官報資料版 平成12年5月31日




                  ▽平成十一年貯蓄動向調査の結果…………………………………総 務 庁

                  ▽消費者物価指数の動向(東京都区部三月中旬速報値)………総 務 庁

                  ▽消費者物価指数 東京都区部 平成十一年度平均速報………総 務 庁











貯蓄と負債の動向


―平成十一年貯蓄動向調査の結果―


総 務 庁


 総務庁統計局では、三月十四日に平成十一年貯蓄動向調査の結果を公表した。その概要は以下のとおりである。
 貯蓄動向調査は、家計調査に附帯して昭和三十三年以降毎年実施しているもので、全国の二人以上の一般世帯(単身世帯を除く。)から抽出した約六千三百世帯を対象に、毎年十二月三十一日現在における貯蓄及び負債の状況を調査している。
 この調査でいう「貯蓄」には、郵便局、銀行、その他の金融機関への預貯金のほか、生命保険、簡易保険、積立型損害保険の掛金(掛け捨てを除く。)、有価証券(株式、債券、信託等)、社内預金などを含んでいる。

◇貯蓄の動向

<勤労者世帯の貯蓄は一千三百九十三万円、前年に比べて三・〇%の増加>
 平成十一年十二月末における勤労者世帯の一世帯平均の貯蓄現在高は一千三百九十三万円となっており、前年に比べて三・〇%の増加となった。貯蓄現在高の対前年増加率は、景気の低迷の中で平成七年は二・二%、八年は一・四%と増加が続いた後、九年は二・三%の減少となったものの、十年は八・一%の大幅な増加となり、十一年は三・〇%と引き続き増加した。
 また、年間収入は七百八十七万円で、対前年増加率は二・六%の減少となった。この結果、貯蓄年収比(貯蓄現在高の年間収入に対する比)は一七七・〇%となり、前年に比べて九・七ポイント上昇した(第1表第1図参照)。

<全世帯の貯蓄は一千七百三十八万円、前年に比べて四・六%の増加>
 勤労者世帯と勤労者以外の世帯(個人営業世帯、法人経営者世帯、自由業者世帯、無職世帯等)を合わせた全世帯の一世帯平均の貯蓄現在高は一千七百三十八万円で、前年に比べて四・六%の増加となった。全世帯の貯蓄現在高の対前年増加率は、平成七年は〇・七%、八年は三・二%と増加が続いた後、九年は一・三%の減少となったが、十年は一・六%の増加となり、十一年も四・六%と引き続き増加した。
 また、年間収入は七百五十五万円で、対前年増加率は〇・四%の減少となっており、全世帯の貯蓄年収比は二三〇・二%で、前年に比べて一一・二ポイント上昇した(第1表参照)。

<勤労者世帯の六六・八%が平均貯蓄現在高以下>
 勤労者世帯について貯蓄現在高階級別(標準級間隔二百万円)の世帯分布をみると、平均値一千三百九十三万円を下回る世帯が全体の六六・八%を占め、貯蓄の低い方に偏った分布となっている。
 また、世帯全体を二分する貯蓄現在高の中位数は九百一万円、世帯が最も多い貯蓄現在高階級は「二百万円以上四百万円未満」で、最頻値は三百七十二万円となっている。
 なお、前年に比べ平均値は四十一万円、中位数は八万円と、共に増加となったが、最頻値は二十八万円減少している(第2図参照)。

<貯蓄現在高の世帯間格差は前年とほぼ同じ>
 勤労者世帯について貯蓄現在高の世帯間格差を四分位分散係数でみると、平成十一年は六〇・五%となり、前年(六〇・四%)とほぼ同じとなっている。
 貯蓄現在高の四分位分散係数の推移をみると、昭和三十五年には七〇%以上であったが、三十年代後半から四十年代にかけて縮小傾向を示し、五十二年には五五・五%となった。その後は平成七年(六〇・四%)を除き、おおむね五〇%台後半で推移していたが、十年から六〇%台となっている(第3図参照)。

<有価証券が最も大幅な増加、通貨性預貯金も大幅な増加>
 勤労者世帯について貯蓄現在高を貯蓄の種類別にみると、定期性預貯金五百九十四万円、生命保険など四百五十五万円、通貨性預貯金百五十一万円、有価証券百三十六万円、金融機関外への貯蓄(社内預金など)五十七万円などとなっている。
 これらの対前年増加率をみると、有価証券が二三・九%、通貨性預貯金が一二・八%、生命保険などが二・八%とそれぞれ増加しているのに対し、金融機関外が九・一%、定期性預貯金が一・三%とそれぞれ減少した。
 有価証券は、平成元年をピークに、五年を除き減少してきたが、十一年は増加となった。
 なお、平均貯蓄現在高の対前年増加率(三・〇%増)への貯蓄の種類別の寄与度をみると、有価証券が一・九、通貨性預貯金が一・三、生命保険などが〇・九などとなっており、有価証券の寄与が最も大きい。
 預貯金について金融機関別にみると、通貨性預貯金のうち銀行は九十二万円で前年に比べ九・六%増加したが、郵便局は三十万円で前年に比べ〇・七%減少した。また、定期性預貯金のうち銀行は二百五十七万円で、前年に比べ一・一%増加したものの、郵便局は二百二十九万円、その他は百八万円で、前年に比べそれぞれ三・五%、二・二%減少した(第2表参照)。

<有価証券の割合は調査開始以来最低の前年より一・六ポイント上昇、通貨性預貯金の割合は七年連続の上昇>
 勤労者世帯の貯蓄現在高に占める貯蓄の種類別割合は、定期性預貯金が四二・七%と最も高く、次いで生命保険など三二・七%、通貨性預貯金一〇・九%、有価証券九・七%、金融機関外四・一%となっている。
 貯蓄の種類別割合の推移をみると、定期性預貯金は平成七年に上昇、八年は〇・五ポイント低下、九年は〇・三ポイント低下した後、十年は〇・二ポイント上昇したが、十一年は一・八ポイント低下した。定期性預貯金の内訳をみると、郵便局は平成十年の一七・六%から十一年の一六・四%に一・二ポイント低下しており、銀行も十年の一八・八%から十一年の一八・四%へ〇・四ポイント低下している。また、通貨性預貯金は前年に比べ一・〇ポイント上昇して、平成五年以来七年連続の上昇となった。
 一方、有価証券は平成元年(二三・二%)を境にして低下傾向で推移し、十年は八・一%と、調査開始以来最低となったが、十一年は一・六ポイント上昇した。また、生命保険などは平成三年以降上昇傾向で推移していたが、十年に〇・九ポイント低下し、十一年は横ばいとなった(第3表第4図参照)。

<生命保険が二十八年ぶりの減少>
 勤労者世帯について生命保険などの内訳をみると、生命保険が二百八十一万円、簡易保険が百四十六万円、積立型損害保険が二十九万円となっている。対前年増加率は、それぞれ一・一%の減少、一〇・七%の増加、四・四%の増加となっている。簡易保険及び積立型損害保険は、平成九年に減少となった後、十年、十一年は増加となっている。また、生命保険は、昭和四十六年以来二十八年ぶりの減少となっている(第2表第5図参照)。

<株式、株式投資信託が大幅な増加>
 勤労者世帯について有価証券の内訳をみると、株式七十六万円、債券二十万円、貸付信託・金銭信託十八万円、株式投資信託十一万円、公社債投資信託十一万円となっている。これらの対前年増加率をみると、株式は平成五年に増加となった後、六年以降減少が続いたが、十一年は四九・五%の大幅な増加となっている。また、株式投資信託、債券、公社債投資信託はそれぞれ三四・一%、二〇・四%、〇・九%の増加となったのに対し、貸付信託・金銭信託は二二・五%の減少となった(第2表第6図参照)。

<有価証券の保有率が平成二年以来の上昇>
 勤労者世帯について貯蓄の種類別保有率(各種貯蓄を保有する世帯の割合)をみると、生命保険などは九一・四%、通貨性預貯金は九一・二%、定期性預貯金は八五・八%と、いずれも九〇%前後の世帯が保有しているのに対し、有価証券は、平成二年の三三・二%をピークとして、それ以降七年連続して低下した後、十年は二三・一%と横ばいとなり、十一年は二四・四%と上昇した。
 有価証券のうち、株式の保有率は前年に比べ一・三ポイント、債券は〇・五ポイント、株式投資信託は〇・九ポイント、公社債投資信託は〇・二ポイント、貸付信託・金銭信託は〇・一ポイントそれぞれ上昇した(第4表参照)。

<貯蓄現在高の多い世帯で定期性預貯金及び有価証券の割合が高い>
 勤労者世帯について貯蓄の種類別割合を貯蓄現在高階級別にみると、概して貯蓄現在高の少ない階級の世帯ほど生命保険など及び通貨性預貯金の割合が高く、貯蓄現在高の多い階級の世帯ほど定期性預貯金と有価証券の割合が高くなる傾向がある。例えば、貯蓄現在高の構成比で世帯が最も多い「二百万円以上四百万円未満」の階級を平均値を含む「一千二百万円以上一千六百万円未満」の階級と比較すると、通貨性預貯金で六・一ポイント、生命保険などで一三・五ポイントそれぞれ上回っている。一方、定期性預貯金で一一・五ポイント、有価証券で四・七ポイントそれぞれ下回っている(第5表第7図参照)。

◇負債の動向

<勤労者世帯の負債は六百三十三万円、前年に比べて一〇・二%の増加>
 平成十一年十二月末における勤労者世帯の一世帯平均の負債現在高は六百三十三万円となっており、前年に比べて一〇・二%の増加となった。負債年収比(負債現在高の年間収入に対する比)は八〇・四%となり、前年に比べて九・三ポイント上昇した。
 一方、全世帯の一世帯平均の負債現在高は五百七十七万円となっており、前年に比べて八・〇%の増加となった。負債年収比は七六・五%で、前年に比べて六・〇ポイント上昇している(第6表第1図参照)。

<負債保有率は五三・七%で前年に比べて〇・三ポイント上昇>
 勤労者世帯のうち負債のある世帯の割合(負債保有率)は五三・七%となっており、前年に比べて〇・三ポイント上昇した。負債保有率は昭和三十年代から五十年代にかけて上昇傾向で推移し、昭和六十年に五六・二%となったが、その後は五〇〜五四%台で、おおむね横ばいで推移している(第6表参照)。

<民間金融機関からの負債が大幅な増加>
 勤労者世帯について一世帯平均負債現在高(六百三十三万円)を借入先別にみると、民間金融機関が三百三万円(負債現在高の四七・九%を占める。)と最も多く、以下、公的金融機関が二百四十五万円(同三八・六%)、社内貸付、親戚・知人などの金融機関外が八十五万円(同一三・四%)となっている。
 これらの対前年増加率をみると、民間金融機関が二〇・五%、公的金融機関が六・二%増加したのに対して、金融機関外が七・七%と減少している(第7表参照)。

<勤労者世帯の住宅・土地のための負債は五百六十一万円、前年に比べて四・七%の増加、住宅・土地のための負債保有世帯は三七・八%>
 勤労者世帯の負債現在高(六百三十三万円)のうち、住宅・土地のための負債は五百六十一万円で、負債全体の八八・七%を占めており、前年に比べて四・七%の増加となった。
 住宅・土地のための負債を借入先別にみると、金融機関が四百九十九万円で前年に比べて八・一%の増加、金融機関外が六十二万円で前年に比べて一六・三%の減少となった。
 また、勤労者世帯の住宅・土地のための負債保有率は三七・八%となっており、前年に比べて〇・九ポイント上昇した(第8表参照)。

<負債保有勤労者世帯の六一・四%が平均負債現在高以下>
 勤労者世帯のうち負債保有世帯(勤労者世帯の五三・七%を占める。)について、負債現在高階級別(標準級間隔百五十万円)の世帯分布をみると、平均値一千百七十九万円を下回る世帯が全体の六一・四%を占め、負債現在高の低い方に偏った分布となっている(第8図参照)。

<住宅・土地のための負債保有勤労者世帯の負債は一千五百六十四万円、負債年収比(負債現在高の年間収入に対する比)は前年に比べて一四・三ポイント上昇>
 平成十一年十二月末における住宅・土地のための負債保有勤労者世帯の一世帯平均の負債現在高は一千五百六十四万円となっており、前年に比べて四・八%の増加となった。負債年収比(負債現在高の年間収入に対する比)は一七五・九%となり、前年に比べて一四・三ポイント上昇した。
 勤労者世帯の貯蓄と負債の差(貯蓄―負債)をみると、勤労者世帯全体はプラス七百六十万円と貯蓄超過となっているのに対し、住宅・土地のための負債保有世帯はマイナス三百六十万円と負債超過となっている。なお、住宅・土地のための負債保有世帯では平成七年に負債超過に転じており、その後四年連続で負債超過額が拡大している(第9表参照)。

<住宅・土地のための負債保有勤労者世帯における住宅・土地のための負債現在高は一千四百八十六万円、前年に比べて二・二%の増加>
 住宅・土地のための負債保有勤労者世帯における住宅・土地のための負債現在高は一千四百八十六万円となっており、前年に比べて二・二%の増加となった。住宅・土地のための負債は、負債現在高全体の九五・一%を占めている(第10表参照)。

<住宅・土地のための負債は、民間金融機関からが引き続き高い増加>
 住宅・土地のための負債保有勤労者世帯における住宅・土地のための負債を借入先別にみると、公的金融機関が六百三十九万円、民間金融機関が六百八十三万円、金融機関外が百六十五万円となっている。
 これらの対前年増加率をみると、民間金融機関が八・一%の増加、公的金融機関は二・九%の増加となっており、民間金融機関は四年連続で公的金融機関の増加率を上回っている。また、金融機関外は一八・一%の減少となっている(第11表参照)。

<住宅・土地のための負債に対する一年間の返済額は百五十九万円>
 住宅・土地のための負債保有勤労者世帯における住宅・土地のための負債に対する返済額は百五十九万円となっており、前年に比べて十八万円の増加になっている。
 住宅・土地のための負債に対する一年間の返済額を返済先別にみると、公的金融機関が五十四万円、民間金融機関が七十五万円、金融機関外が三十万円となっており、前年に比べてそれぞれ十万円の減少、十八万円の増加、九万円の増加となっている(第12表参照)。

◇世帯属性別の貯蓄・負債の状況

<貯蓄現在高の所得階級間格差は三・六倍、前年に比べて〇・五ポイント縮小>
 勤労者世帯について年間収入五分位階級別に貯蓄現在高をみると、所得階級が高くなるに従って多くなっており、所得の最も低い第T階級が六百五十七万円、所得の最も高い第X階級が二千三百五十九万円となっている。
 各所得階級の対前年増加率をみると、第T、第U、第V階級がそれぞれ一四・四%、五・八%、一一・五%の増加となったのに対し、第W、第X階級がそれぞれ二・七%、〇・九%の減少となった。この結果、貯蓄現在高の所得階級間格差(第T階級に対する第X階級の貯蓄現在高の比)は三・六倍となり、前年(四・一倍)から〇・五ポイント縮小した。貯蓄現在高の所得階級間格差は、平成二年以降九年まで三・〇〜三・八で推移した後、十年は元年以前の水準(四倍以上)に上昇したが、十一年は再び四倍未満に縮小している。
 一方、負債現在高をみると、第T階級が二百五十八万円であるのに対し、第X階級では九百八十万円となっており、概して所得が高くなるに従って負債現在高が多くなっているものの、所得階級間格差は縮小傾向にある(第13表14表参照)。

<すべての階級で拡大した有価証券>
 勤労者世帯について年間収入五分位階級別に貯蓄の種類別割合をみると、預貯金及び生命保険などの割合は所得の低い階級ほど概して高い傾向にあり、生命保険などは第T階級で四〇・五%、第X階級では二七・五%、通貨性預貯金は第T階級で一二・四%、第X階級では一一・二%となっている。有価証券の割合は所得の高い階級ほど高く、第T階級で三・三%、第X階級では一三・〇%となっている。また、定期性預貯金の割合は第T階級の四三・二%が最も高いが、その他の階級でも四二%台で一%以内の差となっている。
 年間収入五分位階級別に貯蓄の種類別割合を前年と比べると、すべての階級で有価証券の割合が拡大している(第15表第9図参照)。

<年齢階級が高くなるほど多くなる貯蓄現在高>
 勤労者世帯の貯蓄現在高について世帯主の年齢階級別にみると、年齢階級が高くなるに従って貯蓄も多くなる傾向があり、六十歳以上の世帯は二千五百四十八万円で、三十歳未満の世帯の三百七十四万円の約六・八倍となっている。
 対前年増加率をみると、三十歳未満、五十歳代、六十歳以上の世帯が、それぞれ一・一%、五・〇%、一〇・二%の増加となっているが、三十歳代、四十歳代の世帯では、それぞれ一・八%、四・二%の減少となっている。
 また、年間収入は全階級で減少となっている(第16表第10図参照)。

<世帯主が六十歳以上の世帯では勤労者世帯、無職世帯共に貯蓄現在高の散らばりが大きい>
 世帯主が六十歳以上の一世帯平均の貯蓄現在高は勤労者世帯(平均年齢六四・〇歳)が二千五百四十八万円、無職世帯(平均年齢七〇・〇歳)が二千四百四十六万円となっている。
 貯蓄現在高階級別の世帯分布を比べてみると、勤労者世帯、無職世帯共に、三千万円以上の貯蓄を保有する世帯がそれぞれ二八・三%、二八・〇%と全体の約四分の一強を占めている一方、貯蓄現在高が六百万円未満の世帯もそれぞれ一九・〇%、一七・七%と全体の約六分の一強を占めており、貯蓄現在高の世帯間の散らばりが大きい(第17表第11図参照)。

<負債現在高は四十歳代の世帯が八百六十万円と最も多い>
 勤労者世帯について世帯主の年齢階級別に負債現在高をみると、三十歳未満の世帯が二百五十三万円、三十歳代の世帯が六百五十九万円、四十歳代の世帯が八百六十万円と年齢階級が高くなるに従って多くなり、この四十歳代をピークとして五十歳代の世帯が六百二十二万円、六十歳以上の世帯が二百二十二万円と少なくなっている。
 負債現在高を前年と比べると、三十歳代及び六十歳以上の世帯で減少したが、それ以外の世帯では増加している。
 住宅・土地のための負債保有率を前年と比べてみると、三十歳代の世帯及び四十歳代の世帯がわずかに低下したが、それ以外の世帯では上昇している(第18表第10図参照)。

<住宅・土地のための負債保有勤労者世帯のうち、三十歳代の世帯の負債現在高は一千九百万円で最も多い>
 住宅・土地のための負債保有勤労者世帯について負債現在高を世帯主の年齢階級別にみると、三十歳代の世帯が一千九百万円と最も多くなっている。
 貯蓄と負債の差(貯蓄―負債)をみると、四十歳代以下の年齢階級でいずれも負債超過となっており、三十歳代が一千百四十四万円と超過幅が最も大きくなっている。一方、五十歳代、六十歳以上はそれぞれ二百二十四万円、一千八十五万円の貯蓄超過となっている(第19表第12図参照)。

<勤労者以外の世帯の貯蓄現在高は二千二百六十四万円、三年ぶりの増加>
 勤労者以外の世帯の一世帯平均の貯蓄現在高は二千二百六十四万円で、勤労者世帯(一千三百九十三万円)と比べると八百七十二万円多く、約一・六倍の貯蓄を保有している。また、貯蓄年収比は、勤労者世帯が一七七・〇%であるのに対し、勤労者以外の世帯では三二〇・八%となっており、勤労者以外の世帯が勤労者世帯の約一・八倍になっている。
 世帯主の職業別に貯蓄現在高をみると、勤労者世帯では、官公職員世帯が一千六百二十一万円と最も多く、次いで民間職員世帯が一千五百四十三万円、労務作業者世帯が一千三十二万円となっている。また、勤労者以外の世帯では、法人経営者世帯が三千九百五十一万円と最も多く、次いで無職世帯が二千三百九十二万円、自由業者世帯が一千八百四十三万円、個人営業世帯が一千七百六十七万円となっている。
 勤労者以外の世帯の貯蓄現在高の対前年増加率は五・三%で、三年ぶりの増加となった。これは法人経営者世帯及び無職世帯での増加による(第20表第13図参照)。

<勤労者以外の世帯の負債現在高は四百九十二万円>
 勤労者以外の世帯の一世帯平均の負債現在高は四百九十二万円で、前年に比べて四・三%で三年ぶりの増加となった。
 世帯主の職業別に負債現在高をみると、勤労者世帯では、官公職員世帯が七百九十四万円、民間職員世帯が六百九十二万円、労務作業者世帯が四百五十三万円となっている。また、勤労者以外の世帯では、法人経営者世帯が九百九十万円、個人営業世帯が九百二十八万円、自由業者が一千万円、無職世帯が五十六万円となっている(第20表参照)。

<共働き世帯の貯蓄現在高は一千三百三万円、勤労者世帯平均より九十万円少ない>
 勤労者世帯のうち、共働き世帯(配偶者が有業者)の一世帯平均の貯蓄現在高は一千三百三万円で、勤労者世帯の平均(一千三百九十三万円)と比べると九十万円少ない。また、貯蓄年収比は、勤労者世帯平均が一七七・〇%であるのに対し、共働き世帯では一四五・九%となっており、勤労者世帯平均が共働き世帯の約一・二倍になっている(第21表参照)。

<共働き世帯の負債現在高は七百六十五万円で、勤労者世帯平均より百三十二万円多い>
 勤労者世帯のうち、共働き世帯の一世帯平均の負債現在高は七百六十五万円で、勤労者世帯の平均(六百三十三万円)と比べると百三十二万円多く、約一・二倍の負債を保有している。また、負債保有率も勤労者世帯平均が五三・七%であるのに対し、共働き世帯では六四・五%となっており、共働き世帯が勤労者世帯平均の約一・二倍になっている(第21表参照)。

◇住宅・土地の取得計画と貯蓄

<住宅・土地の取得計画のある世帯の割合は借家世帯、持家世帯とも上昇>
 勤労者世帯について、住宅・土地の取得計画の有無別世帯割合をみると、借家世帯では、「三年以内に計画のある世帯」の割合は九・〇%、「三年以上先に計画のある世帯」の割合は一〇・一%となっており、前年に比べてそれぞれ〇・六ポイント、二・六ポイント上昇している。また、取得計画のある世帯の合計は一九・一%と、前年に比べて三・一ポイント上昇し、昭和六十三年の二〇・七%以来の水準となった。
 持家世帯では、「三年以内に計画のある世帯」の割合は三・一%となっており、前年に比べて〇・四ポイント低下しているのに対して、「三年以上先に計画のある世帯」の割合は二・五%となっており、〇・五ポイント上昇した。また、取得計画のある世帯の合計(五・六%)は前年に比べて〇・一ポイント上昇した(第22表第14図参照)。

<取得計画のある世帯は、計画のない世帯よりも貯蓄現在高が多い>
 勤労者世帯について、住宅・土地の取得計画の有無別に借家世帯と持家世帯の貯蓄現在高をみると、いずれも計画のある世帯が計画のない世帯を上回っている。
 借家世帯でみると、貯蓄現在高は「三年以内に計画のある世帯」が一千二百五十八万円、「三年以上先に計画のある世帯」が八百四十四万円、「計画のない世帯」が七百八十二万円となっている。「三年以内に計画のある世帯」の貯蓄年収比は一八〇・二%となっている。
 持家世帯でみると、貯蓄現在高は「三年以内に計画のある世帯」が三千二十四万円、「三年以上先に計画のある世帯」が二千八十三万円、「計画のない世帯」が一千五百九十万円となっている。「三年以内に計画のある世帯」の貯蓄年収比は二九七・四%となっている(第22表参照)。

◇年金型貯蓄の状況

<年金型貯蓄保有勤労者世帯の年金型貯蓄現在高は二百六十七万円、三五・五%の世帯が保有>
 勤労者世帯のうち、年金型貯蓄(生命保険の個人年金保険、簡易保険の年金商品等)を保有している世帯の割合(年金型貯蓄保有率)は三五・五%で、約三分の一の世帯が保有している。年金型貯蓄保有率は、平成九年に二・八ポイント低下し、十年にも六・三ポイント低下したが、十一年は一〇・二ポイントと大幅に上昇した。
 また、年金型貯蓄保有世帯の一世帯平均年金型貯蓄現在高は二百六十七万円で、前年に比べて二四・五%増加した。また、貯蓄全体に占める割合は一四・二%となり、前年に比べて二・六ポイント上昇した(第23表第15図参照)。

<年金型貯蓄保有世帯の年金型貯蓄現在高は六十歳以上が五百五十五万円で最も多い>
 勤労者世帯のうち、年金型貯蓄保有世帯の世帯主の年齢階級別に年金型貯蓄現在高をみると、三十歳未満が六十三万円、三十歳代が百四十二万円、四十歳代が二百一万円、五十歳代が三百三十一万円、六十歳以上が五百五十五万円と、世帯主の年齢階級が高くなるに従って多くなっている。
 また、年金型貯蓄保有率をみると、三十歳未満が一九・八%、三十歳代が三一・〇%、四十歳代が三八・〇%、五十歳代が四〇・一%、六十歳以上が三五・四%となっている(第24表第16図参照)。

<年金型貯蓄の七五・五%は生命保険など>
 勤労者世帯の年金型貯蓄について種類別の割合をみると、生命保険などが七五・五%と最も多く、次いで定期性預貯金が二二・三%を占めている(第25表参照)。

◇財産形成貯蓄の状況

<財産形成貯蓄保有勤労者世帯の財形貯蓄現在高は二百五十二万円、二一・七%の世帯が保有>
 財産形成貯蓄保有勤労者世帯の割合(財形貯蓄保有率)は二一・七%となっており、前年に比べて〇・一ポイント低下した。財形貯蓄保有率は、平成二年の二五・四%をピークとして、低下傾向が続いた後、十年に一・四ポイント上昇したが、十一年は〇・一ポイントの低下となった。
 財産形成貯蓄保有勤労者世帯の一世帯平均財形貯蓄現在高は二百五十二万円で、昭和六十一年以来十三年ぶりの減少となったものの、貯蓄全体に占める割合(依存度)は一四・七%となっており、前年に比べて〇・一ポイント上昇した(第26表第17図参照)。

<財形貯蓄保有勤労者世帯の財形貯蓄現在高は世帯主の年齢階級が高くなるほど多い>
 財形貯蓄保有勤労者世帯について、世帯主の年齢階級別に一世帯平均財形貯蓄現在高をみると、三十歳未満が百二十万円、三十歳代が百八十七万円、四十歳代が二百五十万円、五十歳代が三百十三万円、六十歳以上が三百六十八万円と、世帯主の年齢が高くなるに従って多くなっている。
 財形貯蓄保有率をみると、三十歳代〜五十歳代ではいずれも二三〜二五%台、三十歳未満で一五・七%、六十歳以上で七・六%となっている(第27表第18図参照)。

◇外貨預金・外債の保有状況

<外貨預金・外債保有世帯の外貨預金・外債現在高は二百二十万円>
 勤労者世帯のうち、外貨預金・外債を保有している世帯の割合(外貨預金・外債保有率)は三・八%となっている。勤労者世帯の一世帯平均外貨預金・外債の現在高は八万円で、貯蓄現在高の〇・六%を占めている。前年と比べると、外貨預金・外債保有率は一・一ポイント上昇、外貨預金・外債現在高(前年は五万円)も増加している。
 勤労者世帯のうち、外貨預金・外債を保有している世帯の一世帯平均貯蓄現在高三千六百二十三万円のうち、外貨預金・外債現在高は二百二十万円で、貯蓄現在高の六・一%を占めている。
 勤労者世帯について、年間収入五分位階級別にみると、外貨預金・外債保有率は、所得階級が高くなるに従って上昇し、第X階級では八・一%となっている(第28表参照)。

言葉の履歴書


言語聴覚士

 脳卒中などによる言語機能障害や先天的難聴等の聴覚障害がある人のリハビリテーションについては、人口の高齢化や疾病構造の変化に伴い、その必要性および重要性がますます高まっています。
 このような背景のもと、平成九(一九九七)年に言語聴覚士法が成立しました。
 言語聴覚士とは厚生大臣の免許を受けて、音声機能、言語機能、聴覚に障害のある人に対して、その機能の維持向上を図るため、訓練、検査、助言、指導をする専門家です。
 言語聴覚士の受験資格は、次のようなものです。
 @大学入学資格のある人で、文部大臣が指定した学校または厚生大臣が指定した言語聴覚士養成所で三年以上の教科課程を修了した人A学校教育法に基づく大学(短期大学を除く)を卒業した人で、指定施設で二年以上の教科課程を修了した人など。
 そのほかの受験資格等については、厚生省のホームページを参照してください。
 http://www.mhw.go.jp
(厚生省)


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消費者物価指数の動向


―東京都区部(三月中旬速報値)・全国(二月)―


総 務 庁


◇三月の東京都区部消費者物価指数の動向

一 概 況

(1) 総合指数は平成七年を一〇〇として一〇〇・九となり、前月比は〇・二%の上昇。前年同月比は十二月一・四%の下落、一月一・〇%の下落、二月〇・八%の下落と推移した後、三月は〇・七%の下落となった。
(2) 生鮮食品を除く総合指数は一〇一・一となり、前月比は〇・一%の上昇。前年同月比は十二月〇・四%の下落、一月〇・五%の下落、二月〇・四%の下落と推移した後、三月は〇・四%の下落となった。

二 前月からの動き

(1) 食料は一〇〇・四となり、前月と同水準。
  生鮮魚介は一・〇%の下落。
   <値上がり> かれい、たいなど
   <値下がり> えび、あじなど
  生鮮野菜は六・七%の上昇。
   <値上がり> キャベツ、だいこんなど
   <値下がり> きゅうり、トマトなど
  生鮮果物は〇・五%の上昇。
   <値上がり> りんご(ふじ)、みかんなど
   <値下がり> いちご、グレープフルーツなど
  外食は一・五%の下落。
   <値下がり> ハンバーガー
(2) 被服及び履物は一〇〇・四となり、前月に比べ二・八%の上昇。
  衣料は五・五%の上昇。
   <値上がり> ワンピース(合物)など
(3) 教養娯楽は九九・一となり、前月に比べ〇・二%の上昇。
  教養娯楽用品は〇・八%の上昇。
   <値上がり> 切り花(カーネーション)など

三 前年同月との比較

 ○上昇した主な項目
  家賃(〇・五%上昇)、授業料等(二・〇%上昇)
 ○下落した主な項目
  生鮮野菜(四・三%下落)、生鮮果物(八・四%下落)、外食(一・三%下落)、生鮮魚介(四・五%下落)
 (注) 上昇又は下落している主な項目は、総合指数の上昇率に対する影響度(寄与度)の大きいものから順に配列した。

四 季節調整済指数

 季節調整済指数をみると、総合指数は一〇一・一となり、前月に比べ〇・一%の下落となった。
 また、生鮮食品を除く総合指数は一〇一・四となり、前月に比べ〇・一%の下落となった。

◇二月の全国消費者物価指数の動向

一 概 況

(1) 総合指数は平成七年を一〇〇として一〇一・三となり、前月比は〇・一%の下落。前年同月比は十一月一・二%の下落、十二月一・一%の下落、一月〇・九%の下落と推移した後、二月は〇・六%の下落となった。
(2) 生鮮食品を除く総合指数は一〇一・六となり、前月比は〇・一%の下落。前年同月比は十一月〇・二%の下落、十二月〇・一%の下落、一月〇・三%の下落と推移した後、二月は〇・一%の下落となった。

二 前月からの動き

(1) 食料は一〇一・一となり、前月と同水準。
  生鮮魚介は〇・七%の下落。
   <値上がり> さば、えびなど
   <値下がり> かき、かれいなど
  生鮮野菜は四・三%の下落。
   <値上がり> ピーマン、きゅうりなど
   <値下がり> ねぎ、えのきだけなど
  生鮮果物は六・二%の上昇。
   <値上がり> みかん、バナナなど
   <値下がり> いちご、オレンジなど
(2) 家具・家事用品は九二・七となり、前月に比べ〇・三%の下落。
  家庭用耐久財は〇・八%の下落。
   <値下がり> ルームエアコンなど
(3) 被服及び履物は九八・五となり、前月に比べ二・一%の下落。
  衣料は三・一%の下落。
   <値下がり> 婦人オーバーなど
(4) 教養娯楽は九八・九となり、前月に比べ〇・二%の下落。
  教養娯楽サービスは〇・二%の下落。
   <値下がり> 宿泊料など

三 前年同月との比較

 ○上昇した主な項目
  自動車等関係費(一・四%上昇)、家賃(〇・五%上昇)、授業料等(一・七%上昇)
 ○下落した主な項目
  生鮮野菜(一五・〇%下落)、生鮮果物(一四・三%下落)、家庭用耐久財(四・八%下落)、穀類(二・二%下落)
 (注) 上昇又は下落している主な項目は、総合指数の上昇率に対する影響度(寄与度)の大きいものから順に配列した。

四 季節調整済指数

 季節調整済指数をみると、総合指数は一〇一・九となり、前月に比べ〇・一%の上昇となった。
 また、生鮮食品を除く総合指数は一〇二・二となり、前月と変わらなかった。






















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消費者物価指数


東京都区部 平成十一年度平均速報


○ 平成十一年度平均東京都区部消費者物価指数(速報値)は、平成七年を一〇〇とした総合指数で一〇一・五となり、前年度に比べ〇・六%の下落となった。
○ 近年の総合指数の動きを前年度比でみると、平成四年度は一・六%上昇、五年度は一・二%上昇と一%台の上昇の後、六年度は工業製品の下落幅が拡大したことなどにより〇・四%上昇と昭和六十二年度以来七年ぶりに一%を下回った。七年度は工業製品の下落に加え、前年度に高騰した米類が下落したほか、生鮮野菜が大幅に値下がりしたことなどにより〇・四%下落と、比較可能な昭和四十六年度以降初めて下落となった。八年度は生鮮魚介、生鮮果物や衣料が値上がりしたことなどにより〇・一%の上昇となった。九年度は消費税率引上げの影響などにより一・八%上昇と、五年度以来四年ぶりに一%を上回る上昇となった。十年度は、天候不順により生鮮野菜が高騰したことに加え、医療保険制度改正の影響が残ったことなどにより〇・三%の上昇となった。
 平成十一年度は、前年度に高騰した生鮮野菜が下落したことに加え、繊維製品などの工業製品が下落したことなどにより〇・六%の下落となった。
○ 生鮮食品を除く総合指数は一〇一・六となり、前年度に比べ〇・二%の下落となった。
(総務庁)





    <6月7日号の主な予定>

 ▽農業白書のあらまし………………………………………農林水産省 

 ▽法人企業の経営動向 平成十一年十〜十二月期………大 蔵 省 

 ▽労働力調査(二月)………………………………………総 務 庁 




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