| 平成11年6月11日 産業構造転換・雇用対策本部決定 |
(1)我が国経済は、民間需要の回復力が弱く、雇用情勢が厳しさを増すなど、依然として極めて厳しい状況にあるが、緊急経済対策等各般の政策効果に下支えされ、公共投資が堅調な動きとなり、住宅建設が持ち直してきているなど、景気は下げどまり、おおむね横ばいで推移している。
これらの動きを力強いものとし、雇用不安を払拭し、我が国経済の再生に結びつけるとともに、自律的な成長軌道に乗せるためには、需要面での対策はもとより、雇用対策及び経済の供給面における体質強化に思い切った対策が求められている。
特に、雇用情勢が厳しさを増す中で、勤め先や事業の都合といった非自発的理由による失業者数が過去最高となっており、雇用問題への対応は最重要の緊急課題である。
(2)第一に、緊急を要する雇用問題については、雇用機会の創出を最大の柱とし、規制改革等による新たな事業の創出、成長分野における雇用創出を図るとともに、臨時応急の措置として、国及び地方公共団体においても、雇用・就業機会の創出を図る。この場合、過去の失業対策事業の弊害を避けるべきことは言うまでもない。
また、就職能力の向上や雇用のミスマッチの解消、人材移動の円滑化を大胆に進めるため、民間及び市場の機能を最大限活用し、個人の自主選択を重視する雇用政策への新たな展開を図る。
このような考えに基づき、厳しい雇用情勢の影響を強く受けている中高年齢者を中心にした非自発的失業者や学卒未就職者を重点に、(1)民間企業による雇用の創出と迅速な再就職の推進、(2)国、地方公共団体による臨時応急の雇用、就業機会の創出、(3)人材資源の活性化、(4)雇用保険の改革などの施策を積極的に推進し、社会全体として雇用のセーフティネットの構築を図ることとする。
(3)第二に、我が国経済の自律的発展を図るため、経済の供給面での体質強化を図る産業競争力強化対策を強力に推進する。
このため、新規・成長産業の振興、未来産業の創造に向けた新規技術開発の活性化、創造的な中小企業・ベンチャー企業の振興など、我が国経済をリードする生産性の高い産業分野の創出を図る。
他方、当面の問題である過剰な債務・設備等の問題は、企業自身の責任により、自らの事業を再構築することが基本であるが、モラルハザードを回避しつつ、我が国経済全体の生産性を高めるとの見地から、企業の自助努力を円滑化するための環境整備を進める。
なお、産業競争力会議は現在産業競争力の強化に向けての取組を検討中であり、今後の検討の進捗に応じ、更に対応を検討することとする。
このような基本的認識に立ち、政府は、以下の対策を内容とする緊急雇用対策及び産業競争力強化対策を強力に推進することとする。
今般の対策においては、これまで実施している雇用活性化総合プランにおける各般の取組を更に拡充、推進するため、厳しさを増す雇用失業情勢の影響を特に強く受けている中高年の非自発的失業者に焦点を当てつつ、70万人を上回る規模(今回発動要件の緩和を予定している緊急雇用創出特別基金の対象人員20万人を含む)を対象とした雇用・就業機会の増大策を実施することとする。こうした雇用・就業機会増大に向けた取組を進めるほか、就職支援施策の対象を10万人拡充し、再就職促進の取組をより確実なものとする。これらのほか、規制改革、新規開業支援、緊急少子化対策等により、新たな雇用・就業機会の増大が見込まれる。
| 1.民間企業による雇用の創出と迅速な再就職の推進 |
規制改革や新規開業支援等により新たな事業の創出を通じて雇用機会を増大させるとともに、民間企業による緊急の雇用創出を図る。また、民間を主体にして、人材移動を円滑化させ、人材の有効活用を図る。
(1)民間企業による雇用機会の創出
| @ | 規制改革による新たな事業の創出 |
| 福祉、情報通信、環境、バイオテクノロジー等の分野において、新たな事業の創出を通じた雇用機会の増大に資する規制改革を推進することとし、早急に具体的結論を得る(別紙自由民主党行政改革推進本部資料を参照)。 | |
| A | 新産業育成・振興、新規開業支援等 |
| i.医療・福祉、情報通信、環境、バイオテクノロジー等の新規・成長15分野における新産業の育成、振興等を図るため、関係省庁の密接な連携の下に、施策の着実な実施を行う。 | |
| ii.新規雇用を担う中小企業・ベンチャー企業の新規事業機会の拡大等を図るため、中小企業の範囲の見直し、中小企業の技術力の活性化や中小企業・個人の経営革新・創業支援の推進を図るとともに、ベンチャーに対する人材、資金面を始めとする支援施策を総合的に推進する。 | |
| iii.人材銀行において、新規開業等に必要な知識・能力を有する求職者を登録して、ベンチャー企業に対する効果的な紹介を実施する。 | |
| B | 政府の保有する知的資産情報の民間開放 |
| 政府及び国立大学、試験研究機関等が所有する知的資産情報(地理情報(GIS)、道路交通情報、ゲノム構造等の解析情報、バイオ関係の研究成果情報等)その他の行政情報の民間利用を推進する。 | |
| C | PFI事業の推進 |
| 今国会において審議中の「民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律案(PFI法案)」の早期成立を期待するとともに、関係省庁による実施方針の雛形の早期提示、先導プロジェクトの発掘を行う。 |
(2)民間企業による緊急の雇用創出
| @ | 成長分野における雇用創出の推進 |
| 民間企業における雇用創出を図るため、関係省庁と産業界との連携の下に、新規・成長15分野を中心として、各分野の事業主が中高年の非自発的失業者を前倒しして雇用する場合又は職場でのOJTを中心とした実践能力訓練を行う場合に、奨励金を支給し、雇用創出の推進を図る(雇用機会増大効果15万人)。本事業は緊急雇用創出特別基金を積み増して実施する。 | |
| A | 緊急雇用創出特別基金の活用 |
| 緊急雇用創出特別基金(対象規模20万人)による中高年非自発的失業者を雇い入れる事業主に対する助成制度について、基金造成以降の雇用失業情勢の悪化に鑑み、現在、連続する2・四半期の完全失業率が5.7%を超える場合となっている地域ブロックの発動要件を、5.4%を超える場合に緩和し、その活用を図る。 |
(3)ミスマッチの解消、円滑な労働移動
| @ | 職業安定法改正案、労働者派遣法改正案の早期成立 |
| 民間の活力と創意工夫を活かし労使双方が労働力需給のニーズに応じて多様な選択を行えるようにすることにより、ミスマッチの解消、多様な就業機会の拡大を図るため、今国会において審議中の職業安定法改正案、労働者派遣法改正案の早期成立を期する。法成立後は、その運用に関し、広く民間事業者に職業紹介等の許可を付与する。 | |
| A | 民間職業紹介機関等を活用した雇用情報ネットワークの構築 |
| i.民間職業紹介機関の利用促進の支援 民間職業紹介機関の情報を広く利用者に提供するため、各民間職業紹介機関の取扱分野や事業の特色等を内容とする冊子を作成し、各公共職業安定機関、民間職業紹介機関に備え、利用者に情報提供する。 | |
| ii.広域の職業紹介事業の実施 求人・求職の円滑、的確な結合を図るため、民間職業紹介機関が広域の職業紹介を行うことを認める。 | |
| iii.公共職業安定所の求人情報の公開推進 現在、東京23区内の公共職業安定所の求人を対象として、試行的に実施しているインターネットによる情報提供について、早期に全国ベースで拡大する。 | |
| iv.産業雇用情報ネットワークの強化 地域における雇用問題に係る取組を強化するため、公共職業安定機関と経済団体等をメンバーとして設けられている産業雇用連絡協議会(各公共職業安定所(476所)に設置)の活動を強化する。 また、地域の経済団体等と連携した求人の確保を図るため、主要公共職業安定所に設けられている産業雇用情報連絡会議の設置個所を拡大する。 | |
| B | 人材情報交流体制の強化 |
| 企業間の人材移動の円滑化を図るため、(財)産業雇用安定センターにおいて、経済団体と連携して、人材の送出し希望企業と受入れ希望企業との間の人材情報交流会を主要都市において機動的に開催する。 | |
| C | 失業なき労働移動支援の強化 |
| 人材移動の円滑化に対する支援を強化するため、中高年労働移動支援特別助成金を抜本的に拡充し、年齢要件の撤廃や、送出事業主が実施する教育訓練に対する助成措置及び受入事業主が労働者の受入れに伴い行う施設・設備の設置等に対する助成措置の新設により、発展的に「人材移動特別助成金(仮称)」を創設する(雇用機会増大効果7万人)。 | |
| D | 人材の地方移動の支援 |
| 東京及び政令指定都市の人材銀行において、地方のベンチャー企業や地場企業等への就職を希望する人材を登録し、これら求職者に対し、地方の人材銀行等の求人情報の提供や的確な職業紹介を実施する。 また、農林漁業への就職、就業を希望する者の地方移動を支援するため、東京、大阪及び名古屋の拠点公共職業安定所に「農業等就職相談コーナー(仮称)」を設置して、農林漁業関係団体や就農準備校等との連携の下にきめ細かな情報提供、職業相談、職業紹介等を行う。 | |
| E | 確定拠出型年金の導入等 |
| 労働移動が円滑なものとなるよう、確定拠出型年金を平成12年度に導入することを目指すとともに、企業年金間での円滑な移行等年金のポータブル化の検討、企業年金法の検討等を促進する。 |
(4)迅速な再就職の推進
| @ | 中高年ホワイトカラー失業者等の再就職の支援 |
| i.官民一体の再就職の支援(「キャリア交流プラザ(仮称)」の開設) 失業が長期化する傾向にある中高年ホワイトカラー求職者が就職への意欲を低下させることなく、主体的に求職活動を展開できるよう、民間の職業紹介機関の機能を公共機関等との連携の下に活用し、総合的な再就職支援措置を講ずる。具体的には、求職活動の拠点として「キャリア交流プラザ(仮称)」を、東京、大阪、福岡に設置し、就職支援セミナーや民間機関・団体等による相談会の開催などを実施するとともに、同プラザを早期に全国ベースで展開する。 | |
| ii.「中高年求職者就職支援プロジェクト」の拡充強化 中高年非自発的離職者等の就職の促進を図るため、各種講習、カウンセリング、地域の事業主団体による職場体験講習や民間教育訓練機関を活用した職業訓練の実施、求人開拓の推進等を体系的に実施している「中高年求職者就職支援プロジェクト」を抜本的に拡充強化する。具体的には、扶養家族・住宅ローン等によって困窮度の高い者への優先措置の設定、ホームヘルパー等の職業能力開発対象人員や職場体験講習の対象人員の拡充(対象人員10万人拡充)、求人企業に対する働きかけの強化等の対策を講じる。 | |
| A | 公共職業安定所と労働基準監督署の連携による求人開拓、雇用創出への相談・支援の実施 |
| 労働基準監督署が説明会、事業場に対する調査、指導を行う際に、企業の採用意向を併せて把握し、公共職業安定所に情報提供することにより、求人開拓を強化する。 また、創業・分社化、異業種進出を行う事業所が雇用創出や雇用調整を行う際に、労働基準関係機関において、公共職業安定所との連携の下、賃金制度の改善、就業規則の作成・変更等雇用・労働条件管理に関する相談、情報提供等の支援を行い、雇用の安定・確保を図る。 | |
| B | 地域における政労使の連携 |
| i.地域における雇用の創出・安定 緊急雇用対策の実効ある推進のため、地域における雇用の創出・安定のための対策を積極的に実施すべく、都道府県段階の政労使のトップ等からなる「都道府県雇用創出・安定政労使会議(仮称)」及び公共職業安定所段階の政労使の代表等からなる「地域雇用創出・安定政労使会議(仮称)」を開催し、政労使一体となった取組を図る。 | |
| ii.地域ブロックにおける雇用活性化政労使会議の開催 雇用の創出・安定を図るために、地域の労使及び都道府県のトップの参集を求め、全国6ブロックにおいて「ブロック雇用活性化政労使会議」を緊急に開催し、「雇用活性化総合プラン」の積極的活用について働きかけ、その効果的推進を図るとともに、政労使それぞれの取組等について意見交換を行い、国と地方が一体となった取組を一層推進する。 |
| 2.国、地方公共団体による臨時応急の雇用、就業機会の創出 |
雇用・就業機会の創出については、民間企業によるものが基本であるが、現下の厳しさを増す雇用失業情勢に対処するため、国・地方公共団体においても積極的に雇用・就業機会を創出することが重要である(雇用・就業機会増大効果30万人強)。この場合、過去の失業対策事業の弊害をもたらすことのないように、十分な留意が必要である。
(1)緊急地域雇用特別交付金の創設による地方公共団体における臨時応急の雇用・就業機会の創出
国は、臨時応急の措置として、緊急地域雇用特別交付金(仮称)を創設し、これを都道府県に交付することにより、各地域の実情に応じて、各地方公共団体の創意工夫に基づき、緊急に対応すべき事業を実施し、雇用・就業機会の創出を図る。
緊急地域雇用特別交付金の概要は次のとおりとし、具体的内容を今後早急に検討する。
| @ | 交付金の性格 |
| i.都道府県または市町村が、民間企業、NPO等に委託する事業を中心として、次の要件を具備する事業を新たに実施するために交付する。 ・教育・文化、福祉、環境・リサイクル事業等、緊急に実現する必要性があること。 ・一両年で終了する事業であること。 ・新規雇用・就業を生ずる効果が大きいこと。 | |
| ii.特別交付金は、原則として、失業状況、人口等を基準として配分する。 | |
| iii.特別交付金は、都道府県の申請に基づいて交付する。各都道府県は、基金を設置し、概ね2年間にわたり支出するものとする。 | |
| A | 対象事業の具体例 |
| 交付金の対象となる事業の主な具体例としては、次のような事業が挙げられる。 ・全生徒が学習できるだけのコンピュータの導入やインターネットへの接続を進め、コンピュータ取扱能力等の高い者を、小・中・高校等に臨時講師として活用することによるインターネット・コンピュータ教育の充実事業 ・海外勤務経験者等の外国語能力の高い者を、小・中・高校等に臨時講師として活用することによる外国語教育の充実事業 ・小・中学校の直面する生徒指導上の課題を解決するため、児童・生徒の相談相手となる社会経験豊富な中高年を生活相談員として活用 ・中高年離職者等に対するホームヘルパー養成研修の実施、在宅介護ビジネス参入希望企業やNPO等に対する講習の実施、高齢者に対する生きがいづくりサービス、介護保険制度の広報活動等の介護保険導入円滑化事業 ・シルバー人材センターやNPO等を活用した都市美化事業、地域環境資源の管理事業、観光振興事業、違法駐車防止事業等の地域奉仕・環境改善活動等の実施 ・発掘調査に専門的知識を有する者等を活用した地方公共団体が行う埋蔵文化財発掘調査の促進 ・地図上に、地下埋没物等災害対策、防災関係等のデジタル情報を整備するGIS(地理情報システム)の作成作業の前倒し、環境マップの作成等の事業の、住民に身近な行政の効率化等を進める観点からの実施 ・研究支援者を活用した、地域のニーズ、特性、自然条件等に立脚した都道府県等の研究開発の促進 ・資料整理作業を民間企業にアウトソースする等による情報公開への迅速な対応等 |
(2)国における雇用・就業機会の創出
国は、上記(1)に加え、国自らも、雇用・就業機会の創出を図ることとし、先ず、臨時応急の措置として、情報公開法の成立等を機に国の情報公開を一層充実させる観点から、基礎的な公開情報である法令、予算・決算、官報、白書等のデジタル情報化を推進することとし、そのための作業を民間企業に委託することとする。
更に、雇用・就業機会の創出を図る観点から、行政改革の観点を十分踏まえつつ、業務の民間委託の拡大に積極的に取り組む。
(3)緊急少子化対策による雇用・就業機会の創出
国は、地域の実情に応じて市町村で展開される少子化対策に関する多様な事業に対し、緊急的に特例交付金を交付し、駅前保育ステーションや駅前(駅近く)保育所の設置、保育所や幼稚園に対する緊急設備整備等を進めることにより、地域における少子化対策の一層の普及促進を図るとともに、雇用・就業機会の創出を図る。
(4)NPOの活用
極めて多面的なNPOの活動分野及び自主的な方針を尊重しつつ、希望するNPOについては、NPOの管理・運営に従事する専従要員の円滑な確保を支援するとともに、上記2(1)の特別交付金を活用して、NPOへの事業委託(有償ボランティアを含む)を積極的に進め、事業の必要に応じてNPOが能力開発、ボランティア適応訓練等を実施することにより、人的基盤の整備を図る。
また、ボランティア活動希望者に関しては、首都圏及び関西圏における労働者等を対象として、NPOボランティア活動を希望する人材及び人材を求めるNPOの登録、情報提供等を行う「NPO人材バンク(仮称)」を勤労者ボランティアセンターに創設する。
(5)高齢者の就業支援のためのシルバー人材センターの活用
シルバー人材センターを活用し、高齢失業者に対し、新たな臨時的・短期的な就業機会を開拓、提供する。具体的には「シルバー就業機会開発プロジェクト事業」について、就業機会開拓専門員の拡充及び新規事業を発注する市区町村への奨励措置の充実に加え、新たに、シルバー人材センター自らの創意工夫により企画、実施する独自事業に係る奨励措置を実施する。
| 3.人材資源の活性化 |
今後の我が国社会を支える人材を確保するべく、人材の就業能力(エンプロイアビリティー)の向上のため、職業能力の開発・向上のための施策を充実する。そのため、特に雇用失業情勢の厳しい中高年ホワイトカラーの非自発的失業者に重点を置きつつ、求職者・在職者の自主的な選択により自由に企業のニーズにあった能力開発への取組を可能とするとともに、文化的で活力ある豊かな社会づくりに貢献する人材を形成する場を増大させる。
(1)自主選択に対応できるようにするための能力開発事業の実施
| @ | 自主選択方式による能力開発事業(バージョンアップ・フレックス・プラン)の実施 |
| ホワイトカラー等の中高年非自発的離職者が、訓練延長給付を活用しつつ、専修学校等の民間教育訓練機関が実施する広範な教育訓練コースの中から自主的に選択して受講することができる制度を実施する。その際、これら離職者に対し、求職ニーズの把握、能力開発の実施、再就職支援の各段階ごとに専門的なカウンセリングを実施する。 | |
| A | 教育訓練給付制度の対象拡大 |
| 高度・専門的な能力開発へのニーズを踏まえ、労働者の自主的な能力開発の支援策である教育訓練給付制度について、大学院、大学等の高等教育機関で行われる科目等履修コース等を新たに対象とするなど大幅拡大を図る。 | |
| B | 実践能力訓練の推進(再掲) |
| 新規・成長15分野を中心として、事業主が中高年の非自発的失業者に対して職場でのOJTを中心とした実践的訓練を行うことを支援し、能力開発を図ると同時に雇用機会を確保する。本事業は緊急雇用創出特別基金を積み増して実施する。 | |
| C | 総合的人材ニーズ調査の実施 |
| 個人の自主選択を重視した能力開発を推進するため、地域において雇用増の見込まれる分野とそこで必要とされる人材を把握するための総合的人材ニーズ調査を実施する。 |
(2)学卒未就職者に対する早期就職支援・能力開発支援事業の実施
| @ | 学卒未就職者の早期就職支援の強化 |
| 平成11年3月の学卒未就職者のうち早期に就職を希望する者について、学生職業センター等における登録制により、一人一人の希望・適性を踏まえた求人確保を図るとともに、準備講習とそれに続く企業実習を内容とする実践講習や面接会を実施する。 | |
| A | 学卒未就職者の能力開発の支援 |
| 上記の登録者のうち、就職のために職業訓練が必要な者に対し、民間教育訓練機関等を活用した3か月程度の職業訓練サービスを無料で提供する。 |
(3)長期リフレッシュ休暇制度の早期導入の検討、リフレッシュ教育の実施
| @ | 職業生涯の節目において、長期にわたって休暇をとり、能力開発をはじめとする様々な活動に自由に取り組めるようにすることが、文化的で活力ある社会作りに貢献する人材を養成するため、極めて重要である。このため、海外留学や大学院等の教育訓練をはじめとした自由な活動に取り組むことのできる長期リフレッシュ休暇制度の早期導入を検討する。 |
| A | 実践的教育により高度専門職業人養成を行うため、大学院の機能の充実を図るとともに、大学院等において、労働者の能力開発に資する教育コースの開発を促進する。 また、放送大学の全国化を機に、社会人の再教育、能力開発の機会として活用する。 |
| 4.雇用保険の改革 |
失業の予防、失業者の生活の安定、再就職の促進等の基本をなす雇用保険について、抜本的な見直しを行う。
(1)失業給付の見直しと雇用保険の安定的運営の確保
雇用保険失業給付について、厳しい雇用失業情勢の中で安定的運営を確保しつつ、将来にわたり再就職の一層の促進に資するセーフティーネットとして有効に機能していくよう、リストラ等により離職を余儀なくされた中高年齢者など再就職の緊要度の高い者に対する給付の重点化を図るなど、給付と負担の両面から検討を加え、次期通常国会に改正法案を提出する。
(2)雇用調整助成金の重点化
構造的な要因により長期にわたり業況が悪化している業種に対しても、雇用調整助成金が支給されることにより労働移動が妨げられているという面もあることから、対象業種について、景気の変動等による一時的な雇用調整への対応に重点化する。
| 1.事業再構築のための環境整備 |
企業の自助努力を前提としつつ、経営の「選択と集中」を通じた企業の財務体質の改善の円滑化に資するため、企業の組織形態の自由な選択、事業転換や過剰設備の廃棄等を容易にするための環境整備として、以下の措置を講ずる。
(1)企業組織の自由な選択
| @ | 株式交換・株式移転制度の導入 |
| 持株会社設立や会社の買収・子会社化を円滑に行えるよう、株式交換・株式移転制度の法案の今国会における早期成立と早期導入を図る。 | |
| A | 会社分割制度の導入 |
| 会社の資産・負債を複数の会社に分割し、経営資源の効率的な活用を可能とするために、次期通常国会において、会社分割制度の早期導入を図る。 | |
| B | 独占禁止法の適切な運用 |
| 合併の審査において国際的な市場における競争環境を考慮するなど、市場の実態を十分踏まえて独占禁止法の迅速・透明で適切な運用を図る。 | |
| C | 有限責任組合制度の検討 |
| 中小企業の事業範囲の拡大、共同での新規事業展開等に資する、有限責任組合契約制度の導入を検討する。 |
(2)事業の存続を前提とした会社の円滑な再建
| @ | 新再建型倒産手続の導入 |
| 次期国会において、中小企業等会社の再建を迅速かつ柔軟に行うための新再建型倒産手続の早期導入を図る。 | |
| A | 債務の株式化のための環境整備 |
| 企業の過剰債務問題を解決するための選択肢として、債務者・債権者間の合意に基づき、債務の株式化(デット・エクイティ・スワップ)を活用できることとするための環境整備を早急に図る。 ・金融機関による株式保有制限の弾力化・運用の明確化 ・産業再生のための特別法に基づく無議決権株式の発行限度枠の拡大 |
(3)戦略的事業再構築(「選択と集中」)を円滑に行うための環境整備
(産業再生のための適切な事業再構築等を推進する特別法を次期国会に提出)
| @ | 分社化等に係る手続き負担の軽減 |
| 企業の分社化等の迅速化に資するため、手続面の負担を軽減するための以下の措置を講ずる。 ・現物出資等に係る検査役制度の見直し ・分社化時における債務の一括移転制度の整備 ・他の会社から営業の全部を譲り受ける場合の簡易営業譲受制度の整備 | |
| A | ストックオプションの対象の拡大 |
| 子会社の設立など事業再編の円滑化のため、現在当該企業の取締役・使用人のみに限られているストック・オプションを子会社等の取締役・使用人にも付与可能とする措置の次期国会における導入を図る。 | |
| B | 従業員・経営者の株式取得(EBO、MBO)により設立する会社の立ち上げ支援 |
| 事業再編や社内ベンチャーの活性化を図るため、従業員・経営者の株式取得(EBO、MBO)により設立する会社について、その立ち上げを支援する。その際、優先株発行限度枠の拡大及びストックオプションの付与限度の拡大を図る。 | |
| C | 事業再構築のための資金供給の円滑化 |
| D | 工場跡地等の有効活用の促進 |
| 工場跡地等の有効活用を図り、再開発を促進するため以下の措置を講ずる。 ・民間都市開発推進機構等における土地の先行取得制度の活用 ・用途地域の変更の円滑化及び再開発地区計画制度の充実など、次期通常国会における法的手当を含めた都市計画法等による用途規制の見直し ・リサイクル等の分野での工場跡地等の利用モデルプロジェクトの推進 ・未利用工場用地の情報提供の円滑化 | |
| E | 許認可等の承継の簡素化 |
| 合併後の新会社、分社化時の子会社について、旧会社、親会社の各種の許認可等の承継の簡素化を図る。 | |
| F | 債務の株式化のための環境整備(再掲) |
(4)企業会計制度の変更を円滑に行うための環境整備
退職給付会計、時価会計、連結決算等企業会計制度の変更による企業財務に関する情報開示の徹底を図るとともに、新しい会計制度に円滑に移行するための関連諸制度の整備を行う。
(5)資産流動化の促進
土地等の資産の流動化の一層の促進を図るため、以下の環境整備を図る。
| @ | 「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律」(SPC法)等資産流動化法制について、多様な投資商品の提供を促進するため、投資者保護の視点も踏まえ、早急に結論を得るべく積極的に制度整備の検討を進める。 |
| A | 住宅金融公庫債権等の証券化について検討し、早急に結論を得る。 |
| B | 証券化商品に対する政府系機関等による信用補完の活用を図る。 |
| C | 再開発に係る都市計画・建築規制の緩和措置をさらに積極的に活用する。 |
| D | 定期借家制度の創設を内容とする「借地借家法の一部を改正する法律案」の早期成立を図る。 |
| 2.技術開発活性化等のための環境整備 |
未来産業の創造へ向けた技術開発の戦略的実施を図るとともに、産学官のリソースを結集するための体制整備を行う。併せて、産業競争力の強化に貢献するインフラストラクチャーの整備の効率化を行う。
(1)リーディング産業育成に向けての技術開発の活性化
| @ | 国家産業技術戦略の策定 |
| 2010年頃をにらんで、バイオテクノロジー、情報通信、機械、化学、エネルギー、医療・福祉、材料、環境等の分野ごとに、技術開発目標を設定する国家産業技術戦略を産学官の英知を結集して策定し、当該戦略を科学技術基本計画に反映する。 | |
| A | 未来産業創出のための官民共同プロジェクトの推進 |
| 未来産業の創出を図るため、今後の技術開発の推進に当たっては、高齢化対応、環境対応、情報化対応の分野について、技術開発から事業化までの官民の役割分担と関係各省庁の連携強化を図り、官民共同でプロジェクトを推進していく。 |
(2)国、大学から民間企業への技術移転等
国の研究成果の民間移転及び事業化の促進を抜本的に進める。そのために必要な措置を法制化し、次期国会に提出する。
| @ | 国の委託研究開発成果の民間移転 |
| 開発者のインセンティブを増し、国の資金による研究開発成果の普及を促進するため、米国のバイ・ドール法を参考として、国の委託研究開発に関する知的財産権について、開発者にその利益を帰属させるための措置を講ずる。 | |
| A | 技術移転機関(TLO)の活性化 |
| 技術移転機関(TLO)を通じた大学の研究開発成果の普及を図るため、TLOに対する特許料の軽減措置を講ずるとともに、国有特許のTLOを通じた移転についてその円滑化を図る。その際、民間の人材を有効活用する。 | |
| B | 国立大学教官等の役員兼業の取扱い |
| 現下の社会的、経済的情勢を踏まえ、国立大学教官等の民間企業役員兼業について、大学教官の身分等の在り方を含め多面的に検討し、本年秋を目途として結論を得る。 | |
| C | 大学等の技術者教育における外部認定制度の創設 |
| 大学等の技術者教育の国際的な通用性を担保するとともに、経済社会の求める人材を供給するための環境整備を図るため、産学が連携し、大学等の技術者教育に対する外部認定(アクレディテーション)制度を早急に構築する。 | |
| D | テクノインフラの整備等 |
| 技術革新を支える基盤の今後の整備に当たっては、先端的研究開発施設・設備の整備を進めるとともに、計量標準、生物資源情報等の知的基盤(テクノインフラ)の整備を促進する。 |
(3)産業競争力の強化に貢献するインフラストラクチャーの整備の効率化
| @ | 供給サイドの強化に貢献するインフラストラクチャーの今後の整備に当たっては、産業の競争力を支える観点から、その効率的整備を行う。 |
| A | 産業の活性化を図るためにも、PFI(民間の技術力、経営力及び資金力を活用した新たな手法による社会資本整備)など民間の資金、経営ノウハウ、技術力等を活用した事業実施の運営方法を推進する。 |
| 3.中小企業・ベンチャー企業の育成 |
中小企業が有する技術力等の活性化、ベンチャー企業の振興・拡大のための抜本的な環境整備、規制緩和による新規事業創出の機会の拡大等を抜本的に行うことにより、新規雇用の受け皿の中核を担う中小企業・ベンチャー企業の活性化を促進する。
(1)中小企業政策の重点化と中小企業範囲の見直し
中小企業基本法改正を睨み、中小企業施策について、技術革新等の中小企業の経営革新及び創業支援の推進を図るとともに、中小企業の範囲の見直しを行う。
| @ | 中小企業の範囲の見直しを行う。 |
| A | 中小企業の経営革新・創業支援を重点的に推進し、以下の措置を講ずる。 ・中小企業技術革新制度(日本版SBIR)の充実強化を図る。 ・設備近代化資金貸付制度の経営革新・創業支援への重点化を図る。 |
(2)ベンチャー企業の立ち上がり・成長支援
有望なベンチャー企業の支援と、目利きができ手作りで企業の成長を支援できる真のベンチャーキャピタリストの育成を総合的に支援するセンターを設置するとともに、官民の協力の下、以下の施策を講ずる。
| @ | ベンチャーキャピタルファンドへの出資 |
| 将来性あるベンチャー企業に対する「目利き」を行い、経営・財務戦略等を指導する能力を有するベンチャーキャピタリストが運営する投資事業組合(ベンチャーキャピタルファンド)に対する出資を推進する。 | |
| A | ベンチャー支援のための人材ネットワークの整備 |
| ベンチャー企業を経営面、経理面、法務面等からサポートする人材のネットワークを整備する。この際、地域プラットフォームも活用しつつ、特許流通アドバイザー、TLOの技術移転スペシャリスト等の技術専門家もネットワークに組み込む。 | |
| B | インキュベータ機能(新事業のふ化機能)への支援 |
| ベンチャー企業の成長に必要なソフト(経営指導、会計事務等)を集中的に提供する体制を備えたインキュベータ機能(新事業のふ化機能)に対して支援する。 | |
| C | 公的機関等による創業及び成長ベンチャー企業への多様な資金供給 |
| 創業又は成長期の優良ベンチャー企業が、更なる事業拡大のために必要な資金を円滑に調達することを可能とするため、公的機関等から多様な形態での資金供給が行われるよう支援を行う。 | |
| D | 小企業等経営改善資金の貸し付け要件の緩和 |
| 新規創業時における円滑な資金調達のため、小企業等経営改善資金(いわゆる「マル経」制度、無担保・無保証の制度)の貸付要件を緩和する。 | |
| E | ベンチャー企業の技術開発を一層支援するため、中小企業技術革新制度(日本版SBIR)の充実強化を図る。(再掲) |
(3)株式による市場からの資金調達の拡充
| @ | 未公開株式市場の実現 |
| 成長力ある株式未公開のベンチャー企業が市場から直接資金調達を行えるよう、未公開株式の活発な取引の実現のため、以下の方向で検討を行う。 ・未公開株式の気配値(時価)の公表を毎日とするよう頻度の向上を図る。 ・流通状況に応じ未公開株式を保管・振替制度の対象とする。 また、未公開株式取引の迅速かつ大量の処理を可能とし、未公開株式の発行ベンチャーの情報を正確かつ迅速に入手できるシステムの確立を図る。 | |
| A | 店頭市場の活性化 |
| ・成長力あるベンチャー企業が迅速に株式公開を果たし資金調達を行うことを可能とするため、公開前規制を緩和する。 ・マーケットメイカー制度の電子取引化を早期に実現する。 ・公開企業に対する情報開示の一層の徹底を図る。 | |
| B | 個人投資家によるリスクマネーの供給の円滑化を図る。 |
| 4.産業競争力強化のための税制 |
経済再生、産業の競争力強化等に資する見地から、新規産業の育成、企業財務の健全化、組織の戦略的変更、資産流動化の促進等のために必要な税制や企業年金制度の見直しに伴う措置、連結納税制度などについて検討し結論を得る。
(別紙)
| 平成11年6月8日 自由民主党行政改革推進本部 |
○情報通信
1 ITS(高度道路交通システム)の推進
2 インターネット料金の定額化・専用線料金の引下げ
3 超高速通信網の整備
4 次世代携帯電話網の整備
5 電子取引の法整備(商業登記、公証制度)
6 小・中・高校の情報教育の充実(インターネット化)
7 国・地方政府機関の電子化(申請届出、手数料納付、ワンストップサービス、インターネット化)
8 NTTのドコモの株保有割合の引下げ
○労働
1 職業紹介・派遣事業のネガティブ・リスト化<再掲>
2 雇用保険制度の当面の条件緩和<再掲>
・・・再雇用研修者に対する給付期間の延長(約1年)
・・・中高年層の失業者に対する給付の重点化
3 雇用調整助成金制度の見直し<再掲>
・・・再就職先への給付等
○教育・科学技術
1 外国語・コンピュータ・地域文化等への民間人の積極的活用
<再掲>
2 コミュニティカレッジ機能の充実
3 TLO(大学・研究機関からの技術移転制度)の充実(国立大学教官のTLO、民間企業の役員への兼業の早期実現、国有特許権のTLOへの無償譲渡促進)<再掲>
4 ポストドクター、国立研究所における研究支援者の増員<再掲>
5 技術士制度の拡充
(注)小・中・高校の情報教育については前出
○金融
1 中小企業の範囲の拡大と中小政府金融の充実<再掲>
2 債務の証券化のための環境整備と5%ルールの弾力化<再掲>
3 店頭市場の改革と規制緩和<再掲>
4 社債市場の育成と規制緩和
5 年金の株式等への資産運用の拡大
6 企業年金に対する持合株の拠出の推進
7 有望なベンチャー企業への資金供給の円滑化(無利子融資、社債発行の推進、投資事業組合を通ずるベンチャーへの出資・保証の導入等)<再掲>
8 企業会計原則のグローバル化と土地含み益の顕在化の検討(貸借対照表へ注記)
○土地
1 設備廃棄等に伴う土地流動化のための規制緩和<再掲>
2 土地等不動産の証券化の推進(SPC)<再掲>
3 住都公団、民都機構の活用<再掲>
○エネルギー
1 電力・ガスの独禁法の自然独占規定(21条)の廃止に関しH11年末までに結論
・・・石油化学工業のガス事業への参入
2 天然ガスパイプライン構想の推進
・・・サハリン沖天然ガス
○バイオテクノロジー
1 政府施策の充実
2 5省庁体制のシステム統合化
3 ベンチャー企業への支援<再掲>
(注)技術移転については前出
○環境
1 廃棄物規制の強化
・・・ダイオキシン、CO2等
2 優良企業の参入の促進
3 資源循環型システムの推進
4 環境庁における廃棄物処理施設の規格化とモデル事業の実施
・・・環境事業団の活用
5 環境会計導入の検討
○その他
1 有望なベンチャーを発掘・育成する総合的なベンチャー支援組識の設置<再掲>
2 NPOの積極活用(福祉、教育)<再掲>
3 港湾運送事業の規制緩和と日曜・夜間荷役の推進
4 不法駐車違反取締等のアウトソーシング化
*<再掲>の項目は、本文に記載のあるもの。