閣議決定・施策の解説等

銀行業等に対する東京都の外形標準課税について

平成12年2月22日
閣 議 口 頭 了 解

 

 東京都知事は、平成12年第1回東京都議会定例会に「東京都における銀行業等に対する事業税の課税標準等の特例に関する条例案」の提出を予定しているところである。

 この条例案は、地方税法第72条の19に基づくものであるが、およそ、税制については、国税・地方税を問わず、公平・中立等の租税原則に則ることはもとより、他の政策目的との整合性等にも十分な配慮がなされなければならない。

 国としては、東京都案は、下記の問題を孕むものであると認識するものであり、東京都において慎重な対応を求めたい。

  1.  銀行業等という特定の業種のみに対して外形標準課税を新たに導入すること、資金量5兆円以上の銀行業等に対象を限定することに合理的理由があるか疑問がある。

  2.  地方税法第72条の19により外形標準課税を導入する場合には所得等を課税標準とする場合の「負担と著しく均衡を失することのないようにしなければならない」(地方税法第72条の22第9項)とされており、この規定との関係において、東京都案には疑問がある。

  3.  法人事業税の税額は、法人税の課税所得の計算上損金の額に算入される(法人税法第22条第3項)こと等から、東京都案によれば、実際上、今後、東京都以外の地方団体の法人関係税及び地方団体全体の地方交付税原資が減少することになる。

  4.  これまで、政府税制調査会を中心に、47都道府県全てにおいて幅広い業種を対象に薄く広く負担を求める外形標準課税を導入することを検討してきている中で、東京都だけが独自に銀行業等という特定の業種について業務粗利益を課税標準として導入することが妥当か疑問がある。

  5.  日本経済の状況を考えると、金融システムの安定を確保することが喫緊の政策課題である。このため、金融機関の健全性強化のための自助努力に加えて、国としても公的資金を用い、最大限の取組みを行っているところである。今回の東京都案は、こうした金融安定化策と整合性を欠くものである。
     東京都案が実施されることとなれば、銀行等の自己資本の減少とともに、不良債権処理の遅延、経営健全化計画の履行及び公的資金の返済への支障、金融再編への悪影響、金融機関間における競争条件の不均衡、といった問題が生じることが懸念される。
     また、世界の金融センターを目指す東京金融市場に対する予見可能性、信頼性について、国際的な疑念を招くおそれがある。