官報資料版 平成12年8月30日




                  ▽防災白書のあらまし………………………………………国 土 庁

                  ▽家計収支(四月分)………………………………………総 務 庁

                  ▽平成十一年平均 消費者物価地域差指数の概況………総 務 庁

                  ▽月例経済報告(七月報告)………………………………経済企画庁











防災白書のあらまし


平成12年版防災白書(「防災に関してとった措置の概況」及び「平成12年度において実施すべき防災に関する計画)が、5月30日に閣議決定され、同日付けで国会に報告された。


国 土 庁


第1部 災害の状況と対策

第1章 我が国の災害の状況

【災害を受けやすい日本の国土と自然災害の状況】
 我が国では、毎年、自然災害により多くの尊い人命や財産が失われているが、昭和三十年代以降、死者・行方不明者の数は、長期的に見れば逓減傾向にある。災害原因別死者・行方不明者数は、地震により多くの死者・行方不明者を出した平成五年、七年を除くと、土砂災害をはじめとした風水害によるものが、大きな割合を占めている(第1図参照)。

【平成十一年度に発生した主要な災害とその対策】
 平成十一年度は、六月二十三日から七月三日までの梅雨前線豪雨により西日本を中心に大きな被害が生じたほか、九月二十四日に上陸した台風第十八号では高潮災害により激甚な被害が発生した(第1表参照)。平成十一年には、時間雨量百ミリ以上の豪雨が十回観測されており、平年値を大きく上回っている。
 また、九月三十日には、東海村ウラン加工施設において、我が国初めての臨界事故が発生した。
 さらに、平成十二年三月三十一日には、有珠山が噴火した。これに先立ち、三月二十七日午前から火山性の地震が次第に増加したこと等を受け、二十八日中に周辺一市三町で災害対策本部が設置された。二十九日午後一時から順次、危険区域の住民に避難勧告・避難指示が出され、噴火前の三十日までにほぼ全員の避難が確認されていた。
 政府は、噴火した三十一日、直ちに有珠山噴火非常災害対策本部(本部長:国土庁長官)及び同現地対策本部(本部長:国土総括政務次官)を設置して、その対策に取り組んでいる。

第2章 我が国の災害対策の推進状況

 阪神・淡路大震災後、政府は、その教訓を踏まえ、初動体制の整備、法制度、防災計画等の改善、防災無線網の充実強化、災害観測・予測システムの強化・整備、被災者に対する生活支援等、様々な面で防災施策の改善を図ってきた。
 平成十一年度以降の、主な防災対策の取組みは、次のとおり。

【東海地震対策】
 社会情勢の変化や、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえ、地震防災対策強化地域に係る「地震防災基本計画」を二十年ぶりに修正した。
 平成十二年三月、「地震防災対策強化地域における地震対策緊急整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律(地震財特法)」が五年間延長された(平成十七年三月三十一日まで)。

【風水害対策】
 平成十一年度の災害を踏まえ、以下のような取組みを行った。
○ 関係四省庁からなる「地下空間洪水対策研究会」が、緊急対策を取りまとめた(平成十一年八月)。
○ 中央防災会議局員会議において、豪雨災害対策のあり方について検討し、提言を取りまとめた(平成十二年四月)。
○ 「土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律」が制定された(平成十二年四月)。
○ 関係七省庁は、「高潮災害対策の強化に関する連絡会議」及び「高潮防災情報等のあり方研究会」を設置し、関係省庁の連携強化などの対策を検討している。

【事故災害対策】
 (原子力災害対策)
 茨城県東海村の原子力事故を受け、加工事業者についても定期検査を実施すること等を内容とする「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律」及び異常事象が発生した場合の事業者の通報義務や国・地方公共団体の体制整備等を内容とする「原子力災害対策特別措置法」が制定された(平成十一年十二月)。
 これを受け、防災基本計画原子力災害対策編の見直しを行っている。
 (鉄道事故対策)
 平成十一年六月以降、山陽新幹線においてトンネルコンクリート剥落事故が続いたため、トンネル安全問題検討会を開催して、報告を取りまとめた。
 平成十二年三月、帝都高速度交通営団日比谷線の列車脱線・衝突事故の発生に対応し、事故調査検討会を立ち上げ、原因究明に向けて検討している。

【災害復旧・復興対策】
 (激甚災害)
 公共土木施設災害復旧事業等に係る激甚災害(本激)の指定については、昭和三十七年の制度発足当初は毎年一〜二件指定されていたが、昭和五十九年以降は阪神・淡路大震災一件のみの指定に止まっている。
 このため、最近の地方自治体の財政の逼迫状況等を踏まえ、被災した地方自治体の財政負担の緩和を図るとともに、被災地域の円滑かつ早期の復旧を図ることを目的として、公共土木施設等に大規模な被害が生じた災害については、これを適切に激甚災害に指定できるよう激甚災害指定基準等を改正した(平成十二年三月)。
 指定基準を最大で現行の八分の一まで引き下げることとしており、新しい指定基準等は、平成十二年一月一日以降に発生した災害から適用される。
 (被災者生活再建支援法)
 同法による制度の運用が平成十一年四月から開始され、自然災害により生活基盤に著しい被害を受け、経済的理由等により自立して生活を再建することが困難な被災者に対しては、最高百万円の被災者生活再建支援金が支給されている。

第3章 阪神・淡路大震災の災害復興対策

【復興に向けての取組み】
 阪神・淡路大震災の被災地の復興を目指して、政府は、「阪神・淡路復興対策本部」を中心に、地元地方公共団体と密接な連携の下、被災者の住宅再建確保対策、生活再建支援対策、各種インフラの復旧対策、産業の復興対策、市街地の復興対策等に取り組んできた。
 平成十一年度(第二次補正予算)までに、阪神・淡路大震災関係経費として、総額五兆二百億円の国費が予算措置されている。
 特に、四万戸を上回る公営住宅の確保をはじめ恒久住宅の整備が進むにつれて、最大時に約四万八千世帯が入居していた応急仮設住宅の入居戸数は減少し、平成十二年一月十四日にゼロとなった(第2図参照)。
 「阪神・淡路復興対策本部」の設置期限満了(平成十二年二月)に伴い、政府は、被災地の復興に残された課題に取り組むため、「阪神・淡路復興関係省庁連絡会議」を設置した。

【震災の教訓を踏まえた対策】
 (災害に強いまちづくり)
○ 公共施設に新しい耐震基準を設定した。
○ 「建築物の耐震改修の促進に関する法律」を制定した(平成七年)。
○ 「密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律」を制定した(平成九年)。
 (迅速な災害応急対策への備え)
○ 市町村から内閣総理大臣への直接報告など初期情報の収集・連絡体制を整備した。
○ 被害の早期評価システムを整備した。
○ 現地対策本部を法定化するなど総合的な緊急即応体制を整備した。
○ 初動・応急対策のため実働部隊や住民が参加した防災訓練の実施を促進している。
 (速やかな復旧・復興に向けた対応)
○ 被災地の円滑な復旧を図るため激甚災害指定基準を緩和した。
○ 生活の立ち上がりを支援する「被災者生活再建支援法」を制定した(平成十年)。
 (災害に関する科学技術研究の活用)
○ 地震調査研究推進本部を設置し、九十八の活断層について評価を進めている。

第4章 国民の防災活動

 災害発生時に、初動応急対策を迅速かつ的確に実施する上では、消防、警察、自衛隊等の救急・救助活動に加えて、消防団・水防団、自主防災組織、ボランティア、企業などの防災活動が極めて重大な役割を果たす。
 自主防災組織の組織率には、地域によって大きな差が見られる。また、ボランティア活動の協力・支援の取組みについては、各地で様々な展開がなされている。
 企業による防災活動への取組みは、企業規模によって差がある。今後、ガイドライン・マニュアル等の作成や情報交換の場の設置等を積極的に推進するとともに、企業防災に関する情報提供を図る必要がある。さらに、地域防災活動への積極的参加を呼びかけるなど、企業防災のさらなる推進に努めることが重要である(第3図参照)。

第5章 地域防災力の強化に向けて
    ―風水害を事例として

 自然災害多発国である我が国では、災害時に相互扶助するコミュニティ組織を形成するなど、各自の災害対応力と地域の繋がりを醸成してきた。しかし、戦後の国土保全事業をはじめとした防災行政が進展する中、行政への過剰期待・依存、災害体験の減少から、個々人の「自分の身は自分で守る」という基本的な認識が薄れ、地域の災害対応力が低下してきた面があると認識される。
 (国土保全事業の効果とソフト施策の充実・活用)
 洪水被害面積を大幅に減少させるなど国土保全事業は国土の安全性の向上に高い効果を発揮している。
 一方、政令指定都市などの都市圏を中心に、依然として急傾斜地への住宅立地が進んでいる(第2表参照)。
 土砂災害危険箇所数は一定の割合で増加傾向にあるが、事業の整備率は横ばい状態にある。国土保全事業に対する重点化・効率化の要請もかんがみ、今後は、国土保全事業と併せて、危険箇所の開発制限と立地規制、危険箇所からの移転、警戒避難体制の整備確立などのソフト施策の一層の充実と活用が必要である。
 (的確な避難誘導の重要性とその実現に向けた平常時の行政の備え)
 適切かつ迅速な警戒情報の提供と避難誘導は、防災対策の重要な柱となる。特に、適切な時期に的確な避難勧告・指示を発令することが大切である。そのため、自治体は、平常時から、地域特性を斟酌しつつ発令の客観的指標や情報収集伝達体制を整備しておく必要がある。
 (平常時からの住民への危険情報の周知)
 水害や土砂災害に対する避難勧告が発令されても即座に避難を開始しない住民が多い(第4図参照)。行政による避難誘導の実効性を上げるためには、住民の「自分の身は自分で守る」という主体的な防災意識が不可欠である(第5図参照)。
 主体的な防災意識の促進には、危険箇所等の危険情報や、おのずから存在する行政対応の限界を、平常時から住民に周知することが有効である。
 (行政・住民・コミュニティ・企業の連携による「地域防災力」の強化)
 防災リーダーの育成、住民と行政の一体的な防災訓練の実施など、地域単位での行政、住民、コミュニティ、企業の連携により、地域全体の防災力、すなわち「地域防災力」を強化する施策が重要である。

第6章 世界の自然災害と国際防災協力

 一九九〇年代は、一九九二年の米国南部のハリケーン・アンドリューや、一九九五年の阪神・淡路大震災など、先進国を大きな災害がみまったため、直接被害額は約六千八百四十億ドルに上っている。
 近年の自然災害は、風水害によるものが多く、特にアジア地域で大きな被害をもたらしている(第6図参照)。
 我が国は、以下のとおり積極的に国際防災協力に取り組んでいる。
○ 被災国・地域に対し、緊急援助隊の派遣や救援物資の供与を行っている。一九九九年には、トルコ、台湾などに対して行った。
○ 国連の「国際防災の十年(一九九〇年代)」や、これを引き継いだ「国際防災戦略(二〇〇〇年以降)」の活動を積極的に支援している。一九九九年十二月には、「国際防災の十年」記念シンポジウムを東京で開催した。
○ アジア地域における防災協力を推進するため、一九九八年七月、兵庫県神戸市にアジア防災センターを開設し、情報ネットワーク及び人的ネットワークの構築を進めている。

第2部 平成十年度において防災に関してとった措置の概況

 平成十年度において各省庁は、予算額約五兆五千億円をもって科学技術の研究、災害予防、国土保全、災害復旧等の防災に関する具体的措置を実施している。

「平成十二年度において実施すべき防災に関する計画」

 平成十二年度において各省庁は、予算額約三兆三千億円をもって科学技術の研究、災害予防、国土保全、災害復旧等の防災に関する具体的措置を講じる予定である(第3表参照)。

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暮らしのワンポイント


なべの手入れ

材質に応じた洗い方で

 なべにこびりついた汚れは、時間がたつほど落ちにくくなります。使ったなべはすぐに洗うことが大切。また、材質に応じた洗い方をすることも必要です。それぞれのなべの材質や特徴を知った上で扱うようにしましょう。
 アルミなべは、スチールウールなどで洗えます。ただしアルミの表面を処理したアルマイトの場合は、皮膜が傷つかないようにスポンジで。ほうろうなべも、コーティングを傷つけないようにスポンジで洗います。
 ステンレスなべは丈夫ですが傷が目立ちやすいので普段はスポンジで洗い、がんこな汚れはスチールウールで円を描くように優しく洗います。
 鉄なべもスチールウールで洗えますが、こげついたときには水を入れて沸騰させ、こげた部分をやわらかくして、スポンジでこすりましょう。
 いずれのなべも、こげついてしまったときに、いきなり水をかけたり無理にこげをはがそうとしたりすると、なべが傷む原因になるので注意が必要です。
 アルミやステンレス、ほうろうなべの場合、水を張っておくと小一時間でこげが浮いてきます。それでも取れないときは、酢を混ぜた水をなべに入れて沸騰させ、こげついた部分がやわらかくなるまで煮立たせ、冷めたら湯を捨て、こげをこすって落とします。
 なべは水分を残さずに収納することも大切です。水気が残っていると、たとえステンレスでも重ねて収納したなべの接触部分にさびが浮くことがあります。さびを防ぐには、よく乾燥させてから伏せた状態でしまうか、フックなどにつり下げる方法がいいでしょう。
 鉄なべは火にかけて乾かし、薄く油を塗ってから収納するとさび止めに効果的です。
(『広報通信』平成十二年八月号)


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消費支出(全世帯)は実質一・三%の増加


―平成十二年四月分家計収支―


総 務 庁


◇全世帯の家計

 前年同月比でみると、全世帯の消費支出は平成十一年九月以降五か月連続の実質減少となった後、十二年二月は実質増加、三月は実質減少となり、四月は実質増加となった。

◇勤労者世帯の家計

 前年同月比でみると、勤労者世帯の実収入は平成十一年七月以降九か月連続の実質減少となった後、十二年四月は同水準となった。
 前年同月比でみると、消費支出は平成十一年八月以降六か月連続の実質減少となった後、十二年二月は実質増加、三月は実質減少となり、四月は実質増加となった。

◇勤労者以外の世帯の家計

 勤労者以外の世帯の消費支出は、一世帯当たり二十八万七千九百九十円。
 前年同月に比べ、名目三・六%の減少、実質二・七%の減少。

◇季節調整値の推移(全世帯・勤労者世帯)

 季節調整値でみると、全世帯の消費支出は前月に比べ実質五・九%の増加。
 勤労者世帯の消費支出は、前月に比べ実質六・七%の増加。












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平成十一年平均


消費者物価地域差指数の概況


総 務 庁


一 地方別の物価水準

 平成十一年平均消費者物価地域差指数(全国平均=一〇〇)を地方別にみると、総合指数(持家の帰属家賃を除く)は、関東が一〇三・二と最も高く、次いで近畿が一〇一・八、北海道が一〇〇・五で、これら三地方が全国平均を上回っている。
 一方、最も低いのは、沖縄の九三・六で、次いで四国が九五・八、中国が九六・五となっている。

二 都市階級別の物価水準

 都市階級別にみると、大都市が一〇五・二、中都市が九九・五、小都市Aが九七・七、小都市Bが九六・五、町村が九六・三となっており、人口規模が大きい階級ほど物価水準が高く、大都市の指数は町村に比べ九・二%高くなっている。

三 都道府県庁所在市別の物価水準

 都道府県庁所在市別にみると、前年に引き続き東京都区部が一一〇・九と最も高く、次いで横浜市が一〇七・九、大阪市が一〇七・一、京都市が一〇五・〇、静岡市が一〇四・七の順に続いている。
 一方、最も低いのは、前年に引き続き宮崎市の九六・三で、東京都区部との格差は一五・二%となっており、次いで那覇市が九六・四、松山市が九六・八、前橋市が九七・八、徳島市が九八・〇の順に続いている。








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月例経済報告(七月報告)


経済企画庁


 概 観

 景気は、厳しい状況をなお脱していないが、緩やかな改善が続いている。各種の政策効果やアジア経済の回復などの影響に加え、企業部門を中心に自律的回復に向けた動きが徐々に強まってきている。
 需要面をみると、個人消費は、収入が下げ止まってきた中で、おおむね横ばいの状態が続いている。住宅建設は、マンションなどは堅調であるが、全体ではおおむね横ばいとなっている。設備投資は、持ち直しの動きが明確になっている。公共投資は、堅調であった前年に比べれば低調な動きとなっている。輸出は、基調としてはアジア向けを中心に緩やかに増加している。
 生産は、緩やかな増加が続いている。
 雇用情勢は、完全失業率が高水準で推移するなど、依然として厳しいものの、残業時間や求人が増加傾向にあるなど改善の動きもみられる。
 企業収益は、大幅に改善している。また、企業の業況判断は、業種や規模によってはなお厳しいが、全体としては改善が進んでいる。
 我が国経済は、これまで公需により下支えされてきたが、政府としては、景気の下支えに万全を期すため、速やかに公共事業等予備費を使用することとした。また、我が国経済を持続可能な自律的回復軌道に乗せることを目指して、日本経済の新生に向け、二十一世紀の新たな発展基盤となる経済社会の構築を図る観点から、日本新生プランの具体化のための新たな経済政策を取りまとめることとしている。

◇    ◇    ◇

 我が国経済
 需要面をみると、個人消費は、収入が下げ止まってきた中で、おおむね横ばいの状態が続いている。住宅建設は、マンションなどは堅調であるが、全体ではおおむね横ばいとなっている。設備投資は、持ち直しの動きが明確になっている。公共投資は、堅調であった前年に比べれば低調な動きとなっている。
 産業面をみると、生産は、緩やかな増加が続いている。企業収益は、大幅に改善している。また、企業の業況判断は、業種や規模によってはなお厳しいが、全体としては改善が進んでいる。企業倒産件数は、このところ増加している。
 雇用情勢は、完全失業率が高水準で推移するなど、依然として厳しいものの、残業時間や求人が増加傾向にあるなど改善の動きもみられる。
 輸出は、基調としてはアジア向けを中心に緩やかに増加している。輸入は、アジアからの輸入を中心に、増加している。国際収支をみると、貿易・サービス収支の黒字は、基調としてはおおむね横ばいとなっている。対米ドル円相場(インターバンク直物中心相場)は、六月は上旬に百五円台まで上昇した後、月末にかけて百四円台から百六円台で推移した。
 物価の動向をみると、国内卸売物価は、おおむね横ばいで推移している。また、消費者物価は、安定している。
 最近の金融情勢をみると、短期金利は、六月は中旬にかけておおむね横ばいで推移した後、下旬は大幅に上昇した。長期金利は、六月は横ばいで推移した。株式相場は、六月は上旬に上昇した後、月央にかけて下落したが、月末にかけて再度上昇した。マネーサプライ(M+CD)は、六月は前年同月比一・九%増となった。また、企業金融のひっ迫感は緩和しているが、民間金融機関の貸出は依然低調である。

 海外経済
 主要国の経済動向をみると、アメリカでは、一部に年初に比べれば減速の兆しがみられるものの、景気は拡大を続けている。実質GDPは、九九年十〜十二月期前期比年率七・三%増の後、二〇〇〇年一〜三月期は同五・五%増となった。個人消費は増加しているが、うち耐久財消費支出は減少している。設備投資は大幅に増加している。住宅投資は増加した。直近の動きをみると、住宅着工件数は減少している。鉱工業生産(総合)は増加している。雇用は拡大している。物価は総じて安定している。財の貿易収支赤字(国際収支ベース)は依然として高水準である。連邦準備制度は、六月二十八日に、フェデラル・ファンド・レートの誘導目標水準と公定歩合の据え置きを決定した(それぞれ六・五〇%、六・〇〇%)。なお、今後の物価及び景気動向に対するリスク見通しはインフレ方向とした。六月の長期金利(十年物国債)は、上旬は低下基調で推移したが、その後上昇し、下旬には再び低下した。月初と月末を比較すると下落した。株価(ダウ平均)は、おおむね下落基調で推移した。月初と月末を比較すると下落した。
 西ヨーロッパをみると、ドイツ、フランスでは、景気は拡大している。イギリスでは、景気拡大のテンポは緩やかになってきている。鉱工業生産は、ドイツでは増加している。フランスでは緩やかに増加している。イギリスでは伸びが緩やかになっている。失業率は、ドイツ、フランスでは高水準ながらも低下している。イギリスでは低水準で推移している。物価は、ドイツでは輸入物価の上昇がみられるものの総じて安定している。フランスでは総じて安定している。イギリスでは安定している。
 東アジアをみると、中国では、景気の拡大テンポはこのところやや高まっている。物価は、消費者物価が上昇に転じた。貿易は、輸出入ともに大幅に増加している。韓国では、景気は拡大している。貿易は、輸出入ともに大幅な増加が続いている。
 国際金融市場の六月の動きをみると、米ドル(実効相場)は、ほぼ横ばいで推移した。
 国際商品市況の六月の動きをみると、CRB商品先物指数は、月半ばまではほぼ横ばいで推移し、下旬にかけてはやや強含んだ。原油スポット価格(北海ブレント)は、月初から二十九ドル前後で推移し、月末には三十ドルを上回って推移した。

1 国内需要
―設備投資は、持ち直しの動きが明確になっている―

 個人消費は、収入が下げ止まってきた中で、おおむね横ばいの状態が続いている。
 家計調査でみると、実質消費支出(全世帯)は前年同月比で四月一・三%増の後、五月(速報値)は一・九%減(季節調整済前月比〇・四%減)となった。世帯別の動きをみると、勤労者世帯で前年同月比一・二%減、勤労者以外の世帯では同二・八%減となった。形態別にみると、財は前年と同水準、サービスは減少となった。なお、消費水準指数は全世帯で前年同月比一・五%減、勤労者世帯では同〇・八%減となった。また、農家世帯(農業経営統計調査)の実質現金消費支出は前年同月比で四月〇・一%増となった。小売売上面からみると、小売業販売額は前年同月比で四月三・七%減の後、五月(速報値)は二・六%減(季節調整済前月比一・二%増)となった。全国百貨店販売額(店舗調整済)は前年同月比で四月一・六%減の後、五月(速報値)三・九%減となった。チェーンストア売上高(店舗調整後)は、前年同月比で四月五・二%減の後、五月六・〇%減となった。一方、耐久消費財の販売をみると、乗用車(軽を含む)新車新規登録・届出台数は、前年同月比で六月(速報値)は六・〇%増となった。また、家電小売金額(日本電気大型店協会)は、前年同月比で五月は八・八%増となった。レジャー面を大手旅行業者十三社取扱金額でみると、五月は前年同月比で国内旅行が〇・二%増、海外旅行は七・三%増となった。
 賃金の動向を毎月勤労統計でみると、現金給与総額は、事業所規模五人以上では前年同月比で四月〇・六%増の後、五月(速報)は〇・七%増(事業所規模三十人以上では同〇・九%増)となり、うち所定外給与は、五月(速報)は同四・六%増(事業所規模三十人以上では同五・八%増)となった。実質賃金は、前年同月比で四月一・五%増の後、五月(速報)は一・六%増(事業所規模三十人以上では同一・八%増)となった。
 住宅建設は、マンションなどは堅調であるが、全体ではおおむね横ばいとなっている。新設住宅着工をみると、総戸数(季節調整値)は、前月比で四月は〇・四%減(前年同月比〇・一%増)となった後、五月は二・三%減(前年同月比一・一%減)の十万一千戸(年率百二十一万戸)となった。五月の着工床面積(季節調整値)は、前月比一・八%減(前年同月比二・九%減)となった。五月の戸数の動きを利用関係別にみると、持家は前月比一・五%減(前年同月比一五・一%減)、貸家は同一・七%減(同五・一%増)、分譲住宅は同一三・五%減(同一九・九%増)となっている。
 設備投資は、持ち直しの動きが明確になっている。
 日本銀行「企業短期経済観測調査」(六月調査)により設備投資の動向をみると、大企業の十二年度設備投資計画は、製造業で前年度比一一・三%増(三月調査比二・一%上方修正)、非製造業で同〇・七%増(同一・八%上方修正)となっており、全産業では同四・六%増(同一・九%上方修正)となった。また、中堅企業では、製造業で前年度比四・六%増(三月調査比四・三%上方修正)、非製造業で同三・〇%減(同一・一%上方修正)となり、中小企業では製造業で同一・七%減(同一三・九%上方修正)、非製造業で同九・四%減(同七・七%上方修正)となっている。
 なお、十二年一〜三月期の設備投資を、大蔵省「法人企業統計季報」(全産業)でみると前年同期比で三・三%増(うち製造業六・一%減、非製造業七・七%増)となった。
 先行指標の動きをみると、当庁「機械受注統計調査」によれば、機械受注(船舶・電力を除く民需)は、季節調整済前月比で四月は一・一%減(前年同月比一三・四%増)の後、五月は四・五%増(同一七・七%増)となり、基調は持ち直しの動きが続いている。
 なお、四〜六月期(見通し)の機械受注(船舶・電力を除く民需)は、季節調整済前期比で一・〇%減(前年同期比一五・二%増)と見込まれている。
 民間からの建設工事受注額(五十社、非住宅)をみると、一進一退で推移しており、四月は季節調整済前月比三七・六%減の後、五月は季節調整済前月比一一・〇%増(前年同月比〇・八%増)となった。内訳をみると、製造業は季節調整済前月比二五・四%増(前年同月比一一四・六%増)、非製造業は同二・〇%減(同二〇・五%減)となった。
 公的需要関連指標をみると、公共投資は、堅調であった前年に比べれば低調な動きとなっている。
 公共工事着工総工事費(公共工事着工統計調査)は、前年同月比で三月は三・六%減となったが、公共機関からの建設工事受注額(建設工事受注動態統計調査)は、前年の公共工事着工統計調査と比較して、四月は三八・五%減(参考値)となった。同じく大手五十社の受注額は、前年同月比で四月は三九・三%減の後、五月は一二・三%増となった。また、公共工事請負金額(公共工事前払金保証統計)は、前年同月比で四月は二八・五%減の後、五月は八・六%増となった。

2 生産雇用
―雇用情勢は、完全失業率が高水準で推移するなど、依然として厳しいものの、残業時間や求人が増加傾向にあるなど改善の動きもみられる―

 鉱工業生産・出荷・在庫の動きをみると、生産・出荷は、緩やかな増加が続いている。在庫は、五月は減少した。
 鉱工業生産(季節調整値)は、前月比で四月〇・六%減の後、五月(速報)は、輸送機械、一般機械等が減少したものの、電気機械、鉄鋼等が増加したことから、〇・二%増となった。また製造工業生産予測指数(季節調整値)は、前月比で六月は一般機械、化学等により一・四%増の後、七月は鉄鋼、電気機械等により、〇・四%増となっている。鉱工業出荷(季節調整値)は、前月比で四月〇・六%減の後、五月(速報)は、非耐久消費財、建設財が増加したことから、〇・五%増となった。鉱工業生産者製品在庫(季節調整値)は、前月比で四月〇・四%増の後、五月(速報)は、鉄鋼、化学等が増加したものの、窯業・土石製品、電気機械等が減少したことから、〇・三%減となった。また、五月(速報)の鉱工業生産者製品在庫率指数(季節調整値)は一〇〇・九と前月を〇・六ポイント下回った。
 主な業種について最近の動きをみると、電気機械では、生産は五月は増加し、在庫は五月は減少した。輸送機械では、生産は五月は減少し、在庫は五月は横ばいであった。鉄鋼では、生産は三か月連続で増加し、在庫も三か月連続で増加した。
 第三次産業の動向を通商産業省「第三次産業活動指数」(四月調査、季節調整値)でみると、前月比で三月一・八%増の後、四月(速報)は、運輸・通信業、不動産業等が減少した結果、〇・七%減となった。
 雇用情勢は、完全失業率が高水準で推移するなど、依然として厳しいものの、残業時間や求人が増加傾向にあるなど改善の動きもみられる。
 労働力需給をみると、有効求人倍率(季節調整値)は、四月〇・五六倍の後、五月〇・五六倍となった。新規求人倍率(季節調整値)は、四月一・〇二倍の後、五月〇・九七倍となった。総務庁「労働力調査」による雇用者数は、四月は前年同月比〇・四%減(前年同月差二十三万人減)の後、五月は同〇・六%増(同三十二万人増)となった。常用雇用(事業所規模五人以上)は、四月前年同月比〇・四%減(季節調整済前月比〇・四%減)の後、五月(速報)は同〇・二%減(同〇・一%増)となり(事業所規模三十人以上では前年同月比一・三%減)、産業別には製造業では同一・七%減となった。五月の完全失業者数(季節調整値)は、前月差十九万人減の三百八万人、完全失業率(同)は、四月四・八%の後、五月四・六%となった。所定外労働時間(製造業)は、事業所規模五人以上では四月前年同月比一四・七%増(季節調整済前月比一・三%減)の後、五月(速報)は同一二・四%増(同〇・七%増)となっている(事業所規模三十人以上では前年同月比一四・四%増)。
 前記「全国企業短期経済観測調査」(六月調査)によると、企業の雇用人員判断は、過剰感が製造業では低下する一方、非製造業では上昇しており、全体としては依然高い水準にある。
 企業の動向をみると、企業収益は、大幅に改善している。また、企業の業況判断は、業種や規模によってはなお厳しいが、全体としては改善が進んでいる。
 前記「企業短期経済観測調査」(六月調査)によると、大企業(全産業)では、経常利益は十二年度上期には前年同期比九・〇%の増益の後、年度下期には同一二・七%の増益が見込まれている。産業別にみると、製造業では十二年度上期に前年同期比一〇・九%の増益の後、十二年度下期には同二八・七%の増益が見込まれている。また、非製造業では十二年度上期に前年同期比七・四%の増益の後、十二年度下期には同一・二%の減益が見込まれている。売上高経常利益率は、製造業では十二年度上期に三・五二%になった後、十二年度下期は四・九五%と見込まれている。また、非製造業では十二年度上期に二・五四%となった後、十二年度下期は二・六四%と見込まれている。こうしたなかで、企業の業況判断をみると、製造業は「良い」超に転化し、非製造業は「悪い」超幅が縮小した。
 また、中小企業の動向を同調査でみると、製造業では、経常利益は十二年度上期には前年同期比四六・七%の増益の後、十二年度下期には同一五・一%の増益が見込まれている。また、非製造業では、十二年度上期に前年同期比八・五%の増益の後、十二年度下期には同一・九%の増益が見込まれている。こうしたなかで、企業の業況判断をみると、製造業、非製造業ともに「悪い」超幅が縮小した。
 企業倒産の状況をみると、このところ増加している。
 銀行取引停止処分者件数は、五月は九百七十三件で前年同月比五・九%増となった。件数の業種別構成比を見ると、建設業(三三・七%)が最大のウエイトを占め、次いで製造業(二一・三%)、小売業(一五・二%)の順となった。

3 国際収支
―輸出は、基調としてはアジア向けを中心に緩やかに増加―

 輸出は、基調としてはアジア向けを中心に緩やかに増加している。
 通関輸出(数量ベース、季節調整値)は、前月比で四月二・四%減の後、五月は二・〇%減(前年同月比一三・一%増)となった。最近数か月の動きを品目別(金額ベース)にみると、電気機器、一般機械等が増加した。同じく地域別にみると、アジア、アメリカ等が増加した。
 輸入は、アジアからの輸入を中心に、増加している。
 通関輸入(数量ベース、季節調整値)は、前月比で四月七・〇%減の後、五月は一一・二%増(前年同月比一九・七%増)となった。最近数か月の動きを品目別(金額ベース)にみると、鉱物性燃料、機械機器等が増加した。同じく地域別にみると、アジア、中東等が増加した。
 通関収支差(季節調整値)は、四月に一兆一千三百五十三億円の黒字の後、五月は七千五百八億円の黒字となった。
 国際収支をみると、貿易・サービス収支の黒字は、基調としてはおおむね横ばいとなっている。
 五月の貿易・サービス収支(季節調整値)は、前月に比べ、サービス収支の赤字幅が縮小したものの、貿易収支の黒字幅が縮小したため、その黒字幅は縮小し、五千七百二十二億円となった。また、経常収支(季節調整値)は、所得収支の黒字幅が拡大し、経常移転収支の赤字幅が縮小したものの、貿易・サービス収支の黒字幅が縮小したため、その黒字幅は縮小し、一兆一千百六十二億円となった。投資収支(原数値)は、一兆八千六百六十億円の赤字となり、資本収支(原数値)は、一兆八千八百九十億円の赤字となった。
 六月末の外貨準備高は、前月比三十七億ドル増加して三千四百四十八億ドルとなった。
 外国為替市場における対米ドル円相場(インターバンク直物中心相場)は、六月は上旬に百五円台まで上昇した後、月末にかけて百四円台から百六円台で推移した。一方、対ユーロ円相場(インターバンク十七時時点)は、六月は中旬にかけて百円台から百二円台で推移し、下旬は九十七円台まで上昇した後、再度百円台まで下落した。

4 物価
―国内卸売物価は、おおむね横ばいで推移―

 国内卸売物価は、おおむね横ばいで推移している。
 六月の国内卸売物価は、石油・石炭製品(燃料油)等が上昇したものの、電気機器(電子計算機本体)等が下落したことから、前月比保合い(前年同月比〇・三%の上昇)となった。また、前記「全国企業短期経済観測調査」(大企業、六月調査)によると、製商品需給バランスは、引き続き改善がみられる。輸出物価は、契約通貨ベースで上昇したものの、円高から円ベースでは前月比一・〇%の下落(前年同月比七・八%の下落)となった。輸入物価は、契約通貨ベースで上昇したものの、円高から円ベースでは前月比〇・六%の下落(前年同月比〇・二%の上昇)となった。この結果、総合卸売物価は、前月比〇・一%の下落(前年同月比〇・六%の下落)となった。
 企業向けサービス価格は、五月は前年同月比〇・五%の下落(前月比〇・二%の下落)となった。
 商品市況(月末対比)は木材等は下落したものの、繊維等の上昇により六月は上昇した。六月の動きを品目別にみると、米つが正角等は下落したものの、生糸等が上昇した。
 消費者物価は、安定している。
 全国の生鮮食品を除く総合は、前年同月比で四月〇・四%の下落の後、五月は個人サービスが保合いから上昇に転じたこと等により〇・二%の下落(前月比〇・三%の上昇、季節調整済前月比〇・一%の上昇)となった。なお、総合は、前年同月比で四月〇・八%の下落の後、五月は〇・七%の下落(前月比〇・一%の上昇、季節調整済前月比〇・二%の下落)となった。
 東京都区部の動きでみると、生鮮食品を除く総合は、前年同月比で五月〇・四%の下落の後、六月(中旬速報値)は、家賃の下落幅の拡大等により〇・九%の下落(前月比〇・五%の下落、季節調整済前月比〇・四%の下落)となった。なお、総合は、前年同月比で五月〇・九%の下落の後、六月(中旬速報値)は一・二%の下落(前月比〇・五%の下落、季節調整済前月比〇・二%の下落)となった。

5 金融財政
―短期金利は、中旬にかけておおむね横ばいで推移した後、下旬は大幅に上昇―

 最近の金融情勢をみると、短期金利は、六月は中旬にかけておおむね横ばいで推移した後、下旬は大幅に上昇した。長期金利は、六月は横ばいで推移した。株式相場は、六月は上旬に上昇した後、月央にかけて下落したが、月末にかけて再度上昇した。M+CDは、六月は前年同月比一・九%増となった。
 短期金融市場をみると、オーバーナイトレートは、六月は横ばいで推移した。二、三か月物は、六月は中旬にかけておおむね横ばいで推移した後、下旬は大幅に上昇した。
 公社債市場をみると、国債利回りは、六月は横ばいで推移した。
 国内銀行の貸出約定平均金利(新規実行分)は、五月は前月比で短期は〇・〇五六%ポイント上昇し、長期は〇・一九九%ポイント低下したことから、総合では〇・〇一〇%ポイント低下し一・七三八%となった。
 マネーサプライをみると、M+CD(月中平均残高)は、六月(速報)は前年同月比一・九%増となった。また、広義流動性は、六月(速報)は同二・九%増となった。
 企業金融の動向をみると、金融機関(全国銀行)の貸出(月中平均残高)は、六月(速報)は前年同月比四・六%減(貸出債権流動化・償却要因等調整後二・一%減)となった。六月のエクイティ市場での発行(国内市場発行分)は、転換社債がゼロとなった。また、国内公募事業債の起債実績は八千二十億円(うち銀行起債分五百億円)となった。
 前記「全国企業短期経済観測調査」(全国企業、六月調査)によると、資金繰り判断は「苦しい」超が続いているものの、引き続き改善の動きがみられる。金融機関の貸出態度は、引き続き改善の動きがみられ、「緩い」超に転じている。
 以上のように、企業金融のひっ迫感は緩和しているが、民間金融機関の貸出は依然低調である。
 株式市場をみると、東証株価指数(TOPIX)は、六月は上旬に上昇した後、月央にかけて下落したが、月末にかけて再度上昇した。日経平均株価も同様の動きとなった。

6 海外経済
―原油価格、高値で推移―

 主要国の経済動向をみると、アメリカでは、一部に年初に比べれば減速の兆しがみられるものの、景気は拡大を続けている。実質GDPは、九九年十〜十二月期前期比年率七・三%増の後、二〇〇〇年一〜三月期は同五・五%増となった。個人消費は増加しているが、うち耐久財消費支出は減少している。設備投資は大幅に増加している。住宅投資は増加した。直近の動きをみると、住宅着工件数は減少している。鉱工業生産(総合)は増加している。雇用は拡大している。雇用者数(非農業事業所)は五月前月差一七・一万人増の後、六月は同一・一万人増と拡大している。失業率は六月四・〇%となった。物価は総じて安定している。五月の消費者物価は前年同月比三・一%の上昇、五月の生産者物価(完成財総合)は同三・九%の上昇となった。財の貿易収支赤字(国際収支ベース)は依然として高水準である。連邦準備制度は、六月二十八日に、フェデラル・ファンド・レートの誘導目標水準と公定歩合の据え置きを決定した(それぞれ六・五〇%、六・〇〇%)。なお、今後の物価及び景気動向に対するリスク見通しはインフレ方向とした。六月の長期金利(十年物国債)は、上旬は低下基調で推移したが、その後上昇し、下旬には再び低下した。月初と月末を比較すると下落した。株価(ダウ平均)は、おおむね下落基調で推移した。月初と月末を比較すると下落した。
 西ヨーロッパをみると、ドイツ、フランスでは、景気は拡大している。イギリスでは、景気拡大のテンポは緩やかになってきている。一〜三月期の実質GDPは、ドイツ前期比年率二・七%増、フランス同二・九%増、イギリスは同二・〇%増となった。鉱工業生産は、ドイツでは増加している。フランスでは緩やかに増加している。イギリスでは伸びが緩やかになっている(鉱工業生産は、ドイツ五月前月比二・二%増、フランス四月同〇・二%減、イギリス五月同〇・一%増)。失業率は、ドイツ、フランスでは高水準ながらも低下している。イギリスでは低水準で推移している(失業率は、ドイツ六月九・六%、フランス五月九・八%、イギリス五月三・九%)。物価は、ドイツでは輸入物価の上昇がみられるものの総じて安定している。フランスでは総じて安定している。イギリスでは安定している(消費者物価上昇率は、ドイツ六月前年同月比一・九%、フランス五月同一・五%、イギリス五月同三・一%)。
 東アジアをみると、中国では、景気の拡大テンポはこのところやや高まっている。物価は、消費者物価が上昇に転じた。貿易は、輸出入ともに大幅に増加している。韓国では、景気は拡大している。貿易は、輸出入ともに大幅な増加が続いている。
 国際金融市場の六月の動きをみると、米ドル(実効相場)は、ほぼ横ばいで推移した。モルガン銀行発表の米ドル名目実効相場指数(一九九〇年=一〇〇)をみると、六月三十日現在一一〇・四、五月末比一・六%の減価となっている。内訳をみると、六月三十日現在、対円では五月末比一・七%減価、対ユーロでは同一・八%減価した。
 国際商品市況の六月の動きをみると、CRB商品先物指数は、月半ばまではほぼ横ばいで推移し、下旬にかけてはやや強含んだ。原油スポット価格(北海ブレント)は、月初から二十九ドル前後で推移し、月末には三十ドルを上回って推移した。


 自主的な点検・整備を忘れずに


 〈ディーゼル車の排出ガス対策〉

 ディーゼル車の排出ガスは、大気汚染防止法に基づく「自動車排出ガスの量の許容限度」や、道路運送車両法に基づく「道路運送車両の保安基準」により、規制されています。近年、公害訴訟の判決でもディーゼル排出ガスをめぐる見方は厳しくなってきています。ディーゼル車による排出ガス低減のため、ユーザーは自主的な点検や整備を忘れずに行うことが大切です。
 ●ディーゼル車はガソリンスタンドで、軽油以外の燃料を給油するのはやめましょう。
 ●荷物の積みすぎは、黒煙を大幅に増やします。積載重量は必ず守ってください。
 ●エアクリーナを定期的に点検・清掃・交換し、エレメントのつぶれなどもチェックしましょう。
 ●燃料噴射ポンプは、絶対にいじらないでください。
 ●燃料フィルタは、走行距離に応じた定期交換を行ってください。
 そのほか、車に負担がかかる急発進・急加速などの走行は、とても不経済です。また、環境にも悪影響を与えます。できるだけ等速運転を心がけましょう。
(『広報通信』平成十二年八月号)



    <9月6日号の主な予定>

 ▽平成十二年度 農業観測………農林水産省 




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