官報資料版 平成12年1月19日




                  ▽公益法人に関する年次報告………………総 理 府

                  ▽辰(たつ)年生まれは一千八万人………総 務 庁

                  ▽二千年の新成人は百六十四万人…………総 務 庁











公益法人に関する年次報告


総 理 府


 公益法人に関する年次報告は、「公益法人の設立許可及び指導監督基準」及び「公益法人に対する検査等の委託等に関する基準」について(平成八年九月二十日閣議決定)に基づき、公益法人の実態及びこれらの基準の実施状況等を明らかにするために、平成九年度から作成することになったものである。
 今回の報告は、平成十一年十月二十九日の閣議に配布した。
 この報告は、3章から構成されている。
 第1章においては、公益法人に関する基本的な制度、公益法人に関する最近の状況・施策についての解説を行い、第2章においては、公益法人の現況を、第3章においては、公益法人と行政とのかかわりを概観している。
 報告の概要は以下のとおりである。

第1章 公益法人制度の概要

第1節 公益法人の定義

1 公益法人の定義
 公益法人とは、民法第三十四条に基づいて設立される社団法人又は財団法人のことであり、その設立には、@公益に関する事業を行うこと、A営利を目的としないこと、B主務官庁の許可を得ることが必要である。

2 社団法人と財団法人
 社団法人は、一定の目的のもとに結合した人の集合体であって、団体として組織、意思等を持ち、社員と別個の社会的存在として団体の名において行動する団体であり、財団法人は、一定の目的のもとに拠出され、結合されている財産の集まりであって、公益を目的として管理運営される団体である。

3 広義の公益法人等
・ 民法以外の特別法に基づいて設立される公益を目的とする法人のことを広義の公益法人といい、学校法人(私立学校法)、社会福祉法人(社会福祉事業法)、宗教法人(宗教法人法)、医療法人(医療法)、更生保護法人(更生保護事業法)、特定非営利活動法人(特定非営利活動促進法)等がある。
・ 公益も営利も目的としない中間的な団体は、特別法の規定がある場合に限り法人格を取得することができる。これらは、一般的に中間法人と呼ばれており、労働組合(労働組合法)、信用金庫(信用金庫法)、協同組合(各種の協同組合法)、共済組合(各種の共済組合法)等がある。
・ 特殊法人は、「法律により直接に設立される法人又は特別の法律により特別の設立行為(政府が命じる設立委員が行う設立に関する行為)をもって設立すべきものとされる法人」のことである。

第2節 公益法人に関する法制度

 公益法人は、民法第三十四条に基づき設立されるものであり、民法第1編第2章〔法人〕においては、公益法人の設立、公益法人の組織、定款の変更、公益法人の登記、公益法人の能力、公益法人の解散等の事項に関する規定が置かれている。

第3節 公益法人に対する指導監督等に関する制度

1 主務官庁制
 民法においては、公益法人の設立許可及び指導監督に関する権限は、主務官庁に与えられている。主務官庁とは、公益法人の目的・事業に関連する事務を所掌している総理府及び十二省の中央官庁を指し、その目的・事業が複数の中央官庁の所掌に関連する場合には、それらの中央官庁が共管として主務官庁となる。

2 都道府県知事等への機関委任等
 主務官庁の権限は、政令の定めるところにより、行政庁に委任することができる旨民法に規定されている。この規定に基づき制定された「公益法人に係る主務官庁の権限の委任に関する政令(平成四年政令第百六十一号)」により、地方支分部局の長や都道府県知事等に権限が委任されている。

3 公益法人の所管官庁
 公益法人の設立許可、指導監督等に係る事務を実際に担当している行政庁を、指導監督基準等において、「所管官庁」と称している。所管官庁は、総理府及び各省(十三)、総理府外局大臣庁(十)、地方支分部局の長(百三十三)、都道府県知事(四十七)、都道府県教育委員会(四十七)の合計二百五十となっている。

4 統一的な指導監督等を行うための仕組み
 公益法人の設立許可及び指導監督は、各主務官庁及びその権限の委任を受けた都道府県知事等、多数の所管官庁において行われていることから、これらの所管官庁が行う事務の統一性を図る必要がある。
 このため、現在では、公益法人等の指導監督等に関する関係閣僚会議(全閣僚)及び同閣僚会議幹事会(各省庁官房長クラス)を随時開催することにより、公益法人に対する指導監督の適正化等を統一的かつ強力に推進する体制となっている(平成八年七月十六日閣議口頭了解)。

第4節 公益法人に関する最近の施策

1 公益法人の設立許可及び指導監督基準の閣議決定等
 平成八年七月、政府に提出された与党行政改革プロジェクトチームの「公益法人の運営等に関する提言」を踏まえ、公益法人に対する指導監督の一層の適正化、公益法人による行政代行的行為の透明化等を強力に進めるため、平成八年七月十六日、「公益法人等の指導監督等に関する関係閣僚会議」の随時開催が閣議口頭了解されるとともに、同年九月二十日に、「公益法人の設立許可及び指導監督基準」及び「公益法人に対する検査等の委託等に関する基準」が閣議決定された。
 また、同年十二月十九日には、指導監督基準の運用に当たっての具体的、統一的な指針として、「公益法人の設立許可及び指導監督基準の運用指針」が申し合わされた(関係閣僚会議幹事会申合せ)。
 さらに、翌平成九年十二月十六日には、指導監督基準改正の閣議決定が行われ、公益法人の「内部留保」「株式保有」「情報公開」に関する具体的基準が定められた。

2 営利法人等への転換に関する指針の申合せ
 (1) 法人制度研究会の報告
 指導監督基準の閣議決定を受けて、平成八年十月、営利法人への転換に関する問題を検討するため、法務省民事局長が主催する「法人制度研究会」(座長:星野英一東大名誉教授)が発足し、平成十年三月、報告書を取りまとめて公表した。
 この報告書では、公益法人の解散(解散後の清算の結了により法人は消滅する。)と、公益法人から営利法人等への事業の移転(事業譲渡又は現物出資)とを組み合わせる方法等により、現行法制度の下においても、公益法人から営利法人等への転換は、基本的に可能であるとしている。
 (2) 「公益法人の営利法人等への転換に関する指針」の申合せ
 前記報告書を受けて、平成十年十二月四日の関係閣僚会議幹事会において、営利法人等への転換の手順、転換後の対応を盛り込んだ「公益法人の営利法人等への転換に関する指針」を申し合わせた。
 なお、指導監督基準の運用指針について、営利転換指針の申合せに併せて所要の改正を行った。

3 休眠法人、所管不明法人の整理に関する取組
 正当な理由なく長期間にわたって事業を行っていない休眠法人、登記はあるが所管官庁が不明である所管不明法人は、いわゆる「買収」等により役員に就任した者による目的外事業の実施や、税法上の特典を利用した収益事業の実施など、公益法人制度の悪用を招くおそれがある。その対策として、昭和五十四年、民法の一部改正が行われ「正当ノ事由ナクシテ引続キ三年以上事業ヲ為サザル」法人について主務官庁は、その設立許可を取り消すことができることとなった。昭和六十年、「休眠法人の整理に関する統一的基準」等が策定され、休眠法人の一層の整理促進が図られている。
 一方、所管不明法人については、平成七年度に、登記所の公益法人索引名簿と主務官庁の公益法人名簿等とを対照させるという「所管不明公益法人調査」を実施した。この結果、全国で約一千八百六十の所管不明法人の存在が明らかとなり、平成八年一月から平成九年十二月までの間に四回に分け、総理府から各省庁又は都道府県に割振りを実施し、割り振られた各官庁で処理を進めている。

4 行政委託型法人等の総点検に関する申合せ
 総務庁行政監察局による「指定法人等の指導監督に関する行政監察」結果に基づく勧告を受けて、平成十年十二月四日、公益法人等の指導監督等に関する関係閣僚会議幹事会において、「行政委託型法人等の総点検の推進について」を申し合わせた。その主な内容は以下のとおりである。
@ 総点検の実施に当たって基本的に点検すべき項目は、事業等の在り方、法人における事業の実施状況、法人の財務の状況とする。
A 点検の結果、法人に改善すべき点が認められた場合、委託等の事業の所管省庁は、当該法人に対し、期限を付して改善を指示するとともに、改善措置の報告を求める。
B 点検は、おおむね五年間で一巡するよう計画を策定して行う。
C 所管省庁は、総点検の実施計画及び個々の法人に関する点検結果を取りまとめ次第公表するとともに、総理府は、その概要を「公益法人に関する年次報告」において公表する。

5 地方分権推進一括法による民法等の改正
 平成十一年の第百四十五回国会で、機関委任事務を廃止すること等を内容とする「地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律(平成十一年法律第八十七号。以下「地方分権推進一括法」という。)」が成立した。公益法人に関する民法等の規定中にも、機関委任事務制度を前提とする規定(民法第八十三条ノ二等)が存在したことから、前記地方分権推進一括法による改正が行われた。改正の概要は以下のとおりである。
@ 公益法人に係る主務官庁の権限に属する事務の全部又は一部は、政令で定めるところにより、都道府県の自治事務とすることができるものとされた。
A 主務官庁は、都道府県に対し、公益法人に対する設立許可の取消し等について指示をすることができるものとされた。
B 主務官庁は、都道府県に対し、公益法人に係る事務を処理するに当たって従うべき基準を示すことができるものとされ、この基準は告示によることとされた。
C 地方分権推進一括法の施行の日(平成十二年四月一日)から起算して二年間は、主務官庁の権限に属する民法及び民法施行法上の事務を法定受託事務とすることとされた。

6 公益法人の指導監督等に関する研修会の実施
 多くの所管官庁において行われている設立許可及び指導監督に関する事務が、統一性をもって実施されるために、これらに関する事務に従事する職員に対する研修等を実施することにより、その周知徹底を図る必要がある。
 このため、総理府、各都道府県等においては、公益法人行政担当者研修会、都道府県公益法人行政主管課長会議、公益法人地方講習会、都道府県公益法人事務担当者ブロック会議等を実施している。

第5節 公益法人の会計処理

 昭和五十二年三月、公益法人会計基準が決定され、その後見直しが行われて、昭和六十年九月に新たな公益法人会計基準が決定された(昭和六十二年四月一日から適用)。
 この会計基準は、民法第三十四条に基づいて設立されるすべての公益法人に適用されることが原則である。
 実際の公益法人会計基準の適用状況は、以下のとおりである。
・公益法人会計基準を完全に適用している…一万六千六百七十四
・公益法人会計基準を一部に適用している…六千四十八
・企業会計を適用している…一千百三十五
・その他(官庁会計等、他の会計基準を適用している)…二千五百二十三

第6節 公益法人に関する税制

1 公益法人に対する税制
 法人税、所得税、消費税等の国税、住民税、事業税、地方消費税、不動産取得税、固定資産税、都市計画税等の地方税がある。

2 公益法人に対する寄付に関する税制
 公益法人に対する寄付金のうち、教育や科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献等の公益性の高い事業を行う公益法人に対する一定の寄付金については、寄付金控除等の特別の配慮が行われている。

第2章 公益法人の現況

第1節 公益法人の概観

1 公益法人の数
 平成十年十月一日現在の公益法人数は二万六千三百八十であり、平成元年に比べて一五%(国所管法人九・三%、都道府県所管法人一七・八%)増加している。このうち、社団法人数が一万二千八百二十七、財団法人数が一万三千五百五十三である。
 最近三年間における新設法人数は、平成八年が四百三十四、平成九年が三百三十二、平成十年が二百六十五である。解散法人数は、平成八年が三百四十一(うち更生保護法人への組織変更が百六十四)、平成九年が百七十二、平成十年が二百三となっている。
 現在の基準から判断した公益法人を性格別に分類すると、@本来の公益法人二万三千四十二、A互助・共済団体等二千八百九十六、Bその他四百四十二となっている(第1表第2表第3表参照)。

2 公益法人の全体像
 公益法人の主要なデータについて、平成九年度決算ベースで法人全体の数値を資金面からみると、年間収入額は二十兆七千二百二十七億円、年間支出額は二十兆四千七百七十二億円であり、年間支出額を平成九年度の国内総生産(四百八十七兆八千三百四十一億円)と比較すると四・二%に相当する。また、財産状況は、資産額が百二十五兆六百九十三億円、負債額が百七兆六千五百六十九億円、純財産である正味財産額は十七兆四千百二十五億円である。
 次に、人の面からみると、理事は四十二万五千五百三十六人、監事は五万八千七人、職員は五十四万四百八十人、評議員は三十万二千三百八十四人、民法上の社員(社団のみに存在)は一千七百四十七万五千五百三十一人、賛助会員等は三千二百七十五万九千百八十七人となっている。

3 内部留保の状況
 指導監督基準においては、いわゆる「内部留保」は、公益事業の適切かつ継続的な実施に必要な程度とすることとされており、総資産額から「@財団法人における基本財産、A公益事業を実施するために有している基金、B法人の運営に不可欠な固定資産、C将来の特定の支払いに充てる引当資産等、D負債相当額」を差し引いた額を「内部留保」と定義している。さらに、指導監督基準の運用指針においては、内部留保の水準は、「一律に定めることは困難であるが、原則として、一事業年度における事業費、管理費及び当該法人が実施する事業に不可欠な固定資産取得費(資金運用等のための支出は含めない。)の合計額の三〇%以下であることが望ましい。」とされている。
 内部留保の水準の状況は、第4表のとおり、全体の六割以上の一万七千二百八十九法人が、指導監督基準の三〇%以下の水準内にある。

4 株式保有の状況
 指導監督基準においては、運用財産の管理運用(公開市場を通じる等ポートフォリオ運用であることが明らかな場合)又は財団法人において基本財産として寄付される場合を除いて株式を保有することを、原則として禁止しており、これ以外の性格の株式を保有している場合には、平成十一年九月末までに処分することが必要になる。
 株式の保有状況は、第5表のとおりである。株式を保有しているのは二千百六十三法人であり、そのうち、ポートフォリオ運用を行っているものが四百五十法人、基本財産(財団法人のみ保有を許される)に当たるものが八百三十六法人あるが、その他の理由で保有しているものは一千百七十六法人となっている。

5 情報公開の状況
 情報公開は民法に規定がないこともあり、十分なものとはいえなかったため、指導監督基準には、「@定款又は寄附行為、A役員名簿、B(社団法人の場合)社員名簿、C事業報告書、D収支計算書、E正味財産増減計算書、F貸借対照表、G財産目録、H事業計画書及びI収支予算書を主たる事務所に備えて置き、原則として、一般の閲覧に供すること。」という規定が盛り込まれ、平成十年一月以降に始まる新事業年度から実施されている。
 情報公開の状況は、第6表のとおり、国所管法人の約九割が、都道府県所管法人にあっては約七割の法人が公開を行っている。

第2節 個別事項の分析

1 基礎的事項
 (1) 設立年別公益法人数
 設立された年代を調査した結果は、第1図のとおり、昭和四十一年以降に設立されたものが約七割を占めている。
 (2) 所在地別公益法人数
 主たる事務所の所在地別の法人数は、東京都が五千二百七十七(二〇%)、大阪府が一千二百六十九(五%)、北海道が一千五十四(四%)となり、以下、神奈川県、福岡県、愛知県、兵庫県と続いているが、東京都には国所管法人の六三%に当たる四千三百二十三法人が、また、大阪府にも三百十八法人が含まれており、大都市圏において数が多くなっている。
 (3) 主務官庁別公益法人数
 主務官庁(省庁)別の法人数は、第7表のとおり、文部省が六千八百三十六(二五%)、厚生省が五千八百四十七(二一%)となっており、以下、通産省、農水省、労働省と続いている。なお、平成元年以降の傾向として、労働省関連法人の設立が比較的多くなってきている。
 (4) 設立目的別公益法人数
 設立目的を第8表のとおり、四つに分類すると、生活一般が一万四千二百八十五法人(五二・六%)、教育・学術が一万七百八十三法人(三九・七%)、政治・行政が三千百八十法人(一一・七%)、産業が七千六百九法人(二八・〇%)となっている。
 (5) 事業種類別公益法人数
 設立目的を達成するために行う事業内容を九種類に分類すると、第9表のとおり、多いものから順に、指導・育成が一万五千七百六十法人(五八・一%)、振興・奨励が一万三千百二十一法人(四八・四%)、調査・研究が一万一千九百十六法人(四三・九%)、普及・広報が八千百六十一法人(三〇・一%)となっている。

2 役職員の状況
 (1) 理事
 理事は民法上、法人を代表するとともに業務の執行機関として位置づけられており、法人運営上重要な役割を担っている。理事の総数は四十二万五千五百三十六人、平均一六・一人となっている。規模別には、十〜十九人が一万二千百四十六法人(四六・〇%)、〇〜九人が七千八百五十七法人(二九・八%)、二十〜二十九人が三千九百四十二法人(一四・九%)であり、これらを合わせると全体の九割になる。
 常勤理事(最低でも週三日以上出勤している理事)の総数は二万一千百三十五人、平均は〇・八人となっている。
 (2) 公務員出身理事
 国所管法人の理事における国家公務員出身者(原則として本省庁課長相当職以上を経験し、退職後十年未満の間に当該法人の理事に就任し現在に至っている国家公務員出身者を指す。)は、理事数の四・二%に当たる延べ六千三百三十八人(前年比五百六十五人減少)で、法人数では三五・五%に当たる二千四百四十一法人(前年比二十九法人減少)となっている。このうち、常勤理事への就任は、国家公務員出身理事の二六・一%に当たる延べ一千六百五十七人(前年比六十四人減少)となっている。
 都道府県所管法人の理事における都道府県公務員出身者は、理事数の五・六%に当たる延べ一万五千三百二十九人(前年比三百二十八人減少)で、法人数では二八・四%に当たる五千五百六十三法人(前年比二十八法人減少)となっている。このうち常勤理事への就任は、都道府県公務員出身理事の二二・四%に当たる延べ三千四百三十六人(前年比四十五人減少)となっている。
 (3) 所管する官庁出身理事
 所管する官庁出身理事は、国所管法人で延べ四千九百六十二人(前年比三百五十七人減少)、都道府県所管法人で延べ一万四千三十人(前年比五十四人減少)、法人数では、国所管が二千百二十八法人(前年比十三法人減少)、都道府県所管が五千六十三法人(前年比三十四法人増加)となっている。
 また、指導監督基準においては、理事現在数に占める所管する官庁出身者の割合を三分の一以下にするよう求めている(共管法人の場合は全共管官庁出身者の合計が三分の一以下とする。)が、所管する官庁出身者が理事現在数の三分の一を超えている法人数は、国所管が百四法人(前年比七十二法人減少)、都道府県所管が七百九十法人(前年比五十一法人減少)となっている。
 (4) 同一業界関係者理事
 指導監督基準においては、同一業界関係者の理事現在数に占める割合を二分の一以下にするように求めているが、同一業界関係者が理事現在数の二分の一を超えている法人数は、国所管が一千四百六十法人(前年比百四十四法人減少)、都道府県所管が六千二十四法人(前年比八十六法人減少)となっている。
 (5) 監事
 監事は、法人の運営等を監査する役割を担っており、民法上は設置を任意とされているが、指導監督基準においては、監事を必ず設置すべきと規定している。監事の総数は五万八千七人、平均二・二人である。規模別では、二人が一万九千三百二十六法人(七三・三%)と大半を占めている(監事が置かれていない法人は九十)。一人から三人までにほとんどの法人が収まるが、五人以上という法人も二百三十三存在している。
 なお、監事の中には、常勤監事(最低でも週三日以上出勤している者)として日常的に事務に携わっている者も、わずかではあるが存在している。
 (6) 現職公務員の役員就任状況
 現職公務員の役員への就任は、法人を指導監督する立場にあることから、適当でないと考えられており、国所管法人においては三十九法人(前年比七法人減少)に延べ七十三人(前年比八人減少)が就任しているにとどまっている。しかしながら、都道府県所管の法人においては、地方自治体が直接出捐(しゅつえん)して設立した外郭団体的公益法人が多数存在し、業務の実施、監督等のために、三千百四十一法人(前年比十法人増加)に延べ九千八百八十三人(前年比八十人増加)が就任している。
 (7) 職員
 職員の総数は五十四万四百八十人、平均が二〇・五人である。規模別には、二〜九人が一万二千四百六十九法人(四七・三%)と半数近くを占め、次に多いのが十〜四十九人で五千八十一法人(一九・三%)である。
 一方、職員が一人の法人が四千六百九十五法人(一七・八%)あり、また、職員がいない法人も二千三百三十三法人(八・八%)ある。
 常勤職員の総数は四十七万六千六百三十五人であり、職員の総数の八八・二%となっている。
 (8) 評議員
 評議員は、法人の重要事項について諮問を受けたり決定をしたりする役割を担う者であり、指導監督基準においては、財団法人には原則として評議員会を設け、理事の選任及び予算・決算等の重要事項の諮問を行うことを求めている。
 評議員(会)制度がある法人は、一万六百八十五法人(四〇・五%)、評議員の総数は三十万二千三百八十四人、平均は一一・五人であるが、評議員(会)制度がある法人に限っての平均は二八・三人となっている。

3 財務、会計の状況
 (1) 年間収入額
 公益法人の収入は、大きく分けると、会費収入、財産運用収入、寄付・補助金等収入、事業収入等からなっており、合計は二十兆七千二百二十七億円、平均は七億八千五百五十五万円、メジアン(中央値、中間値)は、五千八百九十八万円となっている。年間収入の構成状況をみると、第10表のとおり、社団・財団の双方において事業収入が大きなウエイトを占めている。
 (2) 年間支出額
 公益法人の支出は、大きく分けると、事業費、管理費、固定資産取得支出等からなっており、合計は二十兆四千七百七十二億円、平均は七億七千六百二十四万円、メジアンは五千七百七十七万円である。年間支出の構成状況をみると、第11表のとおり、社団・財団の双方において事業費が大きなウエイトを占めている。しかし、指導監督上の公益事業(本来の事業)に支出された事業費の総支出額に占める割合が二分の一以上である法人は、全法人の四三%に過ぎず、多くの法人において、当事業費以外の管理費、固定資産取得費等の支出が占める割合が高いことを示している。
 (3) 指導監督上の収益事業
 公益法人が健全な運営を維持し、本来の公益活動の実施に充てるために、収入確保の一方法として収益事業を行うことも認められている。収益事業は、あくまで本来の公益事業に付随して行われるべき性格のものであり、指導監督基準では、収益事業の規模、業種、利益の使用等の点について定められているほか、収益事業を行う場合には事業計画書に明記し、他の事業と区分して経理を行うことを求めている。
 収益事業収入の合計は、一兆六千三百七十三億円、平均は六千二百六万円であるが、第12表のとおり、収益事業収入がゼロ、つまり収益事業を実施していない法人が二万一千百十三法人となっている。
 (4) 資産額
 資産とは、法人の有している財貨及び権利を指し、積極財産として貸借対照表の資産の部に計上される流動資産及び固定資産の合計のことである。資産額の合計は百二十五兆六百九十三億円、平均は四十七億四千百七万円、メジアンは九千四百四十六万円である。なお、債務保証を主事業としている法人が大規模な資産を有し、平均額を大きく引き上げている(第13表参照)。
 (5) 負債額
 負債とは、法人が負っている債務を指し、消極財産として貸借対照表の負債の部に計上される流動負債及び固定負債のことである。この中には、金銭債務や役務債務(未払金、前受金)のほか、退職給与引当金のような会計上の債務も含まれる。負債額の合計は百七兆六千五百六十九億円、平均は四十億八千百万円、メジアンは六百二十九万円である。なお、平均額を大きく引き上げている要因は、資産の場合と同一の理由である(第14表参照)。
 (6) 正味財産額
 正味財産額とは、資産から負債を引いた純資産のことであり、見かけ上の資産・負債は結果的に消去されることとなる。また、民法の規定によって登記すべき「資産の総額」とは、この正味財産額のことである。正味財産額の合計は十七兆四千百二十五億円、平均は六億六千六万円、メジアンは六千百四十三万円である。なお、正味財産増減額は、二千二百四十三億円(平均八百五十万円)の増加となっている(第15表参照)。

第3章 公益法人と行政とのかかわり

第1節 行政委託型法人等の状況

 公益法人が行う行政代行的行為の透明化を図るため、平成八年九月に「公益法人に対する検査等の委託等に関する基準」の閣議決定を行った。また、平成九年度から、公益法人概況調査に併せて、行政と公益法人との制度的な関係を調査する「行政代行的行為に関する状況調べ」を実施している。
 この調査において、「委託等」とは、事務内容等を法令(通達等を含む。)で定め、特定の法人を何らかの形で指定し、制度的にその事務を行わせているようなもののことであり、「推薦等」とは、法人が独自に行っている事業を奨励等するために、制度的に官庁が関与(認定、公認等)を行うことである。「検査等」とは、あるものが有する能力、性能、技術等を調査・判定したり、また、その結果について評価・承認するような業務を意味する。
 この調査の結果判明した、「特定の法令等により、各官庁から制度的に事業の委託等・推薦等を受けている公益法人」については、「行政委託型法人等」と総称することとした。

1 制度面からみた行政委託型法人等
 (1) 指定条項数と根拠法令のレベル
 今回の調査で挙げられた法令の指定根拠条項数は、第16表のとおり、合計で四百十六(委託等二百八十七、推薦等百二十九)であり、根拠法令のレベルは、第17表のとおりとなっている。
 (2) 制度が作られた年次
 根拠法令の条項が施行された時期を年次ごとに区分して整理すると、第2図のとおり、昭和五十年代後半以降、数が増加している。この理由としては、第二次臨時行政調査会最終答申(昭和五十八年三月)において、行政事務の簡素化等を推進する観点から、民間団体への委託や民間指定検査機関等の活用を図るべき旨の提言がなされていること等から、行政的な事務を担う民間機関として、公益法人が一層積極的に活用されるようになったためと考えられる。
 (3) 行政委託型法人等が行う事務内容
 行政委託型法人等が各省庁から委託等・推薦等を受けて行う事務内容を性格から分類し根拠条項数により比較すると、第18表のとおり、委託等では、検査検定八十四(二九%)、試験六十(二一%)、講習研修四十八(一七%)が多く、推薦等では、審査証明七十九(六一%)、講習研修三十四(二六%)、試験十六(一二%)が多くなっている。
 (4) 監督等に関する規定の整備状況
 監督等に関する制度上の規定の整備状況は、第19表のとおりであり、指定の基準は六三%、取消しは六五%、立入検査は四三%、区分経理は一八%、事業計画書等の徴収は五七%、収支予算書等の公開は〇・五%で規定されている。

2 法人面からみた行政委託型法人等
 (1) 行政委託型法人等の数
 所管省庁別の行政委託型法人等の数は、第20表のとおり、合計六百二十七法人である。
 (2) 行政委託型法人等に対する監督状況
 監督状況を立入検査、区分経理、事業計画書等の徴収及び事業報告書等の公開の四項目について整理すると、自省庁所管法人を指定している場合、立入検査六三%、区分経理六六%、事業計画書等の徴収八二%、事業計画書等の公開七七%の実施となっている。一方、他省庁所管法人を指定している場合における指定を行った省庁の監督状況は、立入検査二二%、区分経理四二%、事業計画書等の徴収七一%、事業計画書等の公開三九%の実施となっている。
 (3) 検査等の委託等を受けている法人の理事構成
 「公益法人に対する検査等の委託等に関する基準」は、公益法人に検査等の事務の委託等を行う場合、平成十二年度末までに、「委託等を行う官庁の出身者と委託等された検査等に関わる業界の関係者の合計が、理事現在数の二分の一を上回らないこと」とすることを定めているが、所管省庁から検査等の委託等を受けている二百六十九法人のうち、二百三十法人がこの規定に適合している。

3 都道府県指定の行政委託型法人等について
 各都道府県における行政委託型法人等の数は、第21表 のとおり、合計九百五十六法人となっている。なお、指定事業内容は、施設の設備等の管理運営が最も多くなっており、国レベルとは異なった傾向がみられる。

第2節 行政委託型法人等の総点検

1 総点検の実施計画
 「行政委託型法人等に対する総点検の推進について」の申合せに基づいて、点検実施省庁は実施計画を策定している。各省庁の実施計画を基に取りまとめた、省庁別年度別点検法人数は第22表のとおりであり、合計延べ一千二百四十四法人となっている。
 なお、この「行政委託型法人等」とは、「主務大臣又は国の機関としての都道府県知事等が、個別の法令等に基づき、特定の法人を指定して事務の委託を行う、若しくは法人が行う特定の事業を行政上必須の要件として指定する場合の当該法人、又は民間の法人が独自に行う事業を一定の水準にあるものと認め、推奨する場合における当該法人」であり、第3章第1節の定義から、都道府県が機関委任事務以外に委託等・推薦等を行っている場合を除けば、ほぼ同一のものを指すことになる。

2 総点検の実施結果
 平成十年度における総点検の結果指摘された問題点は、行政の関与の在り方についての検討の必要性、委託等された事業について区分経理されていないことなど多岐にわたっているが、いずれも所管省庁において所要の是正策を講ずることとしている。

第3節 公益法人に対する補助金・委託費

1 国所管の公益法人に対する補助金・委託費
 平成九年度決算ベースにおける公益法人に対する補助金の交付総額は約二千六百七十七億円(平成八年度比約三百二十三億円減少)、交付法人数は延べ四百三十三法人となっている。また、委託費の交付総額は約一千四百三十億円(平成八年度比約三十四億円減少)、委託交付法人数は延べ六百八法人となっている。

2 都道府県所管の公益法人に対する補助金・委託費
 補助金の交付総額は約三千八百四十五億円(前年比約三百四十億円増加)、交付法人数は約四千七百法人となっている。また、委託費の交付総額は約五千三百七十九億円(前年比約十四億円増加)、委託交付法人数は約三千二百法人となっている。

第4節 「公益法人の設立許可について」の実施状況

 平成十年十月一日までの一年間に国が設立許可を行った公益法人は四十八法人であった。
 このうち、基本財産の造成等に当たり、許認可対象企業等の出捐等がある法人は十八法人、国又は特殊法人等から委託事業を受けている法人は一法人、公務員経験者が常勤役員へ就任している法人は二法人(役員は三人)であった。




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辰(たつ)年生まれは一千八万人


―平成十二年一月一日現在―


総 務 庁


 総務庁統計局では、辰(たつ)年にちなんで、辰(たつ)年の人口を公表した。その概要は次のとおりである。
 平成十二年(二〇〇〇年)一月一日現在で、辰(たつ)年の年男、年女は、推計で一千八万人(総人口一億二千六百六十五万人に占める割合は八・〇%)となっている。男女別にみると、男性は四百九十三万人、女性は五百十五万人で、女性のほうが二十二万人多くなっている。
 辰年生まれの人口を出生年別にみると、昭和二十七年生まれ(平成十二年中に四十八歳になる人)が百八十五万人で最も多く、次いで昭和五十一年生まれ(同二十四歳になる人)が百八十三万人、昭和三十九年生まれ(同三十六歳になる人)が百六十八万人、昭和十五年生まれ(同六十歳になる人)が百六十七万人、昭和六十三年生まれ(同十二歳になる人)が百三十一万人となっている(第1図第1表参照)。
 総人口を十二支別にみると、丑(うし)年の一千百五十九万人が最も多く、次いで子(ね)年(一千百三十五万人)、寅(とら)年(一千百二十万人)、亥(い)年(一千百十九万人)、卯(う)年(一千百四万人)の順で、辰(たつ)年は十番目となっている(第2図第2表参照)。
 (注) 数値は万人単位に四捨五入してあるので、内訳の合計は必ずしも総数に一致しない。
     なお、総人口に占める出生年別人口の割合は、それぞれ万人単位の数値で算出した。




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二千年の新成人は百六十四万人


総 務 庁


 総務庁統計局では、「成人の日」にちなんで、新成人人口を公表した。その概要は次のとおりである。

一 新成人人口は百六十四万人、総人口の一・二九%

 この一年間に、新たに成人に達した人口(平成十二年一月一日現在二十歳の人口)は、推計で百六十四万人となっている。総人口一億二千六百六十五万人に占める割合は一・二九%となり、昭和六十二年に次いで低い水準となった。
 男女別にみると、男性は八十四万人、女性は八十万人で、男性が四万人多くなっている。

二 減少を続ける新成人人口

 新成人人口の推移をみると、第一次ベビーブーム期(昭和二十二年から二十四年)に生まれた人が成人となった昭和四十三年から四十五年にかけて二百四十万人前後(総人口に占める割合は昭和四十四年、四十五年の二・三九%が最高)を記録したが、その後減少に転じ、昭和五十三年には百五十二万人と最高値の約三分の二に減少した。
 昭和五十年代後半以降、新成人人口は増加傾向で推移し、第二次ベビーブーム期(昭和四十六年から四十九年)に生まれた人が成人に達した平成四年から七年は再び二百万人前後となったが、平成六年の二百七万人(割合一・六六%)をピークに減少に転じ、十二年は前年より六万人少ない百六十四万人(割合一・二九%)に低下した。
 この新成人人口は、今後も減少を続け、平成十七年(二〇〇五年)には百五十万人を下回り、二十二年(二〇一〇年)以降には百二十万人前後になるものと見込まれる。
 (注) 数値は万人単位に四捨五入してあるので、男女の合計は必ずしも男女計に一致しない。
     なお、総人口に占める新成人人口の割合は、それぞれ万人単位の数値で算出した。









    <1月26日号の主な予定>

 ▽国民生活白書のあらまし…………………経済企画庁 

 ▽月例経済報告(十二月報告)……………経済企画庁 

 ▽消費者物価指数の動向(十一月)………総 務 庁 




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