首相官邸 首相官邸 トップページ
首相官邸
 トップ主な報告書・答申等印刷用(PDF)

証券市場の構造改革と活性化に関する対応について

平成15年5月14日
証券市場活性化関係閣僚等による会合

 我が国の景気がおおむね横ばいとなっている中で、企業部門は持ち直しつつあり、企業収益にも改善の動きが見られるが、株式市場における需給の不均衡などから株価は低迷しており、これが景気の先行きや金融システムの安定に悪影響を及ぼすことが懸念される。

 株価の水準は、企業収益の動向など、様々な要因を背景として市場において決定されるものである。その回復のためには、政府・日本銀行が一体となって、デフレ克服を目指しながら、構造改革を加速するとともに、経済活性化のための戦略を積極的に推進することによって、経済全体の活性化を図ることが重要である。また、企業自らによる収益性・配当性向の向上や投資家の信頼確保に向けた最大限の努力のほか、証券会社による個人投資家層拡大のための企業努力も不可欠である。

 他方、最近の金融経済情勢にかんがみれば、証券市場における当面の需給関係を視野に入れ、また、基本的には、リスクのある資産への資金が拡大するよう日本経済における資金の流れを転換していく必要があることを踏まえ、官民が一体となって証券市場の活性化に取り組むことが必要である。

 こうした考え方に立って、政府及び日本銀行は、2回にわたる関係閣僚等による会合の結果、構造改革の方針との整合性を重視しつつ、当面、下記のような対応を行うこととした。

 今後、対応の進捗状況を速やかに点検するとともに、引き続き、金融経済情勢を十分に注視しつつ、必要に応じ、証券市場活性化に関し、適切な措置を検討・実施していく。



1.郵貯・簡保による対応
(早急に対応)
銀行等保有株式取得機構について、資金調達の必要が生じ、政府保証債を発行することになった場合には、その債券を郵貯・簡保資金により市場から購入することについて検討を行う。
(本年度中に検討)
(1)郵便局ネットワークを活用した民間投資信託の窓口販売については、民間との役割分担を含め、総合的に検討する。
(2)郵政公社は、自己資本(内部留保)の充実に努めつつ、郵貯資金・簡保資金の性格に応じて、それぞれの資金の国内株式による運用の拡大について検討する。


2.公的年金による株式運用
(早急に対応)
年金受給者の利益のために運用するという年金資金の運用の原則を踏まえつつ、本年3月に引き上げた目標値(5%→6%)の着実な達成を目指す。
(本年度中に検討)
来年予定される次期年金財政再計算と歩調を合わせ、株式の割合を含めた基本ポートフォリオの内容について検討を行う。


3.厚生年金基金の代行返上
(早急に対応)
(1)代行返上の施行時期については、返上に伴う事務処理を迅速に進め、当初予定していた本年10月1日をできる限り前倒しする。
(2)物納要件については、年金資金の運用の原則を踏まえつつ、可能な限り要件を緩和した政省令を早急に制定する。


4.企業による自社株取得
(早急に対応)
(1)自社株取得の手続については、議員立法により、定時株主総会の決議がなくとも、定款の授権に基づく取締役会の決議により取得することを可能とする商法等の改正が検討されている。こうした状況を注視しつつ、適切に対応していく。
(2)インサイダー取引規制については、企業による自己株取得を過度に萎縮させることのないよう、関係機関等を通じ、一層の周知徹底を図る。


5.確定拠出年金の普及
(早急に対応)
確定拠出年金について、引き続き、その普及に努める。
(本年度中に検討)
次期年金制度改正に併せて、確定拠出年金の拠出限度額の引き上げ等について検討を行う。


6.ESOP(従業員株式所有プラン(仮称))の検討
(引き続き検討)
ESOP(従業員株式所有プラン(仮称))については、従業員の資産運用の自由度や企業倒産時のリスク等を踏まえつつ、関係省庁で引き続き検討する。


7.銀行等保有株式に関する措置
(早急に対応)
銀行等の株式保有制限については、新BIS規制の導入時期が平成16年末から18年末に延期されたこと等を踏まえ、議員立法により、株式保有制限の適用時期を2年程度延期する方向で検討が行われている。また、銀行等保有株式取得機構についても、その機能を強化するため、議員立法により、売却時拠出金の廃止等を行うことが検討されている。こうした状況を注視しつつ、適切に対応していく。


8.政府保有株式の売却
(早急に対応)
平成15年度中、政府保有株式(NTT株及びJT株)については、市況が好転するまでの間、売却は行わない。


9.個人投資家による証券投資を促す税制等
(早急に対応)
平成15年度税制改正において実施した金融・証券税制の軽減・簡素化(20%→10%、申告不要制度の導入)や相続税・贈与税の一体化措置(贈与財産に係る贈与時の時価による評価等)について、引き続き、関係団体等とも連携しつつ、積極的に周知徹底し、新たな個人投資家層による証券投資の促進を図る。
(引き続き検討)
金融・証券税制、法人税制などにつき、税体系全体のあり方との関連をも踏まえ、中長期的観点からあるべき税制の構築に向けて引き続き検討する。


10.証券市場の信頼性の向上
(早急に対応)
(1)身近な金融機関で証券を購入できるようにすること等を内容とする「証券取引法等の一部を改正する法律案」、公認会計士監査の充実・強化等を内容とする「公認会計士法の一部を改正する法律案」の早期成立を図るとともに、その早期施行に向けた政省令の整備を行う。
(2)証券仲介業など、新たに創設される制度について、周知徹底を行い、その活用を図る。


11.証券業界の対応に関する要請
(早急に対応)
証券関係各団体等に対して、個人株主育成の観点から、アクション・プランを策定すること等を要請する。


12.日本銀行による銀行保有株式の買入れ措置の拡充
(引き続き検討)
銀行保有株式の買入れについては、金融機関の株式保有や自己資本の基本的項目(TierT)の動向など、引き続き状況を注視し、必要ならば、適切な対応について検討を行う。


13.証券市場活性化に資する民間企業の取組に対する期待
民間企業は、以下のような取組を行うことが期待される。
(1)産業再生法等を活用した事業再構築や新たな事業展開を積極的に進めることにより、収益性を一層高めること。
(2)高まった企業の価値を投資家に還元するよう、適切な配当政策に努めること。
(3)コーポレート・ガバナンスやインベスター・リレーションズ(IR)の充実に積極的に取り組むこと。