官報資料版 平成12年8月9日




                  ▽観光白書のあらまし………………………………………………総 理 府

                  ▽平成十一年度平均家計収支………………………………………総 務 庁

                  ▽消費者物価指数の動向(東京都区部五月中旬速報値)………総 務 庁

                  ▽労働力調査(四月)………………………………………………総 務 庁











観光白書のあらまし


―平成11年度 観光の状況に関する年次報告―


総 理 府


 「平成十一年度観光の状況に関する年次報告」及び「平成十二年度において講じようとする観光政策」(二つを併せて「観光白書」と称している。)が、去る五月二十六日、閣議決定の上、国会に提出された。
 このうち、「平成十一年度観光の状況に関する年次報告」のあらましは、次のとおりである。

T 観光の状況

1 国民生活の動向
(1) 平成十一年の我が国経済は、極めて厳しかった十年に比べると、緩やかに改善した。個人消費は、年前半には回復の動きが見られたが、年央以降は厳しい所得環境を反映して足踏み状態となった。
(2) 現在の国民の「レジャー・余暇生活」についての意識を見ると、今後の生活で特に重点を置きたい分野として「レジャー・余暇生活」を挙げる者(三二・三%)が最も多く、昭和五十八年以降、連続して第一位を占め続けており、国民の余暇活動に関する志向の根強さがうかがえる(住生活二五・四%、食生活二一・九%)。

2 国内観光の状況
(1) 十一年の国内観光は、個人消費が足踏み状態となっている中で、宿泊・観光レクリエーションの回数及び宿泊数とも減少し、また、消費総額も前年を下回った。
 @ 宿泊観光・レクリエーション旅行を行った者は延べ一億九千六百万人、一人当たり一・五五回となっており、消費総額は全体で八兆二千億円、一人当たり六万四千七百円となっている(第1表参照)。
 A 十一年における国民の宿泊を伴う国内旅行の回数は、国民一人当たり平均二・五八回(前年比四・八%減)、国民全体では延べ三億二千六百万回と推計される。これを旅行の種類別に見ると、「観光」が五三・〇%、「家事・帰省」が一八・八%、「業務」が一四・四%、「兼観光(業務,家事・帰省のついでに、一泊以上付け加えて観光を行った場合をいう。)」が七・一%となっている。
 B 十一年における国民の宿泊を伴う国内旅行の宿泊数は、国民一人当たり平均四・九七泊(前年比五・一%減)、国民全体では延べ六億二千九百万泊と推計される。これを旅行の種類別に見ると、「観光」が四二・八%、「家事・帰省」が二二・四%、「業務」が一九・六%、「兼観光」が一〇・一%となっている。
 C 十一年の主要旅行業者五十社の総取扱高は、五兆八千六百四十億円(前年比二・五%減)となった。このうち、国内旅行は前年比二・二%減、海外旅行は前年比二・八%減であった。

3 国際観光の状況
(1) 国際観光をめぐるこの一年の動き
 十一年の我が国の国際観光の状況は、日本人海外旅行者数については、前年比で上半期三・三%増、下半期三・六%増、年計で五十五万人増(三・五%増)の一千六百三十六万人となった(第1図参照)。
 一方、十一年の訪日外国人旅行者数については、前年比で上半期九・七%増、下半期六・七%増、年計で三十三万人(八・一%)増の四百四十四万人となった(第1図参照)。
(2) 国民の海外旅行
 十一年は、景気の下げ止まり感や円高傾向などを受け、特に割安感のあるアジア地域への旅行者が増加し、回復傾向を示した。中でも韓国ヘの旅行者は九年から引き続き三年間、高い伸び率となっている。
 十一年の日本人海外旅行者の主な旅行先の上位五位は、アメリカ(四百八十四万人)、韓国(二百十一万人)、中国(百二十三万人)、タイ(八十二万人)、台湾(七十六万人)となっている。
 目的別では、観光を目的とした海外旅行が一千三百四十五万人で、全体の八二・二%を占めている。
 性別構成を見ると、男性(五三・二%、八百七十一万人)が女性(四六・八%、七百六十五万人)を上回っているが、伸び率の推移を見ると、女性が男性を上回っている。
 年齢階層別では、男性女性ともに二十〜四十歳代が約六割を占め、性別では、男性の場合は三十歳代が二一・七%、女性の場合は二十歳代が三三・八%で、それぞれ最も多い。
 海外旅行者の平均旅行日数は八・二日となっており、ここ数年、八日程度で推移している。
(3) 外国人旅行者の訪日
 十一年の訪日外国人旅行者数を国・地域別に見ると、韓国が九十四万人と最も多く、以下、台湾九十三万人、アメリカ七十万人、中国二十九万人、イギリス(香港)二十一万人の順となっている。対前年伸び率では、インドネシア(五七・六%増)、韓国(三〇・一%増)、マレイシア(二六・八%増)の増加が目立っている。
 州別構成比は、アジア州五九・一%、北アメリカ州一八・五%、ヨーロッパ州一七・五%の順となっており、アジア州が主流となっている。
 訪日外国人旅行者の平均滞在日数は、八・〇日となっており、前年に比べ若干短くなっている。
 訪日外国人旅行者の主な訪問地は、東京、大阪、京都、神奈川の順となっている。また、韓国、台湾を中心として、九州地域の人気が高い。
(4) 国際旅行収支
 十一年の我が国の国際旅行収支(旅客運賃を含む。)は、受取が六千四百九十七億円(前年比一二・三%減)、支払は四兆六千六百九十五億円(前年比一・一%増)で、収支の赤字は前年に比べ一千四百十億円増の四兆百九十八億円となった。

U 最近の我が国の観光レクリエーションの動向及び二十一世紀に向けた今後の観光振興の課題

1 日本人の観光レクリエーションの動向
(1) 最近の日本人の国内観光の動向
 @ 都市型観光が人気
   最近では、都市の持つ複合的な機能や各種の文化、情報の発信機能そのものが、観光客にとって高い観光魅力の対象となっている。
 A 個人・グループ旅行が好調
   個人消費の足踏み状態が続く中で、個人・グループ旅行は、ツアー価格の低下や航空運賃の割引き効果を背景に、取扱額、取扱人数ともに好調を維持しており、特に、家族旅行の需要が高い。
 B 「安・近・短」旅行と「安・遠・短」旅行の傾向が続く
   国民の宿泊旅行については、従来より「安」(旅行商品の低廉化)、「近」(近距離)、「短」(短い日数)のいわゆる「安・近・短」旅行の傾向が指摘されてきたが、沖縄・奄美、北海道方面を中心にした「安・遠(遠距離への旅行)・短」の旅行も引き続き人気を呼んでいる。
 C 旅行需要の平準化の傾向
   近年の宿泊・レクリエーション旅行の月別傾向としては、一月、八月の旅行が減少し、その他の月がおおむね増加しており、年間を通じた旅行需要の平準化の傾向が見られる。
 D 体験型レクリエーション等、旅行ニーズの多様化
   観光地での行動は、体験型レクリエーションが人気を呼んでいる。また、これらに加えて、エコ・ツーリズムやグリーン・ツーリズムへの関心も高まっている。
(2) 最近の日本人の海外旅行の動向
 @ アジア地域への旅行者の増加
   海外旅行についても「安・近・短」旅行が人気を呼んでおり、対前年比で中国約二三%増、韓国約一一%増、タイ約六%増と、アジア地域への旅行者が増した。中でも、韓国への旅行者は、九年以降増加し続けている。
 A 高年世代の旅行者は、六年で一・七倍
   五年から十一年までの間の高年世代(六十歳代以上)の海外旅行者数の推移を見ると、旅行者数全体では約三三七%伸びているが、このうち、高年世代では約六八%と平均を上回る高い伸びを示している。
 B 三十歳代、五十歳代の増加傾向と二十歳代の減少傾向
   十一年の海外旅行の性別・年齢別の対前年比の伸び率の推移を見ると、十歳未満、十歳代、三十歳代、四十歳代前半、五十歳代以上の世代で増加しており、家族旅行や熟年世代、高年世代の旅行が好調であったものと推測される。これに対して、二十歳代、四十歳代後半では減少しており、年齢階層別で最も高い割合を占めている二十歳代の減少傾向が顕著である。
 C 海外旅行商品の更なる低価格化の進展
   十一年の主要旅行業者五十社の海外ブランド商品(主催旅行)の取扱人数はおおむね増加傾向にあるのに対し、取扱額は伸び悩みの傾向が見られる。

2 外国人旅行者の訪日の動向
(1) 訪日外国人旅行者数は史上最高を記録
 十年の訪日外国人旅行者数は、東南アジア諸国や韓国において発生した経済危機の影響により、三年ぶりにマイナス成長となったが、十一年は、韓国をはじめとするアジア諸国での景気の回復を背景とした旅行市場の大幅な回復により、前年比約八%増の四百四十四万人となり、過去最高の受入者数を記録した。
 そのうち滞在客は前年比八・〇%増の四百三十一万人で、うち観光客は八・六%増の二百五十六万人、業務その他の客が七・二%増の百七十五万人であった。訪日外国人全体に占める比率は、観光客が五七・七%、業務その他の客が三九・五%となっている。
(2) 受入数は依然として国際的に見て低水準
 外国人旅行者数を、諸外国と比較すると、日本は世界第三十二位であり、地理的にほぼ同条件にある韓国よりも若干多い数値となっており(第2図参照)、また、日本人海外旅行者数の約四分の一と不均衡な状態が続いている。このため、外国人旅行者の訪日の促進と、地方圏への誘致のための施策を、引き続き推進していくことが必要となっている。
(3) アジア地域からの訪日旅行者数の増加
 十一年には、アジア諸国の景気の回復を背景にアジア地域からは、全体の約六割を占める二百八十三万人(前年比約八%増)が訪日した。国・地域別に見ると、韓国九十四万人(約三〇%増)、台湾九十三万人(約一一%増)、中国二十九万人(約一〇%増)となっている。
(4) 訪問地別の訪問率の傾向
 訪問率上位五都府県(東京都、大阪府、京都府、神奈川県、千葉県)の構成は過去五年間で変化はないが、その訪問率の推移を見ると、中長期的には減少傾向にあるといえる。
(5) 日本文化と近代日本が魅力
 訪日観光客の日本での活動内容を見ると、日本料理・郷土料理、買物・ファッション、大都市の体験・観光、寺社・庭園・歴史的名所など、近代日本と日本の伝統文化の人気が高い。そして、アジア地域からの観光客はテーマパーク等や温泉に、また、欧米地域からの観光客は小都市・田舎の体験・観光、日本の生活様式、伝統工芸等の日本固有の文化や風俗習慣に比較的関心が高い。

3 世論調査からみた国民の旅行等に関する意識の動向
 十一年に総理府が実施した「余暇時間の活用と旅行に関する世論調査」を基に、国民の余暇時間の活用と旅行に関する意識の動向を分析した。

4 国内観光の振興と地域の活性化
(1) 観光振興を通じた地域の活性化
 国内観光地の活性化のためには、地域において貴重な観光資源を再発見し、将来に向けてその価値を高め、来訪者と地域社会との交流機会を創出し、将来にわたって観光振興と共生できる地域づくりに努めるなど、持続的に発展可能な観光地づくりのための取組が重要である。
 このような認識の下、観光振興が地域の社会や経済の活性化に、どのような効果を生み出しているかという視点で、国内観光地の新たな魅力づくり及び観光振興を通じた地域の活性化について、観光振興の事例に基づいた分析を行った。
(2) 観光関連産業における雇用創出
 @ 観光分野における若年層を中心とした就業意識
 観光産業における、十代、二十代の未就業者を対象としたパートタイム、アルバイト等、期間及び時間限定就業に関する意識調査によると、正社員に比べての不安定感、将来設計についての不安感があるものの、各種体験、趣味などを続けながら働けること等から、約半数の人が期間・時間限定の短期就業に関しては「魅力的である」と回答している。
 A 観光分野における雇用創出の取組
   観光関連産業の雇用者数は、近年増加傾向にあり、全産業雇用者のうちで約十五人に一人は観光関連産業従事者となっており、また、二十一世紀においても基幹産業として雇用吸収力が高いことが見込まれるなど、観光は産業振興だけでなく、雇用創出の場として、景気の回復にも大きな役割を果たすことが期待されている。

5 我が国の観光振興に向けた政府等の取組
(1) 政府の取組
 @ 経済新生対策における雇用創出等観光振興策の推進
 政府は、我が国の景気を本格的な回復軌道に乗せ経済を新生させるため、十一年十一月に経済新生対策を決定した。
 このうち、観光分野については、国内観光需要の喚起及び受入体制の充実を図るため、海外メディア等を通じた訪日促進キャンペーン等の実施、外国人観光客向けの観光案内設備(サインシステム)の整備事業に取り組む地方公共団体に対する補助の実施、また観光分野における雇用創出を図り、多様なパートタイム向け職業の認知度を高めるため、映像を通じた観光職業の紹介等を行う事業(観光ワーキング紹介ライブラリー)及び外客接遇・福祉接遇に対応できる良質なパートタイム労働力を養成するための研修事業(観光ワーキングセミナー)の実施等の観光振興策を強力に推進することとなった。
 A 改正祝日法の施行による旅行環境の改善
   十年十月の臨時国会において、「成人の日」及び「体育の日」をそれぞれ一月及び十月の第二月曜日とする「国民の祝日に関する法律の一部を改正する法律」が成立し、十二年一月一日から施行された。これに伴い、ゆとりある生活の実現のほか、家族等とのふれあいの機会の増大や旅行の促進などが期待されている。
 これによって、十二年一月十日の月曜日が成人の日となり、この休暇を利用して一月八日から十日の三日間に出発した旅行者数は、前年の同時期に比べて、国内旅行では約五割、海外旅行では約二割の増加となり、祝日の月曜日指定化による効果が見られた。
 B 観光分野における情報インフラの整備
   二十一世紀においては、観光分野においても、インターネット等を利用した旅行予約、電子決済、携帯端末等による情報収集を行う時代の到来が予測される。このため、十一年度から、国内の観光関係の各種情報を収集した規模の大きなデータベースに基づき、外国語及び日本語により、インターネット等を通じ国内外に情報を提供する次世代観光情報基盤の整備に着手している。
(2) 観光関係事業者等における取組
 二十一世紀に向けて、観光に向けられる期待がこれまでになく高まっている中、経済発展や国民生活の向上に貢献するという観光産業に与えられた重要な社会的使命を達成するため、観光に関連する主要な企業及び関係団体等からなる「観光産業振興フォーラム」が十一年十二月に発足した。
 また、各地域における観光振興の高まりを受け、十一年十一月以降、全国各地域で「観光百人委員会」の設立が行われており、こうした動きを契機に、観光関連の事業者や国、地方公共団体が一体となって観光振興に取り組み、日本経済の活性化に寄与していくことが期待される。

6 二十一世紀の観光振興のための課題
 二十一世紀において、国民の多様化した価値観に対応して、国民一人一人がゆとりとうるおいを感じられる生活の実現が重要な課題となっている。このような観光に対する期待の高まり等に対して、平成十一年四月、観光政策審議会に「二十一世紀初頭における観光振興方策について」の諮問がなされており、現在、総合部会と観光まちづくり部会の両部会において、十二年秋頃の答申を目指して議論が行われている。
(1) 国民の旅行環境の改善
 ゆとりある生活を実現するためには、家族そろって、ゆったりと旅を楽しめるような社会環境を作っていく必要がある。このため、今後は、長期滞在型旅行の推進、年次休暇を取得しやすい社会環境づくり等の施策が重要である。
(2) 情報化社会にふさわしい観光情報の提供
 政府は、電子政府の実現等、来るべき高度情報通信社会に向けて、その基盤づくりに努めている。このような状況に対応するため、国内の観光関係の各種情報を収集・提供できる基礎を整備し、インターネット等を通じ、外国語、日本語により国内外に提供し、外国人旅行や国内旅行の促進を図ることが重要である。
(3) 魅力ある国内観光地の創造
 国内観光の活性化のためには、魅力ある国内観光地の創造が不可欠である。
 このためには、各地域において観光の重要性に対する理解の増進、観光地の個性化、明確なビジョンに沿った「まちづくり」、多様な観光メニューの提供、ホスピタリティーの向上、都市における魅力ある街づくり、農山村における観光魅力の増進等、魅力ある国内観光地の創造のためのより積極的な対応が求められている。
(4) 訪日外国人旅行者の誘致
 ウェルカムプラン21、「外客誘致法」等に基づく訪日外国人旅行者の地域への受入体制の整備、国際観光振興会等による海外宣伝の強化、外国人旅行者が長期間滞在できる魅力ある観光拠点の整備、生活空間倍増戦略プランに基づいた「遊空間の拡大」による地域振興など、国際交流の促進に向けた各種取組が求められる。
(5) 日本人海外旅行
 日本人海外旅行のマーケットは、五十歳代から六十歳代の年齢層に増加がみられ、高齢者のニーズに対応した商品の企画開発、魅力ある旅行目的地の開発等が課題となっている。
(6) 観光関連産業
 観光関連産業は、旅行業、交通業、宿泊業、飲食業等、広範多岐にわたり、また、各地域の地場産業にも関連が深く、観光振興は、これらの産業の振興にもつながり、地元において多くの雇用機会を創出している。今後も国民の生活の力点が、一層、レジャー・余暇生活に置かれると考えられること、労働時間の短縮、週休二日制の一層の普及等により余暇時間が増大し、観光需要が拡大していくことを考えると、観光産業は、地域を支え、国を支える基幹産業の一つとして重要な役割を果たすべきであると考えられる。
(7) 観光分野における高齢化対策・バリアフリー化の推進
 二十一世紀における高齢化社会の進展を踏まえ、障害者、高齢者など全ての人々が容易に旅行できる環境を整備するため、各種交通機関のバリアフリー化の更なる促進、旅行弱者に対応した観光施設等のバリアフリー化の促進、高齢者向けツアーへの情報提供などを積極的に推進していく必要がある。

V 国際観光の振興

1 ウェルカムプラン21による外国人旅行者の訪日の促進
 外国人旅行者の訪日の促進と地方圏への誘致は、国際社会の対日理解の増進とともに、地方の国際化・活性化に資するものであるが、我が国を訪れる外国人旅行者の数は依然として国際的に見て低水準にある。そのため、「ウェルカムプラン21(訪日観光交流倍増計画)」及び「外国人観光旅客の来訪地域の多様化の促進による国際観光の振興に関する法律(略称:外客誘致法)」に基づいて以下の施策を推進している。
(1) 国際観光テーマ地区の整備と重点的海外宣伝の実施
 外客誘致法に基づき、観光ルートを整備する外客来訪促進地域(通称:「国際観光テーマ地区」)の形成が盛り込まれた「外客来訪促進計画」について、十二年二月までに合計十地域について同意がなされた。同テーマ地区については、国際観光振興会による重点的海外宣伝の実施など、関係者一体となった取組が行われている。
(2) 国際交流拠点・快適観光空間の整備
 国際観光テーマ地区を訪れる外国人旅行者のため、同テーマ地区の拠点に地域の歴史、文化、自然等の紹介機能や体験機能を備えた「国際交流拠点」の整備及びルート化された生きた街を散策し、住民との交流を図ることができる魅力ある観光地づくりを目的とした「快適観光空間」の整備が行われている。
(3) 外国人旅行者の国内旅行費用の低廉化と接遇の向上
 博物館、宿泊施設、飲食店、レジャー施設、交通機関等を利用する際に掲示することにより割引等の優遇措置を受けられる「ウェルカムカード」が、各地で導入されている。また、国内の主要な航空会社、鉄道会社における外国人向けの割引運賃の設定、外客誘致法に基づく共通乗車船券の導入など、外国人旅行者の国内旅行費用の低廉化のための取組が各方面でなされている。
(4) 次世代観光情報基盤整備
 日本の各種観光情報を外国語及び日本語により電子データ化し、インターネットを通じて提供するとともに、一部宿泊施設についてはホームページ上で予約ができる機能も付加された次世代観光情報基盤の整備を進めた。これにより、十二年三月には国際観光振興会のホームページが全面再構築された(http://www.jnto.go.jp/)。
(5) 海外観光宣伝キャンペーンの実施
 経済新生対策の一環として、外国人観光客の訪日の促進等により国内観光需要の早急な回復を図るため、北米キャンペーン、九州・沖縄サミットを契機とした訪日促進キャンペーン及び二〇〇二年ワールドカップサッカー大会を契機とした訪日促進キャンペーンを実施した。
(6) ワールドカップを活用した広報宣伝・受入体制の整備
 二〇〇二年ワールドカップサッカー大会の開催を契機として、国際観光振興、地域振興を図るため、「ワールドカップ開催を契機とした国際観光振興戦略会議」を十一年五月に設置し、ワールドカップを活用した広報宣伝や、受入体制の整備のための検討を行った。
(7) 日中両国の観光交流の促進
 中国との観光交流を本格的に促進するため、中国人団体観光旅客の受入れに向けた政府間協議を実施した。また、十一年一月に国際観光振興会北京事務所を開設した。

2 海外における訪日促進活動・国際交流
 外国人旅行者の訪日促進を図るため、国際観光振興会(JNTO)は、海外での広報・宣伝活動として、観光促進展等の開催、各国の有力紙・テレビ等を通じた広報活動、外国の旅行業者・報道関係者等に対する宣伝活動、インターネット等、多様な媒体による海外への情報提供等を実施した。
 また、在外公館による日本紹介や訪日促進活動、国際交流基金の広報活動、国際博覧会への参加、日本放送協会の国際放送等により対日理解の増進を図った。

3 国内における国際交流の推進対策
 国際観光振興会は、外国人総合観光案内所(TIC:東京、京都)の運営、全国各地の「i」案内所の整備・充実(十一年十二月現在、九十六か所)、低廉宿泊施設「ウェルカム・イン」等の宿泊情報の提供、国際観光テーマ地区外客誘致推進事業(JAPAN QUEST)等を進めるとともに、外国人旅行者に対する善意通訳(グッドウィル・ガイド)の普及等を推進した。

4 国際コンベンション等の振興
 国際コンベンションの振興を図るため、「国際会議等の誘致の促進及び開催の円滑化等による国際観光の振興に関する法律」(略称:コンベンション法)に基づいて認定を受けた「国際会議観光都市」に対して、国際観光振興会に設置した国際コンベンション誘致センターによる情報の提供、諸外国における宣伝、誘致活動への支援等を行うとともに、寄付金の募集等により受入体制の整備を進めた。

5 旅行関連手続の円滑化
 旅行関連手続に関しては、出入国管理、査証発給手続、検疫、通関等の各種手続等の円滑化を図った。

6 日本人の海外旅行者の安全対策等
 海外旅行者の増加に伴い、海外旅行中に病気、交通事故及び犯罪等に遭遇する日本人が増加しているため、外務省海外安全相談センター、国際観光振興会等が、パンフレット、ビデオ等を作成・配付し、広報・啓発に努めるとともに、インターネットを通じて五段階の「海外危険情報」を提供している。

7 観光の分野における国際協議、国際協力等
 観光の分野における二国間の観光協議の開催、関係国際機関等への協力、開発途上国に対する専門家の派遣、研修員の受入れ等の支援、協力を行った。
 また、十一年九月に開催されたWTO(世界観光機関)総会において、次回の総会をWTO総会では初の共同開催として、日本と韓国(開催地:大阪及びソウル、開催時期:二〇〇一年九月)で行うことが決定された。

W 国内観光の振興

1 国・地方公共団体等の連携による観光振興の取組
(1) 二十一世紀に向けた観光の新しい課題に対応していくため、地方ブロック単位で「広域連携観光振興会議(WAC21)」を開催し、より広域での観光振興を目指している。十一年十一月には、第二回目の広域連携観光振興会議が北陸ブロック(富山、石川及び福井の三県)において開催され、「北陸三県広域観光共同宣言」がなされた。
(2) 地域伝統芸能等は、地域固有の歴史、文化等を色濃く反映したものであり、地域の特色を活かした観光の振興を図るために、極めて効果的である。
 十一年五月には、和歌山県田辺市及び白浜町において「第七回地域伝統芸能全国フェスティバル」が開催されたほか、海外においても地域伝統芸能等を披露し、観光客の誘致に努めている。
(3) 送客側と受入側の地方公共団体と観光産業とが協力し、中部圏の消費者をターゲットに新しい国内旅行の提案、旅についての総合的な情報の発信と交流、旅の魅力をアピールする展示と実演等を行う旅の総合イベントとして「旅フェア'99」が、十一年四月に名古屋ドームにおいて開催され、約二十四万人の入場者があった。
(4) 北海道は、明瞭な四季と豊かな自然・新鮮な味覚等の多彩な観光資源を有しており、来道者数もここ数年増加傾向にある。また、観光振興は、北海道において重要なテーマであり、政府においても、観光基盤の整備、観光資源情報ネットワークの充実、アウトドア活動に資する施設整備等を通じ、北海道の特色を生かした観光振興を積極的に支援している。
(5) 沖縄県は、恵まれた自然景観・独特の伝統文化や歴史など、魅力的な観光・リゾート資源を有しており、観光客も年々増加している。
 また、観光産業は、沖縄県の基幹産業の一つであり、沖縄観光の魅力を増すことが必要であることから、沖縄振興開発特別措置法等の改正により観光振興地域制度及び沖縄型特定免税制度を創設し、より一層の観光振興を図っている。

2 観光旅行者の保護及びサービスの向上
(1) 旅行業等に係る施策
 @ 旅行業の登録及び更新の登録の有効期間の延長等の規制緩和の実施に併せ、立入検査及び報告徴収の強化等により消費者保護の充実を図った。
 また、旅行業者の倒産等から消費者を保護するため、現在の法定弁済制度を補完するものとして、旅行業者の自己責任に基づく制度として「ボンド保証制度」を導入し、十一年十月から施行した。
 A 旅行業における公正な競争の確保、適正な情報提供の推進、観光土産品の品質・規格等の表示及び包装の適正化を図った。
(2) 価格・サービスの多様化等
 @ 近年の国民の旅行ニーズの多様化等に対応するため、体験型旅行商品の提供、旅館における泊食分離制度の導入等、新しい形態のサービスが提供されている。
 A 従業員の慰安、社内の親睦等を目的とする全従業員を対象とした会社主催の四泊五日以内の従業員レクリエーション旅行については、少額不追求の趣旨を逸脱しないものに限り課税されないこととされており、日数や旅行先の選択等、幅の広い多様な旅行を楽しむことができるようになっている。
(3) 観光分野におけるコンピュータ西暦二〇〇〇年問題への対応
 @ 旅行関係機関等
   コンピュータ西暦二〇〇〇年問題について、旅行分野においては、国、国際観光振興会、旅行業協会等からなる「旅行に関するコンピュータ西暦二〇〇〇年問題対策連絡会議」を十一年二月に設置し、旅行業者の二〇〇〇年問題への対応について協議し、コンピュータの誤作動を防止するための準備を行うとともに、旅行業者を通じ旅行者に対して二〇〇〇年問題についての情報提供を行った。
 また、西暦二〇〇〇年をはさむ年末年始の対応については、新年を迎えた各国の状況等について旅行業協会等を通じて収集に努めたが、二〇〇〇年問題による旅行への影響は確認されなかった。
 A 交通関係機関等
   交通分野では、注目されていた年末年始の時期を含め、万全の体制で臨み、国民生活に重大な影響を及ぼすような支障は生じなかった。年替わり直後には、直ちに主要交通機関から情報等を収集し、鉄道、航空、海運ともおおむね順調に稼働している旨の状況を発表した。
(4) 高齢者・障害者等の円滑な移動の確保
 @ 「高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律案」(交通バリアフリー法案)を第百四十七回通常国会に提出した。
 A 公共交通機関、歩行空間、道路交通、宿泊施設、文化施設その他の観光関連施設において、高齢者・障害者等の円滑な移動を確保するため、エレベーター・エスカレーターの設置、歩道等の施設の整備改善、障害物の除去等のバリアフリー化を推進するとともに、運賃の割引措置等を講じた。

3 観光資源の保全・保護
(1) 国立公園等、自然公園の整備、森林の保全管理、河川、湖沼及び海洋環境の保全、都市緑地の保全、温泉の保護、野生生物の保護等を推進し、自然とのふれあいの要請にこたえるとともに、自然環境の保全を図った。
(2) 国宝・重要文化財等の文化財の保存・活用、無形文化財の伝承者養成等を進め、また、歴史的集落・町並み、歴史的風土、歴史的港湾、灯台について保存・活用を図った。
(3) 十一年十一〜十二月にモロッコのマラケシュにおいて開催された、第二十三回世界遺産委員会会議において、「日光の社寺」が我が国で十番目の世界遺産として、新たに世界遺産一覧表に記載された。
(4) 都市、農山漁村、水辺、道路について景観の整備を促進し、良好な景観の形成と魅力あるまちづくり等を進めた。
(5) 「旅に出て 心も体もリフレッシュ」を統一テーマとした第三十五回観光週間(八月一〜七日)やみどりの週間(四月二十三〜二十九日)等を通じて、観光資源の保全・保護等について、広報・啓発等を行った。

4 観光レクリエーション施設等の現況と整備
(1) オートキャンプ場、旅行村等、農山漁村地域におけるレクリエーション地区等、森林・公園等を活用したレクリエーション施設等、自然体験施設、親水レクリエーション施設等の公的観光レクリエーション施設等の整備を推進した。
(2) 国民の観光レクリエーション需要の高まりに伴い、民間等により、レジャーランド、オートキャンプ場、一般キャンプ場、スキー場、マリーナ、クアハウス、ゴルフ場、観光牧場等、様々な観光レクリエーション施設等が全国的に整備・運営されている。

5 観光関連施設の現況と整備
(1) 博物館、美術館等の整備・充実を図り、所蔵品を収集・保管・展示して一般の利用に供するとともに、解説書の発行や各種講座等を開催した。
(2) 国立競技場等の体育・スポーツ施設や国立オリンピック記念青少年総合センター等の青少年教育施設の整備を進めた。また、パラグライダー等のスカイレジャーの進展に対応し、安全の確保及びその振興・普及に係る施策を進めている。

6 宿泊・休養施設の現況と整備
(1) 一定規模のホテル・旅館等については、近代化を推進するため環境衛生金融公庫において設備資金等の融資を行うとともに、「国際観光ホテル整備法」に基づく登録ホテル・旅館については、政府系金融機関による融資により施設整備を支援した。
(2) 宿泊施設やサービス・料理の面で、高齢者が利用しやすい旅館・ホテルとして一定の基準を満たした旅館等をシルバースター旅館として認定登録し、従業員等に対し研修を実施しており、十一年十二月現在、七百八十九軒が認定登録されている。
(3) 国民宿舎、ユースホステル等の運営、整備を行った。

7 観光基盤施設の現況と整備
(1) 鉄道については、十一年十二月、いわゆる山形新幹線が山形から新庄まで延伸され、東京・新庄間が最速で三時間五分となり、二十二分短縮された。
 また、車両の居住性の向上や移動制約者対応トイレの導入等の社会的ニーズへの対応等の観点から輸送サービスの改善が進められている。
(2) 道路については、高規格幹線道路、地域高規格道路、一般国道及び地方道、有料道路の整備・建設を促進し、「道の駅」や「ハイウェイオアシス」の整備を進めた。高速自動車国道は、十一年度に北海道横断自動車道、千歳恵庭JCT〜夕張区間等、新たに十区間を供用し、全体供用延長は六千六百十五キロメートルとなった。
 また、バスターミナルの整備・運営、観光地のバス・タクシー事業、レンタカー事業等により利用者利便の向上が図られている。
(3) 空港については、航空ネットワークの拠点となる大都市圏における拠点空港の整備を最優先課題として推進するとともに、一般空港等の整備を進めた。このうち、十一年十二月には、新東京国際空港について、二千百八十メートルの暫定平行滑走路の工事に着手し、また、東京国際空港については、新B滑走路の十一年度末の供用開始を目指し、整備を実施した。
(4) 海上交通については、運輸施設整備事業団との共有建造方式による旅客船サービスの改善、輸送力の増強等を図るとともに、旅客ターミナル等の整備を行った。
(5) 観光地の環境衛生施設については、地域の生活環境の保全及び向上を図るため、水道及び下水道等の整備の推進に努めた。

8 国内観光の安全確保
(1) 鉄道、道路、航空及び海上交通の交通安全対策
 鉄道事故の防止を図るため、山陽新幹線におけるコンクリート剥落事故を受けて、鉄道事業者に対し、鉄道トンネルの総点検を実施するよう求める等、鉄道の安全確保に関する厳格な指導を実施した。
 道路については、交通事故が多発している道路等について、特定交通安全施設等整備事業七箇年計画に基づき、交通安全施設等の整備拡充を図ること等により交通事故の防止を図った。
 航空については、十一年七月に発生した全日空機ハイジャック事件を踏まえ、航空保安措置の見直し・強化等を行い、航空機に対する不法妨害行為防止対策の充実・強化を図った。
 海上交通の安全を確保するため、海事関係法令の励行、旅客船の運航管理制度の徹底、プレジャーボート等の海難防止指導等により事故防止に努めた。
(2) 宿泊施設等における安全対策
 旅館、ホテル等の防火対策として、建築基準法、消防法による指導を行うとともに、過去の火災事例等を踏まえて作成した「旅館・ホテル等の防火安全の手引き」等の活用による指導を促進した。
 また、ホテル・旅館、飲食店等、食品関係営業者に対して、食品衛生監視員の指導、食品衛生法に基づく管理運営基準の遵守の徹底を図った。
(3) 観光地における自然災害防止対策
 台風や集中豪雨などの気象条件により土砂災害の発生しやすい環境にある山地流域については、砂防工事の実施等の災害対策を推進した。
(4) 気象等の情報の提供
 台風・集中豪雨雪対策等観測予報体制の強化、地震・火山対策の強化及び海洋・海上気象業務の強化を図った。
 また、十一年八月に発生した神奈川県の玄倉川におけるキャンプ客の水難事故等、近年、河川におけるアウトドア活動中の事故が増大していることを受け、出水時における安全確保のあり方について検討を行った。
(5) 遭難等の防止対策
 山岳遭難、水難防止を図るため、救助体制の充実、安全指導等の諸施策を推進するとともに、観光旅行者の避難体制の確立に努めた。
(6) 事故災害への対応と観光需要の喚起
 自然災害等の発生に際して、旅行関係団体等に対して安全情報の提供を行った。さらに、十一年九月に発生した茨城県東海村の核燃料加工施設の臨界事故に際して、政府による安全宣言が出された後も風評被害が発生したため、観光キャンペーンの開催、安全性の広報や観光客誘致についての協力依頼を行った。

9 地方公共団体による観光振興の取組
(1) 地方公共団体は、交流を通じた様々な地域振興の観点から、観光振興に積極的に取り組んでおり、観光基本計画等を策定し、総合的な推進を図っている。
 また、地方公共団体は、インターネットのホームページを活用した観光情報の発信・提供、全国各地での特色あるイベント、キャンペーン、物産展等の実施・開催、外国人観光客誘致の促進、観光客の受入体制の充実等を図っている。
 さらに、自然環境の保全、文化財の保護、観光地の美化清掃等を進めるとともに、国の支援・協力を受け、また独自に、観光施設・観光基盤の整備を行っている。
(2) 近年、地域の自然、歴史、文化等の紹介を、住民ボランティアが地域の言葉と真心で案内する「地域紹介・観光ボランティアガイド」活動が全国の観光地で展開されており、その数も急速に増加してきている。これらの「観光ボランティアガイド」の活動は、来訪者との交流、地域住民参加によるホスピタリティーの向上に寄与するとともに、町づくり、地域の活性化、地域の観光振興にとって重要な役割を果たしてきている。




目次へ戻る

消費支出(全世帯)は実質一・ニ%の減少


―平成十一年度平均家計収支―


総 務 庁


◇全世帯の家計

 前年度比でみると、全世帯の消費支出は平成四年度以降三年連続の実質減少となった後、七年度は実質増加となったが、八年度から十年度にかけて実質減少が続いた後、十一年度も実質一・二%の減少となった。

◇勤労者世帯の家計

 前年度比でみると、勤労者世帯の実収入は、平成五年度、六年度は実質減少、七年度、八年度は実質増加、九年度、十年度は実質減少となり、十一年度も二・五%の実質減少となった。
 前年度比でみると、消費支出は、平成五年度、六年度は実質減少、七年度、八年度は実質増加、九年度、十年度は実質減少となり、十一年度も実質一・三%の減少となった。

◇勤労者以外の世帯の家計

 勤労者以外の世帯の消費支出は、一世帯当たり二十八万三千百二十九円。
 前年度に比べ、名目一・三%の減少、実質〇・七%の減少。












目次へ戻る

消費者物価指数の動向


―東京都区部(五月中旬速報値)・全国(四月)―


総 務 庁


◇五月の東京都区部消費者物価指数の動向

一 概 況

(1) 総合指数は平成七年を一〇〇として一〇一・一となり、前月と同水準。前年同月比は二月〇・八%の下落、三月〇・七%の下落、四月〇・九%の下落と推移した後、五月は〇・九%の下落となった。
(2) 生鮮食品を除く総合指数は一〇一・五となり、前月比は〇・二%の上昇。前年同月比は二月〇・四%の下落、三月〇・四%の下落、四月〇・五%の下落と推移した後、五月は〇・四%の下落となった。

二 前月からの動き

(1) 食料は九九・七となり、前月に比べ〇・六%の下落。
  生鮮魚介は五・〇%の下落。
   <値上がり> いか、ほたて貝など
   <値下がり> かつお、かれいなど
  生鮮野菜は三・六%の下落。
   <値上がり> ほうれんそう、ねぎなど
   <値下がり> キャベツ、トマトなど
  生鮮果物は〇・一%の下落。
   <値上がり> りんご(ふじ)、なつみかん
   <値下がり> いちご、メロン(プリンスメロン)など
(2) 住居は一〇〇・三となり、前月に比べ〇・三%の下落。
  家賃は〇・四%の下落。
   <値下がり> 民営家賃(非木造住宅)など
(3) 家具・家事用品は九一・〇となり、前月に比べ〇・五%の下落。
  家庭用耐久財は一・三%の下落。
   <値下がり> ルームエアコンなど
(4) 被服及び履物は一〇四・九となり、前月に比べ一・一%の上昇。
  衣料は二・三%の上昇。
   <値上がり> スーツ(夏物)など
(5) 教養娯楽は一〇一・一となり、前月に比べ一・七%の上昇。
  教養娯楽サービスは二・三%の上昇。
   <値上がり> 宿泊料

三 前年同月との比較

 ○上昇した主な項目
  教養娯楽サービス(一・六%上昇)
 ○下落した主な項目
  生鮮野菜(一二・九%下落)、生鮮果物(一三・七%下落)、生鮮魚介(七・一%下落)、外食(一・五%下落)
 (注) 上昇又は下落している主な項目は、総合指数の上昇率に対する影響度(寄与度)の大きいものから順に配列した。

四 季節調整済指数

 季節調整済指数をみると、総合指数は一〇〇・六となり、前月に比べ〇・二%の下落となった。
 また、生鮮食品を除く総合指数は一〇一・二となり、前月と変わらなかった。

◇四月の全国消費者物価指数の動向

一 概 況

(1) 総合指数は平成七年を一〇〇として一〇一・七となり、前月比は〇・二%の上昇。前年同月比は一月〇・九%の下落、二月〇・六%の下落、三月〇・五%の下落と推移した後、四月は〇・八%の下落となった。
(2) 生鮮食品を除く総合指数は一〇一・九となり、前月比は〇・二%の上昇。前年同月比は一月〇・三%の下落、二月〇・一%の下落、三月〇・三%の下落と推移した後、四月は〇・四%の下落となった。

二 前月からの動き

(1) 食料は一〇一・一となり、前月に比べ〇・一%の下落。
  生鮮魚介は〇・八%の上昇。
   <値上がり> いか、さけなど
   <値下がり> あじ、かつおなど
  生鮮野菜は四・三%の下落。
   <値上がり> にんじん、ばれいしょなど
   <値下がり> レタス、きゅうりなど
  生鮮果物は三・三%の上昇。
   <値上がり> りんご(ふじ)、バナナなど
   <値下がり> いちご、なつみかんなど
(2) 光熱・水道は一〇三・〇となり、前月に比べ〇・八%の上昇。
  電気・ガス代は〇・七%の上昇。
   <値上がり> 電気代など
(3) 被服及び履物は一〇五・〇となり、前月に比べ三・三%の上昇。
  シャツ・セーター・下着類は六・七%の上昇。
   <値上がり> 婦人セーター(半袖)など
(4) 保健医療は一一一・四となり、前月に比べ〇・五%の上昇。
  保健医療サービスは一・〇%の上昇。
   <値上がり> 入院費(分娩費・国立)など
(5) 交通・通信は九七・五となり、前月に比べ〇・六%の下落。
  通信は二・九%の下落。
   <値下がり> 通話料など
(6) 教育は一〇九・五となり、前月に比べ〇・九%の上昇。
  授業料等は一・三%の上昇。
   <値上がり> 私立大学授業料など

三 前年同月との比較

 ○上昇した主な項目
  自動車等関係費(一・八%上昇)
 ○下落した主な項目
  生鮮野菜(一四・三%下落)、外食(一・三%下落)、生鮮魚介(三・四%下落)、家庭用耐久財(五・六%下落)
 (注) 上昇又は下落している主な項目は、総合指数の上昇率に対する影響度(寄与度)の大きいものから順に配列した。

四 季節調整済指数

 季節調整済指数をみると、総合指数は一〇一・五となり、前月に比べ〇・三%の下落となった。
 また、生鮮食品を除く総合指数は一〇一・八となり、前月に比べ〇・二%の下落となった。



















 八月の気象


 八月は、太平洋高気圧が広く日本付近を覆い、安定した晴天が続くようになります。また、一年のうちで最も気温の高い時期でもあります。しかし、太平洋高気圧の勢力が弱いと、北のオホーツク海高気圧の影響を受けたり、南から台風や熱帯低気圧が接近しやすくなって、晴天もあまり長続きせず、いわゆる不順な夏になることもあります。

◇冷夏と暑夏

 近年の八月の天候を振り返ると、やはり一九九三年(平成五年)と翌年の一九九四年(平成六年)を、それぞれ冷夏と暑夏の極端なケースとして挙げることができます。
 一九九三年は、太平洋高気圧の勢力が弱く、オホーツク海高気圧が張り出したため、全国的に気温が低く、各地で農作物などに大きな影響が出ました。逆に一九九四年は、太平洋高気圧の勢力がかなり強かったため、記録的な暑夏になり、干ばつなどの被害が発生しました。

◇八月の気象災害(雷、台風、高波)

 一般に、八月は雷の発生が最も多くなる月です。晴れた日中、強い日射によって地表付近が暖められると、積乱雲(雷雲)が発達して雷を起こしたり、激しい雨を降らせたりします。
 また、八月は九月とともに台風の影響を受けやすい時期です。台風が接近したり上陸したりする時には、厳重な警戒が必要ですが、台風がまだ遠い洋上にある時でも、太平洋沿岸などでは大きな波が打ち寄せてくることもありますので、海のレジャーには十分な注意が必要です。
(気象庁) 


目次へ戻る

四月の雇用・失業の動向


―労働力調査 平成十二年四月結果の概要―


総 務 庁


◇就業状態別の人口

 平成十二年四月末の就業状態別人口をみると、就業者は六千四百四十万人、完全失業者は三百四十六万人、非労働力人口は四千二十一万人で、前年同月に比べそれぞれ二十九万人(〇・四%)減、四万人(一・二%)増、八十二万人(二・一%)増となっている。

◇就業者

(1) 就業者

 就業者数は六千四百四十万人で、前年同月に比べ二十九万人(〇・四%)の減少となっている。男女別にみると、男性は三千八百一万人、女性は二千六百三十九万人で、前年同月と比べると、男性は十万人(〇・三%)減、女性は十九万人(〇・七%)減となっている。

(2) 従業上の地位

 就業者数を従業上の地位別にみると、雇用者は五千二百八十九万人、自営業主・家族従業者は一千百二十九万人となっている。前年同月と比べると、雇用者は二十三万人(〇・四%)減、自営業主・家族従業者は十一万人減となっている。
 雇用者のうち、非農林業雇用者数及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○非農林業雇用者…五千二百五十四万人で、二十四万人(〇・五%)減
 ○常 雇…四千六百三十一万人で、四十四万人(〇・九%)減、二十八か月連続の減少
 ○臨時雇…五百七万人で、二十五万人(五・二%)増、平成八年九月以降、増加が継続
 ○日 雇…百十六万人で、五万人(四・一%)減

(3) 産 業

 主な産業別就業者数及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○農林業…三百十六万人で、三十四万人(九・七%)減
○建設業…六百六十四万人で、八万人(一・二%)増、二か月連続で増加
○製造業…一千二百九十万人で、二十四万人(一・八%)減
○運輸・通信業…四百十四万人で、五万人(一・二%)増
○卸売・小売業、飲食店…一千四百四十四万人で、三十七万人(二・五%)減、二か月連続で減少
○サービス業…一千七百三十万人で、三十五万人(二・一%)増、二か月連続で増加
 また、主な産業別雇用者数及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○建設業…五百四十六万人で、九万人(一・六%)減
○製造業…一千百七十万人で、三十一万人(二・六%)減
○運輸・通信業…三百八十八万人で、一万人(〇・三%)増
○卸売・小売業、飲食店…一千百五十八万人で、三十三万人(二・八%)減
○サービス業…一千四百七十九万人で、四十二万人(二・九%)増

(4) 従業者階級

 企業の従業者階級別非農林業雇用者数及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○一〜二十九人規模…一千七百一万人で、四十七万人(二・七%)減、七か月連続で減少
○三十〜四百九十九人規模…一千七百十九万人で、三十四万人(一・九%)減、十一か月連続で減少
○五百人以上規模…一千二百六十一万人で、三十二万人(二・六%)増、七か月連続で増加

◇完全失業者

(1) 完全失業者数

 完全失業者数は三百四十六万人で、前年同月に比べ四万人(一・二%)の増加となっている。男女別にみると、男性は二百六万人、女性は百三十九万人となっている。前年同月に比べると、男性は同数、女性は三万人(二・二%)の増加となっている。
 また、求職理由別完全失業者数及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○非自発的な離職による者…百十四万人で、一万人減少
○自発的な離職による者…百十六万人で、八万人増加
○学卒未就職者…二十四万人で、一万人増加
○その他の者…八十三万人で、一万人減少

(2) 完全失業率(季節調整値)

 季節調整値でみた完全失業率(労働力人口に占める完全失業者の割合)は四・八%で、前月に比べ〇・一ポイントの低下。男女別にみると、男性は五・〇%、女性は四・六%で、前月に比べ男性は〇・二ポイントの低下、女性は前月と同率となっている。

(3) 完全失業率(原数値)

 完全失業率は五・一%で、前年同月に比べ〇・一ポイントの上昇となっている。男女別にみると、男性は五・一%で同率、女性は五・〇%で〇・一ポイントの上昇となっている。

(4) 年齢階級別完全失業者数及び完全失業率(原数値)

 年齢階級別完全失業者数、完全失業率及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
 [男]
○十五〜二十四歳…四十万人(五万人減)、九・九%(〇・九ポイント低下)
○二十五〜三十四歳…四十八万人(四万人増)、五・三%(〇・四ポイント上昇)
○三十五〜四十四歳…二十三万人(四万人減)、三・〇%(〇・五ポイント低下)
○四十五〜五十四歳…三十三万人(一万人増)、三・五%(〇・一ポイント上昇)
○五十五〜六十四歳…五十二万人(三万人増)、七・七%(〇・五ポイント上昇)
 ・五十五〜五十九歳…二十万人(一万人増)、四・九%(〇・三ポイント上昇)
 ・六十〜六十四歳…三十二万人(一万人増)、一一・八%(〇・五ポイント上昇)
○六十五歳以上…十万人(一万人増)、三・三%(〇・三ポイント上昇)
 [女]
○十五〜二十四歳…三十五万人(三万人減)、九・一%(〇・三ポイント低下)
○二十五〜三十四歳…四十一万人(同数)、六・九%(〇・一ポイント低下)
○三十五〜四十四歳…二十一万人(一万人減)、四・一%(〇・二ポイント低下)
○四十五〜五十四歳…二十三万人(二万人増)、三・四%(〇・三ポイント上昇)
○五十五〜六十四歳…十八万人(五万人増)、四・三%(一・二ポイント上昇)
○六十五歳以上…一万人(一万人減)、〇・五%(〇・六ポイント低下)

(5) 世帯主との続き柄別完全失業者数及び完全失業率(原数値)

 世帯主との続き柄別完全失業者数、完全失業率及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○世帯主…九十八万人(五万人増)、三・六%(〇・二ポイント上昇)
○世帯主の配偶者…五十万人(八万人増)、三・五%(〇・六ポイント上昇)
○その他の家族…百五十二万人(三万人減)、八・一%(〇・二ポイント低下)
○単身世帯…四十七万人(四万人減)、六・〇%(〇・六ポイント低下)











言葉の履歴書


目安を付ける

 「目安を付ける」といえば、目当てにする、印を付ける、およその見当を付ける―といった場合に用いられます。
 これは、見やすい、見た目に感じがよいという意味の形容詞「目安い」からきた言葉ですが、見やすく読みやすい箇条書きにした文書は「目安」と呼ばれました。
 江戸時代にはもっぱら訴状を指し、「目安を上げる」といえば評定所(ひょうじょうしょ)に訴状を提出することでした。
 八代将軍・徳川吉宗が、庶民や浪人の要求、不満などを聞くために設けた「目安箱」はよく知られています。
 享保六(一七二一)年の八月から、二、十一、二十一日の月三回、評定所の外に投書箱を置いた制度は「箱訴(はこそ)」と呼ばれました。
 箱は将軍の目の前で開かれ、吉宗自ら封を切って読み、必要なことは老中(ろうじゅう)以下の諸役に伝えて実施させました。貧民のための施療院開設はその一例です。直訴(じきそ)を制度化した「目安箱」は、庶民が何を感じているか、何を考えているかの「目安を付ける」のに有効だったわけです。
(『広報通信』平成十二年八月号) 



    <8月16日号の主な予定>

 ▽男女共同参画白書のあらまし………総 理 府 

 ▽毎月勤労統計調査(四月分)………労 働 省 




目次へ戻る