1 基本的考え方
(1)景気の現状認識
米国における同時多発テロの発生を契機に世界同時不況のリスクが高まる中、我が国においても景気は一段と悪化している。個人消費が弱含んでいるほか、輸出、生産が大幅に減少し、設備投資も減少している。このような中、失業率はこれまでにない高さにまで上昇している。さらに、デフレ(持続的な物価下落)が進行している。
このため、我が国経済が、物価下落と生産活動の縮小とが相互作用して、景気が加速度的に悪化していく、いわゆるデフレスパイラルに陥ることのないよう、十分な注意と適切な政策対応が必要となっている。
(2)緊急対応プログラムの考え方
政府は、先に「改革先行プログラム」を策定し、第一次補正予算を編成した。これは、現下の経済情勢にかんがみ、構造改革を進めるため、先行して決定・実施すべき施策をとりまとめたものであり、特に、規制制度改革による雇用の創出や、雇用面、中小企業面におけるセーフティーネットの整備に重点を置いたものであった。
しかしながら、同時多発テロ事件後の経済環境の急激な変化を踏まえ、「改革なくして成長なし」との決意の下、構造改革をより一層加速しつつ、デフレスパイラルに陥ることを回避するため、今般、緊急に対応すべき施策からなる「緊急対応プログラム」を策定し、第二次補正予算の編成を行うこととした。
本プログラムは、構造改革の加速に資する事業であって、高い経済活性化効果が期待できるものを推進することを目的としている。このような観点から、本プログラムでは、6月に閣議決定された「今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針」に示された構造改革に資する重点7分野に注力することとし、その中で民間投資の創出、就業機会の増大に資し、事業の早期執行が可能で経済への即効性が高く、緊急に実施の必要のあるものを取り上げ、2に掲げるように4つの政策課題の下に整理した。
政府としては、本プログラムに記載された施策を第二次補正予算の国会成立後早急に実施に移すとともに、不良債権処理及び過剰債務解消、規制制度改革、特殊法人等改革、「改革断行予算」である平成14年度予算などを一体的かつ整合的に実施することにより構造改革を加速し、民需主導の自律的な経済成長につなげていくこととしている。
政府・日本銀行一体となったデフレ問題への取組みに向け、日本銀行においても、政府の進める構造改革を踏まえ、デフレ阻止に向けて、適切かつ機動的に金融政策を運営するよう期待する。
2 構造改革のための社会資本の整備(「改革推進公共投資」特別措置)
1) 都市機能の一層の高度化・国際化
- 大都市圏環状道路の整備
- 大都市圏の国際交流・物流機能の強化
- 渋滞対策等都市の生活環境整備
- 民間都市開発の推進
- 商店街・中心市街地の活性化
- 都市の再開発につながる公的施設整備
- 災害に強い都市への再生
- 都市治安対策等の強化
2) 環境に配慮した活力ある地域社会の実現
- 地方の自主性を活かす統合補助金事業
- 廃棄物処理施設、リサイクル施設の整備等
- 自然共生型公共事業等の推進
- 水質改善対策の推進等良質な水を育む循環系の整備
- 環境に関する技術開発・普及の推進
- グリーン庁舎の整備の推進
3) 科学技術・教育・ITの推進による成長フロンティアの拡大
- 世界最先端の研究施設の整備
- 産学官連携による研究開発の推進
- 博物館、美術館等の文化施設、社会教育施設の整備
- 電子カルテ等の医療分野の情報化の推進
- 地域のIT化の推進
- IT化に対応した公的施設・システムの整備
- 公立学校における校内LAN等の整備
- 管理用光ファイバー等の整備の推進
4) 少子・高齢化への対応
- 特別養護老人ホーム、ケアハウス等の介護関連施設等の整備
- 保育所、放課後児童クラブ等の子育て施設の整備
- 障害者関連施設、小児医療施設等の整備
- 歩道・駅などの公共空間のバリアフリー化等の推進
3 緊急対応プログラムの規模と効果
本プログラムに伴う第二次補正予算においては、「国債発行額30兆円以下」の方針の下、安易な国債増発によることなく、政府の保有資金を最大限活用した「改革推進公共投資」特別措置の実施により、国費で公共事業1.5兆円、施設費1兆円の計2.5兆円の社会資本整備のための無利子貸付けを行い、事業規模で4.1兆円程度を確保することとしている(別紙)。
これにより、本プログラムの経済効果について、内閣府の経済モデルに基づいて試算を行ったところ、以下のとおりと見込まれる。
- 今後1年間のGDPへの効果については、
名目:1.2%増程度
実質:0.9%増程度
- 今後1年間の雇用への効果については、
雇用者数:11万人程度の増
失業率:0.1%ポイント程度の改善
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