官報資料版 平成12年5月17日




                  ▽我が国の人口(推計)………………総 務 庁

                  ▽毎月勤労統計調査(一月分)………労 働 省

                  ▽月例経済報告(四月報告)…………経済企画庁











平成十一年十月一日現在


我が国の人口(推計)


総 務 庁


 総務庁統計局では、平成十一年十月一日現在の推計人口を、十二年三月二十三日に公表した。
 我が国の人口は、国勢調査によって五年ごとに調査年の十月一日現在の人口の詳細を明らかにしているが、その中間時点においては、国勢調査の人口を基礎として、その後の出生児数、死亡者数、入国者数、出国者数等を加減して、毎月一日現在で「全国、年齢五歳階級、男女別推計人口」を算出している。
 また、毎年十月一日現在で「全国、年齢各歳、男女別推計人口」及び「都道府県、年齢五歳階級、男女別推計人口」を算出している。
 今回、公表したのは、平成十一年十月一日現在の「全国、年齢各歳、男女別推計人口」及び「都道府県、年齢五歳階級、男女別推計人口」で、その概要は次のとおりである。

◇ 全国人口

一 総人口

<総人口は平成十一年十月一日現在で一億二千六百六十八万六千人、この一年間に二十万人の増加>
 平成十一年十月一日現在における我が国の総人口は一億二千六百六十八万六千人で、十年十月から十一年九月までの一年間に二十万人(〇・一六%)増加した。人口増加数は、昭和五十四年に百万人を、平成元年に五十万人を下回ってからも減少傾向で推移し、八年の二十九万四千人以来の二十万人台となっている。総人口を男女別にみると、男性が六千百九十七万二千人(総人口の四八・九%)で、この一年間に五万三千人(〇・〇九%)の増加、女性が六千四百七十一万四千人(同五一・一%)で十四万六千人(〇・二三%)の増加となっていて、女性が男性より二百七十四万二千人多くなっている(第1表第2表参照)。
 総人口の増加率は、第二次ベビーブーム期(昭和四十六〜四十九年)には一・四%前後と高い水準(最高は昭和四十七年の一・四一%)にあったが、その後は出生児数の減少により昭和五十二年に一%を、六十二年に〇・五%を下回るなど低下傾向で推移しており、平成六年以降は〇・二%台となっていたが、十一年には〇・一六%となり、〇・二%を下回った(第1表第1図参照)。
 自然動態(出生・死亡)をみると、出生児数は、第二次ベビーブーム期(最高は昭和四十八年の二百十万七千人)以後は減少傾向が続いており、平成十一年は百十九万七千人で前年より一万八千人減少と百二十万人を下回っている。一方、平成十一年の死亡者数は九十八万五千人で、前年を五万二千人上回っている。この結果、出生児数と死亡者数の差である自然増加数は二十一万二千人で、戦後最低水準だった前年(二十八万二千人)を七万人下回っている(第1表参照)。
 男女別に自然増加数をみると、男性が七万七千人、女性が十三万五千人と、女性が自然増加数の三分の二弱を占めている(第2表参照)。
 また、社会動態(出入国)をみると、平成十一年の入国者数は一千七百二十三万七千人、出国者数は一千七百二十四万九千人で、入国者数、出国者数ともに前年より二十万人以上増加した。入国者数と出国者数の差である社会増加数は一万二千人の減少で、三年ぶりの減少となった(第1表参照)。
 社会増加数を男女別にみると、男性は二万四千人の減少、女性は一万一千人の増加となっている(第2表参照)。

二 年齢別人口

 (一) 人口ピラミッドはひょうたん型
 我が国の人口ピラミッドは、各時代の社会情勢を背景とする出生・死亡の状況を反映し、第2図のようになっている。
 この人口ピラミッドは、近年、出生児数が第二次ベビーブーム期をピークとして、減少傾向が続いていたことを反映し、すそが狭まった「ひょうたん型」となっている。
 なお、平成十一年十月一日現在における、明治生まれの人口は百三十三万一千人(総人口に占める割合は一・一%)、大正生まれの人口は九百五十八万六千人(同七・六%)、昭和生まれの人口は一億二百八十六万二千人(同八一・二%)、平成生まれの人口は一千二百九十万八千人(同一〇・二%)となっている。このうち平成生まれの人口は、初めて総人口の一割を上回った。また、戦後生まれの人口は八千七百六十五万六千人で、総人口の六九・二%となっている。

 (二) 増加が続く老年人口
 平成十一年十月一日現在の総人口を年齢三区分別にみると、年少人口(〇〜十四歳)は一千八百七十四万二千人で前年より三十一万六千人の減少、生産年齢人口(十五〜六十四歳)は八千六百七十五万八千人で十六万二千人の減少、老年人口(六十五歳以上)は二千百十八万六千人で六十七万九千人の増加となった。このうち、生産年齢人口は平成八年から減少が続き、減少幅も拡大している(第3図参照)。

 (三) 一五%を下回った年少人口の割合
 年齢三区分別人口の割合は、年少人口が一四・八%、生産年齢人口が六八・五%、老年人口が一六・七%で、前年に比べ、年少人口、生産年齢人口がそれぞれ〇・三ポイント、〇・二ポイント低下し、老年人口が〇・五ポイント上昇している。
 年齢三区分別人口の割合の推移をみると、年少人口の割合は昭和五十年(二四・三%)から低下を続け、平成十一年は一五%を下回っている。生産年齢人口の割合は、昭和五十七年(六七・五%)から上昇を続けていたが、平成四年(六九・八%)をピークに、低下している。一方、老年人口の割合は昭和二十七年(五・〇%)以降上昇が続いており、平成十一年(一六・七%)はこれまでの最高となっている(第3表第4図参照)。

 (四) 老年化指数は一一三・〇
 年齢構造指数についてみると、生産年齢人口に対する年少人口の比率(年少人口指数)は二一・六、老年人口の比率(老年人口指数)は二四・四となっている。
 年少人口指数は昭和五十二年以降低下を続けているのに対し、老年人口指数は三十八年以降上昇を続けており、平成十一年は、前年と比べ、年少人口指数が〇・三ポイントの低下、老年人口指数が〇・八ポイント上昇した結果、生産年齢人口に対する子どもと高齢者の人口の比率(従属人口指数)は〇・五ポイント上昇して四六・〇となった。ちなみに、将来推計(*1)では平成十六年には五〇・一と五割を超えると予測されている。
 子どもに対する高齢者の比率(老年化指数)は一一三・〇となっている。この老年化指数は、平成元年に六一・七と六〇・〇を超えた後、毎年ほぼ五ポイントの上昇を続け、九年には一〇二・〇と一〇〇を超え、十一年は十年よりさらに五・四ポイント上昇している。将来推計(*1)では平成二十一年には一五一・九、三十四年には二〇一・五になると予測されている(第3表参照)。
 *1:「日本の将来推計人口―平成九年一月推計―」(国立社会保障・人口問題研究所)中位推計による。

 (五) 年齢構造はイタリアとほぼ同じ
 我が国の人口の年齢構造を各国と比べてみると、調査年次に相違はあるものの、年少人口の割合はイタリアに次いで低い水準、老年人口はイタリアに次いで高い水準となっている。生産年齢人口の割合は中国、ドイツとほぼ同じであるが、中国は年少人口が老年人口の三倍以上多く、日本とは年齢構造が大きく違っている。
 年齢三区分別人口の割合全体を通じてみると、老年人口が年少人口より多いなど、我が国の年齢構造はイタリアとほぼ同じになっている(第4表参照)。

◇ 都道府県別人口

一 人 口

 (一) 人口六百万人以上の上位五都府県で全国人口の三分の一
 平成十一年十月一日現在における都道府県別の人口は、東京都の一千百八十三万七千人を最高に、大阪府(八百八十万一千人)、神奈川県(八百四十四万三千人)、愛知県(七百万八千人)、埼玉県(六百九十二万九千人)と続いている。以下、五百万人台が四道県、三百万人台が二県、二百万人台が九府県、百万人台が二十県、百万人未満が七県となっている。上位五都府県の順位は、昭和五十八年以降、変わっていない。
 なお、東京都、大阪府、神奈川県、愛知県及び埼玉県の上位五都府県で全国人口の三四・〇%と、三分の一を超えている。また、大都市(東京都特別区部及び政令指定都市)を含む十一都道府県では五二・一%と、全国人口の二分の一強を占めている(第5表参照)。

 (二) 人口減少県は二十三道府県
 平成十一年に人口が減少したのは、秋田県、長崎県、愛媛県、山口県、島根県、山形県、高知県など二十三道府県となっている。
 人口減少県の数は、平成六、七年には九県にまで減少していたが、八年から増加に転じ、十一年は十年より五府県増加して二十三道府県で、ほぼ半数となっている。
 なお、人口減少県のうち、秋田県、島根県、山口県、愛媛県、高知県及び長崎県の六県では、人口減少が十四年以上続いている。増加から減少に転じた五府県(富山県、京都府、大阪府、鳥取県、広島県)のうち、富山県は七年ぶりに、京都府は九年ぶりに、広島県は戦後初めての人口減少となっている(第6表第5図参照)。

 (三) 人口増加率は沖縄県の〇・八一%が最高
 都道府県別の人口増加率をみると、全国平均の〇・一六%を上回っているのは十五県で、このうち、沖縄県が〇・八一%で最も高く、以下、滋賀県が〇・七三%、神奈川県が〇・六一%と続き、千葉県、埼玉県が〇・五%台、愛知県、兵庫県が〇・四%台となっている。
 人口増加率が〇・四%を超えているこの七県は、自然増加率と社会増加率が共にプラスとなっており、このうち、滋賀県、千葉県及び兵庫県では自然増加率と社会増加率の寄与が同程度で、沖縄県、埼玉県及び愛知県の三県では自然増加率の寄与が大きくなっている。
 なお、人口が減少している二十三道府県のうち、北海道、福島県、京都府、大阪府、広島県、佐賀県、長崎県及び宮崎県は社会増加率のマイナスが、高知県は自然増加率のマイナスが、青森県、岩手県、秋田県など十四県は自然増加率と社会増加率のマイナスが、それぞれ人口減少の要因となっている(第6表第8表第6図参照)。

 (四) 自然増加率の最高は沖縄県の〇・六八%
 都道府県別の自然増加率をみると、沖縄県が〇・六八%で最も高く、以下、愛知県が〇・四二%、神奈川県、埼玉県、滋賀県及び大阪府の四県が〇・三%台となっている。
 一方、自然増加率が最も低いのは島根県、高知県のマイナス〇・二四%で、次いで秋田県、山口県、鹿児島県、徳島県、山形県などとなっており、自然増加率がマイナス(自然減少)の県は十五県となっている。自然減少の県は平成十年の九県から六県(青森県、新潟県、富山県、大分県、岩手県、愛媛県)増加している。
 なお、自然増加率は、出生児数の減少により、平成二年に沖縄県が〇・九一%に低下して以来、すべての都道府県で一%未満となり、七年以降は、沖縄県以外の四十六都道府県では〇・五%以下となっている(第7表参照)。

 (五) 社会増加率は滋賀県が最も高く〇・三六%
 都道府県別の社会増加率をみると、滋賀県が〇・三六%で最も高く、以下、千葉県、神奈川県及び兵庫県が〇・二%台、埼玉県、沖縄県及び福岡県が〇・一%台となっている。この社会増加率は、昭和六十一年から平成五年までは埼玉県が最も高かったが、六年以降は滋賀県が最も高くなっている。
 一方、社会増加率が最も低いのは大阪府のマイナス〇・三六%で、次いで長崎県、愛媛県、秋田県となっている。
 なお、大都市のある十一都道府県についてみると、大阪府、広島県、京都府、北海道及び東京都の五都道府県は社会増加率がマイナス(社会減少)で、他の六県はプラスとなっている(第9表参照)。

二 年齢別人口

 (一) 年少人口が老年人口を上回っているのは七府県
 平成十一年十月一日現在の年少人口(〇〜十四歳)の割合を都道府県別にみると、沖縄県が二〇・〇%で最も高く、東京都が一二・六%で最も低くなっており、その他の道府県は一四〜一六%台となっている。この年少人口の割合は、近年、出生児数の減少により各都道府県とも低下傾向にあり、平成十一年は前年と比べ、東京都で同率となっているものの、他の道府県では低下している。
 また、老年人口(六十五歳以上)の割合をみると、島根県が二四・三%で最も高く、以下、高知県、秋田県、山形県、鹿児島県となっており、十九県で二〇%以上となっている。一方、割合が最も低いのは埼玉県の一二・〇%で、次いで神奈川県、千葉県、沖縄県及び愛知県が一三%台となっている。この老年人口の割合は、年少人口とは対照的に、すべての都道府県で上昇している。
 この結果、老年人口が年少人口を上回っているのは、四十都道府県となり、前年より一県(茨城県)増加している。老年人口の割合をみると、島根県は九・四ポイント、高知県、秋田県は八ポイント以上、山口県、山形県及び徳島県は七ポイント以上上回っている。年少人口の方が老年人口を上回っているのは、埼玉県、千葉県、神奈川県、愛知県、滋賀県、大阪府及び沖縄県の七府県である。特に、沖縄県では年少人口の割合が、六ポイント以上上回っている(第10表第7図参照)。

 (二) 生産年齢人口の割合は四十四都道府県で低下
 生産年齢人口(十五〜六十四歳)の割合を都道府県別にみると、埼玉県が七二・九%、神奈川県が七二・六%で、以下、千葉県、東京都、大阪府、愛知県となっており、この六県が七〇%を超えている。一方、割合が最も低いのは島根県の六〇・八%で、次いで鹿児島県、山形県、鳥取県、高知県となっている。
 生産年齢人口の割合は、前年と比べ、鹿児島県で上昇、佐賀県及び沖縄県では同率となっているが、他の四十四都道府県では低下している。(第10表第7図参照)。


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賃金、労働時間、雇用の動き


毎月勤労統計調査 平成十二年一月分結果速報


労 働 省


 「毎月勤労統計調査」平成十二年一月分の主な特徴点は次のとおりである。

◇賃金の動き

 一月の調査産業計の常用労働者一人平均月間現金給与総額は三十万六千二百二十三円、前年同月比は一・八%増であった。現金給与総額のうち、きまって支給する給与は二十八万一千十円、前年同月比は一・二%増であった。これを所定内給与と所定外給与とに分けてみると、所定内給与は二十六万三千六十八円、前年同月比一・一%増、所定外給与は一万七千九百四十二円、前年同月比は二・九%増であった。
 また、特別に支払われた給与は二万五千二百十三円、前年同月比は八・〇%増であった。
 実質賃金は、二・九%増であった。
 きまって支給する給与の動きを産業別に前年同月比によってみると、伸びの高い順に金融・保険業三・五%増、鉱業二・四%増、電気・ガス・熱供給・水道業一・九%増、建設業一・三%増、運輸・通信業一・二%増、サービス業一・一%増、製造業一・〇%増、卸売・小売業、飲食店〇・五%増、不動産業〇・八%減であった。

◇労働時間の動き

 一月の調査産業計の常用労働者一人平均月間総実労働時間は百四十一・四時間、前年同月比は〇・六%増であった。
 総実労働時間のうち、所定内労働時間は百三十二・二時間、前年同月比は〇・五%増、所定外労働時間は九・二時間、前年同月比は三・三%増、所定外労働時間の季節調整値は前月比一・八%増であった。
 製造業の所定外労働時間は十一・八時間、前年同月比は一一・三%増、季節調整値の前月比は一・九%増であった。

◇雇用の動き

 一月の調査産業計の雇用の動きを前年同月比によってみると、常用労働者全体で〇・二%減、常用労働者のうち一般労働者では〇・五%減、パートタイム労働者では一・〇%増であった。
 常用労働者全体の雇用の動きを産業別に前年同月比によってみると、前年同月を上回ったものは電気・ガス・熱供給・水道業及びサービス業二・〇%増、鉱業一・七%増、建設業一・三%増であった。前年同月を下回ったものは、不動産業〇・三%減、運輸・通信業〇・七%減、卸売・小売業、飲食店一・三%減、金融・保険業一・八%減、製造業二・一%減であった。
 主な産業の雇用の動きを一般労働者・パートタイム労働者別に前年同月比によってみると、製造業では一般労働者二・九%減、パートタイム労働者は三・五%増、卸売・小売業、飲食店では一般労働者二・二%減、パートタイム労働者は前年同月と同水準、サービス業では一般労働者二・二%増、パートタイム労働者は一・二%増であった。












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月例経済報告(四月報告)


経済企画庁


 概 観

 我が国経済は、全体として需要の回復が弱く、厳しい状況をなお脱していない。しかし、各種の政策効果やアジア経済の回復などの影響から、景気は、緩やかな改善が続いている。企業の活動に積極性もみられるようになるなど、自律的回復に向けた動きが徐々に現れている。
 需要面をみると、個人消費は、収入が低迷していることから、改善傾向の定着には至っていないが、年末に比べれば持ち直した状態が続いている。住宅建設は、前年を上回っているが、年初の高い水準から、持家を中心に減少している。設備投資は、総じて下げ止まりつつある。製造業を中心に投資意欲に改善がみられ、持ち直しの動きが広がっている。公共投資は、第二次補正予算などの効果が現れているものの、全体としては高水準であった前年に比べればかなり下回っている。輸出は、アジア向けを中心に、増加している。
 在庫は、ほぼ調整を終了し、生産は、緩やかに増加している。
 雇用情勢は、残業時間や求人が増加傾向にあるものの、完全失業率がこれまでにない高さに上昇するなど、依然として厳しい。
 企業収益は、改善している。また、企業の業況判断は、なお厳しいが改善が進んでいる。
 政府は、公需から民需へのバトンタッチを円滑に行い、景気を本格的な回復軌道に乗せていくとともに、二十一世紀の新たな発展基盤を築くため、経済新生対策を始めとする諸施策を推進する。

◇    ◇    ◇

 我が国経済
 需要面をみると、個人消費は、収入が低迷していることから、改善傾向の定着には至っていないが、年末に比べれば持ち直した状態が続いている。住宅建設は、前年を上回っているが、年初の高い水準から、持家を中心に減少している。設備投資は、総じて下げ止まりつつある。製造業を中心に投資意欲に改善がみられ、持ち直しの動きが広がっている。公共投資は、第二次補正予算などの効果が現れているものの、全体としては高水準であった前年に比べればかなり下回っている。
 産業面をみると、在庫は、ほぼ調整を終了し、生産は、緩やかに増加している。企業収益は、改善している。また、企業の業況判断は、なお厳しいが改善が進んでいる。企業倒産件数は、おおむね横ばいとなっている。
 雇用情勢は、残業時間や求人が増加傾向にあるものの、完全失業率がこれまでにない高さに上昇するなど、依然として厳しい。
 輸出入は、対アジア輸出入を中心に、増加している。国際収支をみると、貿易・サービス収支の黒字は、年末に減少した後増加がみられるが、基調としてはおおむね横ばいとなっている。対米ドル円相場(インターバンク直物中心相場)は、三月は中旬にかけて百五円台まで上昇した後、百七円台まで下落したが、月末には百五円台まで上昇した。
 物価の動向をみると、国内卸売物価は、おおむね横ばいで推移している。また、消費者物価は、安定している。
 最近の金融情勢をみると、短期金利は、三月は月央にかけておおむね横ばいで推移し、その後上昇したが、月末には低下した。長期金利は、三月は上旬にやや低下した後、上昇し、月末には再びやや低下した。株式相場は、三月は月央にかけて下落した後、上昇した。マネーサプライ(M+CD)は、二月は前年同月比二・一%増となった。また、企業金融のひっ迫感は緩和しているが、民間金融機関の貸出は依然低調である。

 海外経済
 主要国の経済動向をみると、アメリカでは、先行きには不透明感もみられるものの、景気は拡大を続けている。実質GDPは、九九年七〜九月期前期比年率五・七%増の後、十〜十二月期は同七・三%増となった。個人消費は増加している。設備投資は七〜九月期の大幅増の反動もあり伸びが鈍化している。住宅投資はこのところ伸びが鈍化している。鉱工業生産(総合)は増加している。雇用は拡大している。物価は総じて安定している。財の貿易収支赤字(国際収支ベース)は拡大している。連邦準備制度は、三月二十一日に、公定歩合を〇・二五%ポイント引き上げ五・五〇%、フェデラル・ファンド・レートの誘導目標水準を〇・二五%ポイント引き上げ六・〇〇%とした。三月の長期金利(三十年物国債)は、低下基調で推移した。株価(ダウ平均)は、月前半は下落したものの、月後半に入り大きく上昇し、月初と月末を比較すると上昇した。
 西ヨーロッパをみると、ドイツでは、景気は緩やかに拡大している。フランス、イギリスでは、景気は拡大している。鉱工業生産は、ドイツでは増加している。フランスではこのところ伸びが鈍化している。イギリスでは伸びが鈍化している。失業率は、ドイツでは高水準ながらもやや低下している。フランスでは高水準ながらも低下している。イギリスでは低下している。物価は、ドイツでは輸入物価の上昇が見られるものの総じて安定している。フランスでは総じて安定している。イギリスでは安定している。なお、欧州中央銀行は、三月十六日、中期的な物価の安定に対するリスクを抑制するため、政策金利(主要オペレート)を〇・二五%ポイント引き上げ三・五〇%とした。
 東アジアをみると、中国では、景気の拡大テンポは鈍化している。物価は、消費者物価が上昇に転じた。貿易は、輸出入ともに大幅に増加している。韓国では、景気は拡大している。貿易は、輸出入ともに大幅な増加が続いている。
 国際金融市場の三月の動きをみると、米ドル(実効相場)は、ほぼ横ばいで推移した。
 国際商品市況の三月の動きをみると、CRB商品先物指数は、中旬に九八年五月以来となる二一七ポイント台まで上昇した後、下旬にかけては弱含んだ。原油スポット価格(北海ブレント)は、月初から急上昇し、湾岸危機以来となる三十一ドル台を記録した後、月末にかけては二十三ドル台まで下落した。

1 国内需要
―個人消費は、改善傾向の定着には至っていないが、年末に比べれば持ち直した状態が続いている―

 個人消費は、収入が低迷していることから、改善傾向の定着には至っていないが、年末に比べれば持ち直した状態が続いている。
 家計調査でみると、実質消費支出(全世帯)は前年同月比で一月三・二%減の後、二月(速報値)は四・二%増(季節調整済前月比二・三%増)となった。世帯別の動きをみると、勤労者世帯で前年同月比三・八%増、勤労者以外の世帯では同五・四%増となった。形態別にみると、財、サービスともに増加となった。なお、消費水準指数は全世帯で前年同月比一・〇%増、勤労者世帯では同〇・五%増となった。また、農家世帯(農業経営統計調査)の実質現金消費支出は前年同月比で一月二・六%減となった。小売売上面からみると、小売業販売額は前年同月比で一月二・〇%減の後、二月(速報値)は〇・二%減(季節調整済前月比一・一%減)となった。全国百貨店販売額(店舗調整済)は前年同月比で一月〇・五%減の後、二月(速報値)一・三%増となった。チェーンストア売上高(店舗調整後)は、前年同月比で一月五・八%減の後、二月〇・九%減となった。一方、耐久消費財の販売をみると、乗用車(軽を含む)新車新規登録・届出台数は、前年同月比で三月(速報値)は〇・六%増となった。また、家電小売金額(日本電気大型店協会)は、前年同月比で二月は一三・三%増となった。レジャー面を大手旅行業者十三社取扱金額でみると、二月は前年同月比で国内旅行が四・七%増、海外旅行は七・二%増となった。
 賃金の動向を毎月勤労統計でみると、現金給与総額は、事業所規模五人以上では前年同月比で一月一・四%増の後、二月(速報)は一・五%増(事業所規模三十人以上では同一・八%増)となり、うち所定外給与は、二月(速報)は同三・九%増(事業所規模三十人以上では同四・四%増)となった。実質賃金は、前年同月比で一月二・五%増の後、二月(速報)は二・四%増(事業所規模三十人以上では同二・七%増)となった。なお、平成十一年年末賞与は、前年比三・一%減(前年は二・九%減)となった。
 住宅建設は、前年を上回っているが、年初の高い水準から、持家を中心に減少している。
 新設住宅着工をみると、総戸数(季節調整値)は、前月比で一月は一六・四%増(前年同月比一六・八%増)となった後、二月は一〇・三%減(前年同月比二・四%増)の十万一千戸(年率百二十一万戸)となった。二月の着工床面積(季節調整値)は、前月比一二・三%減(前年同月比四・一%増)となった。二月の戸数の動きを利用関係別にみると、持家は前月比一一・四%減(前年同月比四・四%減)、貸家は同八・三%減(同三・三%増)、分譲住宅は同九・九%減(同一二・七%増)となっている。
 設備投資は、総じて下げ止まりつつある。製造業を中心に投資意欲に改善がみられ、持ち直しの動きが広がっている。
 日本銀行「企業短期経済観測調査」(三月調査)により設備投資の動向をみると、大企業の十二年度設備投資計画は、製造業で前年度比四・九%増、非製造業で同三・八%減となっており、全産業では同〇・六%減となった。また、中堅企業では、製造業で前年度比二・七%増、非製造業で同〇・二%増となり、中小企業では製造業で同九・四%減、非製造業で六・〇%減となっている。
 なお、十一年十〜十二月期の設備投資を、大蔵省「法人企業統計季報」(全産業)でみると前年同期比で〇・七%減(うち製造業八・二%減、非製造業二・九%増)となった。
 先行指標の動きをみると、当庁「機械受注統計調査」によれば、機械受注(船舶・電力を除く民需)は、季節調整済前月比で一月は〇・八%増(前年同月比二一・二%増)の後、二月は二・五%減(同一二・八%増)となり、基調は持ち直しの動きがみられる。
 なお、一〜三月期(見通し)の機械受注(船舶・電力を除く民需)は、季節調整済前期比で一・六%減(前年同期比一・九%増)と見込まれている。
 民間からの建設工事受注額(五十社、非住宅)をみると、このところ増加していたが、二月は季節調整済前月比二五・二%減(前年同月比六・六%減)となった。内訳をみると、製造業は季節調整済前月比一〇・五%減(前年同月比三二・八%増)、非製造業は同二七・六%減(同一三・一%減)となった。
 公的需要関連指標をみると、公共投資は、第二次補正予算などの効果が現れているものの、全体としては高水準であった前年に比べればかなり下回っている。
 公共工事着工総工事費は、前年同月比で一月は一二・六%減の後、二月は一五・〇%減となった。公共工事請負金額は、前年同月比で一月は六・一%減の後、二月は一・四%減となった。官公庁からの建設工事受注額(五十社)は、前年同月比で一月二・一%増の後、二月は一二・六%減となった。このように、二度にわたる補正予算の効果により高水準であった十年度に比べればかなり減少しているが、公共工事着工総工事費(国の機関)は、前年同月比で二月〇・四%減になるなど、第二次補正予算などの効果が現れている。

2 生産雇用
―依然として厳しい雇用情勢―

 鉱工業生産・出荷・在庫の動きをみると、在庫は、ほぼ調整を終了し、生産・出荷は、緩やかに増加している。
 鉱工業生産(季節調整値)は、前月比で一月〇・二%増の後、二月(速報)は、精密機械、繊維等が減少したものの、輸送機械、一般機械等が増加したことから、三・〇%増となった。また製造工業生産予測指数(季節調整値)は、前月比で三月は一般機械、化学等により二・三%減の後、四月は横ばいとなっている。鉱工業出荷(季節調整値)は、前月比で一月一・九%増の後、二月(速報)は、生産財、耐久消費財等が増加したことから、〇・五%増となった。鉱工業生産者製品在庫(季節調整値)は、前月比で一月〇・八%増の後、二月(速報)は、石油・石炭製品、化学等が減少したものの、輸送機械、一般機械等が増加したことから、〇・二%増となった。また、二月(速報)の鉱工業生産者製品在庫率指数(季節調整値)は九九・一と前月を〇・三ポイント下回った。
 主な業種について最近の動きをみると、輸送機械では、生産は二月は増加し、在庫は二か月連続で増加した。一般機械では、生産は四か月連続で増加し、在庫は二か月連続で増加した。化学では、生産は二月は増加し、在庫は二月は減少した。
 第三次産業の動向を通商産業省「第三次産業活動指数」(一月調査、季節調整値)でみると、前月比で十二月〇・八%増の後、一月(速報)は、不動産業、卸売・小売業,飲食店が減少したものの、サービス業、運輸・通信業等が増加した結果、同〇・五%増となった。
 雇用情勢は、残業時間や求人が増加傾向にあるものの、完全失業率がこれまでにない高さに上昇するなど、依然として厳しい。
 労働力需給をみると、有効求人倍率(季節調整値)は、一月〇・五二倍の後、二月〇・五二倍となった。新規求人倍率(季節調整値)は、一月〇・九六倍の後、二月〇・九三倍となった。総務庁「労働力調査」による雇用者数は、一月は前年同月比〇・七%減(前年同月差四十万人減)の後、二月は同〇・一%減(同六万人減)となった。常用雇用(事業所規模五人以上)は、一月前年同月比〇・二%減(季節調整済前月比〇・〇%)の後、二月(速報)は同〇・二%減(同〇・一%増)となり(事業所規模三十人以上では前年同月比一・三%減)、産業別には製造業では同二・〇%減となった。二月の完全失業者数(季節調整値)は、前月差十二万人増の三百二十九万人、完全失業率(同)は、一月四・七%の後、二月四・九%となった。所定外労働時間(製造業)は、事業所規模五人以上では一月前年同月比一二・二%増(季節調整済前月比二・八%増)の後、二月(速報)は同一一・六%増(同〇・六%減)となっている(事業所規模三十人以上では前年同月比一二・八%増)。
 前記「全国企業短期経済観測調査」(三月調査)によると、企業の雇用人員判断は過剰感が低下したものの、依然として高い水準にある。
 企業の動向をみると、企業収益は、改善している。また、企業の業況判断は、なお厳しいが改善が進んでいる。
 前記「全国企業短期経済観測調査」(三月調査)によると、大企業(全産業)では、十一年度下期の経常利益は前年同期比一七・〇%の増益の後、十二年度上期には同七・二%の増益が見込まれている。産業別にみると、製造業では十一年度下期に前年同期比三九・九%の増益の後、十二年度上期には同一四・四%の増益が見込まれている。また、非製造業では、十一年度下期に前年同期比一・九%の増益の後、十二年度上期には同一・六%の増益が見込まれている。売上高経常利益率は、製造業では十一年度下期に三・七一%になった後、十二年度上期は三・四八%と見込まれている。また、非製造業では十一年度下期に二・三八%になった後、十二年度上期は二・三五%と見込まれている。こうしたなかで、企業の業況判断をみると、製造業、非製造業ともに「悪い」超幅が縮小した。
 また、中小企業の動向を同調査でみると、全産業では、十一年度下期の経常利益は前年同期比一九・四%の増益の後、十二年度上期には同二四・四%の増益が見込まれている。産業別にみると、製造業では十一年度下期に前年同期比三七・六%の増益の後、十二年度上期には同五〇・〇%の増益が見込まれている。また、非製造業では、十一年度下期に前年同期比一二・二%の増益の後、十二年度上期には同一四・三%の増益が見込まれている。こうしたなかで、企業の業況判断をみると、製造業、非製造業ともに「悪い」超幅が縮小した。
 企業倒産の状況をみると、おおむね横ばいとなっている。
 銀行取引停止処分者件数は、十二月一千七十四件、一月九百三十五件、二月九百五件とおおむね横ばいで推移している。前年同月比でみると、信用保証制度の拡充の効果などから前年同月の件数が大幅に減少しているため、十二月三九・七%増、一月五六・一%増、二月五九・三%増となった。業種別に二月の件数の前年同月比をみると、卸売業で八四・七%の増加、小売業で七六・一%の増加となった。

3 国際収支
―輸出は、アジア向けを中心に、増加―

 輸出は、アジア向けを中心に、増加している。
 通関輸出(数量ベース、季節調整値)は、前月比で一月一・四%増の後、二月は五・五%増(前年同月比一九・九%増)となった。最近数か月の動きを品目別(金額ベース)にみると、電気機器、一般機械等が増加した。同じく地域別にみると、アジア、アメリカ等が増加した。
 輸入は、アジアからの輸入を中心に、増加している。
 通関輸入(数量ベース、季節調整値)は、前月比で一月七・三%減の後、二月は五・八%増(前年同月比七・三%増)となった。最近数か月の動きを品目別(金額ベース)にみると、鉱物性燃料、食料品等が増加した。同じく地域別にみると、アジア、中東等が増加した。
 通関収支差(季節調整値)は、一月に一兆四百六十億円の黒字の後、二月は一兆二千三百二十六億円の黒字となった。
 国際収支をみると、貿易・サービス収支の黒字は、年末に減少した後増加がみられるが、基調としてはおおむね横ばいとなっている。
 二月の貿易・サービス収支(季節調整値)は、前月に比べ、貿易収支の黒字幅が拡大し、サービス収支の赤字幅が縮小したため、その黒字幅は拡大し、九千三百五十八億円となった。また、経常収支(季節調整値)は、経常移転収支の赤字幅が縮小するとともに、貿易・サービス収支及び所得収支の黒字幅が拡大したため、その黒字幅は拡大し、一兆五千二百六十六億円となった。投資収支(原数値)は、一兆五千三百七十二億円の赤字となり、資本収支(原数値)は、一兆五千九百九十八億円の赤字となった。
 三月末の外貨準備高は、前月比百十億ドル増加して三千五十五億ドルとなった。
 外国為替市場における対米ドル円相場(インターバンク直物中心相場)は、三月は中旬にかけて百五円台まで上昇した後、百七円台まで下落したが、月末には百五円台まで上昇した。一方、対ユーロ円相場(インターバンク十七時時点)は、三月は中旬にかけて百一円台まで上昇した後、百四円台まで下落したが、月末には百円台まで上昇した。

4 物価
―国内卸売物価は、おおむね横ばいで推移―

 国内卸売物価は、おおむね横ばいで推移している。
 三月の国内卸売物価は、石油・石炭製品(燃料油)等が上昇したものの、電気機器(集積回路)等が下落したことから、前月比保合い(前年同月比〇・一%の上昇)となった。また、前記「全国企業短期経済観測調査」(大企業、三月調査)によると、製商品需給バランスは、引き続き改善がみられる。輸出物価は、契約通貨ベースで保合いだったものの、円高から円ベースでは前月比二・二%の下落(前年同月比六・九%の下落)となった。輸入物価は、契約通貨ベースで上昇したものの、円高から円ベースでは前月比一・六%の下落(前年同月比四・一%の上昇)となった。この結果、総合卸売物価は、前月比〇・四%の下落(前年同月比〇・四%の下落)となった。
 企業向けサービス価格は、二月は前年同月比〇・六%の下落(前月比〇・三%の上昇)となった。
 商品市況(月末対比)は石油等は上昇したものの、繊維等の下落により三月は下落した。三月の動きを品目別にみると、灯油等は上昇したものの、生糸等が下落した。
 消費者物価は、安定している。
 全国の生鮮食品を除く総合は、前年同月比で一月〇・三%の下落の後、二月は持家の帰属家賃の上昇幅の拡大等により〇・一%の下落(前月比〇・一%の下落、季節調整済前月比保合い)となった。なお、総合は、前年同月比で一月〇・九%の下落の後、二月は〇・六%の下落(前月比〇・一%の下落、季節調整済前月比〇・一%の上昇)となった。
 東京都区部の動きでみると、生鮮食品を除く総合は、前年同月比で二月〇・四%の下落の後、三月(中旬速報値)は、その他工業製品の下落幅の縮小等の一方、外食が上昇から下落に転じたこと等により〇・四%の下落(前月比〇・一%の上昇、季節調整済前月比〇・一%の下落)となった。なお、総合は、前年同月比で二月〇・八%の下落の後、三月(中旬速報値)は〇・七%の下落(前月比〇・二%の上昇、季節調整済前月比〇・一%の下落)となった。

5 金融財政
―株式相場は、月央にかけて下落した後、上昇―

 最近の金融情勢をみると、短期金利は、三月は月央にかけておおむね横ばいで推移し、その後上昇したが、月末には低下した。長期金利は、三月は上旬にやや低下した後、上昇し、月末には再びやや低下した。株式相場は、三月は月央にかけて下落した後、上昇した。M+CDは、二月は前年同月比二・一%増となった。
 短期金融市場をみると、オーバーナイトレートは、三月はおおむね横ばいで推移した。二、三か月物は、三月は月央にかけておおむね横ばいで推移し、その後上昇したが、月末には低下した。
 公社債市場をみると、国債利回りは、三月は上旬にやや低下した後、上昇し、月末には再びやや低下した。
 国内銀行の貸出約定平均金利(新規実行分)は、二月は前月比で短期は〇・〇〇八%ポイント低下し、長期は〇・一〇三%ポイント低下したことから、総合では〇・〇二五%ポイント低下し一・七三九%となった。
 マネーサプライをみると、M+CD(月中平均残高)は、二月(速報)は前年同月比二・一%増となった。また、広義流動性は、二月(速報)は同二・三%増となった。
 企業金融の動向をみると、金融機関(全国銀行)の貸出(月中平均残高)は、三月(速報)は前年同月比六・〇%減(貸出債権流動化・償却要因等調整後二・一%減)となった。三月のエクイティ市場での発行(国内市場発行分)は、転換社債が二百七十億円となった。また、国内公募事業債の起債実績は五千九百三十八億円(うち銀行起債分六百億円)となった。
 前記「全国企業短期経済観測調査」(全国企業、三月調査)によると、資金繰り判断は「苦しい」超が続いているものの、金融機関の貸出態度は「厳しい」超幅が縮小しゼロとなった。特に、大企業だけでなく、中堅企業においても改善の動きがみられる。
 以上のように、企業金融のひっ迫感は緩和しているが、民間金融機関の貸出は依然低調である。
 株式市場をみると、日経平均株価は、三月は月央にかけて下落した後、上昇した。

6 海外経済
―アメリカ、ユーロ圏、利上げ―

 主要国の経済動向をみると、アメリカでは、先行きには不透明感もみられるものの、景気は拡大を続けている。実質GDPは、九九年七〜九月期前期比年率五・七%増の後、十〜十二月期は同七・三%増となった。個人消費は増加している。設備投資は七〜九月期の大幅増の反動もあり伸びが鈍化している。住宅投資はこのところ伸びが鈍化している。鉱工業生産(総合)は増加している。雇用は拡大している。雇用者数(非農業事業所)は二月前月差〇・七万人増の後、三月は同四一・六万人増となった。失業率は三月四・一%となった。物価は総じて安定している。二月の消費者物価は前年同月比三・二%の上昇、二月の生産者物価(完成財総合)は同四・〇%の上昇となった。財の貿易収支赤字(国際収支ベース)は拡大している。連邦準備制度は、三月二十一日に、公定歩合を〇・二五%ポイント引き上げ五・五〇%、フェデラル・ファンド・レートの誘導目標水準を〇・二五%ポイント引き上げ六・〇〇%とした。三月の長期金利(三十年物国債)は、低下基調で推移した。株価(ダウ平均)は、月前半は下落したものの、月後半に入り大きく上昇し、月初と月末を比較すると上昇した。
 西ヨーロッパをみると、ドイツでは、景気は緩やかに拡大している。フランス、イギリスでは、景気は拡大している。十〜十二月期の実質GDPは、ドイツ前期比年率二・七%増、フランス同三・六%増(速報値)、イギリスは同三・一%増となった。鉱工業生産は、ドイツでは増加している。フランスではこのところ伸びが鈍化している。イギリスでは伸びが鈍化している(鉱工業生産は、ドイツ二月前月比三・四%増、フランス一月同〇・四%減、イギリス二月同〇・六%減)。失業率は、ドイツでは高水準ながらもやや低下している。フランスでは高水準ながらも低下している。イギリスでは低下している(失業率は、ドイツ三月一〇・〇%、フランス二月一〇・二%、イギリス二月四・〇%)。物価は、ドイツでは輸入物価の上昇が見られるものの総じて安定している。フランスでは総じて安定している。イギリスでは安定している(消費者物価上昇率は、ドイツ三月前年同月比一・九%、フランス二月同一・四%、イギリス二月同二・三%)。なお、欧州中央銀行は、三月十六日、中期的な物価の安定に対するリスクを抑制するため、政策金利(主要オペレート)を〇・二五%ポイント引き上げ三・五〇%とした。
 東アジアをみると、中国では、景気の拡大テンポは鈍化している。物価は、消費者物価が上昇に転じた。貿易は、輸出入ともに大幅に増加している。韓国では、景気は拡大している。貿易は、輸出入ともに大幅な増加が続いている。
 国際金融市場の三月の動きをみると、米ドル(実効相場)は、ほぼ横ばいで推移した。モルガン銀行発表の米ドル名目実効相場指数(一九九〇年=一〇〇)をみると、三月三十一日現在一〇八・二、二月末比一・七%の減価となっている。内訳をみると、三月三十一日現在、対円では二月末比六・六%減価、対ユーロでは同一・〇%増価した。
 国際商品市況の三月の動きをみると、CRB商品先物指数は、中旬に九八年五月以来となる二一七ポイント台まで上昇した後、下旬にかけては弱含んだ。原油スポット価格(北海ブレント)は、月初から急上昇し、湾岸危機以来となる三十一ドル台を記録した後、月末にかけては二十三ドル台まで下落した。


五月の気象


 五月になると、日本付近は周期的に移動性高気圧や帯状高気圧に覆われることが多くなり、暖かで乾燥した気候となります。このため、特に、東日本、西日本では晴天が続き、さわやかな気候となります。また、北日本では一足遅れて春の訪れとなります。
 人間が心地よく感じる気温は、季節によっても違いますが、十七〜二十四度くらいといわれています。過ごしやすさは気温だけでなく天気や湿度なども影響しますが、東日本から九州にかけては五月は多くの地域で晴天が多く、湿度も低くなるため、快適な時期となります。
◇五月の気象災害
 五月は快適な時期ですが、しばしば雷が発生し、ひょうや氷あられが降ります。この時期はすでに日射が真夏と同程度に強くなっており、真夏ほどではないものの地表付近が暖められます。この時、真夏に比べ冷たい空気が上空に入ってくると、大気の状態が不安定となり、積乱雲(入道雲)が発達してひょうなどを降らせることが多く、これらは主に農作物に被害を与えます。
 また、春や秋には移動性高気圧に覆われ、風がなく穏やかに晴れた日の夜に、放射冷却が強まり、霜が発生しやすくなります。なかでも、五月の晩霜は、それまでの暖かさで成長した植物が影響を受けるため、時として大きな被害を起こすことがあります。
 このように、五月は冬から夏への移行時期であり、思わぬ寒気が入ることにより、ひょうが降ったり霜が発生したりと農作物に被害を与える現象が起こることがあります。特に農業関係の方々は、気象情報には十分気を付けてください。(気象庁)



    <5月24日号の主な予定>

 ▽地方財政白書のあらまし………自 治 省 

 ▽家計収支(二月分)……………総 務 庁 




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