官報資料版 平成12年11月1日




                  ▽厚生白書のあらまし……………………………………………………………厚 生 省

                  ▽単身世帯収支調査結果の概要(平成十二年一〜六月期平均速報)………総 務 庁

                  ▽家計収支(六月分)……………………………………………………………総 務 庁

                  ▽消費者物価指数の動向(東京都区部八月中旬速報値)……………………総 務 庁











厚生白書のあらまし


新しい高齢者像を求めて ―21世紀の高齢社会を迎えるにあたって―


厚 生 省


T 平成十二年版厚生白書の主題

 平成十二年版厚生白書が、去る七月十八日に閣議に報告され、公表された。今回の白書は、「新しい高齢者像を求めて ―二十一世紀の高齢社会を迎えるにあたって―」と題して、高齢者について様々な観点から考察し、新しい高齢者の姿とそれにふさわしい社会保障システムの創造について取り上げている。
 我が国の人口の高齢化は、これまで類を見ない早さで進んできたが、二十一世紀に入っても更に進行すると予測されている。現在、人口のおおむね六人に一人が六十五歳以上であるが、二十年後の二〇二〇年には、四人に一人になると見込まれている。これから二十年間で、現在の東京都の人口にも匹敵する人口が六十五歳以上となり、まさにこれから「高齢者の世紀」が始まろうとしている。
 こうした高齢社会は、例えば、生まれた子供の半数が八十歳以上の長寿を享受できる社会を達成したということでもあり、国民生活の向上と社会保障の充実の成果でもある。
 そして、今日では、健康で活動的な高齢者が、積極的に社会に参加している姿も見られるようになってきた。
 その一方で、高齢者の増加とともに介護を要する者も多くなり、老後の大きな不安となっている。介護を国民皆で支え合い、国民が安心して老後を過ごせる社会を実現するために、二〇〇〇年四月、介護保険制度が施行された。
 そこで、今年の白書は、「新しい高齢者像を求めて ―二十一世紀の高齢社会を迎えるにあたって―」と題して、昭和六十三年版以来、十一年ぶりに高齢者をテーマに取り上げ、高齢者をめぐる問題を幅広く考察している。第一に、これからの高齢化の特徴や高齢者と家族、高齢者の経済状況といった高齢者の現在の姿について、様々な資料を活用し、新たな角度から分析調査を行っている。特に、これまで定性的な側面からのみ議論されがちであった高齢者の経済状況について、所得保障制度が果たしている機能も含めて分析を試み、視覚的にもわかりやすく提示している。第二に、高齢者の健康づくりについて、近年の長寿科学の成果も紹介しながら説明するとともに、地域や社会に積極的に参加する高齢者の姿についても具体的な事例を交え、幅広く紹介している。また、健康で活動的な高齢者が増えていることを紹介することで、これから高齢期を迎える人に、豊かな老後の一つの姿を示している。第三に、新しく始まった介護保険制度について、高齢者保健福祉の歴史にも触れながら、大きく四つの柱に分けてわかりやすく解説し、この制度をより良く育てていくことの重要性を説明している。第四に、高齢者を一律に弱者とみなす画一的な見方を払拭し、「長年、知識・経験を培い、豊かな能力と意欲を持つ者」という新しい高齢者像を提示し、こうした新しい高齢者像にふさわしい社会保障システムの創造を目指すことが求められると説明している。

U 平成十二年版厚生白書の概要

【第1部の概要】

 平成十二年版厚生白書は三部構成となっており、第1部において、「新しい高齢者像を求めて」というテーマ部分を記述している。

第1部 新しい高齢者像を求めて

第1章 多様な高齢者

 今後、戦後生まれの人口規模の大きな世代が高齢期に向うにつれて、我が国の高齢化は更に進んでいくことが予想される。第1章では、高齢化の現状と見通しを地域性も含めて紹介するとともに、高齢者の多様な姿を家族や経済状況の観点から分析している。

1 「高齢者の世紀」の始まり
 ○今後の高齢化の見通し
 二〇〇〇年現在、六十五歳以上人口は二千百八十七万人で、総人口に占める割合(高齢化率)は一七・二%(おおむね人口の六人に一人が六十五歳以上)となり、この三十年間に急速に高齢化が進行してきた。その一方で少子化も進んでおり、すでに六十五歳以上人口は、〇〜十四歳の年少人口(二〇〇〇年には一千八百六十万人)を上回っている。
 これから更に高齢者数と高齢化率は増加し、二〇二〇年には、六十五歳以上人口は三千三百三十四万人、高齢化率は二六・九%になると予想され、今後二十年間の高齢者数の増加は、現在の東京都の人口にも匹敵する規模である。まさに、これから「高齢者の世紀」が始まる。
 これは、生まれた子どもの半数が、八十歳以上の長寿を享受できる社会の達成でもあり、国民生活の向上と社会保障の充実の成果でもある。
 高齢者は、多様な人生経験と価値観をもつ世代の集まりであり、今後、更に人口規模が大きな世代が高齢期を迎えるので、多様な高齢者がたくさん現れるであろう。
 ○都市部に住む高齢者数の増加
 今後とも高齢化は全国的に進行するが、特に、高度経済成長期に地方から都市圏に移動した、戦後生まれの人口規模の大きい集団が高齢期を迎えることから、今後は、三大都市圏や地方都市圏など、都市部に住む高齢者の数が大きく増加する(第1図参照)。
 こうした中で、地域社会との結びつきが必ずしも強くない都市に住む退職した雇用者の職場からの軟着陸や、そうした高齢者の知識や経験を地域や社会で活かせる機会を作っていくことは、高齢者自身の生きがいにつながるとともに、活力ある高齢社会を実現する上でも重要となろう。

2 高齢者と家族
 ○子供との同居率の低下
 子供との同居率は、戦後、都市化の進行や家族形態の変化の中で、年々低下してきている。高齢者の年齢が高くなるにつれて同居率が上がる傾向はみられるが、世代が若くなるほど、子供との同居率が低くなるという「世代による影響」がみられる。現在の中高年の意識などからみると、全体としては、今後も更に低下していくことが予想されるが、その一方で、同じ敷地内や近隣に住む「準同居」や「近居」が増えていくことも見込まれる。
 これからの高齢世代は、個人としての生活を大切にしながら、精神的なつながりや、いざというときの支援を家族に求めるなど、意識や住まい方が変化していくと考えられる。
 ○小家族化の進行
 一人暮らし高齢者の増加など、高齢者を含む家族の規模も小さくなっている。こうした家族形態の変化は、高齢者介護など、今後の社会保障を考えていく上でも重要な要素となる。

3 高齢者の経済的実像
 ○高齢者のいる家族の所得と消費
 六十五歳以上の者がいる家族の一人当たり所得は、全ての世帯の一人当たり所得と比べ、おおむね遜色ない水準となっている。また、六十五歳以上の高齢者一人当たりの所得の分布も、他の年齢と比べて大きな違いは見られない(第2図参照)。
 世帯主が六十五歳以上の家族(二人以上)の一人当たり消費支出の伸び率は、一九八五年から一九九八年にかけて、全年齢層を通じて最も高く、高齢世帯の経済力の向上が推察される。
 ○高齢者が属している家族形態によって異なる所得
 高齢者の一人当たり所得は、高齢者の属する家族類型によっても異なるが、「一人暮らし男性」、「夫婦と未婚の子のみ」と「夫婦のみ」は比較的高く、「一人暮らし女性」、「一人親と未婚の子」、「三世代同居」は比較的低い。しかしながら、高齢者以外の家族の所得も含めた一人当たり所得を比べると、家族形態による違いは小さくなる。
 いわゆる「三世代世帯」は、平均的には、高齢者の所得よりも同居する高齢者以外の家族の所得の方が高い。因果関係は難しいが、子どもとの同居率の低下の背景には、経済的に自立している高齢者の増加も推察される(第3図参照)。
 ○高齢者の所得が多様である要因と、社会保障給付が果たしている役割
 高齢者の間では、所得が高いグループから低いグループまで広がりが大きいが、高い所得のあるグループでは、雇用者所得、事業所得、財産所得などの割合も大きく、こうした所得の大きさが高齢者の中の所得格差の要因と考えられる。
 公的年金などの社会保障給付は、特に中間所得層以下の高齢者の所得の相当部分を占めており、高齢者の所得の安定化と所得格差の是正に大きな役割を果たしている(第4図参照)。
 ○高齢者と資産
 高齢者は、比較的高い貯蓄の世帯に属する割合が高い。また、高齢者の持ち家率は高く、所得が高いほど持ち家率も高い。「高齢者夫婦世帯」や「高齢者(無職)のいる世帯」は、若い世代と比べると、高い住宅宅地資産を有しており、こうした資産の有効活用も今後求められるであろう。

第2章 高齢者と健康

 これからは、介護を要する高齢者が増加する反面、健康で、はつらつとした高齢者も増加していくと予想される。高齢者はできるだけ長く健康で、介護を要しない状態で過ごし、地域や社会において活躍し続けることを希望している。そこで、第2章では、活動的な高齢期を送るために重要となる、生涯を通じた健康づくりについて紹介する。

1 健康な長寿
 ○多くの高齢者はおおむね健康
 年齢による違いはあるが、多くの高齢者は、自分はおおむね健康であると思っている。高齢者の受療率も年齢階層によって異なる。また、寝たきりや要介護高齢者の割合も年齢によって異なり、横ばいまたは若干低下している傾向もみられ、決して一定のものではない。
 ○「健康な長寿」の実現
 これまでは、いかに長く生きられるか、平均寿命を延ばすことが目標であったが、これからは、長くなった寿命を、できるだけ長く「心身に障害のない期間」として、健康で自立して暮らすことができるか、すなわち「健康な長寿」を目指していくことが求められる。これにより、真に豊かな長寿社会が実現できる(第5図参照)。

2 長寿社会における健康づくり
 ○高齢期の健康を実現するには、若い頃からの健康づくりが重要
 生活習慣病を予防し、高齢期においても生活の質(QOL)を維持し、障害の少ない生活を送り、健康寿命を延ばすためには、若い頃から正しい食生活や運動などの生活習慣を身につけ、健康管理に留意するなど、生涯を通じた健康づくりが重要である。
 こうした観点から、二〇〇〇年度から「二十一世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)」を掲げた。ここでは、科学的根拠に基づいて、がん、心臓病、脳卒中、糖尿病等の生活習慣病の原因となる食生活や運動、休養などの目標等を提示することにより、健康増進施策を総合的に推進することとしている。
 ○身体だけではなく、こころの健康にも配慮を
 外出したり、他世代と交流の機会を持ったり、身だしなみに気をつけたりすることで、こころの健康を保つことは、いきいきと暮らすためには不可欠である。
 ○長寿科学の振興
 高齢者に多い疾病の予防、診断、治療法の開発、心理的・社会的問題を解決するために、自然科学から人文科学に至るまでの総合的な長寿科学の研究が重要である。

第3章 高齢者と社会・地域

 健康な高齢者が増えているが、第3章ではこのような高齢者が、就労、ボランティア、生涯学習、余暇活動などを通じ、積極的に地域や社会に参加し、活動的な高齢社会を実現している姿を概観する。
 また、多少身体的な機能が衰えはじめた高齢者であっても、生活の質を維持し、自立した生活を送ることが可能になるような、高齢者の生活を支えるための様々な取組や、高齢者の生活を支える生活環境についても説明する。

1 高齢者の社会参加と生きがい
 健康な高齢者は、地域や社会への高い参加意識を持っている。これから、若年人口の減少も見込まれる中、高齢者の知識、経験を生かし、地域や社会に積極的に参画できるようなシステムづくりや支援が求められる。
 これは、高齢者自身の生きがいや自己実現とともに、活力ある長寿社会の実現にもつながる。
 ○高齢者の高い就労意欲、健康や生きがいも求めて働く高齢者
 我が国の高齢者の就労意欲は、諸外国と比較しても高い。年齢が高くなるほど、経済的な理由だけではなく、健康や生きがいのために働くことを希望する高齢者が増える傾向にある。
 ○働く意欲のある高齢者が働ける環境づくりを
 将来、年金の支給開始年齢の引上げが予定されている。六十五歳までの、本格的な就労機会の確保を目指して、働く意欲のある高齢者が少なくとも六十五歳までは何らかの形で働き続けられるように、社会に向けた取組が重要となる。
 ○学習や余暇活動を通じた社会参加も、いきいきと高齢期を過ごすために重要
 高齢者にとって、学習活動は、生きがい、仲間づくりや社会参加の機会であり、健康や充実感などを生みだし、いきいきとした高齢期を過ごすために重要な活動となっている。

2 支え合う地域と高齢者
 ○高齢者を地域で支えるサービスや活動の広がり
 年齢が高くなると、加齢に伴う心身機能の衰えにより、生活に支障が生じがちになる。一人暮らしの高齢者が増加していくことが見込まれる中、身近な地域において、高齢者の生活を支えることも必要となる。
 ○高齢者の日常生活を支えるボランティア活動の広がり
 ボランティアやボランティア団体が増加しており、ボランティアが地域において、高齢者の日常生活を支える様々なサービスの担い手として活躍する場面が増えてきている。特に、高齢者のボランティアが増えており、ボランティアへの関心も高い。こうした背景には、社会貢献につながる意識とともに、ボランティア活動を通じた社会とのつながり、自己実現などに価値観を見いだしていることが考えられる。
 こうした中で、特に地縁をあまり持たない退職した雇用者など、ボランティア活動への関心はあるが、十分な情報を持たない者に対し、知識や経験を活かしながら、希望するボランティア活動を行えるよう、情報提供などの支援も必要であろう。
 ○ボランティアを支える多様な主体
 社会福祉協議会、消費生活協同組合、農業協同組合、特定非営利活動法人(NPO)などの多様な主体が、地域の中で高齢者サービスを担っている。また、ボランティア活動の振興に取り組む団体もある。
 ○住民が主体的に福祉を中心とした地域づくりに参画
 住民が主体的に福祉を中心とした地域づくりに参加したりする例も見られるようになっている。介護など身近な高齢者の福祉問題をきっかけに、それぞれの地域で、福祉を中心とした地域づくりが進んでいくように期待される。

3 高齢者の生活環境
 住みなれた地域の中で高齢者が暮らしていくためには、住まいを含めた地域の生活環境が、高齢者にやさしいものであることも重要である。
 ○身体機能が低下しても、自宅で暮らせるような、高齢化対応の住宅(改修)の増加
 高齢者用の設備のある住宅が増えている。介護保険においても、手すりの設置費用などを給付対象としている。高齢期を住みなれた自宅で過ごせるよう、暮らしやすい(バリアフリー)住宅への取組の支援は、今後とも重要となる。
 ○高齢者施設の環境の向上
 高齢者施設の環境も変化している。従来、高齢者施設は「処遇の場」と考えられがちであったが、住宅の延長としての「生活の場」と捉えられるようになってきている。個室化が進み、また、ユニットケア、グループホームなどの取組も登場しており、高齢者が日常生活を送る場として、ふさわしい施設環境づくりの動きが出てきている。
 ○高齢者が外出しやすいまちづくりは、高齢者の心身の健康を保つためにも重要
 各地方公共団体による、建物や設備のバリアフリー化や、高齢者の移動手段に関する様々な工夫など、高齢者にやさしいまちづくりの取組も見られている。高齢者が外出しやすい環境づくりは、健康づくりや介護予防にもつながる。

第4章 高齢者の自立を支える新しい介護制度

 介護を必要とする高齢者を国民皆で支えるため、二〇〇〇年四月から介護保険制度が導入された。第4章では、これまでの高齢者保健福祉の歩みを紹介した上で、介護保険制度の特色を解説する。

1 これまでの高齢者保健福祉
 ○これまでの高齢者保健福祉
 老人福祉法の制定(一九六三年)により、低所得者に対する保護施策を越えて、加齢に伴う一般的な介護ニーズが制度的に位置づけられた。しかしながら、徐々に施設整備等が進められたものの、介護を要する高齢者の数に比べて施設が不足したため、結果的に低所得者等が優先された。
 一方、一九七三年には、老人医療費の無料化が実施されたが、高齢者の受診を容易にした反面、老人医療費が著しく増大した。また、福祉施設と医療機関の費用負担の格差や、手続きの違いなどから、いわゆる「社会的入院」という問題も指摘された。
 ○サービスの総合化に向けた取組
 高齢者医療の負担の公平化と、壮年期からの総合的な保健対策の実施を目指して、老人保健法が一九八二年に制定された。また、高齢者にふさわしい看護や介護に重点をおいたケア、医療と福祉と連携した総合的サービスの提供が求められるようになり、一九八六年、老人保健施設が創設された。
 高齢者福祉の分野では、一九七〇年半ば以降、在宅福祉が重視されるようになった。そして、一九八九年に策定されたゴールドプランおよび一九九四年に策定された新ゴールドプランの推進により、在宅介護サービスをはじめとする高齢者保健福祉の基盤整備が急速に進んだ。

2 介護を必要とする高齢者の自立を国民皆で支援
 ○高齢者介護への新たな対応の必要性
 介護ニーズがますます増大する一方で、家族をめぐる状況も大きく変わりつつあり、介護の問題が、家族にとって大きな負担となってのしかかってくる状況が生じてきた。しかし、従来の措置制度を基本とする高齢者福祉の対応では、予算の制約の下、行政機関によってサービスの利用対象者や内容が決められ、介護サービスの飛躍的な拡充は期待し難い面があった。
 こうした中、高齢者の介護の問題を一部の限られた問題として捉えるのではなく、国民皆で介護を支え合おうと、新たに介護保険制度が導入された。
 ○自立支援の理念
 介護保険制度では、要介護状態になった者が、「その有する能力に応じ、自立した日常生活を営むことができるよう」必要なサービスを受けることができるとされ、「高齢者の自立支援」を理念としている。こうした理念は、住み慣れた地域での生活が続けられるよう、自立を支える多様な在宅サービスを重視している点にも現れている。
 ○介護ニーズに普遍的かつ公平にこたえる仕組み
 介護保険制度では、高齢者の介護ニーズのみに着目してサービス提供が決定され、所得や家族の状況にかかわらず、必要な介護サービスが受けられることが明確にされた。
 ○国民皆で支える制度
 四十歳以上のすべての者を加入者とし、高齢世代自身も制度を支える立場と位置づけ、国民皆で介護サービスを支える仕組みをとっている。

3 高齢者の立場に立ったサービスの総合化
 ○福祉と医療の垣根を取り払った介護サービス
 介護保険制度では、これまで高齢者福祉サービスと高齢者医療サービスに分かれていた介護サービスが、一つの制度として統合され、総合的なサービスを利用しやすい仕組みとなっている。また、新しい専門職である介護支援専門員(ケアマネジャー)が、多くのメニューの中から高齢者一人一人のニーズにふさわしいサービスが提供されるよう、支援することとされた。

4 高齢者の選択に基づくサービス提供
 ○介護サービス市場の登場
 多様な事業者が、利用者の選択に基づいてサービスを提供する介護サービス市場が登場した。今後、利用者がより良いサービスを選択することを通じて、事業者間の競争が生じ、サービスの質の向上や事業の効率化が進むことが期待される(第6図参照)。
 ○事業者の育成と利用者の保護
 健全な競争が働いてサービス供給の充実が図られるよう基盤整備が重要となる。
 厚生省では、サービス事業者に対する情報提供や支援など、介護事業の振興に取り組んでいる。また、利用者の選択の支援と保護のための取組も進めている。

5 市町村を中心に地域がつくる介護サービス
 ○市町村行政に与える影響
 介護保険制度は、住民に最も身近な市町村を中心的な運営主体としている。市町村が運営主体となることにより、住民の意見を踏まえた行政が促されること、サービス供給のための負担についても市町村が責任をもつこと、市町村の判断で制度を柔軟に組み立てられることなど、市町村行政にも大きな影響を与えている。
 実際には、高齢者福祉に関するこれまでの取組状況の違いから、地域によってサービスの水準に差はみられるが、住民のニーズにこたえ、地域の間で切磋琢磨することで、介護サービスの基盤が充実していくように期待される。

6 よりよい介護保険制度に向けて
 ○新たな方向を示す介護保険
 介護保険制度は、高齢者を等しく社会の構成員として捉えながら、老後の最大の不安である介護を国民皆で支え合い、高齢者の自立を支援していこうとするものであり、この理念と仕組みは、これからの社会保障の方向性を示すものでもある。
 また、介護保険を契機に、地域の中で共に支え合おうとする機運が育まれたり、要介護認定や介護保険の運営そのものを広域的に実施するなど、地方自治のあり方にも大きな影響を与えている。
 ○より良いものに皆で育てていく制度
 多くの国民にかかわる新しい制度であるため、施行はされたものの課題は残されており、より良いものに育てていくことが必要である。

第5章 高齢化の世界的進行と国際交流

 高齢化は我が国だけの現象ではなく、世界的な現象である。先進国はもとより、途上国においても高齢化の進行が予測されている。第5章では、各国の高齢化に関する知見をお互いに共有することで、よりよく高齢化に対応していく可能性を探る。

1 世界の高齢化
 ○二〇一〇〜二〇二五年の間は、我が国の高齢化率は世界最高
 一九九五年現在、世界の総人口に占める六十五歳以上人口の割合は、六・六%に過ぎないが、二〇二五年には一割を超えることが見込まれる。
 先進諸国の高齢化率はさらに上昇し、二〇五〇年には、最も低い国で約二〇%、高い国では、三〇%台の後半にまで達すると予想される。
 ○これから途上国において高齢化が急速に進展
 途上国では、まさにこれから高齢化が始まり、二〇二五年には、六十五歳以上人口の約七割は途上国の住民となる。このように高齢化は、先進諸国だけでなく途上国も含めた全世界的な課題といえよう(第7図参照)。

2 国際的な知見の共有
 ○高齢化に関する知識と経験を共有することで、高齢化によりよく対応
 世界的にも高齢化が進む中、高齢化への対応は、各国が知恵を出し合い、協力して取り組むべき課題として認識されるようになってきた。日本と北欧、日本とオーストラリアとの間では、高齢化に係る施策から、相互に学びあう取組を行っている。
 ○高齢者数が増大するアジア 〜我が国の国際貢献が必要
 中国を始め、アジアでは人口が多いために、高齢化率の増加とともに高齢者数は大きく増加する。これらの国からは、我が国の高齢化に関する知識や経験に対するニーズも高い。我が国からの情報発信がますます重要となろう。

第6章 新しい高齢者像を求めて
 〜二十一世紀の高齢社会を迎えるにあたって

 第6章では、これまで各章で述べてきた多様な高齢者の姿を踏まえて、高齢者に対する画一的な見方を払拭し、高齢者を豊かな能力と意欲をもつ者として捉えていくことが、より豊かで活力がある長寿社会の実現につながることを説明する。

1 新しい高齢者像を求めて
 ○変わる高齢者
 高齢者の姿は様々である。これから一段と大きな人口規模の集団が高齢期を迎える頃には、健康で活動的な高齢者の数は更に増え、高齢者はもっと多様化していくであろう。
 ○高齢者や高齢社会に関する通念の払拭
 高齢者を「弱者」とみる画一的な見方を払拭し、長年にわたって知識・経験・技能を培い、豊かな能力と意欲をもった者として高齢者を捉えていくことが、高齢社会をより豊かに、活力があるものとしていくことにつながっていく。

2 新しい高齢者像にふさわしい社会保障システムを求めて
 ○自立した高齢者が多様な生き方を選択する社会
 すべての高齢者が自立して、その人らしく多様な生き方を選択できる社会が、長寿を真に輝かせることにつながるであろう。これからの社会保障は、そのためのものとして役割を果たしていくことが求められる。
 ○すべての世代が共に支え合う社会
 これまでの世代間扶養の仕組みは、高齢者の安定的な生活を社会で支える仕組みとして、大きな機能を果たしてきたが、急速な高齢化とその一方で進む少子化の中では、現役世代から高齢世代だけではなく、高齢世代内や高齢世代と現役世代のお互いの支え合いも含め、すべての世代が共に支え合うという視点も重要になってくる。
 ○地域社会のあり方
 高齢者介護の問題をきっかけに、地域・住民が主体的に創意工夫することで、地域の中でのお互いの支え合いが芽生え、厚みのある地域サービスが提供される土壌が培われていくことも期待される。
 ○これからの社会保障のあり方
 近年、新しい介護制度の導入、年金制度の改正など、社会保障制度の改革が進められてきているが、今後とも、少子高齢化という人口変動の中で、経済社会との調和を図りながら、持続的に安定した社会保障制度のあり方が求められる。
 特に高齢者に対する社会保障を考えていく際には、これまで社会保障が高齢者の生活の安定に重要な機能を果たしてきたことを踏まえながら、次のような視点が重要となる。
 まず、総合的な社会保障制度という視点である。年金、医療、介護の各制度間の相互関係や整合性に留意し、総合的な社会保障を目指していくことが必要であろう。来年一月から厚生労働省が発足する予定であり、社会保障と雇用施策との連携も含めて考えていく必要がある。
 また、今後高齢者の数が増大し、負担の増加も避け難い中で、効率的な仕組みが一層求められ、所得、資産の低い者に対する配慮や、世代間や世代内の公平性に配慮していくことも必要である。
 さらに、若い世代の社会保障への信頼を確保しながら、社会全体で支える社会保障にふさわしい給付と、負担や財源のあり方を含めて考えていくことも求められる。

【第2部および第3部の概要】

 第2部および第3部では、年金制度、医療制度、少子化への対応、廃棄物対策などの厚生行政の各分野について、一九九九年度の動きを中心に紹介している。

第2部 社会保障構造改革に向けた取組

第1章 介護保険制度の定着に向けて

1 介護保険制度の円滑な実施のための対策
 介護保険制度の円滑な実施のために講じられた特別措置について記述。具体的には、高齢者の保険料に関する特別措置、医療保険に関する措置、低所得高齢者の利用者負担の軽減措置、家族介護支援対策、介護予防・生活支援対策、介護基盤整備対策について紹介する。

2 介護サービスの供給体制の整備
 新・高齢者保健福祉推進十か年戦略(新ゴールドプラン)の進捗状況と、一九九九(平成十一)年末に策定された「今後五か年間の高齢者保健福祉施策の方向(ゴールドプラン21)の内容について説明する。この中では、介護サービス基盤の整備と介護予防・生活支援等を推進することにより、高齢者の尊厳の確保と自立支援を図り、できるだけ多くの高齢者が健康で生きがいをもって社会参加できる社会をつくっていこうという、ゴールドプラン21の基本的な考え方も紹介する。

3 介護予防・生活支援のための取組
 介護保険を円滑に実施する観点から、できるだけ要介護状態にならないようにすること(介護予防)や、自立した生活の支援を行うこと(生活支援)が重要となっている。これを目的として二〇〇〇(平成十二)年度に創設された「介護予防・生活支援事業」について説明する。

第2章 信頼できる年金制度の確立

1 平成十二年年金制度改革
 少子高齢化が進展する中で、将来世代の過重な負担を防ぐとともに、確実に給付を確保し、長期的に安定した年金制度を構築するために制度改正が行われた。ここでは改正の経緯、概要(給付総額の伸びの調整のための措置、総報酬制の導入、厚生年金基金制度の規制緩和、年金積立金の自主運用等)などを説明する。

2 確定拠出金制度の創設
 中小零細企業や自営業者等への普及、労働力移動への対応といった点で、公的年金に上乗せされる年金制度の新たな選択肢として、導入が求められている確定拠出年金制度について、その必要性と位置づけ、制度案の概要を紹介する。

第3章 二十一世紀に向けた医療制度改革

1 医療制度をめぐる状況
 経済が低迷する中、老人医療費を始めとする医療費の増加により、医療保険財政も厳しい状況が続いていることについて説明する。
 また、医療制度の抜本改革をめぐる状況を紹介する。

2 医療保険制度の抜本改革
 薬価制度の見直し、診療報酬体系の見直し、高齢者医療制度の見直し、医療提供体制の見直しという、医療制度の抜本改革の四つの主要課題について、これまで総合的に検討を進めてきた状況等を紹介する。また、抜本改革の第一歩として、二〇〇〇(平成十二)年度に講じようとする施策の概要を説明する。

3 新しい時代の医療サービス
 良質で効率的な医療提供体制の実現を図るための制度改正案の概要を説明する。
 また、良質な医療サービスを担う人材の確保と資質の向上のための施策、医療事故への対応、救急医療体制、へき地医療対策、医療の質の向上のための施策、診療録の電子化についての取組を紹介する。

4 政策医療を担う国立病院・療養所
 政策医療を担う国立病院・療養所の最近の活動、経営改善の実行状況、再編成の推進状況、独立行政法人に向けた準備について、説明する。

第4章 少子化への対応など子育て支援施策の推進

1 少子化の進行とその要因
 少子化の進行について、その状況、社会経済に与える影響、主な要因と背景について説明する。

2 これまでの少子化への対応
 エンゼルプランの推進、児童福祉法の改正、人口問題審議会による問題提起と「少子化への対応を考える有識者会議」の提言、少子化対策臨時特例交付金といった近年の少子化への対応を紹介する。

3 今後の少子化対策
 「少子化対策推進関係閣僚会議」が一九九九(平成十一)年十二月に決定した「少子化対策推進基本方針」の基本的な考え方や、その視点などを説明するとともに、同年十二月に策定された「重点的に推進すべき少子化対策の具体的実施計画(新エンゼルプラン)」の概要を説明する。
 また、児童手当の拡充についても紹介する。

4 その他の子育て支援施策の推進
 児童虐待をめぐる状況と取組状況、母子家庭施策の充実について説明する。

第5章 社会福祉の新たな展開

1 社会福祉の基礎構造改革
 福祉サービスの基盤が充実し、国民の自立意識が高まってきたことなどを背景に、検討が進められてきた社会福祉基礎構造改革の経緯と、それを受けて二〇〇〇(平成十二)年三月に国会に提出された社会福祉事業法等の改正案の概要を説明する。
 また、施設整備業務の再点検の状況や、福祉職俸給表の創設、福祉人材の養成確保、ホームレス対策、生活保護制度の課題についても紹介する。

2 障害保健福祉施策の新たな展開
 障害者の現状と障害者プランの推進状況について説明するとともに、社会福祉事業法等の改正案に盛り込まれている障害者保健福祉施策の見直しの概要と、精神保健福祉施策の充実を図るために行われた法律改正について説明する。

第6章 新たな厚生行政の展開に向けて

1 中央省庁の再編と厚生行政
 中央省庁再編の経緯について紹介するとともに、二〇〇一(平成十三)年一月に発足予定の「厚生労働省」の任務、組織の概要について説明する。

2 厚生行政の国際的展開
 国際機関への協力と二国間協力の実施など、保健医療分野における国際協力の状況や、制度の国際的調和など、対外経済問題への対応について説明する。
 また、戦没者慰霊事業の推進、中国残留邦人への援護施策について説明する。

3 情報化の推進
 情報化の推進の状況、コンピューター西暦二〇〇〇年問題への対応、個人情報保護に関する検討状況など、保健医療分野における取組について説明する。

4 地方分権と規制改革の推進
 機関委任事務制度の廃止に伴う事務区分の整理や、地方事務官制度の廃止など、厚生行政分野における地方分権の推進について説明する。また、厚生行政における規制緩和の推進状況についても説明する。

第3部 健やかで安全な生活の確保

第1章 健やかな生活を支える取組

1 生活習慣病対策と地域保健
 生活習慣病対策の推進について、たばこ対策やアルコール関連問題対策を含めて説明するほか、生涯を通じての健康支援、地域保健対策の推進について紹介する。

2 健康危機管理への取組
 新型インフルエンザや大規模な食中毒の発生、東海村ウラン加工施設の事故など、国民の生命・健康の安全を脅かす健康危機管理に向けた、厚生省の体制と対応状況について説明する。

3 新たな感染症対策
 予防接種制度について、高齢者を対象にしたインフルエンザ対策の充実を図るなど、見直しの方向を説明する。
 また、結核やインフルエンザ、エイズなどの感染症対策などについても説明する。

4 臓器移植等の推進
 脳死下での臓器提供事例における課題を踏まえた今後の対応など、臓器移植の推進をめぐる最近の動きを説明する。また、難病対策の推進状況についても説明する。

5 医薬品等の安全対策の推進
 血液製剤によるHIV感染問題における取組について、訴訟の和解成立に至る経緯、これを踏まえた各種恒久対策について記述。医薬品等の有効性・安全性の確保に関する施策について、「医薬品の臨床試験の実施の基準」(GCP)の円滑な実施、承認審査体制の充実・効率化、市販後対策、医薬分業の推進について説明する。さらに血液事業の見直し、薬物乱用防止対策についても紹介する。

第2章 厚生科学の推進

1 厚生科学分野のミレニアム・プロジェクト
 ヒトゲノム解析研究や再生医療研究、バイオテクノロジーの安全性確保、PCB対策など、厚生科学分野のミレニアム・プロジェクトについて説明する。

2 厚生科学の振興
 国民の保健医療・福祉・生活衛生等にかかわる科学研究である「厚生科学」を振興するための取組として、厚生科学研究費補助金や国立試験研究機関等における研究について紹介する。

3 医薬品等の研究開発の振興
 医薬品機構等を通じた医薬品や医療機器の研究開発の振興について説明する。

4 医療技術の進歩と生命倫理
 生殖補助医療技術、出生前診断といった医療技術の進歩と、生命倫理をめぐる状況について紹介する。

第3章 安全な生活環境の確保

1 食品の安全性の確保と化学物質対策
 食品の安全性の確保に関して、食中毒対策などの食品衛生対策の強化、輸入食品対策の充実、総合衛生管理製造過程(HACCP)の普及、食品添加物の基準や農薬・動物用医薬品の残留基準、遺伝子組換え食品の安全性審査などの取組状況を説明する。
 また、ダイオキシン類対策、内分泌かく乱化学物質対策、シックハウス症候群など、化学物質対策への取組について説明する。
 あわせて、理美容業、クリーニング業など国民生活に密着している環境衛生関係営業の振興についても紹介する。

2 安全でおいしい水の確保
 水道原水の水質保全、水道の水質管理など、安全で良質な水を確保するための対策、高度浄水施設の整備促進など、質の高い水道を目指した取組、地震・渇水に強い水道づくりの推進について説明する。

3 大量に排出される廃棄物への取組
 廃棄物処理における問題とそれへの対応について、ダイオキシン対策関係閣僚会議における取組や、二〇〇〇(平成十二)年三月に国会に提出された廃棄物処理法等の改正案の概要、ダイオキシン対策、リサイクルの推進を説明する。
 また、大都市の廃棄物対策、合併処理浄化槽の整備促進について説明する。


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単身世帯収支調査結果の概要


―平成十二年一〜六月期平均速報―


総 務 庁


1 単身全世帯の家計

 消費支出は、四期ぶりの実質減少となった(第1図第2図第1表参照)。

2 単身勤労者世帯の家計

 単身勤労者世帯の実収入は、実質増加となった。
 平均消費性向は、前年同期を下回った。
 消費支出は、実質減少となった(第2表参照)。

3 男女・年齢階級別の家計

 消費支出は、三十五〜五十九歳及び六十歳以上で実質増加となった(第3表参照)。

4 財・サービス区分別の消費支出
  (全国・単身全世帯)

(1) 財(商品)は、実質三・五%の減少。
   <耐 久 財> 実質一四・七%の減少。
   <半耐久財> 実質九・四%の減少。
   <非耐久財> 実質〇・九%の増加。
(2) サービスは、実質〇・八%の増加。




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消費支出(全世帯)は実質一・八%の減少


―平成十二年六月分家計収支―


総 務 庁


◇全世帯の家計

 前年同月比でみると、全世帯の消費支出は平成十一年九月以降五か月連続の実質減少となった後、十二年二月は実質増加、三月は実質減少、四月は実質増加となり、五月、六月は実質減少となった。

◇勤労者世帯の家計

 前年同月比でみると、勤労者世帯の実収入は平成十一年七月以降九か月連続の実質減少となった後、十二年四月は同水準、五月は実質増加となり、六月は実質減少となった。
 前年同月比でみると、消費支出は平成十一年八月以降六か月連続の実質減少となった後、十二年二月は実質増加、三月は実質減少、四月は実質増加となり、五月、六月は実質減少となった。

◇勤労者以外の世帯の家計

 勤労者以外の世帯の消費支出は、一世帯当たり二十六万九千二百八十六円。
 前年同月に比べ、名目〇・五%の減少、実質〇・四%の増加。

◇季節調整値の推移(全世帯・勤労者世帯)

 季節調整値でみると、全世帯の消費支出は前月に比べ実質一・八%の減少。
 勤労者世帯の消費支出は前月に比べ実質三・四%の減少。












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消費者物価指数の動向


―東京都区部(八月中旬速報値)・全国(七月)―


総 務 庁


◇八月の東京都区部消費者物価指数の動向

一 概 況

(1) 総合指数は平成七年を一〇〇として一〇〇・三となり、前月比は〇・一%の下落。前年同月比は五月〇・九%の下落、六月一・二%の下落、七月〇・九%の下落と推移した後、八月は一・三%の下落となった。
(2) 生鮮食品を除く総合指数は一〇〇・七となり、前月比は〇・一%の下落。前年同月比は五月〇・四%の下落、六月〇・九%の下落、七月〇・七%の下落と推移した後、八月は〇・八%の下落となった。

二 前月からの動き

(1) 食料は九九・二となり、前月と同水準。
  生鮮魚介は四・〇%の上昇。
   <値上がり> さんま、ほたて貝など
   <値下がり> いか、まぐろなど
  生鮮野菜は三・二%の下落。
   <値上がり> さやえんどう、ほうれんそうなど
   <値下がり> なす、ねぎなど
  生鮮果物は一・五%の下落。
   <値上がり> レモン、オレンジなど
   <値下がり> ぶどう(デラウェア)、ももなど
(2) 家具・家事用品は九〇・二となり、前月に比べ〇・四%の下落。
  家事用消耗品が一・三%の下落。
   <値下がり> 洗濯用洗剤など
(3) 被服及び履物は九九・八となり、前月に比べ二・二%の下落。
  衣料が三・〇%の下落。
   <値下がり> スーツ(夏物)など
(4) 交通・通信は九九・九となり、前月に比べ〇・五%の上昇。
  交通が一・一%の上昇。
   <値上がり> 航空運賃など
(5) 教養娯楽は九八・二となり、前月に比べ〇・二%の上昇。
  教養娯楽サービスが〇・四%の上昇。
   <値上がり> 宿泊料
(6) 諸雑費は一〇三・四となり、前月に比べ〇・二%の下落。
  身の回り用品が〇・六%の下落。
   <値下がり> ハンドバッグなど

三 前年同月との比較

 ○上昇した主な項目
  電気代(三・六%上昇)
 ○下落した主な項目
  生鮮野菜(一七・二%下落)、家賃(一・五%下落)、生鮮魚介(六・七%下落)、教養娯楽サービス(二・〇%下落)
 (注) 上昇又は下落している主な項目は、総合指数の上昇率に対する影響度(寄与度)の大きいものから順に配列した。

四 季節調整済指数

 季節調整済指数をみると、総合指数は一〇〇・六となり、前月に比べ〇・二%の下落となった。
 また、生鮮食品を除く総合指数は一〇〇・九となり、前月に比べ〇・一%の下落となった。

◇七月の全国消費者物価指数の動向

一 概 況

(1) 総合指数は平成七年を一〇〇として一〇一・三となり、前月比は〇・二%の下落。前年同月比は四月〇・八%の下落、五月〇・七%の下落、六月〇・七%の下落と推移した後、七月は〇・五%の下落となった。
(2) 生鮮食品を除く総合指数は一〇一・七となり、前月比は〇・三%の下落。前年同月比は四月〇・四%の下落、五月〇・二%の下落、六月〇・三%の下落と推移した後、七月は〇・三%の下落となった。

二 前月からの動き

(1) 食料は九九・九となり、前月に比べ〇・二%の下落。
  生鮮魚介は〇・四%の上昇。
   <値上がり> かれい、あじなど
   <値下がり> いか、さけなど
  生鮮野菜は一・八%の上昇。
   <値上がり> キャベツ、ほうれんそうなど
   <値下がり> なす、きゅうりなど
  生鮮果物は三・四%の下落。
   <値上がり> グレープフルーツ、オレンジなど
   <値下がり> すいか、ぶどう(デラウェア)など
(2) 光熱・水道は一〇三・八となり、前月に比べ〇・七%の上昇。
  電気・ガス代が〇・九%の上昇。
   <値上がり> 電気代など
(3) 家具・家事用品は九一・六となり、前月に比べ〇・三%の下落。
  家庭用耐久財が〇・六%の下落。
   <値下がり> 電気冷蔵庫など
(4) 被服及び履物は一〇二・四となり、前月に比べ三・三%の下落。
  衣料が三・八%の下落。
   <値下がり> スーツ(夏物)など
(5) 交通・通信は九七・八となり、前月に比べ〇・二%の上昇。
  交通が〇・四%の上昇。
   <値上がり> 航空運賃など
(6) 教養娯楽は九八・三となり、前月に比べ〇・三%の下落。
  教養娯楽サービスが〇・三%の下落。
   <値下がり> ゴルフプレー料金など

三 前年同月との比較

 ○上昇した主な項目
  自動車等関係費(一・八%上昇)、電気代(三・二%上昇)、家賃(〇・四%上昇)
 ○下落した主な項目
  生鮮野菜(九・一%下落)、家庭用耐久財(七・六%下落)、外食(一・三%下落)、生鮮魚介(二・九%下落)
 (注) 上昇又は下落している主な項目は、総合指数の上昇率に対する影響度(寄与度)の大きいものから順に配列した。

四 季節調整済指数

 季節調整済指数をみると、総合指数は一〇一・六となり、前月に比べ〇・三%の上昇となった。
 また、生鮮食品を除く総合指数は一〇一・八となり、前月と変わらなかった。





















    <11月8日号の主な予定>

 ▽建設白書のあらまし…………………………建 設 省 

 ▽平成十二年四〜六月期平均家計収支………総 務 庁 




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