官報資料版 平成12年3月1日




                  ▽消防白書のあらまし………………………………………消 防 庁

                  ▽第百四十七回国会

                   内閣が提出を予定している法律案・条約要旨調………内閣官房

                  ▽平成十三年歌会始のお題及び詠進歌の詠進要領………宮 内 庁











消防白書のあらまし


消 防 庁


 消防庁では、平成十一年十二月十七日の閣議に「平成十一年版消防白書」を報告し、公表した。
 「消防白書」は、火災その他の実態と消防に関する施策の現状について、国民へ周知することを目的として、消防庁が毎年閣議の了解を経て公表しているものである。昭和二十九年十一月に「わが国の火災の実態と消防の現状」と題して作成したことに始まり、昭和四十一年版から標題を「消防白書」に改め現在に至っている。

〈第1章〉 災害の現況と課題

< 平成十年中の総出火件数は五万四千五百十四件で、出火原因は「放火」によるものが二年連続して第一位。総損害額は一千四百六十億円で「たばこ」が原因の火災による損害額が依然として第一位となっている。>

(1) 火災の概要
 平成十年中の出火件数は五万四千五百十四件で、前年の六万一千八百八十九件に比べ七千三百七十五件の減と大幅に減少している。
 出火件数を火災種別でみると、建物火災が全火災の五九・七%で最も高い比率を占め、次いで、その他の火災(枯草、看板、広告等の火災)、車両火災、林野火災、船舶火災、航空機火災となっている。
 なお、建物火災については、過去十年間で最も少なく、また、車両火災は、この十年間で約三〇%増加している。出火件数を四季別にみると、火気を使用する機会の多い冬季から春季にかけて多く発生しており、春季と冬季とで総出火件数の五七・二%を占めている(第1表第2表第3表参照)。

(2) 出火原因
 平成十年中の出火原因別の出火件数は「放火」が七千二百九十四件で、前年に比べ七十二件増加しており、全火災の一三・四%を占め二年連続して第一位となった。なお、「放火の疑い」によるものは五千百七十三件で、前年に比べ四百八十一件減少し、「放火」及び「放火の疑い」を合わせると一万二千四百六十七件で、全火災の二二・九%を占めている。
 出火原因の第二位は「たばこ」の五千六百九十件で、前年に比べ一千二百十六件減少しており、次いで「こんろ」の五千五百三十件、「放火の疑い」の五千百七十三件、「たき火」の二千七百十件、「火遊び」の二千百九十六件、「ストーブ」の一千八百四十七件の順となっている。

(3) 損害額
 平成十年中の火災による損害額は一千四百六十億円で、前年の一千七百六十九億円に比べ三百九億円減少している。
 また、火災一件当たりでは二百六十八万円となっており、前年に比べ十八万円減少している。

(4) 出火原因別損害額
 平成十年中の出火原因別の損害額をみると、「たばこ」が原因の火災による損害額が百十七億五千四百二十九万円で、前年の百五十億二千三百六十五万円に比べ三十二億六千九百三十六万円減少しているものの、依然として第一位となっている。次いで「ストーブ」が原因の火災による損害額が九十六億三千六百十七万円で、前年に比べ七億三百九十三万円減少している。

(5) 建物火災
 平成十年中の建物火災の出火件数は三万二千五百十九件で、一日当たり八十九件、十六分に一件の割合で出火していることになる。
 また、建物火災の主な出火原因は、「こんろ」によるものが五千四百七十五件と最も多く、次いで「たばこ」の三千六百二十九件、「放火」の三千五百八十七件の順となっている。
 なお、「こんろ」による火災のうち、四千六十件が「消し忘れ」によるもの、「たばこ」による火災のうち、一千二百九十一件が「投げ捨て」によるものとなっている(第1図参照)。
 建物火災の出火件数を火元建物の用途別にみると、住宅火災の出火件数が一万八千四百二十五件と全体の五六・七%を占め、次いで複合用途の建物、工場・作業場、事務所の順となっている。

(6) 火災の傾向
 この十年間の火災の動向をみると、平成六年以降六万件を超えていた出火件数は、平成十年には、五年ぶりに五万件台に減少するとともに、火災による死者も二千六十二人と、前年の二千九十五人に比べ若干減少したが、放火自殺者の増もあり、死者数は、平成六年以降、全体的には増加傾向にある(第2図参照)。

< 平成十年中の火災による死者数は二千六十二人で、一日当たりの火災による死者数は五・六人となっている。なお、住宅火災での死者八百六十五人(放火自殺者等を除く。)のうち、六十五歳以上の高齢者は四百四十九人(五一・九%)と半数を超えている。>

(1) 火災による死者の状況
 平成十年中の火災による死者数は二千六十二人で、前年の二千九十五人に比べ三十三人減少しており、一日当たりの火災による死者数は、五・六人(前年五・七人)となっている。
 また、このうち放火自殺者数は八百五十六人で、前年に比べ八十二人増加した。

(2) 住宅火災による死者
 住宅火災による死者一千百三十人のうち、放火自殺者、放火自殺の巻き添え及び放火殺人(以下「放火自殺者等」という。)二百六十五人を除く失火等による死者は八百六十五人となっており、前年に比べ五十八人減少した。
 また、このうち六十五歳以上の高齢者は四百四十九人(五一・九%)と半数を超えている。
 住宅火災による死者(放火自殺者等を除く。)について、年齢階層別に人口十万人当たりの死者発生数をみると、年齢が高くなるにしたがって著しく増加しており、八十一歳以上の階層では、最も低い十六歳から二十歳、二十一歳から二十五歳の階層に比べ約五十倍となっている(第3図参照)。

< 平成十年中の危険物施設等災害は百五十七件、死者四人、負傷者六十人、林野火災は一千九百十三件、焼損面積八百八ヘクタール、風水害・雪害等は死者・行方不明者百九人、負傷者一千二百十一人などとなっている。>

(1) 危険物施設等災害
 平成十年中の危険物施設における火災の発生件数は百五十七件で、前年に比べ二件増加し、死者は四人、負傷者は六十人、損害額は三十一億一千七百四十七万円となっている。
 また、平成十年中の危険物運搬中の火災の発生件数は十三件で、死者は一人、負傷者は三人、損害額は二千五百万円となっている。

(2) 石油コンビナート災害
 平成十年中に石油コンビナート等特別防災区域内で発生した災害の件数は七十四件で、前年に比べ二件減少し、死者は一人、負傷者は二十四人、損害額は六億七千六百二十五万円となっている。

(3) 林野火災
 平成十年中の林野火災の件数は一千九百十三件で、前年の三千七百六十六件に比べ一千八百五十三件減少している。
 なお、焼損面積は八百八ヘクタールで、前年の三千百二十四ヘクタールに比べ二千三百十六ヘクタールの減、損害額は四億九千二百七十六万円で、前年の三十五億六千七百八十万円に比べ三十億七千五百四万円の減と、いずれも大きく減少した。
 例年、林野火災は春先を中心に発生しており、平成十年も三月に五百七十件と最も多く発生し、二月から四月までの間に、年間の五四・五%の火災が集中して発生している。

(4) 風水害
 平成十年は、年間を通して全国的に多雨であった。特に八月から九月にかけて記録的な大雨が降り、各地に大きな被害をもたらした。台風の発生数は十六個と平年の二十七・八個に比べて少なく、気象庁が台風統計を始めた昭和二十六年以来、最少記録であった。
 しかし日本に上陸した台風は四個で、平年の二・八個と比べて多く、各地に被害をもたらした。風水害、雪害等の異常な自然現象(地震、火山噴火を除く。)による人的被害、住家被害はともに前年に比べて増加し、死者・行方不明者百九人(前年七十一人)、負傷者一千二百十一人(前年三百六人)、全壊三百二棟(前年百十棟)などとなっている(第4図参照)。

(5) 火山災害
 平成十年に噴火した火山は四山で、雌阿寒岳(北海道)が約二年ぶりに、また北海道駒ヶ岳(北海道)は約二年七か月ぶりに噴火し、桜島、薩摩硫黄島(ともに鹿児島県)は年間を通してたびたび噴火した。
 また、岩手山(岩手県)では活発な火山性地震活動が続いた。
 なお、火山情報については、平成十年中は四火山において、計九回の臨時火山情報が発表されている。

(6) 地震災害
 [阪神・淡路大震災について]
 ア 災害の概要
  平成七年一月十七日五時四十六分ごろ、兵庫県淡路島北部を震源とする地震(平成七年(一九九五年)兵庫県南部地震)が発生した。
  この地震により、東北地方南部から九州にかけての広い範囲で有感となり、その被害は二府十五県におよび、平成十年十二月二十五日現在で、人的被害は死者六千四百三十人、行方不明者三人、負傷者四万三千七百八十二人、住家被害は全壊十万四千九百棟、半壊十四万四千二百五十五棟、避難者は最大で三十一万人を超えるものとなった(第4表第5表参照)。
  また、地震により二百八十五件の火災が発生し、全半焼七千七十一棟となった。

 イ 消防機関・消防庁等の活動
  @ 地震発生から平成七年三月三十一日までに、四十一都道府県、四百五十一消防本部、延べ七千六百二隊、車両七千六百二十八台、約三万二千四百人の消防職員による広域応援活動が実施された。
    また、平成七年三月三十一日までに都道府県職員(警察職員を除く。)延べ約七万四千人、市町村職員(消防職員を除く。)延べ約十二万二千人が神戸市を中心に活動を行った。
  A 消防団については、被災地周辺からの応援も含め、延べ七万一千人以上が地元消防本部と連携し、消火活動、検索・救助活動、給水活動、物資の搬送、被災地の警戒活動等、幅広い活動に従事した。
  B 地震発生直後から、自主防災組織による消火活動等の応急活動が行われた。
  C ボランティア活動については、発災直後から多くのボランティアが被災地に駆けつけ、物資の仕分け、避難所の運営、炊き出し、医療介護、運送、通訳等、様々な分野で重要な役割を担った。
  D 消防庁では直ちに関係府県に対し、適切な対応と被害状況について報告を行うよう連絡し、情報収集を開始するとともに、消防広域応援や被災者保護のための生活関連物資の支援調整、人的応援の調整、被災者の公営住宅等への受け入れ斡旋等の活動を行った。

 ウ 震災を踏まえて講じた措置
  @ 災害の規模等に照らし、被災地の都道府県知事からの要請を待ついとまがないと認められる場合等においても、迅速な消防広域応援が確保できるよう、消防組織法の一部改正を行った。
  A 災害時における交通規制に関する措置の拡充、国及び地方公共団体の防災体制の強化等について、災害対策基本法の一部改正を行った。
  B 地震防災緊急事業五箇年計画の作成及び国の財政上の特別措置等を定めた地震防災対策特別措置法が制定された。
  C 防災機関の初動体制の充実など、防災基本計画の修正や自治省・消防庁防災業務計画の修正を行うとともに、地域防災計画の見直しを図った。
  D 消防庁では、被災した消防防災施設等の早期復旧を図るとともに、大規模災害に対応できる全国的な消防防災体制の整備を促進する観点から、災害時の消防水利の確保、消防機関の広域応援体制等の整備促進に係る財政支援、画像伝送システム、震度情報ネットワークシステム、ヘリコプターテレビ電送システム、防火水槽、耐震性貯水槽等の消防防災施設等の整備促進に係る財政支援等を行った。
  E 緊急消防援助隊の創設、航空消防防災体制の強化、防災拠点の整備、広域応援協定の締結など、防災体制の充実・強化を推進した。

 [地震災害の現状]
 平成十年一月から十二月までの間に発生した地震のうち、震度四以上を記録した地震は二十九回で、前年の四十回に比べ少なかった。
 このうち、九月三日に発生した岩手県内陸北部を震源とする地震で負傷者九人の被害を出すなど、人的被害をもたらしたものが五回となっている。

(7) 特殊災害
 @ 平成十年中に発生した都市ガス及び液化石油ガスの漏えい事故又は爆発・火災事故で、消防機関が出場したものの総件数は一千四百十六件で、死者二十五人、負傷者二百九十二人となっている。
 A 消防機関が出動した原子力施設における最近の主な事故としては、平成七年十二月八日に、使用前検査中の核燃料サイクル開発機構(旧動力炉・核燃料開発事業団)の高速増殖原型炉「もんじゅ」において、冷却材であるナトリウムが漏えいし、火災となった事故や、平成九年三月十一日に、核燃料サイクル開発機構(旧動力炉・核燃料開発事業団)の東海再処理施設アスファルト固化処理施設で発生した火災爆発事故、また平成十一年九月三十日に発生した茨城県東海村のウラン燃料加工施設における臨界による放射線被ばく事故(作業中の作業員三名及び救急隊員を含む六十九名が被ばく)がある。

〈第2章〉 消防防災の組織と活動

< 平成十一年四月一日現在の常備消防機関は、消防本部が九百十一本部、消防署が一千六百七十署、消防職員が十五万二千四百六十四人となっており、人口の九九・七%が常備消防によってカバーされている。また、消防団は、平成十一年四月一日現在、三千六百四十一団、九十五万七千四十七人となっている。>

(1) 常備消防機関
 平成十一年四月一日現在の常備消防機関は、消防本部が九百十一本部、消防署が一千六百七十署、出張所が三千二百三十九所、消防職員が十五万二千四百六十四人となっており、前年と比較すると広域化が進められたこと等により、消防本部は九本部減少し、消防署は八署増加し、消防職員は七百六十一人増加している。
 なお、消防職員のうち女性職員は二千百九十一人となっており、年々増加している(第6表参照)。

(2) 常備化の現況
 平成十一年四月一日現在、常備化市町村は、三千百四十五市町村となり、常備化率は市町村数で九七・四%(市は一〇〇%、町村は九六・七%)に達し、人口の九九・七%が常備消防によってカバーされている。

(3) 消防団
 消防団は、消防本部、消防署が置かれていない非常備町村にあっては、消防活動を全面的に担っており、常備市町村においては、初期消火、残火処理等を行っている。また大規模災害時には、災害防ぎょのため多数の要員を必要とすることから、大量の消防団員が動員され活動している。さらに、火災予防の面でも、住民指導、巡回広報、特別警戒等、多面的活動を行っており、地域の消防防災の要となっている。
 平成十一年四月一日現在、消防団は三千六百四十一団、消防団員数は九十五万七千四十七人で、ほとんどすべての市町村に設けられている。消防団員数は減少傾向にあり、十年前の平成元年四月一日現在に比べ四万五千三百二十四人(四・五%)減少しているが、この間に、女性消防団員数は七千八百十三人増加し、九千四百六十八人となっている。
 なお、消防団員の平均年齢は三十六・五歳となっている。
 常備化が進展してきた今日においても、消防団が地域の消防防災に果たす役割は依然として重要であることから、消防庁では、消防団の施設・設備の整備充実、青年層・女性層の消防団活動への積極的な参加の促進、消防団員の処遇改善等を図っており、引き続き消防団の充実強化を推進していく必要がある。

< 平成十年中の消防職団員の火災等への出動回数は八十三万六千二百二十回で、一日当たり二千二百九十一回、三十八秒に一回の割合で出動したことになる。>

 平成十年中における全国の消防職団員の出動状況をみると、火災等(火災、救助活動、風水害等の災害、特別警戒、捜索、誤報等及びその他(警察への協力、危険排除等)をいう。ただし救急業務を除く。)への出動回数は八十三万六千二百二十回で、出動延べ人員は九百四十八万七千九百四十五人である。また、火災等への一日当たりの出動回数は二千二百九十一回、三十八秒に一回の割合で出動したことになる。
 なお、このうち、消防団員の火災等への出動回数は二十六万九百五回、出動延べ人員は五百四十六万二千六百六十人となっている。
 平成十年には、八月から十月の間に豪雨が日本各地をおそい、河川の氾濫、土砂崩れ、地滑り等、多くの災害を引き起こしたが、これらの災害に対し、各地の消防団は、住民の避難誘導、危険箇所の警戒・監視活動、身を挺しての人命救出活動等、自宅が被災した団員もいる中で、昼夜を問わず不眠不休で活動を行い、被害の拡大を防いだ。
 また、災害が終息した後も、土砂の除去、損壊家屋の後片付け等、地域の復興のために献身的な活動を行った。
 平成十一年においても、六月下旬豪雨(六月二十三日から七月三日)、八月中旬豪雨(八月十三日から八月十六日)による災害において、延べ約九万一千人の消防団員が郷土愛護の精神のもと、延べ約三万六千人の消防職員とともに、危険箇所等の警戒巡視、要救助者の救助、行方不明者の捜索、避難誘導、土のう積みなどの活動を実施した。

< 平成十年中の救急業務の実施状況は三百七十万二千七十五件、救急自動車による搬送人員は三百五十四万五千九百七十五人であり、いずれも増加している。
 なお、救急自動車による出場件数は、一日平均一万百四十一件で、八・五秒に一回の割合で救急隊が出場し、国民の三十五人に一人が救急隊によって搬送されたことになる。>

(1) 救急搬送
 平成十年中の救急業務の実施状況は、三百七十万二千七十五件(ヘリコプターによる搬送件数を含む。)で、前年の三百四十七万六千五百四件に比べ二十二万五千五百七十一件増加している。
 また、救急自動車による搬送人員は三百五十四万五千九百七十五人で、前年の三百三十四万二千二百八十人に比べ二十万三千六百九十五人増加している(第7表参照)。
 なお、救急自動車による出場件数は、全国で一日平均一万百四十一件(前年九千五百二十五件)あり、八・五秒(前年九・一秒)に一回の割合で救急隊が出場し、国民の三十五人に一人が救急隊によって搬送されたことになる。

(2) 応急処置の実施状況
 平成十年中の救急自動車による搬送人員のうち、救急隊員が応急処置等を行った傷病者は、二百九十四万五千二百四十八人(搬送人員の八三・一%、前年は七九・一%)で、前年に比較し、三十万二千六十九人(一一・四%)増加している。
 なお、平成三年八月の「救急隊員の行う応急処置等の基準」の改正により拡大された応急処置等を含め、すべての応急処置等の実施件数は、八百三十一万七千三百十四件と、前年の約一・二倍となっている。このうち救急救命士が行う心肺機能停止状態の傷病者の蘇生等のために行う高度な応急処置の件数は二万八千六百五十四件にのぼり、前年の約一・三倍となっている。

(3) 実施体制
 平成十一年四月一日現在、救急業務実施市町村数は、三千百六十三市町村(六百七十二市、一千九百六十二町、五百二十九村)と全市町村の九七・九%(前年九七・四%)であり、全人口の九九・八%(前年と同じ)がカバーされている。
 また、救急隊は四千五百五十三隊で、前年の四千五百十五隊に比べ三十八隊の増となっており、救急隊員は五万五千七百十七人で、前年の五万五千四百十人に比べ三百七人の増となっている。
 なお、全国の消防本部における救急自動車の保有台数は、五千二百五十一台となっている。

(4) 救急業務の高度化
 平成十一年四月一日現在、消防職員のうち救急救命士資格を有する者の数は七千五百二十三人で、このうちの七千二百一人が八百六十三消防本部において、救急隊員として救急業務に従事している。
 また、拡大された応急処置等を行うために必要な高規格救急自動車は、二千百二十二台が配置されている。

< 平成十年中の救助活動件数は三万八千二百四十一件、救助人員は四万四百五十六人であり、いずれも増加している。
 なお、事故種別の救助活動件数をみると、火災と交通事故によるもので六三%を占めている。>

(1) 救助活動件数等
 平成十年中の救助活動件数は、三万八千二百四十一件で、前年の三万五千五十件に比べ三千百九十一件の増、救助人員は、四万四百五十六人で、前年の三万五千百五人に比べ五千三百五十一人の増となっている(第8表参照)。

(2) 活動状況
 事故種別の救助活動件数は、交通事故が一万七千八百十四件(全体の四六・六%)、火災が六千三百七十三件(全体の一六・七%)となっている。
 なお、救助活動を行うために出動したすべての消防職員は、延べ九十万五千三百五十人で、このうち交通事故が三八・二%、火災が二七・九%となっている。また、救助活動を行うために出動したすべての消防団員は、延べ十六万四百二十人で、このうち火災が八〇・六%を占めている(第9表参照)。

(3) 実施体制
 平成十一年四月一日現在、救助隊を設置しているのは八百六十九消防本部となっており、当該消防本部の構成市町村は三千三十七市町村となっている。また、救助隊は一千五百二十八隊設置されており、救助隊員は二万三千八百四十六人で、一消防本部当たり一・八隊の救助隊が設置され、一隊に十五・六人の救助隊員が配置されていることになる。

< 消防・防災ヘリコプターは、消防防災業務に幅広く活用されており、平成十一年四月一日現在、六十六機が配備されている。>

(1) 航空消防防災体制の現況
 ヘリコプターは林野火災や風水害などの災害状況の把握、林野火災における空中消火、山岳等における救助、重度傷病者の救急搬送や、遠隔地からの救急搬送等に極めて有効であり、その整備を推進している。
 平成十一年四月一日現在の消防・防災ヘリコプターの配備状況は、次のとおりとなっている。
 消防機関の保有するヘリコプター
         二十七機(前年度二十六機)
 都道府県の保有するヘリコプター
         三十九機( 〃 三十七機)
     計   六十六機( 〃 六十三機)
 なお、消防・防災ヘリコプターは、消防防災業務に幅広く活用されており、平成十年中の出動実績は、火災出場七百三十回、救急出場七百六十回、救助出場六百九十九回等となっている。

(2) 航空消防防災体制の課題
 都市化の進展や都市構造の変化等による災害の複雑多様化に備えるとともに、救急業務の一層の高度化を実現し、国民の信頼と期待に応えていくためには、消防・防災ヘリコプターを活用した広域的かつ機動的な消防防災体制を、全国的に早急に整備する必要がある。
 また、全国的な航空消防防災体制を充実強化するため、消防・防災ヘリコプターの計画的な配備を積極的に推進するとともに、全国に配備されている消防・防災ヘリコプターの整備点検情報、全国各地の離着陸場情報等をデータベース化するヘリコプター情報システムの整備及び適切な運用を図っていくこととしている。

< 国と地方公共団体の防災体制及び消防広域応援体制の強化を推進している。>

(1) 国と地方公共団体の防災体制
 阪神・淡路大震災の教訓を踏まえ、災害対策基本法の改正や防災基本計画の全面的な修正、消防庁における防災体制の一層の強化、各地方公共団体における地域防災計画の見直し等が行われている。
 また、各地方公共団体において、地域住民が参加し、防災関係機関とも連携した、情報の収集・伝達、避難誘導、救出・救護などの総合的かつ実践的な防災訓練が実施されている。

(2) 消防広域応援体制
 大規模災害に適切に対応するため、地方公共団体の区域を越えて、機動的、効果的に対処し得るよう、広域航空消防応援体制の整備、「緊急消防援助隊」の災害対応能力の充実強化など、消防広域応援体制の強化を推進している。
 また、現在、全ての都道府県において、都道府県下の全市町村及び消防の一部事務組合等が参加した消防相互応援協定が結ばれている。

< 消防防災通信ネットワーク、防災情報システム等の整備を推進している。>

(1) 消防防災通信ネットワーク
 災害時において、迅速かつ的確な災害応急活動を実施するには、平素から防災情報の収集・伝達体制を確立しておくほか、災害に強い消防防災通信ネットワークを構築しておくことが極めて重要である。
 現在、国、地方公共団体、住民等を結ぶ消防防災通信ネットワークを構成する主要な通信網としては、国と都道府県を結ぶ消防防災無線網、都道府県と市町村等を結ぶ都道府県防災行政無線網及び市町村と住民等を結ぶ市町村防災行政無線網が構築されている。
 消防庁では、地方公共団体と一体となって、総合的な消防防災通信ネットワークの整備を推進している。

(2) 防災情報システム
 広域的な対応が重視される今日の防災対策においては、迅速な情報収集・伝達と、地方公共団体の対応力を把握した上での調整判断が不可欠である。
 このため、消防庁では、震度情報などの緊急情報を迅速に伝達するほか、緊急消防援助隊や消防・防災ヘリコプターの出動可能状況、非常物資の備蓄等、広域応援の対応力の状況、消防防災統計など、消防防災に係る情報をデータベース化するとともに、コンピュータによる全国的なネットワーク化を図り、消防庁と地方公共団体等との間で、これらの情報を共有化できる防災情報システムの整備を推進し、順次運用を開始している。

〈第3章〉 自主的な防災活動と災害に強い地域づくり

< 防火防災意識の高揚を図り、自主防災活動の強化を推進している。>

(1) 防火防災意識の高揚
 平成十年中の火災を原因別にみると、失火が全体の六三・九%を占めている。また、地震や風水害における避難や二次災害の防止等については、地域住民の日ごろからの備え、災害時の適切な行動が基本となることなどから、災害に強い安全な地域社会をつくるためには、国民の防火防災意識の高揚に待つところが極めて大きい。
 そのため、家庭、職場を問わず、国民一人ひとりが常に防火防災に関心を持つとともに、それぞれが日ごろから自主防災の意識を持ち、災害が発生した場合、的確に対処できるような基礎知識を身につけておくことが大切である。
 このような観点から、消防庁においては、年間を通じたテレビ放送を利用した啓発を行うとともに、毎年春秋二回の「全国火災予防運動」など、あらゆる機会をとらえて、国民の防火防災に関する関心を喚起し、意識の高揚を図っている。

(2) 自主防災活動
 防災体制の強化に当たっては、消防機関をはじめとする防災関係機関による体制の整備が必要であることは言うまでもないが、地域住民が連帯し、地域ぐるみの防災体制を確立することも重要である。
 出火の防止、初期消火、情報の収集伝達、避難誘導、被災者の救出救護、応急手当、給食給水等の自主的な防災活動が、効果的かつ組織的に行われるためには、地域ごとに自主防災組織を整備し、平常時から、災害時における情報収集伝達・警戒避難体制の整備、防災用資機材の備蓄等を進めるとともに、大規模な災害を想定しての防災訓練を積み重ねておくことが必要である。
 なお、平成十一年四月一日現在、全国で九万二千四百五十二の自主防災組織が設置されている。
 また、地域の防火防災意識の高揚を図るためには、地域の自主防災組織の育成とともに、婦人防火クラブ、少年消防クラブ、幼年消防クラブ等の育成強化を図ることも重要である。

〈第4章〉 規制改革への対応

< 安全性の確保に十分配慮しながら、社会的要請に対応した規制改革等の一層の推進を図る。>
 近年、国際化の進展や社会経済活動の多様化等を背景に、公的規制の緩和が大きな課題となっている。
 消防庁としては、消防行政に係る規制は、火災予防又は防災の観点から行われる安全規制であり、国民の生命、身体及び財産の保護のため極めて重要なものであるとの認識のもとに、今後とも、安全性の確保に十分配慮しながら、「規制緩和推進三か年計画(改定)」に定められた各措置を着実に実施するなど、社会的要請に対応した規制改革等の一層の推進を図っていくこととしている。

〈第5章〉 国際協力の推進と地球環境の保全

< 消防における国際協力・国際交流を積極的に推進している。
 また、地球環境の保全の一環として、ハロン消火剤等の使用抑制等に取り組んでいる。>

(1) 国際協力・国際交流
 消防庁では、国際協力事業団等とも協力しながら、開発途上諸国の消防職員を対象とした消防行政管理者研修をはじめとする集団研修のほか、個別の研修員の受入れ、消防における技術指導のための専門家の派遣、北京消防訓練センターに対するプロジェクト方式技術協力等を実施している。

(2) 国際消防救助隊
 海外で大規模災害が発生した場合に、消防庁長官の要請により「国際消防救助隊」が派遣され、救助活動や支援活動を行うことになっており、現在、全国の四十消防本部、五百一名の救助隊員が登録されている。
 なお、平成十一年一月二十六日に発生したコロンビア共和国における地震災害への派遣、平成十一年八月十七日に発生したトルコ共和国における地震災害への派遣、平成十一年九月二十一日に発生した台湾における地震災害への派遣で計十一回の派遣となった。

(3) 地球環境の保全
 コンピュータ室、通信機器室等の消火剤として使用されるハロン消火剤については、オゾン層保護のため、モントリオール議定書により、平成六年一月一日以降の生産等が全廃されている。
 平成五年七月には地球環境の保全に寄与することを目的として、「ハロンバンク推進協議会」が設立され、同協議会において、ハロンの管理、回収、再利用が行われている。
 なお、消防庁では、「ハロン等抑制対策検討委員会」を設置し、ハロン及びハロン代替消火剤の使用抑制等に取り組んでいる。

〈第6章〉 消防の科学技術の研究

< 消防研究所において、消防の科学技術に関する研究が推進されている。>

 災害の複雑多様化に対し、災害の防止、被害の軽減、原因の究明等に関する科学技術の研究開発が果たす役割はますます重要になっている。このため、消防研究所において、消防防災に係る科学技術の基礎的研究のほか、社会的・行政的要請の高い課題について研究を行っている。
 なお、効率的に研究を推進するため、外国の研究機関、国内の大学あるいは企業との共同研究を積極的に進めている。

〈第7章〉 今後の消防防災行政の方向

 我が国は、これまで幾多の災害を経験してきている。近年においても、戦後最大の被害をもたらした阪神・淡路大震災の発生、その後も、地下鉄サリン事件、鹿児島県出水市における土石流災害、ナホトカ号及びダイヤモンドグレース号の海難事故、新潟県・福島県・栃木県・高知県など各地における豪雨や台風による災害などを経験している。
 本年に入っても、広島県・神奈川県・熊本県等において、豪雨や台風による被害が発生する一方、福岡県、東京都では、豪雨による地下街等の地下空間の浸水被害により死者が発生するなど、都市部を中心に新しい形態の災害が発生し、茨城県東海村のウラン燃料加工施設においては、臨界による放射線被ばく事故も発生している。また、国外においても、トルコ共和国北西部の地震や台湾地震など、住民の安全を脅かす災害などが起きている。
 こうしたことから、災害や事故における不断の備えの重要性はますます増大し、国民の消防に寄せる期待は極めて大きなものがある。
 このため、二十一世紀に向け、消防防災行政において第一次的な役割を担っている地方公共団体が、安全で安心な地域社会づくりに向け、その使命を十分に果たしていくことができるよう、今後とも各般の施策を強力に展開して、消防防災行政の推進及びその体制の充実強化を図っていく必要がある。具体的には、次の項目等について積極的に取り組む必要がある。
〇総合的な防災対策の推進
〇高度防災情報通信体制の整備促進
〇消防力の充実強化と教育訓練の充実等
〇消防団の充実強化
〇自主的防災体制の強化の推進
〇救急・救助業務の充実強化
〇総合的な防火安全対策の推進
〇危険物施設等の安全の確保及び特殊災害対策の 充実強化
〇技術革新等に対応した規制改革の推進
〇消防防災技術の高度化
〇国際化への対応

囲み記事及び特別解説「消防・連携の時代」

 本文とは別に、トピックス的な話題等を記述した「囲み記事(計十八項目)」及び自治体消防発足後、半世紀を経た現在における「消防の連携」について、分かり易く記述した特別解説「消防・連携の時代」を掲載するとともに、第二回全国消防広報コンクールの受賞作品及び消防ポスターを掲載している。
 「囲み記事」の項目内容は次のとおりである。
@放火火災予防対策マニュアル
A消防用設備等に係る環境・省エネルギー対策
Bウォーターミストによる消火の研究
C住宅防火診断
D石油コンビナート等特別防災区域における消防車両の省力化
E家庭の防災会議
Fあふれる若い力・消防団〜長野県上田市消防団
G実践的な訓練に励む消防団
H教育訓練用に指揮機能を有した災害救援車
I救急車到着までに必要な応急手当の方法を電話で指導します
J平成十年八月末豪雨における消防・防災ヘリコプターの活動
K緊急消防援助隊の九州ブロック合同訓練
L危険物災害等情報支援システムの構築
M通信衛星を用いた高度情報伝達システム
N国際消防救助隊の活動
O消防用機械器具等に係る国際規格
P大震火災時における地域防災活動拠点の安全性確保に関する研究
Q携帯電話からの一一九番通報発信地表示システム

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第147回国会


内閣が提出を予定している


内閣官房法律案・条約要旨調


(平成十二年一月二十五日現在)

内閣官房


 第百四十七回国会(常会)に内閣が提出を予定している法律案及び条約の要旨は、次のとおりである。
 なお、この調は、「第百四十七回国会(常会)内閣提出予定法律案等件名調」に掲げる内閣提出予定法律案等について取りまとめたものであり、今後、内容等の追加、変更等があり得る。
 件名に付した※印は、「法律案のうち、それが制定されなければ予算及び予算参照書に掲げられた事項の実施が不可能であるもの」を示している。

 総 理 府

 <本 府>
※◇明日香村における歴史的風土の保存及び生活環境の整備等に関する特別措置法の一部を改正する法律案
   明日香村整備計画事業について引き続きその着実な実施を図っていくため、整備計画に基づく事業に係る国の負担又は補助の割合の特例について、期間を十年間延長する。

 <公正取引委員会>
 ◇私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案
   独占禁止法第二十五条の規定に基づく損害賠償訴訟制度の充実等所要の改正を行う。

 <警察庁>
 ◇警察法の一部を改正する法律案
   警察庁及び都道府県警察に対する国家公安委員会及び都道府県公安委員会等の権限行使の一層の充実を図るため、監察に係る指示、警察職員の法令違反等の報告及び委員の再任の制限に関する規定を設けるとともに、最近の治安情勢等にかんがみ、国の公安に係る事案についての国家公安委員会の権限に関する規定その他所要の規定を整備する。

 <総務庁>
※◇恩給法等の一部を改正する法律案
  1 恩給年額等を平成十二年四月から〇・二五%引き上げる(ただし、恩給年額計算の基礎となる仮定俸給の六十七号俸以上については、据え置く。)。
  2 低額恩給の改善を図るため、傷病者遺族特別年金額及び実在職年六年未満の者に係る普通扶助料の最低保障額の上積みを平成十二年四月から行う。
  3 遺族加算の年額を平成十二年四月から引き上げる。
  4 短期在職の旧軍人等に係る仮定俸給年額を平成十二年四月から引き上げる。
  5 その他所要の措置を講ずる。
 ◇行政機関の職員の定員に関する法律等の一部を改正する法律案(仮称)
   新たな府省の編成に伴い、職員の定員の総数の最高限度について、所要の措置を講ずる。

 <防衛庁>
※◇防衛庁設置法等の一部を改正する法律案
  1 陸上自衛隊の機関として研究本部を置くことができることとし、その所掌事務を定める。
  2 陸上自衛隊の第十二師団を第十二旅団に改編する。
  3 自衛官の定数及び即応予備自衛官の員数を変更する。
  4 特別の警備業務に従事する自衛隊員のため、新たに特別警備隊員手当の制度を創設する。
  5 防衛庁の職員の給与等に関する法律に定める一定の事項について政令等の制定又は改廃をするときは、政令で定める審議会等の意見を聴かなければならないこととする。

 <経済企画庁>
 ◇消費者契約法案(仮称)
   消費者が事業者との間で締結する契約(消費者契約)に係る紛争の公正かつ円滑な解決に資するため、事業者の一定の行為により消費者が誤認し、又は困惑した場合について契約を取り消すことができることとするとともに、民法等の任意規定を排除する特約のうち一定のものについて無効とする等、消費者契約に関する所要の措置を講ずる。

 <科学技術庁>
 ◇技術士法の一部を改正する法律案
   我が国の技術士に相当する外国の技術者認定制度による認定を受けた者について我が国の技術士として取り扱う制度を導入するとともに、我が国の技術士資格保有者を拡充するための措置等所要の改正を行う。

 <環境庁>
 ◇循環型社会基本法案(仮称)
   循環型社会の構築に関して、基本理念を定め、国、地方公共団体、事業者及び国民の責務を明らかにし、並びに政府による計画の策定等施策の基本となる事項を定める、基本的な枠組みとなる法の制定を図る。

 <沖縄開発庁>
※◇沖縄振興開発金融公庫法の一部を改正する法律案
   沖縄における産業の振興開発に寄与する事業に対する資金の円滑な供給を図るため、沖縄振興開発金融公庫の当該事業に関する業務の拡大等を行うとともに、同公庫の業務に要する資金の安定的な確保を図るため、その調達手段を多様化する等の措置を講ずる。

 <国土庁>
※◇国土調査促進特別措置法の一部を改正する法律案
   内閣総理大臣は、新たに平成十二年度を初年度とする国土調査事業十箇年計画の案を策定し閣議の決定を求めなければならないものとする。
 ◇国土利用計画法の一部を改正する法律案
   地域の実状を踏まえつつ、社会経済の変化に伴う土地利用上の問題に適切に対処するため、市町村が必要に応じて土地利用の調整に関する計画を定めることができることとする等の措置を講ずる。
 ◇大深度地下の公共的使用に関する特別措置法案(仮称)
   公共の利益となる事業の円滑な遂行と大深度地下の適正かつ合理的な利用を図るため、これらの事業による大深度地下の使用の要件、手続等に関し、特別の措置を講ずる。

 法 務 省
※◇裁判所職員定員法の一部を改正する法律案
   判事補の員数を七十人、裁判官以外の裁判所の職員の員数を十六人増加する。
※◇商業登記法等の一部を改正する法律案
   電磁的記録を利用した取引の安全等を図るため、登記官が登記所に印鑑を提出した者が電磁的署名をする方法等を証明する制度並びに公証人が電磁的記録について電磁的方法による認証及び確定日付の付与をする制度を創設する旨の改正を行う。
※◇民事法律扶助法案(仮称)
   民事裁判等の手続の準備及び追行に必要な資力に乏しい国民等を援助する事業について、その内容及び同事業に関する国、弁護士会等の責務を明らかにするとともに、指定法人がその運営を行うこととするために必要な事項を定める。
 ◇商法等の一部を改正する法律案
   会社が、その組織の再編成を容易に行い得るようにするため、その営業等を新たに設立する会社又は既存の会社に承継させるとともに、これらの会社の株式を分割する会社又はその株主に割り当てる会社分割法制を整備するため、商法等の一部を改正する。
 ◇商法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案(仮称)
   商法等の一部を改正する法律の施行に伴い、民法、会社更生法、商業登記法その他の関連する諸法律についての規定を整備することを目的とする。
 ◇刑事訴訟法等の一部を改正する法律案(仮称)
   刑事手続において、犯罪被害者に対するより適切な配慮と一層の保護を図るため、性犯罪の告訴期間の見直し、証人尋問手続へのビデオリンク方式等の導入及び公判手続における心情・意見等の陳述の制度化等について、所要の法整備を行う。
 ◇刑事手続に付随する犯罪被害者の権利保護のための措置に関する法律案(仮称)
   犯罪被害者の権利の保護のため、刑事手続に付随して行う措置として、民事上の和解を記載した公判調書に対する執行力の付与並びに被害者等による公判記録の閲覧及び謄写並びに公判手続の傍聴について、必要な事項を定める。

 外 務 省

※◇在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案
  1 在ユジノ・サハリンスク日本国総領事館を新設する。
  2 在ナイジェリア日本国大使館をラゴスからアブジャへ移転する。
  3 在ユジノ・サハリンスク日本国総領事館に勤務する外務公務員の在勤基本手当の基準額を定めるとともに、既設の在外公館に勤務する外務公務員の在勤基本手当の基準額を改定する。
  4 既設の在外公館に勤務する外務公務員の研修員手当の額を改定する。

 大 蔵 省

※◇平成十二年度における公債の発行の特例に関する法律案
   平成十二年度における国の財政収支の状況にかんがみ、公債発行の特例措置を定める。
※◇租税特別措置法等の一部を改正する法律案(仮称)
  1 民間投資等の促進として、住宅ローン税額控除制度、特定情報通信機器の即時償却制度、中小企業投資促進税制の延長等を行う。
  2 中小企業・ベンチャー企業の振興として、特定中小会社の株式の譲渡益に対する課税の特例の創設、同族会社の留保金課税の特例の創設等を行う。
  3 社会経済情勢の変化への対応として、年齢十六歳未満の扶養親族に係る扶養控除の額の割増の特例の廃止、相続税の延納の利子税の軽減等を行う。
  4 その他所要の改正を行う。
※◇法人税法の一部を改正する法律案
   法人税における有価証券の評価方法等について時価法を導入する等の措置その他所要の改正を行う。
※◇国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正する法律案
   外国出張等における航空賃の支給基準について、ファーストクラスの利用を次官級以上とする等所要の改正を行う。
※◇関税定率法等の一部を改正する法律案
 最近における内外の経済情勢に対応し、特定品目の関税率等を改正する等所要の改正を行うとともに、税関手続の簡素化等を図る観点から、法令遵守の確保を条件に納税申告の前に輸入貨物の引取りを可能とする簡易申告制度を導入するため、所要の改正を行う。
※◇預金保険法等の一部を改正する法律案(仮称)
  1 平成十三年四月以降の破綻(たん)処理の制度の整備を行う。
   @ 金融機関の破綻(たん)処理の迅速化及び多様化を図るため、名寄せ等の事前準備及び営業の一部譲渡の場合における資金援助を可能とし、破綻(たん)金融機関の経営権を掌握する公的な管理人制度を導入する等の手当てを行うほか、譲受金融機関への円滑な承継を図るため承継銀行制度等を導入することとする。
   A 危機的な事態(システミックリスク)が生じるおそれがある場合の例外的措置として、金融危機対応会議の議決を経て、株式等の引受等、ペイオフコスト(保険金支払に要すると見込まれる費用)を超える資金援助及び預金保険機構による全株式の取得の措置を講ずることを可能とする。
   B 付保対象範囲に金融債の一部及び預金利息を追加する手当てを行う。
   C ペイオフコストを超える資金援助の特例措置を一年間延長し、平成十四年三月末までとするほか、平成十五年三月末までの間、流動性預金に関する保険金の額の特例を設けることとする。
   D その他所要の改正を行う。
  2 ペイオフコストを超える資金援助等に充てるための交付国債(七兆円)を六兆円増額する。
  3 ペイオフコストを超える資金援助等の特例措置の終了に向けての環境整備の一環として、信用組合等の協同組織金融機関による優先出資証券の発行を可能とし、資本増強を行いやすくするほか、早期健全化法に基づく資本増強を同法対象の協同組織金融機関が受けることが容易となるよう法改正を行う。さらに、中央組織である全信組連の機能を強化するとともに、信用組合協会の行っている債権回収業務を整理回収機構に円滑に一元化するための法改正を行う。
 ◇保険業法及び金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の一部を改正する法律案(仮称)
   保険相互会社から株式会社への組織変更が容易に行えるよう制度の見直しを行うとともに、保険相互会社への更生手続の適用を可能とする等倒産法制の整備を行う。また、生命保険契約者保護機構の借入れに対する政府保証を恒久措置とし、一定の条件を満たす場合には平成十五年三月末までに生じた破綻(たん)処理に要する費用の一部に国庫補助を可能とする等所要の改正を行う。
 ◇資金運用部資金法等の一部を改正する法律案
   中央省庁等改革基本法を受け、財政投融資制度を抜本的に改革するため、郵便貯金・年金積立金の預託義務の廃止、債券の発行等所要の改正を行う。
 ◇証券取引法及び金融先物取引法の一部を改正する法律案(仮称)
   現在紙媒体で行われている有価証券報告書等の開示情報に係る電子開示システムの導入を図る。また、証券取引所、金融先物取引所の組織形態として株式会社形態を導入するため、所要の改正を行う。
 ◇証券投資信託及び証券投資法人に関する法律及び特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律の一部を改正する法律案(仮称)
   多様な投資商品の提供を促進するため、投資者保護の視点も踏まえ、特定目的会社・信託等を受皿として幅広い財産権を対象とした投資商品を提供できるよう、所要の改正を行う。

 文 部 省

※◇国立学校設置法の一部を改正する法律案
  1 政令で定める国立大学の大学院に、研究科以外の教育研究上の基本となる組織として、教育上の目的に応じ組織する教育部(仮称)及び研究上の目的に応じ、かつ、教育上の必要性を考慮して組織する研究部(仮称)を置くこととする。
  2 弘前大学医療技術短期大学部、岐阜大学医療技術短期大学部及び山口大学医療技術短期大学部を廃止する。
  3 学位授与機構を改組して大学評価・学位授与機構(仮称)とし、大学の評価に関する業務を新たに行うこととする。
  4 昭和四十八年度以後に設置された国立医科大学等に係る平成十二年度の職員の定員を定める。
 ◇教育職員免許法等の一部を改正する法律案
   高等学校の免許教科として情報及び福祉に関する教科を新設するとともに、特別免許状を有する教員が所定の在職年数と単位修得により普通免許状を取得できる制度を創設する等所要の改正を行う。
 ◇著作権法及び万国著作権条約の実施に伴う著作権法の特例に関する法律の一部を改正する法律案
  1 近年の情報伝達手段の発達により可能となった視聴覚障害者のための著作物の利用について、著作権を制限する。
  2 著作権者等の権利の実効性を確保するため、著作権等侵害訴訟における文書提出命令の拡充等著作権者等の立証の負担を軽減するための所要の措置を講ずる。
  3 法人による侵害行為を抑止するため、法人に対する罰金額の大幅な引上げを行う。
  4 著作権に関する世界知的所有権機関条約(仮称)締結に伴う規定の整備を行う。
 ◇教育公務員特例法の一部を改正する法律案(仮称)
   国公立の小学校等の教員の専修免許状の取得を促進するため、教員がその身分を保有したまま、職務に従事せずに国内外の大学院等で長期にわたり研修を行うことができる制度(研修休業制度)を創設し、あわせて給与等に係る当該休業期間の取扱いその他の事項について所要の措置を講ずる。
 ◇独立行政法人教員研修センター法案(仮称)
   中央省庁等改革の一環として、学校の教職員に対する研修に関する業務を行う独立行政法人として「独立行政法人教員研修センター(仮称)」を設置するため、その名称、目的、業務の範囲等について定める。
 ◇著作権管理事業法案(仮称)
   著作権者等の委託を受けて著作権等の行使を行う事業(著作権管理事業)の健全な発達並びに著作権者等及び利用者の双方の保護を図るため、限定された分野の著作権管理事業について許可制とする著作権に関する仲介業務に関する法律を廃止し、著作権管理事業一般について登録制を採用するとともに、使用料規程について認可制を届出制とする等所要の措置を講ずる。

 厚 生 省

※◇戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する法律案
   戦傷病者戦没者遺族等援護法による障害年金、遺族年金等の額を引き上げる。
※◇平成十二年度における国民年金法による年金の額等の改定の特例に関する法律案(仮称)
   現下の社会経済情勢にかんがみ、平成十一年平均の全国消費者物価指数が平成十年平均の全国消費者物価指数を下回った場合において、平成十二年度の特例として、国民年金法による年金の額等を据え置くための所要の措置を講ずる。
※◇健康保険法等の一部を改正する法律案(仮称)
   医療保険制度の安定的運営を図るため、高額療養費の見直し及び老人一部負担の見直し等の措置を講ずるとともに、健康保険の保険料率の設定に関する条件の変更等の所要の措置を講ずる。
 ◇医療法等の一部を改正する法律案(仮称)
   良質な医療を効率的に提供する体制を確立するため、入院医療を提供する体制の整備、医療における情報提供の推進及び医療従事者の資質の向上を図るための所要の措置を講ずる。
※◇児童手当法の一部を改正する法律案(仮称)
   少子化の進行等を踏まえ、総合的な少子化対策の一環として、子育て家庭の経済的な負担の軽減等を目的とする現行児童手当制度について、所要の見直しを行う。
 ◇確定拠出型年金法案(仮称)
   老後における所得の確保に係る自助努力を支援し、公的年金と相まって国民の老後の生活の安定と福祉の向上を図るため、確定拠出型年金制度を創設する。
 ◇社会福祉の増進のための社会福祉事業法等の一部を改正する等の法律案(仮称)
   社会福祉の一層の増進を図る観点から、事業の新規追加等による社会福祉事業の拡充、福祉サービスに関する利用援助、苦情解決等による利用者の利益の保護、身体障害者等に係る福祉サービスに関し市町村等による措置から利用者の選択に基づき利用する制度への変更、市町村地域福祉計画等の作成等による地域福祉の推進その他の措置を講ずるため、所要の改正を行う。
 ◇廃棄物の処理及び清掃に関する法律等の一部を改正する法律案(仮称)
   悪質な不法投棄の増大、産業廃棄物等の適正な処理に支障が生じている状況の下で、廃棄物を適正かつ安全に処理するための体制整備を推進するとともに、廃棄物処理施設に係る規制の強化、産業廃棄物管理票制度の見直し、不適正処理に関する支障の除去等の措置命令の強化等の措置を講じ、廃棄物の不適正処理を防止するための所要の改正を行う。
 ◇予防接種法の一部を改正する法律案(仮称)
   予防接種法及び結核予防法の一部を改正する法律(平成六年法律第五十一号)附則第二条の規定及び近年の高齢者におけるインフルエンザの発生状況等を踏まえ、予防接種法(昭和二十三年法律第六十八号)の対象疾病を類型化した上で、インフルエンザを対象疾病に加える等所要の措置を講ずる。
 ◇英国との社会保障協定の実施に伴う厚生年金保険法等の特例等に関する法律案(仮称)
   英国との社会保障協定(交渉中)を実施するため、厚生年金保険法等公的年金各法について、英国の法令が適用される者を適用免除とする等の特例等を内容とする法律を制定する。

 農林水産省

※◇青年等の就農促進のための資金の貸付け等に関する特別措置法及び農業信用保証保険法の一部を改正する法律案
   就農支援資金を拡充し、新規就農者に対し、施設の設置、機械の購入等に必要な資金を一体的に貸し付けることができるようにするとともに、農協、銀行等が貸し付ける当該資金を農業信用保証保険制度の対象とする等の措置を講ずる。
※◇大豆なたね交付金暫定措置法及び農産物価格安定法の一部を改正する法律案
   大豆の生産の安定を図るため、交付金制度について、市場評価が生産者の手取りに的確に反映されるよう算定方式、交付要件等を見直すとともに、なたねを価格安定制度の対象から除外する。
 ◇加工原料乳生産者補給金等暫定措置法の一部を改正する法律案(仮称)
   乳製品及び加工原料乳の需要に応じた生産を促進するため、これらに係る価格安定制度を見直すとともに、生産者補給金制度について、市場評価が生産者の手取りに的確に反映されるよう算定方式及び交付要件を見直す。
 ◇砂糖の価格安定等に関する法律及び農畜産業振興事業団法の一部を改正する法律案
   砂糖の価格競争力の回復を図るため、国の基本方針及び需給計画を策定するとともに、市場原理を活用する観点から国内産糖の価格支持、輸入糖の価格調整等に関する制度を改善する等の措置を講ずる。
 ◇農業に関する技術の研究開発の促進に関する特別措置法を廃止する法律案
   本法に基づき実施された農業に関する技術の研究開発が所期の成果をあげる見通しであることにかんがみ、平成十二年三月三十一日をもって廃止する。
 ◇漁港法の一部を改正する法律案
   地方分権推進の観点から漁港の指定権限の一部を都道府県知事に委譲する等の措置を講ずるとともに、漁港の適正利用を図る観点から放置艇等の所有者を確知できない場合においても代執行を可能とする制度等を導入する。
 ◇食品流通構造改善促進法の一部を改正する法律案
   食品産業と農林漁業との連携の推進、卸売市場の活性化及び食品産業の技術開発力の強化を図るため、構造改善事業を拡充し、所要の金融・税制措置を講ずる。
 ◇農産物検査法の一部を改正する法律案
   行政機構の減量及び民間能力の積極的活用を図るため、農産物検査の実施主体を国(食糧事務所)から農林水産大臣の登録を受けた民間の検査機関に変更するのに必要な措置を講ずる。
 ◇農地法の一部を改正する法律案
   農業経営の法人化を推進し、その活性化を図るため、農業生産法人として一定の株式会社を認める等農業生産法人の要件を見直すとともに、農業生産法人の要件適合性を担保するための措置、農地移動の下限面積要件の弾力化の措置等を講ずる。
 ◇農水産業協同組合貯金保険法の一部を改正する法律案(仮称)
   貯金の全額保護のための特例措置の期限を一年延長するとともに、適切な貯金者の保護及び迅速な破綻(たん)処理を図るため、貯金保険制度の適用対象の追加、資金援助の方法の多様化、管理人制度の創設等の措置を講ずる。
 ◇農水産業協同組合の再生手続の特例等に関する法律案(仮称)
   農水産業協同組合及び農林中央金庫について、他の金融機関と同様、民事再生手続及び破産手続の特例を定めることにより、貯金者の権利を保護しつつ、手続の円滑な進行を図る。

 通商産業省

※◇石炭鉱業の構造調整の完了等に伴う関係法律の整備等に関する法律案(仮称)
   石炭鉱業の構造調整の完了等に伴い、石炭対策関連各法律の法期限である平成十四年三月三十一日までの間に、各法律の目的を着実に達成し、法を廃止するに当たり、必要となる財源の確保等に係る措置を講ずるとともに、関係法律を法期限をもって廃止する。
※◇産業技術力強化法案(仮称)
   我が国の産業技術力の強化を図るため、基本理念、国、地方公共団体、大学及び事業者の責務、施策の基本となる事項を定めるとともに、産業技術力の強化のための資金面、人材面等の支援措置を定める。
※◇中小企業指導法の一部を改正する法律案(仮称)
   中小企業基本法の改正を踏まえ、新たな中小企業政策の理念に整合するよう「指導」の概念を「支援」に改める。また、都道府県知事の指定する法人の業務として、専門性の高い業務の一部追加等を行うこととする。
 ◇アルコール事業法案(仮称)
   アルコール専売を廃止するとともに、九十度以上のアルコールが工業の用途へ安定的かつ低廉に供給されるよう、製造、販売等に対する許可による流通管理を行い酒類原料への転用を防止し、暫定措置としてNEDOに一手購入販売機能を付与する。
 ◇特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律案(仮称)
   発電用原子炉の使用済燃料を再処理することにより生ずる特定放射性廃棄物の最終処分を確実に実施するため、基本計画の策定、最終処分費用の拠出制度、最終処分を実施する地点の選定手続き、最終処分を実施する主体の設立、拠出金の管理を行う法人の指定等の関係規定の整備を行う。
 ◇弁理士法案
   知的財産権取引の活性化、知的財産権の活用の促進等の媒介となる知的財産専門サービスの充実を図るため、弁理士法の全部改正を行い、弁理士の業務の見直し、弁理士試験の見直し、弁理士の事務所の法人制度の創設、弁理士の職責の明確化、弁理士の義務の明確化、弁理士会の登記規定の整備、罰則の整備等の所要の規定の整備を行う。
 ◇再生資源の利用の促進に関する法律の一部を改正する法律案(仮称)
   資源の有効な利用の確保を図るため、廃棄物の発生抑制に資する製品の長寿命化等及び副産物の発生抑制、部品・製品の再利用に関する新たな措置並びに再生資源の利用の強化に関する措置を講ずることにより、循環型社会構築に向けた取組を強化する。

 運 輸 省

※◇港湾法の一部を改正する法律案
   近年における港湾をめぐる社会経済情勢の変化等にかんがみ、重要港湾の定義の明確化を図るとともに、港湾整備の重点化、環境保全への配慮等を旨とする港湾整備事業の国庫負担率等の変更、運輸大臣が作成すべき基本方針の記載事項の追加、監督処分規定の整備等所要の改正を行う。
※◇運輸施設整備事業団法の一部を改正する法律案
   特殊法人等の整理合理化の一環として造船業基盤整備事業協会を廃止し、その業務の一部を運輸施設整備事業団に移管するとともに、高度船舶技術を用いた船舶等の製造に係る債務保証業務を運輸施設整備事業団に追加する等所要の改正を行う。
※◇高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律案(仮称)
   高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化を促進するため、交通事業者等に、鉄道駅等の旅客施設及びその周辺の道路その他の施設に段差を解消させる設備を設置させるとともに、高齢者、身体障害者等が利用しやすいバス車両等を導入させること等所要の措置を講ずる。
 ◇海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律の一部を改正する法律案
   有害液体汚染防止緊急措置手引書の船舶への備付けを義務付けること等を内容とする「千九百七十三年の船舶による汚染の防止のための国際条約に関する千九百七十八年の議定書附属書U」の改正に対応する等のため、所要の改正を行う。
 ◇港湾運送事業法の一部を改正する法律案
   港湾運送事業における事業者間の競争の促進による利用者利便の増進の観点から、港湾運送の安定化に配慮しつつ、特定の港湾について需給調整規制を含む免許制の廃止等所要の改正を行う。
 ◇道路運送法及びタクシー業務適正化臨時措置法の一部を改正する法律案
   一般乗合旅客自動車運送事業及び一般乗用旅客自動車運送事業における事業者間の競争の促進による利用者利便の増進の観点から、輸送の安全の確保等に配慮しつつ、需給調整規制を含む路線及び事業区域ごとの免許制の廃止等所要の改正を行う。

 郵 政 省

 ◇郵便貯金法等の一部を改正する法律案(仮称)
   財政投融資制度の改革に伴い、及び郵政事業に係る資金運用制度の改善を図るため、郵便貯金資金及び郵便振替資金の自主運用の制度の整備並びに簡易生命保険の積立金の運用対象の見直しを行う等の措置を講ずる。
 ◇郵政官署における自動車損害賠償責任保険契約の締結事務の受託に関する法律案(仮称)
   郵政官署において損害保険会社の委託を受けて自動車損害賠償責任保険の契約の締結に関する業務を行うことができるようにする。
 ◇特定公共電気通信システム開発関連技術に関する研究開発の推進に関する法律の一部を改正する法律案
   公共分野の情報化を推進するため、通信・放送機構に行わせる特定公共電気通信システムに係る研究開発業務の種類を追加する。
 ◇特定通信・放送開発事業実施円滑化法の一部を改正する法律案
   通信・放送事業分野における新規事業の創出を更に促進するため、通信・放送機構が通信・放送新規事業の支援を目的として行う特例業務に助成金交付業務を追加する。
 ◇電波法の一部を改正する法律案
   周波数の割当ての一層の透明性・公平性を確保するため電気通信業務等に用いられる無線局について免許手続の特例を設けるとともに割当可能周波数を示す表に関する規定を整備するほか、無線従事者免許に関する規定の合理化を図る等の改正を行う。

 労 働 省

※◇介護労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律案
   介護労働者の雇用管理の改善に関する措置を促進するため、介護分野の事業主に対する助成及び援助の充実、介護労働者等に対する介護労働安定センターによる教育訓練の実施等所要の改正を行う。
※◇雇用保険法等の一部を改正する法律案
   現下の厳しい雇用失業情勢に加え、経済社会の変化に的確に対応するため、雇用保険制度等において、求職者給付の重点化、育児休業給付及び介護休業給付の改善等を行うほか、給付に要する費用に係る国庫負担の割合に関する暫定措置を廃止するとともに、雇用保険率を引き上げる等所要の改正を行う。
※◇高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律案
   急速な高齢化の進展等に対応し、高年齢者の雇用の安定の確保等を図るため、事業主は定年の引上げ、継続雇用制度の導入等の措置を講ずるよう努めなければならないものとするとともに、離職を余儀なくされる中高年齢者の早期再就職の援助及び促進を図るための対策の充実等所要の改正を行う。
※◇港湾労働法の一部を改正する法律案
   港湾運送事業に係る規制改革の実施等港湾労働をめぐる環境の変化に対応し、港湾労働者の雇用の安定及び福祉の増進を図るため、港湾運送事業主間における常用労働者に係る労働者派遣制度を導入する等所要の改正を行う。
 ◇株式会社及び有限会社の分割における労働契約の承継等に関する法律案(仮称)
   商法における会社分割法制の導入に伴い、分割をした会社の権利義務が分割によって設立する会社等に包括的に承継されることとなることを踏まえ、同法制の目的を尊重しつつ、労働者保護の観点から、労働契約の承継等についての特例等を定めることを目的として、立法措置を講ずる。

 建 設 省

※◇河川法の一部を改正する法律案
   河川管理について住民により密着した行政の実現を図るため、指定区間外の一級河川においても市町村が河川工事等を行うことができるようにすること、政令指定都市へ一定の河川管理権限を委譲すること等所要の改正を行う。
※◇住宅金融公庫法等の一部を改正する法律案
   良質な住宅ストックの形成を促進するため、住宅金融公庫の貸付対象の拡大及び貸付条件の改善を行うとともに、同公庫の業務に要する資金の安定的な確保を図るため、その調達手段を多様化する等の措置を講ずる。
※◇農地所有者等賃貸住宅建設融資利子補給臨時措置法の一部を改正する法律案
   農地所有者等が農地を転用して行う賃貸住宅の建設等に要する資金の融通について、政府が利子補給契約を結ぶことができる期限を六年間延長する。
 ◇建設工事に係る特定資材の再資源化等に関する法律案(仮称)
   建設工事に伴い発生する廃棄物について、その適正な処理及び資源の有効な利用の確保を図るため、一定規模以上の解体・建設工事について、特定の資材の現場分別並びに再資源化及び減量を義務付け、その履行確保のための措置を整備するとともに、解体工事を行う者についての登録制度の創設等を行う。
 ◇特定市街化区域農地の固定資産税の課税の適正化に伴う宅地化促進臨時措置法の一部を改正する法律案
   特定市街化区域農地の宅地化促進のため、土地区画整理事業の施行の要請ができる期限及び住宅金融公庫の貸付金利の特例措置の適用期限を六年間延長する等所要の改正を行う。
 ◇都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案(仮称)
   地域の実状に応じた合理的な都市計画制限を行うため、市街化区域及び市街化調整区域の区分(線引き)を原則として都道府県が選択できることとし、用途地域が定められていない区域における特定の用途の規制の導入、特定の区域における建築物の容積の移転のための措置、都市施設に係る立体的な都市計画の決定、都市計画決定手続の透明化及び開発許可の基準の見直しを行うとともに、都市計画区域外において準都市計画区域制度(仮称)の創設及び一定規模以上の開発行為の規制の導入を行う等所要の措置を講ずる。
 ◇土砂災害防止対策の推進に関する法律案(仮称)
   土砂災害の防止に関し、既存の事業関連諸制度と相まって適切な対策を講じるため、土砂災害防止基本指針(仮称)の作成、土砂災害防止基礎調査(仮称)の実施、土砂災害警戒区域(仮称)の指定及び当該区域ごとの警戒避難体制の整備、土砂災害特別警戒区域(仮称)の指定及び当該区域内の住宅等の開発・建築行為に関する規制等の所要の措置を講ずる。

 自 治 省

※◇地方税法等の一部を改正する法律案(仮称)
   最近における社会経済情勢等にかんがみ、地方税負担の軽減及び合理化等を図るため、平成十二年度の固定資産税の評価替えに伴う土地に係る固定資産税及び都市計画税の税負担の調整措置、宅地等に係る不動産取得税の課税標準の特例措置等を講ずるほか、非課税等特別措置の整理合理化等を行う。
※◇地方交付税法等の一部を改正する法律案
   地方交付税の総額につき所要の改正を行うとともに、地方団体の必要とする行政経費の財源を措置するため単位費用等を改正する等の改正を行う。
 ◇公益法人等に派遣される一般職の地方公務員の処遇等に関する法律案(仮称)
   地域の振興、住民の福祉の向上その他公益の増進を図るため、一般職の職員を公益法人等の業務に従事させるため派遣する制度等を整備し、当該職員の処遇等に関し所要の措置を講ずる。
 ◇地方公共団体の一般職の任期付研究員の採用及び勤務条件の特例に関する法律案(仮称)
   公設試験研究機関の研究活動の活性化を図るため、研究業務に従事する一般職の職員について任期付採用制度を整備し、当該職員の勤務条件に関し所要の措置を講ずる。

 条   約

英国との社会保障協定(仮称)
  日英両国の年金保険制度への強制加入に関する法令の二重適用の回避等について定める。
就業最低年齢条約(第百三十八号)(仮称)
  十五歳及び義務教育終了年齢に達していない者の就業を原則として禁止し、十三歳以上十五歳未満の者による軽易労働への就業を認める際の要件等について定める。
公海における保存管理措置の遵守促進協定(仮称)
  公海において操業する漁船に関する旗国の責任、公海における漁獲に関する情報の交換等について定める。
国際原子力機関憲章第六条の改正(仮称)
  国際原子力機関の理事国数の増大等について定める。
国際移住機関憲章の改正(仮称)
  国際移住機関の執行委員会の廃止、憲章の改正手続の変更等について定める。
千九百九十四年の関税及び貿易に関する一般協定の譲許表第三十八表(日本国の譲許表)の修正等に関する確認書(仮称)
  WTO協定に含まれる我が国の譲許表に関し、医薬品の関税撤廃の対象産品の見直しに伴う修正及び訂正について定める。
万国郵便連合憲章の追加議定書及び関連文書(仮称)
  追加議定書は、万国郵便連合の加盟国が締結する文書の構成の変更等について定める。関連文書のうち、一般規則は、連合の運営に関する実施細目等について定め、条約は、国際郵便業務に関する規制等について定める。
郵便送金業務約定(仮称)
  郵便為替、郵便小切手等の郵便送金業務に関する規則等について定める。
国際航空運送についてのある規則の統一に関するモントリオール条約(仮称)
  国際航空運送における契約当事者の権利義務、運送人の責任及び損害賠償の範囲等について定める。
ワルソーで署名された国際航空運送についてのある規則の統一に関する条約を改正する第四議定書(仮称)
  貨物の国際航空運送における契約当事者の権利義務、運送人の責任及び損害賠償の範囲等について定める。
著作権に関する世界知的所有権機関条約(仮称)
  情報のネットワーク化及びデジタル化の進展を踏まえ、著作権を一層保護するための手続等について定める。

<参 考>

 前国会で衆議院において継続審査となったもの

 法 律 案

 ◇民事訴訟法の一部を改正する法律案
   公務員又は公務員であった者がその職務に関し保管し、又は所持する文書を対象とする文書提出命令の制度について、私文書の場合においても提出義務が除外されている類型の文書のほか、当該文書の提出により公共の利益を害し、又は公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがあるものを除き、文書提出義務があるものと定め、その除外事由の存否を裁判所が判断するものとし、その判断のための手続としていわゆるインカメラ手続を設ける等の措置を講ずる。
 ◇少年法等の一部を改正する法律案
   少年審判における事実認定手続等の一層の適正化を図るため、裁定合議制度の導入、検察官及び弁護士たる付添人が関与した審理の導入、観護措置期間の延長、検察官に対する事実認定及び法令の適用に関する抗告権の付与並びに保護処分終了後における救済手続の整備等の措置を講ずるとともに、併せて家事審判についても裁定合議制度を導入するための改正を行う。

 前国会で参議院において継続審査となったもの

 法 律 案

 ◇国民年金法等の一部を改正する法律案
   少子・高齢化の進行等年金制度を取り巻く環境の変化を踏まえ、国民年金制度及び厚生年金保険制度における給付と負担の均衡の確保、積立金の自主運用の仕組みの導入等年金制度の長期的安定を図るための所要の改正を行う。
 ◇年金資金運用基金法案
   年金積立金の自主運用を行うに当たって、その管理運用業務を行う特殊法人として、年金資金運用基金を設立する。
 ◇年金福祉事業団の解散及び業務の承継等に関する法律案
   年金福祉事業団を解散させるとともに、同事業団が行ってきた住宅資金貸付け等を別途定めるまでの間年金資金運用基金に実施させ、また、年金受給権担保小口資金貸付けを社会福祉・医療事業団に実施させる等所要の措置を講ずる。
 ◇国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律案
   国家公務員共済年金制度の長期的安定を図るため、長期給付について必要な見直しを行うとともに、短期給付として介護休業手当金を創設する等所要の改正を行う。
 ◇私立学校教職員共済法等の一部を改正する法律案
   私立学校教職員共済年金制度の長期的安定を図るため、長期給付について必要な見直しを行う等所要の改正を行う。
 ◇農林漁業団体職員共済組合法等の一部を改正する法律案
   農林漁業団体職員共済制度の長期的安定を図るため、給付について必要な見直しを行う等所要の改正を行う。
 ◇地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案
   地方公務員共済年金制度の長期的安定を図るため、長期給付について必要な見直しを行うとともに、短期給付として介護休業手当金を創設する等所要の改正を行う。






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平成十三年歌会始のお題及び詠進歌の詠進要領


一 平成十三年歌会始のお題
 「草」と定められました。
  〈注〉 詠進歌には、「草」又は「くさ」の文字が詠み込まれていればよく、「草木」、「牧草」のように「草」の入った熟語を使用しても差し支えありません。また、歌の中に「草」の字がなくても、よもぎ、すみれのように、個々の草又は草花の名が詠み込まれていれば結構です。
二 詠進歌の詠進要領
 @ 詠進歌は、お題を詠み込んだ自作の短歌で一人一首とし、未発表のものに限ります。
 A 用紙は、半紙(習字用の半紙)とし、毛筆で自書してください。ただし、海外から詠進する場合は、用紙は随意とし、毛筆でなくても差し支えありません。
 B 病気又は身体障害のため自筆する事ができない場合は、左記によることができます。
  ア 代筆による。別の紙に代筆の理由、代筆者の住所及び氏名を書いて詠進歌に添えてください。
  イ ワープロやパソコンなどを使用して印字する。この場合、これらの機器を使用した理由を別紙に書いて詠進歌に添えてください。
  ウ 視覚障害の方は、点字で詠進しても差し支えありません。
 C 書式は、半紙を横長に用い、右半分にお題と短歌、左半分に郵便番号、住所、氏名(本名・ふりがなつき)、生年月日及び職業(なるべく具体的に)を縦書きで書いてください(書式図参照)。
   無職の場合は、「無職」と書いてください(以前に職業に就いたことがある場合には、なるべくもとの職業を書いてください。)。
   なお、主婦の場合は、単に「主婦」と書いても差し支えありません。
三 注意事項
 次の場合には、詠進歌は失格となります。
 @ お題を詠み込んでいない場合
 A 一人で二首以上詠進した場合
 B 詠進歌が既に発表された短歌と同一又は著しく類似した短歌である場合
 C 詠進歌を歌会始の行われる以前に、新聞、雑誌その他の出版物、年賀状等により発表した場合
 D 二のBに記した代筆の理由書を添えた場合を除き、同筆と認められるすべての詠進歌
 E 住所、氏名、生年月日、職業を書いてないものその他この詠進要領によらない場合
四 詠進の期間
 お題発表の日から九月三十日までとし、郵送の場合は、消印が九月三十日までのものを有効とします。
五 郵便のあて先
 「〒一〇〇―八一一一 宮内庁」とし、封筒に「詠進歌」と書き添えてください。詠進歌は、小さく折って封入しても差し支えありません。
 疑問がある場合には、直接、宮内庁式部職あてに、郵便番号、住所、氏名を書き、返信用切手をはった封筒を添えて、九月二十日までに問い合わせてください。
(宮内庁)

言葉の履歴書


 ノンストップ自動料金収受システム(ETC)

 有料道路での料金の支払いに要する時間が有料道路内での渋滞を引き起こす一因となっていることから、渋滞を解消するために有料道路の料金所で、車を止めずに通行料の支払いができるようにするシステムのことです。すでに平成十二(二〇〇〇)年一月から千葉地区を中心とする首都圏の主要な料金所で試行運用を開始し、その後三月より一般車を対象に本格運用を開始することとしております。
 ETCは、有料道路料金所のトールゲートに設置したアンテナと、契約情報などが記録されたICカードを挿入してある無線装置(車両のダッシュボードの上などに設置)の双方に、料金計算に必要な情報を記録する仕組みになっています。
 積載したICカードにどの入り口を使ったかが記録され、出口でも同じような交信を行い、距離に応じた料金が確定するものです。
 今後、ICカードとクレジットカードの提携を図るなどのサービス展開が検討されています。
(運輸省)





    <3月8日号の主な予定>

 ▽青少年白書のあらまし…………………総 務 庁 

 ▽毎月勤労統計調査(十一月分)………労 働 省 

 ▽月例経済報告(二月報告)……………経済企画庁 




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