官報資料版 平成12年1月12日




                  ▽独占禁止白書のあらまし………公正取引委員会











独占禁止白書のあらまし


―平成10年度 公正取引委員会年次報告―


公正取引委員会


 公正取引委員会は、平成十一年十月二十六日、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下「独占禁止法」という。)第四十四条第一項の規定に基づき、平成十年度における独占禁止法の施行状況を、内閣総理大臣を経由して国会に報告した。
 以下、その概要を紹介する。

<第一部> 総 論

1 我が国を取り巻く経済環境
 平成十年度の我が国経済は、バブル後遺症の影響を受けて厳しい状況が続いた。すなわち、前年における消費や住宅投資の低迷による景気の悪化、金融機関の慎重な貸出態度等を背景とする設備投資の減少、アジア経済危機の影響による輸出の減少等の要因が加わり、景気後退が一層深刻なものとなり、失業率も戦後最悪の水準となった。
 平成十年四月の総合経済対策をはじめとし、秋口以降は、大手銀行に対する公的資本の増強等の一連の金融システム安定化策や金融緩和、同年十一月の緊急経済対策等の措置が採られ、その政策効果が平成十一年に入って本格化し、景気は下げ止まりの様相を呈している。平成十一年六月現在、景気は民間需要の回復力が弱く、引き続き厳しい状況にあるが、各般の政策効果に下支えられて下げ止まり、おおむね横ばいで推移している。
 このような経済環境の下で、日本経済を自律的な成長軌道に乗せ、雇用の確保、国民生活の安定を図っていくには、需要面の対策のみならず、経済の供給面の体質強化を図ることが必要であり、経済の抜本的な構造改革を進め、我が国市場を国際的により開かれたものとし、自己責任原則と市場原理に立つ自由な経済社会を目指すことが喫緊の課題となっている。

2 規制緩和の推進と競争政策の積極的展開
 我が国経済社会の抜本的な構造改革を図り、国際的にも開かれ、自己責任原則と市場原理に立つ自由で公正な経済社会としていくとともに、行政の在り方については、いわゆる事前規制型の行政から事後チェック型の行政に転換していくことが重要な政策課題となっている。
 政府は、平成七年度から平成九年度までの三か年にわたり、規制緩和等を計画的に推進することとし、「規制緩和推進計画について」(平成七年三月三十一日閣議決定)を策定したが、同計画においても、規制緩和の推進と一体のものとして、競争政策の積極的展開を図ることとした。
 その後も、同計画の改定に関する累次の閣議決定、平成十年度から平成十二年度までの三か年にわたり、規制緩和等を計画的に推進するために策定された「規制緩和推進三か年計画」(平成十年三月三十一日閣議決定)及びそれを改定した「規制緩和推進三か年計画(改定)」(平成十一年三月三十日閣議決定)においても同様に、規制緩和とともに競争政策の積極的展開を図るための措置が盛り込まれている。

3 平成十年度に講じた施策の概要
 当委員会は、こうした状況を踏まえ、独占禁止法の厳正かつ積極的な運用により、独占禁止法違反行為を排除し、政府規制制度及び独占禁止法適用除外制度を見直し、経済環境の変化に即応した公正な競争条件の整備を進めるとともに、経済活動の国際化が進む中、競争政策の国際的展開を図ることに努めてきた。
 平成十年度には、次のような施策に重点を置いて、競争政策の運営に積極的に取り組んだ。
(1) 独占禁止法違反行為の積極的排除
 当委員会は、従来から、独占禁止法違反事件に対し厳正かつ積極的に対処してきた。平成十年度においても、価格カルテル、入札談合、私的独占(新規参入の排除等)、流通分野における不公正な取引方法等の事件のほか、いわゆる民民規制に関する事件等について処理を行った。
 平成十年度の主な事件をみると、中学校向け図書教材の価格カルテル事件、放射性医薬品原料の製造販売業者による競争業者の排除に係る私的独占事件、スポーツシューズの再販売価格維持事件、パーソナルコンピュータ用ソフトウェアの抱き合わせ販売事件、フランチャイズチェーン本部による優越的地位の濫用事件、ダクタイル鋳鉄管製造業者によるシェア配分協定事件、医師会による会員の広告活動制限事件等について勧告を行った。
 また、ダクタイル鋳鉄管製造業者によるシェア配分協定事件については、平成十一年二月、ダクタイル鋳鉄管製造業者三社を告発し、さらに、同年三月、これら三社のダクタイル鋳鉄管直管の受注業務に従事していた十名を追加告発した。
(2) 独占禁止法運用の透明性の確保と違反行為の未然防止
 独占禁止法の効果的な運用を図り、違反行為を未然に防止するには、独占禁止法の目的、規制内容及び法運用の方針について、事業者や消費者に、十分に理解されていることが重要である。このため、当委員会は、独占禁止法の運用基準(ガイドライン)を作成・公表することにより、どのような行為が独占禁止法上問題になるのかを明らかにするとともに、事業者や事業者団体の相談に適切に対応することにより、独占禁止法違反行為の未然防止に努めている。
 平成十年度には、平成十一年一月一日から株式所有報告、合併計画等の届出対象の大幅縮減を内容とする独占禁止法の一部を改正する法律が施行されることに合わせて、株式保有、合併等の企業結合規制に係る法運用に関し、透明性を確保し、事業者の予測可能性を高めるため、平成十年十二月、「株式保有、合併等に係る『一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなる場合』の考え方」を策定・公表した。
 また、技術取引の代表的なものである特許又はノウハウの実施許諾契約(ライセンス契約)については、平成元年二月に「特許・ノウハウライセンス契約における不公正な取引方法の規制に関する運用基準」を公表しているが、近年、知的財産権に関して、不公正な取引方法以外の独占禁止法の運用事例も増加してきていること、また、米国、EUにおいても、ガイドラインや規則の改正により、特許等と競争法との関係についての考え方が明確化されたこと等もあり、特許又はノウハウのライセンス契約に関する独占禁止法上の考え方を一層明確にすることが求められている。
 このような状況を踏まえ、当委員会は、平成十一年二月、「特許・ノウハウライセンス契約に関する独占禁止法上の指針」として、改正原案を公表した(平成十一年七月三十日策定・公表)。
(3) 独占禁止法適用除外制度の見直し
 当委員会は、規制緩和の推進と競争政策の積極的展開を一体的に進める観点から、独占禁止法適用除外制度の見直しについて検討を行った。
 独占禁止法適用除外制度の見直しについては、「今後における規制緩和の推進等について」(平成六年七月五日閣議決定)を始めとする累次の政府決定に従い、政府として取組を行ってきたが、個別法による独占禁止法適用除外制度のうち二十法律、三十五制度について廃止等の措置を採るための法律案が国会に提出され、平成九年六月十三日、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の適用除外制度の整理等に関する法律(平成九年法律第九十六号)が成立した(施行は平成九年七月二十日)。
 また、規制緩和推進三か年計画に基づく検討の結果を踏まえて、平成十一年二月十六日、不況カルテル制度及び合理化カルテル制度の廃止、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の適用除外に関する法律(以下、「適用除外法」という。)の廃止等を内容とする「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の適用除外制度の整理等に関する法律案」が第百四十五回国会に提出され、同年六月十五日に可決・成立した(施行は平成十一年七月二十三日)。
 これらの措置により、平成八年三月末において三十法律、八十九制度存在した適用除外制度は、十六法律、二十五制度(再販適用除外制度を含む。)にまで縮減されることとなった。
 さらに、適用除外制度については、これを必要最小限とするとの観点から、見直しを行っていく。「規制緩和推進三か年計画(改定)」においては、引き続き、独占禁止法適用除外制度について、これを必要最小限とすることとされている。当委員会としては、今後とも、これらの閣議決定等の趣旨を踏まえ、独占禁止法第二十一条(自然独占に固有な行為)の規定の削除に関し、また、独占禁止法第二十四条(一定の組合の行為)のただし書規定の整備に関し、それぞれ引き続き検討を行い、平成十一年末までに結論を得ることとしている。
 著作物再販制度については、平成十年三月、@著作物再販制度については引き続き検討し、一定期間経過後に、制度自体の存廃について結論を得ることが適当、A著作物再販制度の対象品目を書籍・雑誌、新聞、レコード盤・音楽用テープ・音楽用CDに限定して解釈・運用、B流通取引上の弊害について、迅速かつ的確に是正を図っていくため所要の取組を実施、との当委員会としての結論を公表した。これに基づいて、当委員会は、平成十年四月以降、関係業界に対し、流通・取引慣行の改善等の取組を進めるよう要請を行い、関係業界における弊害の是正に向けた取組状況を取りまとめ、平成十年十二月に公表した。また、「新聞業における特定の不公正な取引方法」について、価格設定の多様化が阻害されることのないようにする等の観点から見直しの検討を行い、平成十一年六月三十日、改正案について、広く意見を聴取するために、公聴会を開催した(平成十一年七月二十一日全部改正の告示)。
(4) 規制緩和推進のための調査・提言
 当委員会は、従来から政府規制制度について競争政策の観点から行う実態調査の実施等を通じ、政府規制の問題点や改善の方向等について検討・提言を行ってきている。また、「規制緩和推進三か年計画(改定)」等の累次の閣議決定においても、当委員会が、規制緩和のための調査・提言を積極的に行う旨が盛り込まれている。
 平成十年度には、算定会改革等の大幅な規制緩和が進められているものの、競争制限的規制・慣行の存在が指摘されている保険業について、競争実態の把握・規制緩和の効果を測るために、実態調査を行った。
(5) 独占禁止法違反行為に係る民事的救済制度の整備に関する検討
 当委員会は、独占禁止法違反行為に係る民事的救済制度の充実について検討するため、「独占禁止法違反行為に係る民事的救済制度に関する研究会」(座長 古城 誠 上智大学教授)を開催し、平成十年十二月二十二日、差止訴訟制度の導入について、同研究会から検討結果の中間的報告を得て、これを公表した。
 なお、同研究会は、引き続き、差止訴訟制度に係る論点も含め、損害賠償制度の充実について検討を進め、遅くとも平成十一年中に最終報告書を取りまとめることとしている。当委員会としても、この最終報告書を得た上で、平成十一年度中に政府としての結論が得られることを目指して検討を進める予定である。
(6) 下請法による中小企業の競争条件の整備
 当委員会は、中小企業の自主的な事業活動が阻害されることのないよう、下請代金支払遅延等防止法(以下「下請法」という。)の厳正かつきめ細かな運用により、下請取引の公正化及び下請事業者の利益の保護に努めている。
 平成十年度には、違反行為が認められた親事業者に対し勧告を行ったほか、必要に応じて警告の措置を採った。
 また、下請取引を巡る経済環境が大きく変化してきていることから、下請法の運用に当たっても、このような変化に対応する必要があることにかんがみ、「企業取引研究会」(座長 佐藤 芳雄豊橋創造大学学長・慶応義塾大学名誉教授)において、現在の下請法の運用上の問題について検討を行い、同研究会が取りまとめた報告書を、平成十年六月に公表した。
 これを踏まえ、当委員会は、下請法の目的に照らし、同法の運用について見直しを行い、その結果を踏まえて、平成十一年二月、公正取引委員会規則及び運用基準等の改正原案を作成・公表し、関係各方面から意見を求めた後、寄せられた意見を参酌の上、平成十一年七月一日、公正取引委員会規則及び運用基準等を改正した(改正公正取引委員会規則は平成十一年十月一日施行。)。
(7) 景品表示法による消費者行政の推進
 当委員会は、消費者向けの財・サービスの種類や販売方法が多様化する中で、消費者の適正な商品選択が妨げられることのないよう、不当景品類及び不当表示防止法(以下「景品表示法」という。)の厳正な運用により、不当な顧客誘引行為の排除に努めている。
 平成十年度には、景品事件として毛皮製品販売業者による過大な景品類の提供について、また、表示事件として紳士用スーツの原産国に関する不当表示、中古自動車の走行距離に関する不当表示及び家庭用空気清浄機の性能に関する不当表示について、それぞれ排除命令を行った。
 また、平成十年度には、インターネット等を利用した広告等が、景品表示法の対象となることを明確にするため、「不当景品類及び不当表示防止法第二条の規定により景品類及び表示を指定する件」の改正を行ったほか、消費者取引の適正化、消費者に対する適正な情報提供の観点から、英会話教室等の広告・表示に関し調査を行った。
(8) 経済のグローバル化に対応した競争政策の展開
 当委員会は、我が国市場へのアクセスの改善を通じて、我が国市場における競争を一層促進する観点から、外国企業の我が国市場への参入に当たり、反競争的行為があった場合には、これに厳正に対処することとしているが、経済のグローバル化の進展に伴い、各国競争当局間の国際的協力を進めるとともに、競争政策の国際的調和の推進を図ることが重要になってきている。このため、二国間及び多国間の競争政策に関する協力、調整等が円滑に進められるよう、海外の競争当局との意見交換の開催、国際会議への参加等により、競争当局間の協力関係の一層の充実を図っているほか、開発途上国・移行経済国を対象とした競争法・競争政策に関する技術協力を実施している。
 また、近年、企業活動の国際化の進展に伴い、複数国の競争法に抵触する事案、一国による競争法の執行活動が他国の利益に影響を及ぼし得る事案等が増加するなど、競争当局間の協力の強化の必要性が高まっている。こうした中、政府は、平成十年十月以降、米国政府との間で競争分野の協力に関する協定を締結するための交渉を行い、平成十一年五月、交渉当事者間において実質合意に至った旨が公表された。

<第二部> 各 論

独占禁止法制の動き

 公正取引委員会は、独占禁止法、適用除外法、下請法及び景品表示法の各法律のほか、独占禁止法施行令等の政令を所管している。平成十年度には、これらの法令について以下の改正が行われた。

1 独占禁止法の改正
(1) 適用除外整理法について
 独占禁止法の改正等を内容とする「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の適用除外制度の整理等に関する法律案」(以下「適用除外整理法案」という。)は、平成十一年六月十五日に可決・成立し、同月二十三日に公布(平成十一年法律第八十号)された(平成十一年七月二十三日施行)。
 これは、平成十年三月三十一日に閣議決定された「規制緩和推進三か年計画」において、独占禁止法の適用除外制度の見直しについての結論が盛り込まれ、立法措置を要するものについては、平成十一年の通常国会に改正法案を提出することとされたことを受けて、同計画を実施するために必要な立法措置を取りまとめたものである。
 その概要は、以下のとおりである。
 (ア) 独占禁止法の改正
  不況カルテル制度(独占禁止法第二十四条の三)、合理化カルテル制度(独占禁止法第二十四条の四)等を廃止した。
 (イ) 適用除外法の廃止及びこれに伴う措置
  適用除外法を廃止した。
  協同組合等の適用除外については、適用除外の根拠規定を独占禁止法第二十四条の規定に一本化し、各組合の根拠法上の関係規定(みなし規定)を整備した。また、中小企業等協同組合法に基づく中小企業団体中央会及び農業協同組合法に基づく農業協同組合中央会等については、引き続き適用除外とし、所要の措置を講ずる一方、その他の団体・制度については、適用除外を廃止することとした。
  事業者団体の届出義務(独占禁止法第八条第二項〜第四項)については、引き続き免除とし、別途措置することとした。
 (ウ) 個別法の改正
  海上運送法等個別法に基づく適用除外制度四、法律六制度について、公正取引委員会との協議規定等の新設等の手続規定の整備等を行った。
(2) 中央省庁等改革のための国の行政組織関係法律の整備等に関する法律による独占禁止法の改正について
 中央省庁等改革のための基本的な理念・方針等を定めた中央省庁等改革基本法(平成十年法律第百三号)において、公正取引委員会は、新たに設置される総務省の外局とされることとなったが、同法にのっとって中央省庁等改革を推進するため、内閣法等の改正及び新府省の設置法の制定等を内容とする、中央省庁等改革のための国の行政組織関係法律の整備等に関する法律案が、第百四十五回国会に提出された。
 同法案は、当委員会を総務大臣の所轄に属することとする等、中央省庁等改革に伴う独占禁止法の所要の改正を含むものであり、平成十一年七月八日に可決・成立した(平成十一年七月十六日公布)。

2 独占禁止法改正に伴う政令の改正
 適用除外整理法第一条の施行に伴い、及び独占禁止法第八条第二項の規定に基づき、適用除外法第二条に掲げられていた団体のうち事業者団体に該当するものについて、同法施行後も、引き続き、事業者団体届出義務を免除する等の措置を採ることとした(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律施行令及び公正取引委員会事務総局組織令の一部を改正する政令(平成十一年七月二日公布、平成十一年七月二十三日施行)(一部規定を除く。))。

3 地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律による景品表示法の改正
 平成十年五月に閣議決定された「地方分権推進計画」に基づく景品表示法の改正については、機関委任事務制度の廃止及びそれに伴う事務区分の再構成、国の関与等の見直しなどを内容とする「地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律案」において行われることとなり、同法案は第百四十五回国会に提出され、平成十一年七月八日に可決・成立した(平成十一年七月十六日公布、平成十二年四月一日施行)。

4 独占禁止法と他の経済法令等との調整
(1) 法令調整
 独占禁止法と他の経済法令との調整に関する業務としては、著作権法の一部改正、行政書士法の一部改正、新事業創出促進法案、食料・農業・農村基本法案等について、関係行政機関が立案するに当たり、所要の調整を行った。
(2) 行政調整
 関係行政機関による行政措置等との調整に関する業務としては、日本電信電話株式会社の再編成に関する実施計画についての申入れ及び内航海運業における船腹調整事業の解消に関する調整を行ったほか、地方公共団体の公共入札における銘柄指定、地方公共団体による狂犬病予防に関する注射料金の設定等の事案について、独占禁止法及び競争政策の観点から、所要の調整を行った。

違反被疑事件の審査及び処理

1 違反被疑事件の審査及び処理の状況
 独占禁止法は、事業者が私的独占又は不当な取引制限をすること、不公正な取引方法を用いること等を禁止しており(第三条、第十九条ほか)、公正取引委員会は、一般から提供された情報、自ら探知した事実等を検討し、これらの禁止規定に違反する事実があると思料するときは、独占禁止法違反被疑事件として必要な審査を行っている。
 審査事件のうち必要なものについては、独占禁止法第四十六条の規定に基づく権限を行使して審査を行い、違反する事実があると認められたときは、排除措置を採るよう勧告する(第四十八条第一項及び第二項)か、若しくは審判手続を開始し(第四十九条第一項)、又は違反行為がなくなってから一年を経過していることから勧告を行うことができないが、課徴金納付命令の対象となる場合には、同命令を行っている(第四十八条の二)。なお、相手方が勧告を応諾した場合には、勧告審決(第四十八条第四項)、その他の場合は審判手続を経て同意審決(第五十三条の三)又は審判審決(第五十四条)を行っている。
 平成十年度の審査件数は、前年度からの繰越しとなっていたもの四十五件、年度内に新規に着手したもの百二十五件、合計百七十件であり、このうち本年度内に処理した件数は百二十件であった。
 百二十件の内訳は、勧告二十七件、警告十七件、注意六十二件及び違反事実が認められなかったため審査を打ち切ったもの十四件となっている。
 これらを行為類型別にみると、私的独占一件、価格カルテル十三件、入札談合等二十一件、その他のカルテル三件、不公正な取引方法六十八件、その他十四件となっている。法的措置として勧告を行った事件は二十七件あり、その内訳は、私的独占一件、価格カルテル一件、入札談合等十七件、その他のカルテル一件、不公正な取引方法六件、その他一件となっている(第1表参照)。

2 課徴金
 課徴金制度は、カルテル禁止の徹底を図るため、行政上の措置として設けられているものである。
 課徴金の対象となる行為は、事業者又は事業者団体の行うカルテルのうち、商品若しくは役務の対価に係るもの、又は実質的に商品若しくは役務の供給量を制限することにより、その対価に影響のあるものであり、これらの行為があった場合に、事業者又は事業者団体の構成事業者に対し、課徴金の納付を命じることとされている(第七条の二第一項、第八条の三)。相手方が課徴金納付命令に対して不服申立てをした場合には、審判手続が開始され、同納付命令は失効する(第四十九条第二項及び第三項)。
 平成十年度は、十六件の独占禁止法違反事件について、延べ五百七十八事業者に対して総額三十一億五千百八十一万円の課徴金の納付を命じた。
 なお、本年度に課徴金の納付を命じた五百七十八事業者のうち、延べ二事業者から審判開始請求があり、これらについては、いずれも審判開始決定を行ったことから、合計二百六十六万円の課徴金納付命令(平成十年(納)第三百六号及び第三百七号)は失効した(第2表参照)。

3 告 発
 私的独占、カルテルなどの重大な独占禁止法違反行為については、勧告等の法的措置のほか罰則が設けられており、これらについては公正取引委員会による告発を待って論ずることとされている(第九十六条、第七十三条第一項)。
 平成十年度には、ダクタイル鋳鉄管直管の取引分野における競争を実質的に制限していた行為について、株式会社クボタほか二社を独占禁止法に違反する犯罪を行ったものと思料して、平成十一年二月四日、検事総長に告発した(東京高等検察庁は同年三月一日起訴)。さらに、平成十一年三月一日、三社のダクタイル鋳鉄管直管の受注業務に従事していた者十名を、検事総長に告発した(東京高等検察庁は同日起訴)。

審判及び訴訟

1 審 判
 平成十年度の審判件数は、平成九年度から引き継いだもの十件、平成十年度中に審判開始決定を行ったもの二十六件の合計三十六件(うち、二十二件は同一事案のため手続を併合)であり、平成十年度中に、二件(うち、審判審決一件、課徴金納付を命ずる審決一件)について審決を行った。平成十年度末現在において審判手続係属中の事件は、三十四件である。

2 訴 訟
 平成十年度当初に係属中の審決取消請求事件は五件であったが、このうち、大日本印刷株式会社、トッパン・フォームズ株式会社及び小林記録紙株式会社による審決取消請求事件三件については、最高裁判所で上告棄却の判決が下された。また、平成十年度中には、新たに、協業組合カンセイによる審決取消請求事件が提起されたが、東京高等裁判所で請求棄却の判決が下された後、上告された。平成十年度末現在、係属中の審決取消請求事件は三件である。
 なお、三件のうち、広島県石油商業組合広島市連合会による審決取消請求訴訟は、訴えの取下げにより、平成十一年四月九日、終了した。

3 独占禁止法違反行為に係る民事的救済制度に関する検討
 当委員会は、独占禁止法違反行為に係る民事的救済制度の充実に関し、独占禁止法違反行為に対する私人による差止訴訟制度の導入、独占禁止法違反行為に係る損害賠償訴訟制度の充実について検討するため、「独占禁止法違反行為に係る民事的救済制度に関する研究会」を開催することとし、同研究会は、平成十年三月以降、十回にわたり第一の課題である差止訴訟制度の導入について検討を行い、平成十年十二月二十二日、その検討結果を中間的に取りまとめた。
 なお、同研究会は、引き続き差止訴訟制度に係る論点も含め、損害賠償訴訟制度の充実について検討を進め、遅くとも平成十一年中に最終報告書を取りまとめることとしている。当委員会としても、この最終報告書を得た上で、平成十一年度中に政府としての結論が得られることを目指して、検討を進める予定である。

法運用の透明性の確保と独占禁止法違反行為の未然防止

 独占禁止法違反行為の未然防止を図るとともに、独占禁止法の運用を効果的なものとするためには、独占禁止法の目的、規制内容及び運用の方針が、国内外における事業者や消費者に十分理解され、それが深められていくことが不可欠である。
 このような観点から、公正取引委員会は、各種の広報活動を行うとともに、事業者及び事業者団体の独占禁止法違反行為を具体的に明らかにした各種のガイドライン<「流通・取引慣行に関する独占禁止法上の指針」(平成三年七月)、「共同研究開発に関する独占禁止法上の指針」(平成五年四月)、「公共的な入札に係る事業者及び事業者団体の活動に関する独占禁止法上の指針」(平成六年七月)、「事業者団体の活動に関する独占禁止法上の指針」(平成七年十月)等>を策定・公表し、それに基づいて、個々の具体的なケースについて事業者等からの相談に応じている。
 平成十年度には、「株式保有、合併等に係る『一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなる場合』の考え方」を策定・公表し、法運用の透明性の確保を図っている。また、「特許・ノウハウライセンス契約における不公正な取引方法の規制に関する運用基準」についても、独占禁止法第三条(私的独占・不当な取引制限の禁止)や第二十三条(無体財産権の行使行為の適用除外)に関する考え方を新たに追加する等の見直し作業を行い、平成十一年二月二十二日、「特許・ノウハウライセンス契約に関する独占禁止法上の指針」として、改正原案を公表した(平成十一年七月三十日策定・公表)。
 また、特に中小事業者及び事業者団体(以下「中小事業者等」という。)からは、独占禁止法等について、より容易・身近に相談できる体制を整備してほしいという要望が寄せられるなど、一層の相談業務の充実が求められている。このため、当委員会では、新たに中小事業者等からの相談体制の強化を図ることとし、商工会議所及び商工会との協力の下、全国の商工会議所及び商工会において、中小事業者等が独占禁止法に係る苦情・相談をより容易にできるようにするためのネットワークを構築した。

政府規制制度と独占禁止法適用除外制度

 我が国では、社会的・経済的な理由により、参入、設備、数量、価格等に係る事業活動が政府により規制されていたり、独占禁止法の適用が除外されている産業分野がみられる。
 このような政府規制は、第二次世界大戦後における我が国経済の発展過程において、一定の役割を果たしてきたものと考えられるが、社会的・経済的情勢の変化に伴い、当初の必要性が薄れる一方で、効率的経営や企業家精神の発揮を阻害したり、競争制限的問題を生じさせてきているものも少なくない。このため、我が国経済の構造改革を図り、国際的に開かれ、自己責任原則と市場原理に立った、民間活力が最大限に発揮される創造的な経済社会へ変革していくために、政府としても規制緩和の推進に積極的に取り組んでいる。
 また、適用除外制度は、自由経済体制の下ではあくまでも例外的な制度であり、適用除外分野においては、市場メカニズムを通じた良質、廉価な商品・サービスの供給に向けた経営努力が十分に行われず、消費者の利益が損なわれるなどのおそれがあるので、必要最小限にとどめるとともに、不断の見直しの必要がある。
 改定された規制緩和推進三か年計画(平成十一年三月三十日閣議決定。以下「改定三か年計画」という。)においては、公正取引委員会の取り組むべき課題として、独占禁止法違反行為に対する厳正・迅速かつ積極的な対処、規制緩和の推進についての調査・提言及び独占禁止法適用除外制度の見直しに加え、地方自治体が講じている参入規制等についても、調査・提言を行うこと、規制に代わる競争制限的な行政指導及びいわゆる民民規制の問題について取り組むこと等が掲げられている。
(1) 政府規制制度の見直し
 当委員会は、従来から競争政策の観点から政府規制制度について中長期的に見直しを行ってきており、昭和六十三年七月以降は、政府規制制度の見直し及び関連分野における競争確保・促進政策の検討を行うため、「政府規制等と競争政策に関する研究会」(座長 鶴田俊正 専修大学教授)を開催している。最近では、電気事業分野及びガス事業分野について検討を行い、同研究会が各分野について取りまとめた報告書を、平成九年四月に公表した。
 このうち、電気事業に関しては、通商産業省の電気事業審議会において、電力供給システム全般の見直しが行われてきており、平成十一年一月に取りまとめられた報告書では、小売分野における部分自由化を中心とする制度改革が提言された。
 また、ガス事業に関しては、通商産業省の総合エネルギー調査会において、ガス事業制度全般の見直しが行われてきており、平成十一年二月に取りまとめられた報告書では、自由化対象分野の拡大を中心とした制度改革が提言された。これらを受けた電気・ガス事業法改正案が、第百四十五回通常国会に提出され、同年五月十四日可決・成立し、同月二十一日に公布された。現在、改正電気・ガス事業法の施行に向けて、適正な電力・ガス取引の在り方について、それぞれ同審議会・同調査会において、具体的な検討が行われているが、このような取組は競争政策上有効であると考えられるので、当委員会としても、前記報告書に示された提言内容を踏まえつつ積極的に協力を行っている。
 また、規制緩和の推進に向けた取組として、公正取引委員会では、保険業に関する実態調査、地方公共団体が行う規制の実態調査を行った。
(2) 独占禁止法適用除外制度の見直し等
 独占禁止法適用除外制度については、近年、累次の閣議決定等において、その見直しが決定されている。個別法による適用除外制度については、「規制緩和推進計画の改定について」(平成八年三月二十九日閣議決定)を受け、平成九年二月、個別法に基づく適用除外制度二十法律、三十五制度について廃止等の措置を採るため「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の適用除外制度の整理等に関する法律案」が第百四十回国会に提出され、同年六月三日可決・成立し、同年七月二十日に施行された。
 また、その他の適用除外制度については、「規制緩和推進計画の再改定について」(平成九年三月二十八日閣議決定)、「規制緩和推進三か年計画」に基づいて検討が行われ、平成十一年二月十六日、不況カルテル制度及び合理化カルテル制度の廃止、適用除外法の廃止等を内容とする適用除外整理法案が第百四十五回国会に提出され、同年六月十五日に可決・成立し、同年六月二十三日に公布された(平成十一年七月二十三日施行)。
 これらの措置により、平成八年三月末に三十法律、八十九制度存在した適用除外制度は、十六法律、二十五制度(再販適用除外制度を含む。)にまで縮減された。
 規制緩和推進三か年計画に基づいて行った所要の検討措置を踏まえ、平成十一年三月三十日に閣議決定された改定三か年計画においては、法案の提出等これまでに採った措置や検討の結果が盛り込まれるとともに、引き続き、「独占禁止法適用除外制度について、これを必要最小限とする」との文言が盛り込まれ、以下の二点についても引き続き検討を行うこととされた。

改定三か年計画における各適用除外制度の見直し結果の概要(抄)

○ 独占禁止法に基づく適用除外制度


 独占禁止法第二十四条の三の規定に基づく不況カルテル及び第二十四条の四の規定に基づく合理化カルテルについては、平成十年度に実施されたものはなかった(不況カルテルについては、平成元年十月以降、合理化カルテルについては、昭和五十七年一月以降、実施されていない。なお、不況カルテル制度、合理化カルテル制度は適用除外整理法により廃止された。)。
 公正取引委員会が認可し、又は公正取引委員会の同意を得、若しくは公正取引委員会に協議若しくは通知を行って主務大臣が認可等を行ったカルテルの件数は、昭和四十年度末をピークに減少傾向にあり、また、適用除外カルテル制度そのものが大幅に縮減されたこともあり、平成十年度末現在、十四件となっている。

価格の同調的引上げに関する報告の徴収

 独占禁止法第十八条の二の規定により、年間国内総供給価額が六百億円超で、かつ上位三社の市場占拠率の合計が七〇%超という市場構造要件を満たす同種の商品又は役務につき、首位事業者を含む二以上の主要事業者(市場占拠率が五%以上であって、上位五位以内である者をいう。)が、取引の基準として用いる価格について、三か月以内に同一、又は近似の額又は率の引上げをしたときは、当委員会は、当該主要事業者に対し、当該価格の引上げ理由について報告を求めることができる。
 この規定の運用については、当委員会は、その運用基準を明らかにするとともに、市場構造要件に該当する品目をあらかじめ調査し、これを運用基準別表に掲げ、同別表に掲載された品目について、価格の同調的引上げの報告徴収を行うこととしている(平成十一年七月一日改定後の別表掲載品目数は八十四である。)。
 平成十年度に、独占禁止法十八条の二に規定する価格の同調的引上げに該当すると認め、その引上げ理由の報告を徴収したものはなかった。

経済及び事業活動の実態調査

 当委員会は、競争政策の運営に資する目的から、経済力集中の実態、主要産業の実態等について調査を行っている。
 平成十年度には、独占的状態調査、企業集団の実態調査(第六次)、専門職業(司法書士・行政書士)の広告規制等に関する実態調査、建設業団体が作成する価格表に関する実態調査、板ガラスの流通に関する実態調査、LPガス販売業における取引慣行等に関する実態調査等を行った。

持株会社・株式保有・役員兼任・合併・営業譲受け等

1 持株会社
 独占禁止法第九条第一項の規定では、事業支配力が過度に集中することとなる持株会社の設立・転化を禁止しており、持株会社は、持株会社及びその子会社の総資産額の合計が三千億円を超える場合には、@毎事業年度終了後三か月以内に、持株会社及び子会社の事業報告書を提出すること(同条第六項)、A持株会社の新設について設立後三十日以内に届け出ること(同条第七項)が義務付けられている。
 平成十年度に、同条第六項に基づいて提出された持株会社等の事業報告書の件数は二件であり、同条第七項に基づく持株会社の設立の届出はなかった。

2 株式保有
(1) 独占禁止法第九条の二第一項の規定に基づき、大規模会社(金融業以外で資本金三百五十億円以上又は純資産一千四百億円以上の株式会社(持株会社たる株式会社を除く。))は、自己の資本金又は純資産のいずれか多い額を超えて国内の会社の株式を保有してはならないとされているが、大規模会社が、外国会社等と共同出資により設立した会社の株式をあらかじめ当委員会の認可を受けて保有する場合(同項第七号)、又はやむを得ない事情により、国内の会社の株式をあらかじめ当委員会の承認を受けて保有する場合(同項第十一号)等におけるこれらの株式の保有については、同項の規定が適用されないとされている。平成十年度に、当委員会が同項第七号の規定により認可したもの及び同項第十一号の規定により承認したものは、いずれもなかった。
(2) 平成十年改正前の独占禁止法第十条第二項の規定では、総資産が二十億円を超える国内の会社(金融業を営む会社を除く。)又は外国会社(金融業を営む会社を除く。)は、国内の会社の株式を所有する場合には、毎事業年度終了後三か月以内に、公正取引委員会に株式所有報告書を提出しなければならないとされていたが、平成十年改正後の独占禁止法第十条第二項及び第三項の規定では、総資産が二十億円を超え、かつ総資産合計額(当該会社の総資産並びに親会社及び子会社の総資産の合計額。以下同じ。)が百億円を超える会社が、総資産額が十億円を超える国内の会社又は国内売上高(国内の営業所の売上高及び国内の子会社の売上高の合計額。以下同じ。)が十億円を超える外国会社の株式を一〇%、二五%又は五〇%を超えて取得し、又は所有することとなる場合には、この比率を超えることとなった日から三十日以内に、当委員会に株式所有報告書を提出しなければならないこととなった。
  平成十年度に、当委員会に提出された会社の株式所有報告書の件数は、平成十年改正前の独占禁止法の規定に基づくものは七千四百三十件、うち外国会社によるものは五百件であり、平成十年改正後の独占禁止法の規定に基づくものは八十八件、うち外国会社によるものは四件であった。
  また、平成十年改正独占禁止法附則第二条第二項の規定では、平成十年改正独占禁止法の施行に伴う経過措置として、改正法において報告義務のある会社が、平成十年改正独占禁止法施行日(平成十一年一月一日)を含む事業年度の開始の日から平成十年十二月三十一日までの間に、総資産十億円超の国内の会社の株式を新たに一〇%、二五%又は五〇%を超えて保有することとなった場合は、平成十年改正独占禁止法施行日から三十日以内に、別途当該株式に関する報告書を提出しなければならないこととされている。
  平成十年改正独占禁止法の施行に伴う経過措置の規定に基づいて提出された報告書の件数は百七十二件、うち外国会社によるものは二件であった。
(3) 独占禁止法第十一条第一項の規定に基づき、金融会社は、国内の会社の株式をその発行済株式総数の百分の五(保険業を営む会社にあっては、百分の十)を超えて保有してはならないとされているが、金融会社があらかじめ当委員会の認可を受けた場合には、同項の規定が適用されないとされている。平成十年度に、当委員会が認可した金融会社の株式の保有件数は二百三十四件であった。このうち、同条第一項ただし書の規定に基づくものは二百二十九件(銀行に係るもの百七十七件、証券会社に係るもの十八件、保険会社に係るもの二十五件、外国会社に係るもの九件)、同条第二項の規定に基づくものは五件(銀行に係るもの三件、証券会社に係るもの一件、保険会社に係るもの一件)であった。

3 合併・営業譲受け等
 平成十年改正前の独占禁止法第十五条第二項又は第十六条の規定では、会社が合併、営業の全部又は重要部分の譲受け等をしようとする場合には、あらかじめすべて当委員会に届け出なければならないとされていたが、改正後は、合併については第十五条第二項及び第三項の規定により、国内会社同士の合併については、総資産合計額が百億円を超える会社が総資産合計額が十億円を超える会社と合併する場合、外国会社同士の合併については、国内売上高が百億円を超える会社と国内売上高が十億円を超える会社が合併する場合に届け出なければならないとされた。また、営業譲受け等については、第十六条第二項及び第三項により、総資産合計額が百億円を超える会社は、@総資産額十億円超の国内の会社の営業の全部を譲り受ける場合、A国内の会社から対象部分の売上高が十億円超の営業の重要部分又は固定資産の全部を譲り受ける場合、B国内売上高十億円超の外国会社の営業の全部を譲り受ける場合、C外国会社から対象部分の国内売上高が十億円超の営業の重要部分又は固定資産の全部若しくは重要部分を譲り受ける場合に、届け出なければならないとされた(ただし、親子会社間及び兄弟会社間の合併及び営業譲受け等については届出が不要である。)。
 平成十年度に、届出を受理した件数は、平成十年改正前の独占禁止法の規定に基づく合併の届出は一千四百七十件、営業譲受け等の届出は一千百十件、平成十年改正後の独占禁止法の規定に基づく合併は四十四件(うち外国会社同士の合併一件)、営業譲受け等は六十六件(外国会社からの営業譲受け等はない。)であった。また、平成十年度に、合併後の総資産が三百億円以上となる会社の合併(当事会社のいずれかの総資産が百億円未満のものを除く。)は五十九件、行為後の譲受け等会社の総資産が三百億円以上である営業譲受け等(当事会社のいずれかの総資産が百億円未満のものを除く。)は七十八件である。
 また、総資産一千億円以上の合併は七十一件であり、平成九年度(四十四件)に比べると大幅に増加している。

4 主要な事例
 平成十年度の株式保有等及び合併・営業譲受け等の主要な事例としては、トヨタ自動車株式会社によるダイハツ工業株式会社の株式取得、旭化成工業株式会社及び三菱化学株式会社のポリスチレン樹脂事業の統合、リンナイ株式会社及び株式会社ガスターによるガス給湯器の販売事業の統合、秩父小野田株式会社と日本セメント株式会社の合併(及び宇部興産株式会社と三菱マテリアル株式会社によるセメント事業の統合)、株式会社バレオとホシ伊藤株式会社の合併、大阪商船三井船舶株式会社とナビックスライン株式会社の合併、日本石油株式会社と三菱石油株式会社の合併、株式会社北洋銀行による株式会社北海道拓殖銀行の営業譲受け、チヨダウーテ株式会社によるアドラ建材株式会社、北海道アドラ建材株式会社及び三井東圧西部建材株式会社からの石こうボード事業の譲受け、株式会社ダイエーホールディングコーポレーションの持株会社化、大和證券株式会社と株式会社住友銀行の業務提携、住友生命保険相互会社による特定目的会社の持分取得等があった。

事業者団体

 独占禁止法第八条は、事業者団体による競争の実質的な制限、一定の事業分野における事業者の数の制限、構成事業者の機能又は活動の不当な制限、事業者に不公正な取引方法を用いさせること等の行為を禁止するとともに(同条第一項)、事業者団体に対して、その成立、変更及び解散の届出義務を課している(同条第二項から第四項まで)。
 平成十年度に、独占禁止法第八条第二項から第四項までの規定に基づく事業者団体からの届出件数は、成立届百九十九件、変更届二千五百八十五件、解散届二百二十九件、合計三千十三件であった。
 また、平成十年度までに当委員会に対し、成立届出をし、かつ、解散届出をしていない事業者団体は、全体で一万五千四百二十六団体となっている。

不公正な取引方法の指定及び運用

 独占禁止法第十九条は、事業者が不公正な取引方法を用いることを禁止しており、禁止される行為の具体的内容は、当委員会が法律の枠内で告示により指定するとされている(同法第二条第九項、同法第七十二条)。
 不公正な取引方法に関しては、前記規定に違反する事件の処理のほか、不公正な取引方法の指定に関する調査、不公正な取引方法の防止のための指導業務等を行っている。
 また、規制緩和後の市場の競争秩序については、規制緩和推進三か年計画及び改定三か年計画において、規制緩和後の市場の公正な競争秩序を確保するため、中小事業者等に不当な不利益を与えるなどの不公正な取引に対して、厳正・迅速に対処するとされている。

再販適用除外制度

 再販売価格維持行為は、原則として、不公正な取引方法(再販売価格の拘束)に該当し、独占禁止法第十九条違反に問われるものであるが、おとり廉売防止等の観点から、同法第二十四条の二の規定に基づき、当委員会が指定する再販指定商品及び著作物を対象とするものについては、例外的に独占禁止法の適用を除外されている(再販適用除外制度)。
 再販適用除外制度を含む独占禁止法適用除外制度については、累次の閣議決定において、その見直しが決定されており、当委員会は、これらを踏まえて再販適用除外制度の見直しに取り組んできた。このうち指定再販制度については、化粧品十四品目、一般用医薬品十四品目の指定を、平成九年四月一日に取り消した。これにより、昭和二十八年以降行われてきた再販指定商品の指定は、すべて取り消された。
 また、著作物再販制度については、規制緩和推進三か年計画及び改定三か年計画において、「著作物(書籍・雑誌、新聞、レコード盤・音楽用テープ・音楽用CD)の再販売価格維持制度については、独占禁止法上原則禁止されている再販行為に関する適用除外制度であることから、制度を維持すべき相当の特別な理由が必要であり、今後、行政改革委員会最終意見の指摘する論点に係る議論を深めつつ、適切な措置を講ずるものとする」旨決定されている。
 平成十年三月には、@著作物再販制度については引き続き検討し、一定期間経過後に、制度自体の存廃について結論を得ることが適当、A著作物再販制度の対象品目を書籍・雑誌、新聞、レコード盤・音楽用テープ・音楽用CDに限定して解釈・運用、B流通取引上の弊害について迅速かつ的確に是正を図っていくため、所要の取組を実施、との当委員会としての結論を公表した。これに基づき当委員会は、平成十年四月以降、関係業界に対し、流通・取引慣行の改善等の取組を進めるよう要請を行い、関係業界における弊害是正に向けた取組状況を取りまとめ、平成十年十二月に公表した。

下請法に関する業務

 下請法では、資本金一億円を超える事業者(親事業者)が個人又は資本金一億円以下の事業者(下請事業者)に、また、資本金一千万円を超え一億円以下の事業者(親事業者)が個人又は資本金一千万円以下の事業者(下請事業者)に物品の製造又は修理を委託する場合、親事業者に対し下請事業者への発注書面の交付(第三条)並びに下請取引に関する書類の作成及びその二年間の保存(第五条)を義務付けているほか、親事業者が、@委託した給付の受領拒否(第四条第一項第一号)、A下請代金の支払遅延(同項第二号)、B下請代金の減額(同項第三号)、C返品(同項第四号)、D買いたたき(同項第五号)、E物品等の購入強制(同項第六号)、F有償支給原材料等の対価の早期決済(同条第二項第一号)、G割引困難な手形の交付(同項第二号)などの行為を行った場合には、当委員会は、その親事業者に対し、当該行為を取りやめ、下請事業者が被った不利益の原状回復措置等を講じるよう、勧告する旨を定めている。

1 違反事件の処理
 下請取引の性格上、下請事業者からの下請法違反被疑事実についての申告が期待できないため、当委員会では、中小企業庁の協力を得て、主として製造業を営む親事業者及びこれらと取引している下請事業者を対象として、定期的に書面調査等を実施しており、平成十年度には、親事業者一万三千八百六十九社及びこれらと取引している下請事業者七万百八十二社を対象に書面調査を実施した。
 さらに、平成十年度には、これら定期的な調査に加え、自動車販売業者の修理業務に伴う下請取引の実態を把握するため、親事業者一千七百三十六社に対して、特別に書面による調査を実施した。
 平成十年度に、新規に発生した下請法違反被疑事件は一千三百五十一件である。
 このうち、書面調査により職権探知したものは一千三百二十九件であり、下請事業者からの申告によるものは二十二件(新規発生件数全体の一・六%)であった。
 平成十年度に、当委員会が下請法違反被疑事件を処理した件数は一千三百四十一件であり、このうち、一千二百七十二件(九四・九%)について、違反行為又は違反のおそれのある行為が認められたため、一件については同法第七条第二項の規定に基づいて勧告を行い、一千二百七十一件については警告の措置を採った。
 平成十年度に措置を採った下請法違反事件(延べ一千八百四十件)を違反行為態様別にみると、手続規定違反が一千百四十一件(違反行為態様別件数全体の六二・〇%)となっている。このうち、発注時に下請代金の額、支払方法等を記載した書面を交付していない、又は交付していても記載すべき事項が不備のもの(第三条違反)が一千三十九件(同五六・五%)となっている。
 また、実体規定違反は六百九十九件(違反行為態様別件数全体の三八・〇%)となっている。このうち、下請代金の支払遅延(第四条第一項第二号違反)が二百二十六件(実体規定違反件数全体の三二・三%)、手形期間が百二十日(繊維業の場合は九十日)を超える長期手形等の割引困難な手形の交付(第四条第二項第二号違反)が二百十八件(同三一・二%)、下請代金の減額(第四条第一項第三号違反)が九十七件(同一三・九%)、受領拒否(第四条第一項第一号違反)が四十二件(同六・〇%)となっている。
 下請代金の支払遅延事件については、平成十年度中に、親事業者三十六社により総額二千七百八十五万円の遅延利息が五百七十五社の下請事業者に支払われており、減額が認められた事件については、親事業者三十八社により総額三億二千三百九十八万円が二百八十三社の下請事業者に返還されている。

2 下請法の運用見直しに伴う規則及び運用基準等の改正
 当委員会は、近年、下請取引を巡る経済環境が大きく変化し、下請法の運用に当たってもこのような変化に対応することが求められていることにかんがみ、平成九年五月、企業取引研究会(座長佐藤 芳雄 豊橋創造大学学長・慶應義塾大学名誉教授)に下請法の運用上の問題について検討を依頼した。そして、平成十年六月、下請法の規制の仕組み及びその運用の基本的考え方は維持すべきであるが、その運用が画一的過ぎる場合には、下請取引の円滑な実施が阻害されたり、下請事業者の受注機会が減少するなど、下請事業者の利益が損なわれるおそれも否定できないため、このような観点から下請法の運用を見直すことが望ましいとの同研究会の検討結果を得、これを公表した。
 当委員会は、この検討結果を踏まえ、下請取引の公正化と下請事業者の利益の保護という下請法の目的に照らして、同法の運用について見直しを行い、平成十一年二月、見直しに伴う公正取引委員会規則及び運用基準等についての改正原案を作成・公表し、関係各方面から意見を求めた後、同意見を参酌の上、平成十一年七月一日、公正取引委員会規則及び運用基準等を改正した(改正公正取引委員会規則の施行日は平成十一年十月一日)。
 また、下請法違反を行った親事業者に対しては、違反行為の再発防止のために、社内研修、監査等により、社内体制を整備するよう指導した。

景品表示法に関する業務

 景品表示法は、不当な顧客の誘引を防止するため、公正取引委員会告示により、景品類の提供について、必要と認められる場合に、景品類の最高額、総額、種類、提供の方法等について制限又は禁止し(第三条)、また、商品又は役務の品質、規格その他の内容又は価格その他の取引条件について、一般消費者に誤認される不当な表示を禁止している(第四条)。これらの規定に違反する行為に対し、当委員会は排除命令を、都道府県知事は指示を行い、これを是正させることができる(第六条及び第九条の二)。

1 景品表示法及び告示の改正
(1) 景品表示法の改正
 景品表示法は、都道府県に対して、当委員会の機関委任事務として、違反行為に対する調査、指示及び当委員会への措置請求の権限を認めてきた。
 平成十年五月二十九日に閣議決定された地方分権推進法第八条に基づく「地方分権推進計画」において、景品表示法に基づく都道府県知事の事務は、当委員会の機関委任事務から自治事務に変更することとし、都道府県知事に対する指揮監督に関する規定(第九条の五)を削除し、新たに地方自治法の改正により規定される主務大臣の自治事務に対する関与規定と同様の規定(助言及び勧告、資料提出要求、是正措置要求)を設置することとされた。
 この地方分権推進計画の決定に基づく景品表示法の改正については、機関委任事務制度の廃止及びそれに伴う事務区分の再構成、国の関与等の見直しなどを内容とする「地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律案」の中で行われることとなり、同法案は第一四五回国会に提出された(平成十一年七月八日可決・成立、平成十一年七月十六日公布、平成十二年四月一日施行予定)。
(2) 公正取引委員会告示の改正
 (ア) 景品関係
  現在、当委員会が景品表示法第三条の規定に基づいて、景品類の提供の制限又は禁止を行っているものとしては、一般的なものとして、懸賞による景品類の提供に関するもの及び一般消費者に対する景品類の提供に関するものがある。また、特定業種についての景品類の提供に関する事項の制限(以下「業種別告示」という。)が定められており、平成十一年四月現在、五業種について業種別告示が定められている。
  平成十年度には、二業種に係る業種別告示について改正を行った。
 (イ) 表示関係
  景品表示法第四条第一号及び第二号の規定は、品質・規格等又は取引条件に関して、実際のもの又は競争関係にある他の事業者に係るものよりも著しく優良又は有利であると、一般消費者に誤認される表示を禁止している。このほか、これらの規定によっては的確に律しきれず、かつ、一般消費者の適正な商品選択を阻害するおそれのある表示については、当委員会が同条第三号の規定に基づいて、告示により不当な表示を指定し、これを禁止することができるとしている。
  現在、当委員会が景品表示法第四条第三号の規定に基づいて指定している不当な表示は、無果汁の清涼飲料水等についての表示に関するもの等五件である。
  平成十年度には、消費者の適正な商品選択と公正な競争を確保する観点から、@技術の進展に伴い新たに出現したインターネット等を利用した広告等、A販売方法の多様化に伴い進展の著しい電話や店頭等における口頭での広告等及びB経済のサービス化に伴い進展の著しいサービス業における説明書面による表示が、景品表示法の対象となることを明確にするため、告示の改正を行った。

2 違反事件の処理
 平成十年度に当委員会で違反事件として処理した事件のうち、排除命令を行ったものは景品関係一件、表示関係七件の合計八件(平成九年度は八件)であり、警告を行ったものは、景品関係百七十六件、表示関係二百七十七件の合計四百五十三件である(第3表参照)。
 平成十年度中に処理した事件についてみると、景品に関する事件としては、海外旅行等を景品類として提供した違反事件が多く、高額の賞品が提供される事件については、事業者が景品規制の対象には当たらないと誤解して企画した場合が多かった。
 表示に関する事件としては、不当な二重価格表示が最も多かったほか、商品の品質・内容及び商品・役務の効能効果に関する不当表示事件があった。
 また、これらの事件処理に当たっては、過大な景品付販売や不当な表示が競争事業者に波及することが多い点に留意し、当該事業者を規制するだけでなく、必要に応じ関係業界団体を通じて、他の事業者もこれと同種の違反行為を行わないよう要望を行っている。

3 公正競争規約制度
 公正競争規約は、事業者又は事業者団体が、景品表示法第十条の規定に基づき、景品類又は表示に関する事項について、当委員会の認定を受けて、不当な顧客の誘引を防止し、公正な競争を確保するために自主的に設定するルールである。
 平成十一年三月末現在における規約の件数は、景品関係四十八件、表示関係六十八件、計百十六件となっている。
 平成十年度には、新たに景品規約を一件認定したほか、四件(景品規約一件、表示規約三件)の規約について改正の認定を行った。また、一件の規約について、運用機関が解散することに伴い、廃止する旨の報告があった。

消費者関係業務

 近年、消費者ニーズの多様化、経済のサービス化・国際化など、消費者を取り巻く経済・社会情勢は大きく変化してきている。また、規制緩和の進展に伴い、消費者への適切な情報提供を推進し、消費者の適正な商品選択を確保していくことが重要な課題となっている。
 消費者の適正な商品選択を確保するためには、商品・サービスの品質や内容が、消費者に適切に広告・表示されることが重要である。この点に関し、規制緩和推進三か年計画においては、規制緩和後の市場の公正な競争秩序を確保するため、「商品・サービスの品質や内容について誤認を与える等により消費者の適正な選択を妨げる不当表示等に対して厳正・迅速に対処する」ことが決定されている。こうしたことから、当委員会は、独占禁止法や景品表示法を適正に運用することにより、公正かつ自由な競争を促進し、消費者取引の適正化に努めている。

1 消費者モニター制度
 消費者モニター制度は、独占禁止法や景品表示法の施行、その他当委員会の消費者保護の諸施策の的確な運用に資するため、当委員会の依頼する特定の事項の調査、違反被疑事実の報告、消費者としての体験、見聞等の報告、その他当委員会の業務に協力を求めている。平成十年度は、合計一千名を消費者モニターに選定・委嘱し、四回のアンケート調査を実施し、消費者モニターの意見を聴取した。

2 消費者取引の適正化
 当委員会は、消費者取引の適正化、消費者に対する適正な情報提供の観点から、英会話教室の広告・表示に関する実態調査、引越サービスの取引における広告表示に関する実態調査を行い、結果を公表した。

国際関係業務

 日米包括経済協議における競争政策に関する議論への対応として、日米間の新たな経済パートナーシップのための枠組において、規制緩和及び競争政策に関する日米間の「強化されたイニシアティブ」の下で議論が行われているとともに、平成十年十月以降、米国政府との間で競争分野の協力に関する協定を締結するための交渉を行い、平成十一年五月三日、交渉当事者間において実質合意に至ったことが公表された。
 また、各国共通の競争政策上の問題について、韓国、フランス、イギリス、米国、EU(欧州連合)の競争当局との間で二国間意見交換を行ったほか、OECD(経済協力開発機構)、WTO(世界貿易機関)、APEC(アジア太平洋経済協力)、UNCTAD(国際連合貿易開発会議)等の国際機関における会議に積極的に参加した。

広報及び相談に関する業務

 平成十年度には、百四十八件の新聞発表を行い、公正取引委員会ホームページの改定を行ったほか、広報資料を作成・配布した。また、英文パンフレット「How  THE  JAPAN FAIR TRADE  COMMISSION Ensures A Robust Economy」の作成・配布を行った。
 さらに、全国八都市において、「経済の構造変化と独占禁止法」をテーマとする講演会を開催し、当委員会の最近の活動状況等について、各地の主要経済団体等の有識者と意見交換を行った。


冬の全国星空継続観察に参加しませんか


 全国星空継続観察(スターウォッチング・ネットワーク)は、多くの人に肉眼や双眼鏡などを使った身近な方法で星空を観察していただき、光害など大気環境問題への関心を高めてもらうことを目的に、毎年、夏と冬の年二回実施されています。主催の環境庁と(財)日本環境協会では、この冬も都道府県・政令指定都市・中核市を通じて参加団体を募集します。
<参加方法>
 都道府県・政令指定都市・中核市の大気保全担当部局に参加を申し込む。その際に配布される「観察の手引き」に基づいて観察し、結果を大気保全担当部局に報告する。
<観察期間>
 二〇〇〇年一月二十五日(火)〜二月七日(月)(この期間中に一日以上観察)
<観察方法>
 @肉眼で天の川の三つの部分(ペルセウス座、ふたご座、いっかくじゅう座の付近)を観察する A双眼鏡ですばる(プレアデス星団)のラケットの中の星を観察し、何等級の星まで見えたかを記録する Bおうし座の一等星アルデバランを中心とする夜空をカラースライド写真に撮影する
 詳細に関する問い合わせは、各都道府県・政令指定都市・中核市の大気保全担当部局まで。また、環境庁のホームページ(http://www.eic.or.jp/)でも、全国星空継続観察の実施予定やこれまでの実施結果、「光害対策」に関する情報を掲載しています。


(環境庁)

消費者モニターの募集


 一月七日〜二月四日

 公正取引委員会は、「独占禁止法」に基づいて価格カルテルや不公正な取引を取り締まるとともに、「景品表示法」に基づいて一般消費者の正しい商品選択を誤らせるような不当表示などを取り締まっています。
 こうした公正取引委員会の仕事に消費者の立場から協力していただける消費者モニターを募集します。あなたも消費者モニターとなって、意見を反映させてみませんか。

<仕事の内容>
 @研修会(年二回、各都道府県ごとに開催予定)への出席
 A年数回のアンケートの回答
 B自由通信により消費者としての意見、要望、情報の随時提供
 C各種調査への協力
<任 期>
 二〇〇〇年四月から一年間
<謝 礼>
 年額一万二千円(研修会の不参加などで減額することがあります。研修会の交通費は別途支給します)
<募集人数>
 全国で一千人
<応募資格>
 二十歳以上の消費者(男女)
<応募方法>
 官製はがきに次の事項を記入の上、各公正取引委員会事務所に郵送してください。
【官製はがきの表面に】
 郵便番号、住所、氏名(ふりがな)、年齢、性別、電話番号
【官製はがきの裏面に】
 職業(会社員、専業主婦、パート等)、各種モニター経験の有無、家族構成(続柄、年齢、職業=例:夫40会社員、子9小学生)、最寄駅名、最寄駅までの所要時間、応募した理由(百字程度以上)
<応募締切>
 二〇〇〇年二月四日(当日消印有効)
<選考結果>
 採用の方には四月上旬までに通知します(採用されなかった方にはお知らせできません。あらかじめご了承ください)。

●消費者モニターの応募・問い合わせ先

<関東甲信越地方>
 公正取引委員会 消費者取引課
 〒一〇〇―八九八七 東京都千代田区霞が関一―一―一 中央合同庁舎第六号館B棟
 пZ三―三五八一―一七五四

<北海道地方>
 公正取引委員会 北海道事務所
 〒〇六〇―〇〇四二 札幌市中央区大通西一二 札幌第三合同庁舎
 пZ一一―二三一―六三〇〇

<東北地方>
 公正取引委員会 東北事務所
 〒九八〇―〇〇一四 仙台市青葉区本町三―二―二三 仙台第二合同庁舎
 пZ二二―二二五―七〇九五

<東海・北陸地方(福井県を除く)>
 公正取引委員会 中部事務所
 〒四六〇―〇〇〇一 名古屋市中区三の丸二―五―一 名古屋合同庁舎第二号館
 пZ五二―九六一―九四二一

<近畿地方(福井県を含む)>
 公正取引委員会 近畿中国四国事務所
 〒五四〇―〇〇〇八 大阪市中央区大手前四―一―七六 大阪合同庁舎第四号館
 пZ六―六九四一―二一七五

<中国地方>
 公正取引委員会 中国支所
 〒七三〇―〇〇一二 広島市中区上八丁堀六―三〇 広島合同庁舎第四号館
 пZ八二―二二八―一五〇一

<四国地方>
 公正取引委員会 四国支所
 〒七六〇―〇〇六八 高松市松島町一―一七―三三 高松第二地方合同庁舎
 пZ八七―八三四―一四四一

<九州地方>
 公正取引委員会 九州事務所
 〒八一二―〇〇一三 福岡市博多区博多駅東二―一〇―七 福岡第二合同庁舎別館
 пZ九二―四三一―六〇三一

<沖縄地方>
 沖縄開発庁 沖縄総合事務局総務部公正取引室
 〒九〇〇―〇〇一六 那覇市前島二―二一―一三 ふそうビル十階
 пZ九八―八六三―二二四三

(公正取引委員会)






    <1月19日号の主な予定>

 ▽公益法人白書のあらまし………総 理 府 




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