックはしているということでございます。

【小早川委員長代理】実際に協議というか、やりとりがあるのでしょうか。説明を求めるとか。

【前田氏】ちょっとここに様式はないのですけれども、基本的には様式があって、様式で項目だけ書くというように、とりあえず条例上はフォーマットの中でいただくわけなのですけれども、そのときに必ず個人情報の事務に使うほかのいろいろな書式その他ですね、これをもらっているということです。それを見ながらこの中身の、つまり条例上のフォーマットの項目で正しいかどうか、妥当であるかどうか、この辺を実際の実務の書式といいますか、その書類を見ながら判断すると、このような形でやっております。

【小早川委員長代理】では、実際に結局のところはOECD8原則なり何なりに照らしての判断も一応しているという感じですか。

【前田氏】そうですね。OECD8原則というよりも、それを踏まえた条例がございますので、条例の趣旨に沿ったような形で判断させていただいているものでございます。

【小早川委員長代理】それから今度は民間の方ですけれども、これもやはり情報公開課の所管ということですか。

【前田氏】このような形で不適正等の取扱いとか普及啓発、これは情報公開課の方で行ってございます。

【小早川委員長代理】実務的には相当難しいのではないかなという気がするのです。それぞれ事業を所管しておられる課の方がやりやすいのではないかという気もするのですけれども、その辺は何か議論は。

【前田氏】これは一例でございますけれども、例えば人権的な観点の情報を不適正に収集したというような件がございますと、そういう情報につきましては人権を所管する局がございまして、そちらの担当の方がいろいろと対処するというようなことは当然ございます。情報公開課の方はそういうものではなくて、一般的な形でなされたものを対応するというような形で都の中では整理してございます。

【小早川委員長代理】もう一つ、今度はまた都の保有する情報に戻りますけれども、情報公開法ができて公安委員会の方は情報公開条例では実施機関にされるという方向だろうと思いますが、そうだとした上でこちらの方はそれに連動するということはないですか。

【前田氏】現在のところはまだ検討課題ということで具体的な考えはございませんが、情報公開の方はもう実施機関にする方向では今、検討しているところでございます。

 ただ、個人情報につきましては公安委員会、それから警察の情報につきましては検討する余地があるということだけで、まだ方向性等は固まってございません。

【高橋委員】さっきお聞きしたことで、私の方もちょっと頭が整理されていないものですからのみ込めないところがあるのですけれども、実施機関が持っている何らかの理由で集めた情報を新聞などで別途その情報を得て報道してしまっている場合には、もうそれは除外に入ってきてしまうと、そういうことなのですね。

【前田氏】そういうことになります。一般的に公知の事実ぐらいまでになってしまったものについては、保護する個人情報ということではないということでしょうか。そのような形になるということです。

【園部委員長】それでは時間の都合もございますので、東京都からのヒアリングはこれで終わらせていただきます。前田課長、本日はどうもありがとうございました。時間の関係で本日お伺いできなかったことは、事務局を通じて後日また照会させていただきますので、その節はよろしくお願いします。どうもありがとうございました。

(東京都関係者退室)

【園部委員長】30分ほど超過いたしまして、毎回御苦労様でございます。以上をもちまして関係省庁、関係団体からのヒアリングはひとまず区切りとさせていただきます。中間的な取りまとめを発表いたしますので、その後で改めて必要なヒアリングがあればそれを行う。なお、それまでの間でも御議論の途中で、時間はこんなに長くだらだらとはやらないつもりですが、余り一時にたくさんのヒアリング対象に来ていただくということもなるべく避けたいと思いますが、必要に応じて学識経験者あるいは関係団体等から追加してヒアリングを行うということも考えたいと存じますので、適宜御提案をくださいますようお願いをいたします。