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平成16年度予算編成の基本方針

平成15年12月5日
閣 議 決 定


 日本経済の再生に向けた構造改革の推進

 我が国の経済と財政の状況
 (我が国経済の現状)
 世界の景気回復に明るさが増している。こうした中で、我が国経済についてみると、景気改善の状況には地域差がみられるが、雇用情勢は依然として厳しいものの持ち直しの動きがみられ、企業収益の改善等、企業部門に前向きの動きがみられるなど、景気は持ち直している。
 (平成15年度及び平成16年度の我が国経済)
 平成15年度については、踊り場的な状況がみられた後、米国をはじめ世界経済が徐々に回復に向かう中で、輸出や生産が再び緩やかに増加していくとともに、企業収益の改善が続き、設備投資も増加に転じるなど、企業部門が回復していく。これにより、我が国経済は、民需中心に緩やかに回復していくものと見込まれる。実質経済成長率は平成14年度に続いてプラスとなると見込まれる。ただし、デフレについては、物価の下落幅は縮小していくものの、なおデフレ傾向は継続する。
 平成16年度については、世界経済の回復が続く中で、生産や設備投資の緩やかな増加が続き、こうした企業部門の動きにより雇用・所得環境も厳しいながらも持ち直しに向かい、家計部門にも徐々に明るさが及んでいくことが期待される。こうしたことから、我が国経済は、引き続き緩やかな回復過程を辿るものと見込まれる。デフレ傾向は継続するおそれがあるものの、需要の回復等に加え、政府・日本銀行一体となった取組を進めることにより、デフレ圧力は徐々に低下していくと見込まれる。他方、海外経済や金融・為替市場の動向等には、引き続き留意が必要である。
 なお、具体的な経済成長率等については、政府が年末にとりまとめる「経済見通しと経済財政運営の基本的態度」において示されることになる。
 (財政事情)
 我が国財政は、バブル経済崩壊後、総じて景気回復を優先した財政運営を行ってきた結果、先進国のいずれの国と比較しても極めて深刻な状況にある。平成15年度予算では、国債発行額を極力抑制することとしたものの、公債依存度は44.6%にも及ぶ見込みである。
 また、かつてのような高い経済成長に依存した税収の伸びが期待できない中で、急速な人口の高齢化等に伴う諸経費の増大や公債の累増に伴う国債費の増大等により歳入歳出構造はますます硬直化してきており、財政構造についての思い切った見直しがなければ、歳出と税収の多額のギャップは年々拡大していく可能性が強い。
 このような財政の持続可能性に対する懸念の増大を放置することなく、今後も引き続き、財政構造改革に着実に取り組み、将来世代に責任が持てる財政を確立する必要がある。
 日本経済の再生に向けて
 (構造改革の推進と我が国経済)
 厳しい経済情勢にあっても、構造改革なくして日本経済の再生と発展はない。
 改革は途半ばであるが、不良債権処理の着実な進展、動き出した構造改革特区、最低資本金特例を利用した起業の登場など、改革の芽は現れつつある。
 こうした改革の芽を「再生日本」という大きな木に育てていくためには、これまでの2年半余にわたる改革の成果を更に浸透させつつ、「改革なくして成長なし」「民間にできることは民間に」「地方にできることは地方に」との方針の下、引き続き、規制、金融、税制及び歳出の各分野にわたる構造改革──構造改革特区をはじめとする規制改革の推進、平成16年度における不良債権問題の終結を目指した「金融再生プログラム」の推進、持続的な経済社会の活性化を目指し、将来にわたる国民の安心を確保する税制への改革、社会保障制度改革、「三位一体の改革」  等と併せ、持続可能な財政構造の構築──をスピード感を持って一体的かつ整合的に実施することにより、デフレを克服しつつ、21世紀にふさわしい仕組みを作り上げていかなければならない。その際、改革は民間需要と雇用の拡大を重視して進める。こうした改革路線を堅持し、「改革と展望−2002年度改定」(平成15年1月24日閣議決定)に沿い、民間需要主導の持続的な経済成長の実現と2010年代初頭における国・地方合わせたプライマリーバランスの黒字化を目指すこととする。
 (地域経済の活性化)
 日本経済の再生は元気な地域経済に支えられて実現する。地域が持つ潜在力が十分に発揮できるよう、構造改革の成果の更なる浸透を図りつつ、地域自らの意欲と行動に立脚し地域経済の活性化と地域雇用の創造を推進する。
 地域経済の活力を引き出すため、構造改革特区をはじめとする規制改革を引き続き大胆に進めるほか、地域の創意工夫と特性を活かし地域産業の活性化を図るとともに、雇用政策、中小企業政策等を積極的に展開する。また、行政サービスのアウトソーシングについては、その推進に当たり阻害要因がある等の地域等の声を踏まえ、地方の自主性の発揮、行財政の効率化、住民サービスの質的向上、地域雇用の拡大・地域経済の活性化といった観点からこれを積極的に推進する。「地域再生本部」においては、構造改革特区推進本部等と連携しつつ、年内を目途に「地域再生に関する基本指針」を策定するとともに、それぞれの地域の再生のための取組に対しワンストップでの国の支援を推進する。具体的には、雇用政策、中小企業政策等の関係政策との連携の推進等を図りつつ、構造改革特区の措置のほか、権限移譲やアウトソーシング、施策の連携・集中といった支援策を講じ、技術や人材、観光資源、自然環境等を活用した地域の基幹的な産業の再生・事業転換、新規産業の創出をはじめとした地域自らが策定する地域の再生のための計画を支援する。



II

 平成16年度予算の基本的考え方

 (「改革断行予算」の継続)
 平成16年度予算編成に当たっては、これまでの「改革断行予算」という基本路線を継続し、構造改革を一層推進し、活力ある経済社会と持続的な財政構造の構築を図るようにする必要がある。
 すなわち、「官から民へ」「国から地方へ」「利用者の選択の拡大へ」「ハードからソフトへ」といった基本的考え方に沿って、制度・政策の抜本的見直しを行うとともに、政府全体の歳出を国と地方が歩調を合わせつつ抑制することにより、政府の大きさ(一般政府の支出規模のGDP比)を極力抑制し、持続可能な財政構造の構築を図り、将来においても我が国経済の活力を維持する必要がある。平成16年度予算編成においては、以上の考え方に沿って、歳出全体にわたる徹底的な見直しを行い、歳出改革を一層推進する。
 また、予算手法のイノベーションに取り組むこととし、「モデル事業」を試行的に導入するとともに、「民間の潜在力を最大限引き出すための制度改革、規制改革等の施策と予算の組合せ」(「政策群」)という手法を活用する。
 平成16年度予算は、一般会計歳出及び一般歳出について実質的に平成15年度の水準以下に抑制する。特別会計については、各特別会計の性格及び予算執行の状況等を踏まえ、事務・事業の見直しを行い歳出の効率化・合理化を図る。予算の配分に当たっては、歳出構造改革を推進するとの基本的考え方を踏まえ、「政策群」の手法を活用するとともに、活力ある社会・経済の実現に向けた4分野(「人間力の向上・発揮―教育・文化、科学技術、IT」「個性と工夫に満ちた魅力ある都市と地方」、「公平で安心な高齢化社会・少子化対策」「循環型社会の構築・地球環境問題への対応」)に重点的かつ効率的な予算の配分を行う。
 予算配分の重点化・効率化を行うため、一般歳出を「公共投資関係費」、「義務的経費」、「裁量的経費」に区分し、「公共投資関係費」、「裁量的経費」について二割増の要望を認めつつ厳しい予算配分を行う。このうち、公共投資関係費については、その総額を前年度予算額から3%減算した額の範囲内に抑制する。第二に、義務的経費については、自然増を放置することなく、制度・施策の抜本的見直しを行い、歳出の抑制を図る。第三に、裁量的経費については、前年度予算額から2%減算(科学技術振興費に相当する額を除く。)した額を上限として縮減を図る。その際、政策評価等の結果を一層活用する。また、予算全体について、物価動向に加え、行政サービスの簡素化・効率化を織り込み、単価を引き下げる。
 また、歳入面においては、財政赤字の拡大や高水準の債務残高に鑑み、国債発行額を極力抑制する。国債発行による資金調達に当たっては、中長期的な資金調達コストの最小化や国債市場の安定化等の観点から、公的債務の各種リスクを適切かつ専門的に管理するなど、適切な債務管理政策を実施する。税外収入については、可能な限りその確保を図る。
 なお、平成16年度財政投融資計画については、財投改革の趣旨を踏まえ、中小企業対策などセーフティネットの構築等真に必要な資金需要には的確に対応しつつ、対象事業の一層の重点化を図る。また、そうした中で、地方分権を推進する観点からも、地方公共団体ごとの資金調達能力に配慮しつつ、地方債計画における政府資金等の公的資金の見直し・縮減を図る。
 (予算手法のイノベーション)
 平成16年度予算編成においては、予算手法のイノベーションとして「モデル事業」と「政策群」に取り組む。その成果を今後の予算編成にも活用することとする。
(1) モデル事業
 「モデル事業」として要求が行われている事業について、
 定量的な政策の達成目標(原則としてアウトカム指標)を有し、達成期限・達成手段が明示されている、
 評価方法が明示されている、
 目標期間が1〜3年程度で、各年度ごとの達成目標が明らかにされている、場合には、政策目標を効率的に達成するため、事業の性格に応じ、予算執行の弾力化を行うこととする。具体的には、国庫債務負担行為・繰越明許を活用した複数年度にわたる事業の予算執行の弾力化や目の大括り化、各目の相互間における流用の弾力化といった手法を活用する。
 事後評価については、達成目標や評価方法を客観的なものとすることにより厳格に行う。その際、政策評価や予算執行調査等を活用する。
(2) 政策群
 予算配分の重点化・効率化に当たり、政策目標の実現に向け、制度改革、規制改革等と予算措置を組み合わせる「政策群」の手法を活用することにより、構造改革と予算の連携を強める。その際、原則として府省横断的に対応し、重複排除を図るなど政策の実効性・効率性を高めるほか、より少ない財政負担で民間活力を最大限に引き出すものに特に重点を置くなどにより、予算の効率性の向上と歳出の質の更なる改善を図るとともに、予算との連携により制度改革、規制改革等を推進する。
 その状況について、執行段階及び事後において厳格な検証を行い、国民への説明責任を果たすとともに、その後の政策に反映させる。その際、政策評価や予算執行調査等を活用する。
−平成16年度予算編成における「政策群」−
 少子化の流れを変えるための次世代育成支援
 若年・長期失業者の就業拡大
 世界最先端の「低公害車」社会の構築
 緑豊かで安全・快適な都市の再生
 都市と農山漁村の共生・対流の推進
 外国人が快適に観光できる環境の整備
 科学技術駆動型の地域経済発展
 災害等緊急事態対応の強化
 民間との協働による犯罪者の更生と社会復帰支援体制の構築
 安全かつ効率的な国際物流の実現
 (行政改革)
 「聖域なき構造改革」の考え方の下、簡素で効率的な行政システムを確立するため時代の要請に即応して行政の役割を見直し、行政組織等の減量・効率化や特殊法人等改革など行政の構造改革を推進する。
 国家公務員の定員については、全体としてスリム化を図る中で、治安など真に必要な部門には適切に定員を措置する。このためにも、政府全体としての定員配置の適正化を図る観点から、IT化に伴う業務改革やアウトソーシングの推進、業務の必要性の見直しの徹底等により、更なる減量・効率化を推進し、強力に合理化を進める。また、行政需要の変動に的確に対応しうるよう、府省間及び府省内での定員の再配置を推進する。これらにより、メリハリのある定員配置を実現するとともに、引き続き国家公務員数の純減を実施することとし、次期通常国会に総定員法改正法案を提出し、定員の最高限度の大幅な引き下げを図る。独立行政法人・特殊法人等についても、例えば人件費を含む一般管理費の削減や厳しい定員削減の実施など、役職員数も含めた一層の事務運営の効率化を図る。
 また、総人件費を極力抑制するとの基本方針を堅持することとする。
 特殊法人等向け財政支出については、「特殊法人等整理合理化計画」(平成13年12月19日閣議決定)に基づく事業の徹底した見直しの成果を平成16年度予算に反映させることにより、独立行政法人への移行分なども含めて厳しく抑制を図る。 
 (税制改革)
 税制については、持続的な経済社会の活性化を目指し、将来にわたる国民の安心を確保するための「あるべき税制」の構築に向けた検討を、引き続き進める。
 こうした観点から広範な税目にわたり包括的かつ抜本的な改革を行った平成15年度税制改革は、着実に経済活性化に向けた効果を発現しつつあり、平成16年度においても1.5兆円の先行減税が継続する。
 平成16年度税制改正においては、平成15年度税制改革の効果の浸透を的確に見極めるとともに、財政規律の維持に適切に配慮しつつ、引き続き真に有効な施策の検討を進める。また、こうした改革の一環として、国際的な投資交流を通じた経済活性化等を実現するため、日米租税条約の約30年ぶりの全面改正及びこれを契機とした関連諸制度の見直しを行う。



III

 歳出の見直しと構造改革の推進

 平成16年度予算は「改革断行予算」を継続し、歳出全体を厳しく見直し大胆な質的改善を図ることとする。我が国経済の活性化を図るため、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2003」(平成15年6月27日閣議決定。以下「基本方針2003」という。)に基づき、「政策群」の手法を活用するとともに、以下の1から4までに掲げる4分野について、これまでの実績・評価を考慮しつつ政策効果が顕著なものについて重点的かつ効率的に推進する。また、5から7までに掲げる社会資本整備、社会保障制度及び地方財政の事項についても制度・施策の見直しを行う。さらに、農林水産、ODA等については「基本方針2003」に即し歳出の見直しに取り組む。
 人間力の向上・発揮−教育・文化、科学技術、IT
 世界最高水準の大学を育成するため、平成16年4月の国立大学法人への移行等の施策を通して大学改革を着実に推進するとともに、第三者機関による厳格な成果評価等により競争環境を整備する。法科大学院をはじめとする専門職大学院の設置等、専門職業人養成を目的とする高度で多様な教育機会を拡大する。
 また、初等中等教育について、教育の質を向上させ、豊かな心を持ち確かな学力と創造性を持った人材の育成を図るため、地方の自主性を一層尊重するとともに、学校や教員の個性と競争を重視しつつ、教育改革を推進する。健康な心身を育み、食の安全・安心確保の基礎となる「食育」を推進する。機関補助の在り方について一層の見直しを図る一方、奨学金事業の充実等意欲と能力のある個人の主体的な自助努力を支援する施策を推進する。民間の活用等により、雇用、産業、教育の連携や地域の主体的取組等を通じて、若年者の職業的自立を促進するとともに、長期失業者対策を進める。さらに、文化芸術分野を含め優れた人材育成を図るとともに、生涯スポーツ社会の実現を目指し、文化・芸術・スポーツを活かした豊かな国づくりを進める。
 科学技術創造立国の実現のため、国際的に卓越した基礎研究及び(1)ライフサイエンス、(2)情報通信(IT)、(3)環境、(4)ナノテクノロジー・材料の4分野など、国の発展の基礎の強化、国際競争力の強化、安心・安全で快適な社会の構築に資する分野への重点化を進めるとともに、経済活性化のための研究開発プロジェクトを推進する。その際、更なる質的向上を図るため、施策の優先順位付け(SABCの4段階)等を踏まえたメリハリをつけるとともに、重複の排除や見直し等を行う。特に、競争的研究資金については、評価体制の整備等の制度改革を行いつつ、その重点的推進を図る。また、科学技術を通じた地域経済の発展を目指し、産学官連携の推進及び地域科学技術の振興を図る。さらに、知的財産立国に向け、「知的財産の創造、保護及び活用に関する推進計画」(平成15年7月8日)に基づき、特許審査の迅速化や模倣品・海賊版対策等の施策を推進する。なお、独立行政法人や国立大学法人等が効率化を進め、必要性が薄れた科学技術活動の見直しを行いつつ、重要とされる活動を積極的に実施できるよう配慮する。
 「2005年に世界最先端のIT国家となるとともに、2006年以降も世界最先端であり続ける」との目標達成に向け、「e-Japan重点計画-2003」(平成15年8月8日)を踏まえ、重点的に整備されてきたIT基盤を活用して医療をはじめとする7分野に係る先導的な取組を行い、IT利活用を推進する。なお、これらの施策の推進に際しては、民間が主導的な役割を担うとの原則に沿って官民の役割分担を明確にするとともに、これまでの基盤整備に係る成果の検証等を踏まえ、施策の重複の排除や既存のプロジェクトの見直しを行う。
 個性と工夫に満ちた魅力ある都市と地方
 急速な情報化、国際化、少子高齢化等の社会経済情勢の変化に対応して、我が国の活力の源泉である都市の魅力と国際競争力を高め、稚内から石垣まで、全国で都市の再生を実現することが重要な課題である。このため、地方に対する支援の枠組みの充実を図る。都市再生プロジェクト等を活用し、各種の都市基盤整備を重点的に進めることなどにより、民間資金やノウハウ等を引き出し新たな民間投資や消費を喚起する。また、都市再生特別措置法に基づく都市再生緊急整備地域において、民間都市開発への支援の充実等を通じた施策を行うなど、「都市再生基本方針」(平成14年7月19日閣議決定)に基づく施策を、優先度を踏まえつつ、重点的に実施する。
 また、地域経済の活性化と地域雇用の創造に向け、農業の競争力の強化等地域産業の活性化、都市と農山漁村の共生・対流、観光立国の実現、安全な地域づくり等を総合的に推進する。さらに、地方の自立と活性化を促進するため、市町村合併を効果的に支援する。
 日本経済の活力の源泉であるとともに、地域経済と地域雇用を支える存在である中小企業の再生と革新を支援する。やる気と能力のある中小企業者への円滑な資金供給等のセーフティネットの確保を図るとともに、中小企業再生支援協議会の一層の活用等中小企業の再生を積極的に支援する。また、創業や中小企業による新事業等への挑戦に対し、人材育成や技術力の活用等の観点から積極的に支援する。
 また、「世界一安全な国、日本」の復活を実現するため、住民の安全と治安の確保を図る。
 公平で安心な高齢化社会・少子化対策
 少子化の進行により我が国の人口は2007年から減少に転じ、急速に高齢化が進むことが予測される中で、持続可能な社会保障制度の構築に努めることが重要な課題である。
 次世代を担う子どもが健やかに生まれ、育成される環境の整備を図り、少子化の流れを変えるため、次世代育成支援対策を総合的に推進する。このため、平成15年度税制改革の趣旨を踏まえ児童手当の充実等を行うとともに、職場と地域を通じた子育て支援体制の強化、仕事と子育ての両立支援のための保育所や幼稚園における待機児童ゼロ作戦等を進める。
 また、公設民営方式やPFI方式をはじめとした民間活力の活用により介護、保育サービスの供給体制を効率的に整備するとともに、公共施設、公共交通等の公共空間のバリアフリー化による移動手段の確保を図り、高齢者が尊厳を保ちつつ積極的に社会参加をできるような社会の構築を目指す。
 さらに、食の安全に対する消費者意識の高まり等に適切に対応し、消費者に信頼される食の安全・安心体制の確保を図る。
 循環型社会の構築・地球環境問題への対応
 経済が持続的に成長するためには、環境保護と経済発展の両立が重要な課題である。関係府省は施策の重複を排除しつつ連携・協力し、循環型社会・脱温暖化社会の構築等に向けた取組を進める。その際、環境技術の実用化に向けた研究・開発等科学技術の活用を進め、民間の取組を促進し、環境セクターの創出・拡大を図る。
 「循環型社会形成推進基本計画」(平成15年3月14日閣議決定)に基づき、廃棄物等の発生抑制、再使用、リサイクル(いわゆる3R)や不法投棄の防止等の着実な実施を図り「ゴミゼロ社会」の構築を目指す。また、「バイオマス・ニッポン総合戦略」(平成14年12月27日閣議決定)を着実に推進する。さらに、京都議定書の目標達成に向けて、国民各層一体となった取組に加え、低公害車の普及や多様で健全な森林の育成等自然生態系の保全・再生に直接つながる事業等を推進する。併せて、都市のヒートアイランド対策を進める。
 社会資本整備
 公共投資関係費の水準については、前年度予算から3%以上削減しつつ、上記1から4までに掲げる4分野を中心に、雇用・民間需要の拡大に資する分野への重点配分を行う。公共事業の国庫補助負担金については、「三位一体の改革」も踏まえ、その内容を見直すとともに、公共投資関係費全体の削減を上回る縮減を行う。
 なお、今後の事業の実施に当たっては、地域における実情を勘案し、円滑な事業実施に努める。
 (公共事業関係計画の見直し)
 公共事業については、その重点を従来の事業の量から事業により達成すべき成果へと転換することが求められている。また、成果を達成する上で、関連する事業(ソフト施策を含む。)を適切に組み合わせることにより効率的な事業実施を図る必要がある。このような観点から、9本の計画を一本化して「社会資本整備重点計画」(平成15年10月10日閣議決定)が策定されたところであるが、森林整備保全事業計画策定においても、同様の考え方により取り組む。
 (公共投資の重点化)
 重点分野に施策を集中しつつ更に絞込みを図るため、整備水準、整備の緊急性、経済構造改革の推進、官と民・国と地方の役割分担等の観点から、各事業の目的・成果に踏み込んできめ細かく重点化を図る。
 具体的には、三大都市圏環状道路、中枢国際港湾、大都市圏拠点空港等我が国の競争力の向上に直結する投資を推進するとともに、地方の自主性を尊重しつつ、民需を喚起するような都市機能の高度化、密集市街地の解消、豪雨災害対策、公共空間のバリアフリー化、リサイクルの推進等の課題について、事業横断的に取り組む。
 他方、以下の分野については継続案件を含め厳しく見直しを行う。
 上水道、工業用水などについては、普及率が上がってきていること等を勘案し、整備の在り方を厳しく見直す。
 ダムについては、事業再評価を厳正に実施し、見直しを推進する。また、大規模ダム事業について、実施計画調査の新規着手を凍結する。さらに、建設中のダムについては、本体工事中のものに重点投資し、準備段階のものは抑制する。
 下水道汚水管渠の維持更新に対する補助については原則廃止する。
 都市公園に対する補助については、防災公園等を除き、抑制する。
 地方道については、空港・港湾アクセス等一般国道に準ずるネットワークを形成する事業や交通安全対策、沿道環境対策などを除き、厳しく抑制する。
 地方港湾については、港湾の統合を促進しコスト縮減を図るとともに、事業を厳に抑制する。重要港湾についても、小規模な施設については、原則として新規採択を厳に抑制する。
 地方空港の整備については厳しく抑制する。
 住宅対策については、公営住宅の用地費に係る補助の削減を図る。特定優良賃貸住宅については、地域の需要動向を踏まえ、新規補助を厳しく限定する。
 農林水産関係の公共事業は、担い手への集中など構造改革の実現に直結するものを厳選する。関連するソフト施策との連携を重視し、ハードからソフトへの転換の努力を進める。また、農山漁村における一般的な生活環境整備(集落排水、農道等)については、重点化を図りつつ、地方との役割分担も踏まえ抑制する。
 また、地域間の予算配分は、整備状況を踏まえて弾力的に行う。
 (公共事業の効率性・透明性の向上)
 公共事業においても、政策目標を国民の視点で策定し(Plan)、目標達成のために予算を効率的に活用し(Do)、目標達成状況を厳しく評価し(Check)、評価結果を施策改善や予算に反映させる(Action)というマネジメントサイクルを確立するとともに、情報公開を徹底し、透明性の向上を図る。
 今後5年のコスト縮減目標である15%の総合コスト縮減率の達成に向け、民間企業等の取組を踏まえて、積算や入札方法を見直すなど、コスト構造改革に取り組む。さらに、契約方法の工夫やコスト縮減へのインセンティブを持たせる方策を検討し、羽田空港の再拡張事業についても活用していく。
 PFIの活用、既存ストックの有効活用、機能の類似した事業間の連携強化、集中投資による事業期間の短縮化、規格の見直し等により効率的な整備に努める。また、費用対効果の観点等も踏まえ、政策目的を達成する上で公共事業(ハード)よりも有効なソフト施策がある場合には、ソフト施策の積極的な活用を図る。
 (個別プロジェクトの見直し)
 再評価を適切に実施することにより、社会経済情勢の変化に伴い必要性の低下した事業を中止するなど、個別プロジェクトの見直しを行う。事業評価に当たっては、直近の人口動態等を踏まえた厳正な需要予測を行うとともに、乖離の原因、改善策も含めた関連情報の公開を徹底するほか、第三者によるチェック機能を強化する。また、事業評価を踏まえ個別事業の新規採択・継続・中止の判断を行うことにより評価結果を予算に十分反映する。なお、評価手法については、事後評価の結果や他の事業で用いられている手法との比較検討を踏まえ、一層の改善を図る。
 社会保障制度
 社会保障制度は、国民の安心と生活の安定を支えるセーフティネットであり、経済と調和し、かつ、国民生活の安心を確保できる、若者と高齢者が支え合う公平で持続可能な制度を確立することが、経済社会の活力の源である。今後の一層の少子高齢化の進行の下で、政府の規模を抑制するとの方針を踏まえ、社会保障給付費の伸びを抑制するとともに、社会保障サービスを利用する国民の立場に立った総合的かつ一体的な制度改革を行う。こうした観点から、平成16年度に年金制度の改革に取り組むとともに、医療保険制度及び介護保険制度の改革に向けて国民的議論を行い、持続可能な制度を確立する。 
 平成16年度予算においては、年金をはじめ医療・介護・生活保護等の分野の制度改革や近年の賃金・物価動向等を踏まえた給付・コストの見直しにより、社会保障関係の自然増を6,900億円以下に抑制する。
 (年金)
 平成16年度の年金、手当等については、保険料を納付する現役世代との均衡や制度に対する信頼確保の必要性等を考慮し、物価スライドを実施する。
 さらに、年金制度改革については、現役世代の負担が過大なものとならないよう、給付と負担の見直しを行い、将来にわたり持続可能で、国民生活の「安心」と経済社会の「活力」の基盤となる年金制度とするため、「基本方針2003」を踏まえ、平成16年度予算から反映するよう取り組む。
 (医療・介護・生活保護・雇用等)
 医療については、保険者の再編・統合、高齢者医療制度及び診療報酬体系についての「基本方針」(平成15年3月28日閣議決定。以下「基本方針」という。)を早期に具体化するとともに、増大する高齢者医療費の伸びの適正化方策や、公的保険給付の内容及び範囲の見直し等の「基本方針」以外の課題について早期に検討し、実施に移す。また、「医療サービス効率化プログラム(仮称)」については、工程表を改めて作成し、早期の完全実施を行う。これらにより、公的医療費の伸びの抑制を図り、経済・財政とも均衡のとれたものとなるよう、持続可能性のある医療制度への改革を加速する。
 診療報酬については、近年の物価・賃金動向、経済動向、厳しい保険財政の状況等を踏まえ、国民負担の軽減を図る観点から水準全体を適正に見直す。薬価等については、市場実勢価格等を踏まえ、適正に見直す。診療報酬体系について、経済・財政と均衡をとりつつ、「基本方針」を踏まえ、入院医療の包括化の推進等を行い、効率的で質の高い医療を確保する。
 介護保険制度については、給付費が増大する中、制度全般の検証を行い、介護保険が適用される給付の内容及び水準、施設・在宅の枠組みを越えた新しいタイプのサービスの在り方、施設サービスにおけるいわゆる「ホテルコスト」等給付と負担の在り方について検討を行い、介護保険法施行後5年を目途とする制度見直しの中で、必要な措置を講ずる。
 生活保護については、物価・賃金動向、社会経済情勢の変化、年金制度改革等との関係を踏まえ、老齢加算等の扶助基準など制度、運営の両面にわたる見直しを行う。
 雇用については、多様な働き方の実現や円滑な労働移動を可能とするため、雇用維持支援・雇入れ助成から労働移動支援・ミスマッチの解消に、生活支援から早期再就職支援等の自立支援に重点化するとともに、民間の積極的活用、地域の実情を踏まえた施策の実施に取り組む。その際、政策効果や利用実績を踏まえた見直しを行う。
 地方財政
 国と地方に関する「三位一体の改革」を推進する。それにより、地方の権限と責任を大幅に拡大し、歳入・歳出両面での地方の自由度を高めることで、真に住民に必要な行政サービスを地方が自らの責任で自主的、効率的に選択できる幅を拡大するとともに、国・地方を通じた簡素で効率的な行財政システムの構築を図る。
 (地方歳出の見直し)
 国の歳出の徹底的な見直しと歩調を合わせつつ、民間委託の推進など国・地方を通じた事務事業の在り方の見直しや、国庫補助負担金の廃止・縮減による補助事業の抑制を行うとともに、定員の計画的削減等による給与関係経費の抑制や、地方単独事業の抑制などの措置を講じることにより、地方財政計画の歳出を徹底的に見直す。こうした取組により、「改革と展望」の期間(平成18年度まで)を通じて、地方財政計画の規模の抑制に努める。
 (三位一体の改革) 
 「三位一体の改革」については、「改革と展望」の期間中(平成18年度まで)に、国庫補助負担金について概ね4兆円程度を目途に廃止・縮減等の改革を行い、地方交付税の財源保障機能全般を見直して縮小するとともに、廃止する国庫補助負担金の対象事業の中で引き続き地方が主体となって実施する必要のあるものについて、基幹税の充実を基本に税源移譲を行うこととしており、経済財政諮問会議を中心に議論を進め、「基本方針2003」を踏まえ、これらの改革工程を早期に具体化するよう取り組む。平成16年度予算においても、平成15年度予算における取組の上に立って、今後3年間の取組の初年度にふさわしい成果を上げるよう、政府一丸となって以下に取り組む。
 国庫補助負担金については、「国庫補助負担金等整理合理化方針」の下、「重点項目」をはじめとして広範な検討を進め、1兆円を目指して廃止・縮減等を行う。
 同時に、地方交付税の改革に着手する。上記の地方歳出の見直し方針を踏まえ、地方財政計画規模の抑制を図ることにより、財源不足額の圧縮を通じて地方交付税総額の抑制に努め、その財源保障機能の縮小を図る。また、引き続き、事業費補正及び段階補正など交付税の算定方法の見直しを図る。
 税源移譲を含む税源配分の見直しについては、こうした国庫補助負担金や地方交付税の改革と併せて、その具体化を図ることとし、税制調査会においても検討を行う。