地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律案の概要

平成11年3月26日


 国及び地方公共団体が分担すべき役割の明確化
 @ 地方自治法において、地方公共団体の役割と国の配慮に関する規定を設けることにより、各般の行政を展開する上での国及び地方公共団体が分担すべき役割を明確にする。
 A 地方公共団体は、住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うものとする。
 B 国は、国際社会における国家としての存立にかかわる事務、全国的に統一して定めることが望ましい国民の諸活動若しくは地方自治に関する基本的な準則に関する事務又は全国的な規模で若しくは全国的な視点に立って行わなければならない施策及び事業の実施その他の国が果たすべき役割を重点的に担い、住民に身近な行政はできる限り地方公共団体に委ねることを基本とする。
 機関委任事務制度の廃止及びそれに伴う事務区分の再構成
 @ 都道府県知事や市町村長を国の機関と構成して国の事務を処理させる仕組みである機関委任事務制度を廃止する。
 これに伴い、地方公共団体に対する国の包括的な指揮監督権等、機関委任事務に係る根幹的な制度を定めている地方自治法の改正を行う。
 A 地方自治法において、地方公共団体の処理する事務を自治事務と法定受託事務とに再構成し、関連規定を整備する。
 B @及びAに伴い、個々の機関委任事務を定めている各省庁所管の個別法の改正を行い、地方公共団体が処理するものについては当該事務を自治事務と法定受託事務とに区分する。
 C 機関委任事務制度の廃止に伴い、同制度を前提として成り立ってきた地方事務官制度についても廃止する。

自 治 事 務: 地方公共団体の処理する事務のうち、法定受託事務を除いたもの
法定受託事務: 国が本来果たすべき役割に係る事務であって、国においてその適正な処理を特に確保する必要があるものとして法律又はこれに基づく政令に特に定めるもの
<自治事務の具体例>
  • 都市計画の決定
  • 土地改良区の設立認可
  • 飲食店営業の許可
  • 病院・薬局の開設許可
<法定受託事務の具体例>
  • 国政選挙
  • 旅券の交付
  • 国の指定統計
  • 国道の管理

(改正対象法律)
都市計画法、土地改良法、食品衛生法、公職選挙法、旅券法、統計法等の改正
 351法律

(参考 地方公共団体の事務の新たな考え方)

地方公共団体の事務の新たな考え方

(参考 新たな事務区分の制度上の取扱い)

  機関委任事務   自 治 事 務 法定受託事務
条例制定権 不 可 法令に反しない限り可 法令に反しない限り可
地方議会の権限 ・賎ャ寸喉嘖喉畝洋」団畝。。喉瑤畝今ヘ畝。痰椀団・痰椀団畝喉。シヘ畝戲シシツメセ・100条調査権の対象外 原則及ぶ

地方労働委員会及び収用委員会の権限に属するものに限り対象外
原則及ぶ

国の安全、個人の秘密に係るもの並びに地方労働委員会及び収用委員会の権限に属するものは対象外
監査委員の権限 自治令で定める一定の事務は対象外
行政不服審査 一般的に、国等への審査請求は可 原則国等への審査請求は不可 原則国等への審査請求が可
国等の関与 包括的指揮監督権
個別法に基づく関与
関与の新たなルール

(参考 地方事務官制度の廃止等の概要)

(厚生省関係)

@ 都道府県(保険課、国民年金課及び社会保険事務所)で社会保険関係業務に従事している地方事務官を廃止し、厚生事務官とする。
社会保険関係の地方事務官→厚生事務官(約 16,500人)

A 上記の改正に伴い、都道府県の機関として置かれている保険課、国民年金課及び社会保険事務所を社会保険庁の地方支分部局に改め、都道府県単位の地方社会保険事務局の下に社会保険事務所を設置する。

(厚生省設置法の改正)

(労働省関係)

@ 職業安定関係地方事務官が従事することとされている事務(国の組織を指揮監督する事務等)は、国の直接執行事務とし、職業安定関係地方事務官を労働事務官とする。   
  職業安定関係の地方事務官→労働事務官(約 2,200人)

A 上記の改正に伴い、都道府県労働基準局、都道府県女性少年室及び都道府県職業安定主務課を統合し、都道府県労働局を設置する。

(労働省設置法の改正)

 国の関与等の見直し
@  法定主義の原則、一般法主義の原則、公正・透明の原則に基づき、地方公共団体に対する国又は都道府県の関与の見直し・整備を行う。
A  このため、国と地方の関係を定める基本法である地方自治法において、関与に係る基本原則、新たな事務区分ごとの関与の基本類型、関与の手続及び関与に係る係争処理手続を定めるとともに、個別法における関与は基本類型に沿った必要最小限のものにするべく所要の改正を行う。
B  関与の廃止

・市町村防災会議に対する都道府県防災会議の指示
・教育長の任命に係る文部大臣及び都道府県教育委員会の承認
・市町村立学校の組織編成等についての都道府県教育委員会による基準の設定
・生活保護事務に関する都道府県及び市町村に対する厚生大臣の指揮監督並びに市町村に対する知事の指揮監督
・知事が漁業権の変更等によって生じた損失の補償金額を決定するに際し必要な農林水産大臣の認可
・港湾管理者の臨港地区の設定に対する運輸大臣の認可
・公営住宅の管理等に関する建設大臣の指示
・公共下水道管理者等の行う工事に対する建設大臣の監督等
等 
C  関与の縮減

・市町村営の土地改良事業計画の策定に係る知事認可 →同意を要する協議へ
・漁港修築事業の施行に関する農林水産大臣の許可 →届出へ
・地方債の発行に係る自治大臣又は都道府県知事の許可 →原則協議へ
・法定外普通税の新設・変更に係る自治大臣の許可 →同意を要する協議へ
・重要港湾の港湾管理者が海岸保全区域の指定に関して協議に応じようとする場合に必要な運輸大臣の同意 →協議へ
・二級河川における河川整備基本方針等に係る建設大臣の認可 →同意を要する協議又は協議へ
・都市計画区域の指定変更及び都市計画の決定変更に係る建設大臣の認可 →同意を要する協議へ
等 

(改正対象法律)
 地方教育行政の組織及び運営に関する法律、生活保護法、漁港法、地方税法等の改正
 138法律

(参考 関与の基本原則)

@ 法定主義の原則
  関与は、法律又はこれに基づく政令の根拠を要する。
A 一般法主義の原則
 ・ 地方自治法に関与の一般的なルールを定める。
 ・ 関与は、その目的を達成するために必要最小限度のものとし、かつ、地方公共団体の自主性及び自立性に配慮する。
B 公正・透明の原則
 ・ 関与に関する手続について、書面の交付、許可・認可等の審査基準や標準処理期間の設定、公表等を定める。

(参考 関与の基本類型等)
 従前の関与について、機関委任事務に係る包括的な指揮監督権を廃止し、基本類型に沿った必要最小限のものとする。

(従前)
包括的な指揮監督権(地方自治法第150条、第151条)

廃止

◎ 新たな事務区分ごとに関与の基本類型を地方自治法に規定
◎ 関与はできる限り基本類型に従う

(参考 国と地方公共団体との間の係争処理の仕組み)

国と地方公共団体との間の係争処理の仕組み

※ 国地方係争処理委員会が勧告する場合

 権限委譲の推進
 @ 権限委譲を積極的に推進することとし、国の権限を都道府県に、また、都道府県の権限を市町村に委譲する。このため、個別法において所要の改正を行う。
 A これに関連して、地方自治法等の改正により、20万以上の人口規模を有する市を当該市からの申し出に基づき「特例市」として指定することにより、権限をまとめて委譲するための必要な法制上の措置を講ずることとする(特例市制度の創設)。

(具体例)

@ 国から都道府県へ
  • 重要流域以外の流域内に存する民有林に係る保安林の指定・解除等の権限
  • 2以上の都道府県の区域内に係る採石業者及び砂利採取業者の登録及びその拒否等
  • 公共下水道事業計画の認可権限
A 都道府県から政令指定都市へ
  • 都市計画の決定権限(特に広域的な判断を要する都市計画を除く。)
B 都道府県から中核市へ
  • 中核市の県費負担教職員の研修の権限
  • 宅地造成工事規制区域の指定
  • 都市計画法に基づく開発審査会の設置
C 都道府県から特例市へ
  • 宅地造成工事規制区域の指定
  • 土地区画整理事業施行地区内、住宅改良地区内、都市再開発施行地区内等の建築行為の許可等
  • 開発行為の許可権限
D 都道府県から市(一部については、福祉事務所設置町村を含む。)へ
  • 児童扶養手当の受給資格の認定等
  • 商店街振興組合及び商店街振興組合連合会の設立認可等
E 都道府県から市町村へ
  • 市町村立高等学校の通学区域の指定
  • 身体障害児に係る補装具の交付、身体障害児及び知的障害児(知的障害者)に係る日常生活用具の給付
  • 犬の登録、鑑札の交付、注射済票の交付
F その他
  • 温泉の公共の浴用又は飲用の許可(都道府県から保健所設置市又は特別区へ)
  • 毒物及び劇物の販売業の登録(都道府県から保健所設置市又は特別区へ)
  • 建築基準法の許可事務等の一部(都道府県から建築基準法の特例により建築主事を置く市町村(建築審査会を設置した場合に限る。)へ)

※ 太字部分は、「地方分権推進計画」においては具体的に記述されていないが、権限委譲の積極的推進という観点から法案に盛り込むこととしたものである。
 

(改正対象法律)
 狂犬病予防法、児童扶養手当法、森林法、都市計画法等の改正
 35法律

 必置規制の見直し
  必置規制については、地方公共団体の自主組織権を尊重し、行政の総合化・効率化を進めるため、その廃止・緩和を推進する。

(具体例)

@ 附属機関に係る必置規制の廃止
  • 第3種漁港に係る漁港管理会
  • 都道府県水防協議会、市町村水防協議会
A 職員に係る必置規制の廃止
  • 農業委員会に置かれる農地主事
  • 青年学級主事、青年学級講師
  • 公営住宅監理員、改良住宅監理員
B 附属機関に係る名称規制の弾力化
  • 都道府県児童福祉審議会
  • 都道府県環境審議会
  • 都道府県職業能力開発審議会
C 行政機関又は施設に係る名称規制の弾力化
  • 身体障害者更生相談所
D 職員に係る名称規制の廃止
  • 児童福祉司、身体障害者福祉司、知的障害者福祉司
E 職員の資格、専任、配置基準等に係る必置規制の廃止
  • 公立図書館館長の司書資格規制の廃止
  • 医療監視員の資格規制の廃止
  • 計量に関する事務に従事する職員に対する計量教習所の受講を義務づける資格規制
F 職員の資格、専任、配置基準等に係る必置規制の緩和
  • 食品衛生監視員の必置規制
  • 栄養指導員の必置規制

(改正対象法律)
 図書館法、身体障害者福祉法、農業委員会等に関する法律、計量法等の改正
  38法律

 地方公共団体の行政体制の整備・確立
   地方公共団体の行財政能力の一層の向上と行政体制の積極的な整備・確立を進めるため、次のような改正を行う。
 @ 自主的な市町村合併の推進
  • 住民発議制度の拡充
    全ての関係市町村で同一内容の直接請求が行われた場合には、各市町村長に対し合併協議会設置協議について議会への付議を義務付け
  • 都道府県知事による合併協議会設置の勧告
    知事が公益上必要と認める場合に関係市町村に合併協議会の設置の勧告をする場合には、関係市町村の意見を聴き、勧告したことを公表
  • 普通交付税の算定の特例(合併算定替)の期間の延長
    合併から10か年度(従来の2倍)は合併しなかった場合の普通交付税を全額保障。その後5年度間で激変緩和
  • 合併特例債の創設
    市町村建設計画に基づく次の事業で特に必要と認められるものは、10か年度に限り、地方債を充当でき、元利償還金の一部は、基準財政需要額に算入  
    一体性の速やかな確立・均衡のある発展のための公共的施設の整備事業等
    地域住民の連帯の強化・旧市町村の区域の地域振興等のための基金の積立て
  • 地域審議会の設置
    合併前の関係市町村の協議により、旧市町村の区域ごとに、新市町村長の諮問により審議又は意見を述べる審議会(地域審議会)を置くことが可能
  • 市となるべき要件の特例
    市と市、市と町村の新設合併で要件を備えない場合でも市となることが可能
 A 地方議会の活性化及び議員定数の見直し
  • 議案提出要件及び修正動議の発議要件を緩和する(現行1/8以上 → 1/12以上)。
  • 議員定数制度の見直し
    議員定数は条例で定めることとし、人口区分に応じた上限数を設定する。
    市町村については、市の議員に係る人口区分を大括り化するとともに、減数条例の制定状況を勘案した数を上限数とする。
 B 中核市の指定要件の緩和
 中核市指定の要件のうち、人口30万以上50万未満の市について必要とされていた昼夜間人口比率の要件を廃止する(新たに、川越市、横須賀市、岡崎市、高槻市及び奈良市の5市が中核市の要件を満たすことになる。)。
 C 特例市制度の創設
 20万以上の人口規模を有する市を当該市からの申し出に基づき指定することにより、権限をまとめて委譲するための必要な法制上の措置を講ずることとする(全国で59市)。

(改正対象法律)
 地方自治法、市町村の合併の特例に関する法律の改正

 法律案の施行期日
   法律案の施行期日は、次の事項等を除き、原則として平成12年4月1日としている。
 @ 施行期日を平成12年4月1日より前にするもの
〇 公布の日
(1) 手続き関係
 ア 国地方係争処理委員会委員の任命関係(地方自治法)
 イ 国立公園の管理等について、都道府県が処理する事務として行う場合の都道府県知事の申し出に関する事項関係(自然公園法)
 ウ 地方公共団体において保管する出土文化財の所有権を当該地方公共団体に帰属するものとする場合の申し出に関する事項関係(文化財保護法)
 エ 交付金等の手続関係(農業改良助長法)
(2) 市町村合併の推進に関する事項関係(市町村合併特例法)
 A 施行期日を平成12年4月1日より後にするもの
○ 平成14年4月1日
国民年金の印紙検認事務の廃止関係(国民年金法)
〇 平成14年8月1日
児童扶養手当に関する事務<権限委譲に伴うもの>(児童扶養手当法)
○ 平成15年1月1日
地方議会の議員定数関係(地方自治法、市町村合併特例法)

本件連絡先
内閣官房内閣内政審議室
地方分権一括法案担当室
内閣審議官 幸田雅治
電話:3502-7242