官報資料版 平成12年4月26日




                  ▽全国の公害苦情の実態………………………………公害等調整委員会事務局

                  ▽平成十一年平均全国消費者物価指数の動向………総 務 庁

                  ▽毎月勤労統計調査(十二月分)……………………労 働 省

                  ▽法人企業動向調査(十二月実施調査結果)………経済企画庁











全国の公害苦情の実態


―平成十年度公害苦情調査結果報告書の概要―


公害等調整委員会事務局


 平成十年四月から十一年三月までの一年間において、全国の地方公共団体の公害苦情相談窓口に寄せられた公害苦情の件数や処理状況などを「平成十年度公害苦情調査結果報告書」としてとりまとめ公表したので、その概要を紹介する。
 住民から寄せられる公害苦情は、その多くが紛争の前段階ないし初期段階としての性格を有し、また、健康と生活環境に関する相談という側面をも併せもっており、これらの公害苦情を通して公害被害の現状と国民の公害に対する関心の度合いを知ることができる。

第1 公害苦情の受付状況

一 公害苦情件数の概況
<全国の公害苦情は八万二千百三十八件>
 平成十年度に全国の地方公共団体の公害苦情相談窓口が受け付けた公害苦情の件数は八万二千百三十八件で、前年度に比べて一万一千百六十三件(一五・七%)増加した。

二 公害の種類別苦情件数
<典型七公害の苦情は六万四千九百二十八件>
 平成十年度の公害苦情(八万二千百三十八件)のうち、大気汚染、水質汚濁、土壌汚染、騒音、振動、地盤沈下及び悪臭のいわゆる「典型七公害」の苦情件数は六万四千九百二十八件(全公害苦情件数の七九・〇%)で、前年度に比べて一万一千三百三件(二一・一%)増加した。
 典型七公害の苦情件数の推移は、昭和四十七年度の七万九千七百二十七件をピークに、昭和四十九年度から五十三年度までが六万件台、五十四年度から六十三年度までが五万件台、平成元年度以降が四万件台と減少傾向で推移していた。しかし、平成八年度から三年連続して増加し、九年度は五万件台となり、さらに十年度は昭和五十三年度以来の六万件台となった。
 また、廃棄物の不法投棄、害虫等の発生、動物の死骸放置、ふん・尿の害、火災の危険、電波障害、土砂の散乱、土砂の流出、光害、日照、通風障害などのいわゆる「典型七公害以外」の平成十年度の苦情件数は一万七千二百十件(同二一・〇%)で、前年度に比べて百四十件(〇・八%)減少した。
 (一) 典型七公害の種類別苦情件数
<大気汚染、悪臭、騒音の順>
 典型七公害の苦情件数を種類別にみると、大気汚染が三万四百九十九件(典型七公害苦情件数の四七・〇%)と最も多く、次いで、悪臭が一万三千百八十一件(同二〇・三%)、騒音が一万二千四百三十七件(同一九・二%)、水質汚濁が七千十九件(同一〇・八%)、振動が一千四百四十八件(同二・二%)、土壌汚染が三百十二件(同〇・五%)、地盤沈下が三十二件(同〇・〇%)となっている。
 また、前年度に比べて、大気汚染(一万八百三十一件、五五・一%)、悪臭(一千四十件、八・六%)、土壌汚染(百十一件、五五・二%)、水質汚濁(二十九件、〇・四%)及び地盤沈下(七件、二八・〇%)で増加し、騒音(五百七十三件、四・四%)及び振動(百四十二件、八・九%)で減少した。
 典型七公害の種類別苦情件数の推移をみると、昭和五十二年度以降平成七年度まで、騒音が最も多く、以下、悪臭、大気汚染、水質汚濁、振動、土壌汚染、地盤沈下と続く順位に変化はなく、全体として減少傾向にあった。しかし、平成七年度以降大気汚染と悪臭が増加傾向にあるのに対し、騒音は減少傾向が続いたことから、八年度以降順位が入れ替わっている。
 大気汚染については、平成九年度に約九千件増加して約二万件と、それまで最高の昭和四十七年度の約一万五千件を大きく上回る調査始まって以来の最多件数となった。さらに平成十年度は約一万一千件増加して三万件を超え、最多件数を更新している(第1表第1図参照)。
 (二) 典型七公害以外の種類別苦情件数
<廃棄物の不法投棄が最も多い>
 典型七公害以外の苦情件数を種類別にみると、廃棄物の不法投棄が五千四十九件(典型七公害以外の苦情件数の二九・三%)と最も多く、次いで、害虫等の発生が二千百五十四件(同一二・五%)、動物の死骸放置が一千六百六十件(同九・六%)、火災の危険が五百六十五件(同三・三%)、ふん・尿の害が四百九十五件(同二・九%)、電波障害が二百九十二件(同一・七%)、土砂の散乱が百三十六件(同〇・八%)、土砂の流出が百七件(同〇・六%)などとなっている。
 廃棄物の不法投棄に対する苦情件数の内訳をみると、一般廃棄物が三千三十九件(廃棄物の不法投棄に対する苦情件数の六〇・二%)、産業廃棄物が二千十件(同三九・八%)となっている。一般廃棄物のうちでは、粗大ごみが一千百九十四件(同二三・六%)と最も多く、次いで、焼却不適物が五百七件(同一〇・〇%)、燃焼物が四百九十二件(同九・七%)、生ごみが四百四十八件(同八・九%)などとなっている。また、産業廃棄物のうちでは、建設廃材が一千二十五件(同二〇・三%)と最も多く、次いで、金属くずが百七件(同二・一%)、廃油・廃酸等が百二件(同二・〇%)などとなっている(第2表参照)。

三 公害の発生源別苦情件数
<発生源は建設業、製造業、サービス業の順>
 公害の発生源別苦情件数は、建設業が一万四千八百十六件(全公害苦情件数の一八・〇%)と最も多く、次いで、製造業が一万四千二件(同一七・〇%)、サービス業が九千百五十七件(同一一・一%)、家庭生活が七千五百二十二件(同九・二%)、空地が七千三百二十九件(同八・九%)、「卸売・小売業、飲食店」が五千八百七十一件(同七・一%)、農業が五千百二十五件(同六・二%)、道路が三千五百十二件(同四・三%)、運輸・通信業が一千八百六十二件(同二・三%)などとなっている。
 また、前年度に比べて、建設業(二千六百二件、二一・三%)、製造業(一千六百九件、一三・〇%)、家庭生活(一千五百五十九件、二六・一%)、サービス業(一千六十九件、一三・二%)、「卸売・小売業、飲食店」(九百二十八件、一八・八%)、農業(七百三十六件、一六・八%)、空地(六百十六件、九・二%)及び運輸・通信業(四百二十二件、二九・三%)など林業(五件減、八・二%減)を除くすべての発生源で増加した。
 なお、発生源別苦情件数の推移をみると、近年、建設業やサービス業が増加しており、平成十年度には建設業が従来最も多かった製造業を抜き、最も苦情が多くなっている(第3表参照)。
 (一) 典型七公害の発生源別苦情件数
<典型七公害では建設業、製造業、サービス業の順>
 典型七公害の発生源別苦情件数は、建設業が一万三千五百七十五件(典型七公害の苦情件数の二〇・九%)と最も多く、次いで、製造業が一万三千五百五十六件(同二〇・九%)、サービス業が八千四百十九件(同一三・〇%)、家庭生活が六千百件(同九・四%)、「卸売・小売業、飲食店」が五千五百九十七件(同八・六%)、農業が四千二百四十四件(同六・五%)、運輸・通信業が一千七百六十八件(同二・七%)、空地が一千七十七件(同一・七%)などとなっている。
 また、前年度に比べて、建設業(二千六百六件、二三・八%)、家庭生活(一千八百八十二件、四四・六%)、製造業(一千六百三件、一三・四%)、サービス業(一千百二十三件、一五・四%)、「卸売・小売業、飲食店」(九百二十件、一九・七%)、農業(八百六十二件、二五・五%)、運輸・通信業(四百十七件、三〇・九%)、空地(三百六十八件、五一・九%)、「神社、寺院等」(二百十一件、七八・七%)及び事務所(百六十五件、四三・八%)など林業(七件減、一八・九%減)及び鉱業(二件減、〇・八%減)を除くすべての発生源で増加した(第4表参照)。
 ア 大気汚染の発生源別苦情件数
<大気汚染では建設業、製造業、サービス業の順>
 大気汚染の発生源別苦情件数は、建設業が七千九百九十六件(大気汚染苦情件数の二六・二%)と最も多く、次いで、製造業が六千二百三十八件(同二〇・五%)、サービス業が四千三百八十六件(同一四・四%)、家庭生活が二千九百六十四件(同九・七%)、「卸売・小売業、飲食店」が二千五十六件(同六・七%)などとなっている。このうち、製造業では木材・木製品製造業が一千七百二十三件(同五・六%)、サービス業では廃棄物処理業が一千七十七件(同三・五%)と、それぞれ最も多くなっている。
 また、前年度に比べて、建設業(二千六百三十一件、四九・〇%)、製造業(一千八百九十一件、四三・五%)、家庭生活(一千七百四十四件、一四三・〇%)、サービス業(一千百六十九件、三六・三%)、「卸売・小売業、飲食店」(七百八十九件、六二・三%)、農業(七百四十件、七三・六%)、運輸・通信業(三百九十三件、七五・一%)及び空地(二百八十八件、六一・七%)など林業(一件減、四・五%減)を除くすべての発生源で増加した(第4表参照)。
 イ 悪臭の発生源別苦情件数
<悪臭では製造業、家庭生活、農業の順>
 悪臭の発生源別苦情件数は、製造業が三千七十八件(悪臭苦情件数の二三・四%)と最も多く、次いで、家庭生活が一千六百七十三件(同一二・七%)、農業が一千六百七十二件(同一二・七%)、サービス業が一千五百八十七件(同一二・〇%)及び建設業が一千二百五十三件(同九・五%)などとなっている。このうち、製造業では「食料品、飲料等製造業」が七百二十九件(同五・五%)、農業では畜産・養蚕農業が九百十六件(同六・九%)、サービス業では廃棄物処理業が四百四十七件(同三・四%)と、それぞれ最も多くなっている。
 また、前年度に比べて、建設業(二百五十三件、二五・三%)、製造業(百九十一件、六・六%)、家庭生活(百八十二件、一二・二%)及び農業(百三十八件、九・〇%)などで増加し、道路(七件、五・〇%)などで減少した(第4表参照)。
 ウ 騒音の発生源別苦情件数
<騒音では建設業、製造業、「卸売・小売業、飲 食店」の順>
 騒音の発生源別苦情件数は、建設業が三千八十九件(騒音苦情件数の二四・八%)と最も多く、次いで、製造業が二千五百二十五件(同二〇・三%)、「卸売・小売業、飲食店」が二千五十一件(同一六・五%)、サービス業が一千六百八件(同一二・九%)、家庭生活が九百二十五件(同七・四%)などとなっている。このうち、建設業では総合工事業が一千七百五十七件(同一四・一%)、製造業では鉄鋼・非鉄金属・金属製品が七百六十六件(同六・二%)、「卸売・小売業、飲食店」では飲食店が一千二百三十七件(同九・九%)、サービス業では娯楽業が三百六十一件(同二・九%)と、それぞれ最も多くなっている。
 また、前年度に比べて、道路(四十件、一三・五%)及び「卸売・小売業、飲食店」(三十七件、一・八%)などで増加し、製造業(三百八十七件、一三・三%)、建設業(二百三十三件、七・〇%)、サービス業(四十件、二・四%)及び農業(三十九件、一一・八%)などで減少した。
 なお、騒音の苦情件数のうち、飲食店のカラオケを発生源とするものは七百七十九件で、前年度に比べて、七十三件(八・六%)減少した。また、娯楽業のカラオケいわゆるカラオケボックスを発生源とするものは百二十八件で、前年度に比べて四十八件(二七・三%)減少した。飲食店及び娯楽業のカラオケを発生源とする苦情件数は九百七件(飲食店及び娯楽業の騒音苦情件数の五六・八%)となっている。
 家庭生活におけるペットを発生源とする苦情件数は三百九件(家庭生活の苦情件数の三三・四%)で、前年度に比べて、二十件(六・九%)増加した(第4表参照)。
 エ 水質汚濁の発生源別苦情件数
<水質汚濁では製造業、サービス業の順>
 水質汚濁の発生源別苦情件数は、製造業が一千四百四十一件(水質汚濁苦情件数の二〇・五%)と最も多く、次いで、サービス業が七百件(同一〇・〇%)、家庭生活が五百三件(同七・二%)、農業が五百件(同七・一%)、「卸売・小売業、飲食店」が四百九十五件(同七・一%)などとなっている。このうち、製造業では「食料品、飲料等製造業」が五百八十七件(同八・四%)、サービス業では廃棄物処理業が百七十五件(同二・五%)、農業では畜産・養蚕農業が三百五十五件(同五・一%)と、それぞれ最も多くなっている。
 また、前年度に比べて、「卸売・小売業、飲食店」(四十九件、一一・〇%)及び運輸・通信業(二十五件、二一・七%)などで増加し、製造業(百九件、七・〇%)及び家庭生活(七十一件、一二・四%)などで減少した。
 なお、いずれの発生源とも特定できない苦情が一千六百九十件(同二四・一%)と約四分の一を占めており、水質汚濁公害の発生源の特定が難しいことを示している(第4表参照)。
 オ 振動の発生源別苦情件数
<振動では建設業、製造業の順>
 振動の発生源別苦情件数は、建設業が七百六十四件(振動苦情件数の五二・八%)と最も多く、次いで、製造業が二百四件(同一四・一%)、道路が百七十五件(同一二・一%)、サービス業が八十一件(同五・六%)、運輸・通信業が六十一件(同四・二%)などとなっている。このうち、建設業では総合工事業が三百九十四件(同二七・二%)、製造業では鉄鋼・非鉄金属・金属製品が八十九件(同六・一%)、運輸・通信業では鉄道が四十一件(同二・八%)と、それぞれ最も多くなっている。
 また、前年度に比べて、建設業(八十二件、九・七%)、道路(五十一件、二二・六%)及び製造業(二十件、八・九%)などで減少した(第4表参照)。
 カ 土壌汚染の発生源別苦情件数
<土壌汚染では製造業、サービス業の順>
 土壌汚染の発生源別苦情件数は、製造業が六十四件(土壌汚染苦情件数の二〇・五%)と最も多く、次いで、サービス業が五十三件(同一七・〇%)、建設業が四十六件(同一四・七%)、空地が三十五件(同一一・二%)及び農業が二十八件(同九・〇%)などとなっている。このうち、製造業では鉄鋼・非鉄金属・金属製品が十六件(同五・一%)、サービス業では廃棄物処理業が十六件(同五・一%)と、それぞれ最も多くなっている。
 また、前年度に比べて、製造業(三十一件、九三・九%)、空地(二十件、一三三・三%)及びサービス業(十八件、五一・四%)などで増加した(第4表参照)。
 キ 地盤沈下の発生源別苦情件数
<地盤沈下では建設業、製造業の順>
 地盤沈下の苦情件数を発生源別にみると、建設業が八件(地盤沈下苦情件数の二五・〇%)、製造業が六件(同一八・八%)、サービス業が四件(同一二・五%)、「卸売・小売業、飲食店」及び農業が各三件(九・四%)などとなっている(第4表参照)。
 (二) 典型七公害以外の発生源別苦情件数
<典型七公害以外では空地、道路の順>
 典型七公害以外の発生源別苦情件数は、空地が六千二百五十二件(典型七公害以外の苦情件数の三六・三%)と最も多く、次いで、道路が二千六百四十八件(同一五・四%)、家庭生活が一千四百二十二件(同八・三%)、建設業が一千二百四十一件(同七・二%)、農業が八百八十一件(同五・一%)、サービス業が七百三十八件(同四・三%)などとなっている。
 また、前年度に比べて、空地(二百四十八件、四・一%)及び道路(百九十件、七・七%)などで増加し、家庭生活(三百二十三件、一八・五%)、農業(百二十六件、一二・五%)及びサービス業(五十四件、六・八%)などで減少した(第4表参照)。

四 被害の発生地域別苦情件数
<被害の約四割が住居地域内>
 被害の発生地域別苦情件数は、都市計画法による都市計画区域が七万五千四百十九件(全公害苦情件数の九一・八%)、都市計画区域以外の地域が六千七百十九件(同八・二%)となっている。
 さらに、都市計画法による都市計画区域の苦情件数を用途地域別にみると、住居地域(第一種・第二種低層住居専用地域、第一種・第二種中高層住居専用地域、第一種・第二種住居専用地域及び準住居地域をいう。)が三万五千三百八十一件(同四三・一%)と最も多く、次いで、市街化調整区域が一万四千三百七十三件(同一七・五%)、準工業地域が八千九十件(同九・八%)、その他の地域(用途地域未線引きの区域をいう。)が六千八百七十六件(同八・四%)、商業地域が三千八百八十四件(同四・七%)、工業・工業専用地域が三千八百四十件(同四・七%)、近隣商業地域が二千九百七十五件(同三・六%)となっている(第2図参照)。

五 被害の種類別苦情件数
<被害の八割が感覚的・心理的被害>
 被害の種類別苦情件数は、感覚的・心理的被害が六万五千七百二十件(全公害苦情件数の八〇・〇%)と最も多く、次いで、健康被害が五千二百五十九件(同六・四%)、財産被害が一千九百七十九件(同二・四%)、動・植物被害が一千四百三件(同一・七%)などとなっている。

六 受付機関別の苦情件数
<市町村の受付が約九割>
 受付機関別の苦情件数は、市町村が七万四千七百四件(全公害苦情件数の九〇・九%)、都道府県(支庁、地方事務所及び附属機関を含む。)が七千四百三十四件(同九・一%)となっている。このうち、市町村では市が六万三千六百五十五件(同七七・五%)、町村が一万一千四十九件(同一三・五%)となっており、さらに、市では大都市(東京都特別区及び政令指定都市をいう。)が一万四千三百四十三件(同一七・五%)、その他の市が四万九千三百十二件(同六〇・〇%)となっている。
 また、前年度に比べて、すべての受付機関で増加した。

七 都道府県別の苦情件数
 (一) 都道府県別苦情件数
<東京都、埼玉県、愛知県の順、上位七都府県で 全国の苦情件数の過半数>
 都道府県別の苦情件数は、東京都が八千四百八十件(全公害苦情件数の一〇・三%)と最も多く、次いで、埼玉県が七千九百三十二件(同九・七%)、愛知県が六千二百三十件(同七・六%)、大阪府が五千八十三件(同六・二%)、神奈川県が四千六百十七件(同五・六%)、千葉県が四千五百七十五件(同五・六%)、福岡県が四千二百十二件(同五・一%)などとなっており、上位七都府県で全国の苦情件数の過半数(四万一千百二十九件、同五〇・一%)を占めている。
 また、前年度に比べて、福岡県(一千四百七十三件、五三・八%)、埼玉県(一千二百六十八件、一九・〇%)、千葉県(一千二百五十一件、三七・六%)、東京都(九百五十六件、一二・七%)、神奈川県(九百十四件、二四・七%)、愛知県(六百九十三件、一二・五%)など四十一都道府県で増加し、青森県(百六十九件、一六・一%)、鹿児島県(六十九件、八・一%)、滋賀県(六十件、四・八%)、沖縄県(三十八件、五・八%)など六県で減少した。
 次に、人口十万人当たりの苦情件数を都道府県別にみると、埼玉県が一一五・一件(前年度比一七・八件増)と最も多く、次いで、栃木県が一〇五・一件(同〇・九件増)、滋賀県が九〇・四件(同五・四件減)、愛知県が八九・三件(同九・四件増)、群馬県が八五・一件(同一五・五件増)、茨城県が八四・七件(同一一・四件増)、福岡県が八四・四件(同二九・三件増)、大分県が八一・〇件(同三・五件増)などとなっている。
 なお、全国平均は六四・九件で、前年度に比べて八・六件増加した(第3図第5表参照)。
 (二) 典型七公害の都道府県別苦情件数
<典型七公害では東京都、埼玉県の順>
 典型七公害の苦情件数を都道府県別にみると、東京都が七千六百四件(典型七公害の苦情件数の一一・七%)と最も多く、次いで、埼玉県が五千四百四件(同八・三%)、愛知県が四千九百八十一件(同七・七%)、大阪府が四千六百四十七件(同七・二%)、神奈川県が四千五百二十六件(同七・〇%)、千葉県が三千二百八十一件(同五・一%)、福岡県が二千九百三十四件(同四・五%)などとなっている。
 また、前年度に比べて、埼玉県(一千三百四十五件、三三・一%)、福岡県(一千八十二件、五八・四%)、東京都(一千六十三件、一六・三%)、神奈川県(九百二十八件、二五・八%)、千葉県(九百一件、三七・九%)、愛知県(七百八十七件、一八・八%)、大阪府(四百八件、九・六%)、長野県(三百十二件、二八・五%)など四十三都道府県で増加し、青森県(三十件、六・二%)、鹿児島県(二十二件、四・一%)、奈良県(四件、〇・六%)、福井県(三件、一・二%)の四県で減少した。
 次に、人口十万人当たりの苦情件数を都道府県別にみると、埼玉県が七八・四件(前年度比一九・二件増)と最も多く、次いで、愛知県が七一・四件(同一〇・九件増)、群馬県が六六・二件(同一五・二件増)、東京都が六四・三件(同八・九件増)、愛媛県が六三・六件(同七・七件増)などとなっている。
 (三) 典型七公害の種類別・都道府県別苦情件数
 ア 大気汚染
<大気汚染は東京都、埼玉県の順>
 大気汚染の苦情件数は、東京都が三千百三十件(大気汚染苦情件数の一〇・三%)と最も多く、次いで、埼玉県が三千五十六件(同一〇・〇%)、神奈川県が二千五百三件(同八・二%)、愛知県が二千百六十八件(同七・一%)、大阪府が一千八百十五件(同六・〇%)、千葉県が一千七百六十四件(同五・八%)、福岡県が一千三百九十三件(同四・六%)などとなっており、上位七都府県の合計で一万五千八百二十九件(同五一・九%)となっている。
 また、前年度に比べて、東京都(一千百八件、五四・八%)、埼玉県(一千六十件、五三・一%)、神奈川県(九百六十一件、六二・三%)、千葉県(七百九十二件、八一・五%)、愛知県(七百八十六件、五六・九%)、福岡県(六百八十八件、九七・六%)、大阪府(五百十六件、三九・七%)、兵庫県(三百十四件、三三・六%)、静岡県(二百九十四件、六四・八%)、岐阜県(二百七十五件、七三・七%)など鹿児島県(六件減、四・五%減)を除くすべての都道府県で増加した。
 イ 悪 臭
<悪臭は東京都、愛知県の順>
 悪臭の苦情件数は、東京都が一千五百四十二件(悪臭苦情件数の一一・七%)と最も多く、次いで、愛知県が一千百五十六件(同八・八%)、埼玉県が一千六十件(同八・〇%)、大阪府が八百六十九件(同六・六%)、千葉県及び神奈川県が六百八十六件(同五・二%)、福岡県が六百四十五件(同四・九%)などとなっている。
 また、前年度に比べて、埼玉県(二百四十九件、三〇・七%)、福岡県(二百十三件、四九・三%)、東京都(百六十一件、一一・七%)、愛知県(九十四件、八・九%)、神奈川県(七十六件、一二・五%)、群馬県(七十件、三〇・二%)など二十六都府県で増加し、青森県(五十四件、三二・〇%)、栃木県(三十五件、一五・六%)、宮城県(三十二件、一二・五%)、奈良県(二十九件、一六・六%)など二十道府県で減少した。
 ウ 騒 音
<騒音は東京都、大阪府の順>
 騒音の苦情件数は、東京都が二千四百六十三件(騒音苦情件数の一九・八%)と最も多く、次いで、大阪府が一千三百八十三件(同一一・一%)、愛知県が一千六十一件(同八・五%)、神奈川県が一千十五件(同八・二%)、埼玉県が八百四十四件(同六・八%)などとなっており、上位五都府県の合計で六千七百六十六件(同五四・四%)となっている。
 また、前年度に比べて、宮城県(八十二件、四一・二%)、栃木県(三十五件、二九・七%)、宮崎県(二十六件、三三・三%)、岐阜県(二十五件、一九・四%)、福岡県(二十三件、七・二%)など二十県で増加し、東京都(二百四十二件、八・九%)、愛知県(九十六件、八・三%)、大阪府(八十六件、五・九%)、兵庫県(七十三件、一一・九%)、神奈川県(五十三件、五・〇%)など二十六都道府県で減少した。
 エ 水質汚濁
<水質汚濁は福岡県、愛知県の順>
 水質汚濁の苦情件数は、福岡県が五百十三件(水質汚濁苦情件数の七・三%)と最も多く、次いで、愛知県が四百五十二件(同六・四%)、大阪府が三百七十三件(同五・三%)、埼玉県が三百十九件(同四・五%)、兵庫県が三百件(同四・三%)、岐阜県が二百七十八件(同四・〇%)、広島県が二百七十四件(同三・九%)、長野県が二百七十件(同三・八%)、岡山県が二百五十七件(同三・七%)などとなっている。
 また、前年度に比べて、福岡県(百五十三件、四二・五%)、埼玉県(五十二件、一九・五%)、岡山県(三十九件、一七・九%)、千葉県(三十八件、二三・〇%)、岩手県(三十七件、五二・九%)、群馬県(三十三件、二〇・〇%)など二十一都道県で増加し、栃木県(六十三件、三五・〇%)、兵庫県(六十三件、一七・四%)、新潟県(四十件、二二・六%)、岐阜県(三十四件、一〇・九%)など二十六府県で減少した。
 オ 振 動
<振動は東京都、大阪府の順>
 振動の苦情件数は、東京都が三百四十九件(振動苦情件数の二四・一%)と最も多く、次いで、大阪府が百九十三件(同一三・三%)、神奈川県が百二十四件(同八・六%)、愛知県が百二十一件(同八・四%)、埼玉県が九十三件(同六・四%)などとなっており、上位五都府県の合計で八百八十件(同六〇・八%)となっている。
 また、前年度に比べて、東京都(二十四件、七・四%)、鹿児島県(八件、八八・九%)など十六都県で増加し、埼玉県(三十四件、二六・八%)、神奈川県(三十四件、二一・五%)、大阪府(三十件、一三・五%)など二十四道府県で減少した。
 カ 土壌汚染
<土壌汚染は茨城県、埼玉県の順>
 土壌汚染の苦情件数は、茨城県が三十三件(土壌汚染苦情件数の一〇・六%)と最も多く、次いで、埼玉県が二十四件(同七・七%)、千葉県及び愛知県が二十一件(同六・七%)、岐阜県及び福岡県が十七件(同五・四%)、長野県が十六件(同五・一%)などとなっている。
 また、前年度に比べて、茨城県(十八件、一二〇・〇%)、福岡県(十一件、一八三・三%)、群馬県(十一件、三六六・七%)など二十八都道府県で増加し、栃木県(十件、六二・五%)など十二府県で減少した。
 キ 地盤沈下
 地盤沈下の苦情件数は、埼玉県が八件(地盤沈下苦情件数の二五・〇%)と最も多く、次いで、千葉県が四件(同一二・五%)、新潟県、大阪府及び奈良県が三件(同九・四%)、愛知県が二件(同六・三%)などとなっており、十五府県で地盤沈下の苦情を受け付けた。

八 複合型公害の苦情件数
<複合型公害は全体の約二割>
 公害苦情には、申し立てられる公害の種類が一種類のもの(単独型公害)と、二種類以上のもの(複合型公害)がある。単独型公害か複合型公害かをみると、単独型公害が六万五千百四十九件(全公害苦情件数の七九・三%)、複合型公害が一万六千九百八十九件(同二〇・七%)となっている。
 また、複合型公害において、主な公害と関連公害を合わせた延べ苦情件数は三万六千百七十六件となっており、複合型公害は平均二・一三種類の公害となっている。

第2 公害苦情の処理状況

一 公害苦情の取扱件数
<取扱件数は九万一千二百九十九件で、うち処理 した苦情は七万六千百七十四件>
 平成十年度に全国の地方公共団体の公害苦情相談窓口で取り扱った公害苦情件数は九万一千二百九十九件である。その内訳は、十年度に受け付けた苦情件数が八万二千百三十八件、前年度から繰り越された苦情件数が九千百六十一件となっている。
 一方、取り扱った苦情の処理状況をみると、公害苦情相談窓口で直接処理した苦情件数(以下「直接処理件数」という。)が七万六千百七十四件、他の機関等へ移送した苦情件数が一千三百二十六件、翌年度へ繰り越した苦情件数が九千九百四十九件、その他の苦情件数が三千八百五十件となっている(第6表参照)。

二 公害苦情の処理率
<処理率は約八割>
 全国の地方公共団体の公害苦情相談窓口で取り扱った苦情件数から他の機関等へ移送した苦情件数を除いた件数のうち、直接処理件数の割合(処理率)は八四・七%である(第6表参照)。

三 苦情申立人の立場別処理件数
<苦情申立ての約四分の三が被害者又は家族から>
 直接処理件数を苦情の申立人の立場別にみると、「被害者又は家族」が五万八千九百四十一件(直接処理件数の七七・四%)と最も多く、次いで、「被害者の代表」が七千九十四件(同九・三%)、「公的機関が仲介」したものが三千七十一件(同四・〇%)、「第三者が仲介」したものが一千三百十六件(同一・七%)などとなっている。

四 処理に要した期間別処理件数
<一か月以内に約三分の二を処理>
 直接処理件数を苦情の申立てから処理までに要した期間別にみると、「一週間以内」が四万五百一件(直接処理件数の五三・二%)と最も多く、次いで、「一か月以内」が一万三百五十六件(同一三・六%)、「三か月以内」が六千九百七十二件(同九・二%)、「六か月以内」が八千二百八十八件(同一〇・九%)、「一年以内」が三千七百七十五件(同五・〇%)、「一年超」が一千八百九十件(同二・五%)などとなっている。
 「一週間以内」及び「一か月以内」を合わせると五万八百五十七件(同六六・八%)となり、直接処理件数の約三分の二が一か月以内に処理されている(第4図参照)。

五 被害の発生態様別処理件数
<一時的・一過性現象が約三割>
 直接処理件数を被害の発生態様別にみると、空調機械が故障したというように突発的な事故等による「一時的・一過性現象」が二万一千六百五十五件(直接処理件数の二八・四%)と最も多く、次いで、工場操業などに伴いほとんど毎日発生する「経常的な発生」が二万一千二百六十一件(同二七・九%)、農薬散布のように季節的又は一日以上空けて繰り返し発生する「季節的・周期的発生」が一万二千四百五十四件(同一六・三%)、建築・土木工事などに伴い一定期間において発生する「一定期間の常時発生」が五千五百六十六件(同七・三%)などとなっている。

六 苦情の対象となった時間帯別処理件数
<昼間が約四割>
 直接処理件数を苦情の対象となった時間帯別にみると、「昼間」が二万九千七百三十九件(直接処理件数の三九・〇%)と最も多く、次いで、「時間に無関係」が一万三千三百三十六件(同一七・五%)、「一日中」が六千六百九十五件(同八・八%)、「夜間」が四千四百九十四件(同五・九%)、「朝方」が三千九百九十九件(同五・二%)となっている。

七 公害発生源の立地と被害者居住の先後関係別処理件数
<「被害者の居住が先」が約二割、「発生源の立 地が先」が約一割>
 直接処理件数を公害発生源の立地と被害者居住の先後関係別にみると、「被害者の居住が先」が一万二千八百四十二件(直接処理件数の一六・九%)と最も多く、次いで、「発生源の立地が先」が八千百六十五件(同一〇・七%)、「被害者の居住後に施設、機械を増設」が四百七十七件(同〇・六%)などとなっている。

八 法令との関係別処理件数
<公害規制法令違反は約一割>
 直接処理件数を苦情の対象となった事業活動等の法令との関係別にみると、次のとおりである。
 公害規制法令との関係では、「法令に違反していた」が一万五百十六件(直接処理件数の一三・八%)、「法令に違反していなかった」が三万九千九百七十八件(同五二・五%)などとなっている。
 また、公害規制法令以外の法令との関係では、「法令に違反していた」が八千六百七十六件(同一一・四%)、「法令に違反していなかった」が三万七千三百九十件(同四九・一%)などとなっている。

九 苦情の処理のために行政当局が採った措置別処理件数
<約三分の二が発生源に対する行政指導を実施>
 直接処理件数を苦情の処理のために行政当局が採った措置別にみると、「発生源に対する行政指導」が五万一千七百九十三件(直接処理件数の六八・〇%)と最も多く、次いで、「原因の調査」が七千二十九件(同九・二%)、「申立人に対する説得」が二千二百三十五件(同二・九%)、「当事者間の話合い」が一千八百二十五件(同二・四%)などとなっている。

十 文書による勧告・命令等の有無別処理件数
<一千六百二十四件の苦情につき、行政当局が文 書による勧告・命令等を発出>
 直接処理件数を苦情処理のために行政当局により文書による勧告・命令等がなされたかどうかについてみると、「文書による勧告・命令等がなされた」が一千六百二十四件(直接処理件数の二・一%)、「なされなかった」が七万四千五百五十件(同九七・九%)となっている。

十一 苦情申立人の満足度別処理件数
<処理結果に約半数が満足>
 直接処理件数を苦情の処理結果に対する申立人の満足度別にみると、「一応満足」が二万三千五百七件(直接処理件数の三〇・九%)と最も多く、次いで、「満足」が一万一千九百八十一件(同一五・七%)、「あきらめ」が三千六百二十五件(同四・八%)、「不満」が二千三百六十六件(同三・一%)などとなっている。

十二 防止対策実施の有無別処理件数等
 直接処理件数を苦情の処理のために防止対策を講じたかどうか、さらに、防止対策を講じたものについての内容をみると、次のとおりである。
 (一) 防止対策実施の有無別処理件数
<約三分の二が防止対策を実施>
 苦情の処理のために防止対策を講じたかどうかについては、「防止対策を講じた」が五万二十一件(直接処理件数の六五・七%)、「講じなかった」が一万五百二十二件(同一三・八%)、「不明」が一万五千六百三十一件(同二〇・五%)となっている。
 さらに、「防止対策を講じた」場合についての講じた者についてみると、発生源者が四万三千九百二十六件(同五七・七%)、行政機関が四千二百九十六件(同五・六%)、被害者が四百十件(同〇・五%)などとなっている。
 (二) 実施した防止対策の内容別延べ件数
<作業方法等の改善が防止対策を講じた苦情件数 の四〇・四%>
 苦情の処理のために講じた防止対策(調査票への回答は三つまでの複数回答)の延べ総数は、五万七千百四十四件となっており、防止対策を講じた苦情件数一件当たり平均一・一四種類となっている。
 また、実施した防止対策の内容別にみると、「作業方法、使用方法の改善」が二万百九十件(防止対策を講じた苦情件数の四〇・四%)と最も多く、次いで、「原因物質の撤去、回収、除去」が一万二千七百六件(同二五・四%)、「営業・操業停止、行為の中止」が一万一千九百四十七件(同二三・九%)、「機械、施設の改善」が三千九百三十件(同七・九%)などとなっている。

十三 当事者が調停等の申請手続をした機関別処理件数
<調停・裁判等申請は九十三件>
 直接処理件数をその後当事者が調停・裁判等の申請手続をしたかどうかについてみると、「調停・裁判等の申請手続をした」が九十三件(直接処理件数の〇・一%)、「してない」が六万二千五百三十二件(同八二・一%)となっている。

第3 公害苦情処理事務担当の職員数

<全国で一万三千八十七人>
 全国の地方公共団体で公害苦情の処理を担当している職員は一万三千八十七人である。


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平成11年平均


全国消費者物価指数の動向


―総合指数は前年比〇・三%の下落―


総 務 庁


一 概 況

 平成十一年平均全国消費者物価指数は、平成七年を一〇〇とした総合指数で一〇二・二となり、前年に比べ〇・三%の下落となった。
(1) 近年の総合指数の動きを前年比でみると、平成三年に三・三%の上昇の後、四年は一・六%上昇、五年も衣料などの下落により一・三%上昇と一%台の上昇となり、六年は耐久消費財を中心とした工業製品の下落幅が拡大したことなどにより〇・七%上昇と昭和六十三年以来六年ぶりに一%を下回った。七年は工業製品の下落に加え、前年に高騰した米類が下落したほか、生鮮野菜が大幅に値下がりしたことなどにより〇・一%下落と、比較可能な昭和四十六年以降初めて下落となった。その後、八年は生鮮魚介や衣料が前年の価格水準を上回ったことなどにより〇・一%の上昇、九年は四月の消費税率引上げの影響などにより一・八%上昇と、平成五年以来四年ぶりに一%を上回る上昇、十年は天候不順により生鮮野菜が高騰したことに加え、消費税率引上げや医療保険制度改正の影響が残ったことなどにより〇・六%の上昇となった。
  平成十一年は、前年に高騰した生鮮野菜が下落したことに加え、電気・ガス代や工業製品が下落したことなどにより〇・三%の下落となった。
(2) この一年間における総合指数の動きを前年同月比でみると、平成十年十二月の〇・六%上昇の後、生鮮野菜が前年の価格水準を下回ったことなどにより十一年一月は〇・二%上昇と上昇幅が縮小し、二月は〇・一%の下落となった。その後も、三月〇・四%下落、四月〇・一%下落、五月〇・四%下落、六月〇・三%下落、七月〇・一%の下落となり、六か月連続して前年の水準を下回った。八月は天候不順で一時的に生鮮野菜が値上がりしたことなどにより〇・三%の上昇となったが、九月以降は再び生鮮野菜が前年の価格水準を下回ったことなどにより九月〇・二%下落、十月〇・七%下落、十一月一・二%下落、十二月一・一%下落と前年の価格水準を下回った。このように平成十一年における月別の前年同月比の動きは、生鮮野菜の動きに大きく影響を受けた(昨年の天候不順による高騰の反動、今年の天候に恵まれての値下がり)といえる。
(3) 十大費目指数の動きを前年比でみると、食料は生鮮野菜などの値下がりにより〇・五%下落、光熱・水道は電気・ガス代などの値下がりにより一・六%下落、家具・家事用品は家庭用耐久財などの値下がりにより一・二%下落、保健医療は保健医療サービスなどの値下がりにより〇・七%下落、教養娯楽は教養娯楽サービスなどの値下がりにより〇・八%下落とそれぞれ総合の下落より大きな下落となった。このほか、住居は設備修繕・維持の値下がりにより〇・一%下落、被服及び履物は生地・他の被服類などの値下がりにより〇・二%下落、交通・通信は自動車等関係費などの値下がりにより〇・二%下落とそれぞれ下落となった。一方、教育は授業料等などの値上がりにより一・四%上昇、諸雑費はたばこなどの値上がりにより一・〇%上昇とそれぞれ上昇となった。
(4) 商品・サービス分類指数の動きを前年比でみると、商品は〇・七%の下落となった。これは、生鮮商品が前年の価格水準を下回ったことなどにより農水畜産物が二・七%下落したことに加え、耐久消費財などの値下がりにより工業製品が〇・二%下落、電気代の値下げなどにより電気・都市ガス・水道が一・七%下落したことなどによる。サービスは〇・一%の上昇となったが、上昇幅は平成十年(一・一%上昇)に比べ一・〇ポイントの縮小となった。

二 費目別指数の動き

(1) 食料は一〇二・六となり、前年に比べ〇・五%の下落となった。生鮮食品についてみると、生鮮果物が三・一%上昇したものの、生鮮魚介がおおむね前年の価格水準を下回って推移したことにより一・二%の下落、生鮮野菜が前年の価格水準を大幅に下回ったことにより一二・二%の下落となったため、生鮮食品全体では四・七%の下落となった。
  生鮮食品以外では、肉類は〇・八%下落、油脂・調味料は〇・四%下落、調理食品は〇・一%下落とそれぞれ下落となった。一方、穀類は〇・六%上昇、乳卵類は一・三%上昇、菓子類は一・五%上昇、飲料は一・三%上昇、外食は〇・三%上昇とそれぞれ上昇となった。なお、酒類は前年と変わらなかった。
(2) 住居は一〇三・五となり、前年に比べ〇・一%の下落となった。内訳をみると、設備修繕・維持は〇・八%の下落となった。
  なお、家賃は前年と変わらなかった。
(3) 光熱・水道は一〇一・三となり、前年に比べ一・六%の下落となった。内訳をみると、電気・ガス代は原燃料費調整による値下げなどにより一・九%下落、他の光熱は六・五%下落とそれぞれ下落となった。一方、上下水道料は一・三%の上昇となった。
(4) 家具・家事用品は九四・五となり、前年に比べ一・二%の下落となった。内訳をみると、家庭用耐久財は二・五%の下落となった。また、他の家具・家事用品は、家事サービスが〇・九%上昇したものの、室内装備品が〇・九%下落、寝具類が〇・四%下落、家事雑貨が〇・九%下落、家事用消耗品が一・二%下落とそれぞれ下落したため〇・七%の下落となった。
(5) 被服及び履物は一〇四・六となり、前年に比べ〇・二%の下落となった。内訳をみると、衣料は洋服などの値下がりにより〇・一%下落、シャツ・セーター・下着類は〇・二%下落、生地・他の被服類は〇・四%下落とそれぞれ下落となった。
  なお、履物類は前年と変わらなかった。
(6) 保健医療は一一二・〇となり、前年に比べ〇・七%の下落となった。内訳をみると、医薬品は〇・一%下落、保健医療用品・器具は一・三%下落、保健医療サービスは四月に老人医療の患者負担額を改定したものの、七月の外来薬剤費の一部負担金に係る臨時特例措置(老人医療の受給者は支払いを免除)により〇・九%下落といずれも下落となった。
(7) 交通・通信は九七・五となり、前年に比べ〇・二%の下落となった。内訳をみると、自動車等関係費は〇・四%下落、通信は〇・二%下落とそれぞれ下落となった。一方、交通は〇・二%の上昇となった。
(8) 教育は一〇八・一となり、前年に比べ一・四%の上昇となった。内訳をみると、授業料等は四月の私立大学授業料などの値上がりにより一・八%上昇、教科書・学習参考書は〇・四%上昇、補習教育は〇・六%上昇といずれも上昇となった。
(9) 教養娯楽は九九・七となり、前年に比べ〇・八%の下落となった。内訳をみると、教養娯楽用耐久財は三・三%の下落となった。また、他の教養娯楽は、書籍・他の印刷物が〇・三%上昇したものの、教養娯楽用品が〇・九%下落、教養娯楽サービスがゴルフプレー料金などの値下がりにより〇・七%下落とそれぞれ下落したため〇・六%の下落となった。
(10) 諸雑費は一〇三・七となり、前年に比べ一・〇%の上昇となった。主な内訳をみると、理美容サービスは〇・四%上昇、たばこは十年十二月の値上がりにより七・一%上昇とそれぞれ上昇となった。一方、理美容用品は〇・八%下落、身の回り用品は一・四%下落とそれぞれ下落となった。

三 商品・サービス分類指数の動き

(1) 商品は一〇〇・二となり、前年に比べ〇・七%の下落となった。内訳をみると、農水畜産物は、米類が一・六%上昇したものの、生鮮商品が前年に高騰した生鮮野菜の値下がりなどにより三・四%下落、他の農水畜産物が一・七%下落とそれぞれ下落したため二・七%の下落となった。
  工業製品は、食料工業製品が〇・四%上昇したものの、繊維製品が〇・二%下落、耐久消費財が一・五%下落、その他の工業製品が〇・三%下落とそれぞれ下落したため〇・二%の下落となった。
  電気・都市ガス・水道は一・七%の下落となった。
  出版物は〇・三%の上昇となった。
(2) サービスは一〇四・三となり、前年に比べ〇・一%の上昇となった。内訳をみると、持家の帰属家賃は〇・一%上昇、個人サービス料金は〇・一%上昇、外食は〇・三%上昇とそれぞれ上昇となった。一方、民営家賃は〇・一%下落、公共サービス料金は〇・一%下落とそれぞれ下落となった。
《別掲項目》
 公共料金は一〇三・七となり、前年に比べ〇・五%の下落となった。これは原燃料費調整による電気代と都市ガス代の値下げや、七月に外来薬剤費の一部負担金に係る臨時特例措置(老人医療の受給者は支払いを免除)により診察料が下落したことなどがあったためである。

四 品目別価格指数の動き

(1) 商品の品目別価格指数の前年比について、下落幅の大きい順に並べてみると、レタスが三〇%を超える下落となったほか、ほうれんそう、はくさい及びピーマンが二〇%を超える下落となるなど、生鮮野菜が上位二十品目中十五品目を占めている。また、この上位二十品目の中で生鮮商品を除いた商品についてみると、家庭用テレビゲーム機、ビデオテープレコーダー、電気かみそり(輸入品)、電気かみそりが一〇%を超える下落となった。
  一方、上昇した品目を上昇幅の大きい順に並べてみると、オレンジ、ビスケットが二〇%を超える上昇となったほか、なつみかん、りんご(ふじ)、さんまが一〇%を超える上昇となった。
(2) サービスの品目別価格指数の前年比について、上昇幅の大きい順に並べてみると、印鑑証明手数料、私立中学校授業料、学校給食(小学校低)、学校給食(小学校高)、国立大学授業料の順となっている。
  一方、ゴルフプレー料金、カラオケルーム使用料、左官手間代、自動車教習料などが大きな下落となった。






















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賃金、労働時間、雇用の動き


毎月勤労統計調査 平成十一年十二月分結果速報


労 働 省


 「毎月勤労統計調査」平成十一年十二月分結果の主な特徴は次のとおりである。

◇賃金の動き

 十二月の調査産業計の常用労働者一人平均月間現金給与総額は六十七万三千八百六十九円、前年同月比は二・九%減であった。現金給与総額のうち、きまって支給する給与は二十八万三千六百六十九円、前年同月比は〇・四%増であった。これを所定内給与と所定外給与とに分けてみると、所定内給与は二十六万四千七百十三円、前年同月と同水準、所定外給与は一万八千九百五十六円、前年同月比は四・二%増であった。
 また、特別に支払われた給与は三十九万二百円、前年同月比は五・〇%減であった。
 実質賃金は、一・六%減であった。
 きまって支給する給与の動きを産業別に前年同月比によってみると、伸びの高い順に運輸・通信業一・五%増、電気・ガス・熱供給・水道業一・二%増、製造業及びサービス業〇・七%増、金融・保険業〇・三%増、卸売・小売業、飲食店〇・五%減、建設業〇・九%減、鉱業一・〇%減、不動産業三・九%減であった。

◇労働時間の動き

 十二月の調査産業計の常用労働者一人平均月間総実労働時間は百五十五・三時間、前年同月比は〇・一%増であった。
 総実労働時間のうち、所定内労働時間は百四十五・二時間、前年同月と同水準、所定外労働時間は十・一時間、前年同月比は一・〇%増、所定外労働時間の季節調整値は前月比〇・二%減であった。
 製造業の所定外労働時間は十三・七時間、前年同月比は一〇・五%増、季節調整値の前月比は一・六%増であった。

◇雇用の動き

 十二月の調査産業計の雇用の動きを前年同月比によってみると、常用労働者全体で〇・二%減、常用労働者のうち一般労働者では〇・九%減、パートタイム労働者では二・六%増であった。
 常用労働者全体の雇用の動きを産業別に前年同月比によってみると、前年同月を上回ったものは建設業二・一%増、サービス業一・八%増、電気・ガス・熱供給・水道業一・二%増であった。不動産業は前年同月と同水準であった。前年同月を下回ったものは、運輸・通信業〇・一%減、卸売・小売業、飲食店一・四%減、金融・保険業一・五%減、製造業二・一%減、鉱業二・六%減であった。
 主な産業の雇用の動きを一般労働者・パートタイム労働者別に前年同月比によってみると、製造業では一般労働者二・五%減、パートタイム労働者は一・五%増、卸売・小売業、飲食店では一般労働者三・六%減、パートタイム労働者は二・三%増、サービス業では一般労働者一・六%増、パートタイム労働者は一・八%増であった。










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法人企業動向調査


―平成十一年十二月実施調査結果―


経済企画庁


◇調査要領

 本調査は、資本金一億円以上の全営利法人を対象として、設備投資の実績及び計画並びに企業経営者の景気と経営に対する判断及び見通し並びに設備投資に関連する海外直接投資動向を調査したものである。
 調査対象:調査は、原則として国内に本社又は主たる事務所をもって企業活動を営む資本金又は出資額が一億円以上の全営利法人(約三万七千八百社)から、経済企画庁が定める方法により選定した四千五百二十八社を対象とした。
 調査時点:平成十一年十二月二十五日
 調査方法:調査は、調査法人の自計申告により行った。
 なお、資本金又は出資額が百億円以上の営利法人については原則として全数調査、百億円未満の営利法人は、層化任意抽出法により選定した法人について調査した。
 有効回答率:調査対象法人四千五百二十八社のうち、有効回答法人四千三百五社、有効回答率九五・一%
〔利用上の注意〕
(1) 今期三か月の判断とは平成十一年七〜九月期と比較した場合の十一年十〜十二月期の判断、来期三か月の見通しとは十一年十〜十二月期と比較した場合の十二年一〜三月期の見通し、再来期三か月の見通しとは十二年一〜三月期と比較した場合の十二年四〜六月期の見通しである。ただし、在庫水準と生産設備については、それぞれの調査期間における判断と見通しである。
(2) 平成十一年十〜十二月以前は今期の判断、十二年一〜三月は来期の見通し、十二年四〜六月は再来期の見通しである。
(3) 判断指標(BSI)とは「上昇(強くなる・増加・過大)の割合―下降(弱くなる・減少・不足)の割合」である。
(4) 設備投資の公表数値は、母集団推計値である。また、算出基準は工事進捗ベース(建設仮勘定を含む有形固定資産の減価償却前増加額)である。
(5) 季節調整法は、センサス局法U、X―11で算出した。
(6) 集計上の産業分類は、日本標準産業分類を基準とする会社ベースでの主業分類に基づいて行った。
(7) 昭和六十三年三月調査より、日本電信電話(株)、第二電電(株)等七社、JR関係七社及び電源開発(株)を調査対象に加えるとともに、日本電信電話(株)、第二電電(株)等七社については六十年四〜六月期、JR関係七社については六十二年四〜六月期に遡及して集計に加えた。
(8) 平成元年六月調査より消費税を除くベースで調査した。
(9) 平成十年六月調査より以下のとおり産業分類の見直しを行い、昭和五十九年六月調査に遡及して集計を行った。
 @ 「造船」を「その他の輸送用機械」に合併。
 A 「印刷・出版」を「その他の製造業」に合併。
 B 「卸売・小売業、飲食店」の内訳を廃止し、「卸売業」と「小売業、飲食店」に分割。
 C 「運輸・通信業」の内訳を廃止し、「運輸業」と「通信業」に分割。
 D 「電力業」と「ガス業」を合併し、「電力・ガス業」とする。
 E 「サービス業」を「サービス業(除くリース業)」と「リース業」に分割。
 F 製造業を素材型、加工型に分類。

一 景気見通し(全産業:季節調整値)

(一) 国内景気第1表参照

 企業経営者による国内景気に関する判断指標(BSI:「上昇」−「下降」)をみると、平成十一年七〜九月「十」の後、十〜十二月は「六」と若干低下している。
 その後の見通しは、十二年一〜三月「五」の後、四〜六月には「二十二」と大きく改善している。
 産業別にみると、製造業では十一年十〜十二月「八」、十二年一〜三月「五」、四〜六月「二十五」となり、非製造業では十一年十〜十二月「四」、十二年一〜三月「五」、四〜六月「二十一」となっている。

(二) 業界景気第2表参照

 所属業界の景気に関する判断指標(BSI:「上昇」−「下降」)をみると、平成十一年七〜九月「マイナス三」の後、十〜十二月「マイナス一」とマイナス幅は縮小した。
 その後の見通しは、十二年一〜三月「マイナス五」と低下した後、四〜六月には「七」と改善している。
 産業別にみると、製造業では十一年十〜十二月「三」、十二年一〜三月「マイナス四」、四〜六月「十一」となり、非製造業では十一年十〜十二月「マイナス五」、十二年一〜三月「マイナス六」、四〜六月「三」となっている。

二 需要・価格関連見通し(季節調整値)

(一) 内外需要(製造業)(第3表参照

 企業経営者による国内需要に関する判断指標(BSI:「強くなる」−「弱くなる」)をみると、平成十一年七〜九月「六」の後、十〜十二月「六」と引き続き改善している。
 その後の見通しは、十二年一〜三月「マイナス一」と低下した後、四〜六月「十五」と大きく改善を見込んでいる。
 また、海外需要に関する判断指標(BSI:「強くなる」−「弱くなる」)をみると、十一年七〜九月「二」の後、十〜十二月「六」と引き続き改善を見込んでいる。
 その後の見通しも、十二年一〜三月「五」、四〜六月「十」と引き続き改善を見込んでいる。

(二) 在庫水準(製造業)(第4表参照

 自己企業の原材料在庫水準に関する判断指標(BSI:「過大」−「不足」)をみると、平成十一年九月末「十四」の後、十二月末「十六」と過大感がやや上昇した。その後の見通しは、十二年三月末「十」、六月末「七」となり、過大感が次第に和らいでいる。
 また、完成品在庫水準に関する判断指標をみると、十一年九月末「二十三」の後、十二月末「二十二」と過大感がやや和らいだ。その後の見通しも、十二年三月末「十五」、六月末「十」となり、過大感が次第に和らいでいる。

(三) 価 格(製造業、農林漁業、鉱業)(第5表参照

 自己企業の原材料価格に関する判断指標(BSI:「上昇」−「下降」)をみると、平成十一年七〜九月「六」、十〜十二月「六」と引き続き上昇している。その後の見通しは、十二年一〜三月「五」、四〜六月「三」となっている。
 また、製品価格に関する判断指標(BSI:「上昇」−「下降」)をみると、十一年七〜九月「マイナス十七」の後、十〜十二月「マイナス十二」とマイナス幅は縮小した。その後の見通しは、十二年一〜三月「マイナス十一」、四〜六月「マイナス十三」となっている。

三 経営見通し(季節調整値)

(一) 売上高(全産業:金融・保険業、不動産業を 除く)(第6表参照

 売上高に関する判断指標(BSI:「増加」−「減少」)をみると、平成十一年七〜九月「マイナス三」の後、十〜十二月には「〇」となった。
 その後の見通しは、十二年一〜三月「マイナス一」の後、四〜六月「十」となり、改善がみられる。
 産業別にみると、製造業は十一年十〜十二月「六」、十二年一〜三月「〇」、四〜六月「十五」となり、非製造業では十一年十〜十二月「マイナス五」、十二年一〜三月「マイナス一」、四〜六月「七」となっている。

(二) 経常利益(全産業:金融・保険業、不動産業 を除く)(第7表参照

 経常利益に関する判断指標(BSI:「増加」−「減少」)をみると、平成十一年七〜九月の「マイナス五」の後、十〜十二月「マイナス一」とマイナス幅は縮小した。
 その後の見通しは、十二年一〜三月「〇」の後、四〜六月には「八」となり、改善がみられる。
 産業別にみると、製造業では十一年十〜十二月「四」、十二年一〜三月「一」、四〜六月「十三」となり、非製造業では十一年十〜十二月「マイナス五」、十二年一〜三月「マイナス二」、四〜六月「五」となっている。

四 生産設備見通し(製造業:季節調整値)(第8表参照

 自己企業の生産設備に関する判断指標(BSI:「過大」−「不足」)をみると、平成十一年七〜九月の「三十三」の後、十〜十二月には「三十」と若干低下するが、生産設備の過大感は引き続き高くなっている。
 その後の見通しも、十二年一〜三月「二十七」、四〜六月「二十四」と次第に低下するものの、過大感は引き続き高い水準となっている。

五 設備投資の動向(全産業:原数値)

(一) 半期別動向第9表参照

 設備投資の動向を半期別に前年同期比でみると、平成十年度十〜三月(実績)六・八%減、十一年度四〜九月(実績)五・九%減の後、十〜三月(計画)は八・四%減の見通しとなっている。
 産業別にみると、製造業は十年度十〜三月一〇・一%減、十一年度四〜九月九・三%減の後、十〜三月は八・七%減の見通しとなっている。一方、非製造業では十年度十〜三月四・九%減、十一年度四〜九月四・〇%減の後、十〜三月は八・三%減の見通しとなっている。

(二) 資本金規模別動向第10表参照

 資本金規模別に前年同期比でみると、資本金十億円以上の大企業では、平成十年度十〜三月四・五%減、十一年度四〜九月三・八%減の後、十〜三月は六・九%減の見通しとなっている。
 一方、資本金一〜十億円の中堅企業では、十年度十〜三月一一・六%減、十一年度四〜九月一〇・四%減の後、十〜三月は一一・七%減の見通しとなっている。

(三) 年度の動向第11表参照

 平成十一年度の全産業の設備投資計画(修正計画U)は、約三十九兆六千億円となり、十年度(実績)に比べ七・二%の減少が見込まれている。これを、修正計画T(九月調査時点)と比較すると、前年度比は九・四%減から七・二%減への上方修正となっている。
 産業別にみると、製造業では、約十三兆六千億円と、前年度に比べ九・〇%の減少が見込まれている(修正計画Tの前年度比一一・三%減から上方修正)。一方、非製造業では、約二十六兆一千億円と、前年度に比べ六・二%の減少が見込まれている(修正計画Tの前年度比八・三%減から上方修正)。
 また、資本金規模別にみると、資本金十億円以上の大企業では、前年度に比べ五・四%の減少が見込まれている。このうち製造業では八・一%の減少、非製造業では三・九%の減少が見込まれている。
 一方、資本金一〜十億円の中堅企業では、一一・〇%の減少が見込まれている。このうち製造業では一一・二%の減少、非製造業では一一・〇%の減少が見込まれている。

(四) 四半期別動向(原数値)

 四半期別の動向を前年同期比でみると、平成十一年七〜九月(実績)の八・五%減の後、十〜十二月(実績見込み)は六・二%の減少となっている。
 産業別にみると、製造業では十一年七〜九月の一四・八%減の後、十〜十二月は五・九%の減少となっている。一方、非製造業では十一年七〜九月の四・九%減の後、十〜十二月は六・五%の減少となっている。





言葉の履歴書


黄金週間

 四月二十九日はみどりの日、三十日は日曜、五月三日は憲法記念日、四日は国民の休日、五日はこどもの日、六日は土曜、七日は日曜と、今年の四月から五月にかけての連休は大型です。
 戦前のこの時期の祝日は、四月二十九日の天長節(昭和天皇の誕生日)だけでしたが、昭和二十三年に五月三日と五日が国民の祝日となり、六十年から四日の国民の休日が加わっています。映画産業界では、観客の多い連休週間をゴールデン・ウイーク(golden week)と呼びましたが、「黄金週間」と訳されるこの和製英語は昭和二十七、八年から一般用語になりました。
 黄金週間は英語のゴールデン・エージ(golden age)、訳して「黄金時代」からの造語。古代ギリシャ人が人類史を金・銀・銅・鉄の四期に分け、第一期を純潔・幸福に満ちた最盛期とした史観に基づくものです。十一月三日の「文化の日」を中心とした期間が「シルバーウイーク」と和製英語で呼ばれることもあるようですが、訳語はありません。英語でも日本語でもない言葉ということになります。
(『広報通信』平成十二年四月号)



    <5月10日号の主な予定>

 ▽労働力調査平成十一年平均結果………………………………総 務 庁 

 ▽単身世帯収支調査の概要平成十一年平均速報の結果………総 務 庁 



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