官報資料版 平成12年4月19日




                  ▽平成十一年科学技術研究調査結果の概要………総 務 庁

                  ▽労働力調査(十二月)……………………………総 務 庁

                  ▽家計収支(十二月分)……………………………総 務 庁

                  ▽月例経済報告(三月報告)………………………経済企画庁

                  ▽平成十一年平均家計収支…………………………総 務 庁











平成11年


科学技術研究調査結果の概要


―我が国の科学技術研究の現況―


総 務 庁


 総務庁統計局では、平成十一年科学技術研究調査の結果を公表した。
 この調査は、我が国の科学技術に関する研究活動の状態を調査し、科学技術の振興に必要な基礎資料を得ることを目的として、昭和二十八年以降、毎年四月一日現在で実施している。
 調査の内容は、資本金、売上高、研究関係従事者数、研究費(人件費・有形固定資産購入費等の別、基礎研究・応用研究等の別、製品分野別など)、国際技術交流の状況などである。
 なお、売上高、研究費等の財務事項は、四月一日前の最近の決算日をさかのぼる一年間について調査している。
 平成十一年調査は、会社等約一万二千四百、研究機関約一千四百、大学等約二千八百を対象としており、会社等については、資本金十億円以上の会社及び前年調査で研究を実施していた会社は全数調査、それ以外は標本調査で行い、研究機関、大学等については、全数調査で行った。
 また、本調査の附帯調査として実施していたエネルギー研究調査及びライフサイエンス研究調査を廃止し、平成十一年調査より、特定目的別研究費の項目にライフサイエンス及びエネルギーを新たに追加した。なお、エネルギーの内訳として原子力も追加した。

◇科学技術研究調査

 (1) 研究費
<平成十年度の研究費は引き続き増加>
 平成十年度の我が国の科学技術研究費は十六兆一千三百九十九億円となり、前年度に比べ二・五%の増加となっている。
 研究費の推移をみると、平成元年度及び二年度は一〇%を超える伸びだったが、景気の調整過程に入った三年度は五・三%増、四年度は一・〇%増と伸びが低下、五年度には調査開始以来初めて対前年度比マイナスとなり、六年度も〇・八%減と二年連続の減少となったが、七年度は六・〇%増と三年ぶりに増加に転じ、八年度は三・四%増、九年度は四・四%増、十年度は二・五%増となっている。
 また、実質研究費(平成七年度基準)は十六兆一千百五十二億円となり、前年度に比べ四・六%の増加となっている(第1図参照)。
 研究費のうち、自然科学部門についてみると、平成十年度の研究費は十四兆八千二百四十五億円で、前年度に比べ二・三%の増加となっている。
 研究費全体に占める自然科学部門の研究費の割合は九一・八%で、前年度に比べ〇・三ポイント低下している。この割合の推移をみると、平成二年度までの拡大傾向から、三年度は横ばい、四年度以降は三年連続の縮小となった。七年度以降は三年連続の拡大に転じ、十年度は再び縮小に転じた。
<研究費の対国内総生産比は引き続き上昇>
 平成十年度の研究費の国内総生産(GDP)に対する比率は、三・二六%となり、前年度に比べ〇・一四ポイントの上昇となっている。
 この比率の推移をみると、平成二年度までは、おおむね研究費の伸びがGDPの伸びを上回っていたため上昇傾向で推移し、二年度には二・九八%となった。その後、研究費の伸びの低迷から三年度以降、四年連続で前年度を下回ったが、七年度は五年ぶりに前年度を上回って二・九四%となり、七年度以降、四年連続して上昇している(第2図参照)。

 (2) 研究主体別研究費
<会社等の研究費の伸びは鈍化>
 平成十年度の研究費を研究主体別にみると、会社等が十兆八千一億円(対前年度比一・三%増)、研究機関が二兆一千百七十億円(同四・六%増)及び大学等が三兆二千二百二十九億円(同五・四%増)となっている(第1表参照)。
 研究主体別に研究費の推移をみると、会社等は、平成元年度は、一四・一%増と高い伸びであったが、三年度は五・一%増と伸びが鈍化し、四年度には一・九%減と減少に転じた。その後、六年度まで三年連続の減少となったが、七年度は四年ぶりに四・六%増となり、八年度は五・二%増、九年度は六・〇%増となったが、十年度は一・三%増と伸びが鈍化した。
 研究機関は、平成元年度以降、四〜九%台の安定した伸びで推移していたが、六年度に一・八%減と減少に転じ、七年度は九・〇%増となったものの、八年度は一・一%減と再び減少に転じた。その後は、九年度は〇・八%増、十年度は四・六%増と、二年連続して増加している。
 大学等は、会社等や研究機関に比べ、各年度における増加の振幅は小さく、比較的安定した動きを示している。平成五年度までは堅調な増加を続け、その後、六年度は〇・二%減とわずかに減少したが、七年度は八・三%増、八年度は一・〇%増、九年度は一・五%増、十年度は五・四%増となっている。

 (3) 支出源別研究費
<国・地方公共団体の割合が増加>
 平成十年度の研究費を支出源別にみると、民間が十二兆五千九百三十三億円、国・地方公共団体が三兆四千九百八十五億円となっており、前年度に比べ民間は〇・八%増、国・地方公共団体も九・二%増と、引き続き増加となった。この結果、研究費支出に占める割合は、民間が七八・〇%、国・地方公共団体が二一・七%となり、民間の研究費割合は、前年度に比べ一・四ポイント低下し、国・地方公共団体は一・三ポイント上昇した(第2表参照)。
 支出源別の割合の推移をみると、民間の研究費の割合は、昭和五十五年度以降は六十年代前半の円高不況期を除き上昇を続けた後、平成二年度の八二・〇%をピークに、おおむね低下傾向にあり、八年度及び九年度は上昇に転じたが、十年度は再び低下となった。

 (4) 性格別研究費
<基礎研究費の支出割合が増加>
 平成十年度の自然科学に使用した研究費を基礎、応用、開発の三部門の性格別にみると、基礎研究費が二兆五百三十八億円(対前年度比三・四%増)、応用研究費が三兆六千二百六十一億円(同三・〇%増)、開発研究費が九兆四百五十六億円(同二・〇%増)となっている(第3表参照)。
 性格別研究費の構成比の推移をみると、昭和五十年代以降は、基礎研究費はおおむね低下傾向、応用研究費は横ばい又はわずかな低下傾向、開発研究費は上昇傾向で推移していた。平成三年度以降になると、基礎研究費比率が上昇傾向になったものの、八年度以降、再び低下、しかし十年度は上昇に転じた。

 (5) 費目別研究費
<原材料費が減少>
 平成十年度の研究費を費目別にみると、人件費が七兆四千百六十億円(対前年度比二・九%増)、原材料費が二兆六千五百億円(同一・七%減)、有形固定資産購入費が一兆九千三百八十三億円(同二・二%増)、事務費、通信費、図書費、光熱費などの「その他の経費」が四兆一千三百五十六億円(同五・〇%増)となっており、原材料費のみが減少している。
 費目別研究費の推移をみると、人件費は、平成三年度までは研究関係従事者の持続的増加と給与水準の上昇を背景に、五%を上回る増加を示していたが、四年度には四・七%増、五年度以降は四%以下の低い伸びで推移し、十年度には二・九%増となった。原材料費は、昭和六十三年度から平成二年度までの一三%台の高い伸びから、三年度には〇・二%増、四年度及び五年度はそれぞれ三・四%減、七・五%減と低迷した。六年度以降は堅調に増加したが、十年度は一・七%減に転じた。有形固定資産購入費は、平成三年度まではおおむね増加傾向で推移していたが、四年度から六年度は減少している。その後、七年度は一五・五%増と増加に転じ、八年度は五・四%減と再び減少したものの、九年度は一・五%増、十年度は二・二%増となった。また、「その他の経費」は平成四年度まで増加が続き、五年度及び六年度は減少したが、七年度以降は再び増加に転じている(第4表参照)。

 (6) 特定目的別研究費
<宇宙開発費が減少>
 平成十年度の研究費支出のうち、宇宙開発、海洋開発、情報処理、環境の保護の特定目的について支出した研究費をみると、情報処理が一兆六千八百二十九億円(対前年度比七・〇%増)、環境の保護が三千八百六十三億円(同五・三%増)、海洋開発が八百七十二億円(同一一・七%増)と増加しているが、宇宙開発は二千五百六十六億円(同〇・八%減)と減少している。
 平成十一年調査から調査を開始したライフサイエンス及びエネルギーの特定目的別研究費は、それぞれ一兆五千七百六十四億円、一兆一千五十二億円となっている。また、エネルギーのうち原子力は四千五百六十億円となっている。
 それぞれの特定目的別研究費について、研究費全体に占める割合をみると、宇宙開発は一・六%、海洋開発は〇・五%、情報処理は一〇・四%、環境の保護は二・四%、ライフサイエンスは九・八%、エネルギーは六・八%となっている。また、エネルギーのうち原子力は二・八%となっている。これらについて、最近の推移をみると、宇宙開発は昭和六十年度以降、一・七%前後で推移していたが、平成七年度に一・九%となり、その後十年度には一・六%と低下している。海洋開発は平成二年度及び三年度に〇・四%まで低下した後、増加傾向で推移し、七年度及び八年度は〇・六%となったが、九年度及び十年度は〇・五%となっている。情報処理は平成三年度までは急速に拡大し、三年度には八・七%となったが、四年度及び五年度は情報処理研究費が減少したことにより、それぞれ七・九%、七・八%と低下した。その後、六年度は横ばい、七年度以降は拡大し、十年度は一〇・四%となっている。また、環境の保護はわずかではあるが、拡大傾向にある(第5表参照)。

 (7) 研究関係従事者数
<研究関係従事者は増加>
 平成十一年四月一日現在の研究関係従事者は百五万四千四百人で、前年に比べ三・一%増加している。
 職種別にみると、研究者が七十八万一千七百人(対前年比三・六%増)、研究補助者が八万六千八百人(同三・九%増)、技能者が九万一千九百人(同三・一%増)、研究事務その他の関係者が九万四千百人(同一・九%減)となっており、研究事務その他の関係者のみが減少している。
<研究者比率は引き続き上昇>
 研究関係従事者の職種別割合の推移をみると、研究者の割合は昭和五十年代後半以降上昇傾向で推移し、平成十一年には七四・一%と研究関係従事者の七割強が研究者となっている。これに対し、研究補助者、技能者の割合は低下傾向で推移し、平成十一年にはそれぞれ八・二%、八・七%となっている。また、研究事務その他の関係者は昭和六十年以降一〇%台で推移していたが、平成七年以降低下し、十一年は八・九%と五年連続で低下している。

 (8) 研究本務者数
<研究本務者の女性比率は前年並み>
 平成十一年四月一日現在の研究者を本務者(所属の組織で研究を主とする者)と兼務者(外部に本務をもつ研究者)に分けてみると、本務者が七十三万二千七百人(研究者に占める割合九三・七%)、兼務者が四万九千人(同六・三%)となっている。
 研究本務者を男女別にみると、男性が六十五万九千六百人(本務者に占める割合九〇・〇%)、女性が七万三千人(同一〇・〇%)となっている。
 過去からの推移をみると、女性の本務者全体に占める割合は、昭和五十七年の六・〇%から平成十年には一〇・一%まで拡大したが、平成十一年は一〇・〇%と前年並みになっている(第6表参照)。

 (9) 研究本務者一人当たり研究費
<一人当たり研究費は減少>
 平成十年度の研究本務者一人当たり研究費(平成十年度の研究費を平成十一年四月一日現在の研究本務者数で除して算出)は二千二百三万円で、前年度に比べ一・四%の減少となっている。
 対前年度比の推移をみると、昭和六十年度まではおおむね五〜一〇%台の高い伸びで推移したが、六十一年度から六十三年度は景気後退の影響を受けて伸びが鈍化した。その後、平成元年度から三年度は二〜六%台の伸びで推移したが、四年度から六年度は減少を続けた。しかし、七年度は景気の緩やかな回復に伴い四年ぶりに三・七%増となり、八年度は二・四%増、九年度は三・一%増となったが、平成十年度は一・四%の減少に転じた(第3図参照)。

 (10) 会社等研究費
<会社等の研究費は引き続き増加>
 平成十年度の会社等における研究費は十兆八千一億円で、前年度に比べ一・三%増となっている。研究費の最近の動きをみると、平成四年度一・九%減、五年度五・三%減、六年度〇・八%減と、三年連続で減少となった後、七年度四・六%増、八年度五・二%増、九年度六・〇%増、十年度一・三%増(九年度以降はソフトウェア業を含む。)と四年連続の増加となっている。
 会社等から特殊法人を除いた会社の研究費十兆六千六百八十一億円を資本金階級別にみると、資本金百億円以上の会社が七兆八千百十一億円(会社等の研究費全体に占める割合七二・三%)、十億〜百億円未満が一兆五千三百五十六億円(同一四・二%)、一億〜十億円未満が八千三百十七億円(同七・七%)、一千万〜一億円未満が四千八百九十六億円(同四・五%)となっている。

 (11) 産業別研究費
<製造業の研究費は前年並み>
 平成十年度の研究費を産業大分類別にみると、製造業が九兆八千七十一億円(会社等研究費に占める割合九〇・八%)と最も多く、次いで運輸・通信・公益業が四千四百七十七億円(同四・一%)、ソフトウェア業が三千二百八十八億円(同三・〇%)、建設業が一千七百六十七億円(同一・六%)、鉱業が二百七十九億円(同〇・三%)、農林水産業が百十九億円(同〇・一%)となっている。
 これを前年度と比較してみると、農林水産業(対前年度比一〇・一%増)、鉱業(同一〇・四%増)、運輸・通信・公益業(同九・九%増)、ソフトウェア業(同八九・五%増)は増加しているのに対し、建設業(同二一・五%減)は減少、製造業(同〇・一%減)は前年並みとなっている。
<電気機械工業、輸送用機械工業、化学工業で会社等研究費の六四・六%>
 平成十年度の製造業の研究費を産業中分類別にみると、電気機械工業が三兆七千百二十八億円(会社等研究費に占める割合三四・四%)と最も多く、次いで輸送用機械工業が一兆六千三百二十億円(同一五・一%)、化学工業が一兆六千三百九億円(同一五・一%)となっており、この上位三産業で会社等研究費の六四・六%を占めている。
 主な産業について研究費の対前年度比をみると、精密機械工業(一一・二%増)が一〇%を超える大幅な増加となっており、出版・印刷業(八・七%増)、ゴム製品工業(五・六%増)、パルプ・紙工業(五・一%増)が五%を超える増加となっている。一方、石油製品・石炭製品工業(二三・〇%減)、非鉄金属工業(一四・七%減)、鉄鋼業(一二・二%減)が一〇%を超える減少となっている。

 (12) 売上高に対する研究費の比率
<売上高比率は引き続き上昇>
 研究を実施している会社の平成十年度の売上高に対する研究費の比率(売上高比率)は三・一八%となっている。
 この比率の推移をみると、平成五年度に〇・〇七ポイント、六年度に〇・〇四ポイントと二年連続の低下となった後、七年度は研究費の伸びが売上高の伸びを上回ったため〇・〇一ポイント上昇し、八年度は〇・〇四ポイント、九年度は〇・〇八ポイント、十年度は〇・三三ポイントの上昇となり、四年連続の上昇となっている。
<売上高比率は化学工業の中の医薬品工業で高い>
 平成十年度の売上高比率を主な産業別にみると、ソフトウェア業が一〇・〇八%で最も高く、次いで精密機械工業が六・三三%、電気機械工業が六・三二%、化学工業が五・四九%、輸送用機械工業が四・一二%などとなっており、特に化学工業の中でも医薬品工業が引き続き八・〇七%と高い割合を示している。
 これを前年度と比較してみると、売上高比率が上昇しているのは、ソフトウェア業(二・二四ポイント上昇)、鉱業(〇・九六ポイント上昇)、機械工業(〇・三五ポイント上昇)、化学工業(〇・二五ポイント上昇)、電気機械工業(〇・二七ポイント上昇)などである。一方、売上高比率が低下しているのは、繊維工業(〇・一八ポイント低下)、ゴム製品工業(〇・一八ポイント低下)などとなっている。

 (13) 国際技術交流(技術貿易)
<技術輸出の受取額は引き続き増加>
 平成十年度における会社等の技術貿易(諸外国との特許、ノウハウなどの技術の提供及び受入れ)についてみると、技術輸出は、件数が九千五百十七件、受取額が九千百六十一億円で、前年度に比べ件数では四百九十一件(四・九%減)の減少、受取額では八百四十五億円(一〇・二%増)の増加となっている。また、技術輸入は、件数が六千六百八十七件、支払額が四千三百一億円で、前年度に比べ、それぞれ一千二百一件(一五・二%減)、八十三億円(一・九%減)の減少となっている。この結果、受取額が支払額を四千八百六十億円上回り、受取額超過は前年度よりも更に拡大している。技術輸出の一件当たりの受取額は九千六百二十六万円(平成九年度八千三百九万円)、技術輸入の一件当たりの支払額は六千四百三十二万円(同五千五百五十八万円)となっている。
 支払額に対する受取額の倍率(技術貿易収支比率)の推移をみると、昭和四十六年度から次第に上昇し、五十九年度には〇・九七となった。その後は平成四年度まではおおむね一・〇〇を下回る水準で推移したが、五年度には支払額が大幅に減少したことから一・一〇となり、六年度以降は支払額の増加よりも受取額の増加が大きいことから支払額に対する受取額の倍率は増加を続け、十年度には二・一三となった(第7表参照)。
<受取額、支払額とも三産業に集中>
 平成十年度の技術貿易額を主な産業別にみると、受取額では、輸送用機械工業が四千三百五十七億円と最も多く、次いで電気機械工業が二千三百七十八億円、化学工業が一千二百二十八億円となっている。一方、支払額は電気機械工業が二千五十億円、化学工業が七百十七億円、輸送用機械工業が三百六十二億円となっており、これら三業種で受取額、支払額のそれぞれ八七%、七三%を占めている。
 この三業種について、受取額、支払額を前年度と比較してみると、受取額では、輸送用機械工業及び化学工業がそれぞれ二四・二%増、一五・〇%増となったが、電気機械工業は三・四%減となった。支払額では、化学工業及び輸送用機械工業が六・五%増、三・九%増となり、電気機械工業は六・四%減となっている。
<技術輸入はアメリカ合衆国が七割を占める>
 平成十年度の技術貿易額を相手国先別にみると、受取額、支払額ともアメリカ合衆国が最も多く、受取額は四千二百六十億円(受取額全体に占める割合四六・五%)、支払額は三千三十八億円(支払額全体に占める割合七〇・七%)となっている。このほか受取額が多い国は、中国が九百三十七億円(受取額全体に占める割合一〇・二%)[うち台湾が五百三億円(同五・五%)]、イギリスが七百五十三億円(同八・二%)、カナダが四百九十四億円(同五・四%)、韓国が三百八十五億円(同四・二%)、タイが三百四億円(同三・三%)、シンガポールが二百五十一億円(同二・七%)、マレーシアが二百四十七億円(同二・七%)などとなっており、近隣のアジア諸国からの受取額が多くなっている。
 一方、支払額はアメリカ合衆国が七割を占めるが、このほかではオランダが二百六十八億円(支払額全体に占める割合六・二%)、ドイツが二百二十九億円(同五・三%)、スイスが百八十五億円(同四・三%)、フランスが百六十六億円(同三・九%)などヨーロッパ諸国で多くなっている。
 地域別にみると、受取額では北アメリカが四千八百四億円(受取額全体に占める割合五二・四%、対前年度比二一・八%増)で最も多く、次いでアジアが二千五百三十四億円(同二七・七%、同一一・九%減)、ヨーロッパが一千五百五十億円(同一六・九%、同二四・四%増)となっている。
 一方、支払額は、北アメリカが三千六十一億円(支払額全体に占める割合七一・二%、対前年度比二・四%減)で最も多く、次いでヨーロッパが一千百八十五億円(同二七・六%、同一・一%減)となっている(第4図参照)。


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十二月の雇用・失業の動向


―労働力調査 平成十一年十二月結果の概要―


総 務 庁


◇就業状態別の人口

 平成十一年十二月末の十五歳以上人口は一億八百五万人で、前年同月に比べ五十八万人(〇・五%)の増加となっている。これを就業状態別にみると、就業者は六千四百二十七万人、完全失業者は二百八十八万人、非労働力人口は四千七十七万人で、前年同月に比べそれぞれ十六万人(〇・二%)減、十五万人(五・五%)増、五十八万人(一・四%)増となっている。
 また、十五〜六十四歳人口は八千六百七十一万人で、前年同月に比べ九万人(〇・一%)の減少となっている。これを就業状態別にみると、就業者は五千九百六十一万人、完全失業者は二百七十八万人、非労働力人口は二千四百十九万人で、前年同月に比べそれぞれ二十六万人(〇・四%)減、十四万人(五・三%)増、一万人(〇・〇%)増となっている。

◇労働力人口(労働力人口比率)

 労働力人口(就業者と完全失業者の合計)は六千七百十五万人で、前年同月に比べ二万人(〇・〇%)の減少となっている。男女別にみると、男性は四千十四万人、女性は二千七百一万人で、前年同月に比べると、男性は一万人(〇・〇%)の減少、女性は同数(増減なし)となっている。
 また、労働力人口比率(十五歳以上に占める労働力人口の割合)は六二・一%で、前年同月に比べ〇・四ポイントの低下と、二十三か月連続の低下となっている。

◇就業者

(1) 就業者

 就業者数は六千四百二十七万人で、前年同月に比べ十六万人(〇・二%)の減少となっている。男女別にみると、男性は三千八百二十八万人、女性は二千五百九十九万人で、前年同月と比べると、男性は十五万人(〇・四%)減となっており、女性は二万人(〇・一%)減となっている。

(2) 従業上の地位

 就業者数を従業上の地位別にみると、雇用者は五千三百三十七万人、自営業主・家族従業者は一千六十四万人となっている。前年同月と比べると、雇用者は三十七万人(〇・七%)減となっており、自営業主・家族従業者は十九万人(一・八%)増となっている。
 雇用者のうち、非農林業雇用者数及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○非農林業雇用者…五千三百一万人で、三十八万人(〇・七%)減
 ○常 雇…四千六百三十四万人で、五十五万人(一・二%)減、二十四か月連続の減少
 ○臨時雇…五百四十三万人で、二十万人(三・八%)増、平成八年九月以降増加が継続
 ○日 雇…百二十四万人で、三万人(二・四%)減

(3) 産 業

 主な産業別就業者数及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○農林業…二百五十七万人で、四万人(一・五%)減
○建設業…六百三十三万人で、三十五万人(五・二%)減、六か月ぶりの減少
○製造業…一千三百六十万人で、二十四万人(一・七%)減、三十一か月連続で減少
○運輸・通信業…四百十三万人で、十二万人(二・八%)減
○卸売・小売業、飲食店…一千五百十三万人で、三十四万人(二・三%)増
○サービス業…一千六百七十三万人で、三十三万人(二・〇%)増、二か月連続で増加
 また、主な産業別雇用者数及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○建設業…五百二十五万人で、三十三万人(五・九%)減、四か月ぶりの減少
○製造業…一千二百三十五万人で、三十一万人(二・四%)減、三十一か月連続で減少
○運輸・通信業…三百九十二万人で、十四万人(三・四%)減
○卸売・小売業、飲食店…一千二百十七万人で、二十二万人(一・八%)増
○サービス業…一千四百二十三万人で、三十一万人(二・二%)増、二か月連続で増加

(4) 従業者階級

 企業の従業者階級別非農林業雇用者及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○一〜二十九人規模…一千七百二十八万人で、四十九万人(二・八%)減少
○三十〜四百九十九人規模…一千七百十三万人で、二十五万人(一・四%)減少
○五百人以上規模…一千二百七十四万人で、十五万人(一・二%)増加

(5) 就業時間

 十二月末一週間の就業時間階級別の従業者数(就業者から休業者を除いた者)及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○一〜三十五時間未満…二千十五万人で、四万人(〇・二%)減少
○三十五時間以上…四千二百七十四万人で、七万人(〇・二%)減少
 また、非農林業の従業者一人当たりの平均週間就業時間は四一・〇時間で、前年同月に比べ〇・一時間の増加となっている。

(6) 転職希望者

 就業者(六千四百二十七万人)のうち、転職を希望している者(転職希望者)は六百二十八万人で、このうち実際に求職活動を行っている者は二百四十六万人となっており、前年同月に比べそれぞれ二十万人(三・三%)増、十五万人(六・五%)増となっている。
 また、就業者に占める転職希望者の割合(転職希望者比率)は九・八%で、前年同月に比べ〇・四ポイントの上昇となっている。男女別にみると、男性は九・七%で、前年同月に比べ〇・四ポイントの上昇、女性は九・九%で、前年同月に比べ〇・三ポイントの上昇となっている。

◇完全失業者

(1) 完全失業者数

 完全失業者数は二百八十八万人で、前年同月に比べ十五万人(五・五%)の増加となっている。男女別にみると、男性は百八十五万人、女性は百二万人となっている。前年同月に比べると、男性は十二万人(六・九%)の増加、女性は一万人(一・〇%)の増加となっている。
 また、求職理由別完全失業者数及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○非自発的な離職による者…九十二万人で、三万人増加
○自発的な離職による者…百二万人で、六万人増加
○学卒未就職者…十三万人で、二万人増加
○その他の者…七十万人で、八万人増加

(2) 完全失業率(原数値)

 完全失業率(労働力人口に占める完全失業者の割合)は四・三%で、前年同月に比べ〇・二ポイントの上昇となっている。男女別にみると、男性は四・六%で、〇・三ポイントの上昇、女性は三・八%で、〇・一ポイントの上昇となっている。

(3) 年齢階級別完全失業者数及び完全失業率(原数値)

 年齢階級別完全失業者数、完全失業率及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
 [男]
○十五〜二十四歳…三十八万人(六万人増)、九・五%(一・八ポイント上昇)
○二十五〜三十四歳…四十三万人(五万人増)、四・七%(〇・五ポイント上昇)
○三十五〜四十四歳…二十四万人(一万人増)、三・一%(〇・二ポイント上昇)
○四十五〜五十四歳…三十万人(三万人増)、三・二%(〇・三ポイント上昇)
○五十五〜六十四歳…四十二万人(二万人減)、六・二%(〇・三ポイント低下)
 ・五十五〜五十九歳…十七万人(二万人増)、四・一%(〇・四ポイント上昇)
 ・六十〜六十四歳…二十六万人(三万人減)、九・八%(〇・六ポイント低下)
○六十五歳以上…八万人(同数)、二・六%(〇・一ポイント低下)
 [女]
○十五〜二十四歳…二十二万人(四万人減)、六・〇%(〇・七ポイント低下)
○二十五〜三十四歳…三十五万人(二万人増)、六・一%(〇・二ポイント上昇)
○三十五〜四十四歳…十六万人(二万人増)、三・一%(〇・四ポイント上昇)
○四十五〜五十四歳…十八万人(二万人増)、二・七%(〇・三ポイント上昇)
○五十五〜六十四歳…十一万人(同数)、二・七%(同率)
○六十五歳以上…一万人(同数)、〇・六%(同率)

(4) 世帯主との続き柄別完全失業者数及び完全失業率(原数値)

 世帯主との続き柄別完全失業者数、完全失業率及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○世帯主…八十五万人(三万人増)、三・一%(〇・一ポイント上昇)
○世帯主の配偶者…三十二万人(一万人減)、二・三%(同率)
○その他の家族…百二十九万人(十五万人増)、七・二%(〇・八ポイント上昇)
○単身世帯…四十二万人(二万人減)、五・五%(〇・二ポイント低下)

(5) 完全失業率(季節調整値)

 季節調整値でみた完全失業率は四・六%で、前月に比べ〇・一ポイントの上昇となっている。男女別にみると、男性は四・八%で、前月に比べ〇・一ポイントの上昇、女性は四・三%で、前月に比べ〇・一ポイントの上昇となっている。

(6) 地域別完全失業率

 平成十一年十〜十二月平均の地域別完全失業率及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○北海道…五・三%(〇・七ポイント上昇)
○東 北…四・〇%(〇・一ポイント低下)
○南関東…四・五%(〇・一ポイント低下)
○北関東・甲信…三・八%(〇・六ポイント上昇)
○北 陸…三・二%(同率)
○東 海…三・八%(〇・五ポイント上昇)
○近 畿…五・四%(〇・四ポイント上昇)
○中 国…三・七%(〇・六ポイント上昇)
○四 国…三・六%(同率)
○九 州…四・九%(同率)














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消費支出(全世帯)は実質四・〇%の減少


―平成十一年十二月分家計収支―


総 務 庁


◇全世帯の家計

 全世帯の消費支出は、平成十一年二月以降三か月連続の実質減少となった後、五月は実質増加、六月は実質減少、七月、八月は実質増加となり、九月以降四か月連続の実質減少となった。

◇勤労者世帯の家計

 勤労者世帯の実収入は、平成十一年三月以降三か月連続の実質減少となった後、六月は実質増加となり、七月以降六か月連続の実質減少となった。
 消費支出は、平成十一年二月以降三か月連続の実質減少となった後、五月は実質増加、六月は実質減少、七月は実質増加となり、八月以降五か月連続の実質減少となった。

◇勤労者以外の世帯の家計

 勤労者以外の世帯の消費支出は、一世帯当たり三十三万三千三百十六円。
 前年同月に比べ、名目三・八%の減少、実質二・五%の減少。












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月例経済報告(三月報告)


経済企画庁


 概 観

 我が国経済の最近の動向をみると、個人消費は、年末に比べれば持ち直しているものの、収入が低迷していることから、改善傾向の定着には至っていない。住宅建設は、このところやや減少していたが、直近は、一時的な要因もあり、高水準となっている。設備投資は、総じて下げ止まりつつあり、持ち直しの動きが広がっている。公共投資は、事業の実施は前年を下回っているが、着工などには、第二次補正予算などの効果が現れている。輸出は、アジア向けを中心に、増加している。
 在庫は、ほぼ調整を終了し、生産は、緩やかに増加している。
 雇用情勢は、残業時間や求人の増加といった動きがあるものの、完全失業率が高水準で推移するなど、依然として厳しい。
 企業収益は、改善している。また、企業の業況判断は、なお厳しいが改善が進んでいる。
 我が国経済は、全体として需要の回復が弱く、厳しい状況をなお脱していない。しかし、各種の政策効果やアジア経済の回復などの影響から、景気は、緩やかな改善が続いている。企業の活動に積極性もみられるようになるなど、自律的回復に向けた動きが徐々に現れている。
 政府は、公需から民需へのバトンタッチを円滑に行い、景気を本格的な回復軌道に乗せていくとともに、二十一世紀の新たな発展基盤を築くため、経済新生対策を始めとする諸施策を推進する。

     ◇    ◇    ◇

 我が国経済
 需要面をみると、個人消費は、年末に比べれば持ち直しているものの、収入が低迷していることから、改善傾向の定着には至っていない。住宅建設は、このところやや減少していたが、直近は、一時的な要因もあり、高水準となっている。設備投資は、総じて下げ止まりつつあり、持ち直しの動きが広がっている。公共投資は、事業の実施は前年を下回っているが、着工などには、第二次補正予算などの効果が現れている。
 十一年十〜十二月期(速報)の実質国内総生産は、前期比一・四%減(年率五・五%減)となり、うち内需寄与度はマイナス一・〇%となった。
 産業面をみると、在庫は、ほぼ調整を終了し、生産は、緩やかに増加している。企業収益は、改善している。また、企業の業況判断は、なお厳しいが改善が進んでいる。企業倒産件数は、おおむね横ばいとなっている。
 雇用情勢は、残業時間や求人の増加といった動きがあるものの、完全失業率が高水準で推移するなど、依然として厳しい。
 輸出入は、対アジア輸出入を中心に、増加している。国際収支をみると、貿易・サービス収支の黒字は、基調としては緩やかに減少している。対米ドル円相場(インターバンク直物中心相場)は、二月は下旬にかけて百十一円台にまで下落したが、月末には百十円台までやや上昇した。
 物価の動向をみると、国内卸売物価は、おおむね横ばいで推移している。また、消費者物価は、安定している。
 最近の金融情勢をみると、短期金利は、二月から三月上旬にかけて横ばいで推移した。長期金利は、二月は上旬にやや上昇した後、三月上旬にかけて横ばいで推移した。株式相場は、二月は上旬に上昇した後、三月上旬にかけて一進一退で推移した。マネーサプライ(M+CD)は、二月は前年同月比二・一%増となった。また、企業金融のひっ迫感は緩和しているが、民間金融機関の貸出は依然低調である。

 海外経済
 主要国の経済動向をみると、アメリカでは、先行きには不透明感もみられるものの、景気は拡大を続けている。実質GDPは、九九年七〜九月期前期比年率五・七%増の後、十〜十二月期は同六・九%増(速報値)となった。個人消費は増加している。設備投資は七〜九月期の大幅増の反動もあり伸びが鈍化している。住宅投資はこのところ伸びが鈍化している。鉱工業生産(総合)は増加している。雇用は拡大している。物価は総じて安定している。財の貿易収支赤字(国際収支ベース)は拡大している。二月の長期金利(三十年物国債)は、総じて低下基調で推移した。株価(ダウ平均)は、総じて下落基調で推移した。
 西ヨーロッパをみると、ドイツでは、景気は緩やかに拡大している。フランス、イギリスでは、景気は拡大している。鉱工業生産は、ドイツ、フランスでは増加している。イギリスではこのところ伸びが鈍化している。失業率は、ドイツ、フランスでは高水準ながらもやや低下している。イギリスでは低下している。物価は、ドイツでは輸入物価の上昇が見られるものの総じて安定している。フランスでは総じて安定している。イギリスでは安定している。
 東アジアをみると、中国では、景気の拡大テンポは鈍化している。物価は下落している。輸出は増加している。韓国では、景気は拡大している。貿易は、輸出入ともに、大幅な増加が続いている。
 国際金融市場の二月の動きをみると、米ドル(実効相場)は、やや増価基調で推移した。
 国際商品市況の二月の動きをみると、CRB商品先物指数は、上旬に二一五ポイント台まで上昇した後、下旬にかけては下落基調で推移した。原油スポット価格(北海ブレント)は、月初から上昇基調で推移し、中旬から下旬にかけ一時二十七ドル割れしたものの、月末には二十八ドル台後半の水準まで上昇した。

1 国内需要
―設備投資は、総じて下げ止まりつつあり、持ち直しの動きが広がっている―

 実質国内総生産(平成二年基準、速報)の動向をみると、十一年七〜九月期前期比一・〇%減(年率三・九%減)の後、十一年十〜十二月期は同一・四%減(同五・五%減)となった。内外需別にみると、国内需要の寄与度はマイナス一・〇%となり、財貨・サービスの純輸出の寄与度はマイナス〇・五%となった。需要項目別にみると、民間最終消費支出は前期比一・六%減、民間企業設備投資は同四・六%増、民間住宅は同五・八%減となった。また、財貨・サービスの輸出は前期比〇・四%増、財貨・サービスの輸入は同四・四%増となった。
 個人消費は、年末に比べれば持ち直しているものの、収入が低迷していることから、改善傾向の定着には至っていない。
 家計調査でみると、実質消費支出(全世帯)は前年同月比で十二月四・〇%減の後、一月(速報値)は三・二%減(季節調整済前月比一・六%増)となった。世帯別の動きをみると、勤労者世帯で前年同月比三・〇%減、勤労者以外の世帯では同三・四%減となった。形態別にみると、財、サービスともに減少となった。なお、消費水準指数は全世帯で前年同月比二・八%減、勤労者世帯では同三・〇%減となった。また、農家世帯(農業経営統計調査)の実質現金消費支出は前年同月比で十二月五・七%減となった。小売売上面からみると、小売業販売額は前年同月比で十二月一・三%減の後、一月(速報値)は二・二%減(季節調整済前月比一・一%減)となった。全国百貨店販売額(店舗調整済)は前年同月比で十二月二・一%減の後、一月(速報値)〇・七%減となった。チェーンストア売上高(店舗調整後)は、前年同月比で十二月五・九%減の後、一月五・八%減となった。一方、耐久消費財の販売をみると、乗用車(軽を含む)新車新規登録・届出台数は、前年同月比で二月(速報値)は四・七%増となった。また、家電小売金額(日本電気大型店協会)は、前年同月比で一月は九・四%増となった。レジャー面を大手旅行業者十三社取扱金額でみると、一月は前年同月比で国内旅行が一・八%減、海外旅行は一三・一%減となった。
 賃金の動向を毎月勤労統計でみると、現金給与総額は、事業所規模五人以上では前年同月比で十二月二・三%減の後、一月(速報)は一・八%増(事業所規模三十人以上では同二・〇%増)となり、うち所定外給与は、一月(速報)は同二・九%増(事業所規模三十人以上では同三・三%増)となった。実質賃金は、前年同月比で十二月一・〇%減の後、一月(速報)は二・九%増(事業所規模三十人以上では同三・二%増)となった。なお、十一〜一月合算の特別給与(速報)は、前年同期比三・四%減(前年は同七・九%減)となった。
 住宅建設は、このところやや減少していたが、直近は、一時的な要因もあり、高水準となっている。
 新設住宅着工をみると、総戸数(季節調整値)は、前月比で十二月は三・〇%減(前年同月比〇・八%減)となった後、一月は一六・四%増(前年同月比一六・八%増)の十一万三千戸(年率百三十五万戸)となった。一月の着工床面積(季節調整値)は、前月比一六・八%増(前年同月比二四・六%増)となった。一月の戸数の動きを利用関係別にみると、持家は前月比八・九%増(前年同月比二六・九%増)、貸家は同一八・〇%増(同五・四%増)、分譲住宅は同一五・一%増(同二一・六%増)となっている。
 設備投資は、総じて下げ止まりつつあり、持ち直しの動きが広がっている。
 日本銀行「企業短期経済観測調査」(十二月調査)により設備投資の動向をみると、大企業の十一年度設備投資計画は、製造業で前年度比一〇・九%減(九月調査比一・二%下方修正)、非製造業で同一〇・八%減(同一・八%下方修正)となっており、全産業では同一〇・八%減(同一・六%下方修正)となった。また、中堅企業では、製造業で前年度比一五・五%減(九月調査比一・〇%上方修正)、非製造業で同四・〇%減(同一・三%上方修正)となり、中小企業では製造業で同二五・四%減(同五・二%上方修正)、非製造業で一三・三%減(同九・〇%上方修正)となっている。
 なお、十一年十〜十二月期の設備投資を、大蔵省「法人企業統計季報」(全産業)でみると前年同期比で〇・七%減(うち製造業八・二%減、非製造業二・九%増)となった。
 先行指標の動きをみると、当庁「機械受注統計調査」によれば、機械受注(船舶・電力を除く民需)は、季節調整済前月比で十一年十二月は一六・一%増(前年同月比一四・七%増)の後、十二年一月は〇・八%増(同二一・二%増)となり、基調としては持ち直しの動きが見られる。
 なお、一〜三月期(見通し)の機械受注(船舶・電力を除く民需)は、季節調整済前期比で一・六%減(前年同期比一・九%増)と見込まれている。
 民間からの建設工事受注額(五十社、非住宅)をみると、このところ増加しており、一月は季節調整済前月比一八・一%増(前年同月比四四・九%増)となった。内訳をみると、製造業は季節調整済前月比一八・八%増(前年同月比五二・八%増)、非製造業は同一五・六%増(同四三・〇%増)となった。
 公的需要関連指標をみると、公共投資は、事業の実施は前年を下回っているが、着工などには、第二次補正予算などの効果が現れている。
 公共工事着工総工事費は、前年同月比で十二月は九・五%増の後、一月は一二・六%減となった。公共工事請負金額は、前年同月比で一月は六・一%減の後、二月は一・四%減となった。官公庁からの建設工事受注額(五十社)は、前年同月比で十二月三一・九%減の後、一月は二・一%増となった。実質公的固定資本形成は、十一年七〜九月期に季節調整済前期比八・五%減の後、十一年十〜十二月期は同五・四%減となった。また、実質政府最終消費支出は、十一年七〜九月期に季節調整済前期比〇・九%増の後、十一年十〜十二月期は同〇・一%減となった。

2 生産雇用
―在庫は、ほぼ調整を終了―

 鉱工業生産・出荷・在庫の動きをみると、在庫は、ほぼ調整を終了し、生産・出荷は、緩やかに増加している。
 鉱工業生産(季節調整値)は、前月比で十二月一・二%減の後、一月(速報)は、輸送機械、化学等が減少したものの、電気機械、一般機械等が増加したことから、〇・九%増となった。また製造工業生産予測指数(季節調整値)は、前月比で二月は輸送機械、化学等により二・七%増の後、三月は一般機械、電気機械等により三・二%減となっている。鉱工業出荷(季節調整値)は、前月比で十二月一・〇%減の後、一月(速報)は、資本財、生産財等が増加したことから、二・三%増となった。鉱工業生産者製品在庫(季節調整値)は、前月比で十二月一・五%減の後、一月(速報)は、非鉄金属、繊維等が減少したものの、電気機械、石油・石炭製品等が増加したことから、一・一%増となった。また、一月(速報)の鉱工業生産者製品在庫率指数(季節調整値)は九九・三と前月を〇・六ポイント上回った。
 主な業種について最近の動きをみると、電気機械では、生産は一月は増加し、在庫は一月は増加した。輸送機械では、生産は二か月連続で減少し、在庫は一月は増加した。化学では、生産は二か月連続で減少し、在庫は二か月連続で増加した。
 第三次産業の動向を通商産業省「第三次産業活動指数」(十二月調査、季節調整値)でみると、前月比で十一月〇・八%増の後、十二月(速報)は、金融・保険業が減少したものの、卸売・小売業,飲食店、サービス業等が増加した結果、同〇・九%増となった。
 雇用情勢は、残業時間や求人の増加といった動きがあるものの、完全失業率が高水準で推移するなど、依然として厳しい。
 労働力需給をみると、有効求人倍率(季節調整値)は、十二月〇・五〇倍の後、一月〇・五二倍となった。新規求人倍率(季節調整値)は、十二月〇・九一倍の後、一月〇・九六倍となった。総務庁「労働力調査」による雇用者数は、十二月は前年同月比〇・七%減(前年同月差三十七万人減)の後、一月は同〇・七%減(同四十万人減)となった。常用雇用(事業所規模五人以上)は、十二月前年同月比〇・一%減(季節調整済前月比〇・一%増)の後、一月(速報)は同〇・二%減(同〇・〇%)となり(事業所規模三十人以上では前年同月比一・四%減)、産業別には製造業では同二・一%減となった。一月の完全失業者数(季節調整値)は、前月差一万人減の三百十七万人、完全失業率(同)は、十二月四・七%の後、一月四・七%となった。所定外労働時間(製造業)は、事業所規模五人以上では十二月前年同月比一〇・五%増(季節調整済前月比一・五%増)の後、一月(速報)は同一一・三%増(同一・九%増)となっている(事業所規模三十人以上では前年同月比一一・九%増)。
 また、労働省「労働経済動向調査」(二月調査)によると、「残業規制」等の雇用調整を実施した事業所割合は、高い水準にあるが、十〜十二月期もやや低下した。
 企業の動向をみると、企業収益は、改善している。また、企業の業況判断は、なお厳しいが改善が進んでいる。
 大企業の動向を「法人企業動向調査」(十二月調査、季節調整値)でみると、十一年十〜十二月期の売上高、経常利益の判断(ともに「増加」―「減少」)は、いずれも「減少」超幅が縮小した。また、十一年十〜十二月期の企業経営者の景気判断(業界景気の判断、「上昇」―「下降」)は「下降」超幅が縮小した。
 一方、中小企業の動向を中小企業金融公庫「中小企業動向調査」(十二月調査、季節調整値)でみると、売上げD.I.(「増加」―「減少」)は、十一年十〜十二月期は「減少」超幅が縮小し、純益率D.I.(「上昇」―「低下」)は、「低下」超幅が縮小した。業況判断D.I.(「好転」―「悪化」)は、十一年十〜十二月期は「悪化」超幅が縮小した。
 企業倒産の状況をみると、おおむね横ばいとなっている。
 銀行取引停止処分者件数は、一月は九百三十五件で前年同月比五六・一%増となった。業種別に件数の前年同月比をみると、建設業で七二・二%の増加、運輸・通信業で六三・六%増加となった。

3 国際収支
―輸出は、アジア向けを中心に、増加―

 輸出は、アジア向けを中心に、増加している。
 通関輸出(数量ベース、季節調整値)は、前月比で十二月〇・六%増の後、一月は一・四%増(前年同月比六・九%増)となった。最近数か月の動きを品目別(金額ベース)にみると、電気機器、精密機器等が増加した。同じく地域別にみると、アジア等が増加した。
 輸入は、アジアからの輸入を中心に、増加している。
 通関輸入(数量ベース、季節調整値)は、前月比で十二月〇・三%減の後、一月は七・三%減(前年同月比九・一%増)となった。最近数か月の動きを品目別(金額ベース)にみると、製品類(機械機器)、鉱物性燃料等が増加した。同じく地域別にみると、アジア、アメリカ等が増加した。
 通関収支差(季節調整値)は、十二月に七千九百五十三億円の黒字の後、一月は一兆四百六十億円の黒字となった。
 国際収支をみると、貿易・サービス収支の黒字は、基調としては緩やかに減少している。
 一月(速報)の貿易・サービス収支(季節調整値)は、前月に比べ、貿易収支の黒字幅が拡大し、サービス収支の赤字幅が縮小したため、その黒字幅は拡大し、八千五百六十一億円となった。また、経常収支(季節調整値)は、経常移転収支の赤字幅が拡大したものの、貿易・サービス収支及び所得収支の黒字幅が拡大したため、その黒字幅は拡大し、一兆二千六百五十五億円となった。投資収支(原数値)は、七千八百五十八億円の赤字となり、資本収支(原数値)は、八千六百六十億円の赤字となった。
 二月末の外貨準備高は、前月比十三億ドル増加して二千九百四十五億ドルとなった。
 外国為替市場における対米ドル円相場(インターバンク直物中心相場)は、二月は百十円台まで下落した後、三月上旬には百六円台まで上昇した。一方、対ユーロ円相場(インターバンク十七時時点)は、二月は下旬にかけて百十一円台まで下落した後、月末から三月上旬にかけて百二円台まで上昇した。

4 物価
―国内卸売物価は、おおむね横ばいで推移―

 国内卸売物価は、おおむね横ばいで推移している。
 二月の国内卸売物価は、電気機器(集積回路)等が下落したものの、食料用農畜水産物(鶏卵)等が上昇したことから、前月比〇・一%の上昇(前年同月比〇・一%の下落)となった。輸出物価は、契約通貨ベースで上昇したことに加え、円安から円ベースでは前月比二・九%の上昇(前年同月比三・七%の下落)となった。輸入物価は、契約通貨ベースで上昇したことに加え、円安から円ベースでは前月比四・三%の上昇(前年同月比六・六%の上昇)となった。この結果、総合卸売物価は、前月比〇・八%の上昇(前年同月比〇・一%の上昇)となった。
 企業向けサービス価格は、一月は前年同月比〇・八%の下落(前月比〇・四%の下落)となった。
 商品市況(月末対比)は非鉄等は下落したものの、繊維等の上昇により二月は上昇した。二月の動きを品目別にみると、亜鉛地金等は下落したものの、毛糸等が上昇した。
 消費者物価は、安定している。
 全国の生鮮食品を除く総合は、前年同月比で十二月〇・一%の下落の後、一月は一般食料工業製品の下落幅の拡大等により〇・三%の下落(前月比〇・六%の下落、季節調整済前月比〇・一%の上昇)となった。なお、総合は、前年同月比で十二月一・一%の下落の後、一月は〇・九%の下落(前月比〇・三%の下落、季節調整済前月比保合い)となった。
 東京都区部の動きでみると、生鮮食品を除く総合は、前年同月比で一月〇・五%の下落の後、二月(中旬速報値)は、繊維製品の下落幅の縮小等により〇・四%の下落(前月比〇・一%の下落、季節調整済前月比保合い)となった。なお、総合は、前年同月比で一月一・〇%の下落の後、二月(中旬速報値)は〇・八%の下落(前月比〇・二%の下落、季節調整済前月比保合い)となった。

5 金融財政
―株式相場は、二月上旬に上昇した後、一進一退で推移―

 最近の金融情勢をみると、短期金利は、二月から三月上旬にかけて横ばいで推移した。長期金利は、二月は上旬にやや上昇した後、三月上旬にかけて横ばいで推移した。株式相場は、二月は上旬に上昇した後、三月上旬にかけて一進一退で推移した。M+CDは、二月は前年同月比二・一%増となった。
 短期金融市場をみると、オーバーナイトレートは、二月は横ばいで推移した後、月末に上昇したが再び低下し、三月上旬には横ばいで推移した。二、三か月物は、二月から三月上旬にかけて横ばいで推移した。
 公社債市場をみると、国債利回りは、二月は上旬にやや上昇した後、三月上旬にかけて横ばいで推移した。
 国内銀行の貸出約定平均金利(新規実行分)は、一月は前月比で短期は〇・〇四五%ポイント低下し、長期は〇・〇七四%ポイント低下したことから、総合では〇・〇五八%ポイント低下し一・七六四%となった。
 マネーサプライをみると、M+CD(月中平均残高)は、二月(速報)は前年同月比二・一%増となった。また、広義流動性は、二月(速報)は同二・三%増となった。
 企業金融の動向をみると、金融機関(全国銀行)の貸出(月中平均残高)は、二月(速報)は前年同月比六・三%減(貸出債権流動化・償却要因等調整後二・五%減)となった。二月のエクイティ市場での発行(国内市場発行分)は、転換社債が二百億円となった。また、国内公募事業債の起債実績は一兆八百三十五億円(うち銀行起債分二千六百億円)となった。
 以上のように、企業金融のひっ迫感は緩和しているが、民間金融機関の貸出は依然低調である。
 株式市場をみると、日経平均株価は、二月は上旬に上昇した後、三月上旬にかけて一進一退で推移した。

6 海外経済
―ドイツの景気、緩やかに拡大―

 主要国の経済動向をみると、アメリカでは、先行きには不透明感もみられるものの、景気は拡大を続けている。実質GDPは、九九年七〜九月期前期比年率五・七%増の後、十〜十二月期は同六・九%増(速報値)となった。個人消費は増加している。設備投資は七〜九月期の大幅増の反動もあり伸びが鈍化している。住宅投資はこのところ伸びが鈍化している。鉱工業生産(総合)は増加している。雇用は拡大している。雇用者数(非農業事業所)は一月前月差三八・四万人増の後、二月は同四・三万人増となった。失業率は二月四・一%となった。物価は総じて安定している。一月の消費者物価は前年同月比二・七%の上昇、一月の生産者物価(完成財総合)は同二・五%の上昇となった。財の貿易収支赤字(国際収支ベース)は拡大している。二月の長期金利(三十年物国債)は、総じて低下基調で推移した。株価(ダウ平均)は、総じて下落基調で推移した。
 西ヨーロッパをみると、ドイツでは、景気は緩やかに拡大している。フランス、イギリスでは、景気は拡大している。十〜十二月期の実質GDPは、ドイツ前期比年率二・七%増、フランス同三・六%増(速報値)、イギリスは同三・一%増(改訂値)となった。鉱工業生産は、ドイツ、フランスでは増加している。イギリスではこのところ伸びが鈍化している(鉱工業生産は、ドイツ一月前月比〇・五%増、フランス十二月同〇・〇%増、イギリス一月同〇・一%減)。失業率は、ドイツ、フランスでは高水準ながらもやや低下している。イギリスでは低下している(失業率は、ドイツ二月一〇・〇%、フランス一月一〇・五%、イギリス一月四・〇%)。物価は、ドイツでは輸入物価の上昇が見られるものの総じて安定している。フランスでは総じて安定している。イギリスでは安定している(消費者物価上昇率は、ドイツ二月前年同月比一・八%、フランス二月同一・四%、イギリス一月同二・〇%)。
 東アジアをみると、中国では、景気の拡大テンポは鈍化している。物価は下落している。輸出は増加している。韓国では、景気は拡大している。貿易は、輸出入ともに、大幅な増加が続いている。
 国際金融市場の二月の動きをみると、米ドル(実効相場)は、やや増価基調で推移した。モルガン銀行発表の米ドル名目実効相場指数(一九九〇年=一〇〇)をみると、二月二十九日現在一一〇・一、一月末比一・三%の増価となっている。内訳をみると、二月二十九日現在、対円では一月末比二・六%増価、対ユーロでは同〇・五%増価した。
 国際商品市況の二月の動きをみると、CRB商品先物指数は、上旬に二一五ポイント台まで上昇した後、下旬にかけては下落基調で推移した。原油スポット価格(北海ブレント)は、月初から上昇基調で推移し、中旬から下旬にかけ一時二十七ドル割れしたものの、月末には二十八ドル台後半の水準まで上昇した。


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消費支出(全世帯)は実質一・二%の減少


―平成十一年平均家計収支―


総 務 庁


◇全世帯の家計

 全世帯の消費支出は、平成五年に実質減少に転じ、六年から十年にかけて実質減少が続いた後、十一年も実質一・二%の減少となった。なお、消費支出が実質で七年連続して減少となったのは、現行の調査開始(昭和三十八年)以来初めてである。

◇勤労者世帯の家計

 勤労者世帯の実収入は、平成七年以降三年連続の実質増加となったが、十年、十一年は実質減少となった。なお、実収入の減少幅(実質マイナス二・〇%)は、現行の調査開始(昭和三十八年)以来最大の減少幅となった。
 消費支出は、平成五年に実質減少に転じ、六年、七年と実質減少となった後、八年、九年は実質増加となったが、十年、十一年は実質減少となった。

◇勤労者以外の世帯の家計

 勤労者以外の世帯の消費支出は、一世帯当たり二十八万五千八百八十九円。
 前年に比べ、名目〇・五%の減少、実質〇・一%の減少。













    <4月26日号の主な予定>

 ▽全国の公害苦情の実態………………………………公害等調整委員会事務局 

 ▽平成十一年平均全国消費者物価指数の動向………総 務 庁 




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