規制緩和推進計画の再改定について

平成9年3月28日

閣 議 決 定


 「規制緩和推進計画の改定について」(平成8年(1996年)3月29日閣議決定)を下記のとおり平成7年度(1995年度)から9年度(1997年度)までの3か年の「規制緩和推進計画」(以下「計画」という。)として改定する。


1 目的
 我が国経済社会の抜本的な構造改革を図り、国際的に開かれ、自己責任原則と市場原理に立つ自由で公正な経済社会としていくことを基本として、 @消費者の多様なニーズに対応した選択の幅の拡大、内外価格差の縮小等により、国民生活の質の向上を目指す、 A内需の拡大や輸入の促進、事業機会の拡大等を図り、国際的調和の実現に資する、B素材・仕様・規格を詳細に指定する基準から必要最低限の性能基準への移行、申請・届出の電子化・ペーパーレス化等により、国民負担の軽減、行政事務の簡素化を図る等の観点から、規制緩和等を計画的に推進する。

2 規制緩和推進の基本的考え方
 規制緩和の推進に当たっては、引き続き、社会、経済情勢の変化等を踏まえつつ、経済的規制については、原則自由、規制は例外的な場合のみとし、かつ、社会的規制については、本来の政策目的に沿った必要最小限のものとすることとし、また、行政の在り方について、いわゆる事前規制型の行政から事後チェック型の行政に転換することを基本的な考え方とする。また、我が国経済社会の構造改革に向けた各般の改革との整合性の確保に留意するものとする。
 具体的には、以下の方針に基づいて行う。
 (1) 競争的産業における需給調整の観点から行われている参入・設備規制等については、事業の内容・性格等を勘案しつつ、特別の場合を除き廃止の方向に向かうよう努める。
 その他、参入・設備等に関する規制については、必要最小限のものとする。
 (2) 公共料金等価格規制については、必要最小限のものとしつつ、低廉で良質なサービスの確保を図るため、「今後の公共料金の取扱いについて」(平成6年(1994年)11月18日閣議了解)を踏まえ、競争的環境の整備、経営の効率化等の推進に併せ、事業の内容・性格等を勘案しつつ、価格設定の在り方の見直し、料金の多様化、弾力化を推進する。
 (3) 消費者保護のために行われる規制については、技術の進歩、消費者知識の普及、情報提供の活発化などを踏まえ、本来の政策目的に沿った必要最小限の範囲・内容にとどめる。
  安全・環境の保全の見地から行われる規制についても必要最小限にとどめる。
 (4) 特にその必要性が認められるもの以外については、規制の国際的整合化を図り、外国事業者・外国製品等の我が国市場への参入阻害要素を除去する。
 (5) 基準・認証制度及び表示制度については、基準・内容・方法等に関し、国際的整合化を図るとともに、原則として、外国データの受入れ、相互承認制度の導入、自己確認品目への移行を進める。
 (6) 輸入、国内販売又は国内使用に際して課せられる公的検査に関し、検査・検定基準についても上記(5)と同様とし、基準の整合化、二重検査の排除を推進する。
 (7) 許認可等の審査基準、検査基準及び申請等における必要な書類、データ等の明確化を図るとともに、処理期間の短期化を推進する。

3 分野別の基本指針等
 (1) 計画期間内にあっては、主な行政分野において、以下の観点から、各分野の関係施策の総合的な推進の一環として規制緩和等を進めることとし、具体的措置は別紙1のとおりとする。
  ア 住宅・土地関係
    豊かさを実感できる住生活の実現に向け、土地の有効利用、良質な住宅・宅地の供給促進、住宅建設コストの低減等を図るため、建築基準法に定める基準を性能規定化し、設計の自由度が高いものとするなど関係諸規制について、撤廃を含め緩和等を進める。
  イ 情報・通信関係
    技術革新の急速な進展と利用可能性の拡大等に対応し、社会全般にわたる情報化の推進、新規事業の創出等のため、関係諸規制について、撤廃を含め緩和等を進める。
  ウ 流通・運輸等関係
    真に豊かな国民生活と内外の変化に対応した経済構造の実現に向け、事業機会の拡大、新規事業の創出や内外価格差の縮小等による消費者利益の向上を目指すとともに、物流コストの低減、旅客輸送サービスの向上、国際輸送の競争力の確保等を目指す観点から、需給調整規制の廃止等関係諸規制について、撤廃を含め緩和等を進める。
  エ 基準・認証・輸入等関係
    国際的に開かれた経済社会を実現するため、規格・基準の国際的整合化及び相互承認制度の導入を図るなど基準・認証等制度の見直しを行う。
    また、輸入手続の一層の簡素化・迅速化を推進する。
  オ 金融・証券・保険関係
    外国為替及び外国貿易管理法の改正を始めとする金融システム改革を進める中で、市場機能の一層の発揮により市場の活性化を図るとともに、利用者ニーズにこたえる新しい商品・サービスの提供や新たな業務への展開を促進する等のため、関係諸規制について、撤廃を含め緩和等を進める。
  カ エネルギー関係
    エネルギーの安定供給を確保しつつ、エネルギー供給体制の柔軟化・効率化を図るため、関係諸規制について、撤廃を含め緩和等を進める。
  キ 雇用・労働関係
    労働者の福祉や雇用の安定を図りつつ、経済の活性化や国際的調和を推進する観点から、関係諸規制について、撤廃を含め緩和等を進める。
  ク 公害・廃棄物・環境保全関係及び危険物・防災・保安関係
    国民の生命・身体・財産の保護、環境の維持・保全等を図りつつ、技術水準の向上等を踏まえ、関係諸規制の緩和等を進める。
  ケ 教育関係
    一人一人の個性を生かし、豊かな人間性や創造性をはぐくむ教育を推進するため、教育制度の弾力化等関係諸規制の緩和等を進める。
 (2) 審議会等の結論を得る必要があるものについては、審議会等の結論を原則として平成9年(1997年)9月末までに得ることとするなど早期化を図ることを基本とする。
 (3) 申請・届出等に際しての国民の負担の大幅な軽減を図り、申請等に伴う手続の簡素化、有効期間の倍化などを推進するため、「申請負担軽減対策」(平成9年(1997年)2月10日閣議決定)の指針を具体化した措置を実施する。また、当面、押印の在り方の見直しなどに重点的に取り組む。

4 計画の推進等
 (1) 計画のフォローアップ等
    計画に定められた措置を積極的に推進するとともに、その実施状況に関するフォローアップを行う。これに当たり、行政監察機能を積極的に活用する。その結果は、行政改革委員会に報告する。
   行政改革委員会については、引き続き、第三者機関として、政府への提言の機能を十分発揮されるよう期待する。
 (2) 規制の新設審査等
   規制の新設に当たっては、原則として当該規制を一定期間経過後に廃止を含め見直すこととする。法律により新たな制度を創設して規制の新設を行うものについては、各省庁は、その趣旨・目的等に照らして適当としないものを除き、当該法律に一定期間経過後、当該規制の見直しを行う旨の条項(以下「見直し条項」という。)を盛り込むものとする。なお、この見直しの結果、その制度・運用を維持するものについては、その必要性、根拠等を明確にする。
   各省庁は、規制の新設について、これを必要最小限にするとの基本的な方針の下に、大臣官房等総合調整機能を有する部局において審査を行うこととし、規制の新設に当たっては、規制の必要性、期待される効果、予想される国民の負担等について検討し、検討結果を、見直し条項を付したもの及び見直し条項に基づく見直しの結果とともに、国民にわかりやすく公表する。
   また、内閣法制局、総務庁行政管理局及び大蔵省主計局は、規制の新設についてそれぞれの所掌事務に基づき厳格な審査を行う。
 (3) 規制緩和に関する広報・啓発活動
   規制緩和に関する広報活動を積極的に進めるとともに、自己責任原則と市場原理に立つ自由で公正な経済活動の確立に向け、規制緩和に関する理解を深めるための啓発活動等を積極的に進める。
 (4) 現行制度を維持するものの理由等の公表
   内外からの意見・要望に対し、現行の制度・運用を維持するものにあっては、各省庁においてはその必要性、根拠等を明確にするものとし、総務庁において公表する。
 (5) 規制緩和白書
   公的規制の現状、規制緩和の実施状況、計画の概要、規制緩和の国民生活等への影響、効果等、規制に関する情報を国民に分かりやすい形で提供するため、「規制緩和推進の現況」(いわゆる規制緩和白書)を速やかに作成し、公表する。
 (6) 市場開放問題苦情処理体制(OTO)の活用
   市場アクセスの改善に資する規制緩和を推進するため、市場開放問題苦情処理体制(OTO)の機能を積極的に活用する。

5 競争政策の積極的展開
  我が国経済における公正かつ自由な競争を一層促進することにより、我が国市場をより競争的かつ開かれたものとするとの観点から、規制緩和とともに競争政策の積極的展開を図ることとし、以下の措置をとる。
 (1) 独占禁止法の執行力の強化を図り、価格カルテル、入札談合等の同法違反行為に対して告発を含め厳正かつ積極的に対処する。
   また、規制緩和後の市場の公正な競争秩序を確保するため、中小事業者等に不当な不利益を与える不公正な取引に対して厳正・迅速に対処するとともに、消費者の適正な商品選択を妨げる不当表示等に対して厳正・迅速に対処する。
 (2) 規制緩和の推進について、内外の事業者の公正かつ自由な競争を促進し、消費者の利益を確保するため、公正取引委員会は、競争政策の観点から積極的に調査・提言を行う。
 (3) 規制緩和後において、規制に代わって競争制限的な行政指導が行われることのないよう、「行政指導に関する独占禁止法上の考え方」の趣旨を踏まえ、関係省庁は、公正取引委員会と事前に所要の調整を図る。
   また、いわゆる民民規制については、公正取引委員会は、必要に応じ、その実態を調査し、競争制限的な民間慣行の是正を図るとともに、背後に競争制限的な行政指導が存在する場合には、関係省庁と所要の調整を図る。
 (4) 別紙2のとおり、個別法による独占禁止法適用除外カルテル等制度について、20法律35制度を廃止する等のための一括整理法案を今通常国会に提出する等、所要の措置を講じ、また、引き続き検討することとされた制度については、必要な検討を行い、平成9年度(1997年度)末までに具体的結論を得る。
   独占禁止法に基づく適用除外カルテル等制度及び適用除外法(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の適用除外等に関する法律)に基づく適用除外カルテル等制度(別紙2)については、適用除外となる行為及び団体の全範囲について、制度自体の廃止を含めて見直し、平成9年度(1997年度)末までに具体的結論を得る。この際、適用除外法については、法そのものの廃止を含めて抜本的見直しを行う。
 (5) 再販売価格維持制度について、すべての指定商品の再販指定告示を廃止し(平成9年(1997年)4月から実施)、また、再販適用除外が認められている著作物については、平成9年度(1997年度)末までにその範囲の限定・明確化を図る。
 (6) 合併・営業譲受等の届出制度、株式所有の報告制度及び役員兼任の届出制度について、制度の趣旨・目的、企業の負担軽減、国際的整合性の確保等の観点から、裾切り要件の導入、引上げ等を含め、見直しを図り、平成9年度(1997年度)末までに所要の措置を講ずる。
 (7) 国際契約届出制度について、経済のグローバル化、事業者の負担軽減の観点から、届出義務を廃止する(独占禁止法改正法案を今通常国会に提出)。
 (8) 持株会社規制について、持株会社の設立・転化の全面禁止から、これを解禁することとし、事業支配力が過度に集中することとなる持株会社の設立・転化の禁止に改める(独占禁止法改正法案を今通常国会に提出)。また、大規模会社の株式保有総額規制について、持株会社規制の見直しと同様の観点から、適用除外株式の追加等を行う(独占禁止法改正法案を今通常国会に提出)。
   なお、禁止される持株会社の範囲、大規模会社の株式保有総額の制限の対象となる株式の範囲等について、同法案の見直し規定を踏まえ、必要な検討を行う。
 (9) 景品規制について、懸賞景品告示に係る上限金額の引上げ、総付景品告示に係る上限金額の撤廃、事業者景品告示の廃止、百貨店業における特定の不公正な取引方法第8項の削除、オープン懸賞告示に係る上限金額の引上げ及び規制対象の縮減・明確化を行うための景品規制の一般規定に係る関係告示及び運用基準の改正を、平成8年(1996年)4月1日から実施した。この一般規定の見直し・明確化に引き続いて、29の業種別告示についても、27業種の告示について所要の見直しを行った(12業種について告示の廃止等。15業種について廃止等を行うため3月末までに公聴会を開催)。
  残る業種についても平成9年度(1997年度)中できる限り速やかに見直しを完了する。

6 外国政府との交渉案件
  外国政府との交渉に係る案件については、交渉がまとまり次第早期に措置する。

7 地方公共団体における規制緩和
  地方公共団体においても、国・地方を通ずる規制緩和の推進の観点から、この計画の趣旨を踏まえ、規制の緩和等が進められることを期待する。

注:別紙1、別紙2は省略