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平成15年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度

平成14年12月19日
閣 議 了 解

1.平成14年度の経済財政運営と我が国経済

(平成14年度の経済財政運営)
 政府は、経済社会の活性化を通じた民間需要主導の本格的な回復軌道に乗せるため、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2002」(平成14年6月25日閣議決定)を策定した。それ以降、10月には、金融・経済情勢の不確実性の高まりを踏まえ、日本経済再生のための政策強化として、「改革加速のための総合対応策」をとりまとめ、さらに、12月には、この総合対応策を補完・強化する「改革加速プログラム」を策定するとともに、平成14年度補正予算を編成することとした。
 これらに加え、構造改革特区の実現や「特殊法人等整理合理化計画」(平成13年12月19日閣議決定)に基づき、特殊法人等の廃止・独立行政法人化、民営化などの取組を着実に実施した。

(平成14年度の我が国経済)
 平成14年度の我が国経済については、年初来の輸出の増加や生産の持ち直しの動き等により、景気に一部持ち直しの動きが見られるものの、年後半にかけて米国経済への先行き懸念や株価低迷の影響等が最終需要の下押し要因となり、年度後半はほぼ横ばいで推移することが見込まれる。
 こうした結果、平成14年度経済全体として見れば、国内総生産の実質成長率は、年度前半の比較的高い成長の寄与もあり、0.9%程度(名目成長率はマイナス0.6%程度)になると見込まれる。


2.平成15年度の経済財政運営の基本的態度

 厳しい経済情勢にあっても、日本経済の再生を図る道は「聖域なき構造改革」を迅速かつ着実に推進する以外にない。「改革なくして成長なし」との基本的考え方を引き続き堅持し、経済活性化に向け、「金融システム改革」、「税制改革」、「規制改革」及び「歳出改革」の四本柱の構造改革を一体的かつ整合的に実行する。こうした構造改革の取組を更に加速することにより、デフレを抑制しながら、民間需要主導の持続的な経済成長の実現を目指すことを基本に経済財政運営を行い、世界経済の持続的発展への貢献を目指す。

(1)聖域なき構造改革の加速
 「金融システム改革」については、「金融再生プログラム」を作業工程表に従って、着実に検討及び実施していくことにより、不良債権処理を加速し、平成16年度には不良債権問題を終結させることを目指す。これにより、金融仲介機能の回復を図り、資源の新たな成長分野への円滑な移行を可能にする。また、産業・金融一体となった対応を強力に進めるため、産業再生・雇用対策戦略本部の策定する「企業・産業再生に関する基本指針」に従い、産業再生機構(仮称)を創設するとともに、産業活力再生特別措置法(産業再生法)を抜本的に改正するなど、産業再編や事業の早期再生に向けた取組を一層積極的に推進する。

 「税制改革」については、平成15年度税制改正において、現下の経済・財政状況を踏まえつつ、持続的な経済社会の活性化を実現するための「あるべき税制」の構築に向け、次の改革を一体として行う。
 具体的には、我が国産業の競争力強化のための研究開発・設備投資減税の集中・重点化、次世代への資産移転の円滑化に資する相続税・贈与税の一体化、「貯蓄から投資へ」の改革に資する金融・証券税制の軽減・簡素化、土地の有効利用の促進に資する登録免許税等の軽減、人的控除の簡素化等の観点からの配偶者特別控除(上乗せ分)の廃止、消費税に対する信頼性・透明性を向上させるための免税点制度等の改革、法人事業税への外形標準課税の導入、酒税及びたばこ税の見直し等を行う。
 なお、この改革の実施により、平成15年度において1.8兆円程度の減税となり、多年度においては税収中立となる。

 「規制改革」については、総合規制改革会議の第2次答申(平成14年12月12日)に示された具体的施策を最大限尊重し、「規制改革推進3か年計画」を改定するとともに、その着実な実施を図る。全国規模の改革と併せて、構造改革特区制度を推進することにより、地域レベルの改革を先行的に進めるとともに、同制度の対象となる規制の特例措置を拡充する。また、公的関与の強い分野や、国・地方公共団体の提供する公的サービス分野について、民間委託の手法の活用、民間参入の解禁等により、潜在需要を喚起する規制改革を積極的に進める。併せて、競争政策、司法制度等の環境を整備する。

 「歳出改革」については、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2002」、「平成15年度予算編成の基本方針」(平成14年11月29日閣議決定)等を踏まえ、昨年度に引き続き、平成15年度予算を「改革断行予算」と位置付け、「官から民へ」、「国から地方へ」の観点に立ち、制度・政策の抜本的な見直しの検討を踏まえ、歳出全体にわたる徹底した見直しを行う。その際、政策評価の結果を活用する。平成15年度予算の歳出規模は、一般歳出及び一般会計歳出全体について、実質的に平成14年度の水準以下に抑制するとともに、平成14年度の「国債発行30兆円以下」の基本精神を受け継ぎ、国債発行額を極力抑制する。また、活力ある経済社会の実現に向けた将来の発展につながる4分野(「人間力の向上・発揮―教育・文化、科学技術、IT」、「個性と工夫に満ちた魅力ある都市と地方」、「公平で安心な高齢化社会・少子化対策」及び「循環型社会の構築・地球環境問題への対応」)に予算の重点的な配分を行う。

 以上の取組に加え、国民の潜在需要に応えることにより新たな需要を創出すること等を目指す、「基本方針2002」における経済活性化戦略にも積極的に取り組む。具体的には、産業としての裾野が広く、経済への波及効果が大きい生活産業の活性化など、6つの戦略(人間力戦略、技術力戦略、経営力戦略、産業発掘戦略、地域力戦略及びグローバル戦略)及びアクションプログラムを引き続き推進するとともに、フォローアップを行う。
 また、行政組織等の減量・効率化、特殊法人等改革等の行政改革に引き続き積極的に取り組む。

(2)世界経済の持続的発展への貢献
 世界貿易機関(WTO)を中心とした多角的貿易体制の維持・強化を基本としつつ、これを補完するものとして経済連携や自由貿易協定を積極的に推進する。我が国経済の活性化を図るため、多層的な対外経済政策を推進することとし、WTO新ラウンドにおける交渉に引き続き積極的に取り組むとともに、アジア太平洋経済協力(APEC)、アジア欧州会合(ASEM)、ASEAN+3(日中韓)、日・ASEAN包括的経済連携構想といった地域的な取組や、メキシコ、韓国等との二国間の自由貿易協定・経済連携を積極的に推進する。また、国際金融システムの強化、発展途上国に対する透明性・効率性の高い戦略的な援助等に努めることにより世界経済の持続的発展に貢献する。さらに、引き続き国際経済等の動向を注視しつつ、世界及び日本の経済システムに混乱が生じないよう、各国と協調し対応する。

 以上のような政策運営を行うに当たっては、平成14年度補正予算と平成15年度予算を一体として切れ目なく運用するほか、不良債権処理の加速に伴う影響など、構造改革を加速していく中で考えられる様々な影響に十分留意し、雇用や中小企業のセーフティ・ネットには万全を期す。また、今後とも、経済情勢によっては、大胆かつ柔軟な政策運営を行うこととする。
 デフレ克服に向け、政府・日本銀行は引き続き一体となって強力かつ総合的な取組を実施する。日本銀行においても、更に実効性ある金融政策運営を行うよう期待する。

  


3.平成15年度の経済見通し

 平成15年度においても、引き続き「改革なくして成長なし」との基本的考え方に立って、経済活性化に向け、構造改革を一体的かつ整合的に実行し、これにより我が国の潜在力を開花させ、民間需要主導の持続的な経済成長の実現を目指す。
 平成15年度は、「改革加速プログラム」及びこれに基づく平成14年度補正予算、「税制改革」における減税等を含め政府・日本銀行一体となった政策の効果が発現し、更に、年度前半には世界経済も徐々に回復していくことが見込まれることなどから、不良債権処理の加速に伴う影響等はあるものの、企業部門も緩やかに回復し、我が国経済は、民需中心の緩やかな回復へと次第に向かっていくことが期待される。物価については、デフレ傾向は継続するおそれがあるものの、需要の回復等によりデフレ圧力は徐々に低下していくことが期待される。
 その結果、我が国経済は、国内総生産の実質成長率が0.6%程度(名目成長率はマイナス0.2%程度)となるなど、別添の主要経済指標のとおりと見通される。
(1)実質国内総支出
@ 個人消費
 個人消費は、構造改革の過程で短期的には避けられない家計部門の雇用・所得環境の厳しさが続く中で、前年度より伸びは低下する(対前年度比0.4%程度の増)。
A 民間住宅投資
 住宅投資は、家計部門の厳しい雇用・所得環境や不動産価格の低迷が続くことから、前年度を下回る(対前年度比2.0%程度の減)。
B 設備投資
 設備投資は、生産の持ち直しや企業収益の回復等に加え、政策減税の後押しもあり、次第に緩やかな回復へ向かう(対前年度比1.8%程度の増)。
C 公需
 公需は、「改革断行予算」の継続の下で公的固定資本形成は減少するものの、介護保険給付の増加等があることから、前年度並みとなる(実質成長率に対する公需の寄与度0.0%程度)。
D 外需
 外需は、世界経済の緩やかな回復に伴い、若干増加する(実質成長率に対する外需の寄与度0.1%程度)。
(2)労働・雇用
 構造改革を進める中で、雇用・所得環境は厳しい状況が継続することから、完全失業率は前年度に比べて若干上昇する(5.6%程度)。
(3)鉱工業生産
 鉱工業生産は、輸出の伸びや企業の景況感の改善により、徐々に持ち直していく(対前年度比2.0%程度の増)。
(4)物価
 物価は下落が続くが、需給要因の改善等から下落幅は縮小する(国内企業物価:対前年度比0.9%程度の下落、消費者物価:対前年度比0.4%程度の下落)。
(5)国際収支
 輸出とともに輸入も増加することから、経常収支の黒字はほぼ横ばいとなる(経常収支対GDP比2.7%程度)。
(注)  我が国経済は民間活動がその主体をなすものであること、また、特に国際環境の変化には予見し難い要素が多いことにかんがみ、主要経済指標の諸計数はある程度幅を持って考えられるべきものである。

主要経済指標