▽家計収支(五月分)…………………総 務 庁
交通安全白書のあらまし
<第1編> 陸上交通
<第1部> 道路交通
<第1章> 道路交通事故の動向
道路交通事故の長期的推移
道路交通事故死者数は、昭和四十五年に史上最悪の一万六千七百六十五人を記録した。このため、同年に交通安全対策基本法が制定され、同法に基づき四十六年度以降、交通安全基本計画を五年ごとに策定し、交通安全対策を総合的・計画的に推進してきた。
交通事故死者数は、四十六年以降、着実に減少を続け、五十四年には八千四百六十六人にまで減少した。しかし、その後増勢に転じ、五十七年以降、九千人台を続けた後、六十三年から八年連続して一万人を超えていたが、平成七年を境に再び減少傾向となり、八年には一万人を下回った。
平成十一年中の道路交通事故の状況
1 概 況
平成十一年の交通事故の発生件数は八十五万三百六十三件で、これによる死者数は九千六人、負傷者数は百五万三百九十七人であった。
死者数は四年連続して一万人を下回ったものの、事故発生件数は七年連続して最悪の記録を更新し、また、負傷者数は初めて百万人を超え、二年連続して最悪の記録を更新した(第1図参照)。
2 年齢層別交通事故死者数及び負傷者数
死者数は、七年連続で六十五歳以上の高齢者が最も多く(三千百四十三人、三四・九%)、次に十六〜二十四歳の若者となっており(一千五百七十八人、一七・五%)、この二つの年齢層で全交通事故死者数の五二・四%を占めている(第2図参照)。
負傷者数は、十六〜二十四歳の若者(二十四万六千二百九十二人)が最も多く、全負傷者数の二三・四%を占めている。また、前年と比較してすべての年齢層で増加している。
3 状態別交通事故死者数及び負傷者数
死者数は、自動車乗車中が三千八百七十二人と最も多く、全死者数の四三・〇%を占めている(第3図参照)。
負傷者数は、自動車乗車中が六十四万三千五百九十人と最も多く、全負傷者数の六一・三%を占めている。また、負傷者数は、前年と比較してすべての状態で増加している。
4 シートベルト着用の有無別死者数
自動車乗車中の死傷者について、シートベルト着用者率(死傷者数中のシートベルトを着用している者の割合)をみると、平成五年以降上昇しており、十一年では八一・八%となっている。
着用者の致死率(死傷者数に占める死者数の割合)は、非着用者の致死率の約八分の一程度である(第4図参照)。
<第2章> 「交通事故における弱者及び被害者」の視点に立った交通安全対策と今後の方向
我が国の自動車保有台数は、平成十一年三月末で七千三百六十八万八千台(自家用乗用車保有台数でみると、一世帯当たり一・〇六台になる。)に達し、また、運転免許保有者数は、十一年十二月末で七千三百七十九万三千人(十六歳以上の人口の約六九%)に達していることにみられるように、自動車交通社会の便益は、自動車を運転する者のみならず社会全体で享受していると言える。
このような中で、昭和五十年代半ばから我が国の交通事故の件数及び死傷者数は、自動車保有台数や運転免許保有者数の伸びにほぼ比例して増加してきており、今後とも現状のまま推移するものとすると、毎年、約四十七世帯に一人が交通事故により人身傷害を受けることとなり、国民誰しもが交通事故に巻き込まれる可能性を秘めている状況にある。
このように、現代の自動車交通社会においては、誰もが一生を通じれば、交通事故の当事者になってしまう危険と背中合わせであると言ってもよく、したがって、「交通事故における弱者及び被害者」の視点に立った対策は、万人のためのものと言える。換言すれば、交通事故の問題を考える場合には、自己責任により他人を傷つけることなく、また、自らを守ることを原則としつつも、社会として自動車交通の便益を享受している以上、自動車交通社会の便益の裏返しとしての社会的費用である交通事故の被害を最小化するとともに、その負担を個人の苦しみとしては可能な限り軽減するため、社会全体がバランスよく負担していく方向で、関連する施策を強化していくことが必要である。
「交通事故における弱者」に着目した交通事故の発生状況の特徴
1 当事者の属性に着目した分析
(1) 高齢者の交通事故の特徴
六十五歳以上の高齢者の交通事故が死者数全体に占める割合は年々増加している。また、人口十万人当たりでは、全年齢層の値を上回っており、特に、後期高齢者(七十五歳以上)では、全年齢層の二・七倍に及んでいる(第5図参照)。
(2) 幼児・子供の交通事故の特徴
幼児・子供の死者数については、〇〜五歳及び六〜十二歳の年齢層では歩行中が最も多い(それぞれ五八・一%、四九・一%)。また、死傷者数では、特に〇〜五歳の年齢層が自動車同乗中に死傷している場合が多い(五三・七%)。(なお、〇〜五歳の年齢層の同乗中の死傷者の八〇・八%はチャイルドシート非着用であった。)(第6図参照)。
(3) 障害者の交通事故の特徴
交通統計上、障害者として把握できる車いす利用者(歩行者扱い)の死傷者数は、多少の変動はあるものの増加傾向にあり、十一年には二百三十三人となっている(第7図参照)。
2 当事者の状態別に着目した分析
(1) 歩行者事故の特徴
歩行中の死者(二千五百七十一人)の七三%、死傷者(八万三千三百七十九人)の六三%は横断中の事故によるものであり、歩行中の死者の一九%、死傷者の二五%は横断歩道横断中の事故によるものである。(なお、歩行者側の違反である信号無視をしていたものは横断歩道横断中の死者のうち三一%、死傷者のうち一〇%である。)。
(2) 自転車事故の特徴
自転車乗用中の死傷者数(十五万七千百十人)は、いずれの年齢層でも増加傾向にあるが、死者数については高齢者のみがやや増加傾向にある。事故の相手方は、九割以上が自動車であるが、相手が歩行者であった事故は、平成七年から十一年の五年間で三千二百四十件あり、歩行者が死亡又は重傷に至ったものは約二割である。
(3) 自動二輪車及び原動機付自転車の事故の特徴
十六〜二十四歳の自動二輪車乗車中の事故は、死傷者数及び死者数とも、大きく減少しているのに対し、二十五〜六十四歳の死傷者数は増加傾向にある。
また、死傷した運転者を違反類型別にみると、原動機付自転車乗車中では約三〇%、自動二輪車乗車中では約二五%が違反なしとなっており、自動車乗車中に死傷した運転者(約六九%が違反なし)と比べると低い割合である。
(4) 重量の異なる自動車相互の事故の特徴
自動車相互事故において死傷した一方の当事者に着目し被害状況をみると、その乗車していた車種の違いよりも相手方の乗車していた車種の違いにより大きな差が生じ、事故の相手方当事者が大型の自動車であるほど被害が大きくなっている。(なお、その当事者の乗車していた車種別でみると、普通乗用車に乗車していた場合の死亡重傷率が最も低い。)(第8図参照)。
「交通事故の被害者」に着目した交通事故の状況
1 交通事故相談及び訴訟の状況
平成十一年に裁判所で受理した交通訴訟事件数及び交通調停事件数は、それぞれ七千九百四十五件と四千七百三件である。
交通事故に関する相談は、全国の警察、地方公共団体の交通事故相談所、(財)日弁連交通事故相談センター等で行われており、平成十年(度)に、それぞれ十八万二千八百四十三件、十三万七千九百九十九件、二万八千四百三十一件となっている。
2 交通事故の被害者の意識
交通事故被害実態調査研究委員会(学識経験者、警察庁等により構成)が交通事故被害者とその遺族に対し、被害の実態について行ったアンケート調査結果(平成十一年六月)によると、@精神的苦痛、A事故後の生活の変化、B身体的後遺症、C損害賠償交渉の長期化などに悩んでいることが明らかになった。
3 交通事故による後遺障害者の発生状況
交通事故により身体障害者(児)となった者は、厚生省の「身体障害者・身体障害児実態調査」(平成八年)に基づき推計すると、約十三万人おり、その中で重い障害を有する者は三万三千人いる。
また、自動車損害賠償責任保険の重度後遺障害に係る支払い件数が、最近十年間で二倍(平成元年度九百七十三件、十年度一千九百四十四件)に増加し、深刻な問題となっている。
4 交通事故による第二以下の当事者に着目した事故の状況
@ 交通事故の死傷者数の推移をみると、第一当事者はほぼ横ばいであるのに対し、第二以下の当事者は、男性、女性とも増加しており、平成二年と比較して、それぞれ一・三倍、一・五倍となっている(第9図参照)。
(注) 「第一当事者」とは、交通事故の当事者のうち、過失が最も重い者又は過失が同程度の場合は、被害が最も軽い者。「第二以下の当事者」とは、第一当事者以外の当事者。
A 交通事故による死傷者数の八七・三%(九十二万五千七百人)は第二以下の当事者であり、第一当事者の約七倍である。また、事故時に違反がなく死傷した第二以下の当事者(いわゆる「もらい事故」による死傷者)は、全死傷者数の六〇・六%を占めている(第10図参照)。
さらに、交通事故による死者数の五五・一%(四千九百六十七人)は第二以下の当事者である。また、いわゆる「もらい事故」により死亡した第二以下の当事者は、全死者数の二六・〇%を占めている(第11図参照)。
B 第二以下の当事者は、歩行中の事故により死亡している者が最も多く、全体の四五%を占めている。一方、第一当事者では自動車乗車中が六二%を占めている。
C 第二当事者の致死率(〇・五%)は、第一当事者と比較してかなり低く、過失が小さい者の方が、致死率が低いことがわかる(第12図参照)。
「交通事故における弱者及び被害者」の視点に立った交通安全対策と今後の方向
1 「交通事故における弱者」に関する対策の推進
@ 幅の広い歩道等、歩行者の安全を確保するための歩行空間の整備、コミュニティ・ゾーンの形成、高齢者等感応信号機、道路照明灯等の交通安全施設の整備、スクールゾーン、シルバーゾーン等の生活ゾーン規制の実施、歩行者の安全な通行を確保するためのシステムの構築、交通安全総点検等の実施など、「交通事故における弱者」に対して優しい道路交通環境の整備を図っている。
A 幼児、児童に対して交通安全教育を行うとともに、高齢者等に対して、参加・体験・実践型の交通安全教育などを推進している。
B 自転車が利用しやすい道路交通環境を整備するとともに、自転車の悪質違反者の取締り、学校における自転車安全教室の実施、放置自転車の撤去・処分等の自転車利用者対策が進められてきている。
C 交通安全教室、交通安全運動等の機会に、シートベルトの正しい装着方法について指導している。
また、全国交通安全運動等の機会に、全国的なチャイルドシートの普及促進キャンペーンを展開している(平成十二年四月一日から、六歳未満の幼児についてチャイルドシートの着用が義務化されている。)。
D 歩行者等を保護するための車両の開発の促進、大型車対小型車事故における被害軽減を目指した車両の開発促進、チャイルドシート等乗員保護装置の開発促進など「交通事故における弱者」を保護するための車両関連対策を推進している。
E 公共交通システムの拡充、市街地の駅、病院、福祉施設等の周辺における幅の広い歩道等の設置、既設歩道の段差・傾斜・勾配の改善等の推進など、自動車を運転しない人及び高齢者等の安全なモビリティの確保を図っている。
2 「交通事故における被害者」に対する救済対策の推進
@ 応急手当の普及、一一九番通報受信時における口頭指導、救急医療施設等の整備、緊急通報システムの構築など、救助・救急体制の整備を推進している。
A 交通事故被害者保護の条件等の見直しに係る自動車損害賠償保障制度の改正や制度運用の改善、交通事故相談の充実、重度後遺障害者に対する援助措置、交通遺児への援助措置、交通事故事件捜査における被害者対策など、「交通事故における被害者」に対する各種援助措置を講じている。
<第3章> 道路交通に対する主な安全施策
1 交通安全施設等の重点的整備
平成十一年度は、交通安全施設等整備事業七箇年計画の第四年度として、次のような事業を実施した。
@ 幅の広い歩道等の整備、住居系地区等において、コミュニティ・ゾーンの形成を図るほか、信号機の歩行者感応化等の高性能化、道路照明灯、道路標識等を整備した。
A 通学路における事故防止のために、歩道等の整備を始め、信号機、立体横断施設、道路標識等を整備した。
B 幹線道路における事故多発地点について、事故の要因を分析し、これに応じた交差点の改良、道路照明・信号機の設置、交通規制の見直し等の事故削減策を実施した。
C 車両の事故防止のために、信号機の高度化改良、交差点等の改良や付加車線等を整備するとともに、夜間の事故防止のために、道路照明灯、高速走行抑止システム等を整備した。
D 新交通管理システム(UTMS)としての中央装置や交通情報提供装置を整備するなど、交通管制システム機能を充実・高度化した。
2 高度情報通信技術等を活用した道路交通システムの整備
平成八年に関係五省庁が策定した「高度道路交通システム(ITS)推進に関する全体構想」に基づいて、研究開発、実証実験、インフラの整備等が進められている。
3 交通需要マネジメント施策等の推進
輸送効率の向上や交通量の時間的・空間的平準化を図る「交通需要マネジメント(TDM)施策」を総合的に推進した。
また、交通容量拡大策、TDM施策、マルチモーダル施策を組み合わせて実施する都市圏交通円滑化総合計画について、新たに策定・実施するための取組を支援した。
さらに、バスの利用促進を図るための施策を関係省庁が連携して総合的に実施するオムニバスタウン構想を推進している。
4 安全な道路交通環境整備の推進体制の拡充
安全な道路交通環境の整備に関して、道路整備と交通規制の効果的で一体的な推進が図られるよう、関係施策の企画、進行管理・評価等に係る協議を行うための「道路交通環境安全推進会議」を設置した。
5 チャイルドシートの着用の徹底
全国交通安全運動において、チャイルドシートの着用推進を重点目標とするとともに、関係機関・団体が連携して、チャイルドシート着用講習会を開催したり、レンタル・リサイクルの充実のための支援等を行うことにより、チャイルドシートの普及促進を図った。
6 自動車運転中の携帯電話使用禁止に関する広報啓発
平成十一年十一月一日から携帯電話等の走行中の使用が禁止されたことについて、広報啓発活動を行うとともに、運転免許の更新時講習等の機会に、携帯電話等の走行中における使用の危険性と事故防止を指導した。
7 交通安全総点検の実施
地域の人々や道路利用者の主体的な参加のもと、「交通安全総点検」を全国一千三百四十七地区で実施し、その結果を歩道の補修、信号機の設置等に反映した。
8 自動車アセスメント情報の提供
自動車の衝突安全性能等の比較試験の結果を公表する自動車アセスメント事業において、従来から実施している前面衝突試験に側面衝突試験を、また、試験車種として軽自動車等を追加するとともに、エアバッグ、チャイルドシート等の安全装置の正しい使い方に関する情報を提供した。
9 車両の安全対策の推進体制の拡充
平成十一年九月に、車両の安全対策の方針、具体的な内容、対策の事前・事後評価、対策の長期計画等を検討することを目的とした「車両安全対策総合検討会」を設置した。
10 救助・救急体制の整備
救命率等の向上を図るため、試行的に、二か所の救命救急センターにドクターヘリ(医師が同乗するヘリコプター)を配備した。
<第2部> 鉄軌道交通
<第1章> 鉄軌道交通事故の動向
踏切事故防止対策の推進、各種の運転保安設備の整備の充実、制御装置の改善、乗務員等の資質の向上など、総合的な安全対策を実施してきた結果、運転事故は,長期にわたり減少傾向が続いており、平成十一年の運転事故件数は九百四件、運転事故による死傷者六百八十九人(うち死亡者三百三十八人)であった(第13図参照)。
運転事故の種類別の発生件数は、踏切障害(五一・〇%)、人身障害(三七・八%)、道路障害(八・三%)と続いている。
<第2章> トンネルコンクリート剥落事故及び首都圏における運転阻害事故への対応
1 トンネルコンクリート剥落事故への対応
平成十一年に多発した鉄道トンネルにおけるコンクリート剥落事故について、事故の原因究明や今後のトンネルの保守管理の在り方の検討などを進めた。また、JR西日本からの安全総点検の結果報告を受けて、「運輸安全戦略会議」を開催し、JR西日本の判断を確認したほか、全国の鉄道事業者に対し、鉄道トンネルの総点検(初回全般検査)の早急な実施を求めること等を指導した。
2 首都圏における運転阻害事故への対応
昨年、首都圏を中心に発生した運行管理システムのトラブルや落雷による長時間停電等の種々の運転阻害事故に対して、運輸省は鉄道事業者に警告書を発出し、運行管理システムの故障検知の強化や、停電時などの異常時対応の迅速化に係る教育訓練等の対策を指導した。
<第3章> 鉄軌道交通に対する主な安全施策
1 踏切事故防止対策
第六次踏切事故防止総合対策に基づき、踏切道の立体交差化、構造改良及び保安設備等の整備を促進している。また、踏切道の統廃合についても併せて実施している。
2 その他の交通安全対策
(1) 線路施設、信号保安設備等の整備
線路施設、信号保安設備等の整備を促進するとともに、乗務員の教育訓練の充実、基本動作の徹底、厳正な服務、確実な運転取扱い、適正な運行管理の徹底、自動列車停止装置(ATS)及び列車集中制御装置(CTC)の設置・改良等に関して所要の指導を行っている。
(2) 鉄道構造物の耐震性の強化
既存の鉄道構造物の耐震補強を、新幹線や輸送量の多い線区の高架橋・橋台及び開削トンネルの中柱及び橋梁について実施し、十年度末までに高架橋等で新幹線はすべて、在来線では約七割が完了した。
<第2編> 海上交通
<第1章> 海難の動向
@ 救助を必要とする海難に遭遇した船舶(要救助船舶)の隻数は、長期的には減少傾向にあったが、平成十一年は前年に比べ百九十四隻増(一一%)の一千九百二十隻となった。
A 近年の海洋レジャー活動の活発化に伴い、プレジャーボート等の海難の全要救助船舶隻数に占める割合が高くなってきており、平成九年には漁船を上回り、十一年は、前年に比べ七十隻増の八百六隻で過去最高となった。
B 要救助船舶の乗船者(七千百四十人)のうち死亡・行方不明者数は、近年二百人前後で推移してきていたが、平成十一年は百四十六人と過去最低となった(第14図参照)。
<第2章> 漁船「新生丸」海難事故を踏まえた海難救助体制の強化
1 漁船「新生丸」海難事故を教訓とした救難活動に関する改善策
@ 遭難警報等受信時における情報の確認、巡視船艇・航空機の発動及び解除の手順の明確化、救難活動の適正化を図った。
A GMDSS(海上における遭難及び安全に関する衛星通信技術等を用いる世界的システム)機器に対応した巡視船艇・航空機による捜索手法を救難マニュアルへ追加するなど、捜索能力の向上を図った。
また、巡視船艇・航空機への赤外線監視装置の整備など、夜間・悪天候下における捜索能力の向上を図るとともに、漂流予測精度の向上を図っている。
B 海上保安庁、漁業無線局及び漁船との間の情報伝達の迅速化を図る方法を確立し、漁船海難における通信の確保を図った。
2 漁船「新生丸」海難事故を契機とした救難活動の充実強化を図るための方策
@ 情報の集約・管理機能及び救助調整機能の強化を図るため、「統合運用司令管理システム」を導入し、より迅速な初動体制を確保するほか、職員の訓練・研修の充実強化を図っている。
A 関係省庁等が協力・連携して、遭難警報等の確実な発射の確保及び誤発射減少方策として、衛星EPIRB(ブイ方式の衛星非常用位置指示無線標識)の正しい使用方法の周知・指導などの措置を講ずることとした。
<第3章> 海上交通に対する主な安全施策
@ 海上交通環境に適応した航路標識の整備を実施している。
A 船舶交通のふくそうする海域においては、特別な交通ルールを定めるとともに、海上交通情報機構等の整備・運用を行っている。
B 運航監理官による乗船検査、事務所調査、運航管理者研修を実施することにより、運航管理の一層の適正化を図った。
C バルクキャリアの損傷時復元性及び構造強度に関する要件の強化等を内容とする海上人命安全条約(SOLAS条約)の改正に伴い、国内関連規則の整備を行った。
D 船舶の安全及び海洋汚染防止のため、「船舶の総合的安全評価」を実施することとし、評価手法の確立、データベースの構築等、運用体制の整備を行っている。
E 平成九年のロシア船籍タンカー「ナホトカ号」事故を踏まえ、我が国は国際海事機関(IMO)に対し、国際的な外国船舶の監督及び船体構造に関する船舶の登録国(旗国)による検査の強化等を提案し、IMOにおいて順次採択されてきている。
F タンカーの事故による油濁損害は損害額が巨額に上ることから、油濁損害賠償保障法及び関係条約に基づいて、油濁損害の被害者に対する適正な保障を確保している。
<第3編> 航空交通
<第1章> 航空交通事故の動向
我が国における民間航空機の事故の発生件数は、航空輸送が急速に拡大したにもかかわらず、ここ数年多少の変動はあるものの、ほぼ横ばいの傾向を示しており、平成十一年の事故件数は二十八件であった(第1表参照)。
<第2章> 今後の航空安全の推進
@ 航空運送事業の需給調整規制の廃止後に事業の競争環境が厳しくなるとしても、航空における安全の確保は最も重要な課題であるため、航空法の改正により安全規制の見直しが行われた。
A 外国航空機の安全の確保に資することを目的として、国際民間航空条約に基づく検査(ランプ・インスペクション)を平成十一年度から我が国においても開始した。
B 平成十二年二月から、航空法改正により、機長に重大インシデントの報告義務を課すとともに、羽田滑走路誤認着陸等の重大インシデントの調査を開始している。
C 航空従事者技能証明に係る学科試験及び実地試験の標準化を欧米の制度も参考とし、一層推進する。
また、航空法改正により、航空運航整備士の資格制度を創設した。
<第3章> 航空交通に対する主な安全施策
@ 第七次空港整備七箇年計画に基づき、空港、航空保安施設等の整備を計画的に推進している。
A 運輸多目的衛星(MTSAT)を用いた次世代航空保安システムについて、通信・航法・監視のため各施設にわたって開発及び整備を推進している。
B 空港、航空保安施設の耐震性の強化については、既存施設の耐震補強、管制施設の多重化等を推進した。
C 航空機乗組員等の資質の向上、運航管理体制の強化、航空機整備体制の充実等、定期航空の運航の安全対策の充実強化に取り組んでいる。
D 小型航空機の事故を防止するため、法令及び安全関係諸規程の遵守、操縦士の社内教育訓練の充実等を内容とする事故防止の徹底を指導している。
E スカイレジャーについては、関連航空団体を指導するとともに、「優良スカイレジャーエリア認定制度」の推進等により、安全確保を図っている。
F 平成十一年七月の全日空機ハイジャック事件の重大性を踏まえ、学識経験者等からなる「航空機内における保安対策懇談会」において、航空機内における保安措置についての改善事項を取りまとめた。
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賃金、労働時間、雇用の動き
◇賃金の動き
五月の調査産業計の常用労働者一人平均月間現金給与総額は二十八万六千九百八十四円、前年同月比は〇・七%増であった。現金給与総額のうち、きまって支給する給与は二十八万二千二百八十二円、前年同月比一・一%増であった。これを所定内給与と所定外給与とに分けてみると、所定内給与は二十六万四千百七十一円、前年同月比〇・八%増、所定外給与は一万八千百十一円、前年同月比は四・六%増であった。
また、特別に支払われた給与は四千七百二円、前年同月比は一一・九%減であった。
実質賃金は、一・六%増であった。
きまって支給する給与の動きを産業別に前年同月比によってみると、伸びの高い順に金融・保険業三・五%増、運輸・通信業二・八%増、不動産業二・六%増、鉱業二・〇%増、電気・ガス・熱供給・水道業及び建設業一・四%増、製造業及びサービス業一・一%増、卸売・小売業,飲食店〇・九%減であった。
◇労働時間の動き
五月の調査産業計の常用労働者一人平均月間総実労働時間は百四十七・九時間、前年同月比一・四%増であった。
総実労働時間のうち、所定内労働時間は百三十八・五時間、前年同月比一・三%増、所定外労働時間は九・四時間、前年同月比三・三%増、所定外労働時間の季節調整値は前月比〇・二%増であった。
製造業の所定外労働時間は十二・七時間、前年同月比一二・四%増、季節調整値の前月比は〇・七%増であった。
◇雇用の動き
五月の調査産業計の雇用の動きを前年同月比によってみると、常用労働者全体で〇・二%減、常用労働者のうち一般労働者では一・〇%減、パートタイム労働者では二・四%増であった。
常用労働者全体の雇用の動きを産業別に前年同月比によってみると、前年同月を上回ったものはサービス業一・九%増、電気・ガス・熱供給・水道業一・四%増、不動産業〇・八%増、運輸・通信業〇・二%増であった。前年同月を下回ったものは建設業〇・一%減、卸売・小売業,飲食店一・四%減、製造業一・七%減、鉱業二・五%減、金融・保険業二・九%減であった。
主な産業の雇用の動きを一般労働者・パートタイム労働者別に前年同月比によってみると、製造業では一般労働者二・五%減、パートタイム労働者四・三%増、卸売・小売業,飲食店では一般労働者三・一%減、パートタイム労働者一・五%増、サービス業では一般労働者一・六%増、パートタイム労働者三・二%増であった。
◇就業状態別の人口
平成十二年五月末の就業状態別人口をみると、就業者六千五百三万人、完全失業者は三百二十八万人、非労働力人口は三千九百八十四万人で、前年同月に比べ、それぞれ二十九万人(〇・四%)減、六万人(一・八%)減、九十一万人(二・三%)増となっている。
◇就業者
(1) 就業者
就業者数は六千五百三万人で、前年同月に比べ二十九万人(〇・四%)の減少となっている。男女別にみると、男性は三千八百三十五万人、女性は二千六百六十七万人で、前年同月と比べると、男性は八万人(〇・二%)減、女性は二十二万人(〇・八%)減となっている。
(2) 従業上の地位
就業者数を従業上の地位別にみると、雇用者は五千三百七十四万人、自営業主・家族従業者は一千百九万人となっている。前年同月と比べると、雇用者は三十二万人(〇・六%)増、自営業主・家族従業者は六十万人減となっている。
雇用者のうち、非農林業雇用者数及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○非農林業雇用者…五千三百三十八万人で、三十万人(〇・六%)増、八か月ぶりの増加
○常 雇…四千六百九十九万人で、八万人(〇・二%)増、二十九か月ぶりの増加
○臨時雇…五百十七万人で、十八万人(三・六%)増、平成八年九月以降、増加が継続
○日 雇…百二十三万人で、四万人(三・四%)増
(3) 産 業
主な産業別就業者数及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○農林業…三百三十一万人で、三十一万人(八・六%)減
○建設業…六百四十二万人で、十一万人(一・七%)減、三か月ぶりの減少
○製造業…一千三百十二万人で、三十一万人(二・三%)減、平成九年六月以降、減少が継続
○運輸・通信業…四百十六万人で、十一万人(二・七%)増、二か月連続で増加
○卸売・小売業、飲食店…一千五百六万人で、十九万人(一・三%)増、三か月ぶりの増加
○サービス業…一千七百三十二万人で、三十万人(一・八%)増、三か月連続で増加
また、主な産業別雇用者数及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○建設業…五百三十九万人で、六万人(一・一%)減
○製造業…一千百八十八万人で、二十七万人(二・二%)減
○運輸・通信業…三百九十六万人で、十二万人(三・一%)増
○卸売・小売業、飲食店…一千二百二十二万人で、二十七万人(二・三%)増
○サービス業…一千四百八十九万人で、三十五万人(二・四%)増
(4) 従業者階級
企業の従業者階級別非農林業雇用者数及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○一〜二十九人規模…一千七百二十八万人で、十六万人(〇・九%)減、八か月連続で減少
○三十〜四百九十九人規模…一千七百四十二万人で、十万人(〇・六%)減、十二か月連続で減少
○五百人以上規模…一千二百九十八万人で、三十一万人(二・四%)増、八か月連続で増加
(5) 就業時間
五月末一週間の就業時間階級別の従業者数(就業者から休業者を除いた者)及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○一〜三十五時間未満…一千三百七十五万人で、十四万人(一・〇%)増加
・うち一〜三十時間未満…九百九十六万人で、二十万人(二・〇%)増加
○三十五時間以上…五千二十万人で、三十九万人(〇・八%)減少
・うち四十九時間以上…一千八百七十七万人で、三十三万人(一・八%)増加、十一か月連続で増加
また、非農林業の従業者一人当たりの平均週間就業時間は四三・二時間で、前年同月に比べ〇・一時間の増加となっている。
◇完全失業者
(1) 完全失業者数
完全失業者数は三百二十八万人で、前年同月に比べ六万人(一・八%)減と、三十七か月ぶりの減少となっている。男女別にみると、男性は百九十六万人、女性は百三十三万人で、前年同月に比べ、男性は十一万人(五・三%)の減少、女性は六万人(四・七%)の増加となっている。
また、求職理由別完全失業者数及び対前年同月増減は、次のとおり。
○非自発的な離職による者…百一万人で、五万人減少
○自発的な離職による者…百八万人で、十万人減少
○学卒未就職者…二十二万人で、二万人減少
○その他の者…八十七万人で、十四万人増加
(2) 完全失業率(季節調整値)
季節調整値でみた完全失業率(労働力人口に占める完全失業者の割合)は四・六%で、前月に比べ〇・二ポイントの低下。男女別にみると、男性は四・六%で〇・四ポイントの低下、女性は四・五%で、〇・一ポイントの低下となっている。
(3) 完全失業率(原数値)
完全失業率は四・八%で、前年同月に比べ〇・一ポイントの低下となっている。男女別にみると、男性は四・九%で〇・二ポイントの低下、女性は四・八%で、〇・三ポイントの上昇となっている。
(4) 年齢階級別完全失業者数及び完全失業率(原数値)
年齢階級別完全失業者数、完全失業率及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
[男]
○十五〜二十四歳…四十一万人(六万人減)、九・八%(一・二ポイント低下)
○二十五〜三十四歳…四十四万人(四万人減)、四・八%(〇・五ポイント低下)
○三十五〜四十四歳…二十五万人(二万人増)、三・二%(〇・二ポイント上昇)
○四十五〜五十四歳…三十一万人(二万人減)、三・三%(〇・二ポイント低下)
○五十五〜六十四歳…四十八万人(同数)、七・一%(〇・一ポイント上昇)
・五十五〜五十九歳…十八万人(同数)、四・五%(〇・一ポイント上昇)
・六十〜六十四歳…三十万人(同数)、一一・〇%(同率)
○六十五歳以上…十万人(二万人増)、三・二%(〇・七ポイント上昇)
[女]
○十五〜二十四歳…三十二万人(二万人減)、八・四%(〇・一ポイント上昇)
○二十五〜三十四歳…三十七万人(一万人減)、六・二%(〇・三ポイント低下)
○三十五〜四十四歳…二十五万人(五万人増)、四・八%(〇・九ポイント上昇)
○四十五〜五十四歳…二十二万人(三万人増)、三・二%(〇・四ポイント上昇)
○五十五〜六十四歳…十六万人(三万人増)、三・八%(〇・八ポイント上昇)
○六十五歳以上…一万人(同数)、〇・五%(同率)
(5) 世帯主との続き柄別完全失業者数及び完全失業率(原数値)
世帯主との続き柄別完全失業者数、完全失業率及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○世帯主…九十四万人(三万人減)、三・五%(〇・一ポイント低下)
○世帯主の配偶者…四十五万人(三万人増)、三・一%(〇・二ポイント上昇)
○その他の家族…百三十八万人(十二万人減)、七・四%(〇・六ポイント低下)
○単身世帯…五十一万人(六万人増)、六・三%(〇・七ポイント上昇)
◇全世帯の家計
前年同月比でみると、全世帯の消費支出は平成十一年九月以降五か月連続の実質減少となった後、十二年二月は実質増加、三月は実質減少、四月は実質増加となり、五月は実質減少となった。
◇勤労者世帯の家計
前年同月比でみると、勤労者世帯の実収入は平成十一年七月以降九か月連続の実質減少となった後、十二年四月は同水準となり、五月は実質増加となった。
前年同月比でみると、消費支出は平成十一年八月以降六か月連続の実質減少となった後、十二年二月は実質増加、三月は実質減少、四月は実質増加となり、五月は実質減少となった。
◇勤労者以外の世帯の家計
勤労者以外の世帯の消費支出は、一世帯当たり二十七万八千九百七十七円。
前年同月に比べ、名目三・七%の減少、実質二・八%の減少。
◇季節調整値の推移(全世帯・勤労者世帯)
季節調整値でみると、全世帯の消費支出は前月に比べ実質〇・四%の減少。
勤労者世帯の消費支出は、前月に比べ実質一・八%の減少。
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